(03月01日)ポール・シニャック<アニエール

アンケートの声
●小さい作品ながらも、画家たちの足跡がわかりやすく説明されていて、深く味わえました。
●静かな環境で沢山たのしめました。展示の内容が優しくなされて嬉しく思いました。或、仏国の地方
を図に示して頂き又、仏国に出かけたいという思いが強くなりました。
●年末、年始でもくつろいで名画を鑑賞できるこの美術館に立ち寄るのが恒例になりました。今回は新
収蔵の光に満ちた作品も観ることができ、幸せなひとときをすごせました。
開催中の展覧会より
次回展覧会のお知らせ
北フランスとプロヴァンス―近代絵画を生み出した光―
―近代日本画家が描く―
花と緑、
果実の彩り
2009年3月18日(水)∼6月1日(月)
繊細な墨線による山水を描いた松林桂月、花や
果実を簡潔で清澄な描線で捉えた小林古径、明瞭
な色彩で明るく装飾的な画面を作り出した堅山南
風。そのほか横山大観、郷倉千靱、森白甫ら日本
画家が描き出した花と緑、果実の作品を収蔵品よ
り紹介します。
休館日のお知らせ
堅山南風≪林檎と花瓶≫昭和38(1963)年頃
2009年3月17日(火)は展示替のため休館します。
ご利用案内
●開 館 9:00 ∼ 17:00(入館は16:30まで)
●入館料 大人800円 / 小人400円
伊
豆
半
島
(団体20名以上10%割引)
交通のご案内
■伊豆急下田駅 車15分
湿潤な気候に恵まれた北フランスと、地中海に面した温
暖なプロヴァンス。フランスの北と南に放たれる二つの光
は、近代絵画を生み出す重要な役割を果たしました。
豊かな自然の移ろいを浮かび上がらせる北フランスの柔
らかな光は、印象派をはじめ多くの画家を魅了しました。
水面に映える光のゆらめきを捉えたモネ≪ジヴェルニー付
近のセーヌ川≫や緑豊かな牧草風景を描いたピサロ≪エラ
ニーの牧場≫は、湿潤な風土が育んだ賜物といえるでしょ
う。また、色彩の魔術師と呼ばれたボナールによる≪ノル
マンディー風景≫は、雲の合間から草原に差し込む北フラ
ンスの陽光を見事に捉えています。
一方、プロヴァンスに降り注ぐ強い光も画家たちに大き
展覧会場のようす
な影響を与えます。エクスに生まれたセザンヌは、≪水浴
する人々≫など故郷プロヴァンスの自然と向き合うことで独自の絵画空間を確立していきます。晩年、南仏
に移り住んだルノワールは≪カーニュ風景≫など、印象派の革新性と伝統絵画の光を融合した艶やかな色彩
を展開しました。またマティスやボナールは、≪赤い屋根のある風景≫や≪雨降りのル・カンネ風景≫など自
由な色彩で南仏の眩い光と豊かな自然を描き出しました。
本展では、そのほかコロー、セザンヌ、シスレー、マルケ、ユトリロ、シャガールらの作品からフランス
に降り注ぐ光と絵画の関係を探ります。また、ポール・ゴーガン≪森の中、サン・クルー≫やポール・シニャッ
ク≪アニエール、洗濯船≫など、本年度新たに収蔵した作品もご紹介しています。
作品解説
ポール・シニャック≪アニエール、洗濯船≫
■蓮台寺駅より 車10分
■伊豆急下田駅よりバス
堂ヶ島行・相玉下車 (徒歩約15分)
逆川行・上箕作下車 (徒歩約15分)
■松崎よりバス 下田行・相玉下車 (徒歩約15分)
上原近代美術館ホームページアドレス
www.uehara-museum.or.jp
2009年3月1日(季刊 年4回発行)
編集・発行
財団法人上原近代美術館
〒413-0715
静岡県下田市宇土金341
TEL 0558‐28‐1228 FAX 0558‐28‐1227
パリ近郊アニエールのセーヌ川を描いた本作は、シニ
ャック19歳のときの作品です。1880年、シニャックの父
が亡くなり家族がアニエールに移ると、彼はそこで多く
の作品を描きました。この作品を長年手元に置いていた
シニャックは、1922年にアトリエを離れるときに画面右
下に自らサインを入れたといいます。
分割された筆致で描かれた川面のきらめきは、当時シ
ニャックが影響を受けていたモネの絵画を連想させます。
ここでは後の新印象主義時代のような厳密な補色による
点描はなく、対象によって変わる自由な筆致や色彩に若
いシニャックの瑞々しい感性が垣間見えます。
その後、シニャックはスーラとともに科学的な色彩理
論に基づいた点描による新印象主義の絵画を展開します。
その革新的な色彩や技法は、ピサロやゴッホら同時代の
画家ばかりでなく、マティスやドランらフォーヴの画家
にも大きな影響を与えました。
ポール・シニャック≪アニエール、洗濯船≫1882年
平成20年度新収蔵
Vol.
