第 8 回 加齢皮膚医学研究会 第 60 回 日本皮膚科学

第 8 回 加齢皮膚医学研究会
第 60 回 日本皮膚科学会高知地方会
プログラム・抄録集
平成 24 年 7 月 7 日(土)・8 日(日)
会
会
場:7 日総合あんしんセンター
3階
大会議室
8 日高 知 新 阪 急 ホ テ ル
3階
花の間
長:佐野 栄紀
事 務 局:高知大学医学部皮膚科学講座
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_drmtl/studies/
第 8 回 加齢皮膚医学研究会
第 60 回 日本皮膚科学会高知地方会
プログラム・抄録集
会
長:佐 野 栄 紀
会
場:平成 24 年 7 月 7 日(土)・8 日(日)
7 日:総合あんしんセンター 3 階 大会議室
〒780-8514 高知県高知市丸ノ内 1 丁目 7 番 45 号
8 日:高 知 新 阪 急 ホ テ ル 3 階 花の間
〒780-8561 高知県高知市本町 4-2-50
TEL:088-873-1111 FAX:088-873-1145
事 務 局:高知大学医学部皮膚科学講座
事務局長:樽谷 勝仁
〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮
TEL:088-880-2363 FAX:088-880-2364
E-mail:[email protected]
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_drmtl/studies/
1
ご挨拶
加齢皮膚医学研究会開催にあたって
第 8 回加齢皮膚医学研究会を高知市で開催させていただくことになりました。大変光栄に存じます。
日本は、平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードの三点において世界一の高齢化社会に突入しました。
ご存知のように、皮膚は毛包など付属器を含めて生涯にわたり regenerate, remodeling をたゆまず行っ
ている臓器です。老化はこのホメオスタシスの不可逆的な破綻に他なりません。したがって、この研究
会から発信される情報は加齢皮膚医学に限らず皮膚研究領域全体の発展に益するものと思います。今年
で 8 回目を迎え、ますます円熟した研究会となってきました。
本年は 7 月 7 日、8 日 (土、日)の両日、日本皮膚科学会高知地方会に引きつづき開催いたします。特
別講演には大阪大学の片山一朗先生に「加齢とアレルギー」をお願いいたしました。また、今年から設
立されたロレアルレクチャーシップには、神戸大学名誉教授・再生未来クリニック神戸院長の市橋正光
先生および東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞医学分野 教授の西村栄美先生に、それぞれ「アン
チエイジング医学・医療」
「毛髪エイジングと幹細胞」について最新の内容をご講演いただく予定です。
一般演題 12 題、ロート賞授賞式、ロート賞受賞記念講演もあり盛りだくさんな内容ですので、皮膚科臨
床医、研究者にとっても有益な 2 日間になるものと確信しております。
高知は東西に長い県で、龍馬像のある桂浜をはじめとした沢山の景勝地があります。さらにおいしい
お酒と海の幸があふれております。学会とともに高知の風土と文化をお楽しみ頂ければ幸甚です。
最後になりましたが、設立当初より支援していただいているロート製薬株式会社、および本年よりレク
チャーシップでお力を貸していただく日本ロレアル株式会社に厚く御礼申し上げます。
七夕に皆様の御来高(高知においで下さること)をお待ち申し上げます。
第 8 回加齢皮膚医学研究会会長
高知大学医学部皮膚科学講座
佐野栄紀
2
学会概要
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会 【一般演題】
平成 24 年 7 月 7 日(土) 14:05~15:35
総合あんしんセンター 3 階 大会議室
第 8 回加齢皮膚医学研究会
【特別講演】
平成 24 年 7 月 7 日(土)15:40~16:40
総合あんしんセンター 3 階 大会議室
第 8 回加齢皮膚医学研究会(1)
【一般演題】
平成 24 年 7 月 7 日(土) 17:00~18:20
総合あんしんセンター 3 階 大会議室
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会 【特別講演】
平成 24 年 7 月 7 日(土)18:30~19:30
総合あんしんセンター 3 階 大会議室
情報交換会(会場まではバスを手配します。
)
平成 24 年 7 月 7 日(土) 19:45~
高知新阪急ホテル 3 階
花の間
加齢皮膚医学研究会幹事会・世話人会
平成 24 年 7 月 8 日(日) 8:00~9:00:
高知新阪急ホテル 3 階 薔薇の間
加齢皮膚医学研究会総会
平成 24 年 7 月 8 日(日) 9:00~9:15
高知新阪急ホテル 3 階 花の間
第 8 回加齢皮膚医学研究会(2)
【ロレアルレクチャー1、2、ロート賞授賞式・受賞記念講演、一般演題】
平成 24 年 7 月 8 日(日) 9:15~14:30(昼食あり)
高知新阪急ホテル 3 階 花の間
3
7 月 7 日(土)会場
総合あんしんセンターへのアクセス
高知龍馬空港より
至高知駅
・タクシーで約 40 分、約 5,000 円
・空港連絡バスで約 45 分、約 800 円、
「グランド通」バス停下車、会場まで徒歩約 5 分
JR 高知駅より
・タクシーで約 15 分
・路面電車で「はりまや橋」乗換え「鏡川橋」方面
行き約 20 分「グランド通」下車、徒歩約 5 分
高知自動車道 高知インターより
グ
ラ
ン
ド
通
電
停
・高知県庁方面で約 25 分
◇駐車場のご案内◇
・駐車場は無料です(守衛に「会議」とお伝え下さい)
県
庁
前
電
停
◇ 館内のご注意◇
・1階は休日夜間急患センターですので、
土佐電鉄
患者さんの迷惑とならないよう、ご配慮下さい。
・館内は禁煙です。
7 月 8 日(日)会場
高知新阪急ホテルへのアクセス
高知龍馬空港より
・タクシーで約 30 分、約 4,500 円
・空港連絡バスで約 45 分、約 800 円
「県庁前」バス停下車すぐ
JR 高知駅より
・タクシーで約 10 分
★
・路面電車で「はりまや橋」乗換え「鏡川橋」
方面行き約 15 分「高知城前」下車すぐ
高知自動車道 高知インターより
・高知県庁方面に約 20 分
◇駐車場のご案内◇
・ホテル正面(路面電車の走っている国道側)よりお入りくださいませ。お車の大きさや車高に
よりましてはホテル近隣の契約駐車場(徒歩 1~3 分)に駐車いただく場合がございます。
4
参加者の方へ
○受付は 7 月 7 日(土)13 時 30 分から、7 月 8 日(日)は 8 時 30 分から開始します。
