QIAGEN eyes

QIAGEN
eyes
11
News & Topics from QIAGEN
November 2014
Contents
Interview
エキソソーム中の miRNA 発現解析による
慢性肝疾患の診断法の開発
2〜3
Biobanking Review
北海道大学病院 臨床研究開発センター
研究開発推進部門 生体試料管理室 10 〜 11
Worldwide Research ̶ Hot News
エキソソーム・サミット、
サン・ディエゴで開かれる
From Nature Publishing Group
RNA 断片によって、迅速で正確ながんの
診断ができる可能性
12 〜 13
4〜6
Pathway Application
生物学者のためのシステムサイエンス入門
7〜9
Letter from Technical Service
14 〜 15
QIAGEN クイズ
15
Information ̶ ご案内および次号予告
16
Sample & Assay Technologies
Interview
エキソソーム中の miRNA 発現解析による慢性肝疾患の診断法の開発
村上 善基 准教授(大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
細胞から分泌されるエキソソームにマイクロ RNA(miRNA)が含まれていることが報告された 2007 年以降、エキソソーム中の miRNA はバイ
オマーカー候補として注目を集めている。今回、肝臓の慢性疾患のバイオマーカーとして、エキソソーム中の miRNA を調べるシステム構築を
目指す大阪市立大学大学院 医学研究科 胆肝膵病態内科学の村上 善基 准教授に話を聞いた。
エキソソーム中の miRNA 解析の意義を教えてください。
臓で見られる miRNA の 7 割は miR-122 で、miR-122 は、
エキソソームは直径 30 〜 100 nm の脂質二重膜構
コレステロール合成、肝機能維持、日内変動に関連す
造を持つ顆粒であり、あらゆる体液中に存在していま
る遺伝子の調節、慢性肝疾患の進展、発がん、線維化、
す。エキソソームは、細胞内から細胞外に放出した老
治療効果などに関係すると考えられています。
廃物と考えられていましたが、このエキソソームには、
これまでの miRNA 解析は、血清もしくは血漿の全
サイトカインや mRNA、miRNA が含まれており、細胞
RNA から行なうのが一般的でした。しかし私たちは、
間の情報伝達物質として使われていることが分かって
血清中のエキソソームが豊富に含まれる画分(エキソ
ソーム画分)を解析することで、血清からの miRNA を
きました。
村上 善基 准教授
miRNA は、成熟 mRNA の 3'非翻訳領域に結合する
20 塩基長前後の短い RNA で、タンパク質はコードし
そのまま解析するよりも再現性が高い結果が得られる
ことを、同一検体の血清を比較から明らかにしました。
ていませんが、発生、細胞の分化誘導、発がん、疾患
我々は、末梢血中のエキソソーム画分の miRNA を解
の起因や進行に関わっている と 考 え ら れ て い ま す。
析することで、慢性 B 型肝炎 4 例、慢性 C 型肝炎 64 例、
miRNA は、臓器や細胞ごとに発現プロファイルが異な
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)12 例と正常群
り、個体差は少ないという特徴があるため、エキソソー
24 例の判別を試みました(2)。血中 miRNA はもとも
ムに含まれる miRNA はバイオマーカーになると考えら
と疾患特異性が高くないため、疾患の鑑別には複数の
れています(図 1)(1)。私たちの研究グループは、エ
miRNA の組み合わせることが必要です。統計的な処理
キソソーム中の miRNA を肝臓の慢性疾患のバイオマー
を行なったところ、その発現パターンから疾患の分類
カーとして用いるための研究を進めています。
が可能であることが分かり、末梢血中のエキソソーム
画分の miRNA はバイオマーカーとして有用であること
現在進められている研究について、教えてください。
肝疾患の検査は、血液検査、CT や MRI などの画像検
査、肝生検が主体です。ここに miRNA を用いた判定が
が明らかになりました。特に慢性 C 型肝炎と正常群を
9 種 類 の miRNA で 検 討 し た 場 合、 そ の 診 断 精 度 は
96.6%でした。
加われば、診断までの時間を短縮でき、また、経過観
ただし、集めた検体自体に地域差や人種差、また検体
察が簡便になるという大きなメリットがあります。肝
自体の質のばらつきがある可能性が考えられるため、検
体数を更に増やして調べる予定です。現在、2015 年春
図2
の実用化を見据えて、人間ドックで検体を収集する臨床
血液
正常細胞
研究を計画しています。
なお、別の研究で 100 種類の血清 miRNA を解析し、
そのうちの 12 種類の miRNA を使うことで、肺がんや
卵巣がん、胃がんなど 5 種類のがんを含む計 14 種類
図 1. 血液中のエキソソームを
用いた遺伝子診断のイメージ図
正常肝細胞から放出される
エキソソームと疾患由来細
胞から放出されるエキソソー
ムは、エキソソーム内に含ま
れ る miRNA が 異 な り、 こ れ
を分別することによって、疾
患・病期の診断が可能である
(文献 1 より転載)
。
2
の疾患の有無と重症度を鑑別できることを報告しまし
た(3)。わずか 12 種類の miRNA で疾患鑑別が可能と
異常細胞
エキソソーム中の
miRNAの解析
いう結果には驚きましたね。
エキソソーム中の miRNA のサンプリングや解析方法に
疾患の診断
ついて教えてください。
エキソソームは、現在の技術では単離できません。
www.qiagen.co.jp
Issue 11/2014
Interview
そこで、エキソソームの膜表面に特異的に発現してい
る CD63 タンパク質を目印に、エキソソーム画分を抽
出して解析しています。エキソソーム画分の miRNA を
分離する標準的な方法は超遠心分離法です。最近では、
ポリエチレングリコールを用いて遠心分離法で凝集さ
せる検査キットが使われるようになりました。今のとこ
ろ最も再現性が高いのは超遠心分離法ですが、超遠心
分離機はどこにでもあるわけではなく、超遠心分離機
があったとしても 1 日に何度も使えるわけではありま
せん。一方、検査キットであればクリニックや病院、検
査機関などベッドサイドで使うことができるため、私た
ちも大きな期待を持っています。ただ、今は検査キット
のコストが検体 1 体につき数千円かかるのが難点です。
QIAGEN の exoRNeasy Serum/Plasma Maxi Kit は特殊
な遠心分離機との使用で正確性が高まるという特徴が
あり、他の遠心分離機との相性がどうなるか見ていき
たいですね。検査キットには将来的なベッドサイドでの
今後のご研究はどのような展開になりますか。
利用も見越して、まずは研究室内での手順をより少なく
先述の臨床研究の結果を、来年度には発表したいと
し、遠心分離機や担当者による解析結果のばらつきが
思います。また、当大学病院などで治療を続けている
なくなることを望みます。
患者のデータをベースに疾患の進行や薬剤の有効性と
私たちは最近、肝臓がんの血清 miRNA について、次
血清中あるいはエキソソーム画分中の miRNA のプロ
世代シークエンサーを用いた解析結果の方がマイクロ
ファイルも調べていく予定です。現在、私たちは、国
アレイを用いた場合よりも再現性が高いことを発表し
立がん研究センター研究所などとともに NEDO の「が
ました(4)。今後、エキソソーム画分と次世代シーク
ん超早期診断・治療機器の総合研究開発」プロジェク
エンサーの解析結果の照合もテーマになっていくと思
トにも参加しています。私たちの研究チームの臨床研
います。
究の途中経過を含め、プロジェクト内でエキソソーム
miRNA をバイオマーカーとして臨床応用するにあたっ
る差などの情報交換ができる体制ができているのは力
ては、どのような課題がありますか。
強いですね。
exoRNeasy Serum/Plasma
Maxi Kit
画分中の miRNA のサンプリング、解析方法、疾患によ
現時点では、エキソソームを定量的に解析する系が
最近、肝炎ウイルスがエキソソームを使って別の細
ないこと、また、エキソソームを検体の宿主別に分け
胞に感染していくという証拠が見つかっています。ま
られないことがバイオマーカーとしての精度を上げる
た、情報伝達物質であるエキソソームをドラッグデリ
ためのネックとなっています。また、検体の質をどの
バリーのキャリヤーとして使うことも想定されていま
ように担保するかも鍵になります。私たちの研究では、
す。エキソソームや miRNA の研究は今後、更におもし
再冷凍した血液では miRNA のプロファイルが変わって
ろい展開がありそうです。
しまうことが分かっています。
私たちは、miRNA の種類と再現性を調べるために、
人間ドックなどで採血を 2 〜 3 ml 多めにしてもらい、
真空管を 3 本ほどに小分けにしてもらうよう依頼する
予定で、こうした手間、そして施設からの運搬、受診
者の情報と検体の情報の照合などについても研究プロ
トコールを作成しなければなりません。過剰診断にな
らないよう、現実的な判定基準を定めるのも課題です。
このように、miRNA をバイオマーカーとして実用化す
るには、様々なシステムを設計して全体を統合する必
要があるのです。
Issue 11/2014
参考文献
1.