No.4(通巻40)
10
文化財防火訓練
美術館の活動
美術館の主な役割には美術品の展示のほか、保存、収集、調査・研究、教育普及活動などがあります。今
回は、古い絵葉書や貴重な書籍、画家の書簡など関連資料の収集、活用についてご紹介します。
1月26日の文化財防火デーに合わせて、下田地区消防組合、下田市消防団とともに、上原近代美術館、上原
仏教美術館、向陽寺、下田達磨大師で合同防火訓練を行いました。今回は上原仏教美術館より出火、近隣施
設へ延焼という想定で約80人が参加、放水訓練や負傷者救出訓練などを行いました。
関連資料の収集、活用
上原近代美術館では、絵画や版画、彫刻などの美術作品のほか、作品に
関する関連資料を収集しています。ここでは、開催中の展覧会『北フラン
スとプロヴァンス―近代絵画を生み出した光―』に出品している古い絵葉
書やガイドブック、画家の書簡などをご紹介します。
1885年にピサロが牧草風景を描いたエラニーは、パリの北東100キロほ
どにある緑豊かなエプト河畔の小さな村です【図版1】。エラニーやその周
辺は林檎の栽培が盛んで、≪エラニーの牧場≫にも花咲く林檎の木が描か
【図版1】絵葉書「エラニーの眺望」
れています。展示中のピサロ晩年の書簡【図版2】には、エラニーの冬はと
ても寒かったという回想が書かれています。また、細かく丁寧に書き込ま
負傷者救出訓練のようす
消防本部、消防団による放水訓練のようす
れた筆跡からは、ピサロの性格が垣間見えます。
ルノワールが描いたアルジャントゥイユの鉄道橋も、古い絵葉書にその
*文化財防火デー 姿が残されています 【図版3】。セーヌ川沿いの町アルジャントゥイユは、
昭和24(1949)年1月26日の法隆寺火災による金堂壁画焼損を契機に、国民の文化財愛護の意識を高めるため、文化
1851年に鉄道が開通しパリと20分で結ばれると、人々にとって格好のレジ
財保護委員会(現・文化庁)と国家消防本部(現・消防庁)によって、昭和30(1955)年に制定されました。
ャースポットとなりました。セーヌ川では、しばしばボート遊びが行われ、
絵画教室より
その様子をモネやルノワールらが作品に残しています。絵葉書を見ると、
鉄道橋はかなり大きく、近代的な建築物と言えます。古典的な風景画が好
まれた当時の画壇の中で、ルノワールら印象派の画家がこのような主題を
描いたのは革新的なことでした。また、展示されている当時のガイドブッ
平成20年度 絵画教室 生徒作品展
【図版2】カミーユ・ピサロ、ルドヴィ
ク=ロドルフ・ピサロ宛書簡、1902年
「絵画教室 生徒作品展」を下記の日程で開催します。自由な感性による鉛筆デッサンや水彩画、岩絵具
ク『パリとその周辺』(1881年刊)には鉄道の料金表が掲載され、毎時間ごと
や膠など画材の扱い方から学び、時間をかけて本画の制作に取り組んだ日本画など、生徒の皆さんの力
にアルジャントゥイユやアニエールに列車が出
作が並びます。また、講師の小野憲一先生、牧野伸英先生にも特別にご出品いただきます。個性あふれ
ていたことが分かります。
る表現の数々をどうぞご覧ください。
マティスは1920年と21年にドーヴァー海峡に
面した漁村エトルタに滞在し、作品を描きまし
た。1921年のマティスの書簡には、エトルタで
の制作を「夢」と表現しており、そこでの充実ぶ
りが伺えます 【図版4】。また、新印象主義を早く
デッサン・水彩画教室 3月20日(金)∼3月25日(水)
時間:10:00-16:00
日本画教室 3月28日(土)∼4月2日(木)
会場:上原近代美術館 会議室
*入場無料
【図版3】絵葉書「アルジャントゥイユ
─ 鉄道橋」
から擁護した批評家フェリックス・フェネオンと
平成21年度 絵画教室 受講生募集のお知らせ
の深い交流も、この書簡から垣間見えます。
【図版4】アンリ・マティス、
フェリックス・フェネオン宛
書簡、1921年
アルベール・マルケは、1918年に南仏マルセイユの風景を描いています。
当時、マルセイユは北アフリカや地中海へ向う船の玄関港として栄えてい
ました。展示中のカール・ベデガのガイドブック(1905年刊)によると、20世
紀初頭には50万人の人々がそこで生活していました。ガイドブックには、
カフェやレストランの案内、馬車の値段なども記載され、当時の活況を帯
びた街の様子が伺われます。また、マルセイユの古い絵葉書【図版5】には、
マルケが描いたリーヴヌーヴ通りと旧港が写っています。絵葉書では港に
多くの帆船がひしめいていますが、マルケは≪霧のリーヴヌーヴ、マルセ
イユ≫で賑やかな港をあえて霧のけぶる詩情豊かな風景に描き出している
ようです。
【図版5】絵葉書「マルセイユ ─ リーヴ
ヌーヴ通り」
これらの資料は、『北フランスとプロヴァンス―近代絵画を生み出した
光―』で展示しております。画家が目にした街の様子など、お楽しみいた
平成21年度絵画教室の開催にあたり、受講生を募集します。鉛筆デッサンを基礎から学びたい方、日本画
の画材と表現に挑戦したい方などの応募をお待ちしております。
日本画教室
デッサン・水彩画教室
講師:牧野 伸英 先生 講師:小野 憲一 先生 日時:毎月2回(第2、第4火曜日)
13:00∼16:00
*初回は2009年 4月14日(火)
日時:毎月2回(第2、第4水曜日)
13:00∼16:00
*初回は2009年 4月8日(水)
●各教室ともに
場 :上原近代美術館 会議室
受 講 料 :無料(ただし、材料費のみ実費負担)
募 集 人 数 :若干名(応募多数の場合は抽選となります)
会
応 募 方 法 :郵便はがきに①氏名、②年齢、③郵便番号と住所、④電話番号、⑤希望する教室名、⑥経験の有無を明記の上、
郵送にて2009年3月15日(日)(当日消印有効)までにご応募下さい。
ただければと思います。
なお、応募結果は2009年3月20日(金)頃までに応募者全員に通知します。
宛
先 :〒413-0715
静岡県下田市宇土金341
上原近代美術館「絵画教室受講生募集」係