○受付は 7 月 7 日総合あんしんセンター3 階大会議室、8 日は高知新阪急ホテル 3 階花の間
会場前で行っております。参加費は 5 千円です。
ネームカード兼領収書を受け取り、所属、名前を記入しご着用ください。
○高知地方会会員は地方会員受付で芳名帳にご記入ください。
○プログラムは必ずご持参下さい。会場で購入される場合は千円で販売致します。
○日皮専門医の後実績について
加齢皮膚医学研究会(6 単位)
日本皮膚科学会高知地方会(6 単位)
○学会参加中の着装に関しまして
7 月の高知は大変暑いです。クールビズでお願いします。
演者の方へ
○一般演題は口演 7 分、討論 3 分です。※スライドは 1 面です。
○使用するアプリケーションは Windows 版 PowerPoint2007 です。
Macintosh で作成されたファイルは事前に Windows での動作確認を行うか、PC 持ち込みで発表を
お願いします。ただし、アダプターは各自ご持参ください。
○口演開始予定時刻の 30 分前までに PC 受付にて試写をお願いします。
○発表の際は演題に設置しておりますポインターを使用して、演者ご本人により操作して頂きます。
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第 60 回日本皮膚科学会高知地方会プログラム【第 1 日目】7 月 7 日(土)
14:00~
開催の挨拶
14:05~15:35
一般演題
座長 樽谷 勝仁
高知大
池田 光徳
佐野 栄紀 高知大
高知県立大
1.妊娠により増悪した不全ベーチェットの 1 例
鉄谷 真由 高知医療センター
2.胆嚢癌に合併した Bazex 症候群の 1 例
寺石 美香 高知大
3.腫瘤を呈した人工関節置換術後感染の1例
三好 研 国立高知
4.個人輸入したプロペシア○R 類似薬品による中毒疹の 1 例
大隈 貞夫 高知市
5.表皮植皮術、メッシュ移植術を併用した壊疽性膿皮症の 1 例
高野 浩章 高知医療センター
6.Aquagenic palmoplantar keratoderma の 1 例
野本 正志 高知市
7.色素レーザー複合機を用いた血管腫、毛細血管拡張症に対する治療経験
石黒 麻友子 高知大
8.超弾性ワイヤー法による巻き爪の治療
猿田 隆夫 高知市
9.マンソン孤虫症の 1 例
工藤 朋子 高知県立幡多けんみん
第 8 回加齢皮膚医学研究会プログラム
15:40~16:40
特別講演
座長 芋川 玄爾
中部大
「加齢とアレルギー」
片山 一朗 大阪大
(共催:サノフィ・アベンティス株式会社)
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17:00~18:20
一般演題(1)
座長 荒瀬 誠治
健康保険 鳴門
横川 真紀
高知大
1.宮崎大学皮膚科における悪性黒色腫の統計的観察
成田 幸代 宮崎大
2.メルケル細胞癌に対する first-line therapy としての放射線単独療法
中島 英貴 高知大
3.玄米黒酢「桷志田泉」Ⓡによる皮膚癌増殖抑制効果の検討
馬場 直子 鹿児島大
4.加齢と 5-mC (methylcytosine)、5-hmC (hydroxymethylcytosine)
藤原 浩 新潟大
5.富山大学皮膚科における過去 10 年間の高齢者アナフィラクトイド紫斑の臨床的検討
牧野 輝彦 富山大
6.タバコ煙抽出液による Aryl hydrocarbon receptor (AhR)を介したメラノサイトの
活性化
中村 元樹 名古屋市立大
7.新潟県糸魚川市における日光角化症の有病率調査
上田 智恵子 富山大
8.培養ヒト真皮線維芽細胞の UVA 曝露によるヒアルロン酸分泌量の低下とアスタキサ
ンチン照射後添加による防御
中島 弘明 東京工科大
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会プログラム
18:30~19:30
特別講演
座長 佐野 栄紀
高知大
「多様化する接触皮膚炎 -金属による全身性接触皮膚炎について-」
清水 忠道 富山大
(共催:グラクソ・スミスクライン株式会社)
19:45~情報交換会(会場までバス移動) 高知新阪急ホテル 3 階 花の間
7
第 8 回加齢皮膚医学研究会プログラム【第 2 日目】7 月 8 日(日)
8:00~9:00
世話人・幹事会
高知新阪急ホテル 3 階 薔薇の間
9:00~9:15
総会
高知新阪急ホテル 3 階 花の間
9:15~9:30
第 6 回ロート賞授賞式
座長 神保 孝一
皮膚病総合医学研究所
「皮膚を場とした外来抗原特異的免疫反応における TRPV1 の役割の解明」
金沢 伸雄 和歌山大
「ペラグラにおける光線過敏症のメカニズムの解明」
杉田 和成 産業医大
「ケラチン 5 を一過性に発現し、加齢によって増加する新規 B リンパ球系細胞の機能解析」
花房 崇明 大阪大
9:30~10:30
ロレアルレクチャーシップ 1
座長 佐野 栄紀
高知大
「毛髪のエイジングと幹細胞制御」
西村 栄美 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞医学分野
10:30~10:45
コーヒーブレイク
10:45~12:15
第 5 回ロート賞受賞記念講演
座長 神保 孝一
皮膚病総合医学研究所
「老人性乾皮症の痒み発生機序の解明と治療法開発」
富永 光俊 順天堂大学大学院医学部研究科環境医学研究所
「転写因子 MITF とリポカリン型プロスタグランジン D 合成酵素による表皮の恒常性
維持機構」
武田 和久 東北大学大学院医学系研究科分子生物学分野
「紫外線誘導表皮基底膜コラーゲン分解・変性に及ぼすMIFの影響」
清水 忠道 富山大
8
「代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)に 注目した悪性黒色腫形成および増殖に
関わるシグナル伝達の同定」
船坂 陽子 日本医科大
「慢性腎不全者患者における老化様皮膚の形成機構の解明」
小川 靖 名古屋大
12:30~13:30 ロレアルレクチャーシップ 2(昼食あり)
座長 武藤 正彦 山口大
「皮膚科医が果たすアンチエイジング医学・医療」
市橋 正光 再生未来クリニック神戸
13:30~14:10
一般演題(2)
座長 中島 英貴 高知大
9. 高齢者に生じた Streptococcus equisimilis による壊死性筋膜炎の 2 救命例
若松 研弥 山口大
10.加齢による女性型脱毛症の病態変化について
桑名 隆一郎 高知市
11.メタボリック症候群と顔の老化について
宮脇 さおり 愛媛大
12.rIL-2+docetaxel 併用療法が奏効した頭部血管肉腫の 1 例
青木 奈津子 高知大
閉会の辞 佐野 栄紀 高知大
9
次回開催案内
第 9 回加齢皮膚医学研究会
日時:平成 25 年 7 月 6 日(土)・7 日(日)
場所:山口大学医学部霜仁会館(宇部市)
会長:武藤 正彦(山口大)
10
特別講演・ロレアルレクチャーシップ・ロート賞受賞記念講演