松本佳也、伊丹沙織、村上善基:ウイルス感染と分泌型 microRNA.
In:小俣政男 監修,椎名秀一朗ほか編集:肝疾患 Review 2014 〜
2015.pp.100-105,日本メディカルセンター、東京
2.Murakami Y., Toyoda H., Tanahashi T., et al. “Comprehensive
miRNA expression analysis in peripheral blood can diagnose
liver disease.” PLoS One 7(10), e48366, 2012
3.Taguchi Y-h., Murakami Y., “Principal Component Analysis Based
Feature Extraction Approach to Identify Circulating microRNA
Biomarkers.” PLoS One 8(6), e66714, 2013
4.Murakami Y., Tanahashi T., Okada R., et al. “Comparison
of Hepatocellular Carcinoma miRNA Expression Profiling as
Evaluated by Next Generation Sequencing and Microarray. ”
PLoS One 9(9), e106314, 2014
Sample & Assay Technologies
3
Worldwide Research ̶ Hot News
エキソソーム・サミット、サン・ディエゴで開かれる
マイケル D. オニール
9 月 18 日、19 日両日、世界中から 120 人の科学者と臨床医学者が、米国サン・ディエゴ市で開催された 「 エキソソームとシングルセル解析サミッ
ト 」 と銘打たれた会議に集結した。エキソソームは膜に覆われた小さな小胞で、細胞内に存在しており、正常細胞やがん細胞からエンドソーム経
路と呼ばれる特定のプロセスを通じて細胞外へと放出される。エキソソーム内には膜タンパク質、細胞内タンパク質、DNA、マイクロ RNA(miRNA)
、
piRNA などを含むため、放出した元の細胞を探索する手がかりになる。
この分野は臨床での実用化に向けて急速に展開しており、2013 年のノーベル生理学医学賞が小胞移動のメカニズムを解明した科学者に贈られてい
る。その放出の正確な機序は不明だが、細胞間の情報の授受を司っていると考えられている。例えば、エキソソームが免疫系を抑制するとともに、
血管新生を促進してがんの成長を助ける物質をがん細胞から輸送することが突き止められている。
液体生検としての可能性
室の特別研究員、Leonora Balaj 博士は、エキソソーム
「 エキソソームとシングルセル解析サミット 」 は、最
Balaj 氏は小胞と脳腫瘍、特に膠芽細胞腫との関わり
(EXSCI)の Sahil Shah 氏の講演によって幕を開けた。
についての研究を行なっている。彼女はその小胞を、
Shah 氏は、エキソソームの生検へ活用することの有用
「 エキソソーム 」 とは呼ばず、より包括的な概念である
「 細胞外小胞(Extracellular vesicles[EVs]
)」 と呼ぶ。
性を指摘する。
「エキソソーム」「微小胞」「細
胞外小胞(EVs)
」の使い方は、
演 者 に よ っ て 異 な っ て い る。
「微小胞」「細胞外小胞」の 2
つはより一般的に使われてお
り、より包括的な意味を持つ。
しかし今のところ「エキソソー
ム」という言葉が厳密に定義
さ れ て い な い た め、 こ れ ら 3
つの用語を現段階では区別す
ることは難しく、本稿中の用
語は、演者の発言に沿って記
載した。
Mr. Sahil Shah
Exosome Sciences 社は、血液などの体液中のエキソ
4
Balaj 氏は当初、神経膠腫患者の血清や脳脊髄液(CSF)
ソームの検出や定量のためのツールを開発している。同
に含まれる変異型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ 1
社の代表的製品である Enzyme-Linked Lectin Specific
(IDH1)の検出や濃度の測定を目指していた。変異型
Assay(ELLSA)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
、結
IDH1 は、神経膠腫患者の 80 %、膠芽細胞腫患者の
核(TB)などの他、卵巣がん、皮膚がん、乳がん、リ
20%で検出されているものだ。Balaj 氏は、変異細胞と
ンパ腫、大腸がんなどのがんに関連したエキソソームを
野生細胞のスパイクイン RNA から、
デジタル PCR によっ
判定するツールとして広く認知されている。
て非常に高感度、すなわち野生型コピー 10,000 個中に
Shah 氏は冒頭、Exosome Sciences 社がエキソソーム
含まれる 1 個の変異型 IDH コピーを検出可能なことを
に対象を絞っている理由を説明した。エキソソームは、
示した。そしてこの手法を用いて CSF サンプルを解析
細胞間の通信機能を担っており、特定の細胞と相互作用
したところ、63%から変異型 IDH1 が検出された。さら
すること、またエキソソームは非常に安定であって、内
に Balaj 氏らのチームは、mRNA と miRNA を含んだ血
容物を破壊されないよう保護していることなどを挙げる。
漿由来の EVs と血清由来の EVs についてそれぞれ特徴
Shah 氏によると、エキソソーム研究の主要目標は、エキ
づけを、血清サンプルについては miScript miRNA PCR
ソソーム自体を「液体生検」
として活用することだという。
Arrays(QIAGEN)を、mRNA については RT2 Profiler
エキソソームサンプルの採取は、非侵襲的で、さらに繰
PCR Array Human Cancer Pathway Finder(QIAGEN)
り返し行なうことも容易であり、また、疾患の早期発見
を用いて行なった。その結果、EVs の特徴は、膠芽細胞
を可能にすると考えられるからだ。Shah 氏は、
エキソソー
腫の患者と対照群とで明確に異なることが分かった。
ム表面の糖タンパク質を、レクチン 4 およびレクチン 5
Balaj 氏は、今回の発見は、EVs が循環腫瘍由来の診断
を用いて結合させるアフィニティ単離法について解説し
ツールとしての可能性を広げ、さらに次世代コンパニオ
た。彼らはこの単離法によって、このエキソソーム・カー
ン診断や個別の腫瘍の変異プロファイル化を大幅に進歩
ゴ(異なる miRNA のプロファイルを持つ、など)をが
させる可能性を示したと考えている。なお、Balaj 氏らは、
んのバイオマーカーやがんサブセットの予測バイオマー
血漿由来の EVs、CSF 由来の EVs の観察にはクライオ
カーとして用いることを目標の 1 つとしている。
TEM 法を用いている。
脳腫瘍のバイオマーカーとしての有用性
エキソソーム単離・観察をより高精度に
次の講演者である Massachusetts General Hospital/
Dr. Leonora Balaj
の脳腫瘍バイオマーカーとしての可能性を解説する。
近 設 立 さ れ た ば か り で あ る Exosome Sciences, Inc.
