電子カルテ編(全2回)

電子カルテ編
第1回
カルテ/電子カルテとは?
はじめに ~カルテとは?~
電子カルテとは?
一般的なカルテは以下のようなものです。
電子カルテの流れ
主要症状・経過
処方・手術・検査・処置など
問診内容・患者さんの症状・状
態や経過と各種所見、診療計
画など、診療に伴う記録を記載
するスペース。
各種処方
(内服・外用・注射など)
や手術、処置などの指示を記載
するスペース。検査などのオーダ
の記録も記載されることが多い。
(*1参照)
と呼ばれる4項
SOAP
目を分類して記載する方法が一
般的です。
診療報酬算定のためにも利用
される。
患者さんや家 族へ病状を説明
(インフォームドコンセント)
した
り、指導内容など患者さんに直
接関連あるすべての事項が記載
対象となります。
処置などの施行記録に転用さ
れる。
時には、診断の思考経過をアシ
スタントするツールにもなります。
時間の記載もされることがある。
*1:SOAP 4項目の記載方法
S Subjective
O Objective
A Assessment
P
Plan
主訴・患者さんの訴えなど主観的情報
理学的所見・検査所見など客観的情報
評価・分析
検査や治療の方針などの計画
カルテ機能のまとめ
①医師のためのカルテ
診療記録として、診療をアシストするツールとして!
②医事課・会計事務・行政上の調査・監査、統計のため
診療報酬請求などのため、
また検査件数などの統計のため!
③医療スタッフのためのカルテ
医療チームにおける情報の共有のため!
④患者さん・患者家族のためのカルテ
診療情報の提供ツールとして!
現実的にカルテは医師の診察記録として意味合いが
一番大きい部分になります。記録として参照するのは、
書いた医師が主ですが、上記にもあるとおり、医療スタッ
フも参照します。
また、その他医事会計スタッフもカルテを参照します。
標準的な記載方法はありますが、医師間で異なることも
あります。また、独自のカルテ用語などがあり、読めない
ことが問題となることも少なくありません。
カルテ記載そのものの法的義務として、医師は診察した
ときは遅延なく診療に関する事項を診察録
(カルテ)
に記
載しなければならない
(医師法第24条)
ことになっています。
また、保存期間として患者診察録は最後の病気が完
結した後5年間保管する義務もあります。
このように、カルテの保存やチーム医療のために、電子
カルテがスタートしたと言っても良いのではないでしょうか。
電子カルテは、1999年4月に厚生省
(現:厚生労働省)
から「診療録等の電子媒体による保存について」の通
知が発行されて、スタートしました。この数年後に電子カ
ルテが各メーカーまたはベンチャーまで数百社より出始
めましたが、患者さんからは「パソコンばかり見て患者を
診ない」などの意見があり、
まだまだ改良が必要でした。
現在では、患者さんの流れを考慮したシステムづくりが
進み、今となっては新規開業される先生の70%
(都市部
ではほぼ100%)
は電子カルテを採用しています。
運用では、ワープロ入力をできる限り削減し、マウスク
リックや画面をタッチするだけで入力が可能となるなど進
化を続けています。
電子カルテの基準
電子カルテとして認められるための3つの基準!
