MUSEUMちば<第33号

MUSEUM
千葉県博物館協会研究紀要
目
33号
第
2002年3月
千葉県博物館協会
次
【特集】地域社会と博物館 (2) −博物館ボランティア−
はじめに
事例報告
●和洋女子大学文化資料館におけるボランティア活動
和洋女子大学
駒見 和夫 …………
●浦安市郷土博物館におけるボランティア活動
浦安市立郷土博物館
田中 清美 …………
●市川市立歴史博物館におけるボランティア活動
市立市川歴史博物館
小泉みち子 …………
●市立市川考古博物館におけるボランティア活動
市立市川考古博物館
領塚 正浩 …………
●八千代市文化伝承館におけるボランティア活動
八千代市文化伝承館
木原 善和 …………
●八千代市郷土博物館におけるボランティア活動
八千代市郷土博物館
海野鉄太郎 …………
●国立歴史民俗博物館におけるボランティア活動
国立歴史民俗博物館
小瀬戸恵美 …………
●佐倉市立美術館におけるボランティア活動
佐倉市立美術館
永山 智子 …………
●川村記念美術館におけるボランティア活動
川村記念美術館
沼辺 信一 …………
●睦沢町立歴史民俗資料館におけるボランティア活動
睦沢町立歴史民俗資料館
久野 一郎 …………
●千葉県立房総風土記の丘における博物館ボランティア
県立房総風土記の丘
田形 孝一 …………
●航空科学博物館におけるボランティア活動
航空科学博物館
金田彦太郎 …………
●芝山古墳・はにわ博物館におけるボランティア活動
芝山古墳・はにわ博物館
福間
元 …………
●松山庭園美術館におけるボランティア活動
松山庭園美術館
高橋 静江 …………
●佐原の町並みにおけるボランティア活動
伊能忠敬記念館
紺野 浩幸 …………
●袖ケ浦市郷土博物館におけるボランティア活動
袖ケ浦市郷土博物館
多田 信子 …………
●木更津市金鈴塚遺物保存館(旧安西家住宅)におけるボランティア活動
木更津市金鈴塚遺物保存館 稲葉 昭智 …………
●上総博物館におけるボランティア活動
県立上総博物館
鈴木 定明 …………
●君津市久留里城址資料館におけるボランティア活動
君津市久留里城址資料館
渡邉 慶子 …………
●千葉県立安房博物館におけるボランティア活動
県立安房博物館
小藤田一幸 …………
おわりに
【千葉県博物館協会加盟館園一覧】 ……………………………
2
3
5
6
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19
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26
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29
31
32
35
36
41
は
じ
め
に
「MUSEUMちば」第32号では、地域社会と博物館というテーマを博物館友の会に焦点を当てて考
えてみました。そこでの論考においては、次のような問題点が指摘されました。
・地域博物館は事業や企画に出来るだけオープンな姿勢で広く来館や参加を呼びかけ、実際に足
を運んでくる来館者や友の会の皆さんなどとお客様の方を向いて地道に事業展開すべきである
(睦沢町立歴史民俗資料館)
・博物館は、人とものがふれあい、人とひとが交流・協力しあう施設でありたい(芝山町立芝山
古墳・はにわ博物館友の会)
・地域での人的な交流が必要(鴨川シーワールド動物友の会)
・博物館のもつ豊富な施設と人材の活用が肝要(県立中央博物館友の会)
・ふるさとを愛してもらえる博物館活動が重要(流山市立博物館友の会)
博物館は広く市民に開放された「文化活動の核」となるべきである(市川博物館友の会)
こうした各館友の会から寄せられた意見からも如実にうかがわれるように、地域博物館は地域と
密接に連携することによって、はじめてその存在意義を主張することができ、また公的にも認知さ
れるのではないかと思います。
そこで、本号では博物館とボランティアという切り口から地域社会と博物館という大きな課題に
アプローチしたいと思います。なお、ボランティアといっても各館園の実状によって、さまざまな
形態があると思いますが、地域住民との関わりという大枠を見据えながら、各館園の報告を基軸に
今後の在り方を模索していきたいと思います。
一読しておわかりのように、一口にボランティア活動といっても、そこには既成の枠組みなど存
在いたしません。こんなことならばすでに実施しているとか、これならば当館でも導入できそうだ、
といったご感想をもたれた館園も少なからずあるのではないでしょうか。本特集を口火に、さまざ
まなボランティア活動が燎原の火のように博物館活動の広い裾野をかたちづくる契機となれば幸い
です。
平成 14 年3月
平成13年度調査研究委員会
理事
阪田正一(千葉県立房総風土記の丘)
堀越正行(市立市川考古博物館)
委員
島田
洋(千葉県立関宿城博物館)
田村
隆(千葉県立房総風土記の丘)
林
浩二(千葉県立中央博物館)
領塚正浩(市立市川考古博物館)
−1−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
事例報告
和洋女子大学文化資料館におけるボランティア活動
和洋女子大学文化資料館
駒
見
和
夫
和洋女子大学文化資料館は大学に併設され
生から開講しており、はじめに博物館概論と
た博物館相当施設であり、学生に対する教育
博物館各論(経営・情報論)を学ぶ。そのう
を主要な役割の1つとしているため、一般的
えで、3年生の博物館資料論と、4年生の博
な博物館とは若干異なる状況下にある。ここ
物館実習・館務実習において、前述の資料館
に報告する取り組みは、博物館ボランティアの
活動に携わることとなる。学生による企画展
範疇から外れるものかもしれないが、異なっ
は4年生の11月から1月ごろにかけて開催し
た視点からの検討材料になればと思い、俎上
ており、平成13年度で10回目を数える。
に載せてもらうこととした。
実習からボランティア活動へ
文化資料館の運営と実習
当館は平成13年6月、施設を移してリニュ
当館が開館したのは平成4年であり、開設
ーアルオープンした。これまでは教室を転用
目的の1つは、学芸員講座受講学生に実習の場
した施設であったが、ようやく博物館として
を提供することであった。そのため開館の当
設計・建築されたものとなった。設計は平成
初より、収蔵資料の整理、資料の調査・収集、
11年の春から始まったが、設計図の検討や運
登録のためのカード化を、博物館実習のカリ
営方法の立案なども実習の授業に取り込み、
キュラムの一部に取り込み実施している。そ
学生と議論を重ねてきた。こうした取り組み
のうえで総括的な活動として、学生による企
により、文化資料館に対する学生の愛着が深
画展を開催している。これは主に民具を題材
まっていったようで、議論は実習という授業
としたもので、学芸員の指導のもとに学生が
から離れた場で行われることも少なくなかっ
企画を立て、資料を収集し、それに館蔵資料
た。そのような中で、
「学生による市民にむけ
を加えたもので展示を設営し、撤去に至るまで
たミュージアム」とする運営方法が生まれて
行うものである。
きたのである。
開館の平成4年から始まった学芸員講座受
また、卒業を迎える学生の中に、卒業後も
講学生によるこれらの活動は、単位取得のた
文化資料館の活動に関わりたいと希望する声
めのカリキュラムの一部にあたる。しかし、
があがり、平成12年2月に「文化資料館サポ
実質的な資料館業務の一部を遂行することと
ーターシップ」が発足した。これは、当館の
なっており、館の運営にあたっての大きな原
活動内容や運営方法に対し、外側から評価や批
動力となっている。受講生は、込み合う時間
判を行おうとする組織で、同時に館活動に対
割の中で何とか資格を取得しようと努力し、
する主体的な補助も目的に掲げている。
「博物
なおかつ厳しい事前指導をかいくぐってきた
館友の会」とも似た要素をもつものであるが、
学生たちであるため、全体的に意欲が高い。
館の活動や運営に対するボランティアシステ
受講の学生数は年次によって異なるが、1
ムとして育つことを望んでいる。現在は25名
つの学年で30〜70名程度である。現在は2年
のメンバーが、具体的な活動を模索している
−2−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
は、博物館活動を媒介として社会に奉仕する
段階である。
内容であるのが望ましいのではなかろうか。
一方、在学生の中にも文化資料館に興味と愛
着を抱き、実習授業とは離れて、資料館の活動
今日の博物館は、公教育機関であることを
に関わりたいとする学生があらわれてきてい
根幹とするものといえる。その博物館におい
る。リニューアルオープン特別企画展のポス
て、社会に対する直接的な貢献を志すボラン
ターのデザインや、リーフレット、フライヤ
ティアの活動がもっとも生かされるのは、博
ーの作成などは、その学生たちの助力による
物館が遂行する教育的機能への参加であろう。
ところが多い。さらに現在、実習企画展とは
したがって博物館が果たす教育的な活動、す
別に、自主的なミニ企画展を立案して準備を
なわち展示やワークショップにおいてボラン
進めている。この企画展は『街の暮らしと風
ティアを採用することが、ボランティアを志
景』と題し、写真と景観を融合させた内容で、
す人たちの要求を満たすとともに、博物館の
平成14年の2月から5月中旬まで開催する予
機能を充実させることになると思われる。
定である。また、この活動を行っている学生を
つまり博物館ボランティアのシステム作り
中心に、文化資料館の活動を支える学内サー
は、博物館がボランティアに何を求めるのか
クルを作る計画があり、準備が進められてい
ではなく、ボランティアが博物館にあるいは
る。これが設立され軌道に乗れば、将来的に
博物館を通して何を求めているのかという点
は卒業生による「サポーターシップ」と連携
に、視点を置くことが大切ではないかと考え
し、さらに地域の方々の参加も得て、幅の広
ている。
いボランティアシステムができることを夢み
ている。
ボランティアに対する若干の展望
最後に、学生とのこれまでの取り組みを通
して感じられることであるが、ボランティア
活動を志す人たちが望んでいるのは、社会に
対する直接的な貢献であるように思われる。
とすれば、博物館におけるボランティア活動
学生による企画展の設営
浦安市郷土博物館におけるボランティア活動
浦安市郷土博物館
博物館の概要
田
中
清
美
の不足から活動が制限され、平成3年から新
浦安市郷土博物館は、
「市民参加」
「体験を
しい博物館建設への気運が高まり、このたび
通して学ぶ」
「学校教育との融合」を目的に、
開館に至りました。当館では、浦安がかつて
平成13年4月1日に開館しました。これまで
海とともに暮らしていた時代を「見て、ふれ
は、昭和55年に開館した郷土資料館で活動し
て、感じて」を展示コンセプトとして、自然、
ていましたが、収蔵、展示、学習スペース等
民俗、歴史の3分野から紹介しています。
−3−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
ます。この主旨に賛同していただける方は、
本館の目的を達成するために中心となって
活動しているのが、博物館ボランティア「も
だれでも「もやいの会」に入会することがで
やいの会」です。
「もやいの会」の会員は、現
きます。
在およそ290名です。会の名称は、漁師の宝で
ボランティアの活動内容
ある船を川に立てたカシ棒(丸太)に結ぶこ
とを「船をもやう」ということにちなんで名
活動内容は、通常、屋外展示場「浦安のま
づけられました。ここには、人と人、ふるさ
ち」
(昭和27年当時の町並み・情景を再現)に
と浦安と人、市民と博物館を結んでいきたい
おいて、ベカ舟乗船体験、昔遊び・生活道具
という願いが込められています。
の使い方を教えたり、浦安の昔話を読み聞か
せたりすることです。船の展示室では、
「舟大
ボランティア組織の立ち上げ
工技術保存会」の方々がベカ舟を造っており、
当館では、博物館開館のおよそ1年前(平
その技術は「模型作り教室」などを通して教
成12年)に、博物館ボランティアの組織を作
えています。会員たちは、展示解説(来館者
り始めました。本市の文化団体や婦人の会を
の質問を受ける)も行っています。
中心に、もと漁師の方々、ボランティア活動
このような毎日の活動に関して、館では
を行っている市民サークル博物館教養講座
「もやいの会」の方々に出席を義務づけず、各
(講演会)の参加者に声をかけたり、浦安市の
自自分の意志で来館しています。現在は、毎
広報に募集記事を載せるなど、広く市民に呼
日15名前後の会員が集まります。土・日曜日
びかけました。
に行う体験教室(竹細工教室・お手玉作り教
室など)や、学校の授業など(昔の生活体験
ボランティア募集の2年前(平成10年度)
など)では講師にもなります。
に、
「博物館も学校である」という基本コンセ
本市の文化団体「浦安細川流投網保存会」
プトに基づき、指導主事を配置し、ふるさと
浦安を学習材として、体験を通して学ぶ学習
「浦安お洒落保存会」
「浦安囃子保存会」は、館
活動の開発に努めるとともに、ボランティア
で練習をかねた実演を行っており、来館者は
と一緒に学校や市内の文化財住宅を会場に授
その時自由に見学したり、体験したりするこ
業を展開してきました。ボランティア一人一
とができます。来館者からの希望があれば、
人の特徴を生かし、開館までの3年間で、
会員は来館者にその技術を教えます。
200を越える実践を行い、延べ2000人以上の
ボランティアへの保険は、市で一括して契
方に社会人講師としてお手伝いいただきま
約している保険で対応し、活動に対する報償
した。
は、特に定めていません。
また一方で、ボランティアが屋外展示場の
館職員の対応業務分担は、基本的に、ボラ
体験用ベカ舟や打瀬船の製造をはじめ、ゴミ
ンティア担当の職員が1人おり、2ケ月に1
箱等の展示用小物の製作にあたり、職員とと
度ボランティア通信の発行やボランティアに
もにこの博物館をつくりあげました。
関わる物品の購入など事務的な仕事を行って
います。しかし、事務的な仕事以外は、職員
その方々が「もやいの会」の中心となって
全員でボランティアに対応しています。
いますので、ボランティアの募集、開館後の
活動はスムーズに進みました。いまのところ、
今後の課題と展望
入会にあたって研修制度はありません。この
会は、
「浦安が大、大、大好きな市民を一人で
「もやいの会」は、主に活動している会員
も多くつくろう」をテーマに活動を行ってい
の高齢化や会員同士の人間関係、また今後ど
−4−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
のように後継者を育てていくかなどさまざま
日にあわせて出席するなど、自分たちの博物
な問題を抱えています。しかし、会員たちは、
館であるという意識が高まっています。今後
生き生きと学ぶ子どもたちや市民の姿に触れ、
は、その気持ちが持続するようにボランティ
ボランティア活動に喜びと生きがいを感じ始
ア活動の意義を理解していただき、その活動
めています。館内に建てられた文化財住宅の
を評価することが我々職員に課せられた責務
正月飾りの手配、体験学習で使う材料(ヨシ
であると考えています。
など)の確保、学校や団体が多く入っている
屋外展示場「浦安のまち」
昔の子どもにはやがわり
舟のこぎ方を学ぶ子どもたち
うまく回せるかな
市立市川歴史博物館におけるボランティア活動
市立市川歴史博物館
小
泉
みち子
かわって派遣できる人材を養成しようという
当館でボランティアを導入したのは、平成
ことが大きな契機となった。
11年のことである。生涯学習時代の要請を受
け、市内の史跡を案内し、歴史をガイドでき
平成12年には、わら細工指導員養成講座を
る人材を養成することを目的とした講座−フ
実施し、夏休みに行う小学生対象の「親子で
ィールドミュージアム解説員養成講座−を催
チャレンジ!わらぞうり作り」の指導にあた
したことに始まる。学校のPTAなどから、
れる技術指導者を養成した。以前、担当学芸
地元の史跡巡りのような行事を実施するにあ
員1人でぞうり作りを実施した際には、親子
たって、学芸員の同行・説明をもとめられる
での参加とはいえ、親の方も全く初めての経
ということが重なったこともあり、学芸員に
験で、ぞうりをきちんと完成させるためには、
−5−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
1人で対応できる人数に限界があったからで
に掲載して一般公募としている。すなわち、
ある。
先ずは館の事業としての「史跡めぐり」
「体験
学習」等を前提として、それについて協力活
〈フィールドミュージアム解説員養成講座〉
「中世大野の歴史と史跡」
「近世行徳の歴史
動可能な人を募り、解説員、指導員として養
と史跡」という2つのコースを用意し、各々
成していくという方法である。活動前の研修
担当の学芸員が、養成講義1回、実地踏査1
である養成講座を終えると修了証を発行し館
回を実施した。その後は、博物館へ幾度か足
のボランティア名簿に登録し、事業への協力
を運んでもらい、館所蔵の資料を十分に活用
をお願いしている。
しての自己研修を経たあと、当館の事業であ
活動の頻度は、現在のところ館の事業実施