Harvard Medical School の Xandra Breakfield 博士研究
www.qiagen.co.jp
翌日 19 日(金)は、Scintillon Institute for Biomedical
and Bioenergy Research(San Diego, California)
の教授、
Issue11/2014
X/2014
Issue
Worldwide Research ̶ Hot News
John Nolan 博士による基調講演によって幕を開けた。
必要があるという。また、採血管によってもバイアスが
Nolan 氏は自社が開発したエキソソームの単離装置につ
生じるため、これらを標準化しなければならないと語る。
いて解説する。
Skog 氏は、治療に対するがんの反応を観察するために
Nolan 氏は、EVs はバイオマーカーや、治療標的とし
エキソソームの RNA プロファイルを利用することの有
て、または EVs 自体が治療法として大きな可能性を持っ
用性について語り、そのためにはプロファイル化を再現
ていると述べる。しかし、体液からの抽出・単離などは
可能で確実なものにしなければならないと強調した。
難しい問題であるという。EVs は、不均一で非常に小さ
Exosome Diagnostics 社は、2013 年 6 月に QIAGEN
な上に、目で確認することができないからだ。例えば、
と提携し、臨床研究市場での組織生検の限界を解消す
EVs は 70 nm から 200 nm の大きさであるため、EVs の
るための総合的な核酸検査キット群を発表した。この
単離は通常のフロー・サイトメトリーでは非常に難しい。
企業提携は、Exosome Diagnostics 社の持つプラット
Nolan 氏は、この単離の問題を解消するために考案した
フォームテクノロジーの世界的流通を迅速化すること
ナノ粒子フロー・サイトメトリーと呼ばれる新型のフ
を目的としている。Exosome Diagnostics 社のキット製
ロー・サイトメトリーについて説明した。「 この装置は、
品は、組織生検を必要とせず、疾患の遺伝的スナップ
現在 2 色しか使っていないが、将来的には最大 5 色ま
ショットを患者の血液、尿、CSF からリアルタイムで
で使うことで、EVs の検出と同時にその大きさの測定も
繰り返し作成することを可能にするものである。この
可能になる 」 と Nolan 氏は述べる。さらに
「この装置は、
中で最初に商品化されたキットは、exoRNeasy Serum/
現在市販されている同タイプの装置に比べ、10 倍を超
Plasma Kit であり、QIAGEN より販売している。この
える感度がある」と Nolan 氏は語った。
製品は、これまで Exosome Diagnostics 社が販売してい
また、Boston Children's Hospital and Harvard Medical
た Exosome 50 Kit に代わる製品となっている。Skog 氏
School の 小 児 科 医 で あ る Emanuele Cocucci 博 士 は、
は、Exosome Diagnostics 社が今後も引き続き液体診断
「lattice-light–sheet microscope」 と呼ばれる、一分子感度
法の研究を続け、今後は特に前立腺がん、肺がんなど
での EVs の生細胞画像化法について報告する。
の疾患に重点を置いていく、として話を結んだ。
Dr. John Nolan
Dr. Johan Skog
Cocucci 氏は、エキソソームを治療や強力な診断ツー
伝達の媒介物として高く評価する。彼は、EVs はクラス
多発性骨髄腫におけるバイオマーカーとしての
有用性
リンが媒介するエンドサイトーシスの動的プロセスを介
Ohio State University, Internal Medicine 准教授の Flavia
ルとして、また、健康な状態と疾病状態での細胞間情報
して標的細胞と相互作用を行なっていること、また、
Pichiorri 博士は、現在、血液がんとして 2 番目に多い多発
EVs がクラスリン被覆と相互作用することを実証した。
性骨髄腫(MM)におけるエキソソームと微小胞の役割に
彼の講演では、数多くの生細胞の映像が流されており、
「新しい装置のおかげでこうした観察が初めて可能に
なったのです」と述べる。
Dr. Kenneth Henry
ついて解説した。MM は、プラズマ細胞に起きる血液が
んの一種で不治の病とされている。Pichiorri 氏によると、
MM 細胞から放出されるエキソソーム関連タンパクの量
と、正常な血漿細胞から放出されるエキソソーム関連タ
臨床での実用化に向けて
Exosome Diagnostics 社創設に科学者として加わり、
ンパクの量とでは、統計的に異なる傾向があるという。
また、Pichiorri 氏は、エキソソームの内容物についての解
現 CSO である Johan Skog 博士が行なった、「Exosomes:
析 で、MM 血 清 の も の には MHC-1 や β2-microglobulin
From Tissue to Liquid Biopsy」 と題する基調プレゼンテー
が多量に含まれていること、さらに、エキソソーム表面に
ションでは、エキソソームの臨床での応用に向けての課
存在する CD44 という分子について、レナリドミド耐性
題などが解説された。
MM 細胞のエキソソームで量が多いこと、また、ほとん
Skog 氏は、エキソソームには宝の山と言っていいほ
どのバイオマーカー分子が見つかると述べる。ただし、
Dr. James Joyce
どのハイリスク MM 患者では 250 ng/ml を超える CD44
が検出されることを報告している。
こうしたバイオマーカー分子は、何十億という数の小胞
のバルク分析に基づくものであり、サンプル収集と処理
が重要であると注意を促す。しかし、サンプル収集と処
エキソソーム解析のための新たなツール
JSR Micro, Inc. のシニアリサーチサイエンティスト、
理の方法は人によってまちまちだと述べている。さらに、
Kenneth Henry 博士は、免疫親和性のある磁気ビーズを
EVs の単離の際は、
遠心分離機のローターのタイプによっ
用いたエキソソーム単離法を紹介した。
てペレット化効率が異なることも非常に重要で考慮する
X/2014
Issue 11/2014
Henry 氏によれば、完全な形で溶離しているエキ
Sample & Assay Technologies5
Worldwide Research ̶ Hot News
た初めての医療装置だという。この装置は、現在、米国
内の臨床研究に向けて、FDA の治験用医療機器の適用免
除(IDE)の承認を待っている。なお Hemopurifier は、
大腸がん、リンパ腫、皮膚がん、卵巣がん、乳がんなど
の様々ながんに由来するエキソソームを捕捉可能なこと
が最近の in vitro 研究で報告されている。
エキソソームの興味深い役割
University of Colorado-Denver の 准 教 授、Michael
Graner 博士は、がんの経路、特に脳腫瘍の多形性膠芽
腫(GBM)における EVs の役割について語った。また、
細胞内においてエキソソームの生成を駆動する小胞体ス
トレス応答(UPR)の重要性や、がん細胞から放出され
たエキソソームはがん細胞をさらに刺激する可能性につ
いても強調している。また、Graner 氏によると、EVs
は病原体によって乗っ取られることがあるという。乗っ
取られた EVs は薬物を吸収して、それを直接細胞外に
取り出す役目を果たすことで、薬剤耐性に寄与している
というのだ。
Doctor of Dental Medicine、Doctor of Medical Science、
UCLA Center for Oral/Head & Neck Oncology Research
の Director、UCLA School of Dentistry の教授などを務め
ソソームの粒度分布は 20 nm から 200 nm の範囲だとい
る David Wong 博士は、膵臓がん由来のエキソソームが
う。JSR は、エキソソーム単離・濃縮向けの ExoCap Kit
唾液中から発見されたという非常に面白い研究報告を示
を複数開発しており、これらのキットの組成としては、
