世界を魅了したティファニー 1837‐2007 The Jewels of TIFFANY ‐21‐9

2007 年 7 月
世界を魅了したティファニー 1837‐2007
The Jewels of TIFFANY
ティファニーの歩みのすべてが刻まれるティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ。
その重要なコレクションを、東京都庭園美術館にて公開
東京都庭園美術館(東京都港区白金台 5‐21‐9)は、ティファニーの創造の本質にかつてなく迫
る展覧会「世界を魅了したティファニー 1837‐2007 The Jewels of TIFFANY」を 2007 年 10 月
6 日(土)から 12 月 16 日(日)までの 67 日間を会期として開催します。
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブの所蔵品を中心に、約 200 点のジュエリーや装身
具によって、ティファニーの歴史を紹介する展覧会です。展示作品には今回が世界初公開となる
作品も多く含まれる他、あのティファニー・ダイヤモンドを使用した名作 《バード・オン・ア・ロック》
も公開されます。
ティファニーは、その魅力的で創造性豊かなデザインと、優れた技術によって知られるハイジュ
エラー(高級宝飾店)です。1837 年ニューヨークのブロードウェイに、贈答品や高級雑貨を扱うファ
ンシー・グッズの店として開業して後、19 世紀後半には万国博覧会でグランプリをはじめとする
様々な賞を獲得し、世界的な名声を得るようになりました。その成功は、創立者チャールズ・ルイ
ス・ティファニー(1812‐1902)の創業精神に基づき、デザイン、技術、素材のクオリティを徹底して
追求していることによります。ティファニーは、長い伝統に基づいたヨーロッパの宝飾工芸を常に
意識しながらも、アメリカ独自の美意識をとりいれ、現在も革新的な作品を生み出し続けています。
本展ではその創立から現在にいたるまでの 170 年を、それぞれの時代に好まれたモチーフや素
材などを切り口として、10 章からなる構成で紹介します。
この展覧会はロンドン、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館のクレア・フィリップス氏の監修に
より 2006 年 6 月から 2007 年 1 月にかけてロンドンのギルバート・コレクションで行われました。
日本展のあとに、韓国をはじめとする世界各国で開催予定の国際巡回展です。
日本展は、東京都庭園美術館のみの開催となります。1933 年に竣工したアール・デコ様式の
建物で知られる旧朝香宮邸をそのまま美術館として使用している東京都庭園美術館は、その特
色ある空間を活かした個性的な展覧会活動をおこなっています。特に宝飾工芸の展覧会では多く
の実績があり、今回もティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブとの連携により、ロンドン展出品
作にさらに新作を加え、より充実した展示内容といたします。
この件に関するお問い合わせ先
東京都庭園美術館
〒108-0071 東京都港区白金台 5‐21‐9
TEL: 03‐3443‐0201/FAX: 03-3443-3228
担当:高波 広報担当:八巻(やまき)
世界を魅了したティファニー 1837‐2007
The Jewels of TIFFANY
開催要項
【展覧会タイトル】 世界を魅了したティファニー 1837‐2007
【英文タイトル】
The Jewels of TIFFANY
【会期】
2007 年(平成 19 年)10 月 6 日(土)‐12 月 16 日(日)
〔休館日 第 2・第 4 水曜日(10/10、10/24、11/14、11/28、12/12)〕
【開館時間】
午前 10 時‐午後 6 時〔入館は午後 5 時 30 分まで〕
【会場】
東京都庭園美術館
〒108-0071 東京都港区白金台 5‐21‐9
TEL: 03‐3443‐0201 テレホンサービス: 03‐3443‐8500
【一般の方からのお問い合わせ先:東京都庭園美術館 TEL:03‐3443‐0201】
URL: http://www.teien-art-museum.ne.jp/
【主催】
財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、テレビ朝日
【特別協力】
ティファニー・アンド・カンパニー
【後援】
東京都、アメリカ大使館
【協賛】
戸田建設株式会社、東京ガス株式会社
【企画協力】
アプトインターナショナル
【料金】
一般
1200(960)円