11
第 8 回加齢皮膚医学研究会【
特別講演
】
片山 一朗
【略歴】
昭和 52 年 03 月
北海道大学医学部卒業
52 年 07 月
医員(研修医)
(大阪大学医学部附属病院)
53 年 04 月
大阪大学大学院医学研究科入学
55 年 10 月
英国 Royal College of Surgeons 病理学教室留学
57 年 03 月
大阪大学大学院医学研究科修了 医学博士(大阪大学)
60 年 04 月
国立大阪病院皮膚科医師
61 年 10 月
北里大学医学部皮膚科助手
62 年 04 月
北里大学医学部皮膚科講師
平成 02 年 07 月
東京医科歯科大学医学部皮膚科助教授
08 年 07 月
長崎大学医学部皮膚科教授
14 年 04 月
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科教授
16 年 03 月
大阪大学大学院医学系研究科皮膚科教授
【研究領域】
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、薬剤アレルギー、膠原病、皮膚血管炎、光生物学、皮膚免疫学、
臨床アレルギー学、白斑
【所属学会】
日本皮膚科学会(理事)
日本アレルギー学会(常務理事)
日本接触皮膚炎学会・皮膚アレルギー学会(理事 )
日本発汗学会(理事)
日本研究皮膚科学会(監事)
日本色素細胞学会(理事)
日本臨床皮膚科学会近畿支部(理事)
日本免疫学会 日本リウマチ学会
12
7 月 7 日(土)15:40~16:40
加齢とアレルギー
片山 一朗(大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座 皮膚科学教授)
皮膚は外界からの様々な刺激に対する防御システムを持ち、その中で天然保湿因子(アミノ酸)や表皮
脂質(セラミド)、汗により構成される皮膚バリア機能は重要な役割を果たしている。その破綻により
様々なサイトカイン遺伝子が誘導され、湿疹病変が誘導されること、その補正により皮膚炎が軽快する
ことが証明され、皮膚バリア機能とスキンケアの重要性が認識されるようになった。皮膚バリア機能異
常は皮膚刺激物質やアレルゲンの易吸収性や乾燥性皮膚の原因と考えられ、その是正はアトピー性皮膚
炎や高齢者の皮膚炎を治療していく上で重要である。さらにアトピー性皮膚炎と高齢者の皮膚炎(紅皮
症など)での Th2 細胞と制御性 T 細胞の動態とその異同が明らかにされつつある。本講演では高齢者に
見られる皮膚アレルギーとその対応につき皮膚バリア異常、抗ヒスタミン薬の使用法、皮膚の免疫・神
経・内分泌系のクロストークなど最近の知見を解説させて頂く。
13
第 8 回加齢皮膚医学研究会【
ロレアルレクチャーシップ1
】
西村 栄美
【略歴】
1988 年 4 月 01 日
滋賀医科大学医学部医学科入学
1994 年 3 月 31 日
滋賀医科大学医学部医学科卒業
1994 年 4 月 01 日
京都大学医学部皮膚科入局、京都大学医学部付属病院皮膚科勤務
1995 年 5 月 01 日
倉敷中央病院皮膚科 勤務
1996 年 4 月 01 日
京都大学大学院医学研究科 博士課程
2000 年 3 月 23 日
同上 卒業、博士(医学)取得
2000 年 4 月 01 日
京都大学大学院医学研究科皮膚科 研修員
2000 年 5 月 01 日
京都大学医学部付属病院皮膚科 医員
2000 年 8 月 14 日
ハーバード大学 ダナファーバー癌研究所博士研究員
2004 年 9 月 01 日
北海道大学創成科学研究機構 移植医療組織工学プロジェクト特任助教授
2006 年 4 月 01 日
金沢大学がん研究所 幹細胞医学研究分野教授
2009 年 3 月 01 日
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞医学分野教授
至
現 在
【専門分野】
皮膚生物学、幹細胞生物学、色素細胞学、老化生物学、皮膚科学、皮膚病理学、発生再生医学、
腫瘍生物学
【資格・学位】
1994 年 5 月 06 日
医師免許取得(医籍登録番号第 363934 号)
2000 年 3 月 23 日
京都大学より博士(医学)
【主たる所属学会】
日本色素細胞学会 理事、日本研究皮膚科学会 評議員、日本皮膚科学会、日本癌学会
日本分子生物学会、ISSCR(国際幹細胞研究学会)
【Editorial board】
Pigment Cell & Melanoma Research (PCMR)
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【主たる受賞歴】
表彰年月日
表彰業績名称
表彰主体
2002 年 08 月 02 日
Shiseido Award (資生堂賞)
(株)資生堂
2003 年 05 月 24 日
第 52 回“皆見省吾”記念賞
日本皮膚科学会
2006 年 10 月 28 日
第 5 回 湖医会賞
滋賀医科大学同窓会
2007 年 04 月 19 日
文部科学大臣表彰 若手科学者賞
文部科学省
2012 年 02 月 19 日
小川・清寺記念賞
日本リディアオリリー協会
2012 年 02 月 27 日
日本学術振興会賞
日本学術振興会
2012 年 02 月 27 日
日本学士院学術奨励賞
日本学士院
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7 月 8 日(日)9:30~10:30
毛髪のエイジングと幹細胞制御
西村 栄美(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞医学分野教授)
多細胞生物は、加齢とともに組織の機能低下や再生能力の低下が目立つようになり、老化する運命に
ある。加齢に伴う白髪や脱毛は、ほ乳類において最も目立つ老化形質であり、一般の関心も非常に高い
が、いまだ効果的な治療法や予防がないのが現状である。我々は、マウスの毛包内に色素幹細胞をはじ
めて同定し、黒髪のもととなる毛母の色素細胞の供給源として働くこと、この細胞が維持できなくなる
と毛が生え変わる際に白毛化を引き起こすことを明らかにしてきた。最近、我々は、毛包幹細胞が色素
幹細胞に対して機能的なニッチ細胞として働き、その維持および運命制御を担っていることや、その分
子基盤を解明したので紹介する。また、ヒトに限らずほ乳類では加齢に伴って白髪や脱毛が見られるよ
うになるが、いったいどのような仕組みによるのであろうか。その仕組みの一端を明らかしたので紹介
したい。
16
第 8 回加齢皮膚医学研究会【
ロレアルレクチャーシップ 2
】
市橋 正光
[ 講師プロフィール ]
昭和 14 年 4 月
徳島県生まれ 73 歳
昭和 45 年
神戸大学大学院医学研究科
昭和 47 年
ロンドン大学皮膚科学研究所 留学
平成 04 年
神戸大学医学部 皮膚科学 教授
平成 15 年 3 月
神戸大学医学部 退官(名誉教授)
平成 19 年 4 月
