第3章 性別にかかわらず、お互いを尊重しあう社会の実現(PDF:128 KB)

第3章
性別にかかわらず、お互いを尊重しあう社会の実現
1.男女がお互いを尊重しあうための意識づくり
(1)現状と課題
性別役割分担意識に基づく慣習や行動が男女間の格差や不平等を生み出し、女
性の社会進出を妨げています。男女が性別にとらわれずに自らの選択によって考
え、行動することのできる社会の実現を図るには、この固定的な性別役割分担意
識を見直すことが必要となってきます。
地域社会における生涯学習の取組の中で、男女共同参画社会に対する正しい理
解を深める学習機会を提供していくことも重要です。
本町では、これまでも「広報ちくじょう」や町のホームページなどによる広報・啓発のほか、
各種講座、講演会等を通じて啓発活動を展開してきました。しかし、意識調査の結果を見る
と、「男は仕事、女は家庭」という考え方に「同感する」と回答した人が全体の 18.8%を占める
など、まだまだ固定的な性別役割分担意識が残っている様子がわかります。今後も、関係団
体などとの連携体制を維持し、これまでの各種啓発事業の充実を図りながら、より効果的な
啓発方法を検討、実施していく必要があります。
乳幼児期における保護者の言動や考え方、あるいは地域社会にあるしきたりなどが子ど
もに与える影響は大きく、親から子どもへ無意識のうちに受け継がれていく場合もあります。
このため、学校における教育だけでなく、保育所や幼稚園など乳幼児期からの発達段階に
応じた男女平等・男女共同参画の視点に立った教育・保育の推進が重要です。また、乳幼
児期や学童期に限らず、生涯にわたって多様な学習機会が確保されることも必要であり、定
期的な学習会の開催や地域での学習機会の提供、男女の自立した多様な生き方を可能に
する生涯学習の充実を図る必要があります。意識調査によると、「男の子は男らしく、女の子
は女らしく育てる方がよい」という考え方について同感する人の割合は全体で 27.2%となっ
ており、「男の子は男らしく、女の子は女らしく」という意識には根強いものがあります。性別
にとらわれるのではなく、一人ひとりの子どもの可能性を最大限に引き出せるよう努めること
が重要です。
- 10 -
図 7
「男は仕事、女は家庭」という考え方について
同感する方
同感しない方 0%
20%
女
性
年
代
別
50歳代(計:87)
11.5
10∼20歳代(計:54)
13.4
40歳代(計:38)
50歳代(計:57)
60歳代(計:105)
70歳以上(計:95)
1.5 0.8
38.0
2.0 2.0
42.1
1.8 0.0
47.0
0.0 0.0
51.7
2.3 1.1
29.9
53.7
0.7 2.2
21.1
14.8
47.7
33.3
5.5 4.6
48.1
43.6
13.2
3.7 0.0
48.7
2.6 0.0
55.3
17.5
2.0
33.3
21.1
30歳代(計:39) 5.1
男
性
年
代
別
2.2
43.8
37.9
100%
1.9 1.5
48.3
45.6
15.2
70歳以上(計:109)
46.2
46.0
10.5
60歳代(計:134)
80%
29.6
12.0
40歳代(計:66)
無回答
60%
33.0
24.2
男 性 (計:388)
わからない
31.6
14.5
女 性 (計:503)
30歳代(計:57)
40%
18.8
全 体 (計:893)
10∼20歳代(計:50)
どちらともいえない
31.6
21.1
32.4
36.8
0.0 1.8
59.6
21.9
44.8
25.3
0.0 0.0
33.7
1.0 0.0
2.1
2.1
資料:意識調査結果
※ グラフ中の%表示の合計は、端数処理(四捨五入)の関係で 100%にならないことがあります(以下、同じ)。
- 11 -
図 8
「男の子は男らしく、女の子は女らしく育てる方がよい」という考え方について
男の子は男らしく、女の子は女らしく育てた方がいい
男の子も女の子も一人の人として同じようにしつけた方がいい
どちらともいえない
わからない
無回答
0%
20%
40歳代(計:66)
50歳代(計:87)
60歳代(計:134)
70歳以上(計:109)
35.3
59.6
12.1
20.7
18.7
35.9
40歳代(計:38)
26.3
50歳代(計:57)
28.1
70歳以上(計:95)
6.0
6.0
0.0
1.8
1.8
10.3 0.0 2.3
70.1
6.0 2.2
18.5
51.3
11.1 0.0
10.3
65.8
2.6
64.9
41.0
3.0
5.5 2.8 8.3
35.2
2.6 0.0
2.6
5.3
50.5
49.5
資料:意識調査結果
- 12 -
1.8
4.5 4.5 0.0
51.4
36.8
3.1
66.7
32.1
30歳代(計:39)
3.2
8.0
19.3
78.8
35.2
60歳代(計:105)
