2015年2月号 - 同志社大学附属 同志社国際学院 Doshisha

The Learner
Doshisha International Academy, Elementary School
January 20, 2015
Volume 44
「なぜ、私たちは学ぶのか」
1月7日の始業礼拝では、「なぜ、私たちは学ぶの
か」を子どもたちに考えてもらおうと思いました。
そして、そのきっかけにと、私自身の研究テーマに
ついて話しました。それは、「民主主義を実現するた
めの2つのハードル」です。有権者
の選好(政策選択)を代表者に伝
えるのが民主主義における選挙の
機能ですが、そもそも、1)「多様な
選好を1つにまとめること」はなか
なか難しいのです。そして、2)「有
権者が、自らの選好に自覚的であ
ること」が民主主義の前提です
が、そもそもそれも過剰な期待な
のです。
礼拝では、次のようなことを話
しました。
「デザートに果物を用意しまし
た。10人のグループになってくだ
さ い。 そして 、そ のグル ープ で、
『なし』・『イチゴ』・『すいか』のど
れがいいか決めてください」とお
弁当の後に担任の先生がおっしゃ
ったとします。そんなとき、みん
なならどんなふうにして、意見を1
つにまとめますか。
この10人のグループの3つの果物
に対する「好み」は図のとおりだ
ったとします。そしてこのような
場合、一般的には「多数決」を用います。「『なし』
がいい人、手を挙げて」という具合に。そして、そ
の結果、一番多くの人が手を挙げた「すいか」が選
ばれます。ところが、多くの子どもがその「結果」
に不満です。なぜでしょうか。じつは、過半数の人
が「すいか」を嫌っているのです。これを「投票の
パラドックス」といいます。このような政治システ
ムの「パズル」に私は関心があります。
ところが、2つ目のハードルがじつはもっと厄介で
す。「自らの選好」を代表者に伝え
るといっても、私たちが直面する
多くの課題について、自分の立場
を決めるのは簡単ではないのです。
「戦争のない社会」をみんなが求め
ますが、そのことを実現するため
の手段は多様です。果物の好き嫌
いは表明できても、社会の問題に
ついて意見を持つことは簡単では
ないのです。ですから、私は勉強
を続けるのです。
この点については、昨年末にノ
ーベル平和賞を受賞したマララさ
ん のこ とを礼 拝で紹 介し まし た。
「 世界 平和の ため に、学 校を 作ろ
う」と彼女は訴えます。私が驚く
ことは、確固たる主張を、17歳の
彼女が持っているということで
す。受賞演説のごく一部を、礼拝
では紹介をしました。自らの意見
を持つことの大切さを感じてくれ
ればと思いました。
私は、DIA の子どもたちが、そ
の学びに対して主体的であってほ
しいと思っています。「なぜ、学ぶのか」ということ
を、いつも意識しながら取り組んでほしいのです。
一度、ご家庭でも、そのようなことを話し合ってい
ただければと思います。
校長 西澤 由隆
同志社国際学院初等部
Doshisha International Academy Elementary School
7-31-1 Kizugawadai, Kizugawa City 619-0225
〒619-0225 木津川市木津川台 7-31-1
http://www.dia.doshisha.ac.jp/
聖句
ヨハネによる福音書 3 章 16 節
John 3:16
神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、
永遠の命を得るためである。
For God loved the world so much that he gave his only Son, so that everyone who believes in him may not
die but have eternal life.
