電気使用安全月間にあたり(PDF:2.12MB)

2009年
8 月号
No.
92
contents
目次
特
集
(株)レンタルのニッケン
編集・発行:安全・技術部/営業業務部
お問い合わせは:TEL03-5512-7411
発行日/2009年 8月 1日
電気使用安全月間にあたり
20 09 年 9月
号の予告
感電災害の防止と応急処置
特集
防災の日/防
「なぜ?」の探求シリーズ
感電災害例と対策例
災週間に
あたり
旬な食べ物 〜アイスキャンデー〜
経済産業省の提唱により、毎年8月を「電気使用安全月間」と定めて、電気事故の根絶を図るべく官民が一体となり全
国規模での活動を行っています。昭和56年の開始から今年で29回目となります。電気は、私たちの日常生活に欠かせな
いものであると共に、産業や経済活動を含むあらゆる社会活動の基盤となるエネルギーであり、今後も更なるIT化が進
み電気の需要は増大すると考えられます。
夏季は冷房機などの使用に伴い、電気使用量が増す時期ですので、改めて電気に対する安全認識を高めて、電気保安
の点検確認を行い電気事故の未然防止をお願い致します。
「業種」別発生状況
平成20年における業種別感電死亡災害発生状況[速報値]
その他…1件
(4.8%)
厚生労働省資料「平成20年度 死亡災害報告」より「感
電による死亡事故」は、昨年より7件増えて、21件となっ
製造業…5件(23.8%)
ています。この内、15件が建設業であり、現場での「電気
計21件
の取扱い作業」を十分に確認して安全な作業を実施し
建設業…15件
(71.4%)
て下さい。
事故の「原因」及び「要因」
建設業に占める事故の主な原因と要因
●過去5年間で右記以外で頻度の高い事故原因と要因
①電気設備・電動機器の修理点検時の不備
②電動機器(移動式・可搬式)の接続コードに接触
③現場からの電気設備、電動機器の撤去に伴う作業不備
④溶接装置への接触(ホルダー、溶接棒)
①高圧気中負荷開閉器(高圧交流ガス・高圧交流)の使用時の不備
②計器用変圧器、断路器の使用時の不備
③高圧ケーブル、架空電線への接触
感電死亡事故の主な要因
①保守点検の不備
夏季は感電事故が多発!
夏季(6月〜9月)での、感電による死亡災害の
占める割合は、69%であり、十分な感電対策が
必要であることが分かります。
④自然劣化
建設業安全衛生年鑑より
(人)
20
夏季 44人
(69%)
合計
64人
19
10
5
0
夏季に感電事故が
起こりやすい要因
③故意過失
過去5年間の感電死亡災害の月別発生状況(平成14年〜18年)
15
特に8月は感電事故の発生が最も多くなり
ますので注意が必要です!
②設備不備
11
5
2
1
1月
2月
0
3月
4月
1
6
5月
6月
8
7月
8月
9月
6
3
10月 11月 12月
①気温が高く体調不良となり易く、集中力が低下して注意力が散漫になる。
②作業着衣が、軽装(半袖等)となり直接皮膚の露出が多くなる。
③作業時の発汗が多くなり、皮膚の電気抵抗が減少して電気が流れ易くなる。
④暑さから「絶縁用保護具」の着用を怠りがちになる。
★ ホームページにも掲載しております!是非ご覧ください。★
2
感電災害の防止と応急処置
資 料:安全災害環境特別委員会(安全マニュアル)
心肺蘇生法委員会、政府広報オンライン、総務省消防庁、HP資料より
対策①
基本を守る
対策②
電気配線や機器類の漏電を起こさない絶縁システムを
適正に保ち、点検を実施し、作業時には絶縁用保護具を
必ず装着するなどの基本を守ることです。
対策③
切れた配線に触れない
配線が切れて露出していた場合などは、
絶対に触れない事が重要です。
対策④
電気機器の金属ケースの接地
漏電遮断機の設置
感電災害が多発する電気通路には、労働
安全衛生規則第333条(移動形もしくは
可搬形の電動機械器具に接続される電路)
や電気設備技術基準第40条で、漏電遮断
機の設置を義務づけています。漏電遮断
機とは、電路が地絡した際の漏洩電流を
検出して、電路を自動的に遮断する最も
有効な装置です。
絶縁が十分でない場合には、電気機器から漏電が発生する
と電気機器類の金属ケースに電気が流れ、人が触れると人
体を通して地表に電気が流れて感電します。電気設備技術
基準(第29条)には、300V以下の電気機器類の金属ケース
には100Ω以下、300Vを超える電気機器類の金属ケースに
は10Ω以下の接地工事を施すことが規定されています。
資料:安全衛生情報センター「労働災害事例データ」より
夏季は感電死亡災害が多く発生しております。
(前頁参照)
下記の過去7月〜9月に発生した低電圧による死亡災害の主な事例をご確認頂き、
感電防止対策にお役立て下さい。
事例1
使用していた水中ポン
プに不具合が生じたた
め、水中ポンプと220Vの電源をつ
なぐ仮設配線の繋ぎ目の絶縁テー
プを電源を入れたまま雨の中で剥
がしていたところ、感電した。
事例2
事例3
既存建物の屋根裏(1階
天井裏)において、電気
配線工事中、既存の三相200V配線
の接続に身体の一部が接触した。
事例4
事例5
事例6
臨時電灯に供給するた
め、引込線の接続作業
に従事していたところ、本線に接
触し感電した。
電柱上での作業終了
後、ゴム手袋を外し軍
手で降りようとしたところ、100V
の家庭用引込線に触れ感電した。
外部足場上で電気ドリ
ルを用いてビスを建屋
の側壁に打ち込んでいたところ、
ビスが建屋内側のケーブル(三相
200V)に接触して通電状態とな
り、感電した。
破損した蛍光灯のソケ
ットを取り替えるため
に、蛍光灯の導線と新しいソケッ
トの導線を圧着ペンチにより、圧
着接続している際、感電した。
1
4
電源プラグを外すなどして、電気を遮断する。
○救出者が感電受傷しないように、
ゴム手袋があれば使用する。
○感電者が感電したままの状態は、木棒などの電気を
通さない物で、発電体(感電した電気コード等)を移動させる。
救急隊到着までは、感電者の
保温に努めて下さい。
2
参考:心肺蘇生法委員会、政府広報オンライン、総務省消防庁、HP資料より
119番への緊急連絡を行う。
感電者の意識の確認を行う。
離れて!