した。つまり、がん由来のエキソソームが何らかの経路、
エ キ ソ ソ ー ム 表 面 抗 原(CD9、CD63、CD81 ま た は
また何らかの理由で脈管の中を行き来し、唾液腺に入り
EpCAM)を認識する抗体を結合させた磁気粒子、洗浄/
込んだというのだ。膵がんでは、エキソソームが大量に
希釈緩衝剤、エキソソーム溶離緩衝剤ということだ。
放出されることから、Wong 氏は、移動するエキソソー
カナダの企業である Norgen Biotek Corp. のシニアリ
ムの目的について、「 エキソソームが免疫系中央指揮所
サーチサイエンティスト、Bernard Lam 博士は、同社が
に入り込んで、既知の免疫抑制効果を発揮することで膵
エキソソーム解析向けに開発している各種ツールを紹介
がんを助けているのではないか 」 と述べている。
した。Norgen 社は、次世代用途向けの核酸・タンパク
なお会場では、プレゼンテーションだけでなく、興味
質の精製の基材としてシリコン・カーバイドを使用して
深 い ポ ス タ ー が 数 多 く 展 示 さ れ て お り、 そ の 中 で
いる。Norgen 社は、siRNA や miRNA など全ての RNA
Cold Spring Harbor Laboratory の大学院生、Sudipto
を わ ず か 20 分 間 で 正 確 に 単 離 で き る Norgen Total
Chakrabortty 氏による 「Intercellular Transfer of Functional
RNA Purification Kit を開発しており、また、その他にも、
RNA Molecules through Exosomes(エキソソームによる
エキソソーム前処理、超遠心分離、フェノール/クロロ
官能基 RNA 分子の細胞間輸送)」 にベストポスター賞が
フォルム抽出などを必要とせずエキソソーム RNA を分
贈られた。
離できる Exosome RNA Isolation Kit を販売している。
Aethlon Medical, Inc. 設立者で、現会長・CEO であり、
また、National Football League(NFL)の Denver Broncos
の元メンバーでもある James Joyce 博士は、自身の会社
の事業を紹介した。
Aethlon 社の Aethlon Hemopurifier は、HIV、C 型肝炎
などのウイルス量を 4 時間の処置で 50%減らすことが
できると Joyce 氏は語る。このようなことが可能になっ
6
www.qiagen.co.jp
WORLDWIDE RESEARCH ̶
HOT NEWS は、サイエンス
ライターとして 30 年以上の
豊富な経験を有するマイケル
D. オニール氏によって取材
編集されています。
Issue11/2014
X/2014
Issue
Worldwide
Research ̶ Hot News
Pathway Application
生物学者のためのシステムサイエンス入門(第 6 回)
北野 宏明 博士(特定非営利活動法人 システム・バイオロジー研究機構 代表)
システムバイオロジー、または網羅的かつ高度な数理解析を必要とする生命科学研究を行なうには、それに対応できる基盤技術が必要である。
今回は、包括的情報基盤となることを目指して我々が開発した、「Garuda Platform」を紹介したい。Garuda Platform は、複数の開発チームの
手によるソフトウェアに対する高度なインターオペラビリティー(相互運用性)を達成する基盤であり、今後の生命科学関連の情報基盤のデファ
クトとすることを目指している。
生命科学は、加速度的にデータ駆動型の研究になっ
ミュージックの世界でも Cubase などの中核的な音楽
てきている。大規模かつ網羅的なオミックス・データが
作成ソフトウェアに数十種類のサードパーティー・ソ
かつてない勢いで産出され、ライブ・セル・イメージン
フトウェアが連動して、多様で広大なソフトウェアの
グやハイ・コンテンツ・スクリーニングなどの多様で情
生態系とも呼べるような世界を作り出している。これ
報量の多い実験手法の開発も進んでいる。特に、最近
は、連動させようとするソフトウェアが準拠するプロ
のマルチ・オミックス・アプローチの浸透で、広範なデー
トコル、つまり、ソフトウェア間のデータや制御のや
タの統合的処理に対するニーズは大きいものがある。
り取りに関する取り決めが、十分豊富であり、明確に
同時に、ボトムアップに個別の仮説の探求を行なう研
されていることから可能となる。更に、多くの開発チー
究でも、膨大なデータベースや論文からの知識を効率
ムが、自分の得意な分野で最高のソフトウェアを投入
的に整理し、必要に応じて大規模データから知識を抽
することで、ユーザは、常に最高のソフトウェアの組
出することは必須である。このような状況にあって、広
み合わせを利用することができるのである。新たな機
範な機能を有し、柔軟にユーザの解析ニーズに対応す
能が必要になっても、すぐにそれを取り込んだソフト
るソフトウェアへの需要は大きい。しかし、生命科学分
ウェアが出現し、その環境にあるソフトウェア群は、
野のデータ解析、データマネージメント、モデリング、
常に進化し、最適な組み合わせと多様性が維持される。
シミュレーション、可視化などのニーズは、極めて多岐
このようなソフトウェア・エコロジーの出現が、コン
にわたり、単一の企業や研究グループ、プロジェクトな
ピューター・グラフィックス、デスクトップ・パブリッ
どが、これらをカバーするソフトウェア群を構築し、改
シング、コンピューター・ミュージックなどの分野を
良を継続的に行なうのはほぼ不可能である。
大きな産業に転換させた原動力である。
そこで、我々は、数年前から、Garuda Alliance を立
しかし、残念ながら、生命科学の分野では、今まで
ち上げ、広範な開発チームの提供するソフトウェア群
このようなソフトウェアのエコロジーは存在していな
の相互運用性を高め、更に、それらのソフトウェアの
かった。この現状を抜本的に変革し、生命科学の進展
アクセシビリティを向上する取り組みを始めていた。こ
をソフトウェア・エコロジーの側面から加速させ
北野 宏明 博士
れまでに数回の開発者向けのリリースを経て、2014 年
8 月に、公開 β リリースにこぎ着けた。まずは、以下の
サ イ ト(http://www.garuda-alliance.org/userstories/
garuda-1-0-beta-public-preview.html)から、ダウンロー
ドしていただきたい。
今回のリリースでは、35 種類のアプリケーション
(Garuda では Gadget と呼んでいる)がパッケージさ
れている。更に、Garuda Gateway からアプリケーショ
ンを追加ダウンロード可能である。
ソフトウェアは、いまやあらゆる産業分野で、その
生産性の向上と新たなチャレンジの中核を担っている。
デザインやデスクトップ・パプリッシングの世界では、
Adobe Creative Suite など、十数種類のソフトウェア群
を密に連携する仕組みが存在する。コンピューター・
X/2014
Issue 11/2014
図 1. Garuda Platform の全体構成
Sample & Assay Technologies7
Worldwide
Research ̶ Hot News
Pathway Application
るのが Garuda Platform である(Ghosh, et al., Software
ンス研究(Next Generation Sequencing;NGS)から
for Systems Biology: from tools to integrated platforms,
各種のバイオインフォマティックス解析、ネットワー
Nature Reviews Genetics, 2011: doi: 10.1038/nrg3096)
。
ク解析、モデル化などを経て、臨床データへと連携す
Garuda Platform のソフトウェア的な構造は、Garuda
Core から Garuda API(Application Program Interface)
ることが可能となる予定である。
更に、我々は、広範なデバイスからのデータを取得し、
へとつながる階層構造の基盤ソフトウェア、Garuda
実時間で解析を行なうアプリケーション群をオリジナ
API に準拠して開発される一連のソフトウェア群、これ