る「市内史跡めぐり」の講師として、詳細な
の時のみであるため自ずと限られているが、
レジュメの作成および当日の解説にあたって
今後は学校等からの要請にも対応していけれ
いただいた。
ばと考えている。報償については無償、保険
は市川市が加入する「ふれあい保険」が適用
〈わら細工指導員養成講座〉
されている。活動は緒についたばかりで、今
平成12年度は初めての試みであったため、
養成に3日間を用意した。初日には、わらの
後のありかたについては未だ模索中というの
文化−稲わらが生活の中でいかに活用されて
が実状である。
きたか−についての話から始め、わらの下ご
しらえ等を実際に行い、ぞうり作りへと進め
た。夏休みの体験学習の際には、材料の準備
から当日の指導まで活躍していただいた。ま
た今年度の養成講座では、昨年度の指導員が
新たな参加者への技術指導を行うという方法
をとったが、今後もこのようにして技の輪が
広がってくれればと考えている。
当館でのボランティアの活動は今のところ
体験学習でぞうり作りを教える指導員
主なものは上記2件だが、いずれも市の広報
市立市川考古博物館におけるボランティア活動
市立市川考古博物館
はじめに
領
塚
正
浩
拙稿では、当館におけるボランティアの受け
入れについて、自らの意見を交えて簡単に紹
市川市には、考古・歴史・自然の三つの市
介してみたい。
立博物館があるが、各館がボランティアを受
け入れはじめたのは、最近になってからのこ
ボランティアの受け入れ
とである。当館は、まもなく開館30周年を迎
える古くて小さな博物館ではあるが、新たな
ボランティアは、さまざまな動機で活動を
客層の開拓を模索しながら、6名の全職員が
おこなっているが、公立博物館がボランティ
ボランティアの受け入れに取り組んでいる。
アを受け入れる場合には、生涯学習の一環す
−6−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
なわち従来の教育普及活動の一環として、受
アの募集や依頼も行っている。たとえば、平
け入れることが最も適切であろう。現在、当
成13年3月に開催した「縄文体験フェスティ
館では資料整理の分野と教育普及の二分野で
バルin堀之内貝塚」
(地域まつり)では、館内
ボランティアを受け入れているので、以下に
と最寄り駅にある当館の特設展示コーナーに
具体的な事例をあげておきたい。
ポスターを掲示し、準備と当日の手伝いをす
資料整理の分野では、縄文土器や古墳時代
るボランティアを公募したところ、近隣在住
の土師器の復元作業(石膏入れ)と図書整理
の市民2名から応募があった。ボランティア
のボランティア各2名を受け入れている。こ
を教育普及活動の一環と位置付けるのであれ
のうち、前者の復元作業(石膏入れ)には、
ば、単発的なボランティアの受け入れも推進
以前に臨時職員として当館で同様の仕事に従
すべきではなかろうか。単発的なボランティ
事した経験がある方もおり、豊富な経験をボ
アは、ボランティアと博物館の双方にとって
ランティア活動に活かしていただいている。
負担が少なく、気軽に取り組めるメリットが
図書整理は、関係機関から寄贈された図書を
あることから、はじめてボランティアを受け
書棚に配架するボランティアであって、受け
入れる博物館にはお勧めかもしれない。
入れ手続きが済んだ図書がまとまると配架し
ていただいている。
教育普及の分野では、養成講座を受講した
火おこし指導員が当館主催の体験学習「火を
おこそう」をはじめ、いくつかの行事で子ど
もたちの指導にあたっている。火おこし指導
員は、市の広報紙などで公募した養成講座の
卒業生16名で、10日前後の講座を受講した後
に修了証が発行され、指導員として登録され
火おこし指導員の活躍
る。当館では、毎月第3土曜日を指導員たち
(縄文フェスティバル in 堀之内貝塚)
の活動日とし、養成講座の卒業生が自由に集
受け入れ体制の整備
まって、道具の手入れや体験学習で行事の指
ここでは、ボランティアの受け入れ体制に
導ができるようにしている。
ついて、いくつかの具体的な項目をあげなが
養成講座は、今年で3年目を迎えており、
ら、当館の事例を簡単に紹介してみたい。
過去2年間は9月と10月の土曜日に集中して
行っていたが、担当学芸員に大きな負担がか
(1)ボランティアの募集
かることもあり、今年から5月から10月まで
当館では、a. 広報等による公募、b. 本人か
の第3土曜日に行ない、指導員の活動日と重
らの要望、c. 館側からの依頼に基づいて、ボ
複させることにした。ここでは、指導員が受
ランティアを受け入れている。公募の受付
講生の指導を兼ねており、若干の人数の増加
(電話)は職員全員が対応し、詳しい問い合せ
とも相まったためであろうか、指導員と受講
には学芸員が対応している。具体的な事例を
生との交流が活発になり、会話の弾むサロン
あげるとすれば、火おこし指導員は a 、資料
風の気軽な講座になっている。人と人とがふ
整理は b、c 、図書整理は b に相当する。 c は、
れあう楽しさは、ボランティア活動の大きな
当館とボランティアの間に充分な信頼関係が
魅力の一つでもある。
ある場合に限って依頼しており、当館での勤
務経験がある方や当館の活動に好意的な博物
また、当館では単発的な行事のボランティ
−7−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
館友の会の会員が対象となる。a、b、c 以外に
ィアの意欲を引き出すメリットも指摘されて
ボランティアセンターの活用が考えられるが、
いるが、当館の場合には養成講座の修了証を
市川市の場合にはボランティア支援課がその
発行することはあっても、評価制度そのもの
役割を果している。
は導入していない。
(7)保険への加入
(2)活動拠点
当館には、受け入れたボランティアが更衣
ボランティアの受け入れにあたり、万一の
室や控え室に使ったり、食事をするための専
事故に備えて何らかの保険に加入すべきであ
用の場所がある訳ではなく、体験学習などの
るが、当館では市川市が加入する「ふれあい
行事にも使う広さ約37㎡の工作室が狭いなが
保険」が適用されるため、ボランティア保険
らも活動拠点になっている。
には加入していない。
「ふれあい保険」は、市
主催行事への参加又は手伝いの際の事故に適
(3)職員とボランティア
用されるもので、市と保険会社の取り決めで
職員の役割は、あくまで生涯学習の一環と
保証がなされる。
してボランティア活動を支援することにある
(8)予算的措置
が、ボランティアを受け入れた場合、日常の
活動をおこなう上で運営の問題が出てくる。
受け入れに際して、予算的な措置を講じて
国立科学博物館では、運営方法を a. 博物館に
いる博物館もあり、交通費・昼食代・保険
よる運営、b. ボランティア組織による運営、
料・消耗品・通信費・印刷費・講師謝金など
c. 両者の合弁組織による運営、d. その他に分類
が計上の対象になっているが、当館では特別
しているが、当館の場合は学芸員がボランテ
な予算は計上してはいない。ボランティアの
ィアを総括していることから、おおむね a の
活動が当館の主催行事などと連動することか
運営方法に該当しよう。
ら、消耗品なども従来の予算の範囲で購入し
ているが、必要があれば予算を計上してもよ
(4)報酬の問題
いと考えている。
ボランティアの基本的理念の一つに無償
(無給)性がよくあげられるが、交通費や昼食
受け入れをめぐる問題
代など多少の報償を支給されても、ボランテ
ィアの範疇で促える場合が多いようである。
ボランティアの活動内容や受け入れ体制は
報酬の有無よりも、ボランティアの自発(自
さまざまであるが、ここ数年でボランティア
由意志)性が重視されているのである。ボラ
を受け入れる博物館が県内でも増加している。
ンティアの基本的理念の一つに「継続性」を
当館も新たに受け入れをはじめた一館であり、
あげる意見もあるが、生涯学習の一環という
試行錯誤の状態にあるといってよい。拙稿で
性格を考えると、事前に所定の手続きを経て
は、市立博物館の職員という立場から、受け
いれば、単発・短期・不定期のボランティア
入れのあり方について述べてきたが、解決し
にも学習の機会を提供すべきであろう。
なければならない問題もいくつかある。
教育普及の分野のボランティアの場合、受
(5)研修制度
当館では、ボランティアの受け入れに際し
け入れるだけではなく活動の場を確保するこ
て、養成講座などの事前研修を前提条件とす
と必要になってくる。たとえば、火おこし指
る場合とそうでない場合がある。
導員たちは、当館の行事と外部からの定期的
な依頼で指導にあたる4日間しか活躍の場が
(6)実績の評価
実績評価の問題は、平成4年の生涯学習審
確保できていない。実際には、
「総合的な学習
議会答申でも取り上げられており、ボランテ
の時間」の関係などで小学校から体験学習の
−8−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
依頼が当館に来るのであるが、ボランティア
を招きつつある。教育普及を偏重するあまり、
の大半がサラリーマンであることから、こう
充分な調査研究を欠くことは、博物館の運営
した依頼をボランティアに引き受けてもらう
上も好ましいことではない。底の浅い調査研
ことができないのである。筆者は、このこと
究は、底の浅い普及活動につながり、耳の肥
からボランティアの活動の場を確保するため
えた市民に飽きられ、来館者数の減少につな
に、機会があれば外部からの依頼の調整に努
がる危険性があるからである。
めている。活動日が道具の手入れと世間話に
まとめ
終始していては、当館でボランティアを受け
以上、当館の事例を中心にボランティアの
入れる意味がないからである。
また、筆者自身の問題をあげれば、従来の
受け入れについて述べてきたが、当館では受
職務にボランティアの受け入れが加わり、小
け入れの年数がまだまだ浅いこと、ボランテ
学生を対象とした前記の体験学習への対応と
ィアの人数も少ないことなどから、まだまだ
ともに、そのしわ寄せが企画展や講演会に関
活動が定着したとはいえない。筆者は、ボラ
わる調査研究の時間短縮に直結している。生
ンティアが気軽に参加できるように、ボラン
涯学習の一環としてボランティア活動を位置
ティアの意見を参考にしながら、ボランティ
付け、積極的に受け入れ体制を整備しようと
アと職員にとって無理のない受け入れ体制を
するならば、専属の職員(学芸員)が必要で
整備し、今後に備えたいと考えている。ボラ
あることは明らかであるが、現状では新採学
ンティアの受け入れが新たな客層の開拓とい
芸員の配属が期待できず、結果的に学芸活動
う形で博物館に新たな息吹をもたらし、施設
のバランスを大幅に乱し、調査研究の空洞化
の活性化につながることに期待したい。
八千代市文化伝承館におけるボランティア活動
八千代市文化伝承館
木
原
善
和
経緯と活動
はじめに
八千代市文化伝承館は平成8年5月21日に
館で扱う無形の文化には二つあり、一つは
日本の伝統文化と八千代に残る民俗文化の保
日本の伝統文化としての茶道・日舞・尺八・
存・継承・育成そして振興と発展させること
琴・三味線・太鼓・俳句・短歌などであり、
を目的として開館した。一般の博物館とは違
もう一つは郷土八千代の民俗文化としての獅
い無形の文化を扱うため、展示事業が主では
子舞・神楽・正月行事・盆行事・わらべう
なく、伝統文化の練習の場を提供したり、普
た・民謡・昔話・伝説などがある。
及のための講座を行ったりすることで、博物
初年度は日本の伝統文化の普及のため、
「月
館的でもあり公民館的でもある二面性を持っ
見の会」を「十五夜」と「十三夜」で実施し、
た施設である。そのためボランティア活動に
民俗文化の周知のために「昔話を聞く会」と
ついても一般の博物館で行われる展示などの
「昔の遊びを体験する会」を実施した。そこで
ボランティア活動とは随分違う部分があるか
の指導者を依頼するのであるが、元々そのた
と思われる。
めの予算などは組まれていないので、伝統文
化では茶事を行うので八千代市茶道連盟に、
−9−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
民俗文化については私が以前に民俗調査をし
ことはそれだけ歳を取ったことで、最近、無
たときの話者の方々にお願いをした。この時
理出来なくなったといわれ気掛かりである。
また、昔の遊びやわらべうたを子供たちへ
食事程度を出したのが精一杯でした。
伝える体験学習では、地元のお年寄りからが
二年目からは事業も増えていったが、基本
的には市民の方々が主役となるような方向へ
一番良いのだが、なかなか大勢の参加がなく、
導きたいと考えた。すなわち、伝統文化に関
団地や転入者のお年寄りにも広げた。子供の
する事業は、ここで練習や活動している団体
頃を思い出しながら遊びやわらべうたなどの
に協力して頂くことで「伝統文化に親しむ会」
実演やお手玉・凧・水鉄砲などを作ったりす
での花見・七夕・月見・雛節供など茶事を含
ることで、子供を健やかに育てることの意味
んだ行事では茶道連盟にはお茶のお点前を三
合いから「子育てボランティア」と名付け多
曲協会には邦楽の演奏を依頼した。子供たち
くの人々が参加いただけるようになった。
このようにいろいろな形の活動をすべて無償
への普及活動も同様に活動団体にボランティ
アで依頼した。
でお願いしているが、これら根本は自らの興
また、民俗文化については二つの事業を実
味や数寄の向上力、すなわち学習意欲が大い
施した。一つは市内の民俗の話とそれに係わ
にあり、それを広めたい気持ちの方々と多く
る食を体験すること。もう一つは昔遊び・わ
の人々との交流が出来ることを楽しむ人々に
らべうた・昔話など伝承文化を習おうと言う
よって広がり発展していっているように感じ
もの。食は儀礼や行事に作られる郷土食を近
られる。
所のお年寄りにお願いして作ってもらい好評
また、ボランティアの方々に気楽にお手伝
を得ていたが、すでに6年目を迎えたという
いをしていただくための環境整備として、傷
害保険は掛けている。これは館内での活動す
るすべての人々を対象に加入している。
問題点
当館の場合、いろいろな形の活動があるな
かで、既成の団体によるボランティア活動は
さほど問題はなく責任者との話などで統一さ
れているからである。しかし、個々人が集合
「伝承文化を習おう」での昔遊びを楽しむ
したボランティア活動は、まとめ方に難しさ
があった。5〜60人も集まった「伝承文化を習
「伝承文化を習おう」でのお手玉作りを習う
「子供茶道入門」では茶碗のお運びを習う
−10−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
おう」の場合は、個人的な知り合いから、そ
を見据えて、真にボランティア活動を続けら
の知り合いへと連鎖的に増加していった。た
れる方が残ると思う。そこで、団体としてま
だ皆さん経験豊富な方々ばかりであることか
とめることが出来れば、安定した運営団体が
ら当然個々の意見はしっかりとお持ちの方々
出来るのではないかと思っている。
であるから、この集団を一丸として維持でき
また、内容についても、新しい分野につい
る団体にしたいと考えているが一朝一夕には
ての個々の研鑽や館での研修を行い増やした
いかない。人々は千差万別で長になりたい人
い。たとえば地元のお年寄りから新たに聞き
とさせたい人とはイコールにならず。今まで
書きをしたり、これまでの文献から引き出す
幾度か混乱したこともあったりして、当初か
ことも必要ではないか。そして八千代の語り
らでは随分入れ替わりはあったりした。その
部として、ここから外へ多くの方々に伝え継
ため現在、やむを得ず事務局主導の形で運営
げる発信基地となれば、名実共に文化の伝承
しているのが現状である。
を担う館となりえる。ここで活動される人々
も子育ての方法として限定された活動から真
今後の方向
に地域文化・伝統文化の伝承者として「文化
既成団体のボランティア活動は問題ないの
伝承師」の称号に書き換えられるように発展
で、今後はもっと多くの団体に協力していた
させ、生き甲斐を持って活動出来る人々を増
だき、多くの伝統文化の普及に努めたいと考
やし、そして当館との二人三脚で地域の伝統
えている。
「子育てボランティア」の活動につ
文化の発展に寄与していきたい。
いては、もう少し時間をかけてじっくり活動
八千代市立郷土博物館におけるボランティア活動
八千代市立郷土博物館
ボランティアの時代
海
野
鉄多郎
こうした共に学びあう学習活動の延長線上
今日の日常の社会生活のなかで、
「ボランテ
に、共に手を携えて地域社会に寄与し、その
ィア」という言葉がごく普通につかわれるよ
なかにも市民一人ひとりが生きがいを見つけ
うになってきました。
出し、生き生きとした人生を送っていく要素
かつては「ボランティア」という言葉の響
が含まれていると思います。
きは非常に特殊な人たちの活動というイメー
私どもの博物館においては、市民のなかに
ジでしたが、今ではごく普通に肩肘張らない
ボランティア活動の土壌が育てることから始
「ボランティア活動」が行われるような社会情
める必要があると考えております。ボランテ
勢になってきたといえましょう。
また、生涯学習社会においては、博物館で
ィアの土壌を育成していく特別な事業を展開
することは当館にとっては効率的とはいえず、
の学習は、個人の知的興味を充足するという
