平成 21 年度 基礎研究費 研究成果報告書

公立大学法人横浜市立大学における研究費の取扱に関する規程
第 14 号様式の 1(第 40 条)
平成 21 年度 基礎研究費 研究成果報告書
提出日:平成 22 年 6 月 30 日
私は、下記研究課題に係る研究費について、以下のとおり研究成果を報告します。また当該研究費の執行につ
いては、規程等を遵守し、適正に使用いたしました。
1 研究者情報
氏名(職位)
:山本敏文 (教授)
所属:生命ナノシステム科学研究科ゲノムシステム科学専攻
2
研究課題名
シグマ 1 受容体リガンドの神経細胞保護とその作用機構
(50 字以内)
5 研究概要(600~800 字程度で記入してください。絵、図の挿入も可)
シグマ 1 受容体の重要な生理作用として、神経細胞保護効果が指摘されているが、その作用機構の詳細が不明
なため、シグマ 1 受容体に結合する薬物の薬理学的性質(作動薬、拮抗薬)の区別を行うことが出来ていない。
本研究では PC12 細胞ならびにマウス個体を用いて、各種シグマ 1 受容体リガンド処理により起こる受容体発
現の変化から薬理学的に分類できる可能性について、シグマ1受容体特異的抗体を用いたイムノブロット解析
により検討を行った。PC12 細胞にシグマ 1 受容体リガンド、ハロペリドール、NE100、フルボキサミン、SA4503
およびドネペジルをそれぞれ処理したところ、処理後 24 時間で、作動薬と推定されている SA4503、フルボキ
サミン、そしてドネペジルで用量依存的にシグマ 1 受容体発現量の増加が認められた。拮抗薬と推定されてい
るハロペリドールおよび NE100 では発現量の変化は認められなかった。また、SA4503、フルボキサミン、お
よびドネペジルで観察された発現量の増加は、NE100 の同時処理により完全に抑制されたことから、このシグ
マ 1 受容体発現の増加は作動薬に特異的であることが明らかとなった。さらにマウス個体へ、シグマ 1 受容体
リガンドを投与し、24 時間後のシグマ 1 受容体発現量を測定した結果、PC12 細胞の結果と同様にシグマ 1 受
容体作動薬に特異的にシグマ 1 受容体発現の増加が観察された。これらの結果は、シグマ 1 受容体リガンドの
薬理学的分類にシグマ 1 受容体発現変化の解析が有効であることを示唆している。シグマ 1 受容体作動薬に特
異的なこの変化の詳細な分子機構については更なる検討が必要とされるが、神経細胞保護作用を持つ新規シグ
マ 1 受容体作動薬の探索に重要な検定システムとなることが期待できる。
6 研究発表(投稿準備中、投稿中、発表予定を含む)
(1) S. Yasumoto, K. Yamura, J. Karasawa, R. Hasegawa, K. Ikeda, T. Yamamoto, H. Yamamoto. Inhibitory
effect of selective serotonin reuptake inhibitors on the vesicular monoamine transpoter 2. Neurosci. Lett.
454, 229-232 (2009). (査読有)
(2) S. Katori, S. Hamada, Y. Noguchi, E. Fukuda, T. Yamamoto, H. Yamamoto, S. Hasegawa, T. Yagi.
Protocadherin-α family is required for serotonergic projections to appropriately innervate target brain
areas. J. Neurosci. 29, 9137-9147 (2009).(査読有)
7 研究成果による知的財産権の出願・取得状況
知的財産権の名称
発明者名
権利者名
知的財産権の種類、 出願年月日
番号
(和暦)
取得年月日
(和暦)
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