大学生〔専修、各種学校を含む〕
960(760)円
小・中・高校生および 65 歳以上
600(480)円
( )内は 20 名以上の団体料金
未就学児、障害のある方とその介護者 1 名、教育活動として教師の引率する都内の
小・中・高校生および教師は無料(事前の申請が必要です)
第 3 水曜日(10/17、11/21)は 65 歳以上の方は無料
【出品点数】
ティファニー創立時から現代までのジュエリー、装身具など約 200 点
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世界を魅了したティファニー 1837‐2007
The Jewels of TIFFANY
関連企画
【記念講演会】
〔第 1 回〕
講師:アナマリー・V・サンデッキー
(ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ、ディレクター)
演題:「ティファニー その歴史と魅力」(仮題)
日時:10 月 6 日(土) 午後 2 時‐3 時 30 分 (開場は 1 時 30 分)
会場:東京都庭園美術館 新館大ホール
定員:250 名(当日受付。事前予約の必要はありません)
料金:無料。ただし展覧会の観覧には別途入場券が必要です。
〔第 2 回〕
講師:久我なつみ
(作家、日本ペンクラブ会員)
演題:「日本を愛したティファニー、創業時代より続く日本とのかかわり」
日時:11 月 9 日(金) 午後 2 時‐3 時 30 分 (開場は 1 時 30 分)
会場:東京都庭園美術館 新館大ホール
定員:250 名(当日受付。事前予約の必要はありません)
料金:無料。ただし展覧会の観覧には別途入場券が必要です。
【フロアレクチャー】 *美術館入館者対象、無料、事前予約は不要
展覧会の内容をより深く理解していただくため、担当学芸員による展示解説を
行います。
10 月 23 日(火)、11 月 15 日(木)
各回とも午後 2 時より。1 時間程度を予定。
会場:東京都庭園美術館 展示室内
【ミュージアムコンサート】 *美術館入館者対象、無料、事前予約は不要
(れきぶん連携プロジェクト−東京都歴史文化財団11文化施設連携事業)
10 月 15 日(月)、11 月 5 日(月)
各回とも午後 2 時‐3 時 (開場は 1 時 30 分)
会場:東京都庭園美術館 新館大ホール
定員:250 名
企画:東京文化会館
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世界を魅了したティファニー 1837-2007
The Jewels of TIFFANY
展示構成
1. アメリカン・ジュエラーの夜明け The Rise of an American Institution
ティファニー創立者のチャールズ・ルイス・ティファニー(Charles Lewis Tiffany 1812‐1902)は、
斬新なアイディアを具体化し、人々の支持を得る術を心得ていた人物でした。
その卓越したアイディアは、例えば 1858 年に敷設された大西洋横断ケーブ
ルを使った記念品(右図)に見ることができます。このような話題性のある手ごろ
な値段のファンシー・グッズを作る一方で、ヨーロッパ王室のコレクションから入
手した宝石を使用したジュエリーも手がけ、ヨーロッパの宝飾工芸の粋を吸収
しながら、ハイジュエラー(高級宝飾店)として成長していったのです。ナポレオ
ン 3 世の妃であるウージェニーが所有していたダイヤモンドも、ティファニーの
デザインに組み込まれ、新しい輝きを得ることとなりました。
大西洋横断ケーブルを
使用した記念品
彼はまたマーケティングの重要性をいち早く認識し、広い範囲において顧客を獲得するために、
カタログによるメールオーダー販売をスタートさせます。さらに新しい顧客の目をひきつけるため、
ヨーロッパやアメリカで開催される万国博覧会に出品し、評判を高めました。そして宝飾界の中心
地パリに、1850 年にオフィスを、1868 年には店舗を構えるに至りました。
ティファニーの成功により、ようやくアメリカに独自のジュエリーが誕生したといえます。新しい国
アメリカの文化を作り出すこと。それはティファニーの同時代人たちにとって大きな課題でした。彼
の愛国精神の強さは、ルビー、サファイヤ、ダイヤモンドで誇らしげにはためく星条旗をかたどった
ブローチにも表れています。
2. 夢の殿堂 Temple of Fancy
『ニューヨーク・イブニング・エクスプレス』紙は 1875 年、ティファニーを「夢の殿堂(Temple of
Fancy)」と評しました。赤ちゃん用ブレスレットからモーニング・ジュエリー(喪に服す際に使用され
