子どもは時間をかけて トレーニング 食物アレルギーのお話

子どもは時間をかけ
子どもは時間をかけて
トレーニン
トレーニング
今
今月の担当
月の担当
竹居田太一郎
竹居田太一郎
スポーツ指導員
スポーツ指導
員
大人からみれば、
子どものありとあらゆること
が、もたもたしているように感じます。
着替えるときも時間がかかる。
靴を履くのに時間がかかる。
ご飯を食べるのにも時間がかかるものです。
それは完全に大人からの目線です。
長く生きている大人からすれば、
手足が器用で当
然です。靴下はすぐ履くことができ、着替えもあっ
という間にでき、靴紐もすぐに結べます。
しかし、子どもはどうでしょう。
子どもは、手足を
まだ十分操れるわけではあ
りません。
運動神経が十分に発達し
ていないからです。
時間は余分にかかって当
然です。
食物アレルギーのお話
町立南幌病院
副院長小児科
古川秀嗣
昨年の9月より勤務している古川です。どうぞ
よろしくお願いします。
診察室で、お母さんに「子どもさんに食べ物のア
レルギーはありますか?」と尋ねると「血液検査で
卵白のアレルギーがあると言われました」
、そこで
「卵を食べるとじんましんが出たりしますか?」と
尋ねると「何の症状も出ません」といったやり取り
がたまにあります。
アレルギーの血液検査の結果が陽性と出ても、数
値が高くなくその食べ物を食べても何の症状もな
い場合、その食物にアレルギーがあるとは考えませ
ん。卵を食べて数十分であっという間にじんまし
んが広がってきた場合は、卵が原因である確率はか
なり高くなります。また、逆にアレルギー検査の数
値が高くなくてもアレルギーの症状が強く出る場
合もありえます。血液検査は万能ではなく、ある程
度の目安としてください。
ところで食物アレルギーによる死亡例は、結構多
いと思われる方がおられるかもしれませんが、厚労
省からの報告では全年齢をとおして年間0~5人
と多くはありません(ちなみにハチ刺しによる死亡
数は1
6
~3
4
人)。
年末、新聞やテレビで騒がれた、石けんを使って
アレルギーが発症した件。これは石けんに小麦(水
解小麦)の成分を入れてしまったため、洗顔の時に
2
3 NANPORO2012.1
そこで見方を変えてみてください。
もたもたしている時間ではなく、
トレーニングの
時間なのだと。これから手足を自由に操れるように
運動神経のトレーニングをしている最中です。
子どもにとって、もたもたしているつもりはまっ
たくありません。
むしろがんばっている証拠です。
ゆっくりと時間をかけるからこそ、質のいいトレ
ーニングができます。
親の都合で「早くしなさい」とせかすよりも、
時間
をかけたほうが子どものためになるのです。
運動神経の発達には時間がかかりますから、そこ
は大人が長い目で見てあげるようにしてください。
子どもが運動神経のトレーニングをしていると
ころを邪魔せず、
ゆっくり見守れる気持ちを持ちま
しょう。
自分のペースでゆっくりと指を動かすことで、
次
第に手先が器用になります。
目や鼻の粘膜、皮膚から小麦の成分が吸収されてア
レルギーになってしまい、それまで小麦の入った食
物をとっても何でもなかったのにアレルギー反応
を起こすようになってしまった、という今まであま
りなかったケースです。今のとこ
ろ根本的な治療法はなく小麦の入
った食物をとらない以外に方法は
ないようです。
食物アレルギーの特殊なタイプ
として、食物依存性運動誘発アレル
ギーという長たらしい名前の病名
があります。これはある食品を食べても静かにし
ていると何の症状も出ないのに、食べた後に運動を
するとアレルギー症状が出てしまうというもので
す。これは本人にとってなかなか気づきにくいア
レルギーかもしれません。普段食べても何の症状
も出ない食品がアレルギーの原因になっているの
ですから。原因となる食品で多いのは、1番が小
麦、2番がエビ、カニ、イカなど、以下は様々な食
品です。やっかいなのは血液検査や皮膚を使った
検査でも反応が出にくいことです。
アレルギーの話ではないのですが、おたふくかぜ
の予防接種を受けていないお子さんが多いです。
おたふくかぜによる髄膜炎はよく取り上げられ
ますが、難聴(耳の聞こえが悪くなること)をおこす
ことも割と多いのです。特別これといった症状が
なくいつの間にか聞こえが悪くなり検査で難聴と
診断され、はじめて気づくようです。今のところ根
本的な治療法がなく回復しないのです。おたふく
かぜの予防接種を早めにすることをお勧めします。