サンプルをPDFで見る - DHC総合教育研究所

ベーシックマニュアル
安藤 進
未知との遭遇だと言えます。初めての
分野だからといって、しり込みする必
文体があります。
・「ですます調」一般向けのマニュア
ルなど
・「である調」 専門家向けの解説や論
文など
実際に翻訳していく手順を追いなが
それでも、うまくいかない場合は、
要はありません。専門分野の知識とい
うのは、あくまで、定訳を見つけ、そ
ら、役立つ辞書の紹介、訳語の見つけ
方、専門知識の獲得法、文体や用語の
インターネットで用例を検索します。
いくつかの用例を検討すると、意味が
れらしい言い回しにするために役立つ
知識なのですから。
決定など、翻訳の基本的なことについ
て説明します。
わかることがあります。
さて、専門用語らしいと考えた場合
■用語の決定
■訳語を調べるには
は、その分野の専門用語辞書で定訳を
調べます。それぞれの分野では、ほぼ
専門用語には、たとえば、「インタ
フェース」
「インターフェース」
「イン
実際の仕事では、本文は「ですます
調」で、表は「である調」などと細か
原文を読むときに、個々の単語につ
いて、一般的な意味で使われている
決まった表現があるのです。実務の世
界では、
「定訳」
を探すことが非常に重
タフェイス」など、さまざまな表記が
あります。
く指定されることもあります。
特に指定がない場合は、原文の用途
か、専門的な意味合いで使われている
かを検討します。その判断がすぐでき
要になります。
インターネットの世界で、各分野の
実際の仕事では、依頼元から「用語
集」が支給されるのが普通です。用語
から適切な文体を決めます。よくわか
らない場合は、発注元へ確認します。
ればよいのですが、そうでない場合
は、通常は英和辞典で調べます。手元
専門用語辞書を集めたサイトがありま
す。次の「翻訳者のためのインター
が指定されれば、どの表記にするかと
いう悩みがなくなるので助かります。
いずれにしても、異なる文体を混在さ
せることは避けるようにします。
に置きたいのは、次の三つです。
ネットリソース」がお勧めです。
しかし、指定された用語集に記載され
ていない単語が出てきた場合は、どう
■まとめ
http://www.kotoba.ne.jp/
したらよいのでしょうか。
インターネットで背景情報を調べる
原文の単語について、一般用語と専
門用語の区別ができること、これが初
・ 研究社「リーダーズ・プラス」
CD-ROM 版
■専門分野の知識を得るには
のです。これができるようになると、
原文に対する理解が深まるだけではな
めの第一歩になります。
分野に応じた「定訳」を調べ、それ
・「英辞郎」
次のサイトから CD-ROM を入手可
これまでの手順で、原文で使われて
いる定訳語が決まったものとしましょ
く、特定の企業で使われている独特な
言い回しを知ることもできます。
らしい表現ができれば、準備はほぼで
きたことになります。
http://www.alc.co.jp/
う。検索エンジンで、それらの単語を
すべて入力して検索してみるのです。
企業のホームページには、情報が満
載です。また、ホームページにはリン
実際の仕事では、指定された用語を
使用することや適切な文体にすること
英和辞典は、単語の意味を理解し、
これで、日本語でどのような言い回し
が使われているかを調べることができ
クが充実しているものも多いので、思
わぬ知識に出合うこともあります。
も大切です。依頼元とのコミュニケー
ションができるようになれば、十分こ
訳語を探すのに使用します。上記のど
れかの辞書で、文脈に合った訳語が見
ます。また、関連した図や表や画像な
どを見て、「あぁ、そういうことなの
有名な人物や、企業、製品などが原
つかればいいのですが、見つからな
かった場合は、次の手順で訳語の候補
か」とわかることがあります。
もちろん、わからないことが多けれ
文に登場した場合、検索エンジンで、
人名や企業名、製品名で検索すること
をいくつか考えます。
英語の意味を理解するには、英英辞
ば多いほど、調べる作業が増えて時間
がかかることになります。自分の得意
で、背景情報を瞬時に入手することも
できます。
典が役立つこともあります。英語の説
明を読むと、いい訳語が浮かぶことが
分野であれば、この作業が減りスピー
ドが上がります。
■文体の決定
あります。
しかし、翻訳者の仕事は、いつでも、
技術翻訳の世界では、次の三種類の
・ 小学館「ランダムハウス英和辞典」
CD-ROM 版
能
2 サーチマニュアル
翻訳者のためのインターネットリソース
・「だ調」 署名入りの雑誌記事など
の世界で仕事ができます。
安藤 進 トランスレーター / ライター
フリーのトランスレーター、ライター、青山学院大学理工
学部と多摩美術大学情報デザイン科で講師。主要な訳書は、
、
『Javaプログラ
『プログラミングの壺』
(共立出版、 1995)
『JavaScriptプログラミング』
(1997)
『Web
ミング』
(1996)
セキュリティ&コマース』
(1998)
『TCP/IP ネットワーク
管理』( 1998 )(以上、オライリー社)。主要な著書は、
(富士通経営研修所、 1996『
)インターネッ
『Word95 入門』
『E
ト英語の読み方&書き方&調べ方』
(共立出版、1997年)
メールハンドブック』
(共立出版、 1998 年)
『技術翻訳のた
めのインターネット活用法』
(丸善、 2001 年)
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