るジュエリー)まで、また古典様式からエキゾチックなアジア風デザインまで、幅広い商品やデザイ
ンで、人々のあらゆる望みに応えるティファニーは、まさしく「夢の殿堂」でした。
この章では、ティファニーのジュエリーに表れた様々な様式を紹介します。
まず特筆すべき作品は、アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンが 1861 年
に就任式の舞踏会で着用するために妻に贈ったパール・ネックレスとブローチ
と同じデザインのセットです。(広報掲載用ビジュアル no.1〈ネックレス、ブローチ(セット)〉参照)
またチェズノーラ・コレクション所蔵の古代ギリシャのデザインを模したブレス
レットは、1878 年のパリ万博でゴールド・メダルを受賞した、考古学的な様式のジュエリーの良い
例です。一方、後にガラス工芸家として知られることとなるルネ・ラリック(René Lalique 1860‐
1945)が、1890 年代にティファニーのためにデザインしたブローチは、貴石をちりばめて写実的に
植物を描いたもので、自然主義的な作例といえます。
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3. 夢をかたちに ― ダイヤモンド、真珠、虹色に輝く宝石
Such stuff as dreams are made on
ティファニーが、アメリカを代表するハイジュエラーに成長していく過程、すなわち 1870 年代か
ら第一次世界大戦にかけての時代の作品を、素材の選び方・使い方に注目して見ていきます。
この時代は、アメリカの富裕層の台頭とあいまって、ダイヤモンドを使用したジュエリーの人気
が高まっていました。ティファニーは良質のダイヤモンドを手に入れることに力を入れ、「キング・オ
ブ・ダイヤモンド(ダイヤモンドの王)」と称されます。彼が手にいれた石の一つが、「ティファニー・
ダイヤモンド」と呼ばれる約 128 カラットのファンシー・イエロー・ダイヤモンドです。(広報掲載用ビジュ
アル no.9〈ブローチ《バード・オン・ア・ロック》〉参照)
当時ダイヤモンドと同等の価値を持つとされたパールについても、ティファニー独特のこだわり
が見られます。特に淡い色で不定形の淡水パールと、コンク貝という巻貝
から採れるピンク色のコンク・パールを好んで使用しました。たとえば、19
世紀後半に作られたコンク・パールとダイヤモンドを組み合わせたコルサー
ジュ・ブローチ(広報掲載用ビジュアル
no.2〈ボディス用装身具〉参照) やルネサンス・リ
バイバル様式のペンダントは、パールが宝石のなかでも最も魅力的な美しさを持つということを鑑
賞者に示しています。
また、後に宝石学者として名を成したジョージ・フレデリック・クンツ(George Frederick Kunz
1856‐1932)をスタッフとして迎え、新しく発見された宝石も含めカラー・ストーンを積極的にとりい
れるようになりました。クンツが新しい鉱物を発見した功績を称え、ピンク色の宝石に「クンツァイ
ト」の名が残されています。
4. 華やかな装身具 Opulent accessories
杖やパラソルの柄、小物入れ、ヴィネグレット(気付け薬入れ)、喫煙具、懐中時計など、1900
年頃のおしゃれな男女にとって欠かせない装身具を集めて展示します。ティファニーのデザイナー
と職人は、これらの機能的な実用品にジュエリーと同様の繊細な細工を施しました。
中でもゴールド、プラチナ、サファイヤで作られたペンダント状のボンボニエール(ボンボン入
れ)は、その優れた造形から、1889 年パリ万国博覧会でのティファニーのゴールド・メダル受賞に
大きく貢献しました。その他の装身具も、オリジナリティの高いデザインによって展覧会のなかでも
印象的な内容になっています。
5. 自然 Nature
宝石デザインの出発点となった歴史的な様式を取り入れたものと同様に、ティファニーは自然
界からインスピレーションを得てきました。このセクションには、アメリカの装飾芸術の傑作にも数
えられる、ティファニーが創造したジュエリーの中でも最高峰の作品が集まっています。
エナメルとダイヤモンドで描いた蘭の花は、ティファニーの偉大なデザイナーで
あるポールディング・ファーンハム(Paulding Farnham 1859‐1927)が作り出した
もので、1889 年のパリ万博でゴールド・メダルを受賞した作品です。この上なく見
5
事に細工された、植物学的にも正確な 7 点の作品が展示されます。(広報掲載用ビジュアル
no.3〈ブロー
チ〉参照)
エナメルとダイヤモンドが施されたライラックなど写実的な花のブローチや、ダイヤモンドとサフ
ァイヤが昆虫のはかなさを想起させるトンボのブローチなども、自然をインスピレーションの源にし