しかし展示事業や教育普及事業の充実と同様
意味合いの強い学習でありましたが、現在は
に「ボランティア」を生かした活動をするこ
博物館を拠点として学習者同士の横のつなが
とも市民サービスにつながるのであり、その
りを通してさらに広がった学習を求めていく
接点を求めながら博物館事業の推進に努めて
傾向にあるといえるのではないでしょうか。
いるところです。
−11−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
当館におけるボランティアとは
実した市民活動を推進するため、長時間にわ
たる講座などの場合、昼食程度は出させてい
当館においてはボランティアをしてくださ
ただいています。
る皆さんは、通常の形とは少々異なる形でお
手伝いくださっていると思われます。私ども
ボランティア活動育成のために
の博物館には友の会などの支援団体はありま
せんし、ボランティア養成講座などを実施し
こうしたボランティア活動の推進には、本
て、ボランティアの核をつくりあげるという
人の希望・意志もありますが、リーダーがい
活動もしませんでした。開館当初においては、
なければ長続きせず、結局はボランティアブ
友の会の設立などを計画していたようですが、
ームで終わってしまうのではないかと私たち
その設立は見送られたようです。
は危惧しました。
私どもの博物館で現在、ボランティア活動
そのため博物館ボランティアの活動が市民
をしていただいている人たちは、基本的に博
に根付くには博物館の活動の趣旨に沿った同
物館の教育普及講座の元受講生です。当博物
好会活動の推進・援助が最も効率的ではない
館主催の講座を受講した人たちを中心として
かと考え、同好会の設立やその活動の支援を
私たちの活動の補助をお願いしています。ま
積極的に進めてきました。このような形のボ
た、講座の卒業生が設立した同好会がボラン
ランティア育成は少々変則的かもしれません
ティア活動の中心的な役割を果たしてくれて
が、市民に根付いた活動を考えたとき、博物
います。
館の都合でつくられたボランティア組織より、
当初、ボランティアをお願いした方たちは
自主的な活動の延長線上にある博物館ボラン
私どもが講座参加者のなかからご協力いただ
ティアの方が本来の主旨により近いのではな
ける方によびかけ、それに応じて活動に参加
いかと思います。
していただいた方たちです。本当のボランテ
こうしたボランティア育成は時間もかかる
ィアで、報償もなく手弁当で活動していただ
し、市民との信頼関係の育成が最も重要な課
いてきました。現在は、市の方針でボランテ
題となります。しかし、こうした事業展開が
ィア活動をする市民の活動を援助し、より充
八千代市民の皆さまにとって最も有効な方法
写真1「縄文土器作り講座」で活躍する
写真2 企画展「かわってきた人々のくらし」
で活躍する八千代竹細工同好会
八千代土器作り同好会
(竹をつかったおもちゃ作り)(1)
写真1の説明
当館主催の縄文土器作り講座の最終回で、講座生が
見守るなか、土器の焼成作業を行っている八千代土
器作り同好会の会員。
写真2の説明
平成12年度第3回企画展「かわってきた人々のくら
し」のイベントとして実施した竹を使ったおもちゃ
作りの一コマ。八千代市竹細工同好会の会員による
凧作りの指導風景。
−12−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
ではないかと思うのです。
郷とする市民が人口の9割を占めている都市
と申しますのは、八千代市民の大半は故郷
であるからです。同じ趣味をもった人たちが
を異にする人々であり、八千代市を第二の故
同好会活動のなかで知り合い、その知識や技
能をより高めるなかで、八千代市民の皆さま
のために、もてる資質を活用する場を提供す
ることも博物館が行う事業の一つなのではな
いかと考えるからです。
こうした考え方には議論もいろいろあるか
と思いますが、当館では市民が大地に足をし
っかりつけて、根強く活動できるようなボラ
ンティア活動の育成を図っていきたいと考え
ております。ボランティア活動や生涯学習が
写真3 企画展「かわってきた人々のくらし」
お題目であったり、ブームで終わらせないた
で活躍する八千代竹細工同好会
めにも、時間はかかっても地道に取り組んで
(竹をつかったおもちゃ作り)(2)
いきたいと考えております。
国立歴史民俗博物館におけるボランティア活動
国立歴史民俗博物館
はじめに
小瀬戸
恵
美
以上、いずれも本館教員であり、筆者はボラ
国立歴史民俗博物館におけるボランティア
ンティア事務局として活動した。また、実施
活動は、いまだ企画展示開催時の試行的導入
要項などの事務事項においては当館展示課が
という段階である。今回は、第一回試行的導
対応した。
入がおこなわれた平成13年度企画展示「異界
体験の援助ボランティア
万華鏡−あの世・妖怪・占い−」
(平成13年7
月17日〜9月2日、入館者数62,960名)における
(参加人数75名のべ340人が42日間活動)
ボランティア活動について報告したい。
(1)役割と活動時間
この企画展では「異界をあそぶ」という参
体験コーナーにおいて、妖怪や幽霊をモチ
加・体験型展示を設け、 体験の援助ボランテ
ーフとして、復元・購入された遊び道具の管
ィア
お話会ボランティア という二種類の
理や、その展示との関連付けのための若干の
ボランティアに活動いただいた。具体的なボ
解説。企画展開催期間中の毎日、午前3時間4
ランティア対応は「異界万華鏡」プロジェク
人、午後3時間4人の1日のべ8人体制。
ト委員会から4名(ボランティア講座講師)、
(2)募集から活動までの流れ
4月17日:ボランティア募集
「異界万華鏡」ボランティア事務局4名(ボラ
ンティア組織作り、フォローアップ、終了後
ボランティア募集要項、展示主旨、希望日
のボランティア、観客へのアンケートの実施
程の登録用紙を、歴博友の会、佐倉市民カレ
と解析)、当館教育プロジェクトから若干名
ッジ「歴史探訪セミナー」参加者に送付。
(期間中のボランティア対応補助)があたった。
6月11日:参加希望者へ案内
−13−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
が大きな動機になっていることがわかる。講
ボランティアスタッフ日程表(案)
、ボラン
ティア講座(内容概略)
、活動の内容概略を参
座、活動についてはおおむね好評であった。
加希望者に送付。
しかし、職員の対応についてはボランティア
6月23日、30日、7月14日
からの要望や提案に対する職員の迅速な対応
を評価する声がある一方で、
「注意が細かすぎ
ボランティア講座及び日程調整、IDカード
る」
「やってはならないことがあまりに多い」
用写真撮影
「もっと自由にやらせてほしい」など、批判的
7月16日:ボランティアスタッフ用内覧会
10月:アンケートを郵送実施(選択記入式)
な意見も多かった。これは今回の導入が初め
12月下旬:ボランティアアンケート結果送付
ての試みだったこともあり、館側からの規制
が強かったことを反映したと考えられる。
(3)報酬、ボランティア保険等
<来館者へのアンケート>
交通費、日当などは支給せず。ボランティ
来館者へのアンケートは1)出口調査(496名、
ア保険加入と展示図録の配布のみ行った。
対面調査)
、2)感想ノート(417名、自由記述)、3)
お話会ボランティア(参加人数約40名)
企画展アンケート(1,653枚、自記入式)によ
って行われた。出口調査では特に体験コーナ
(1)役割と活動時間
ーとボランティアに関しての質問を行ってい
お話、絵本の読み聞かせ、紙芝居の上映な
どにより、
「異界」を想像する楽しみの提示。
るが、感想ノート、企画展アンケートは自由
企画展開催期間中の7、8月の土日、午前1回30
記述欄に書かれた感想の中から体験コーナー
分、午後1回30分。
について触れているものだけを抽出し、分析
を行った。
(2)参加団体
・結果概略
お話会団体、民話の集い、佐倉おはなしの
ボランティアについては、
「ボランティアの
会、佐倉かたりべの会、佐倉地域文庫連絡会、
親切な対応が嬉しかった」「ボランティアの
おはなしきゃらばん(順不同)
人々とのコミュニケーションがよかった」な
(3)活動
各団体の担当日、お話や絵本、活動者は、
ど、来館者の評価は高い。また、このような
それぞれの団体で討議していただき、その連
体験コーナーにはボランティアによる力添え
絡を受けて、こちらでIDカードの用意。
が不可欠であることを来館者が感じているこ
ともわかった。
(4)報酬、ボランティア保険等
交通費、日当などは支給せず。ボランティ
おわりに
ア保険加入と展示図録の配布のみ行った。
以上、今回の試行的導入に関して、感じた
活動終了後のアンケート
ことを述べてまとめとしたい。
<ボランティアへのアンケート>
(1)ボランティアにとっての成果
体験コーナーの最大の功労者であるボラン
展示期間終了後、活動したボランティアに
アンケートを行った。アンケートは無記名式、
ティア自身にとって、どのような成果があっ
回答選択・自由記述併用であり、回収率79%
たのかをアンケートの結果から考えると、
様々な人(来館者、ボランティア、歴博職員)
であった。
・結果概略
今回ボランティアに応募した理由としては
知識の吸収や企画展への関心など、知的欲求
との交流
の充足
企画展に対する理解と知的好奇心
歴博の活動への主体的な参加 があ
げられる。今回の活動を通じて歴博との距離
−14−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
関としての役割も歴博に求められており、歴
が縮まったと感じた人も多いようである。
博自身が地域との接点をもったことで、地域
(2)来館者から見たボランティア
における歴博の存在意義を強化することがで
ボランティアによる支援が来館者に与えた
きたといえるのではないだろうか。
影響も大きく、ボランティアが親切に教えて
くれた、などボランティアとの交流が強い印
今回、報告したボランティアに関する詳細
象となって残っている来館者も多くみられた。
ただ展示物を見るのではなく、体験でき、人
は、平成14年度歴博研究報告書(通常号)に
とも交流できたことが、来館者の歴博での体
ボランティアに関するケーススタディ −企
画展「異界万華鏡−あの世・妖怪・占い−」
験全体によい影響を与えたといえる。
を事例として− (仮題)として掲載予定です。
(3)博物館にとっての成果
興味のある方はご一読ください。
これまで述べてきたボランティアにとって
の成果と来館者からの評価は、すべて歴博に
とっての成果でもあるといえる。来館者と歴
博、ボランティア参加者と歴博の距離をより
近づけられただけでなく、歴博のよい支援者、
理解者を得ることになったともいえるのでは
ないだろうか。歴博がいろいろな取り組みを
はじめていることをボランティア参加者にも
一般の来館者にも、部分的であれ知ってもら
えたようである。生涯学習時代のなかで、従
来館者に江戸独楽などの説明をする
来の研究機関としての役割だけではなく、生
体験の援助ボランティア
涯学習の受容に答えられるような社会教育機
佐倉市立美術館におけるボランティア活動
−『体感する美術』の活動をとおして−
佐倉市立美術館
永
山
智
子
当館でのボランティア活動というテーマを
そこで、ボランティアによる企画が実現し
いただいたのだが、はじめにお断りしておか
た1999年に至る『体感する美術』の過程と現
なければならないのは、ここでとりあげる活
在という形で、このテーマについて書かせて
動が館全体にかかわるものではないという点
いただく。
1994年11月に開館した佐倉市立美術館は、
である。毎年夏休に行っている教育普及事業
『体感する美術』を、いっしょにつくっていく
当初市民ギャラリーとして計画されていたと
市民スタッフという位置づけである。
『体感す
いうこともあり、常設展のスペースをもって
る美術』を展開していく中で必要となった活
いない。収蔵作品からスタートする教育普及
動を他に名付けようがなく、まったく無償で
事業ができないという条件のもと、市民に開
あるがゆえに「ボランティア活動」と呼んで
かれたミュージアムとしての活動を「美術」
いる、といったほうがよいかもしれない。
という分野でどのように行っていくか、が担
−15−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
ら進めることにした。前年のスタッフやこれ
当者の課題であった。
1995年、現在では各ミュージアムの定番とな
までワークショップに参加してくれた大人の
った感もある「夏休み・子ども向け」の事業
方々、子どもたちの保護者の方々を中心にダ
として、みるだけでなく五官で感じること、
イレクトメールを出し、また市広報による公
現代美術の作家と一緒になにかをつくること、
募も行った。募集のフレーズは「体感する美
「遊び」の要素、といったキーワードで、展示
術クラブ(仮)募集−現代美術を楽しんでみ
とワークショップによる『体感する美術
たい方、それを伝えることに興味のある方」
。
95−アートと遊ぼう、夏休み!』を開催した。
最終的には「翌年の体感する美術をつくるこ
このときから当日のワークショップ・スタッ
と」が目的ではあるが、美術館の企画の手伝
フは必要であったが、作家の関係者や千葉大
いというよりは、市民と美術館との接点をさ
学の学生の方にアルバイトとしてお願いして
ぐる場として新しい関係をつくろうとしてい
いた。この『体感する美術』が、その後も継
ることを伝えようとした。この年の企画は美
続することになったとき、子どもだけに限ら
術館側で行い、美術に限らず「アート」を広
ず、もう少し広く「まちや人と美術や美術館
く捉え、まちづくり関係者、演劇の留学生な
とのかかわりを考える」ことをテーマとして
どに来ていただいた(
『体感する美術
設定した。いろいろな意味で転換点となった
とアートのコミュニケーション』
)
。市民ボラン
のは『体感する美術
ティアには準備や当日のサポートをしてもら
97まちへ出よう−風と
98まち
精霊と人の声』であった。まちや人とアート
いながら、ワークショップという場の作り方、
がかかわっていくための可能性として「アー
醍醐味をわかってもらうとともに、まちの中
トが日常に新しい視点をもたらす」と仮定し、
にアートを仕掛けていく例として谷中や南芦
美術館という特別な場所ではなく、まちの日
屋浜のプロジェクトを紹介する公開研究会も
常の中に展示やワークショップを展開してい
行った。そしてこれが終わった秋から市民に
った。千葉大学の長田謙一教授に企画協力を
よる企画へと向かっていったのである。
お願いしたのもこのときからで、これらの形
まずは企画書のフォーマットを渡して提出
はその後も継続していくことになる。もうひ
していただき、それぞれのアイディアの発表
とつ、このときワークショップを依頼した宮
とブレインストーミングから始めていった。
前正樹さんは、公募した市民ボランティアと
その中で「佐倉が好き」
「このまちでなければ
ともに3か月間でワークショップをつくって
できないことをやりたい」というモチベーシ
いくというプランを提案してくれた。その結
ョンがメンバーにあること、
「日常に新たな視
果、準備段階が一番おもしろいワークショッ
点をもたらすアート」という体験が確認され、
プになること、参加者と直接コミュニケーシ
「まちの中で目には見えているけれど気づいて
ョンをする当日のスタッフがコンセプトを共
いないもの、目に見えていないけれど存在し
有し、いっしょにプランを練り上げる体験を
ているものをアート・プロジェクトを通して
していくことの大切さがわかってきた。また、
探っていこう」というテーマが決まった。
その後もボランティアの方々からの提案で、
こういうスタッフこそ美術館の財産になって
いくのではないかとも考えた。
そこで、
『体感する美術』自体を市民と一緒
日本の美術館ボランティアの分析、Inter-art
Forum Sakura=IFSというこの集まりの命名、
につくっていこうとしたのだが、毎年のシリ
アーティストを呼んできたいという人たちの
ーズという時間的な制限もあり、ともかく実
アーティスト分科会、自分たちでワークショ
際に『体感する美術』を体験してもらいなが
ップをつくりたいという人たちのワークショ
−16−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
ップ分科会、市内公民館の情報収集、美術館
いる。これらの進め方についても美術館側が
の企画の作り方研究(当館の現代美術を担当
一方的に決めたわけでなく、メンバーの提案
している学芸員に話を聞く)などを重ねなが
によってルールをつくりあげてきた。このプ
ら、5つのプログラムによる『体感する美
ロセス自体が重要であったと思う。それだけ
術 99ミエナイ・サクラヲ・ミル』の開催に至
に、新しいメンバーにこの回路をどう開いて
った。
いくか以前からのメンバーにとっての魅力を
失わずにそれを実現できるかが、今後の課題
その後、毎年企画終了後にはいったん解散
である。
し、新募集という形をとっているが、前年の
メンバー+クチコミという程度で、2000年、
2001年と基本的には同じ方法を続けている。
月1回のミーティングをベースに、最近では
ネットミーティングでも補いつつ、約20人