同志社大学エイジング・アンド・フォトエイジングレサーチセンター教授
平成 22 年 6 月
再生未来クリニック・神戸
平成 23 年 4 月
同志社大学客員教授
修了
院長就任
[ 主な所属学会・協会 ]
日本皮膚科学会、日本研究皮膚科学会、日本色素細胞学会(理事)
、日本光医学・光生物学会(名誉理事)、
日本抗加齢医学会(理事)
、日本レーザー治療学会(理事)
、光老化研究会(世話人代表)
、見た目のアン
チエイジング研究会(世話人)
、細胞再生医療研究会(世話人代表)、糖化ストレス研究会(世話人代表)、
日本コエンザイム Q 協会(理事)
、カシス協会(理事) 他
[ 現在の興味と活動 ]
①皮膚の老化・光老化の発症機序の研究、②光老化の改善に役立つ物質の開発、③子供を紫外線から
守るための啓発活動、④アンチエイジング、特に皮膚のアンチエイジングの実践、⑤予防医学の啓発
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7 月 8 日(日)12:30~13:30
皮膚科医が果たすアンチエイジング医学・医療
市橋 正光(再生未来クリニック神戸)
健康で若々しく生きたいとだれもが願う。ところが、経済成長の負の効果とも言える摂取カロリー過
多や偏食などの「食」の影響と、車社会のための「運動」不足の結果、糖尿病、高血圧、肥満や認知症
などの生活習慣病患者の増加に歯止めが利かない。現在、日本は平均寿命では世界一の長寿国ではある
が、健康長寿国ではない。このようは背景から、病気になる前に身体の老化度を捉え、老化に伴う病気
を予防する抗加齢医寮の必要性から、12 年前に日本抗加齢医学会が設立され、その下部組織にいくつか
の専門部会が設けられた。
「見た目のアンチエイジング研究会」もその一つである。皮膚、体型や容姿な
ど見た目が若いと身体の各臓器も若々しく健康長寿につながることが最近疫学調査で明らかにされてい
る。本講演では、最近の皮膚の老化・光老化の発症機序を解説し、また、その予防・治療法に触れ、皮
膚科医が抗加齢医学・医療で果たす役割について私見を述べる。
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第 8 回加齢皮膚医学研究会【第 5 回ロート賞受賞記念講演】
座長:神保 孝一(皮膚病総合医学研究所)
1.老人性乾皮症の痒み発生機序の解明と治療法開発
冨永光俊 1)、加茂敦子 1)、髙森建二 1)2)
(1)順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所、2)順天堂大学附属浦安)
乾皮症は、角層水分量が低下したために生じる皮膚乾燥と痒みを伴う疾患である。高齢者の乾皮症
は、アンドロゲン分泌が減少するため、皮脂腺の機能が低下し、乾燥しやすくなる。加えて、冬季の
み症状が悪化する場合が多いため、生活環境下での湿度変化が皮膚乾燥を亢進させ、痒みを誘発する
と考えられる。
乾皮症の痒みは、抗ヒスタミン薬(ヒスタミン H1 受容体拮抗薬)が奏功し難いため、ヒスタミン以
外の痒み発現機序の関与が示唆される。その痒みの難治化の機序には、表皮内神経の増生による痒み
閾値の低下が推定される。本発表では、皮膚乾燥で誘発される表皮内神経の増生機序とその痒み対策
について最新の知見を紹介したい。
2.転写因子 MITF とリポカリン型プロスタグランジン D 合成酵素による表皮の恒常性維持機構
武田和久(東北大)
MITF は、メラノサイトの分化•恒常性維持に必須な転写因子である。 Mitf 変異マウスの1種
Mitfmi-bw(bw)は、メラノサイトが欠損するために体毛が白い。bw マウスの皮膚に対して DNA マイクロア
レー解析を行い、新規メラノサイトマーカーとしてリポカリン型プロスタグランジン D 合成酵素
(L-PGDS)を同定した。免疫組織化学的分析において、ヒト L-PGDS の発現は表皮メラノサイトに比べ、
悪性黒色腫では過剰発現されていた。一方良性の母斑細胞では L-PGDS 陽性細胞は少数であった。した
がって L-PGDS が黒色腫や母斑細胞の判別の一助となるかもしれない。
さらに我々は、bw マウス胎児のメラノブラストが神経堤からの発生初期に存在しており、皮膚への
遊走期に消失することを明らかにした。そして bw マウスの神経管を培養し、Mitf-M 遺伝子を導入する
とメラノブラストの分化•生存が回復した。あらためて、Mitf がメラノサイトの分化•恒常性維持に必
須であることを示した。
3.紫外線誘導表皮基底膜コラーゲン分解・変性に及ぼす MIF の影響
清水忠道(富山大)
近年、光老化によるシワ形成の原因として matrix metalloproteinase(MMPs)と tissue inhibitors
of metalloproteinase(TIMPs)の均衡の破綻が報告されており、メカニズムの解析が注目されてい
る。マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は、アレルギーや紫外線など炎症を伴う刺激により多彩な
生物学的作用を有するサイトカインとして認められている。我々は、紫外線照射による MMPs 産生と
コラーゲンの変化に関する情報に基づき、in vivo 実験系では MIF 過剰発現(Tg)マウスおよび WT
マウスの皮膚、in vitro 実験系ではマウスの表皮細胞および線維芽細胞を用いて UVB が誘導する表
皮基底膜部の MMPs 産生への MIF の関与を調べた。その結果、MIF Tg マウスの皮膚では WT マウスに
比べて長期 UVB 照射刺激による MMP-2 および MMP-9 の発現と産生の有意な増加,type IV collagen
の分解促進、basement membrane の強い変性が認められた。また、MIF Tg マウスの表皮細胞および線
維芽細胞では、WT マウスに比べて急性 UVB 照射刺激による MMP-2 および MMP-9 の産生の有意な増加
が認められた。したがって MIF は,UVB による MMPs の活性を促進する重要分子であることが明らか
となった。
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第 8 回加齢皮膚医学研究会【第 5 回ロート賞受賞記念講演】
4.代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)に 注目した悪性黒色腫形成および増殖に関わるシグナル伝
達の同定
船坂陽子(日本医大)
代謝型グルタミン酸受容体1型 (mGluR1)は G タンパク質に共役する 7 回膜貫通型受容体で、小脳長
期抑圧、海馬長期増強等のシナプス可塑性に重要な働きを担うが、mGluR1 の異所性発現が誘導されたト
ランスジェニックマウスにて、悪性黒色腫が高率に発症する。また、ヒト悪性黒色腫組織、特に ALM、 SSM
で ERK1/2 の活性化と共に、mGluR1 の発現が亢進していることを我々は見いだしてきた。mGLuR1 トラン