8.0 2.6
68.0
17.5
2.7
8.0 2.8
51.8
20.0
10∼20歳代(計:54)
男
性
年
代
別
100%
65.2
男 性 (計:388)
女
性
年
代
別
80%
59.4
21.1
女 性 (計:503)
30歳代(計:57)
60%
27.2
全 体 (計:893)
10∼20歳代(計:50)
40%
0.0
3.8 3.8
9.5 0.0
2.6
1.8
1.0
4.2
(2)今後の取組
具体的施策
具体的施策の内容
あらゆる機会を活用するとともに、「広報ちくじょ
う」や町のホームページなどの媒体を通じ、「男女共
同参画社会」の理念や内容について、わかりやす
広報・啓発活動の拡充
い広報、意識啓発に努めます。また、町民を対象に
講演会、講座、イベントなどを開催し、男女共同参
画に関する意識啓発を行います。
家庭や地域、職場など、それぞれの生活場面ご
とに見直すべき社会慣行例を提示し、町民の意識
ともに社会を担う意識 啓発を推進します。また、固定的な性別役割分担
づくり
意識の解消を図り、男女がともに社会をつくっていく
主体であるという意識を醸成する機会を創設しま
す。
乳幼児期から子どもの発達段階に応じ、男女共
男女共同参画の視点 同参画の視点をとり入れた教育を推進します。
に立った教育・学習
教育の中で積極的に男女共同参画社会につい
の充実
て学習する機会を設けます。
保育・教育関係者に
対する研修の充実
多様な選択を可能に
する指導の充実
男女共同参画意識を
高める学習機会の提
供
生涯学習活動への参
加促進
国際的視野の獲得
主たる担当課
学校・園等における男女共同参画の推進を図る
ため、教職員をはじめとする保育・教育関係者が、
男女共同参画の理念を理解し、男女共同参画意識
を高めることができるよう、話し合いの場づくりと研修
機会の確保に努めます。
児童・生徒が将来の進路や仕事、結婚、家庭生
活など、生き方について多様な選択ができるよう、
指導の充実を図ります。
総合学習の時間での福祉教育や職場体験学習
などの実施により、主体的な選択能力の育成を図り
ます。
女性セミナーや各種子育て講座など、男女共同
参画意識を高める学習機会の提供を図ります。
魅力あるテーマづくりや参加者同士の仲間づくり
などを促進するとともに、保育付き講座の開催や開
催時間の配慮を行うなど、参加しやすい環境づくり
に努めます。
国際社会の情報を収集し町民に提供するととも
に、外国籍の方のための情報提供や相談事業を実
施します。
人権課
人権課
福祉課
学校教育課
生涯学習課
住民課
福祉課
学校教育課
学校教育課
人権課
生涯学習課
企画振興課
住民課
(3)管理指標と目標
現
管
理
指
標
状
2011年
(平成23年
度)
目 標
2021年
(平成33年度)
「男は仕事、女は家庭」という考え方に同感しない町民の割合
31.6%
65.0%
「男の子も女の子も一人の人として同じようにしつけた方がいい」
とする町民の割合
59.4%
75.0%
- 13 -
2.性の尊重とあらゆる暴力の根絶
(1)現状と課題
ドメスティック・バイオレンス(DV)やセクシュアル・ハラスメント、売買
春などの背景には、異性に対する差別意識や男女の経済力の格差など構造的な問
題があります。
セクシュアル・ハラスメントの防止や、ストーカー行為などの暴力については、
法律が順次施行され、その根絶に向けた取組が進められています。しかし、これ
らの暴力とその背景にある社会・文化的な構造の問題は、男女共同参画社会の実
現を図る上で、なお克服するべき重要な課題となっています。その構造的な問題
について広く理解を得るため、啓発に努めるとともに、暴力は性別や加害者・被
害者の間柄を問わず、決して許されるものではないということが理解される社会
の構築が重要です。
意識調査の結果を見ると、ドメスティック・バイオレンスについて、テレビや新聞などで問題
になっていることを知っている人は 76.0%となっており、認知度は進みつつありますが、身体
的暴力や性的暴力だけではなく、精神的な暴力や経済的な暴力についてもドメスティック・
バイオレンスに該当することなど、より正しい理解についても周知を図る必要があります。
今後、異性に対する差別意識等を背景とした暴力をなくすためにも、生命の大切さや他
者の人格を尊重することの大切さについて教育・啓発を進めるとともに、関連法令の周知徹
底に努め、あらゆる暴力を許さない社会環境づくりに向けた取組が必要です。
また、配偶者や恋人から受ける暴力は潜在化する傾向にあるため、相談窓口の連携や充
実など支援体制の整備が必要で、とりわけ被害者の心のケアを十分行うことが重要です。セ
クシュアル・ハラスメントやドメスティック・バイオレンスなどの被害者が、相談したくともどこに
相談すれば良いのか分からないという状況が無いように、相談窓口の周知徹底に努める必
要があります。さらに、活字や映像をはじめとするメディアが、性の商品化や暴力表現など、