(実際のミーティングには10人程度)で、現在
は2002年の企画に向けて活動を行っている。
毎年手探りで進んできたために要項等はつく
っておらず、館職員の対応としては担当者の
みということになる。保険は検討中であるが、
現在のところはワークショップ当日、参加者
「体感する美術2001ミュージアムのたねあかし」
ワークショップ風景
といっしょにかけるレクリエーション保険の
みで、毎月の活動については自己責任として
川村記念美術館におけるボランティア活動
川村記念美術館
沼
辺
信
一
川村記念美術館のボランティア活動につい
日々の地道な営みがそれなりに評価してい
て尋ねられたり、何か話すよう求められるこ
ただけたことは大変嬉しいのだが、それが
とが多くなった。毎日午後2時から実施してい
「美術館ボランティアの成功例」として位置付
るギャラリートーク(当館ではガイドツアー
けられてしまうところに、正直言って居心地
と称している)を、一般から公募した人たち
の悪さを感じてしまう。
「そんなつもりはなか
(ガイドスタッフ)の手に委ねているところか
ったのに…」という違和感が付きまとうのだ。
ら、ボランティア活動に熱心な美術館、と目
そもそも川村記念美術館のガイドスタッフ
されてのことだろう。つい最近も、
『がんばれ
は、本当にボランティアなのだろうか。8人
美術館ボランティア』
(2001年、淡交社刊)と
いる彼女らのギャラリートークに対しては、
いう本のなかで、美術館ボランティアの実践
ガイド1回ごとに(少額ではあるが)謝礼が
例のひとつとして、わがガイドスタッフの活
支払われている(もちろん交通費も支給され
動が詳しく取り上げられた。担当学芸員とい
る)
。館と彼女らとの間には、1年ごとに雇用
うことで筆者も取材を受け、あれこれ発言さ
契約が交わされており、その意味では通常の
せられている。
パート職員と変わりはない。筆者は他館のボ
−17−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
ランティア事情に詳しくないので断言はでき
ほどの熱心さ(?)を発揮したのである。そ
ないが、この勤務形態をもってボランティア
の背景には、展示作品のほとんどが20世紀美
と称するのはちょっと無理があると思う。ギ
術、しかもそれらの多くが抽象作品という当
ャラリートークとは美術館が入館者に提供す
館の特殊事情も手伝っていたかもしれない。
るサービスのひとつであり、他の日常業務と
大半の来館者は何らかの説明を求めていたの
同様、その担い手の労働に対しては相応の報
である。
こうして一般来館者からの「無言の圧力」
酬が支払われて当然、というのがわれわれの
に押されて、毎日1回のガイドツアーが誕生
考えである。
したというのが実情である。それからという
もの、1日も欠かさずに学芸員が交代でトー
クし続けてきたわけだが、正直言ってこれは
相当にしんどい作業である(ほかに仕事があ
るのだし)
。かてて加えて、美術を味わうのに
トークが本当に必要なのか、むしろ邪魔にな
るのではないか、という疑念もあった。だが、
現代美術に馴染みの薄い人々にとって、当館
「モネ展 睡蓮の世界」ガイドツアー風景
のトークはそれなりに新鮮だったらしく、
「初
(2002年2月)
めて抽象画のよさが分かった」
「絵を見る面白
さが体験できた」と好評で、やめるにやめら
ところで、川村記念美術館のガイドツアー
れなくなった。
転機が訪れたのは6年目の1995年のこと。
はどのようにして生まれたか。ここでその経
緯を簡単に振り返っておこう。
「そろそろ誰かにバトンタッチしたい」
「でも伝
1990年5月に開館した当館は、1か月後に
統あるガイドの水準は落としたくない」とい
は早くもガイドツアーを発足させている。そ
うわけで、
「プロの語り部の養成」を目標に掲
の形態は今と全く同じ。毎日、午後2時スタ
げ、学芸員による美術講座(有料)を開催。
ート、エントランスホールに集まった希望者
一般からの参加者25人が集まった。
と一緒に、展示室の作品を解説しながら1時
半年後、抜き打ちテスト。館内からどれか
間ほどかけて館内を一周する。参加無料、途
1点好きな作品を選び、皆の前で3分間トー
中から加わっても、抜けてもかまわない。た
ク。さらに作文を書いてもらい、総合成績上
だし、今とは違ってその時点でのガイドの担
位の8人を抜擢した(その8人が全員女性だ
い手は学芸員だった。12年前、ギャラリート
ったのは偶然である)
。ここからは無料の授業
ークを実施している美術館はまだほとんどな
に切り替えて、さらに毎週の講義。しゃべり
かったと記憶する。まして、毎日催している美
の実地訓練を繰り返し行ったのはもちろんで
術館は全国でも当館だけだったかもしれない。
ある。
そして1997年1月、ガイドスタッフ8人が
きっかけは至極単純だった。開館早々とい
うことで、各方面からの来賓の案内役として
正式にデビュー。
「正確な情報を分かりやすく」
われわれ学芸員は連日のように館内を回って
という従来の学芸員トークの水準を保ちなが
いたが、そのたびごとに、一般来館者が周囲
ら、毎日のガイドツアーを担当してもらって
に人垣を作ってわれわれの説明に聞き耳を立
いる。回数を重ねるにつれて次第に緊張もほ
て、しまいには肝心のVIPを押しのけてしまう
ぐれ、専門家ではない「普通の人」ならでは
−18−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
の親しみやすい語り口を編み出すに至ってい
の段階にある同プロジェクトについては多く
る。
を語ることができないが(詳しくは前出『が
ところでこれは余談になるのだが、わがガ
んばれ美術館ボランティア』参照)
、ここでも
イドスタッフのなかには元スチュワーデス、
パイプ役としての彼女らのに大きな期待がか
元婦人警官、宝塚歌劇の団員だった人までい
けられている。
ることが後で分かった。人前でしゃべる度胸
がもともと備わっている人たちだったのだ。
この文章の初めに、当館のガイドスタッフ
はボランティアではないかもしれない、と書
いた。すでに発生していた学芸員の「ガイド
業務」を引き継いだ彼女らが無報酬というこ
とはあり得ず、美術館がそれを仕事とみなし、
対価を支払うのは当然の成り行きだったので
ある。
近隣の小学校からの見学をアテンドする
もうひとつ、当館ではここ数年、近隣の
(1999年10月)
小・中学校に呼びかけて、美術館で先生と子
供たちに「対話型」のトークを実践してもら
以上、当館のガイドスタッフ制度のあらま
おう、というプロジェクト「美術教育サポー
しを書き連ねてみた。果たして「博物館ボラ
ト」を展開しているが、その過程で先生方と
ンティア」という今回のテーマに相応しい例
美術館との連絡役を務めるのもまた、ガイド
だったかどうか、はなはだ心許ないのだが、
スタッフの面々である(こちらも美術館の業
何らかの参考になれば幸いである。
務という位置づけ)
。今のところまだ試行錯誤
睦沢町立歴史民俗資料館におけるボランティア活動
睦沢町立歴史民俗資料館
友の会が資料館事業をサポート
久
野
一
郎
地域社会の文化向上に貢献しようと努力」と
当館は1982年4月15日に開館し、当館友の
述べた。友の会は資料館をつかっていろいろ
会は1994年10月に成立した。会則第3条に
楽しむことをモットーとして、見学旅行や会
「館の活動を通して会員の知識を養い、合わせ
報と連絡紙『でんごんばん』
(年4回)の編集
て館の社会的、文化的活動を援助して、地域
などのほかに会員有志が楽しみながらボラン
社会の向上に寄与することを目的とする」と
ティア活動をおこなっている。昨年の県博協
定めて「館の事業推進に協力する(第5条3
実施の友の会のアンケートの「ボランティア
項)
」とある。いまのところ友の会の資料館事
活動」には、館主催企画サポートと館周辺の
業サポートが、事実上の博物館ボランティア
整備を回答した。
活動にあたる。
会長の山田英夫氏は、会報『グローバル21』
きっかけは「草団子」
創刊号で「会員が楽しみながら知識を広め、
−19−
友の会ができた翌年1995年4月〜5月、資
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
料館企画の特別展「ミニチュアで見る民家と
2000年6月17日の資料館主催第4回公開シン
メルヘンの世界」展が開催された。会員のな
ポジウム「博物館友の会の現在と未来」に会
かから「春の野草で何か作ってみよう」とい
長がパネリストとして参加し、友の会として
う声が上がり、会員の何人かに呼びかけ、展
も会場整備など運営をサポート。1997年〜2001
示解説のギャラリートークに「草団子作り」
年の11月3日前後に実施している資料館主催
がおこなわれた。出来た草団子は特別展ギャ
事業の「文化財保護ボランティア」で国指定
ラリートークの参加者にふるまわれ、好評を
重要文化財木造大日如来坐像を持つ妙楽寺境
得たことにより、以後こうした行事に同様の
内の清掃ボランティアに参加した。
1998年3月7日、資料館主催企画展「第3
企画が実施されるようになった(写真1)
。
回新発見考古資料展」の関連企画で、友の会
資料館事業のサポート活動内容
の第1回「体験!古代人」で、古代米のおに
ぎりと復元縄文土器で煮たアサリ汁を試食。
1995年4月30日と5月21日の資料館特別展
ギャラリートーク、1997年3月2日の資料館事
1999年3月中の土曜日と日曜日、第2回目で考
業「折り紙のお雛さま」
、1996年〜2001年5月
古学クイズコーナーを設け、2000年3月26日
5日の資料館事業「鎧を着て戦国武将」のサ
の第3回で勾玉作り。2001年3月31日の第4
ポートで鎧の着付けや記念写真撮影サービス
回は石器作りを実施した。
とともに、草団子とちまきをサービス。1995年
資料館の調査研究のサポートとしては、2001
10月15日に資料館企画展「房総の高札」ギャ
年7月14日〜9月14日の資料館主催企画展
ラリートーク参加者に「昔のおやつ」
。1997年
「むつざわ坂道物語」の基礎調査で睦沢町の坂
道の実地踏査を実施した。
11月22日、資料館民俗学講座「江沢家の年中
行事」にけんちん汁。1998年7月25日、資料
館周辺の整備「山田会長の草むしり」
館主催企画展「絵図に見る郷土の歴史」展の
ギャラリートークに「友の会茶屋」を出して
「館周辺の整備」では、山田会長の草むし
お汁粉。1999年1月30日、資料館主催事業
りを挙げたい。これについては、私が1998年
「石臼で粉をひく」でできた粉を使ってすいと
10月に友の会のニュース『でんごんばん』17
んをサービス。2000年6月11日、
「ちまき巻き
号に書いたエッセー「学芸員の話(14)山田英
巻き隊」では旧暦の端午の節句にちまきを作
夫会長は友の会ボランティアの原点」と題し
って楽しんだ。
て紹介したので引用する。
「資料館前には築山があって、竪穴式住居
1995年10月14日、資料館事業「発掘体験」
のサポート。1998年2月22日、資料館主催の
の復元模型とか道しるべが展示してあります。
教育普及事業の歴史民俗体験講座「お手玉を
ここは睦沢の自然の風情を表すよう手を加え
作って遊ぼう」で、友の会がお手玉の作り方
ないでいるおかげで、青大将の邦衛さんやキ
を教え、お手玉歌を参加者と楽しむ。2000年2
キ・ララというウサギがいて結構いい雰囲気
月2日の資料館主催民俗学講座「昔の遊び」
してます。そうは言ってもやはり夏場には草
に、会員の海保豊治さんが講師として参加し、
が生い茂ってきます。そんなとき友の会の山
友の会としても企画をサポートして参加者と
田英夫会長は愛用の草刈鎌持参で資料館に現
ともに昔の遊びを楽しんだ。1996年6月16日
れ、自発的に草刈りをしています(写真2)
。
の資料館主催公開シンポジウム「第1回博物
田辺肇副会長も自分ちの草刈機を持って資料
館と地域連携」
、1997年6月22日の資料館主催
館前の草を刈り、海保さんや田嶋さんは築山
第2回公開シンポジウム「地域博物館の現在」
、
に花を植えています。他にも友の会の皆さん
−20−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
サポート活動の頻度は以上見たように、
が、特別展のポスター折りと発送作業など自
主的に手伝ってくださいます。本来ならば、
1995年度3企画、1996年度3企画、1997年度6
そうした作業は私たちがしなくてはならない
企画、1998年度5企画、1999年度4企画、2000
仕事ですが、私たちの資料館のような小規模
年度5企画、2001年度が予定を含め4企画で
零細館ではなかなか手が回りません。山田会
ある。
長のように、フラッと来ては黙々と草を刈り、
100人前後いる会員のなかで「資料館事業の
去っていく。友の会にはこういう人がいて、
サポート」活動に参加する人は10名前後だが、
そうした人々のボランティアでこの資料館は
参加してくる会員の意欲は高い。英和辞典で
成り立っているのです。感謝」
みるとvolunteer の1番目の意味は、志願者、
今から3年くらい前の文章だが、山田会長
の草むしりは現在も続けられている。
有志者とともに志願兵、義勇兵で、英国で海
兵募集に用いた言葉だという。ボランティア
の語義は元々は兵隊に志願することだった。
募集範囲・対応分担・研修・保険・活動頻
志願兵という言葉は、当館がここ数年やって
度・会員意識など
いる睦沢町民の戦争体験調査でよく聞いた言
友の会事務局から会員全員に案内を郵送し
葉だが、そこで見えた志願兵制度は兵役の義
て参加者を集めている。館職員の対応業務の
務のなかの選択肢の一つでしかない。博物館
分担としては、臨時職員の松本節子さんが友
ボランティアは義務化された志願制度である
の会の事務を担当している。友の会自身の活
べきではない。当館には義務化され要項で定
動には保険制度はなく、事故には館の保険で
めた制度化されたボランティアはない。会員
対応する。会員に対して日当・交通費・昼食
が自発的に無償で参加して、自己実現する自
なども含め、報償や研修制度もない。
由なボランティアだけがある。
写真1
ちまき
2001年5月5日
写真2
草むしりをする山田会長
を作る友の会のみなさん
千葉県立房総風土記の丘における博物館ボランティア
県立房総風土記の丘
博物館の概要
田
形
孝
一
墳群の主要部分を含む、32ヘクタールという
千葉県立房総風土記の丘は印旛沼を南に望
広大な敷地を有する県立博物館である。昭和
む台地上にあり、総数113基からなる竜角寺古
41年度に文化財保護委員会によって制定され
−21−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
た「風土記の丘設置要項」に基づいて昭和50
委員会を設置し、春秋の行楽シーズンには運
年に機関設置されて以来、四半世紀にわたり
営委員会有志による見学案内が実施されてい
考古専門館として多くの県民に親しまれてき
る。案内は資料館のみならず、広大な敷地内
た。
に点在する古墳や文化財建造物、さらには四
現在、資料館を中心に整備が行われている
季折々の自然に関しても専門的な見地からわ
が、78基の古墳をはじめ、重要文化財旧学習
かりやすく行われており、たいへん好評であ
院初等科正堂、同旧御子神家住宅、県指定有
る。
形文化財旧平野家住宅、復元古墳竜角寺古墳
具体的には、毎年4月から5月、9月から
群101号古墳などが、総延長5キロメートルに
10月の春秋各2か月ずつ休日及び祝日に実施
及ぶ遊歩道沿いに展開している。また、体験
されており、2〜3名くらいの解説員が館内
型エコ・ミューゼアム県立房総のむらにも隣
を巡回し、適宜解説やコース案内に当たって
接し、現在、年間十万人以上の来館者がある。
いる。入館者の多い日には一人あたり50名以
上の見学者を相手に案内することもあり、各
博物館と地域との接点
シーズン平均300名〜400名程度の入館者に対
応している。
当館においては、開館した昭和51年12月に
(2)総合的な学習の時間に対する支援
風土記の丘友の会が設立され、地元栄町や成
田市を中心とする会員を中心として、さまざ
平成12年度からの総合的な学習の時間の試
まな活動がおこなわれている。毎年、秋も深
行開始にともなって、当館においても近隣の
まる文化の日に開催される友の会主催「ふる
小中学校との連携を一段と深めているが、こ
さと祭り」は全町をあげてのイベントとして
の過程で、自然や環境がとりあげられる機会
定着していることをみても、友の会は博物館
も増加している。ところが、当館は千葉県唯
と地域とを結ぶ大きな橋渡しの役割を担って
一の考古専門の県立博物館であることから、
きたといえる。
学芸課職員は考古学の専門職員によって構成
風土記の丘友の会は会員数222名(平成13年
されており、自然誌分野への取り組みは十分
度)であるが、会員の内訳では地元栄町及び
とはいえなかった。そこで、植物に造詣の深
成田市の住民が約67パーセントを占めている。
い友の会会員に、生徒達の指導をお願いして
組織としては運営委員会制をとっているが、
いる。
運営委員会は、総務のほかに研究、文化活動、
各校とも生徒を指導できるだけの専門的な
広報、見学案内の4委員会が設置されている。
知識をもった教員がほとんどおらず、せっか
また、地元との連携を強化する目的から栄町
く生徒達が自然や環境問題に大きな関心を寄