スジェニックマウスを用いて、下流シグナル伝達機構の各種阻害剤を用いた実験により、PLC、 PKC、
CAMK、 ERK1/2 のすべての活性化が黒色腫形成に必要であること、さらに ERK1/2 の活性化が黒色腫細胞
の増殖に必須であることがわかった。黒色および黄色メラニン含有 mGluR1 トランスジェニックマウス
に UVB および UVA を照射したところ、UVA ではなく UVB において黒色腫発症および増殖の促進がみられ、
XPA ノックアウトマウスの結果より、UVB による黒色腫発症には DNA 損傷が関与していることが判明し
た。さらに黄色メラニン含有マウスでは黒色メラニン含有マウスよりも UVB による黒色腫発症が促進さ
れたことより、UVA ではなく UVB による DNA 損傷が紫外線による黒色腫発症に重要であること、そして
この発症は黄色メラニンで促進されることがわかった。
5.慢性腎不全者患者における老化様皮膚の形成機構の解明
小川 靖(名古屋大)
表皮の老化はしばしば掻痒を伴い、高齢者の QOL を脅かす問題となる。老化様皮膚変化をきたす慢性
腎不全患者では、血中リンが高値を示す。これら患者の表皮では、皮膚老化に非常に近い変化が起きる
事が知られているが、その原因となる細胞生物学的な機序はよく知られていない。また、高リン酸血症
を生じる代表的な疾患である、副甲状腺機能低下症においても、皮膚の乾燥、角化の亢進が特徴的な症
状として知られている。発表者は、単一遺伝子異常による老化モデルである klotho マウスの研究に携
わる中で、klotho の、リン調節ホルモン FGF23 の coreceptor としての機能の発見に関わってきた。近
年の研究では、このマウスの老化様症状の発現が血中の過剰リンに依存することが示され、
「phosphate
toxicity」による老化促進メカニズムの存在が示唆されつつ有る。高リン環境が表皮角化細胞にもたら
す影響について、研究を進めている。
20
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会
一般演題抄録
特 別 講 演
21
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会
一般演題
7 月 7 日(土)14:05~15:35
座長:樽谷勝仁(高知大)
池田光徳(高知県立大)
1. 妊娠により増悪した不全ベーチェットの 1 例
鉄谷真由、高野浩章(高知医療センター)
29 歳、女性。不全ベーチェット病があり妊娠契機に陰部潰瘍増悪。ステロイド内服加療し出産は
帝切で行った。
2.胆嚢癌に合併した Bazex 症候群の 1 例
寺石美香、中島英貴、樽谷勝仁、佐野栄紀(高知大)
72 歳、男性。2 年前より四肢に紫紅色斑が多発していた。初診時、体幹に角化性丘疹が散在し、
四肢に乾癬様の紫紅色斑、掌蹠に角化を認めた。ビタミン D3 軟膏外用、エトレチナート内服行った
が改善乏しく、Bazex 症候群を疑った。CEA、SCC の上昇、腹部エコーおよび造影 CT 検査より胆嚢癌
を認め、拡大胆嚢摘出術を行った。結果は早期癌で追加治療の必要なく、皮疹も術後エトレチナー
トを中止しているが改善傾向にある。
3.腫瘤を呈した人工関節置換術後感染の1例
三好 研(国立病院機構高知)小林
亨、篠原一仁(同 整形外科)
74 歳、女性。2008 年7月に左股関節に対し人工関節置換術を施行。下腿潰瘍で当科通院中の 2011
年 5 月上旬に左側腹部に紅色腫瘤を生じた。摘出後に瘻孔を生じ、最終的に瘻孔造影で術後感染と
判明した。
4.個人輸入したプロペシア○R 類似薬品による中毒疹の 1 例
大隈貞夫(高知市)
症例は 44 歳男性で平成 24 年 1 月 10 日初診。受診 1 ヵ月前より前頚、両肩、両上腕、腰部に掻破
性の紅斑を多数生じた。脱毛症の治療の目的で 10 年近く前よりプロペシア○R の後発薬剤フィンペシ
ア○R (インドで開発)
(色素として肝障害、発癌性のあるキノリン・イエローを使用している可能性が
ある)を関西の業者を介してインドより個人輸入して服用していた。臨床検査所見として ALP381(U/l)
(100-340)
、LDH264(U/l)
(110-220)を認めた。
22
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会
一般演題
5.表皮植皮術、メッシュ移植術を併用した壊疽性膿皮症の 1 例
高野浩章、鉄谷真由(高知医療センター)、野田理香(JA 高知 形成外科)
80 歳、女性。2011 年 12 月中旬コタツに就寝中、低温熱傷受傷。自宅処置を行っていたが、悪化
するため近医受診。各種外用剤で処置等受けるも壊死性潰瘍が拡大するため当院を紹介された。臨
床像、経過、組織所見より壊疽性膿皮症と診断し、PSL30mg/日投与。潰瘍部に植皮術を行い、治癒
した。
6.Aquagenic palmoplantar keratoderma の 1 例
野本正志(高知市)
13 歳、女性。約 3 ヵ月前から入浴時に掌が白くふやけたようになると訴えて来院。初診時手掌に
は異常を認めなかったが、温水に浸すと約 15 分で白色から半透明の小丘疹が出現し、一部では集簇
して白色隆起性局面を形成した。水から出すと症状は約 5 分で消退した。手掌多汗(+)
。特徴的な
臨床症状より aquagenic palmoplantar keratoderma と診断した。
7.色素レーザー複合機を用いた血管腫、毛細血管拡張症に対する治療経験
石黒麻友子、森澤有希、永野弓枝、横川真紀、佐野栄紀(高知大)
パルス可変式色素レーザー(V beamTM)では治療効果が十分に得られない血管腫や毛細血管拡張症
症例が存在する。当科では、そのような症例に対して色素レーザー複合機(色素レーザーと Nd:YAG
レーザーを連続照射可能な機器、CynergyTM)を用いた治療を試みている。当科で経験した症例を供
覧する。
8.超弾性ワイヤー法による巻き爪の治療
猿田隆夫(高知市)
平成 20 年 1 月から超弾性ワイヤー法による巻き爪の治療をしている。
有効例・著効例を供覧する。
9.マンソン孤虫症の 1 例
工藤朋子、藤岡 愛(高知県立幡多けんみん)
、是永正敬(高知大 寄生虫学)
66 歳、男性。糖尿病で内科に入院中。初診の数日前に、右大腿内側に自覚症状を欠く径 2~2.5cm
の柔らかい 3 個の皮下腫瘤に気づいた。超音波検査で皮下に内部不均一な嚢腫構造を認め、表皮嚢
腫や付属器腫瘍を疑い生検したところ、長さ約 4cm・幅約 1cm の虫体を 2 匹認めた。病理組織学的検
査などよりマンソン孤虫症と診断した。患者はイノシシの生肉を好んで食べていた。
23
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会【
特別講演
】
清水 忠道
【略歴】
1986 年 03 月
北海道大学医学部卒業
1986 年 04 月
