教育・研修報告書

MQF6220-5
教育・研修報告書
2版
報告者:所属
うさか寮
教育訓練名称
東
報告者印
真盛
強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)指導者研修
①日
時:平成 25 年 10 月 8 日(火)~ 10 日(木)
②場
所:品川フロントビル会議室(東京都江東区有明 3-6-11)
③主
催:独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
④目
的:都道府県が平成 25 年度以降に都道府県地域生活支援事業で実施する強度行動
障害支援者養成研修(基礎研修)の企画・開催・運営を担う人を養成する。
⑤内
容:
37 都道府県より 113 名の参加。
平成 19 年より行動援護中央研修が行われ 1000 名が修了、22 年度目的を達成し終了。
以降、行動援護関係サービス提供責任者対象研修を実施し、本年度より強度行動障害支援
者養成研修が開始となった。この基礎研修では、より多くの支援者が、強度行動障害を有
する者を支援する際、躊躇しないよう基礎的な事を学ぶことを目的としている。プログラ
ムについては、各県で実施しやすいように作られている。今後専門研修も検討中である。
【1日目】強度行動障害の基礎
【講義】研修の意図と期待すること
実施内容
(厚生労働省障害保健福祉部
阿萬室長)
強度行動障害に対応できる事業者の数が限られている。また、受け入れ後の不適切な支
援により虐待につながる可能性も懸念されている。一方で、適切な支援を行うことにより
問題行動が減少するなど支援の有効性も報告されており、強度行動障害に関する体系的な
研修が必要とされている。
ついては、都道府県が実施する強度行動障害を有する者等を支援するための研修事業を
都道府県地域生活支援事業のメニュー項目として盛り込んだところであるので積極的な取
り組みに努められたい。
【演習】オリエンテーション
(国立のぞみの園
志賀氏)
・アイスブレイクの実施・・・グループ活動が円滑に進むように
【講義】様々な行動障害
(国立のぞみの園
志賀氏)
・支援の枠組みの共通項は存在する。どのように支援していくか、実行していくかは専門
研修で行い、この研修ではワークモチベーションを高める事を目指す。
・参加者から3事例の発表
【講義】強度行動障害とは
(国立のぞみの園
五味氏)
・1,2 年の初心者が対象。基本的な用語や前提となる事柄を知る入門編。
・大屋家族の DVD 視聴
【実践報告】地域における児童の支援
(社会福祉法人共栄福祉会
中村氏)
・歯科通院、独り暮らしのネットワーク作り事例報告
【ミニシンポジウム】家族からの提言
-1-
(国リハ学院
林氏、保護者 2 名)
・強度行動障害のある子を抱える家族の思いを聞き、この研修の必要性を感じた。
・母親から、支援者に対してのメッセージ
母親だけで支えるのは無理、諦めたりしないで寄り添って欲しい。精神科にお世話にな
ってる母が多い。崖っぷち親子である事の認識をして欲しい。
【実践報告】ショートステイを活用した支援
(横浜やまびこの里
西尾氏)
(社会福祉法人つつじ
西村氏)
・通所者のショート利用の取り組み紹介
【2日目】障害の特性
【演習】行動障害の背景を考えよう
・行動を理解し、支援計画を立てるプロセスを共有する事が目的
【実践報告】児童入所施設における支援
(社会福祉法人滝乃川学園
本多氏)
・滝乃川学園の取り組み紹介、障害児施設での事例紹介
【講義】行動障害を取り巻く制度と課題
(全日本手をつなぐ育成会
田中氏)
・重度訪問介護の拡大とグループホームの一元化を中心に講義があった。
・行動援護の役割が高くなってきている。
【実践報告】成人入所施設における支援
(社会福祉法人旭川荘
川西氏)
・強度行動障害特別処遇事業の 2 事例紹介
実施内容
・ポイントは、①感覚への過敏性への配慮、②構造化の基本に立ち返る、③医療との連携、
④人に対する「嫌悪感、恐怖感、不信感」を安心感に変える、⑤統一した支援。
【演習】固有のコミュニケーション方法
(社会福祉法人横浜やまびこの里
中村氏)
・言葉が理解できない人たちの気持ちを疑似体験する。言葉以外の伝え方を考える。
【講義】強度行動障害と医療
(西多摩療育支援センター
吉野氏)
・行動障害の3分の2は、作られた障害である。
・有効な支援方法は、1番は構造化、2番はコミュニケーション支援。
【3日目】
【演習】構造化の基礎
(国立のぞみの園
布施氏)
・構造化、自閉症の人が安定して生活できるための環境作りについて講義があった。
・事例に基づいて構造化の演習を行った。
【実践報告】成人期の地域生活支援
(社会福祉法人はるにれの里
中野氏)
・他害のある女性が、自分らしく生きることができるようにと支援機関がネットワークを
使って一人暮らしを支えている事例報告がされた
【講義】虐待防止法と身体拘束
(NPO 法人みらい
藤井氏)
・障害者虐待防止法、虐待例、行動障害と虐待について講義があった。
【講義】地域で支えるために
(国立のぞみの園