①真正性 *故意や過失により虚偽書き換え、入力、
消去および混同を防止すること。
*作成の責任所在を明確にすること。
②見読性 *情報の内容を必要に応じて肉眼で見読
が可能な状態に容易にできること。
*情報の内容を必要に応じて直ちに書面に
表示できること。
③保存性 *法令に定める保存期間内に復元可能な
状態で保存すること。
ガイドラインに医療機関の3つの自己責任も示されて
います。
①説明責任*医療機関にて使用されているシステムが
電子カルテ基準を満たしていることを説
明する責任。
(運用
②管理責任*電子カルテ運用に関する管理責任
管理規定の作成と遵守)
。
③結果責任*発生した問題や損失に対する責任。
このように、電子カルテとして認められるためには、多
くの機能と医療機器との連携が重要となってきました。
検査データの参照機能、X線画像の見読、超音波画
像の見読、心電図データの参照など電子カルテに求めら
れる機能は多岐にわたります。
次回は電子カルテのメリットや院内の
IT化について説明します。
1
電子カルテ編
第2回
(最終回)
電子カルテ
(IT化)
のメリット
電子カルテと紙カルテの違い
■院内業務の効率化
前回お話ししましたカルテは、医師・看護師・医事課・
事務員など多くのスタッフが参照します。医師はこれまで
の経過を見たり、検査、処置、投薬のオーダや診察の
結果を書きます。また看護師や検査技師などはカルテの
指示にしたがい、検査、処置を行います。しかし、紙カ
ルテは患者1人に1つしかありません。参照するにはカル
テを各部署へ搬送することになります。これが電子カル
テなら電子カルテ端末から必要なときに必要な患者さん
の情報が各部門で確認できるのです。
電子カルテ
受付
診察
検査
患者
…
紙カルテ
カルテ準備
カルテ搬送
診察
カルテ搬送
検査・処置
カルテ搬送
クリニックのIT化の一例
電子カルテだけではできない検査結果の連携が不可
欠となっています。下図のように、現在はCRシステムも導
入しやすい価格帯となりましたので、画像管理サーバとし
て運用し、X線画像・超音波画像・内視鏡画像の見読
など、患者さんやご家族に対するインフォームドコンセン
トのツールとして利用が可能になります。 CRコンソール ビューワ装置 画像ファイリング装置
心電図
…
会計
・医事システム
(レセコン)
との連動で医療事務の労力
削減と誤入力防止が実現。
・カルテ出し、カルテ搬送、カルテ収納などの煩雑な
作業から事務員を解放。
・カルテ保管庫
(X線フィルム庫なども同様)
が不要
(保
管スペースと設備の軽減)
。
会計
カルテ入庫
上記のように、紙カルテの場合、カルテ出しおよび搬
送といった時間と人員を必要とします。また紙カルテは
患者さんの個人情報のため、保管するスペースと管理に
大きなコストがかかります。 また、患者さんが医療機関で不満に思う点のアンケー
トで最も多いのが「待ち時間の長さ」と「医師の説明不
足」です。電子カルテの運用とIT化で患者さんおよび医
療スタッフに大きく貢献することが可能になります。
電子カルテによるIT化のメリットまとめ
電子カルテをはじめとしたクリニックのIT化のメリットと
して、以下の3点が挙げられます。
■患者さんサービスの向上
・待ち時間の短縮。
・検査結果のグラフ表示やサンプル画像との比較など、
インフォームドコンセントツール。
・カルテ開示の要求に対するカルテ提供。
■質の高い医療の推進
・長期保存されたカルテを電子カルテ端末から、必要
なときに必要な情報を速やかに検索することが可能。
・院内の各部門にて、同一カルテを同時に参照可能。
正確で早い情報伝達が可能。
2
電子カルテ
CR
外注検査
X線撮影
エコー/内視鏡ほか
DICOM機器
レセプトオンライン化助成金
レセプトの電子化に対応していない保険医療機関お
よび保険薬局がレセプトコンピュータを購入する場合に
助成が受けられます
(助成対象には、初期設定費用およ
び送信用パソコンの購入を含みますが、プリンタおよび
月々のサポート費用などは対象外です)
。
助成の対象期間は、平成21年5月29日から平成22
年3月31日までの間に、購入契約を締結したものとなり
ますが、すでに助成予定額
(197億円)
に達している場合
は、助成を受けることはできません。
レセコン購入補助金上限額
病院
:250万
診療所 :50万
保険薬局:50万
購入額の半額と上記上限額を
比較して低い方。
具体的には
①レセ電未対応から買替
②対応済みで買替
ソフトウェア導入補助金上限額
病院
:50万
診療所 :40万
保険薬局:無
購入額の半額と上記上限額を
比較して低い方。
具体的には
①紙⇒レセ電導入の場合 ②紙⇒オンライン化導入の場合