ル開発している。センサー群には、加速度センサー、
ら の ソ フ ト ウ ェ ア の 流 通 を サ ポ ー ト す る Garuda
GPS、カメラ、マイクロフォン、赤外線センサーなど
Gateway、一部の大規模計算アプリケーションをサポー
が含まれセンサーネットワークを Garuda Platform の
トする Garuda Cloud などから成り立っている(図 1)
。
統合的な機能として提供する予定である。同時に、解
Garuda Starter Package をダウンロードし、インス
析結果などから何らかの通知やアクションを行なう場
トールすると、Garuda Dashboard が現れ、35 種類の
合に対応して、モバイル端末へのメッセンジャー、モー
プリ・パッケージされたソフトウェア群が現れる。更に、
ターなどの制御、メール送信など一連の情報発信なら
追加のソフトウェアを Garuda Gateway からダウン
びにロボット制御機能も開発中である。更に、これら
ロード可能である。Garuda Gateway では、種類ごと
の次のスッテプで、実験機器との連携を行ないたいと
など各種の方法でアプリケーションを探し(図 2- 左)、
思っている。
各々の説明画面で内容を確認してからダウンロードす
デバイスからゲノムまでの一気通貫の分析
ることができる(図 2- 右)。
プリ・パッケージされているソフトウェア以外でも
Garuda は、多様なデバイスからゲノム情報までを統
ネットワーク解析を行なう Cytoscape やゲノム解析を
合プラットフォームで扱うことが目標の一つである。
行なう Galaxy などを、Garuda Platform の中で使うこ
これは、急速に増大する対象者(患者または潜在的な
とができる。ソフトウェア間の連携はシームレスに実
患者)の状態の把握を従来の方法より格段に詳細に行
現する(図 3)。更に現在、Johnson & Johnson 社が開
ない、それを、パーソナルゲノムの情報と連関させる
発した臨床データベースソフトウェア、TranSMART と
解析を行ないたいことにある。更に、単純に相関解析
の連動に向けた開発が行なわれており、次世代シーケ
を行なうだけでは多くのファクターが複雑に関連する
図 2. Garuda Gateway では、
いろいろなソフトウェアをダ
ウンロード可能である。
カテゴリーごとなど、ソフト
ウェアの一覧が表示される
(左)。興味のあるソフトウェ
アをクリックすると詳細が表
示され、ダウンロードするか
を決められる(右)。
8
www.qiagen.co.jp
Issue11/2014
X/2014
Issue
Worldwide
Research ̶ Hot News
Pathway Application
事象の解明には不十分である。Garuda は、NGS、臨床
データベースから Mobile Healthcare Device(mHealth)
までを連動させた、解析可能なプラットフォームであ
る(図 4)
。これは、生活習慣病や神経疾患系の臨床研
究に大きな貢献をすると考えている。具体的には、患
者の生活スタイルや日常に現れる運動異常などを詳
細に、かつ連続的にモニタリングすることで、より精
密な病態分類や個別化された対応の精度向上が期待
できる。
現在、Garuda Platform では、幾つかのセンサーデバ
イスの情報をリアルタイムに取り込み、それを即座に
解析するソフトウェア群の開発と同時に、前述の臨床
データベースソフトウェア TranSMART との連携を進め
図 3. Garuda では、複数のソフトウェア間の連携がシームレスに行なわれる。
ている。実際の臨床への導入は、一連の研究とソフト
ウェアの実証が完了し、一定の品質基準のクリアと規
制当局の承認を得た後になるが、承認等が要求されな
い場面での研究自体はスタート可能である。
Garuda Terminal
Garuda Platform の Launch Customer が、武田薬品工
業株式会社であるように、Garuda Platform は、アカデ
ミアだけではなく製薬業界なども含めた企業からも非
常に大きな興味をもって迎えられている。ところが、
多くの企業では、セキュリティー上の問題から、ソフ
トウェアをネットからダウンロードすることが禁じら
れているなどの事情から、ターンキーシステムとして
の納品が必要となる。更に、本格的な業務の効率化を
考えると、一つの画面では、極めて豊富な情報を見や
すく表示し、かつ、迅速に操作するのは、容易ではない。
これらの問題を解決する為に、4 面スクリーンとコン
図 4. Garuda Platform は、NGS 解析から、センサー群からのデータ取得まで、臨床データベースから
システムバイオロジー解析までを一気通貫で対応できるプラットフォームに進化する。
ピュータ本体によって構成される Garuda Terminal を
開発した(図 5)。これは、Garuda Platform がプリ・
インストールされている。企業内のデータベースと連
動させるには別途、対応ソフトウェアを加える必要が
あるが、Garuda Platform 上の多くのソフトウェアや連
携データベースと密に連動した解析を行なえることは
大 き な メ リ ッ ト で あ る。Garuda Terminal は、SBX
Technologies 社から商用提供が行なわれる。
2014 年 8 月の公開 β 版の発表以降、非常に多くの
研究者が、Garuda に準拠したソフトウェアの開発を表
明しており、極めて豊富なソフトウェア群が、密に連
関して利用できるようになると予想する。我々の意図
は、Garuda Platform を、広範な医科学研究、バイオテ
クノロジー事業を加速するツールとしてご利用いただ
き、デファクト標準とし、ソフトウェア基盤の充実を
流通性の向上を持ってこの分野に貢献することである。
X/2014
Issue 11/2014
図 5. Garuda Terminal(スクリーン 4 面構成の仕様のもの)
Sample & Assay Technologies9
Biobanking Review
北海道大学病院 臨床研究開発センター 研究開発推進部門
生体試料管理室(クリニカルバイオバンク)
西原 広史 特任准教授(北海道大学病院臨床研究開発センター 研究開発推進部門 生体試料管理室 室長、
北海道大学大学院医学研究科 探索病理学講座)
近年大学病院ベースの新規バイオバンクの設立が続いています。今回は、厚生労働省の臨床研究中核病院事業
の一環としてスタートし、病理組織に基づく解析とバイオインフォマティクス人材育成も念頭に置いたバイ
オバンクである、北海道大学病院臨床研究開発センター 研究開発推進部門 生体試料管理室を推進されている
西原 広史 特任准教授にご紹介いただきます。
1.生体試料管理室設立の経緯
核酸を抽出した上でバンキングする。こうしたコンセプトは、近い将
北海道大学病院では、臨床研究中核事業の一環として、患者さんか
来に日常検査として行なわれるであろう遺伝子レベルでの個別化診断
ら採取された種々の生体試料(組織、
血液等)を合目的に処理・保管し、
を見据えたものであり、「貯める」ことよりも「使う」ことを優先し
さらに先行的な解析を行なって臨床研究を推進するための専門部署で
て考案されたシステムである。
ある生体試料管理室(Translational Research Laboratory)を設立した。
生体試料管理室は、従来の網羅的な生体試料バンキングとは異なり、
2.生体試料管理室の特徴と機能
特定の臨床研究に対して能動的な組織採取を行ない、先行的な遺伝子
次世代シークエンサー(NGS)などによる遺伝子診断を行なうた
変異・発現解析を行なって臨床研究データを取得するとともに、診療
めには高品質の核酸が必要であるため、通常のバイオバンクで保存
に必要な解析結果は速やかに臨床医にフィードバックしている。一方、
されている検体は瞬間凍結されたものである。しかし、凍結材料の
解析の残余検体は、他の臨床研究に後日用いることを想定し、必要な
作成のためには、液体窒素やドライアイスなどの準備が必要であり、
また、凍結組織の大部分は組織像を得るこ
となく処理される。更に、OCT コンパウ
ンド包埋凍結組織から作成した凍結切片標
本の組織像の品質は低く、免疫染色などの
組織検体を用いた検討を並行することは困
難である。
しかし、遺伝子レベルの個別化診断を見