商工会及び観光協会が特別委員として参画し
せているにもかかわらず、適切なアドバイス
ている。
をおこない、小さな芽を育むことができない
という悩みを多く耳にする。当館の豊かな自
友の会会員によるボランティア活動
当館においては館独自のボランティア団体
は組織化されていないが、友の会会員による
活動は長い歴史をもっている。以下、その活
然を活用していただくためにも、ボランティ
アによる学習支援は大きな力になっていると
評価されるであろう。
(3)その他
見学案内や学習支援がボランティア活動の
動の一端を紹介しよう。
(1)見学案内
友の会においては独自に見学案内担当運営
主体となっているが、昨年度には館の呼びか
けに応じて、環境整備の手伝いや、館主催事
−22−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
業への支援なども行っている。敷地内の環境
整備は業務委託で対応しているが、初夏など
には雑草が繁茂し、こまめな除草が必要であ
るところから、友の会有志を中心に道路沿い
の整備を実施した。また、音楽会など多くの
人手が求められるイベントの際にも職員とと
もに作業に当たった。
まとめ
「総合的な学習の時間」を支援する
このように、当館におけるボランティア活
動は友の会会員を中心に展開されており、非
博物館ボランティア
会員の参画はほとんどないのが実状である。
分ではないという現状認識によるものである。
このことは、当館においては独自のボランテ
今後、本格的なボランティアを育成するため
ィア組織を作り、恒常的な活動を行うために
には、少なくともこうした前提をクリアーし
必要な担当職員の配置が困難であり、また、
なければならず、とりあえず、友の会組織の
ボランティア構成員の活動に必要な施設も十
充実・強化を図ることから始めたい。
航空科学博物館におけるボランティア活動
航空科学博物館
はじめに
金
田
彦太郎
である「博物館ニュース」上で公募し、応募
航空科学博物館は千葉県芝山町岩山、新東
があった約10人でスタートし、その後登録者
京国際空港の南端に位置している。当館の建
数は10〜30人の間を推移している。参加資格
設は、成田空港開港に関連して地元芝山町か
等は特には設けていない。登録更新は辞退の
ら運輸大臣に提出された要望の一つであった。
申し出がない限り自動継続させていただいて
昭和59年6月に博物館の建設・運営の事業主
いる。活動の頻度は年1回程度から週1〜2回
体となる航空科学振興財団が「航空に関する
参加される方まで様々である。なお、当館で
科学知識について、国民各層、とくに青少年
は必要経費として交通費実費と昼食代を支給
に対してその啓発を図り、航空思想の普及お
する他、友の会会費を無料としている。研修
よび航空科学技術の振興に寄与し、あわせて
等は行っていない。イベントの際には企業・
わが国の航空の発展に資すること」を目的と
団体等のグループや個人の方々に未登録で単
して設立が運輸省に認可され、平成元年8月
発的にボランティアをしていただくこともあ
に開館した。以来、民間航空を中心に扱い、
る。
約250万人の来館者を迎えている。
背景
新東京国際空港では4万人の職員が働き、
当館でのボランティア制度の導入は開館
翌々年の平成3年からである。他館での実施
関連産業を含めるとかなりの数の「航空関係
例を参考に、当館での実施を検討した結果、
者」が周辺に就労・居住していることになる。
導入することとなった。当初、友の会の会報
当館はこの空港の近傍という恵まれた環境に
−23−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
ある。実際、参加いただいているボランティ
ツアーガイドの形で来館者(主に団体)の
アスタッフの中には何らかの形で航空に関わ
希望により随時実施している。解説マニュ
り、職員以上の専門知識を備えた方も多い。
アル類はあえて設けていない。来館者の反
また、趣味としての航空という分野が幅広い
応を見ながらの解説は最初はやや難しいが、
支持を得ていることもあって、年齢は20代〜
来館者の満足度も高く、結果として解説者
70代、航空関係以外の様々な職歴の方々の参
の充実感も得られる。
加がある。
b. 離着陸ガイド:展望展示室から見える航
ほとんどの博物館が運営を国や県、地方公
空機の離着陸や空港等の解説。土・日曜日
共団体、企業が行っている中、当館(当財団)
等を中心に、定点で開館〜閉館までの時間
は入館料収入等を主な収入源とし、自らが管
中に連続して実施している。相応の知識が
理・運営を行い、実質的には独立採算の形と
要求されるが、来館者の反応も非常によい
なっている。公益法人とはいえ積極的な来館
ものである。
(2)体験型展示物運用
者の誘致等を行い、極力収入の増大を図ると
ともに、合理化等により支出の削減を図るな
a. シミュレータ:大型機等の搭乗体験装置
ど運営の健全性を確保せねばならないなど、
で、その操作や解説、安全確保を行う。
より民間企業に近い側面がある。
b. 実物航空機エンジン試運転:月に1〜2回
程度、航空機のエンジンを実際に試運転し、
積極的に収入を確保する必要がある組織の
中でのボランティア制度は、ともすれば異常
来館者に音や振動、臭いを体験してもらう
な「無給職員制度」に陥る。ボランティアス
もの。燃料の補給や点検・整備・操作・解
タッフの違和感・不満を招き、制度自体の存
説、安全確保を行う。
(3)各種教室
続を失いかねない。そのため、その活動内容
等には充分な配慮が求められる。幸い、当館
a. 一般向け講習会:講師補助、講習・配布
でのボランティア活動は概ね順調に成長して
資料作成等の他、本職や特技を生かして講
きたと言えると思う。次項でご紹介する活動
師そのものをしていただくこともある。
の殆どはボランティアスタッフの方々の中か
b. 紙飛行機工作教室:講師及び講師補助、
らから自発的に発案・実施され、その後館側
教室準備等。身近な折紙飛行機を題材に、
と話合い・工夫が重ねられて育ってきたもの
子供やその親などを対象に不定期に実施し
である。実際のところ博物館側が一方的にレ
ている。
ールを引くだけではうまく行かないし、自発
的な学習の場の提供という意義からもサポー
トは必要最小限しか行っていない。無論片道
通行でなく、館側・ボランティアスタッフ側
が互いに何をしてほしいのか、何をしたいの
か摺合わせを繰返すことが重要であるのは言
うまでもない。双方にメリットがなければ結
局苦痛なだけなのだから。
活動内容(具体例)
(1)展示解説
a. 常設展示ガイド:定点・定時では無く、
−24−
一般来館者向けのエンジン試運転体験に備え、
小型単発機の整備をするボランティア・スタ
ッフ(1960年代のやや古い機体で、整備・点
検は欠かせない)
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
その他問題点など
(4)展示物製作・整備
入手資料の展示物化、展示物の補修、動態
年々活動内容は充実してきているものの参
保存機の整備・点検などを展示場もしくは
加者数がやや足踏み状態である。また、女性
作業所を兼ねた格納庫内で行う。
の参加はほとんどない。活動内容の多くがや
や専門的に見えるからだろうか。募集する場
(5)資料整理
受入資料(主として図書資料)の整理。時間が
合も推薦がよいのか、あるいは広く一般公募
長くとれない時に行うことが多い。
した方がよいのか、それぞれの長所短所を見
極めたうえで検討していきたい課題のひとつ
(6)その他
である。
イベント補助、構内・展示物清掃等
芝山古墳・はにわ博物館におけるボランティア活動
芝山町立芝山古墳・はにわ博物館
福
間
元
当館のおけるボランティア活動は、開館2
だけほしい人、静かに見守る人とさまざまで
年にして、今まで借用していた資料が借りら
ある。が、友の会は総体として、時にはきび
れなくなり、展示をすべて、全面的に入れ替
しい指摘をも与えてくれ、かつサポートも期
えざるを得ないという、いわば博物館存続の
待できる特定多数の理解者集団である。
危機の中から生まれた。
労働力提供委員会と個性派生涯学習講師団
展示だけで入館者を待つ、第1世代的な博
物館から生涯学習施設のひとつとして活動す
友の会活動の合言葉は、
「楽しくなければ友
る地域博物館に衣替えせざるを得なくなった
の会じゃない。
」
「みんなが講師、みんなが生
時、今まで博物館を利用していた縄文土器づ
徒、みんなが事務局。
」のもとに大きな博物館
くりの会、陶芸クラブ、栗山川流域文化研究
行事の際や11月の第2日曜日に行われる「は
会、町史編纂事業で協力を得ていた写真同好
にわ祭り」の準備や友の会のバザーにもボラ
会などのサークルの人たちを中心に「芝山町
ンティアに名を借りた労働力を提供してもら
立博物館友の会」を平成2年6月1日に、60
っている。
私たちの友の会の中には、考古学サークル、
名で設立した事から始まった。
「博物館の事業を援助し、地域社会の文化
縄文土器づくりの会、陶芸クラブ、草木染め
の向上に寄与する。
」ことを建前ではなく、友
サークル、自然と文化に親しむ会(CAN)な
の会の目的のひとつとして規約に明文化した。
どの友の会内サークルがあり、それぞれ月1
設立時には、博物館の活動をサポートし、行
〜2回活動しているほか、表装、切り絵、版
政の予算では執行しにくい部分の財政的支援、
画、凧作り、ちぎり絵、藍染めなど、ほかの
いわばボランティアを標榜した集団をめざし
公民館などの生涯学習施設で講座やワークシ
た。
ョップを開くプロや、セミプロの講師の方々
もちろん280名となった現在の友の会のメン
も会員となっている。博物館や友の会主催の
バーには、行事ボランティアとして主体的に
各種の講座や教室も、主に友の会の会員が講
係わる人、興味のある行事にだけお客さんと
師となって開催している。その時には、わず
して参加する人、行事に参加はしないが情報
かな謝礼と昼食を出すだけである。
−25−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
また、芝山公園内の千葉県指定有形文化財
「旧藪家住宅」も博物館が管理している関係で、
垣根修理や側溝の改修なども労働力提供委員
会の活動としてお願いしている。もちろん館
側からボランティアとしてお願いする訳であ
るので、参加者は数名から十数名と一定では
ないのはやむをえない事ではある。
はにわ祭りのバザーや行事ボランティアの
際は、昼食を出すだけであるが、ゆくゆくは
交通費に見合う程度の謝礼を考えている。
また、今年度は町が主催するIT講習会の補
千葉県指定文化財「旧藪家住宅」の側溝改修
助者として友の会から5名の方が参加して、
に汗を流す博物館ボランティア
お手伝いいただいた。
おりしも、2001年はボランティア国際年で、
「ボランティアの理解を深め、環境を整え、ネ
様な個性の集団、複合的な施設であってもい
ットワークを広げ、活動を促進する年」だそ
いのではないだろうか。博物館は、拠り所で
うである。
あっても活動の場は限定されない人的・空間
的な広がりをもって、コアとサテライトの関
ボランティアの語源はラテン語の
係があってもいいではないかと思っている。
意思からきていて、
「ボランティア活動は、そ
れを行う人の自由意思によって行われるもの」
今年は、友の会内に芝山の里山や竹林を整
という考え方が世界中に共通している理解だ
備する竹炭サークル「かぐや姫」を設立し、
そうである。
(2001年ボランティア国際年推進
博物館の裏山に炭窯を築く準備をしている。
協議会 インパクHPより)
また、航空機騒音による集団移転によって住
これからの地域博物館は、人的、財政的な
む人もなく残される芝山仁王尊門前の旅籠跡
脆弱性ゆえに、館職員だけでなく、友の会の
の管理も地域の人達と相談しながら進めたい
サポートやネットワークに依拠した様々で多
と思っているところである。
松山庭園美術館におけるボランティア活動
松山庭園美術館
「ここの紅葉のきれいなこと。みんなに内緒に
しておきたいわね」
「まるで京都に来たみたい」
今年も秋のお茶会ではこんな会話が聞こえて
高
橋
静
江
曲の演奏会、ピアノやバイオリン、フルート
などのコンサート、そしてお茶会などを催し、
毎回多くのお客様にお楽しみいただいており
ます。
この催しを開催するために必要になるのが
きました。
松山庭園美術館では美術品の展示や芸術家
裏方ボランティアでした。会場作りのための
の作品展はもちろんですが、季節に応じた催
椅子の出し入れや受付、お客様の案内係、駐
しを年に5,6回開催しています。箏曲や歌
車場整理係とたくさんの人手が必要です。特
−26−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
に頼まれて始まったわけではないのですが、
館長がお迎えしています。館長がお客様とお
気さくでやさしい館長ご夫妻の人柄に魅せら
話をしている間は、そばにいる者がお茶をお
れ自然にいろいろな人が集まって協力をする
出ししたり入れ替えたりとさりげなく立ち居
ようになりました。今ではそれぞれの持ち場
振舞います。
「美術館って堅苦しいと思っていたけど、とて
ともいえるような役割が定着し、和やかな雰
も楽しく拝見しました」
囲気でお客様をお迎えしております。
「先生に直接お話を聞けてよかった」
「とてもすばらしかったです」
本館のギャラリーは芸術論議ばかりか、食べ
「また次の催しを教えてください」
こんな言葉を耳にする時、館長とともに私た
物や健康のこと草花のこと猫のこと、いつも
ちにとっても大きな喜びとなります。
賑やかな話題がつきません。
こうして松山庭園美術館には、芸術鑑賞に
また、通常の開館日(金、土、日、祝日)
も大切なボランティアがあります。受付は八
来られる方はもちろんのこと、美術館を愛す
日市場市のシルバー人材から派遣された方が
るボランティアの人たちがたくさん集まって
担当していますが、館内のお花を生けること
きます。
も大切なことです。美術館にお出でになった
4年前、此木先生が地域に文化の薫りを届
ことのある方はお気づきかと思いますが、殆
けたいという思いで開館した美術館。ここに
ど目立たない静かな花たちがそっと添えられ
は、文化ばかりでなく人の心をつなぐ不思議
ています。これは趣味で野の草花を育ててい
な空間が生まれています。
る方が毎週金曜日に生けているからです。
「ガラスの陳列棚の中の器にはその美術品の邪
魔にならないよう1、2輪だけ草花を。また
此木先生の力強い作品には季節の花を入れる
よう心がけています」
と語る花入れボランティア。
新緑のきれいな5月から6月、紅葉の美し
い11月ごろには一日に100人近くの方が訪れ、
お茶のおもてなしも忙しくなります。庭園内
来館者とボランティアとの楽しいひととき
の見晴亭ではお客様が自由にお茶を飲んでい
ただけるよう用意してありますが、本館では
佐原の町並みにおけるボランティア活動
伊能忠敬記念館
伊能忠敬記念館としては館独自のボランテ
ィア活動は行っていない。しかし、記念館を
紺
野
浩
幸
の成立、活動及び記念館の対応について述べ
てみたい。
とりまく古い町並みを案内する中で、記念館
の展示解説も行っている「町並み案内ボラン
ボランティア制度の成立
平成7年、町並みの重要伝統的建造物群保
ティアの会」というグループがあるので、そ
−27−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
存地区選定を目指す中で、市民から観光ボラ
均年齢65歳、男女合わせて20名くらいである。
ンティア制度を作ったらどうかという声があ
知識や経験の差、普段の生活の違いなどから、
がった。教育委員会では生涯学習推進事業の
ガイドの実績にバラツキはあるものの、自分
中で、ボランティアの指導者とボランティア
の故郷を愛する気持ちは人一倍強く、佐原の
員を育成するための準備、検討を行った。翌
町を良くしたいと願っている人達ばかりである。
平成8年度には「市町村生涯学習振興事業」
メンバーは、自分の余暇を利用し、2〜3
として「町並み案内ボランティア入門講座」
時間観光客に付添い、伊能忠敬記念館、伊能
を中央公民館主催事業として開講するに至っ
忠敬旧宅、佐原の祭りを紹介する山車会館と
た。不安と期待の中で開講したが市民の参加
いう施設、町並みの旧家などを案内している。
者は30名であった。講座は、まず佐原のまち
平成13年度は、案内回数200回、案内人数1万
の成立ち、神社や寺院の歴史、商業の歴史な
人の目標にも到達しようとしている。ボラン
どを学んで、その後、先進地の視察などを行
ティアの会員たちは、町の歴史や文化を愛し、
う5回の課程であった。講座終了後、佐原市
伝統を現代に生かしながら人と人の出会いを
三菱館を拠点に町並み案内観光ボランティア
大切にし、人の温もりを感じさせる町になる
の会が23名の市民により結成された。
ように願って活動を続けている。
(町並み案内
ボランティアの会 会長 吉田昌司)
なお、その年の12月には、佐原の古い町並
みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定
伊能忠敬記念館の対応
された。
同講座は平成9、10年度にも同様の内容で
伊能忠敬記念館は平成10年5月にリニュー
開講されたが、その後、ボランティアの会か
アルオープンした。これに先立ち、ボランテ