意識と正常な呼吸がない場合
心肺蘇生法か
「AED」を使用して回復を試みる。
※詳細は、既刊
「安全ニュース82号」号外を
ご参照下さい。
意識がある場合
熱傷の確認を行い、
熱傷にはガーゼなどで覆う措置をする。
3
★感電事故では、不用意に助けに行くと、二次感電事故が発生する場合が考えらえれますので十分な注意が必要です★
感電災害例(原因・要因)と対策例
資料:中央労働災害防止協会「事故事例」より
近年に発生した感電災害例5件の事故原因
(要因)と対策を下記に紹介します。
1. 脚立を用いて既設配管の移設作業中に脚立が仮設配線を踏み作業者が感電!
原因・要因
対策例
●使用した仮設配線の絶縁被覆に不備があった。
●仮設配線を踏まない養生を怠った。
●脚立のゴム(滑止め)の損傷を改善しないままで
作業を行った。
(摩擦抵抗が減少し、作業者の動きに反応して水
平移動しやすい状態であった。)
●感電時の緊急時対応マニュアルが用意されてい
なかった。
●仮設配線の絶縁被覆の作業前点検を行い、
損傷等は補修、交換の措置を講じる。
●床に這わせる仮設配線を踏まない養生を
行う。
●脚立が作業者の動きに応じて容易に移動
しないようにして、滑止めの損傷は補修、
交換の措置を講じる。
●感電による緊急時対応マニュアルを整備
して、作業関係者に内容を周知徹底させる。
2. 地下駐車場のピット内でアーク溶接機のホルダーを足場に掛け3人が感電!
原因・要因
対策例
●溶接機の電源を切らないままで、枠組足場の筋
交にホルダーを掛けたこと。
「アーク溶接機」→「
ホルダー」→「足場作業者」→「水溜まり」→「アー
ク溶接機」の回路が形成され事故となった。
●溶接機の自動電撃防止装置は、20年前の製品で
あり装置が故障の為に機能しなかった。更に作
業開始前点検を怠り、故障確認が出来なかった。
●特別教育を受講していない作業者にアーク溶接
作業を行わせたこと。
●アーク溶接作業を中断する際は、溶接機の
電源を必ず切る。
● 「自動電撃防止装置」の機能を事前に点検
する。交流アーク溶接機を使用する場合は、
内蔵型、あるいは外付け型の自動電撃防止
装置を使用する。
●溶接棒ホルダーの絶縁性、コード類の絶縁
被覆の状態を確認し、破損等がある場合は
交換或いは補修を講じる。
●特別教育を実施する。
3. 小型移動式クレーンのジブの先端が高圧電線に接近し感電 !
原因・要因
対策例
●クレーンのジブが、架空電線に接触する危険
性を考慮せず、対策を講じていなかった。
●事前に作業計画が立案されていなかった。
●作業開始前の打ち合わせが不十分であった。
●送電線に対して安全な離隔距離を保つ。
●作業計画を作成し、事前に電力会社との作
業日程、方法、監視方法などの打ち合わせ
を行い防護対策をとる。
●積み降ろし作業指揮者を選定し、直接指揮
での作業を行う。
●安全作業マニュアルを整備して、作業関係
者に感電の危険性を十分に周知させる。
4. 高所作業車により作業中、送電線に接触し感電!
原因・要因
対策例
●高所作業車の作業範囲に送電線が
あるにもかかわらず、作業床を送
電線側に旋回させたこと。
●作業床上での操作が、危険区域を
背にするような方向となったため、
安全確認ができなかったこと。
●高所作業車で作業を行う場合には、あらかじめ、地形、
障害物等の状況に応じた作業範囲、操作方法などに
ついて作業計画を作成し、それに基づき行うこと。危
険区域がある場合には、上昇時に通った作業範囲を
はずれた移動は危険であり、作業床を上昇させた手
順を逆に追って旋回、降下などを行うこと。
●高所作業車の作業範囲内に送電線等の危険区域があ
る場合には、作業指揮者を置き、その者の指示のもと
に操作すること。
5. 雨の中でアーク溶接作業をしていて感電!