据えた場合、採取された組織に含まれる病
変の性状やその割合の把握は、正確な遺伝
子診断を行なうための必須のプロセスであ
る。そこで当管理室では、基本的に全症例
において PAXgene® Tissue System(QIAGEN)
による PFPE(PAXgene Tissue fixed paraffin
embedded)検体を作成することとした。そ
の結果、通常の FFPE(Formalin fixed paraffin
embedded)検体同様に HE 標本および免疫
染色により組織像を確認した上で、凍結材
料と同等レベルの良質な核酸の抽出を行な
うことが可能となり、また残余検体はパラ
フィンブロックのまま長期保管を行なってい
る。さらに PAXgene Tissue Container を利用
図 1. 生体試料管理室
10
することで、他施設での検体の採取・送付・
見取り図
www.qiagen.co.jp
Issue 11/2014
Biobanking Review
処理が簡便となり、北海道外の施設からの検体受入も実際に行なって
いる。また外部施設の血液検体についても、
核酸抽出が目的の場合には、
PAXgene Blood DNA System を利用している。
生体試料のバンキングのデータベースは、大学病院の電子カルテの
インターフェースを利用して連動させており、検体採取のオーダーは、
通常の検査オーダー画面上から行なうことができる。登録された患者
は匿名化 ID 番号が付与され、必要なバーコードなどが自動発行される
と同時に、必要な診療情報が自動的に電子カルテから引き出され、
バンキングデータベースに保管される。このシステムにより、臨床医
およびバンキング担当者の負担をかなり軽減することが可能となっ
た。また、保管する血液・核酸等の生体試料は、ー 80℃フリーザーに
保管されるが、1 個人の検体は全て 1 ボックスにまとめて収容する方
式を採用している。その結果、デッドスペースが多くなるという欠点
はあるものの、複数の診療科に跨った採取や経時変化を追う検討にお
図 2. クリニカルバイオインフォマティクスの概念
いても、検体が離散することなく集約した管理が可能となり、さらに
検体取り違えを防止でき、出庫の際の手間を大幅に省くこともできた。
しば検体の提出という形で協力を行なってきた。しかし、実際にがん
の個別化診断・治療を目指した臨床の最前線における遺伝子診断は、
3.クリニカルバイオバンクとは
検査方法のプラットフォームがいまだ確立されておらず、加えて遺伝
日本国内では既に、バイオバンクジャパン、東北メディカルメガバ
ンクなど、いわゆるメガバンクプロジェクトが複数稼働している一方
子診断を誰が実施するのか、という態勢も確立されておらず、臨床応
用を進める上での喫緊の課題となっている。
で、診療施設に併設する形のバイオバンクは、診療科単位でのバンキ
遺伝子診断は「診断行為」であり、患者の治療法選択、さらには予
ングなど限られた範囲の活動に留まっており、どのような施設にどの
後予測に直結する非常に重要な部分を占める。さらに、遺伝子診断結
程度の規模のバンキングがあるのか、といった全体像は把握できてい
果について、実際に遺伝子を抽出した組織片の形態学的病理診断結果
ない。しかし、診療施設併設型バイオバンクは、「合目的な高い品質
との整合性を取ることは、正しい個別化診断のために必要なプロセス
管理が可能」であり、
「診療情報と直結した生体試料の確保」が成され、
であることは言うまでもない。当探索病理学講座では、病理医がこう
また「迅速かつ少数検体の解析を行ない、診療へフィードバックする」
した問題に積極的に関与し、FFPE および PFPE 病理検体を用いて、
といった特徴を有しており、診療現場におけるニーズは今後急速に高
NGS による遺伝子診断を行なうための検査プラットフォーム作成に
まると思われる。当大学の生体試料管理室は、こうした診療施設併設
挑むと同時に、若手病理医の教育・育成を行なっている。また、臨床
型バイオバンク、すなわちクリニカルバイオバンクのモデルケースと
検査技師に対しても、こうした検体を単に取り扱うだけではなく、検
なれるよう、設備の拡充・システムを構築中である。
査業務の一環として NGS のオペレーションを行なうことができるよ
また、バンキングに関するプラットフォームやデータベースの共有
化が進み、全国的に高品質の生体試料保管が行なわれるようになると、
う、技術の獲得を支援している。
遺伝子診断の最大の難関は、得られたシークエンスデータの解析で
大規模な前向き臨床試験への対応の強化や既存のメガバンクとの連携
あり、コールされた変異が有意なものであるのか、その信頼性はどの
による日本人の大規模コホート研究の推進に寄与することが期待でき
くらいあるのか、それを最終的に判断しなければならない。こうした
る、と我々は考えている。さらに、こうしたクリニカルバイオバンク
診断に直結するバイオインフォマティクス、つまりクリニカルバイオ
の検体採取・保管の方法論が、近い将来に日常検査として診療施設レ
インフォマティクスに精通した人材が必要不可欠であるが、日本では
ベルでゲノム診断を行なう上での基盤となることも予想される。
特にそうした人材が不足しており、人材育成も大きな課題となってい
る。当大学では今年度より数学・情報科学の専門家と連携し、こうし
4.がん個別化診断の確立を目指して
たシークエンスデータなどのゲノミクスデータを、数学的アルゴリズ
DNA アレイあるいは NGS の開発・導入により、がんゲノミクス
ムによって解析し、臨床的に真に重要なものを拾い出してくるための
が飛躍的に発展したことで、診断・治療のパラダイムシフトが起こり、
解析パイプラインの作成に着手している。将来的には、こうした独自
特に癌の分子標的治療薬の開発・適応には個々の症例における分子発
の解析パイプライン(クリニカルバイオインフォティクス)を装備し
現・遺伝子変異プロファイリングが必須となっている。現在、こうし
たクリニカルバイオバンクを完成させ、生体試料の保管のみならず、
た新規の検査方法は、これまでの研究的側面から臨床応用へとシフト
迅速な遺伝子解析によって治療に有益と考えられるデータをいち早く
しつつある。これに伴って、使用される検体も研究用の採取から通常
診療現場にフィードバックすることで、先駆的な個別化診断に基づく
の病理検体を利用する方向に転換しつつあるため、診断病理医はしば
個別化医療を実現したいと考えている。
Issue 11/2014
Sample & Assay Technologies11
From Nature Publishing Group
RNA 断片によって、迅速で正確ながんの診断ができる可能性
William Ferguson (2013 年 1 月 31 日
Nature News オンライン掲載より)
細胞から脂質小胞によって放出される RNA 断片によって、がんの診断に新たな時代の幕が開き、場合によっては侵襲性の検査が不要になる可
能性もある。
* シ ン ポ ジ ウ ム で は、 血 液 中
および脳髄液中のエキソソー
ムに含まれる EGFRVIII mRNA
が、 神 経 膠 腫 の バ イ オ マ ー
カーとして有用な可能性が示
された。
がん細胞は、タンパク質や RNA 断片を中に含んだエ
恐れがある。カリフォルニア大学サンディエゴ校
(米国)
キソソームと呼ばれる微細な小胞を、脳脊髄液や血液、
の神経外科主任の Bob Carter は、
「血液や脊髄液中の保
尿に放出する。このエキソソームには遺伝情報が含まれ
存状態の良い RNA を利用すれば、このような遺伝的変
ているため、これを分析すれば、がんの分子構成や進行
化を非侵襲的に調べ、監視することができる」と言う。
の程度を知ることができる。マサチューセッツ総合病
臨床研究では、研究者が診断キットを使って体液から
院(米国ボストン)の研究者たちが、エキソソームには
エキソソームを単離して、
関連する遺伝情報を読み取る。
親細胞の遺伝情報が保持されていることを 2008 年に発
がん特異的な変異が見つかった後は、臨床医が定期的に
見したが、がんの診断手法としての大規模な臨床試験は
また体液を採取し、変異のレベルを調べて、患者が治療
これまで行なわれていない。
に反応しているかどうかを判定する。
「これまでは、血液や脊髄液から腫瘍の遺伝子成分を
磁気共鳴画像法(MRI)も有用な手法だが、腫瘍が画
実際に検出できたことはありませんでした。これは実に
像で見えるようになるのは少なくとも腫瘍径の直径が
