1 - 平成27年度事業計画書 自 平成27年4月 1日 至

平成27年度事業計画書
自
平成27年4月
1日
至
平成28年3月31日
Ⅰ 方針
平成26年度の我が国経済は、安倍政権によりデフレ脱却を政策の柱とした諸政策
が進められており、緩やかな回復基調が続いているものの、年度前半には、消費税引
き上げに伴う駆け込み需要の反動減、夏の天候不順の影響、円安等の影響による物価
の上昇等から個人消費に弱みがみられ、実質GDPはマイナスとなった。
今春の春闘により、一部の企業が賃金引き上げを決定しており、これが個人消費の
動向にどのように影響するのかが注目されるところである。
一方、10月1日に予定されていた消費税の10%への引き上げは、こうした経済
情勢を勘案し、平成29年4月に延期された。
鶏肉の需給動向に関しては、平成26年度の鶏肉の需要は、牛肉、豚肉価格が高水
準で推移したこともあって、堅調に推移した。一方、鶏肉の生産は、出荷羽数で対前
年度比101.4%(主要産地協議会)と見込まれる。
一方、減少傾向で推移してきた鶏肉の輸入については、平成26年4月以降ブラジ
ル、タイからの輸入増加により増加基調に転じ、鶏肉調整品は、タイからの輸入が増
加しているが、中国からの輸入の減少により、全体では減少傾向で推移している。
また、在庫については、国産品の在庫が減少している一方、輸入品の在庫は増加し
ており、国産品への志向がうかがえる。
平成25年秋以降回復してきた鶏肉の卸売価格は、旺盛な需要に支えられ、年度を
通じ堅調に推移してきた。
しかし、食鳥を取り巻く環境は、消費税の再引き上げが予定されている中での個人
消費の動向、世界的な異常気象の頻発や円安の影響による飼料等生産資材価格の動
向、TPP交渉の帰趨、その結果に強く影響を受けるであろう鶏肉輸入の動向等に不
透明感がある中で、人材の確保難、AⅠ発生の頻発等多くの課題を抱えており、我が
国の食鳥産業は引き続き厳しい環境下にあるといえる。
-1-
決着が近いといわれるTPP交渉については、鶏肉の関税が撤廃された場合には、
国内鶏肉生産額は、その約3割にあたる年間約1,000億円が減少すると試算(農
林水産省)されるなど、国産食鳥産業は大きな打撃を受けると想定されている。こう
した状況を踏まえ、鶏肉については、農林水産物重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、
乳製品、甘味資源等)と同等の扱いとし、現行関税率(骨付きもも8.5%、その他
のもの11.9%、鶏肉調整品6%)の維持を目指し、引き続き精力的に要請活動に
取り組んでいく。
一方、国産鶏肉の消費拡大については、一昨年作成した、安心でおいしい国産チキ
ンをコンセプトとした「国産チキンシンボルマーク」の一層の普及定着を図り、国産チ
キンの適切な表示と輸入品との差別化を図るとともに、鶏肉の輸出についても、1月
に設立した「日本畜産物輸出促進協議会鶏肉輸出準備分科会」を中心に、オールジャパ
ン体制で鶏肉輸出の可能性を検証する。
こうした状況の中で、本会の目的である「食鳥産業における生産・流通の改善、公
害の防止及び消費の普及増進を図り、畜産の発展と国民食生活の改善向上に寄与す
る」を達成するため、以下の事業に取り組む。
Ⅱ
事業内容
1
公益目的支出計画に係る実施事業
平成24年度からの一般社団法人への移行に伴い、平成23年度一般正味財産期末
残高38,504千円を、法人法及び整備法に則して公益目的事業(継続事業)で計
画的に使い切る(公益目的支出計画)こととし、次の3事業を実施する。
なお、公益目的支出計画に係る実施事業の実施期間は、平成28年度までとしてお
り、平成24年度から平成26年度に28,639千円を消化し、平成27年期末の
公益目的財産残額は9,865千円となっている。
(1)国産鶏肉生産動向等情報収集提供事業
(事業費
2,898千円)
国産鶏肉は、国産食肉の中で最も消費量が多く重要な動物性蛋白質の供給源であ
り、安定的な生産供給に資するため、生産動向について調査を実施し、会員及び関係
-2-
機関に情報を提供する。
(2)国産鶏肉安全安心等情報普及増進事業
(事業費
4,697千円)
消費者は、安全安心な食品として国産鶏肉を求めていることから、国産鶏肉の栄養
面の良さと併せて、食鳥検査制度による安全性等についての情報を普及推進し、消費
者の国産鶏肉に対する安全安心の知識を醸成する。
具体的には、カレンダー、リーフレット等の普及素材を作成し、会員及び関係者を
通じ消費者等に配布する。
(3)国産鶏肉取引規格適正表示等普及推進事業
(事業費 3,065千円)
国産鶏肉を消費者に安心して購入して頂くため、国産鶏肉について取引規格に基づ
き適正な取引を推進することが重要であり、また、高品質の鶏肉を生産流通するため、
食鳥処理場の品質管理の向上及び流通段階における具体的な品質向上を図ることが
緊急の課題となっている。
こうしたことから、国産鶏肉の適正な取引及び食鳥処理場の品質管理の向上等に関
する研修会を開催する。