性差別を助長している現状も見られます。メディア情報の背後にある価値観、意図を客観的
に分析し、批判できる能力を向上させ、性差別につながる表現に対して「気づく」能力(メデ
ィア・リテラシー)を養成していくことが必要です。
- 14 -
図 9
ドメスティック・バイオレンス(DV)の認識度
0%
20%
40%
60%
14.0
16.5
10.8
身近にドメスティック・バイオレンスを
受けたことがある人を知っている
6.2
9.1
2.3
6.2
6.2
6.2
全く知らない
自分自身がドメスティック・バイオレンスと
思える行為を相手にしたことがある
その他
無回答
100%
76.0
73.4
79.6
テレビや新聞などで問題に
なっていることは知っている
自分自身がドメスティック・
バイオレンスを受けたことがある
80%
2.8
1.2
4.9
0.8
1.0
0.5
全 体 (計:893)
女 性 (計:503)
男 性 (計:388)
3.4
4.2
2.1
資料:意識調査結果
図 10
ドメスティック・バイオレンス(DV)の形態と具体例
具
体
例
身 体 的 暴 力
殴る、蹴る、物を投げつける、首を絞める、髪の毛を引っ張る、
刃物などを身体に突きつけるなど
精 神 的 暴 力
大声で怒鳴る、無視する、脅す、ののしる、相手を見下す、大
切にしている物を壊すなど
性
力
性行為を強要する、避妊に協力しない、ポルノビデオや雑誌を
無理やり見せるなど
経 済 的 暴 力
生活費を渡さない、妻を働かせない、家計を厳しく管理し金銭
的自由を与えないなど
社 会 的 暴 力
友人などの付き合いを制限する、電話・メールの内容を細かく
チェックする、行動を監視するなど
子どもを利用した暴力
子どもを取り上げる、子どもに母親を非難させたり、中傷する
ことを言わせるなど
的
暴
※ ここに挙げた具体例はすべてドメスティック・バイオレンス(DV)です。このように、DVは身体的な暴力だけではなく、
様々なものがあります。
- 15 -
(2)今後の取組
具体的施策
具体的施策の内容
講座、パンフレット、広報誌、HP、男女共同参画
週間、女性に対する暴力をなくす週間、人権週間
DV防止のための周 など、あらゆる機会を通じてDVは犯罪ともなる重大
知と啓発
な人権侵害であり絶対に許されるものではないとの
認識を高めるとともに、DV行為の認知度を高めDV
防止に向けた啓発に努めます。
DVに関する相談経験のある女性相談員を人権
DVに関する相談窓
課に配置するなど相談体制の充実を図るとともに、
口の充実
被害者の負担軽減、安全について配慮します。
加害者からの追求に対し被害者保護の観点か
DV被害者の安全の
ら、加害者側からの問合せ等に対し関係機関が連
確保
携し統一した対応を行います。
暴力を受けた被害者に、カウンセリング専門機関
心的ケア
や専門医の情報を提供し、精神的・肉体的に立ち
直るための支援をします。
被害者の離婚・子どもの親権等に係る法的な助
法的な助言、情報提
言が必要な場合は、法律相談や法テラス、民事法
供
律扶助などの情報提供を行います。
被害者に子どもがいる場合には、教育委員会、
学校、園等と連携し、就学、保育できるよう連絡調
子どもに対する支援
整を行い、必要に応じ、家庭児童相談員や児童相
談所などの専門機関の紹介を行います。
被害者情報の保護のため、住民基本台帳の閲
個人情報の保護
覧等の制限に対する支援措置について、厳重な管
理の徹底を図ります。
在留外国人に対し、京築保健福祉環境事務所
や女性相談所などの関係機関と連携し、多言語に
在留外国人への支援
よるDVに関する情報提供に努めるとともに、相談
等が円滑に進むよう努めます。
住居の確保に向けた
被害者の居住場所として、町営住宅や民間賃貸
支援
住宅への入居機会の確保を支援します。
性差別等を背景とし
暴力からの被害を未然に防止し、その拡大を最
た暴力を根絶するた 小限に抑えるため、相談窓口の周知徹底を図りま
めの基盤づくり
す。
町民には講座の開催やパンフレットなどの作成
配布、事業所には商工会などとの連携による啓発
セクシュアル・ハラスメ
など、あらゆる機会を通じてセクシュアル・ハラスメン
ント等の防止対策
トやパワーハラスメントの防止に向けた啓発に努め
ます。
主たる担当課
人権課
人権課
人権課
福祉課
人権課
福祉課
人権課
住民課
福祉課
学校教育課
住民課
人権課
建設課
人権課
福祉課
人権課
※ DV:ドメスティック・バイオレンス。配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれるあらゆ
る暴力のこと。
(3)管理指標と目標
現 状
管
理
指
標
「ドメスティック・バイオレンス」を「受けたことがある」町民の割合
- 16 -
目 標
2011年
2021年
(平成23年度) (平成33年度)
9.1%(女性)
2.3%(男性)
0.0%