ら自分たちで町の文化財や建物の学習を進め、
ィアの会から館内案内の申し出があったので、
ボランティアの育成も会が自ら行うとの話が
館の職員により2度の常設展示解説会を開催
あったので、公民館の講座の役割は終了した
した。館の展示にはそれぞれねらいがあるの
と判断し、現在は開講していない。
(佐原市中
で、できるだけわかりやすく会員にそれが伝
央公民館 副主査 香取孝勇)
わるように解説するように努めた。平成12年
度には初めて本格的な特別展を開催し、常設
ボランティアの活動
会のメンバーは、家庭の主婦、商店主、退
展示の一部も展示で使用することから、同様
にボランティアの会に展示解説会を開催した。
職した元会社役員や元教師などと多彩で、平
ボランティアの展示解説は、館からお願いす
展示解説風景
佐原市町並み案内ボランティア町並み解説風景
(展示案内ではマイクを使わずに解説している)
(前から3番目のハッピ着用者がボランティア
員で、マイクを使用して解説している)
−28−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
る場合もあるが、上述の成立事情などから、
佐原の町並みを見ることが地域の活性化にも
会独自に町並みの解説と併せて行っている方
つながるとの考えにより、館の利用案内に際
がはるかに多い。
しても、ボランティアの会による解説を受け
また、記念館としては、館だけではなく、
ることを勧めている。
袖ケ浦市郷土博物館におけるボランティア活動
袖ケ浦市郷土博物館
袖ケ浦市郷土博物館では、
「袖ケ浦市社会教
多
田
信
子
活動の概要
育推進員」という10名のボランティアが活躍
推進員の活動は、昭和62年(1987)から現
している。これらの設置及び活動の概要は次
在まで、主に教育普及事業の中で行われてき
のとおりである。
た。当初は事業の実施段階から係わるという
状況であったが、徐々に計画の作成にも参加
設置の概要
するように働きかけていった。この段階では、
(1)設置の時期及び根拠
推進員と職員双方の遠慮が最大の障害であっ
昭和62年(1987)
たように感じられた。つまり、推進員側には
「袖ケ浦市社会教育推進員の設置に関する
「博物館=行政であり、一市民である自分の意
見を実施したいなどということが受け入れら
要綱」
(2)設置の目的
社会教育の推進
(3)設置の個所
公民館・市民会館・図書館・郷土博物館
(4)推進員の職務
れる筈が無い。
」という気持ちがあり、博物館
職員には、
「1年間3万円のみという報償で、
さらにボランティアとはいえ実際には協力を
依頼した方に計画段階からの参加依頼は、精
神的あるいは時間的な負担が大きいのではな
社会教育機関の長の監督のもとに社会教
いか。
」という懸念があった。しかし、数年間
育事業を実施する。
の共同作業や会議あるいは懇親会を通して次
(5)委
嘱
第に打ち解けていく中で、
「自分が楽しくない
社会教育に深い理解を示し豊富な経験を持
ことは、来館者にとっても絶対に楽しくな
つ者で、市教育委員会が実施する社会教育
い!とにかく自分が楽しいことをやってみよ
に必要な専門的知識の研修を終了した者の
う。そして、博物館が推進員の皆さんにでき
うちから教育長が委嘱する。
る唯一のお礼は、博物館を使って楽しんでも
(6)定
数
らうことです。
」という、何とも身勝手にも思
定数は100人以内。ただし、現在の博物館担
えることを博物館側から繰り返し発言し、推
当者は10名。
進員の発案もできる限り実行に移していった。
(7)任
この状況は、教育普及事業のメインである
期
2年。再任も可能。
「ミュージアム・フェスティバル」の催し物メ
償
ニューの変化に現れている。当初は、ミュー
年額30,000円
ジアムコンサートや体験学習、ミニ展示、模
(8)報
擬店を内容としていたが、2000年には推進員
−29−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
の発案で「博物館ミステリーツアー」や「博
博物館の理解者が増えることであるというの
物館ウォークラリー」
、
「何でも質問コーナー」
だ。現実に、昨年度まで推進員であった方が、
などのメニューが加わった。これは、推進員
友の会事務局を引き受け、新しくグループを
が一般市民としてもっていた博物館に対する
作って活動を開始した。さらに、博物館の研
印象を率直に披露してくれたことからスター
究テーマ「望陀布」に関連した友の会活動を
トしている。
展開しようとしている。
もう だ
ふ
「博物館へ来にくいのは、博物館のことを
その他のボランティア
知らないからなのよ。博物館の人って、毎日
何やってるの? 何だか暗くて、小難しい感
(1)草花の世話が好きだという友の会員から
じで、敷居が高いなって、私たちも思ってい
「万葉植物園」の草取りや移植のボランティア
たもの。推進員になって館の職員と話をした
活動の申し出があった。彼女らは、4月〜7
り、他の博物館の裏方を見学したりしてやっ
月の平日に毎日のように通って来た。
と見方が変わったんだもの。それまでは、博
(2)古文書の整理作業について、
「史料」を見
物館が本気で見学者と係わりたいと思ってい
たいという理由で、友の会員(古文書グルー
るなんて知らなかったもの。だから、ここで
プの有志)から申し出があり、所蔵者の許可
働いている人ややっている仕事を知ってもら
を得て実行された。
うことをメニューに入れましょうよ。
」という
(3)他の社会教育機関担当推進員(レタリング
発言である。
やイラストの技術者)により、展示用パネル
その結果、ミステリーツアー(館長室、事
や看板作成への協力を受けた。出前展示や推
務室、学芸員室、収蔵庫の一部や倉庫、機械
進員研修会での共同作業が発端である。
室を覗く)やウォークラリー(常設展示や博
(4)博学連携研究員を委嘱している学校図書室
物館施設を題材とした設問のほか似顔絵から
担当職員とその友人から博物館図書室の整備
全職員を探し出し、握手をしてポイントカー
について協力の申し出があった。全員が教員
ドをゲット!)が考え出された。特別な経費
の授業用資料調査を日常業務の一部としてい
も下準備も必要としないこのメニューは、子
るため、資料の的確な選定が期待できるもの
供を対象として始められたが、
「付き添いです。
」
と判断し、現有図書の中から、まずは教員の
という言葉で参加した大人からも「博物館が
教材研究や子供たちの調べ学習に有効なもの
近くなった。
」と意外なほど好評であった。
を選択して配架するという、館内での配置換
博物館の意図を理解し、自分が持っている
他の分野の仲間も引き込む準備も済ませて、
市民として感じていたことを率直に発言し、
提案してくる推進員は、博物館と来館者を繋
ぐスタッフとして実に頼もしい存在である。
推進員の交代と新しい関わり
推進員の任期は2年で再任も可能であるが、
10年を一つの目安にし、それ以降は友の会員
として関わっていこうという考え方が女性推
おしゃべりも手も休みなし!
進員たちの間で広がっている。博物館とじっ
フェスティバル準備作業の一こま
くり係われる推進員が交代するということは、
−30−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
るお礼は、楽しい時間を過ごしてもらうこと
えを行っている。
だけというのが現状である。
「双方が遠慮しな
まとめにかえて
いで」
、
「ボランティア自身も楽しいことを」
、
当館でのボランティアは、まだ始まったば
「無理をしないで」を共通認識に、20年近い時
かりであり、推進員以外のボランティアの保
間をかけて、やっと差し出された地域からの
険、交通費・用具代等経費的なこと、あるい
手をしっかりと握り返そうとしているところ
は個人情報の扱いなど解決しなければならな
なのである。
いことが山積している。そして私たちにでき
木更津市立金鈴塚遺物保存館(旧安西家住宅)における
ボランティア活動
金鈴塚遺物保存館
稲
葉
昭
智
・文化財の保護・活用を図るため、旧安西家
旧安西家住宅は、昭和56年より移築保存展
住宅を何か利用できないか。
示計画が検討され、木更津市太田山公園内に
以上の事項が検討された結果、旧安西家住
昭和57年から一般公開を開始した。管理は、
宅を活動拠点とするボランティア組織が結成
金鈴塚遺物保存館が行っている。
現在、正規職員2名、非常勤管理人1名の
される運びとなり、平成10年度より社会教育
体制で管理運営にあたり、
「きさらづ文化財ガ
課(現・文化課)による「きさらづガイドボ
イドボランティアの会」約40名が曜日ごとに
ランティア養成講座」が実施されている。
講座は毎年実施し、講座卒業生で会を構成
入れ替わり、旧安西家住宅の解説および日常
している。募集は、市広報などを通じ一般公
管理の一部に当たっている。
会が結成されるまでは、旧安西家住宅が市
募し、木更津市民を中心に隣接市民も若干名
指定文化財の展示物であるという考え方から、
参加している。会員の大半が、会社を定年退
入場は土間までの見学に限り、床上を原則立
職した方々であるが、勤務者も数人いる。
入禁止としていた。なお、職員が交代で週休
会の活動は、旧安西家住宅の説明と日常管
をとるため、1人勤務日が多く、館から離れ
理としてのカマド使用による燻蒸、火災を想
ている旧安西家住宅に常駐することは現在で
定した緊急時の観覧者避難誘導および初期消
も困難な状況にある。
火の活動補助である。ほかに館企画の工作教
ボランティア制度が検討された平成9年度
当時、木更津市社会教育課において以下のこ
室の協力や、企画展示の補助など自主的に可
能な範囲でお願いしている。
開設時の平成10年の会員数は29人、翌年が
とが検討された。
・公民館で歴史講座が活発に行われている状
36人、12年が44人、本年が43人となっている。
況をふまえ、市民に文化財を素材とした新た
毎年、新たな入会者がいると同時に、種々の
な生涯学習の場を提供できないか。
事情による退会者も若干おり、だいたい40人
・旧安西家住宅の茅葺き屋根管理には常駐者
前後で安定しつつあるようである。
火曜が休館日であるため、会員は曜日毎に
がいないと傷みの進行が加速するうえ、放火
などイタヅラされる危険がある。
水曜から月曜までの6班編成で、都合の良い
−31−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
曜日を選択し、出勤する体制をとっている。
複数の曜日を受け持つ人もいれば、第1週と
第3週の担当曜日のみという方もいる。
旧安西家住宅のガイド説明自体は無償であ
るが、会員の保険料・通信連絡費ほか活動費
については委託事業として有償である。活動
期間は、4月1日から翌年3月31日までで、
毎年契約を更新している。活動時間は9時か
旧安西家住宅で活動する
ら4時30分までである。
「きさらづ文化財ガイドボランティアの会」
入会後の会員に対し、市としての研修を実
施してはいない。すべて、会あるいは個人の
自己研鑽という形になっている。会の活動の
行き来に距離があり、山を上り下りしなけれ
中に、移動研修が毎年1〜2回行われており、
ばならず、常駐者には不便をかけている。こ
各地の民家を見学している。また、有志によ
れらは、公園法の制約から生じる問題で、新
る地元の歴史散策をおこなったり、会員各人
たな建物が造られないという現状にある。
が調べた成果を共通の認識とすべく、会誌
現在、旧安西家住宅の管理は、職員が随時様
子を見に行くくらいで、基本的には会にまか
「いしずえ」を刊行している。
運営上の問題点は幾つかある。まず一つは、
せている。ただし、この状態になるまでには、
会員の詰め所とトイレが旧安西家住宅にない
カマドの使用方法、火の始末の仕方、土間の
ことである。会員は普段、土間付近に常駐し
管理方法、接客態度などをめぐり職員と各会
ているが、見学用に入口を開放しているため、
員との間で幾度となく検討を重ねてきている。
冬は極めて寒い。ストーブやカマドに自然と
基本的に職員と会員との接し方は、余程のこ
会員が集まるのも無理のないことであるし、
とでない限り職員からの指示ではなく、提案
見学場所に休憩用の湯飲みやお茶菓子が出て
という形をとっている。これは、
「言われたこ
いることも当然生じてくる。しかし、観覧者
とのみしていればよい」と考える人を作らな
のなかにはこれが一部の人間がたむろしてい
いようにするとともに、会の独自性、会員の
るように見えて不快感を示す場合がある。本
自主性を尊重し、少しでもボランティアとし
来は別棟の管理事務所をつくりたいところで
て各個人がどのような活動ができるか自身で
ある。また、旧安西家住宅からトイレまでの
考えてもらいたいとの思いによる。
上総博物館におけるボランティア活動
千葉県立上総博物館
導入年次・きっかけ
鈴
木
定
明
と出ており、これがボランティアの意味の原
本題に入る前に「ボランティアとは何か」
点だと考えられる。
ということについて少し考えてみたい。ボラ
日本で「ボランティア」という言葉が使わ
ンティア(volunteer)を辞書で引くと『志願
れ出したのは1940年代終わりから1950年代初
する・自発的に申し出る・進んで提供する』
めにかけてで、欧米の新しい考え方として受
−32−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
け入れている。しかも一部を除いては最初か
則として男女、年齢、経験等は問わないとい
ら「無償奉仕活動」ということが前面に出て
うことで活動しているが、活動内容によって
理解され今日に至っている。
はこの限りではない。
かっての日本では、ボランティアという言
要項の有無
葉はなかったが、地域社会においてボランテ
ィアの原点の意味に近い形で、必要に応じた
ボランティア活動に伴う実施要項について
自発的相互扶助の考えによる活動が伝統的に
は、当該年度に予定している活動内容に合わ
行われており、有効に機能していたと思われ
せた実施要項を内規として作成し、毎年見直
る。
しを行っている。
従って、今後ボランティア活動を考えるに当
活動内容
たっては、
「無償奉仕活動」が前面に出るので
はなく、かっての日本にも存在した自発的相
当館のボランティア活動の基本的な考え方
互扶助の考えを基本とした活動として見直し
として、冒頭でも述べたように「無償奉仕活
ても良いのではないかと思われる。
動」ということではなく、自発的相互扶助の
当館におけるボランティア活動導入のきっ
考えに基づき、博物館と地域住民(県民)が
かけは、千葉県教育委員会の文部省委嘱事業
一体となっての「県民参画事業」として位置
づけている。
「県民参画事業」の一環として、今や失われつ
つある画像資料を保存・整理し幅広い活用を
このような観点から地域住民(県民)が博
図る目的で平成9年度に事業を計画・実施し
物館活動の中で「何に参画できるか」を常に
たことから始まっている。
模索することを基本としている。従って、博
物館側としては活動内容を限定せず可能なも
この時の具体的な事業展開としては、将来
のは順次取り入れて行くようにしている。
の「開かれた博物館」を目ざし、また生涯学
習時代に向けて一般県民(特に地域住民)と
開始当初は、古い写真等の画像資料等の収
博物館との結びつきを深めるために広く希望
集ということで各家庭などに残っている写真
者を募り、地元を中心に9名の方々の参画が
等を収集・整理したり、集めた写真の成果発
決まり活動を開始しました。活動は順調に進
表として写真展「懐かしのフォトグラフ」の
み、貴重な画像資料が数多く収集・整理でき
開催などを中心に行ってきた。
たので、この成果をいち早く県民に還元すべ
平成12年度からは内容を調査研究分野と保
く写真展の開催・図録の作成にまで到達する
存管理分野とに分け、活動の範囲を少しずつ
ことができました。
広げている。
<平成12年度>
これらの活動成果から館としては、今後も
(1)古い写真等の画像資料の収集(調査研
この活動内容を母体として継続できるのでは
究分野)
ないかという感触が得られたことから、その
後はボランティア活動として位置づけて移行
ボランティア活動開始当初のメンバーを
することになりました。
中心に構成。
(2)展示工作及び展示手伝い(保存管理分野)
募集の範囲
展示工作等に興味のある人を募り実施。
ボランティア活動参加者の募集については、
特に定めてはいないが可能な限り地域住民と
<平成13年度>
(1)古い写真等の画像資料の収集(調査研
究分野)
の連携を念頭におき参加者を募っている。原
−33−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
平成12年度と同メンバーを中心に活動。
(2)今後の展示計画に伴う資料調査の補助
(調査研究分野)
写真資料等の収集を中心に①の活動参加
者に依頼し、今年度は②を主体として活動。
2月に成果発表の場として写真展を計画。
(3)収蔵資料(考古)の整理補助(保存管
理分野)
活動成果の発表「懐かしのフォトグラフ」展
専門知識を必要とすることから、かって
埋蔵文化財調査機関に所属し、現在その職
を離れている人が参加。
(4)展示工作及び展示手伝い(保存管理分野)
(収蔵庫での資料整理)が中心となることから
担当学芸員が勤務している時に来館してもら
い可能な範囲で実施している。また展示工作
活動人数
及び展示手伝いは、館の展示作業に合わせて
平成10年度9名