北海道大学医学部附属病院皮膚科
1987 年 04 月
市立札幌病院皮膚科
1988 年 04 月
苫小牧王子総合病院皮膚科
1989 年 04 月
北海道大学医学部附属病院皮膚科
1991 年 08 月
米国マイアミ大学皮膚科学教室、免疫・微生物学教室 研究員
(指導医:Streilein JW 教授)
1993 年 10 月
北海道大学医学部附属病院皮膚科 助手
1996 年 11 月
北海道大学医学部附属病院皮膚科 講師
(2003 年 10 月 名称変更 北海道大学病院皮膚科 講師)
2005 年 10 月
富山大学医学部 皮膚科 教授
(2006 年 4 月 名称変更 富山大学大学院医学薬学研究部皮膚科学 教授)
現在に至る
学会など :
日本皮膚科学会(中部支部 代議員)
、日本研究皮膚科学会(評議員)、
日本皮膚悪性腫瘍学会(評議員)、日本光医学・光生物学会(理事)
、他
表彰:
日本研究皮膚科学会 Fellowship SHISEIDO Award(2004 年)
第 1 回日本インターフェロン・サイトカイン学会奨励賞 (2004 年)
第 15 回アボットジャパン・アレルギー学術奨励賞(2005 年)
第 5 回加齢皮膚医学研究基金 ロート賞(2011 年)
24
7 月 7 日(土)18:30~19:30
多様化する接触皮膚炎
―金属による全身性接触皮膚炎について―
清水 忠道(富山大学大学院医学薬学研究部 皮膚科学講座教授)
アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚科の日常診療において多い疾患であり、中でも金属は接触皮膚炎を引
き起こす代表的な物質である。歯科金属や食品中に含まれる抗原が非経皮的に吸収されて生じる疾患と
して、全身性接触皮膚炎が挙げられる。臨床像には、汗疱状皮膚炎、汎発性の紅斑、丘疹を生じる自家
感作性皮膚炎症状などがあり、重症例では紅皮症となる。全身性皮膚炎は、その多様な臨床像から診断
が難しい場合が多い。また、口腔内扁平苔癬、口内炎、舌炎も金属が原因となる場合があり、これには
歯科金属が大きく関与している。本講演では、診断におけるパッチテスト、内服試験、in vitro 試験と
しての炎症性サイトカイン測定の評価について触れる。金属との接触も多様化する中で、我々が金属に
感作される機会も増えていくと予想される。
25
第 8 回加齢皮膚医学研究会
一般演題抄録
26
第 8 回加齢皮膚医学研究会
一般演題(1)
7 月 7 日(土)17:00~18:20
座長:荒瀬誠治(健康保険 鳴門病院)
横川真紀(高知大)
1.宮崎大学皮膚科における悪性黒色腫の統計的観察
成田幸代、天野正宏、瀬戸山充(宮崎大)
近年、高齢者の増加とともに皮膚悪性腫瘍は増加傾向にあり、悪性黒色腫についても同様である。
2000 年 1 月 1 日から 2011 年 3 月 31 日までの過去 12 年間に当院を受診した悪性黒色腫患者につき、
統計学的に解析し、文献的考察を含め報告する。
2.メルケル細胞癌に対する first-line therapy としての放射線単独療法
中島英貴、工藤朋子、志賀建夫、青木奈津子、樽谷勝仁、佐野栄紀(高知大)
メルケル細胞癌 (MCC) に対する局所治療として、広範囲切除と術後放射線治療は標準的治療と考
えられているが、放射線感受性が高いことから放射線単独治療でも良好な局所コントロールが得ら
れる。
MCC は高齢者に多く発生し、広範囲切除が困難であることから、我々は現在 first-line therapy と
して放射線単独治療を行っている。今回 3 例の高齢 MCC 患者の局所病変とリンパ節転移が速やかに
消退した症例を報告する。
3.玄米黒酢「桷志田泉」Ⓡによる皮膚癌増殖抑制効果の検討
馬場直子、東 裕子、金蔵拓郎(鹿児島大)
近年、生活習慣病、老化、発癌と抗酸化作用の関連が注目されている。鹿児島特産の黒酢は抗酸
化作用を有することが知られている。私たちは玄米黒酢「桷志田泉」Ⓡの皮膚癌細胞の増殖に及ぼす
影響を検討した。
「桷志田泉」Ⓡは皮膚扁平上皮癌細胞株、HSC5 の増殖を有意に抑制した。増殖抑制
の機序についても検討したので報告する。
4.加齢と 5-mC (methylcytosine)、5-hmC (hydroxymethylcytosine)
藤原 浩、伊藤雅章(新潟大)
5-mC が遺伝子発現を抑制することにより、発がんを含め様々な疾患を引き起こすことは
広く知られてきた。一方、2009 年に 5-mC に類似した 5-hmC がヒトゲノム中に存在することが発見さ
れた。その動態は 5-mC とは異なることから、今まで 5-mC として解析されていた実験結果の妥当性
に疑問が投げかけられた。我々は CpG 特異的な 5-hmC の解析法を開発し、皮膚に応用したのでその
結果を報告する。
27
第 8 回加齢皮膚医学研究会
一般演題(1)
5.富山大学皮膚科における過去 10 年間の高齢者アナフィラクトイド紫斑の臨床的検討
牧野輝彦、上田智恵子、清水忠道(富山大)
アナフィラクトイド紫斑は一般に若年者に多くみられる疾患であるが、しばしば高齢者での発症
もみられる。高齢者例では腎障害の合併が多く、また様々な基礎疾患を有することが知られている。
今回、我々は過去 10 年間に当科を受診した 60 歳以上のアナフィラクトイド紫斑 19 例(男性例 10
例、女性 9 例;年齢 64-92 歳、平均 75.5 歳)の臨床的特徴や経過・治療、基礎疾患などについて報
告する。
6.タバコ煙抽出液による Aryl hydrocarbon receptor (AhR)を介したメラノサイトの活性化
中村元樹、上田優希子、林 麻衣、古橋卓也、森田明理(名古屋市立大)
喫煙や紫外線が皮膚の老化を促進することはよく知られている。喫煙者の顔には深いしわ、浅黒
い肌という特徴が現れ、非喫煙者と比べて喫煙者の皮膚はメラニン量が多いという疫学調査報告も
ある。しかし喫煙者の皮膚が浅黒くなる分子的メカニズムについてはまだ明らかにされていない。
我々はタバコ煙抽出液を用いてメラノサイトを培養し、UVB 照射に関連する MITF の発現量の増加を
確認した。このタバコ煙抽出液によるメラノサイトの活性化は Aryl hydrocarbon receptor (AhR)
をサイレンシングすることで抑制され、AhR を介した機序であることが確認された。
7.新潟県糸魚川市における日光角化症の有病率調査
上田智恵子、原 寛、牧野輝彦、清水忠道(富山大)
日光角化症は慢性の紫外線曝露により誘発される前癌病変である。高齢者特有の病気であり、高
齢化社会の進行に伴い今後増加されることが予測されているが、その有病率に関する報告は少ない。
糸魚川市は 65 歳以上の高齢者が 32.95%を占める超高齢社会である。今回我々は、糸魚川総合病院皮
膚科を受診した 20 歳以上の患者において、日光角化症の有無を調査した。日光角化症の有病率につ
いて、文献的考察を加えて報告する。
8.培養ヒト真皮線維芽細胞の UVA 曝露によるヒアルロン酸分泌量の低下とアスタキサンチン照射後添加