新しい手法です」と、ハーバード大学(米国マサチュー
1 mm 以上になってからで、その時には既に 10 万個も
セッツ州ケンブリッジ)の神経学者 Fred Hochberg は
の腫瘍細胞が存在している状態であり、それでは早期治
語る。彼によれば、エキソソーム診断テストは、様々
療には遅すぎる可能性がある。その一方で、MRI には擬
ながんの検出や進行の監視に使える可能性があるとい
陽性の問題もある。
「通常の放射線療法を受けた患者に
う。現在、米国ニューヨーク市に本社を置く Exosome
は、治療で殺した腫瘍細胞由来の無害な遺残組織が体内
Diagnostics 社(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)
からまだ排除されずに残っていることが多いのです」
と、
が開発した新しい診断テストを使って、脳腫瘍の中で最
Hochberg は語る。こうした遺残組織は、MRI 画像上で
も多い神経膠腫だけに見られる遺伝子変異を同定する多
腫瘍の成長と誤認されることが多い。
「結果を誤認して
施設臨床研究が行なわれており、Hochberg は、試験を
しまうと、実際には治療薬の効果が上がっているのに、
主導する研究者の 1 人である。
その患者には薬が効いていないと判断してしまうでしょ
脳腫瘍以外のがん治療では、外科医が生検を行なって
う」と Hochberg は言う。
「しかし、簡単に調べられる
診断や進行段階を調べることができるが、神経膠腫のよ
神経膠腫のバイオマーカーがあれば、薬への反応を明確
うな脳腫瘍の場合には、生検を繰り返すと命にかかわる
に捉えられます」
。
こ の 臨 床 試 験 に は 米 国 の 18 の 病 院 が 参 加 し、
Accelerated Brain Cancer Cure 財団が資金を提供して
いる。Hochberg によれば、これまでに 120 人の患者の
うち 41 人が対象に選ばれている。2013 年 4 月には、
米国ボストンで開かれる国際細胞外小胞学会(ISEV)シ
ンポジウムで、途中段階での結果が発表される予定だ *。
「技術的観点からは、問題はないと考えています」と
Carter は述べている。
「この検査は現時点で確かにうま
く働いていて、感度と特異性を向上させようと最終的に
試みているところです」
。
エキソソームは、前立腺がんに対しても信頼性の高い
Thinkstock
検査手法になる可能性がある。米国では現在、前立腺が
んの非侵襲的な検査方法としては PSA 検査が最も広く
使われている。前立腺は男性の精液の液体成分を作る器
12
www.qiagen.co.jp
Issue
Issue11/2014
X/2014
Thinkstock
From Nature Publishing Group
官であり、PSA 検査では、前立腺が作るタンパク質の
McKiernan は、PSA のような現在使われている予備
一つ、前立腺特異抗原(PSA)の濃度を測定する。PSA
検査方法に比べ、エキソソームを利用した診断テストの
濃度が高いほど前立腺がんがある可能性が高いと、コ
方がより良い予測結果が得られることが分かったと言
ロンビア大学医療センター(米国ニューヨーク州)の
う。PSA 値は採血して測定するが、同時に医療機関に
泌尿器腫瘍科主任の James McKiernan は言う。しかし、
行なって直腸指診を受ける必要がある。エキソソーム診
PSA 値が高くなる原因は他にもいくつかあり、また、前
断テストの場合には、
直腸指診は必ずしも必要ではない。
立腺がんがあっても必ずしも PSA が上昇するとは限ら
「我々の研究は大いに関心を呼び、このキットの FDA に
ない。その上、2012 年 5 月に New England Journal of
よる認可に結び付けようと、いくつもの機関がまとまっ
Medicine で発表された研究によれば、前立腺がんでは、
て研究に乗り出しています。現在この研究は進行中で、
治療によって実際には患者の生存期間が延びない症例が
最後に私が確認した時点では、対象となっている患者数
多いことが明らかになった。
は約 1000 人に達していました」
。
「正直に言うと PSA はがん特異的ではなく、エキソ
Srivastava は、Exosome Diagnostics 社の前立腺がん
ソームの方が、がん特異性がはるかに高い可能性があり
キットが FDA の厳しい審査を乗り越えて認可にこぎ着
ます。PSA は、
がんを見つける一つの特異的なバイオマー
ければ、がんの治療に非常に意味を持つことになるだろ
カーにはなるかもしれませんが、エキソソームからは、
うと言う。このキットが先駆けとなり、複数の遺伝子サ
治療が必要なのは前立腺がんなのか、そうでないのかの
インを読み取るがん検査法につながると彼は期待する。
判断に使える、病気全体の特異的プロファイルが得られ
「我々が求めているのは 90%程度の精度のある方法で、
る可能性があります」と、
米国立がん研究所(NCI;メリー
そうなればそれだけを使って臨床診断ができます。NCI
ランド州ベセスダ)のがんバイオマーカー研究グループ
では、これまでにエキソソームを使った前立腺臨床試験
リーダーの Sudhir Srivastava は語る。
を 2 回行なっており、このテストの特異性を高めるた
腎生理学者で Exosome diagnostics 社の科学部門の責
めに、標準となる単離方法を検討しています」
。
任者の Wyne Comper の話では、Exosome Diagnostics
また Srivastava は、エキソソーム診断テストを PSA
社の研究者が開発した前立腺がん診断キットの診断精度
検査のような現在の診断法と併用すれば、前立腺の腫瘍
は約 75%で、これは実際に組織をとって調べる生検に
が根治療法や切除が要るほど深刻なものかどうかを、生
匹敵するという。この診断キットは、2013 年末までに
検を行なわなくても医師が判断しやすくなる可能性があ
は販売が始まる予定である†。
ると述べている。
「PSA が高い患者がいて、しかもエキ
このキットを使って研究者が調べるのは、尿サンプ
ソソームのバイオマーカーも陽性なら、これは良い判断
ルからとったエキソソーム中の遺伝的バイオマーカー
基準になります。エキソソームは、がんの検出に実に大
TMPRSS2:ERG すなわち T:E である。Comper によれば、
きな可能性を秘めており、これ以外の方法では非侵襲的
健康な人に比べ、
前立腺がんの人では T:E 量が 9 倍も高い。
に検出できない様々なものの分析に役立つでしょう」
。
Issue 11/2014
X/2014
†
現在は入手可能である。
Sample & Assay Technologies13
Letter from Technical Service
Spotlight on Expertise
エキソソーム特異的な RNA ̶ exoRNeasy システムのご紹介
Q
これまで超遠心や沈殿、その他の手法で血清、血漿からエキソソームを分離、精製しています。QIAGEN の
exoRNeasy システムを使うと何がよいのでしょうか?違いを教えてください!
A
QIAGEN の exoEasy メンブレンで精製することにより、精製時間が短縮かつバックグラウンドを減らし、より
特異性の高い RNA 精製が可能になりました。
スピンカラム法を用いて、エキソソーム由来の RNA を特異的に
分離、精製することで、ノイズを最小限にした、より精度の高い
バイオマーカー探索が可能になります。
実際、従来法の超遠心では目的のサイズ(50 〜 200 nm)より
も小さなサイズの構造物も合わせて回収されるため、解析の上で
そのバックグラウンドによる影響を受けることが懸念されます。
また血清、血漿由来の微量なサンプルでの解析は、特異性が非常
に重要なキーとなります。迅速なプロトコール、アフィニティカ
ラムによるバックグラウンドの低減は高精度で、安定した結果に
繋がります。
実際の超遠心と exoEasy メンブレン法とを比較した際の走査型電子顕微鏡の詳細はこちらから↓↓
1. QIAGEN ウェブサイト www.qiagen.co.jp の検索ボックスに製品名(exoRNeasy Serum/Plasma Maxi Kit)あるい
は Cat. no. 77064 を入力し、検索します。
2. 検索結果の該当する製品名をクリックすると製品ページが開きます。
3.