活動してもらっている。
古い写真等の画像資料の収集
平成11年度10名
活動期間
原則1年単位で活動しているが、活動内容
古い写真等の画像資料の収集
平成12年度9名
古い写真等の画像資料の収集8名
に継続性があるものについては、数年にわた
って活動に参加してもらっている。
展示工作及び展示手伝い1名
平成13年度10名
研修制度
現状での当館のボランティア活動は、展示
将来的な展示に伴う資料調査の補助5名
収蔵資料(考古)の整理補助5名
解説ボランティアのように来館者を中心とし
展示工作及び展示手伝い1名(調査研究分
た直接的に県民と接するような内容ではいこ
野の1名兼務)
とから研修は実施していない。
ただ将来的に活動内容をより確実なものと
報償の有無
特に報償費・交通費の手当はなく、手弁当
するためには、活動内容に沿った研修は必要
であると考える。
での参加である。
但し、ボランティア会議を招集した場合に
保険制度
毎年、予算化しボランティア保険に館側で
年1回ぐらいの昼食代は予算化している。
加入している。
活動の頻度
調査研究分野:資料収集等が多いことから
館職員の対応業務の分担
当館でのボランティア活動に伴う職員の分
通年を通して活動している。定期的に会議を
開催し進捗状況等の把握を行っている。
担は、活動内容と学芸員の他業務との関連・
保管管理分野:収蔵資料の整理は館内活動
専門性を考慮して分担している。
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MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
君津市立久留里城址資料館におけるボランティア活動
君津市立久留里城址資料館
渡
邉
慶
子
当館は昭和54年、久留里城天守閣の再建と
研修についても、オリエンテーションの中
あわせて開館した。展示室面積227㎡、年間入
で担当者が行う。当該事業に係る範囲の研修
館者数約25,000人で、
『市内の歴史や民俗』・
でしかなく『研修』と言えるほどの内容でも
ないが、十分に行うようにしている。
『久留里城』に関する資料を扱う。職員の内訳
保険については、市の総合保険で対応して
は、館長(非)、職員3名(うち学芸員2名)、
いる。ただし現在のところ、あくまで『主催
日々雇用職員1名である。
ボランティア活動についてといっても、当
事業に伴うボランティア』であり、また事前
館ではいわゆる『博物館ボランティア』の登
の起案が必要なことからも、活動は制限され
録制度等もなく、恒常的・定期的な活動も行
る。
っていない。ボランティア活動の重要性は認
このように、当館ではボランティアの分野
識するものの、受け入れ体制が整っていない
に取り組み始めた段階である。以下に、試行
ため、大がかりな受け入れが困難な状況にあ
錯誤の一例として『上総掘り足場修理』の際
るためである。
のボランティア活動を紹介するとともに、課
題について述べたい。
ここでは、単発で実施されている活動を中
平成13年度、屋外展示していた『上総掘り
心に、館の現状を述べる。
まず、導入の時期についてであるが、平成
足場』の老朽化に伴い、改修を行う際にボラ
10年度以前には、記録として残されたボラン
ンティアを公募した。上総掘りに興味がある
ティア活動は見あたらない(地域住民による
という希望者を含め、7名の男性が集まった。
特定時期の清掃作業などを除く)
。
作業は二日間の工程である。
事前のオリエンテーションにおいて、この
平成11年度より、希望者から申し出のあっ
た一部の活動について、受け入れを始めた。
屋外展示の目的(完成後の足場は、資料とし
平成13年度には、館側からの公募を試みた。
て来館者の理解を深めるものであること)や、
いずれも、
『この事業なら、ボランティアが活
上総掘りとは何かについての説明を十分に行
動できる』と判断した事業内での、単発の受
っている。
作業の指導者には、上総掘り井戸を実際に
け入れである。
このような状況であるので、今のところ要
項や決まりなどはない。
同様に、予算面での配慮も現段階ではして
いない。報酬等の支払い・交通費・食費につ
掘った経歴を持つ鶴岡正幸氏(袖ヶ浦市郷土
博物館社会教育指導員)を迎えた。随時解説
を加えながらの組み立てとなり、それぞれが
熱心に取り組む姿が見られた。
いて一切の支出はなく、活動に係る消耗品な
後日、ボランティアのうちの二名が、偶然
どは、当該事業の予算で対応している。研修
当館を訪れた際、足場の様子を確認したり、
や保険については後に述べるが、当館予算で
同行者に上総掘りの解説をするなど、活動の
の負担はしていない。
広がりも垣間見えた。
このボランティア活動は講座的な色合いも
また、ボランティアに係る業務は、現在の
ところ各事業の担当者が行っている。
濃く、自発性などを含めて課題を残したが、
−35−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
職員にとってはボランティア活動に対する考
え方をつかんだ機会でもあった。
このような、単発の受け入れを積み重ねる
と同時に、今後の恒常的・組織的な受入を検
討する時期にきていると考えている。その際
に確認すべき課題の一つとして、関係者間の
認識の相違が挙げられる。この課題は、先述
した受け入れ体制の整備を妨げる根本的な要
因でもある。
ボランティアと呼ばれる活動の一つ一つの
事例において、その認識は千差万別であり、
どこまでの配慮がなされているのか疑問が残
る。当館においても同様であり、実施に先立
「上総掘り」足場の組み立てをするボランティア
った十分な議論が必要と考える。しかし厳し
い人員・予算体制の中で、そうした時間さえ
ながり』や『市民としての視点』を求める館
持てないのが現状である。
も多いが、当館では特にその期待が大きい。
また、ボランティア活動の内容は次第に多
当館には博物館協議会が設置されておらず、
様化、高度化してきているが、当館において
客観的な意見や、市民・利用者の声が事業に
も現在、郷土研究家の一人が無償で調査に協
生きる仕組みが、システムとして整備されて
力してくれている事例があるほか、高度な技
いないためである。
術や知識を習得した講座修了生・同好会のメ
今日の厳しい情勢の中で、残念ながら現段
ンバーも増えている状況にある。彼らの活躍
階ではボランティア受け入れの方向性や展望
できる場としても、ボランティア活動を考え
などを、館として具体化できてはいない。し
ていく必要があり、その際には、学習・研修
かしボランティアとの接点を積み重ねる中で、
などのソフト面の整備や、予算的な配慮も欠
参加者の声に耳を傾け、議論を深めていきた
かすことはできない。
いと考える。
ボランティア活動への期待に『地域とのつ
千葉県立安房博物館におけるボランティア活動
千葉県立安房博物館
都心から2時間、東京湾を右に見ながらひ
一
幸
集・展示・普及の諸活動をすすめてきた。
開館以来28周年を経た今年4月1日からは、
たすら南下すると、そこに豊かな自然にふれ
た安房の地がある。
小藤田
本館に「千葉県立水産共同実習所」が統合さ
温暖な気候と豊かな海に恵まれた安房の地
れ、水産高等学校の実験・実習・生態観察室
にあって、千葉県立安房博物館は「房総の海
の公開が引き継がれた。これを機に、民俗分
と生活」をメインテーマに調査研究・資料収
野のみならず、魚介類の生態など自然誌分野
−36−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
を併せ持つ総合的な海洋民俗博物館目指して、
である。
新たなスタート地点に立っている。
4月28日
第16回「波の伊八ツアー」
5月26日
第17回「鮑と潜水漁」
6月23日
第18回「勝山藩の蝦夷開拓」
『安房学講座』と題した講座を実施している。
7月28日
第19回「安房の地名Ⅱ」
平成11年度から始めたもので「海の民俗・安
8月25日
第20回「幕末の江戸湾防備と
当館では「海と安房を学ぶ講座」、略して
安房」
房の歴史文化・安房の人々・安房の自然・
「醍醐新兵衛と鯨漁」
等々をテーマとして学び語り合う場として定
9月8日
第21回「地引網と魚の観察」
10月27日
第22回「鴨川の文化財めぐり」
日時 毎月第4土曜日 午後2時〜4時
11月24日
第23回「クモ合戦と方言オジー」
(講演・講話・実演と質疑応答)
12月24日
第24回「紅葉の鎌倉散歩」
場所 安房博物館会議室
1月26日
第25回「房州の魚」
定員 80名
2月23日
第26回「企画展講演会」
3月9日
第27回「企画展現地ツアー」
期的に次のように開催している。
この『安房学講座』の企画・運営をおこな
っているのが、企画員と呼ばれているボラン
以上の講座のうちの「第16回・第22回」は
ティアの10名である。メンバーには会社員や
企画員代表の長谷川治一氏、
「第18回・第20回」
公務員、すでに現役を退いた方々で(女性3
は企画員副代表の佐野邦雄氏が講師を務めて
名を含み)年齢は20代から80代と様々である。
いる。
企画員が集まったきっかけは、平成12年1
また、講座の募集方法は、開催日の1ヶ月
月、第1回安房学講座終了後に、博物館側か
前に地方の新聞各社に開催要項を送り掲載し
ら受講者に対して、今後このような講座を続
てもらう。受講者は、毎回1月前から電話で
けて行きたい、皆さんの声を反映させたいの
受けつけ、定員になり次第締め切る。受けつ
で、安房学講座の企画・運営にご協力願えな
けは博物館で行っている。なお、館外活動に
いかと投げかけたことに始まる。この時聴講
ついては、往復葉書で申し込んでもらい、定
していただいた人や、またアンケートをもと
員より申込みが多い場合は企画員会議で抽選
に、賛同していただいた人に直接参加を依頼
する方法をとっている。受講者数は、13年度
したりして、10名が集まったのである。
(13年
については、4月から、12月までの9回で、
度は本人の都合で2名が替わる)
参加者は500名(男296名、女204名)を数え、
企画員は、毎月一回「安房学講座」が行わ
平均すると毎回56名となる。
れる日の午前に安房博物館に集まり、無報酬
で当日の役割分担(司会、受付、湯茶等)や
平成14年度の「安房学講座」実施について、
資料の作成などを行ったり、館外活動の時に
企画員会議で次のようなことが話し合われた
は、各集合場所での参加費の徴収、参加者の
(1)今後、常時講座に参加してくれるメンバ
安全確保、グループごとの参加者の掌握など
ーを、総受講者の半数まで増やしていく。
「安
を行っている。また、年度末には、実施済の
房学講座」もすでに2年を経過して、地元の
講座の反省をしつつ、次年度の講師候補者案
講師も一巡し終わったようであるので、地元
を持ちより企画が話し合われる。
の伝統工芸作家や漁業者など地道な活動をし
ている方々などの掘り起こしと併せて、講座
平成13年度の「安房学講座」は、次の12回
への参加の勧誘を行い、会員自らが講師を務
−37−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
めることのできる「安房学講座」への移行を
加形態があり、特に「報償」の問題について
進めていく。
は、交通費や昼食の支援等々、ボランティア
を受け入れている博物館が様々に工夫し、悩
(2)受講者を増やし、地域の特色ある研究者の
んでいるようである。
発表機会をより増やすために、安房博物館を
当館の10名の企画員の方々はまったくの手
会場として講座を開くだけでなく、安房郡内
弁当で、参加費については、むしろ持ち出し
の他地域で行う出前講座も企画する。
(3)12月に行った「鎌倉散歩」では、40名募集
をしているのが現状となっている。当館の
のところ235名の参加希望があったので、落選
「安房学講座」の参加形態は、まさに、土地の
方々が企画・立案し、そして自ら参加するこ
者を救済する方法を考える。
以上のように話し合われた内容のうち、地
とで継続されている。今後も博物館側と、企
元の地道に活動している人々の掘り起こしや、
画員との忌憚のない意見の出し合える企画員
他地域への出前講座などの発想は、まさに企
会議を実施しながら地域に根ざし、地域から
画員の真剣さの表れと考えられる。
支えられる博物館活動を目指していきたいと
博物館のボランティア活動には、様々な参
思う。
−38−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
お
わ
り
に
調査研究委員会
動が組織されているケースが圧倒的に多いよ
昨年度刊行した「MUSEUMちば」第32号に
うに見受けられる。
おいて指摘されているように、今や博物館と
(2)ボランティアの人数
地域との連携は不可避の時代となった。前号
においては博物館友の会というテーマからこ
各館園において実際にボランティア活動を
の問題への開削を企図したが、本号では博物
行っている人員の数については、13館園が数
館ボランティアというテーマを設定し各館園
字を提示している。これをみると、10名未満
に報告を依頼した。こうした調査研究委員会
が6館ともっとも多く、ついで11名〜20名が
の呼びかけに呼応していただいた館園は20館
4館、31名〜40名が2館ある。当初から、ボ
にも達したが、これは千葉県博物館協会加盟
ランティア活動を博物館運営の枢軸と位置づ
82館園のほぼ四分の一に相当し、各館園のボ
けていた浦安市郷土博物館「もやいの会」は
ランティアに向けられた熱意が並々ならぬも
290名と抜きんでた数字となっている。
のであることをうかがわせた。ご多忙の折、
(3)報償費の支出
原稿を執筆していただいた皆様には厚くお礼
17館が報償費について触れているが、これ
申し上げます。なお各館園の内容に関しては
らのうち、明確に報償費の支給をうたってい
今年度改定新版がでた千葉県博物館協会編
るのは、袖ケ浦市郷土博物館と川村記念美術
『新・ちばの博物館』
(ぎょうせい)を参照し
館の2館のみであり、これ以外の館園におい
ては報償費は支出されていない。ただし、ど
ていただきたい。
こでも全く手弁当ということではなく、昼食
各館園におけるボランティア活動
程度の支給は相当数あるようである。前記2
館については内規により定額が支出されてい
各館園からは多岐にわたる活動報告が提示
る。
され、また同時に少なからぬ問題点の摘出も
あった。ここではまず報告事項を再整理し、
(4)要項の制定状況
ボランティア受け入れについて定めた要項
各館園におけるボランティア活動の実情を通
を整備していると報告している館園は4館あ
観しておきたい。
る。明確に「なし」としている館園は2館の
(1)募集の形態
各館園におけるボランティア募集の経緯は
みであったが、大半の館園においては制定さ
まちまちであるが、これを大きく二つに分け
れていないと思われる。ただし、ここでいう
ることができる。一つは各館園が当初からボ
要項には、ボランティア個人との雇用契約や、
ランティア募集を目的とした広報活動を実施
ボランティアから構成される任意団体との委
している場合である。この方式による募集は
託契約などに付帯する書面を含む。
5館において実施されている。もう一つは、
(5)傷害保険への加入状況
友の会やサポーター、あるいは公開講座参加
ボランティア活動を展開するに際しては、
者などを母胎とする場合であり、25館がこれ
常に万一の事態に備えなければならないが、
に該当する。この数字を見る限り、任意団体
このための保険への加入を報告している館園
や主催事業などを手掛かりにボランティア活
は9館ある。未加入と記載しているものは3
−39−
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
館あるが、全体的な状況は十分に把握できな
している点でパート職員とは一線を画すもの
い。公立館の場合は市町村の加入する保険で
である。
対応しているケースが多いが、県立上総博物
c. 展示やイベントのサポート 12館園がこの
館においては館独自でボランティア保険に加
種の活動を報告しており、展示解説とともに
入している。私立館の状況は不明である。
重要な活動と位置づけられる。サポート活動
の内容は多岐にわたるが、航空科学博物館の
(6)研修の実施状況
すでに(1)でも触れたように、ボランテ
航空機整備のように専門的な知識や技能を発
ィア立ち上げに際しては、教室・講座など広
揮してもらう活動はボランティア活動の真骨
義の教室が母胎となる事例は少なからず報告
頂といえる。
されているが、本項での研修とは活動開始後
d. 調査・研究・資料調査 6館が報告してい
のケアをいう。研修実施館園は5館のみであ
るが、佐倉市立美術館や芝山町立古墳・はに
り、未実施と報告した10館を含め、研修はあ
わ博物館のサークル活動などが注目される。
まり実施されていないと思われる。ただし、
e. 労働力提供・来館者サービス 6館から報
ここに調査・研究サポートや企画・運営に際
告されている。館の呼びかけが負担と感じら
しての活動を含めれば、少なからぬ館園にお
れない日常的な関係の形成が前提となるよう
いて何らかの研修の機会は確保されていると
である。
みることもできよう。
f. 文化財管理 やや特殊な分野で旧安西家の管
(7)どのような活動が行われているのか
各館園から寄せられた方向を一読してわか
理を委託している木更津市金鈴塚遺物保存館
が該当する。