志賀氏)
・現在の生活を支える5つの原則
①安定して通える日中活動、②居室内の物理的構造化、③ひとりで過ごせる活動
④確固としたスケジュール、⑤移動手段の確保
-2-
・長期的な生活を支える補助ツール
①レスパイト・サービス
②専門的なアドバイス
【演習】行動障害の支援を考える
③その他の支え
(国立のぞみの園
志賀氏)
(国立のぞみの園
志賀氏)
・参加者から事例発表
【講義】全体のまとめ
実施内容
・強度行動障害に対する支援の実際は難しい、この研修ではモチベーションを高めるきっ
かけ作りを目指している。
・正式なテキストは平成26年1月発行予定。
・年度単位でノウハウの蓄積やネットワークが広がるような仕組みを検討して欲しい。
・行動援護研修を専門研修と位置づける、サビ管研修に入れ込むなど整理をしていく予定。
・予算取りも含めた準備をしておいて欲しい。
添付資料:□なし
□あり(
)
(1)研修で得たこと、学んだこと
・支援の枠組みはすでに下記のとおり確立されている。
①構造化された環境の中で、
②薬物療法を活用しながら、
③リラックスできる強い刺激を避けた環境で、
④一貫した対応を出来るチームを作り、
⑤自尊心を持ちひとりでできる活動を増やし、
⑥地域で継続的に生活できる体制を作る。
しかし、このことはあまり浸透していない。原因としては、昔の療育論争、強度行動障
害が少ないという錯覚、経験則での対応、支援に不安、学ぶ機会が少ない、執念が必要な
どがあげられていた。実際、事業所コンサルの際に痛感することであり、支援体制の進ま
受講後の
感想・成果
ない理由、利用を断られる理由もここにある。
またこの研修では、行動の背景を本人の特性、環境・状況の影響から捉え行動支援計画
に落とし込むプロセスを共有するコマもあった。このことは強度行動障害のある自閉症だ
けではなくすべての障害者支援に通じる。
この研修は、すべての事業所の初任者を想定してプログラムされており、虐待防止のみ
ならず、職場での支援の文化作りとチームワークの形成に役立つと思われる。
・研修は、多くの方が参加できるように配慮されており(演習は、100人を超える規模
でも実施可能なグループ設定)、内容も理解しやすいものだった。また、講義や演習だけ
ではなく、親御さんの話、実践者の話を聞く時間が多く盛り込まれ、実際の生活の様子や
支援者の思い、親の思いを聞くことで、この研修の必要性や意義を再確認することができ
た。
-3-
・映像による情報提供に留意され、わかりやすく工夫されたすばらしい事例が、数多く紹
介されていた。特に支援前、支援後の映像も用意され、支援のイメージやその有効性がよ
く理解できる内容だった。県内で研修を行う場合に、事例が集まるか、丁寧なケース検討
がされているかが問題である。現時点から研修の実施を意識し、紹介できる事例検討を積
み上げていく必要があると思った。
(2)今後、実務に生かしたいこと
今回の研修は、大学等の研究者や有識者中心ではなく、強度行動障害者の支援に対する
知識や経験が比較的豊富な人材を中心に運営されていた。故に、事例に対する熱意や支援
に対する思いがよく伝わってきた。またこの研修の運営を通じて、サービス体系や所属法
人等を超え、広域で強度行動障害者支援ノウハウに関する情報交換ができるネットワーク
づくりを行い、地域において強度行動障害者支援体制の構築が進むことが期待されている。
受講後の
感想・成果
幸い県内においては、理念を共有する行動援護研修スタッフのネットワークが形成され
ている。このネットワークに親、医者を加える事でこの研修の運営は可能であると考える。
今後、事例提供者等をつうじてネットワークを拡大し、次年度以降展開されるであろう
専門研修(行動援護研修の改訂)や制度の変更にも対応できるようにすると同時に、
訪問系サービスの普及拡大、質の向上に努めていきたい。
(3)感想
・実践報告を通じ、強度行動障害の状態と支援の具体的イメージがとてもよく理解できた。
障害特性への配慮の重要性を再認識し、基本に返ることの出来た研修だった。
・今後の強度行動障害者への支援体制整備のポイントは、
①専門的な人材の育成(虐待防止の観点から)、
②訪問系サービスの普及拡大、質の向上、
③施設、通所等の拠点型サービスの人材育成機能の地域展開であるとのこと。
どの項目も課題は多く、①、②はイメージしやすいが、③はイメージが難しい。この研
修を終え、運営について考えると処遇困難ケースを積極的に受け入れ、丁寧な実践を積ん
で地域の支援ネットワークに返すこと、そして、その取り組みをきちんと整理し、この基
礎研修で報告していくことで人材育成機能の地域展開につながるのではないかと感じた。
より一層、現場での研鑽を深めていきたい。
教育・研修の
評
価
有効性の評価 □感想文
□提案、企画書
理事長
園
長
方
法
効果不足のためとった措置
評価結果
□口頭の感想
□有効
□その他
□効果不足
施 設 長
主
幹
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主
任
主幹
主
務