製品の詳細
のタブを開き、 クリックで拡大
を選択し、 Intact vesicles are eluted from the exoEasy
membrane with higher purity compared with ultracentrifugation をご覧ください。
Scanning EM(20k magn.)
Ultracentrifugation
Ultracentrifugation
200 nm200 nm
Eluate from
EluateexoEasy
from exoEasy
200 nm200 nm
Ultracentrifugation
exoEasy Eluate
exoRNeasy によるエキソソームおよびマイクロベシクルからの RNA 精製は、超遠心で行なう方法に比べ迅速・簡
便なため、より特異的な RNA 精製を行なうことができます。それぞれの方法で精製したエキソソームおよびマイ
クロベシクルを走査型電子顕微鏡で観察すると、インタクトなベシクルが観察され、また、超遠心法においては、
それ以外に予想されるサイズにマッチしないまたはマイクロベシクルと異なる形状の小分子も多数観察されま
した。
血清、血漿だけでなく、その他のサンプルからの精製でお困りのことがあれば、お気軽にお問い合せください!
14
www.qiagen.co.jp
Issue 11/2014
Letter from Technical Service / QIAGEN クイズ
Did you know?
日本語の QIAGEN ウェビナーも開催中!
Q
エキソソーム解析が注目されていると聞きますが、そもそもエキソソームには何が含まれ、どのような機能を
もっているのでしょうか?エキソソーム解析を始めるにあたり、必要なツール、製品には何がありますか?
A
QIAGEN ウェビナーをご存知ですか?実際にエキソソーム解析に必要な技術と共に、関連するテクニカル情報
をとりまとめています。是非ウェビナーにてご確認ください!
腫瘍などの生体組織の一部を採取する患者さんの負担をなるべく少なくするため、
Liquid Biopsy(液体生検)として、
血液や体液に着目したバイオマーカー探索、研究が増えてきています。なかでもエキソソームには、タンパクや核
酸(mRNA、microRNA、small RNA、DNA)が多く存在し、脂質膜によって分解からも守られているため、エキソソー
ムをターゲットとした解析が進められています。
そこで今回は、エキソソーム特異的 RNA 精製の内容で QIAGEN ウェビナーを開催しました。新製品 exoRNeasy
の紹介と共に、エキソソームを濃縮する必要性や、現在行なわれている各種方法との比較など、解析結果と併せて
ウェビナーでわかりやすくご紹介させていただきました。
ウェビナーの検索、視聴方法
1. QIAGEN ウェブサイト www.qiagen.co.jp の 技術情報 から e-Learning をクリック。 ウェビナー を選択し、
miRNA 研究
へお進みください。
2. 一覧から エキソソーム特異的 RNA 精製 ― 濃縮の意義とその手法 を選択し、ご視聴ください。
ご不明な点、ご質問はテクニカルサポート(E-mail:[email protected])へお問い合わせください。
QIAGEN クイズ
?
血清、血漿に存在するエキソソームを含む細胞外小胞から、こ
れらに含まれる miRNA、mRNA を単離することが可能なキット
として、exoRNeasy Serum/Plasma Maxi Kit(Cat. no. 77064)
が販売されました。このキットで単離可能な細胞外小胞の想定さ
ヒント:弊社ウェブサイト(www.qiagen.co.jp)の検索ボックスに
exoRNeasy Serum/Plasma Maxi Kit
を入力後クリックし、製品の
詳細のデータを確認!!
れるサイズは、次の番号のうちのどれでしょうか。
1)0.8 〜 1 µm
2)4 〜 20 nm
3)50 〜 200 nm
4)300 〜 500 nm
前号の QIAGEN クイズの正解:2 番(SensiPhi DNA Polymerase)
応募方法:
クイズの解答と氏名、所属(施設名、学部、研究室名)
、住所、電話
番号、メールの件名に QIAGEN クイズ応募 とご記入の上、電子メー
ル([email protected])にてご応募ください。抽選で 10 名様に
弊社から粗品を送付させていただきます。
応募期間:2014 年 12 月 26 日(金)まで
またご応募された方には、定期的に弊社の製品、アプリケーション情報
満載のメールマガジンを送付させていただきます。
注:当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
Issue 11/2014
Sample & Assay Technologies15
Information
QIAGEN は第 37 回日本分子生物学会年会にて Labcab ゾーンにも参加します!
QIAGEN の今年のテーマは 欲しい結果は適切なサンプル調製から
今年の日本分子生物学会年会、Labcab ゾーンは、 Better NGS Solutions をテーマに次世代シークエンサー
(NGS)を中心としたアプリケーションブースを設けます。QIAGEN もお客様の 欲しい結果 のために適切
なサンプル調製のご提案をさせて頂きたく展示協賛しております。これから NGS をご利用になるご研究者、
今ある結果にさらなる 最適 、 適切 、 品質 をお求めのご研究者の皆様は是非、お立ち寄りください。
協賛企業(順不同):(株)キアゲン、アズワン(株)、日本ジェネティクス(株)、トミーデジタルバイオロジー(株)、バイオ・ラッド
ラボラトリーズ(株)、エムエス機器(株)、ニュー・イングランド・バイオラボ・ジャパン(株)、ライフテクノロジーズジャパン(株)
QIAGEN ブースは情報満載!特典盛りだくさん!
欲しい結果は適切なサンプル調製から
をテーマにミニセミナーを開催します。
新たに実験を始める方へ 4 つのセミナーを設けました。是非、気軽にお立ち寄りください。
n 11 月 25 日(火)15:30 〜
誰でも簡単!正確なリアルタイム PCR
n 11 月 26 日(水)15:30 〜
NGS データ解析の精度を上げる最適核酸精製キット
15:45 〜
n 11 月 27 日(木)15:30 〜
メチル化解析をはじめよう
エキソソーム特異的 RNA 精製 〜濃縮の意義とその手法〜
学会のより詳細な情報はウェブサイト www.qiagen.com/JP/Events/MBSJ2014 をご覧ください。
疑問に思ったこともその場で解決! QIAGEN のウェビナーにご参加ください!
QIAGEN 製品をよりお役立ていただくためのノウハウや、最新のアプリケーションおよびテクノロジーをご紹介
するウェブ上のセミナーをご存知でしょうか?
ライブでの参加だけではなく、開催済みのウェビナーのアーカイブもございますので、お忙しい方でも気軽にご覧
いただけます。開催日時・内容の最新情報はウェブサイト(www.qiagen.com/knowledge-and-support/webinars/)
にて随時更新されております。また、
日本語版のウェビナーも開催しておりますので、
こちらも是非ご覧ください!
次号予告
疾患情報に基づくインフォマティクスと質の良い生体試料へのアクセスがトランスレーショナルリサー
チの重要なポイントとなります。次号ではクリニカルバイオバンクとバンクに保管されている試料を
用いたバイオマーカー探索研究の最新情報をご紹介します。
記載の QIAGEN 製品は研究用です。疾病の診断、治療または予防の目的には使用することはできません。最新のライセンス情報および
製品ごとの否認声明に関してはウェブサイト www.qiagen.co.jp の Trademarks and Disclaimers をご覧ください。QIAGEN キットの
Handbook および User Manual は www.qiagen.co.jp から入手可能です。
Trademarks: QIAGEN® (QIAGEN Group); PAXgene® (PreAnalytiX GmbH).
本文に記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 2302256 10/2014
© 2014 QIAGEN, all rights reserved
www.qiagen.co.jp
株式会社 キアゲン n 〒 104-0054 n 東京都中央区勝どき 3-13-1 n Forefront Tower II
Tel:03-6890-7300 n Fax:03-5547-0818 n E-mail:[email protected]
Sample & Assay Technologies