また、各都道府県段階で行われる料理講習会等において、国産鶏肉の安全安心、栄
養や機能性等及び取引規格等に関する説明会を実施する。
2. 補助事業等に係る事業
(1)国産畜産物安心確保等支援事業(緊急時生産流通体制支援事業のうち緊急時鶏
肉処理体制整備等対策事業)
(補助金
30,364千円)
高病原性鳥インフルエンザ(以下「AI」という。)等の発生時において、食鳥の集
出荷・処理・流通の円滑化を促進するため、家畜伝染病予防法に基づき移動制限区域
内の食鳥処理業者が、滞留鶏肉の一時保管及び食鳥処理場の再開に必要な設備及び機
器のリースにより借り入れるのに要する経費の一部について補助するものとする。
なお、中央段階及び地域段階において検討会を開催し、本事業の円滑かつ的確な事
業実施に取り組む。
-3-
(2)国産鶏肉生産量等調査事業
(委託費
4,860千円)
国産鶏肉の生産動向を適時的確に把握するため、当協会が実施している若どり(ブ
ロイラー)の生産量調査に加えて、成鶏(採卵鶏で採卵を終了した親めす)及び地鶏
の生産量について毎月調査し、取りまとめの上、農畜産業振興機構に送付するととも
に毎月集計した結果について関係者に通知する。
(3)食肉流通改善合理化支援事業(国産食肉等新需要創出緊急対策事業)
(補助金
25,216千円)
国産鶏肉の新需要の創出や新たな商品価値に着目した取組みを推進することによ
り、国産鶏肉の生産者の経営安定と消費者の嗜好の多様化に対応した国産鶏肉の生産
加工及び流通に資するため、① 商品性創出事業、② 実証事業に取り組む。
(4)大口食肉需要者安定供給支援事業(国産食肉給食利用促進事業)
(補助金 3,481千円)
国産鶏肉の優れた特性を活用するため、高齢者向け給食レシピを開発し、特に高齢
者向けの宅配方式による給食や医療機関や介護施設における国産鶏肉の利用の拡大
を図る。
3
当協会の独自事業
(1)「国産チキンまつり」実施事業
平成21年度に定めた「国産とり肉」の日(10月29日)関連イベントとして1
0月29日(木)~31日(土)を全国統一イベント期間とし、「国産チキンまつり」
を本部・支部と連携して効果的に開催する。
なお、農林水産省の後援と全国鶏肉消費促進協議会及び全国食鳥肉販売業生活衛生
同業組合連合会と連携し取り組む。
(2)食鳥処理加工技能評価試験実施事業
(事業費
15,000千円)
公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)の認定を受け、試験官及び関係食鳥処理
場等との連携を図りながら円滑に実施する。
-4-
なお、受験者数については、昨年度と同水準の約700名程度を想定するとともに
中級及び専門級の受験者数が増加するよう取り組む。
(3)国産鶏肉市場活性化対策事業
(事業費10,059千円)
前年度に引き続き、国産鶏肉と輸入鶏肉の差別化を明確化することにより、国産鶏
肉の消費を拡大するため、平成25年度に作成した「あんしんも、おいしさも。」を
キャッチコピーとした国産チキンシンボルマークの一層の普及定着と活用に重点を
おいて事業を推進する。
本事業の具体的な取組みについては、前年度に引き続き国産鶏肉市場活性化対策事
業実行委員会において検討する。
Ⅲ
各部会における課題と取組み事項について
各部会においては、Ⅱの事業に関連する事項の他、次の事項についての課題とその
取組みを検討し、緊急性の高い事項から取り組む。
また、部会相互に関連する場合は、関連する複数の部会で合同に検討する。
1
小売部会
(1)国産鶏肉の普及啓蒙に関する素材の提供
(2)鶏肉小売取引規格及び鶏肉表示に関する事項の周知徹底
(3)全鳥連等他の団体との連携
(4)小売店の活性化等に関する情報交換
(5)その他
2
荷受部会
(1)鶏肉需給動向の情報収集及び提供
(2)国産鶏肉の需給価格動向等の情報交換
(3)低需要部位(むね肉、ささみ、きも等)の活用に関する情報交換
(4)その他
-5-
3
生産加工部会
(1)アニマルウェルフェアに関する情報交換
(2)食鳥処理場における衛生管理の向上及び検査手数料の軽減措置の検討
(3)飼養衛生管理基準及び防疫指針等に即した防疫体制の強化
(4)飼料用米の利用促進に関する情報の提供
(5)その他
4
種鶏ふ卵部会
(1)肉用鶏ひなの安定供給のための情報提供
(2)日本種鶏孵卵協会等関係機関との連携
(3)その他
5
インテグレーター部会
(1)今後の食鳥産業のあり方等の検討
(2)国産鶏肉消費拡大促進の検討
(3)その他
Ⅳ
その他の事項の取組み
1
研修視察の実施
我が国の食鳥産業の現状に照らし、海外の食鳥産業先進国における食鳥の生産・加
工及び流通販売状況等についての研修視察事業の実施に取組む。
2
日本畜産物輸出促進協議会鶏肉輸出準備分科会の活動支援
前年度に引き続き、平成27年1月に設立した日本畜産物輸出促進協議会鶏肉輸出
準備分科会の活動を支援する。
準備分科会においては、体制強化のための会員の増加を図るとともに、日本畜産物
輸出促進協議会と密接な連携を取りつつ、平成27年度畜産物輸出特別支援事業の着
実な実施を図る。
-6-