による防御
中島弘明1)、飛田圭輔1)、山本順寛1)、芋川玄爾2)
(1)東京工科大・大学院バイオ・情報メディア研究科、2)中部大・生物機能開発研究所)
ヒト真皮線維芽細胞への UVA 照射によるヒアルロン酸(HA)分泌量と抗酸化剤アスタキサンチン
(AX)の照射後添加による効果を調べた。その結果、真皮線維芽細胞から分泌される HA 量は紫外線
量に依存して減少したが、照射後 AX 添加により抑制した。また AX はヒアルロン酸合成酵素蛋白質
発現の UVA 照射による減少を抑制し、分解酵素蛋白質発現の亢進を抑制した。以上より AX は光老化
による HA 減少に対し UVA 照射後処理でも防御効果を有する事が示唆された。
28
第 8 回加齢皮膚医学研究会
一般演題(2)
7 月 8 日(日)13:30~14:10
座長:中島英貴(高知大)
9.高齢者に生じた Streptococcus equisimilis による壊死性筋膜炎の 2 救命例
若松研弥、浪花研一郎、竹本朱美、一宮 誠、武藤正彦(山口大)
症例 1:86 歳、女。右下腿の暗赤紫色の発赤・浮腫性腫脹が急激に増大。症例 2:87 歳、女。左
上肢に発赤出現、抗生剤投与に反応せず、来院時に広範囲の壊死を認めた。2 例とも、細菌性の血液
分布異常性ショックを合併し創部より Streptococcus equisimilis を検出。
10.加齢による女性型脱毛症の病態変化について
桑名隆一郎1)、森岡雅史2)、伊達あけみ2)、高木聡司2)、稲井孝典2)、草野崇一2)、児玉俊明2)
(1)高知市、2)富士産業研究開発センター)
比較的高齢で薄毛の治療を希望する女性は多い。そこで加齢の影響をみるため、女性型脱毛症の
初期症例 99 例を年齢別に 3 群(40 代、50 代、60 代以上)に分類し、それぞれの病態、育毛効果に
ついて検討した。病態は頭頂部を毛刈りし、フォトトリコグラム法にて毛の伸長速度、成長期毛率、
密度、太さについて比較した。また、育毛剤を 2 回/日外用し、10 週後、22 週後における改善率に
ついても調べてみた。
11.メタボリック症候群と顔の老化について
宮脇さおり1)、小原克彦2)、田原康玄2)、佐山浩二1)、三木哲郎2) (1)愛媛大、2)同 老年科)
愛媛大学抗加齢センターを受診した 169 名の女性に対し、心血管硬化およびメタボリック症候群
等のメディカルチェックを行った。同時に顔面を 3 方向から高解像度カメラで撮影後、肌画像解析
システムを用いて顔面のシミやしわ等の各パラメーターを数値化し、メタボリック症候群との関連
を stepwise 法を用いて検討したので報告する。
12.rIL-2+docetaxel 併用療法が奏効した頭部血管肉腫の 1 例
青木奈津子、萬納寺倫子、志賀建夫、中島英貴、樽谷勝仁、佐野栄紀(高知大)、池野史典(高知市)
85 歳、男性。頭頂部に紫紅色腫瘤が生じ、血管肉腫と診断した。PET-CT で転移を疑う所見なし。
rIL-2+docetaxel 併用療法を行って腫瘤は扁平化したが、仙骨部褥瘡の二次感染、脳梗塞発症によ
り中断し、腫瘤はふたたび増大した。化学療法の再開により腫瘤は縮小傾向にあったが、副作用で
ある胸腹水貯留のため継続を断念した。モースペーストを用いて姑息的処置を行うも、呼吸不全の
ため初診 1 年半後に永眠した。
29
ジェリアトリック・デルマ(加齢皮膚医学)研究会
30
ジェリアトリック・デルマ(加齢皮膚医学)研究会
【世話人】11 名
神保
孝一
(皮膚病総合医学研究所)
荒瀬
誠治
(健康保険 鳴門病院)
伊藤
雅章
(新潟大学大学院医歯学総合研究科細胞機能講座皮膚科学)
上出
良一
(東京慈恵会医科大学皮膚科学)
川田
暁
(近畿大学医学部皮膚科学)
佐野
栄紀
(高知大学医学部皮膚科学)
實川
節子
(日本ロレアル株式会社)
瀬戸山
【幹
【代表】
充 (宮崎大学医学部皮膚科学)
副島
義臣
(ロート製薬株式会社)
錦織
千佳子(神戸大学大学院医学系研究科・医学部皮膚科学)
森田
明理
(名古屋市立大学大学院医学研究科加齢・環境皮膚科学)
赤坂
俊英
(岩手医科大学医学部皮膚科学)
秋田
浩孝
(藤田保健衛生大学医学部皮膚科学)
池澤
善郎
(横浜市立大学医学部皮膚科学)
石井
正光
(大阪市立大学医学部皮膚科学)
石川
治
(群馬大学大学院医学系研究科皮膚病態学)
市橋
正光
(サンクリニック)
芋川
玄爾
(東京工科大学バイオニクス学部)
事】
尹
浩信
(熊本大学医学部皮膚科学)
上田
正登
(うえだ皮フ科クリニック)
奥山
隆平
(東北大学医学部皮膚科学)
小澤
明
(東海大学医学部皮膚科学)
大森
房之
(大森クリニック)
加藤
昌志
(中部大学生命健康科学部生命医科学科)
加藤
卓朗
(済生会川口総合病院皮膚科学)
勝岡
憲生
(北里大学医学部皮膚科学)
岸本
三郎
(JR 大阪鉄道病院)
小林
仁
(小林皮膚科クリニック)
清水
忠道
(富山大学大学院医学薬学研究部皮膚科学)
新海
浤
(千葉大学医学部皮膚科学)
坪井
良治
(東京医科歯科大学皮膚科学)
戸倉
新樹
(浜松医科大学皮膚科学教室)
豊福
一朋
(山手皮フ科クリニック)
31
ジェリアトリック・デルマ(加齢皮膚医学)研究会
原
【監
弘之
(日本大学医学部附属板橋病院皮膚科学)
船坂
陽子
(日本医科大学皮膚科学教室)
古川
福実
(和歌山県立医科大学皮膚科学)
古村
南夫
(島根大学医学部皮膚科学)
堀尾
武
(医療法人財団医恵会
松永
佳世子(藤田保健衛生大学医学部皮膚科学)
水谷
仁
(三重大学医学部皮膚科学)
武藤
正彦
(山口大学大学院医学系研究科皮膚科学分野)
山下
利春
(札幌医科大学医学部皮膚科学)
山田
秀和
(近畿大学医学部奈良病院皮膚科学)
渡辺
晋一
(帝京大学医学部皮膚科学)
渡辺
大輔
(愛知医科大学皮膚科学)
近藤
靖児
(近藤皮膚科クリニック)
杉下
清次
(中央会計事務所)
聖護院皮膚科クリニック)
事】
50 音順
32
(敬省略:平成 24 年 4 月 1 日)
加齢皮膚医学研究会会則
「総
則」
第1条
本会は、
「ジェリアトリック・デルマ(加齢皮膚医学)研究会」と称し、加齢に伴う皮膚病変に関する
臨床的・基礎的研究に関心を持ち、本会の目的に賛同する医師、医療・医薬品及びそれらに関連する事
業に従事する者及び研究者などをもって組織する。
「目
的」
第2条
本会は、本会の活動を通じて得られる加齢皮膚医学に関する研究の成果を会員が共用する事により、
加齢に伴う皮膚の病態・生理の正しい理解とこれに伴う診断・治療法の向上を図る事を目的とする。併
せて、得られた所見を広く社会に還元することを目的とする。
「事
業」
第3条
本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
1)研究発表会、症例検討会等の開催
2)研究テーマ別のグループ研究等の実施
3)特別講演会、公開講座等の開催
4)研究会活動の定期的刊行・出版
5)その他本会の目的達成に必要な事案
第4条
1.