るように、一口に博物館ボランティアといっ
ても、その内容は各館園の設置要綱や運営形
問題点
態、地域的な特性、さらには館園の規模や年
一方、ボランティア導入に伴って、多様な
間予算などといった各館固有の条件に応じて
問題点も提示されている。まず、受け入れ態
多様化、特化している。ここでは、こうした
勢をどのように作っていくのか、受け入れた
活動内容を便宜的に6類に大別してまとめて
いのだが館園側の人員や施設が不十分である
おこう。
とか、ボランティア活動が従来の学芸員の仕
a. 企画・運営 館園主催事業の企画や運営な
事を圧迫しないかとの声も聞かれた。また、
どに踏み込んだ活動が行われている館園は4
その前提として、友の会活動との棲み分けの
館と少数であった。これらの中で注目される
問題、ボランティアと館園側の意識のずれ、
のは佐倉市立美術館と県立安房博物館の両館
経費負担の問題などが支障となっている場合
であり、博物館を母胎にしてボランティアが
もある。さらに、導入後の問題として、ボラ
自立していく過程を読み込むことができる。
ンティアの高齢化や後継者の育成、人間関係
b. 展示解説 館園主催教室の講師や展示解説を
の軋櫟、多様な問題意識をもつボランティア
あげた館園は14館あり、もっとも一般的な活
をまとめ上げていくことの苦労、個人情報の
動内容となっている。中でも浦安市郷土博物
管理、館園側の評価軸の設定など運営上の問
館の「もやいの会」は注目される。また、川
題も数多く指摘されている。しかし、これら
村記念美術館のガイドスタッフの場合、雇用
の問題も各館園の創意と工夫によって解決が
の形態にのみ注目すれば「通常のパート職員
はかられるにちがいない。そのために、本報
と変わらない」ものの、真の美術愛好である
告が幾ばくか参考になれば幸いである。
スタッフが自発的に「プロの語り部」を指向
−40−
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
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22
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29
30
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32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
館 園 名
我孫子市鳥の博物館
夷隅町郷土資料館
市原市水と彫刻の丘
稲毛民間航空記念館
犬吠埼マリンパーク
伊能忠敬記念館
印旛村歴史民俗資料館
浦安市郷土博物館
大原幽学記念館
御宿町歴史民俗資料館
海岸美術館
かつうら民俗資料館
香取神宮宝物館
鹿野山神野寺宝物拝観所
鎌ケ谷市郷土資料館
鴨川シ−ワ−ルド
鴨川市郷土資料館
鴨川市民ギャラリー
川村記念美術館
君津市立久留里城址資料館
木更津市立金鈴塚遺物保存館
航空科学博物館
国立歴史民俗博物館
佐倉市立美術館
芝山町立芝山古墳・はにわ博物館
歴史の里・芝山ミューゼアム/芝山はにわ博物館
下総史料館
下総町立歴史民俗資料館
白浜海洋美術館
市立市川考古博物館
市立市川自然博物館
市立市川歴史博物館
白井市郷土資料館
宗吾霊宝堂・宗吾御一代記館
袖ケ浦市郷土博物館
多古美術サロン
館山市立博物館
千葉県南房パラダイス
千葉県酪農のさと
千葉県立安房博物館
千葉県立大利根博物館
千葉県立上総博物館
千葉県立現代産業科学館
千葉県立関宿城博物館
千葉県立総南博物館
郵便番号
住
所
270-1145 我孫子市高野山234-3
298-0124 夷隅郡夷隅町弥正93-1
290-0554 市原市不入75-1
261-0003 千葉市美浜区高浜7-2-2
288-0012 銚子市犬吠埼9575-1
287-0003 佐原市佐原イ-1722−1
270-1616 印旛郡印旛村岩戸1742
279-0004 浦安市猫実1-2-7
289-0502 香取郡干潟町長部345-2
299-5102 夷隅郡御宿町久保2200
295-0014 安房郡千倉町川戸柏尾550
299-5272 勝浦市貝掛391
287-0017 佐原市香取1697 0478-57-3211
292-1155 君津市鹿野山324-1
273-0124 鎌ケ谷市中央1-8-31
296-0041 鴨川市東町1464-18 0470-92-3061
296-0001 鴨川市横渚1401-6 0470-93-3800
296-0001 鴨川市横渚893
285-8505 佐倉市坂戸631 043-498-2131
292-0422 君津市久留里字内山
292-0044 木更津市太田2-16-1
289-1608 山武郡芝山町岩山字久田山111-3
285-8507 佐倉市城内町117
285-0023 佐倉市新町210 043-485-7851
289-1619 山武郡芝山町芝山438-1
289-1619 山武郡芝山町芝山298
270-2221 松戸市紙敷911-1
289-0108 香取郡下総町高岡1500
295-0102 安房郡白浜町白浜628-1
272-0837 市川市堀之内2-26-1
272-0801 市川市大町284
272-0837 市川市堀之内2-27-1
270-1422 白井市復1148-8 047-492-1124
286-0004 成田市宗吾1-558
299-0255 袖ケ浦市下新田1133
289-2241 香取郡多古町多古539-1
294-0036 館山市館山351-2
294-0224 館山市藤原1495
299-2507 安房郡丸山町大井686
294-0036 館山市館山1564-1
287-0816 佐原市佐原ハ-4500
292-0044 木更津市太田2-16-2
272-0015 市川市鬼高1-1-3
270-0201 東葛飾郡関宿町三軒家143-4
298-0216 夷隅郡大多喜町大多喜481
千葉県博物館協会加盟館園一覧(平成13年度版)
TEL
04-7185-2212
0470-86-3708
0436-98-1525
043-277-9000
0479-24-0451
0478-54-1118
0476-99-0002
047-305-4300
0479-68-4933
0470-68-4311
0470-44-2611
0470-76-3038
0478-57-3214
0439-37-2351
047-445-1030
0470-93-3084
0470-93-1101
0470-93-2366
043-498-2139
0439-27-3478
0438-22-3676
0479-78-0557
043-486-0123
043-485-9892
0479-77-1828
0479-77-0004
047-392-2466
0476-96-0080
0470-38-4551
047-373-2202
047-339-0477
047-373-6351
047-492-8030
0476-27-3131
0438-63-0811
0479-76-2524
0470-23-5212
0470-28-1511
0470-46-8181
0470-22-8608
0478-56-0101
0438-23-0011
047-379-2000
04-7196-1400
0470-82-3007
備
http://www.city.sawara.chiba.jp/kinenkan/
http://www.vill.inba.chiba.jp/
http://www.city.urayasu.chiba.jp/benricho/sisetu/sisetsu̲fs.html 新加盟
http://www.datas.jp/yugaku/
http://www.town.onjuku.chiba.jp/
U R L
http://www.bird-mus.abiko.chiba.jp/
http://www.bii.ne.jp/isumi-town/kiyoudosiriyoukan.htm
−41−
0470-23-5213
0470-28-1520
0470-46-8182
0470-22-8696
0478-56-1456
0438-23-2230
047-379-2221
04-7196-3737
0470-82-4959
http://www.city.tateyama.chiba.jp/oshirase/tate̲haku/
http://www.awa.or.jp/home/nanpara/
http://www.awa.or.jp/home/rakunou-no-sato/
http://www.chiba-muse.or.jp/AWA/
http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/
http://www.chiba-muse.or.jp/KAZUSA/
http://www.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/
http://www.chiba-muse.or.jp/SEKIYADO/
http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/
047-373-6352 http://www.city.ichikawa.chiba.jp/
047-339-1210 http://www.city.ichikawa.chiba.jp/nature/
047-373-6352 http://www.city.ichikawa.chiba.jp/
http://www.center.shiroi.chiba.jp/kyoudo/aakyodo2.htm
0476-27-3135
0438-63-3693
0476-96-0080
0439-37-2352
047-443-4502 http://www.city.kamagaya.chiba.jp/
http://www.kamogawa-seaworld.jp/
http://www.city.kamogawa.chiba.jp/facilities/museum/index.htm
0470-93-2366 http://www.city.kamogawa.chiba.jp/facilities/gallery/index.htm
http://www.dic.co.jp/museum
0439-27-3452
0438-22-3676 http://www.city.kisarazu.chiba.jp/kanko/index.html
0479-78-0560 http://www.aeromuseum.or.jp/
043-486-4211 http://www.rekihaku.ac.jp/
新加盟
http://www.city.sakura.chiba.jp/index.htm
0479-77-2969 http://www.haniwakan.com/
0479-77-1393 http://www.evam.ne.jp/niouson/
FAX
04-7185-0639
0470-86-3708
0436-98-1521
043-277-9000
0479-24-0449
0478-54-3649
0476-99-2233
047-305-7744
0479-68-4933
0470-68-7130
0470-44-4439
考
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−
No.
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
館 園 名
千葉県立中央博物館
千葉県立美術館
千葉県立房総のむら
千葉県立房総風土記の丘
千葉市美術館
千葉市立加曽利貝塚博物館
千葉市立郷土博物館
長南町郷土資料館
塚本美術館
TEPCO新エネルギ−パ−ク
TEPCO地球館
流山市立博物館
成田山書道美術館
成田山霊光館
成田市三里塚御料牧場記念館
成東町立歴史民俗資料館
日本画家 後藤純男 美術館
野田市郷土博物館
野田市立中央小学校教育史料館
菱川師宣記念館
藤崎牧士史料館
ふなばしアンデルセン公園子ども美術館
船橋市郷土資料館
船橋市立飛ノ台史跡公園博物館
福富雷童記念江畑美術館
平成美術館
麻雀博物館
松戸市立博物館
松山庭園美術館
睦沢町立歴史民俗資料館
METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI
茂原市立美術館・郷土資料館
八千代市文化伝承館
八千代市立郷土博物館
夢紫美術館
吉澤野球史料保存館
和洋女子大学文化資料館
下総屋画廊(賛助会員)
近藤 正(賛助会員)
郵便番号
住
所
260-8682 千葉市中央区青葉町955-2
260-0024 千葉市中央区中央港1-10-1
270-1506 印旛郡栄町竜角寺1028
270-1506 印旛郡栄町竜角寺978
260-8733 千葉市中央区中央3-10-8
264-0022 千葉市若葉区桜木町163
260-0856 千葉市中央区亥鼻1-6-1
297-0121 長生郡長南町長南2127-1
285-0024 佐倉市裏新町1-4
293-0011 富津市新富25
260-0025 千葉市中央区問屋町1-35
270-0176 流山市加1-1225-6
286-0023 成田市成田640
286-0021 成田市土屋238
286-0116 成田市三里塚御料1-34
289-1324 山武郡成東町殿台392
288-0012 銚子市犬吠埼9600-1
278-0037 野田市野田370
278-0037 野田市野田611
299-1908 安房郡鋸南町吉浜516
286-0203 富里市久能583
274-0054 船橋市金堀町525
274-0077 船橋市薬円台4-25-19
273-0021 船橋市海神4-27-2
289-2612 海上郡海上町蛇園字出清水2516
274-0824 船橋市前原東1-1-1
299-4502 夷隅郡岬町中原1-2
270-2252 松戸市千駄堀671
289-2152 八日市場市松山630
299-4413 長生郡睦沢町上之郷1654-1
270-1603 印旛郡印旛村吉高2465
297-0029 茂原市高師1345-1
276-0043 八千代市萱田460-3
276-0028 八千代市村上1170-2
289-0313 香取郡小見川町小見川581
273-0035 船橋市本中山1-6-10
272-8533 市川市国府台2-3-1
260-0027 千葉市中央区新田町2-19 山口ビル5F
283-0812 東金市福俵470
TEL
043-265-3111
043-242-8311
0476-95-3333
0476-95-3126
043-221-2311
043-231-0129
043ー222-8231
0475-46-1194
043-486-7097
0439-87-9191
043-238-8711
04-7159-3434
0476-24-0774
0476-22-0234
0476-35-0442
0475-82-2842
0479-25-5288
04-7124-6851
04-7122-2116
0470-55-4061
0476-92-1258
047-457-6661
047-465-9680
047-495-1325
0479-55-2918
047-473-1210
0470-87-8886
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043-246-8581
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−42−
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http://www.city.funabashi.chiba.jp/benri/bunka.htm#kyodo
http://www.city.funabashi.chiba.jp/benri/bunka.htm
http://www1.ocn.ne.jp/˜raido/
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U R L
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047-457-7584
047-467-1399
047-435-7450
0479-55-2110
FAX
043-266-2481
043-241-7880
0476-95-3330
0476-95-3140
043-221-2316
043-231-4986
043-225-7106
0475-46-1194
043-222-7021
0439-87-9190
043-238-8716
04-7159-9998
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0476-35-0442
0475-82-2842
0479-25-5280
04-7124-6866
04-7122-2117
0470-55-1585
備
考
MUSEUMちば 33号 2002.3 特集 地域社会と博物館(2) −博物館ボランティア−