6.4 部分空間の和と直和

6.4 部分空間の和と直和
例題 6.4.1 M (2, R) を R 上のベクトル空間とみなすとき,
W1 :=
!"
#$
%
!"
#$
%
x −y $$
x y $$
x, y ∈ R , W2 :=
x, y, z ∈ R
y x $
z x $
は M (2, R) の部分空間となる. W1 ∩ W2 と W1 + W2 の次元をもとめよ.
&
1
' &
'
0 −1
解
,
は W1 の基底である. よって dim W1 = 2 である.
0 1
1 0
&
'
x y
任意の
∈ W2 は
z x
0
"
#
"
#
"
#
"
#
x y
1 0
0 1
0 0
=x
+y
+z
z x
0 1
0 0
1 0
(&
' &
' &
')
1 0
0 1
0 0
とかけるので, W2 =
,
,
である. 一方, 方程式
0 1
0 0
1 0
"
1
x
0
#
"
#
"
#
0
0 1
0 0
+y
+z
=O
1
0 0
1 0
&
' &
' &
'
1 0
0 1
0 0
の解は x = y = z = 0 に限るので,
,
,
は W2 の基底である.
0 1
0 0
1 0
よって
& dim
' W2 = 3 である.
1 0
∈ W1 ∩ W2 であり,
0 1
"
#
"
# "
#
0 −1
0 1
0 0
=−
+
∈ W1 ∩ W2
1 0
0 0
1 0
(&
' &
')
&
1 0
0 −1
1
であるので, であるので, W1 ∩ W2 =
,
= W1 である.
0 1
1 0
0
&
'
0 −1
は W1 の基底であるので, W1 ∩ W2 の基底でもある. よって dim W1 ∩ W2
1 0
である. したがって,
dim(W1 + W2 ) = dim W1 + dim W2 − dim W1 ∩ W2 = 2 + 3 − 2 = 3
0
1
'
,
=2
である.
6.5 線形写像
例題 6.5.1 M (2, R) を R 上のベクトル空間とみなすとき,
W :=
!"
#$
%
x −y $$
x, y ∈ R
y z $
&
'
&
'
&
'
1 0
0 −1
0 0
は M (2, R) の部分空間となる. e1 :=
, e2 :=
, e3 :=
は
0 0
1 0
0 1
W の基底である. R を R 上のベクトル空間とみなすとき, E1 := 2 は R の基底であ
る. Tr : W → R は線形写像となる
& . W と'R の上の基底に関する Tr の表現行列を求
めよ. この表現行列を用いて, Tr
x −y
y
z
e2
e3
を計算せよ.
解
Tr
**
e1
++
= E1
*1
2
0
1
2
+
であるから, Tr の W の基底 e1 , e2 , e3 と R の基底 E1 に関する表現行列は
である.
"
#
*
x −y
= xe1 + ye2 + ze3 = e1
y z
であるから,

"
#
*
x −y
Tr
= Tr  e1
y z
= E1
である.
*1
2
0
e2
e3
+
,
1
2
 
x
y 
z
 
 
x
**
++ x
e2 e3 y  = Tr e1 e2 e3 y 
z
z
 
"
#
+ x
1
1  
y = E1
(x + y) = x + y
2
2
z
+
0
1
2
-