本会の研究活動を会員に広く周知するために、定期的に活動内容を刊行物にまとめる。併せて、
この出版活動を経て加齢皮膚医学に関心をもつ医師、医療従事者、および研究者等に対し広く啓蒙活
動をおこなう。
2.
出版活動をおこなうために編集委員会を設置する。
3.
編集員会は、以下の構成員によりなる。
A. 編集委員長 :1 名
B. 編集委員
4.
:若干名
刊行物の投稿規程および出版方法に関しては別途、投稿規定を設ける。
33
加齢皮膚医学研究会会則
「会
員」
第5条-1
1.本会では、会員により選出された次の役員をおき、それぞれの任期は3年以内とする。但し、再選
を妨げない。
・
代表世話人 :1 名
・
世話人
:若干名
・
幹事
:若干名
・
監事
:若干名(2名以上とする)
2.代表世話人は、本会を代表し、会務を統括する。
3.世話人は、本会の運営全般にわたって代表世話人を補佐する。
4.幹事は、会務を分掌するほか、幹事会において本会の運営および運営に関する重要事項を協議する。
5.監事は、他の役員の業務執行および会計の監査を行う。
6.役員が何らかの事由により退任した場合、幹事会の議を経て、後任者を選出する。
その任期は、前任者の残任期間とする。
第5条-2
1. 正会員は、本会の目的に賛同する医師、医療従事者、研究者、及びこれらに関連する者とし、賛助
会員は、本会の目的に賛同して、その事業を援助する企業(法人)及び企業から派遣された者とする。
「総
会」
第6条
1. 総会は原則として毎年 1 回、会計年度終了後に幹事会が定める日に開催し、代表世話人が主宰する。
2.次の事項は、総会において、出席会員の過半数の議決を得なければならない。
「運
・
会則の改定
・
会費の改定
・
役員の選任
・
会計の承認
・
その他上記に準ずる重要事項
営」
第7条
1.世話人会は、研究会を円滑なる運営のためのテーマ、演者、更には研究会の方向性等広く会の運営に
対する理念を協議する。
2.幹事会は、役員により構成し、必要に応じ代表世話人が召集する。何等かの理由により代表世話人を
欠く場合には、予め代表世話人が指名した役員が会を招集する。
3.幹事会は、世話人の助言を考慮しつつ、次の事項を協議する。幹事会の決議は、出席者の過半数をも
ってこれを決する。
・
総会の開催および付議事項
・
本会の活動および運営に関する重要事項等
4.総会は、幹事会の決議を協議し最終決定を行う。
34
加齢皮膚医学研究会会則
「会
計」
第8条
1.本会の経費は、会費および寄附、その他の収入により賄う。
2.会計年度は、毎年 4 月 1 日から 3 月 31 日までとする。
3.監事は、会計年度が終了後速やかに会計監査を行い、その結果を総会で報告する。
「入
会」
第9条
1. 入会申し込みは、随時受け付け可能とする。
2. 本会への入会希望者は、所定の用紙に記入の上、事務局へ申し込むものとする。
3. 入会については、世話人会が認定する。
付記:会費は、2、000 円とする。但し、賛助法人会員は 50、000 円とする。
「退
会」
第10条
退会を希望するものは、その旨を代表世話人へ届け出るものとする。
この場合、既納の会費は返却しない。又、会員で 2 年間会費を納入しない者は、自動的に退会したもの
とみなす。
「事
務 局」
第11条
本会は、本会の立ち上げと運営を円滑に行う為に、当面事務局を代表世話人の所属する施設に設置する。
住所: 〒060-0042
札幌市中央区大通西 17 丁目 1-27
皮膚病総合医学研究所
電話: 011-887-8266
FAX: 011-618-1213
HP: http://www.sapmed.ac.jp/karei/
「付
則」
第12条
本会則は、2006 年 7 月 2 日より発効し、2009 年 7 月 29 日 第 9 条の一部、賛助法人会員につき改正し
た。
35
謝
辞
研究会・地方会を開催するにあたり、下記の皆様に御協賛頂きました。
ここに深甚なる感謝の意を表します。
第 8 回加齢皮膚研究会
第 60 回日本皮膚科学会高知地方会
会長 佐野 栄紀
アステラス製薬株式会社
エーザイ株式会社
大塚製薬株式会社
キャンデラ株式会社
協和発酵キリン株式会社
グラクソ・スミスクライン株式会社
興和創薬株式会社
サイノシュアー株式会社
サノフィ・アベンティス株式会社
第一三共株式会社
田辺三菱製薬株式会社
常盤薬品工業株式会社
鳥居薬品株式会社
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社
ファイザー製薬株式会社
株式会社ポーラファルマ
マルホ株式会社
持田製薬株式会社
ヤンセンファーマ株式会社
株式会社ミノファーゲン
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