原因・要因
対策例
●作業の途中で雨が降り出したため、作
業場所をシートで覆う作業を行い、被
災者の作業衣はずぶ濡れの状態となっ
ており感電し易い状況だった。
●溶接作業中に溶接棒に接触し感電した。
●アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、
溶断等の業務を行う作業者には、事前
に特別教育を行わなければならないこ
とになっているが、被災者はこれを受
けていなかった。
●自動電撃防止装置は、溶接作業場所の環境、母材の
状態等に応じて、低抵抗始動型(2Ω未満)のものと
高抵抗始動型(2〜500Ω)
のものとを使い分ける。
●降雨、雷の発生等の環境変化にも配慮した作業標準
を作成し、的確な指示が行えるよう安全管理体制を
整備する。
●交流アーク溶接作業において、作業場所の移動等の
ため体勢を変えるときは、溶接棒を溶接棒ホルダー
から外す。
●特別教育をはじめ必要な教育を行う。
「なぜ?」の探求シリーズ
お客様より問合わせの多いものについて、「なぜ?」の探求シリーズ として取り上げてまいります。
「なぜ?」
「なぜ?」の
の探求
探求
Question
沼の水を排出したいのですが、適切な水中ポンプの選定法を教えて下さい。
Answer
①現場環境→②全揚程を把握→③吐出量→④口径、
電源などの条件を
元に適切なポンプを選定します。
例題
直径20m、
水深2m、
揚程5mの沼の水を、
サクションホース横引き10mで12時間内に排水する場合
「全揚程」を計算し、絞り込む。
「現場環境」で絞り込む。
○一般排水用水中ポンプ
○汚泥用水中ポンプ
例
○高揚程水中ポンプ
○サンド用水中ポンプ等
ホース横引き10m
例
全揚程=5m+(15m×1/10)
=6.5m
「吐出量」で絞り込む。
実揚程
5m
直径20m
の沼
全揚程=実揚程+損失揚程((実揚程+ホース横引き)×1/10)
【注意】損失揚程は、使用ホースにより変化します。
サニーホース使用の場合は目安として、
答え×1.5倍となります。
吐出量とは、1分間当りに送り出す水の量。
「口径、使用電源」などの詳細で絞り込む。
水深2m
P
○口径(mm、
インチ)……2インチ、3インチ、4インチ、6インチ、
8インチ(配管径及び吐出量に関係。
)
○使用電源…………… 100V、
200V(50Hz/60Hz)
(一般電源、発電機)
※電気の周波数は一般に糸魚川静岡構造線を境に西が60Hz、東が50Hzです。
20
性能曲線で吐出量のチェック
『性能曲線』
22
6インチ
左の『性能曲線』を参照し、
全揚程(6.5m)
に対する吐出量をチェック!
50Hz
60Hz
全
2インチ
揚
3インチ
程
(m)
揚水量を計算する。
10×10
(沼の半径)×3.14
(円周率)×2
(水深)=628m3
4インチ
10
水を汲み揚げる時間を計算する。
(50Hzの場合)
水を汲み揚げる時間 = 揚水量÷吐出量÷60分
6.5
例
0
0.5
1
1.5
0.16
0.8 1.3
2
2.5
2.35
3
3.5
吐出量(m3/min)
2インチポンプの場合…628÷0.16÷60=約65時間
3インチポンプの場合…628÷ 0.8÷60=約13時間
4インチポンプの場合…628÷ 1.3÷60=約8時間
6インチポンプの場合…628÷2.35÷60=約4時間
12時間以内に沼の水を全量排出するには、
「4インチか、6インチのポンプ」
を選択します。
※流れ込み、わき水無しとした場合。
アイスキャンデー
チリリン・チリリン とベルを鳴らしながら、アイスキャンデーを荷
台に積んで、自転車にノボリを立てて売りに来る光景は、夏の風物詩
でした。照りつける日差しの中で食べるアイスキャンデーは格別のも
のがあり、子供達には最高の氷菓子でした。口に頬張ると、キーンとし
た冷たさが一瞬にして暑さを忘れさせてくれました。
大正時代から売られ始めたアイスキャンデーは、昭和30年代の頃まで
は、割り箸などを入れて、円柱状に凍結させていました。アイスキャン
デーを保管する木箱は、二重構造で出来ていて断熱材としてオガクズ
などが詰められていて取り出し口も中央に小さな開閉口があり冷温
を保つ様々な工夫が施されていました。
現在では、いろいろな種類の氷菓子は簡単に買えますし冷蔵庫が普及
して、家庭でも手軽に買い置きが出来るようになりました。
「アイスキャンデー」は和製英語で、アメリカでは「ポップシクル」、イ
ギリスでは「アイスローリー」と呼ばれ世界中で親しまれています。
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