「To Do List」すなわち「明日何をしなくてはならないか。
」をメモにまとめてから、毎日帰宅します。そうして
おかないとどんどん新しい「To Do」が増え、たちまち仕事が回らなくなってしまいます。
(それでも回りません
omz)戦後初の東大総長である政治学者南原繁というひとは、クリスチャンでしたが、彼の著作には、新渡戸稲造
の言葉がたびたび登場します。
(新渡戸は前の5千円札や「武士道」が有名ですが、同志社の理事でもありまし
た。
)南原は「何かをするか(To do)の前に何であるか(To be)ということをまず考えよということが新渡戸先生
の一番大切な教えであった。
」と、やはりクリスチャンで国際連盟初代事務次長を務めた新渡戸から南原が継承し
たのが「To do ではなく To be」であったと語ります。何をする時も、どんな判断基準を持つ者として生きるのか。
「あれしな、これしな」の前に私は何であるのか、聖書は「神に愛された存在である」と明言しているのです。
Christian Education Committee
お知らせ
・1 月 23 日(金)午前 7:00 より同志社創立者永眠の日早天祈祷会が京都若王子山頂の同志社墓地にて開かれます。多くの皆
さんのご参加を教職員一同心よりお待ちいたしております。
・聖書の会:1 月の『おにぎりけんきん』活動:お子様を通じて皆様からお預かりいたしました献金の金額は、¥22,623 にな
りました。尊い献金に心より感謝申し上げます。2 月の『おにぎりけんきん』活動は、2 月 10 日(第二火曜日)に行います。
~ ICT 教育の可能性と注意点~
パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの情報通信技術(ICT)機器は、今や日常生活においてはごく
当たり前のものとなっております。文部科学省は、2011 年 4 月に「教育の情報化ビジョン」を発表し、授業の中
ですぐ使えるよう、2020 年までに「情報端末 1 人 1 台整備すること」を打ち出したほど、ICT 機器の活用は、教
育面でも学習効果を高めるだけでなく、学びの形や質を変えるという、大きな可能性を秘めていると考えられて
います。
DIA 初等部では、子どもたちが図書館にある 32 台のパソコンや教室でも使える 30 台のノートパソコンを授業
等で使うだけでなく、ホームルームでは教員が電子黒板、実物投影機などの電子機器も活用しながら授業を行っ
ています。それに加え今年度から 10 台の iPad を試験的に導入し、一部のクラスから授業で取り入れるなど、ど
のような使い方ができ、どのような効果があるのか、検証をしています。
本年度は ICT 教育担当者として、様々な学校を訪問し授業を見せていただいたり、ICT 関連業者と話をしたり
する中で、多くの学校では、授業で「一斉にタブレット端末を使う時間」が設定され、先生の指示のもとで児童
全員が同じように使う授業の形が多いことに気付かされました。タブレット端末が主役ではなく、ノートや辞書
のように学習をサポートする道具として、児童が主体的にその必要性を判断し、使うといった形は少ないのが現
状だと感じました。
本校で iPad を導入したある教室では、担任が 4 月から iPad を持ち込んでいたこともあり、休み時間に使った
り、授業中に iPad を持ってきて調べたり、UOI の課題で自ら活用したりする等、自然に使いこなしている姿が
多くみられます。また他校とは違い、Raz-Kids をはじめとする英語のアプリケーションも活用できることが分か
っています。
タブレット端末に関しては、子どもたちは特にのみこみが早く、使っている間に大人でも知らない操作を身に
つけていきます。そこで注意しなければならないのが、「情報モラル」です。情報通信技術が急速に発達する一方
で、トラブルや犯罪も比例するように増えています。正しい知識や使い方をしなければ、知らない間に個人情報
を出してしまったり、他人を傷つけてしまったり、お金を使ってしまったりするなど大きな問題に発展してしま
うこともあります。今後本校でも「情報モラル教育」に力を入れていきたいと考えておりますが、これは学校だ
けでなく、保護者の皆様の協力が必須となります。事ある毎に禁止したり、ルールでしばりつけたりするのでは
なく、正しく有効的な活用ができる力を身に付けるためにサポートすることが私たちの大きな役目ではないでし
ょうか。
児童に十分な知識とスキルを身に付けてもらうとともに、情報通信技術機器の持つ可能性を活かしていきたい
と考えております。
荒谷 達彦、ICT 教育推進視聴覚担当
「2014 秋学期 保護者学習会(PYP)」
12 月 10 日の午後、今年度秋学期の保護者学習会が開かれました。当日は、40 名以上の保護者の方が参加さ
れました。お越し頂きました皆様に御礼申し上げます。
まず、杉山より PYP のカリキュラムモデル(図1)の説明と、そのモデルの真ん中にある「指導の方法」
(Approaches to Learning)、言い換えれば、IB プログラムにおいて取られるべき指導方法について、IB
Singapore の Behrenbruch 氏のスライド(2014/12/2)を使って説明しました。それらは次の 6 項目です。
・Based on inquiry/探究がベースになる。
・Focused on conceptual understanding/概念的理解に
焦点が置かれる。
・Developed in local and global contexts/地域的、世界
的な文脈で学ばれる。
・Focused on effective communication and collaboration
/効果的なコミュニケーションと協同へ焦点を置く。
・Differentiated to meet the needs of all learners/学習
者のニーズを満たすように多様化される。
・Informed by assessment (formative and summative)
/評価(形成的・総括的)による情報が活用される。
この後、抽象的な話が多くなっていますので、今回は 4
年 2 組担任の仲里から最近のユニットでの、 studentcentered(学習者中心)の授業についての実例を児童間の話
し合いの映像の場面や児童の作品の写真を使って説明がな
されました。上記のアプローチに強く合った実践例であ
り、多くの保護者の方が関心もって聞かれていました。
図1.PYP カリキュラムモデル
最後に、杉山より再度、今年度の PYP 認定に向けての本校の進展について、年度当初のコミュニケーション
タイムでお話させて頂いた計画に照らし合わせて報告させて頂きました。冬学期は、より保護者の方々の参加
度合いを高めたワークショップ形式で行う予定です。詳細は別途ご連絡します。
Who questions much….
I hope everyone had a wonderful holiday. During the break, I was
reminiscing how when I was 8 years old I took my parent’s stereo system
apart. From that point my passion for science and engineering started to grow
stronger. The hero who influenced me the most is Sir Francis Bacon.
He was a scientist, politician, philosopher, lawyer and author. Francis was born on January
22, 1561 (454 years ago), in London, England. He had to study at home due to his bad health.
At the age of 11, he was admitted to university and 3 years later he entered the Honourable
Society of Gray’s Inn where he studied law. Francis Bacon had many jobs including one of the
highest political offices in England.
He showed that he was a risk-taker by criticizing his peers about the common beliefs of the
time. It wasn’t until his retirement (at age 57) that he attained his greatest achievement. In
1620, he wrote the book Novum Organum, which introduced the ‘scientific method’ that
changed the scientific community and influenced all future education still in use today. There
are many famous quotes by Sir Francis Bacon, but the one that has inspired me the most is,
“Who questions much, shall learn much, and retain much.”
Michael Wargon, G1 GANET
2月の主な行事・予定
Sun
2
Mon G6 京田辺キャンパス見学 (AM)
3
Tue
4
Wed
5
Thu
6
Fri
7
8
Sat
Sun
9
Mon
10
Tue 修学旅行説明会
11
Wed 建国記念日
12
Thu G3 山城郷土資料館 (PM)
13
Fri
14
Sat
15
Sun
16
Mon
17
Tue 保護者 PYP 学習会 (PM)
18
Wed
19
Thu G4 ゲスト授業 (PM)
20
Fri
スノーシューハイク
(G4・G5 希望者)
21
22
Sat 編・転入試
Sun
23
Mon
24
Tue
25
Wed
26
Thu
27
Fri
28
Sat
同女大インターンシップ
今月は、Reflective というラーナープロファイルを切り口に絵
本を集めてみました。
Reflective からはまず「反省」という言葉を連想します。自分
自身の行いを振り返り、次にどう行動すればいいかを考えること
はとても大切です。でも『ほんとうのことをいっていいの?』で
は、嘘をつくことをやめようと決心したリビーが、友だちや近所
の人にずけずけと本当のことを言ってしまい、相手を怒らせた
り、嫌な気分にさせたりしてしまいます。せっかく反省した通り
に行動したのに逆効果。そんな時にお母さんが教えてくれたのは
「思いやりを持って本当のことをいうのは正しい」ということ。
自分の経験でそれを実感できたリビーは再び反省し、その後、再
び行動し直して思いやりを伝えます。ただし真実をごまかしたり
はしません。その姿勢がとてもすばらしいのです。
人は日々、ことあるごとに自分の行動を反省して少しずつ改め
ていくものですが、大きな目標を決め、それに向かって着実に歩
くことができればそれが理想的な生き方で、きっと何かを成し遂
げられるでしょう。
『ルピナスさん―小さなおばあさんのお話―』
の主人公ルピナスさんのように。彼女は小さいころにおじいさん
とした約束「世の中をもっと美しくする」ということをずっと心
に留め、世界を旅して何かできることを探します。年をとって体
調を崩し、寝込んでいるときもそのことを思い出し、最後にはと
うとうルピナスの花で村中をいっぱいにしてしまいます。原点を
振り返ることが目標達成への推進力になっているのですね。
一方移民の心を描いたドキュメンタリータッチの絵本『おじい
さんの旅』の中では、おじいさんは、アメリカ人として人生を送
りながらも、日本がどうしても恋しくなります。ところが年老い
て、日本に戻ってから恋しくなったのはアメリカです。多くの日
系アメリカ人から自分の先祖の人生を描いていると共感を得てい
るそうですが、それも納得です。故郷への思い、過ぎ去った日々
の暮らし、何気ない風景が人の心にどれだけ大きな位置を占めて
いることか。年をとってからもう一度味わいたい絵本です。
今回ご紹介した 3 冊の絵本は、ストーリーだけでなく、絵が
どれも素晴らしく、眺めているだけでも心が豊かになる素敵な作
品ばかりです。お正月、皆さんも今年の目標を決めたことと思い
ますが、いろいろな形で日々振り返りながら Reflective に 1 年
を過ごして目標に近づいていけますように。そして何よりも、体
も心も元気に 1 年を過ごせますように。
School Library 福本 牧
1
Open Class Week
土曜参観・学期報告会
3月の主な行事・予定
3月 2日(月) 代休(2 月 28 日の分)
3月19日(木)
卒業式
(G5・G6 参加、他学年は休み)
3月20日(金) 授業終了・終業礼拝
3月26日(木) 学びの記録発送予定
2月の PYP Attitude
Enthusiasm / 熱意