ています。
6. ポールディング・ファーンハムと 1900 年パリ万国博覧会
Paulding Farnham and the Paris Exposition of 1900
19 世紀の後半から欧米を中心に各地で開催されるようになった万国博覧会は、国家や企業が
その技術と競争力を競いあう場であり、ティファニーのデザイナーにとっても、その才能を示すまた
とない機会となりました。特に 1900 年のパリ万国博覧会は、最大の規模を誇り、世界中の耳目を
集めたものです。
この時展示された、ティファニーのチーフ・ジュエリー・デザイナー、ポールディ
ング・ファーンハムがデザインした 8 点の作品を再びこの場に集めて紹介します。
ファーンハムとルイス・コンフォート・ティファニーが共同デザインしたファヴリル・
グラス*の香水瓶(広報掲載用ビジュアル no.4〈香水瓶〉参照)も含まれています。
*ファヴリル・グラスとは、ルイス・コンフォート・ティファニーが開発した虹色に輝くガラス。
7. ルイス・コンフォート・ティファニー Louis Comfort Tiffany
創立者チャールズ・ルイス・ティファニーの息子であるルイス・コンフォート・ティファニー(Louis
Comfort Tiffany 1848‐1933)は、日本では彼自身のガラス工房(ティファニー・スタジオ)で制作さ
れた、ステンド・グラスの手法を用いたランプやインテリア・デザインで知られています。ジュエリ
ー・デザインを手がけたのは、創立者である父が亡くなった 1902 年にティファニーにとり最初のデ
ザイン・ディレクターになってからでした。彼は五番街の本店にアート・ジュエリー部門を設け、
数々の革新的なジュエリーを創造し、30 年を超える期間にわたり、ティファニーの歩みにとり、ま
たアメリカを代表するデザイナーとしても重要な存在であり続けたのです。今回の展覧会は、これ
まで彼のジュエリー作品を展示した数としては最大となる 30 点を超す作品が展示されます。
彼のデザインの特徴は異国趣味やアール・ヌーヴォーの影響を受けつつ、
半貴石の鮮やかな色彩を効果的に用いる独特の叙情的な美しさにあります。
オパールとデマントイド・ガーネット*で形作られたトンボのブローチや、サファ
イヤ、ルビー、エメラルドをゴールドで縁取ったインドの色彩を感じさせるペン
ダント(広報掲載用ビジュアル
no.5〈ネックレス〉参照)
などでは、ティファニーの主流で
あるスタイルとは一線を画していたことがよくわかります。
* 通常のガーネットは暗赤色のものが多いが、デマントイド・ガーネットは明るい緑色
をしており、ダイヤモンドと同様の分散光がある。
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8. アール・デコ Art Deco
自然の形態を写実的に表す自然主義の時代の次には、幾何学文様などの抽象的なデザイン
をとりいれたアール・デコの時代がやってきました。時代の変化は、ティファニーのジュエリーにも
見てとることができます。
最も典型的なデザインとしてあげられるのは、アール・デコの時代を象徴する
スカイスクレイパー(摩天楼)をモチーフとした、プラチナとダイヤモンドのネック
レスです。(広報掲載用ビジュアル
no.7〈ネックレス〉参照)
単純化された線で表現した抽
象文様に、時代のスピード感やシンプルな上品さが表れ
ています。またミルグレイン(小さな粒状の細工)が施さ
れたプラチナのブレスレットにも、ダイヤモンドのホワイトとサファイヤのブ
ルーの鮮やかな対比、ダイヤモンド部分の中央に様式化した小鳥が描か
れるなど、アール・デコの特徴が顕著に現れています。(広報掲載用ビジュアル
no.6〈ブレスレット〉参照)
9. ニューヨーク世界博覧会と 1940 年代 The New York World’s Fair and the 1940s
戦争にはさまれた暗い時代でありながらも、アメリカは 1929 年の世界恐慌から立ち直り、おお
らかな愛国主義によって独特の文化を花開かせていました。そして第二次世界大戦の開戦の年
にあたる 1939 年から 1940 年にかけて、ニューヨークでは大規模な世界博覧会が開催されます。
この時にティファニーが出品したのは、懐古的なデザインによるゴールド
のジュエリーや、力強い抽象文様で戦時中の愛国精神を表現したものなど
です。ホワイトとイエローのダイヤモンドを散りばめた、エメラルドとゴールド
の対比が鮮やかなブローチは 30 年代アール・デコの余韻を感じさせます。
(広報掲載用ビジュアル no.8〈ブレスレット〉参照)
自由の女神や戦闘機、ピースマーク
など、勝利や平和を表すシンボルのチャームをつけたブレスレットは、1940
年代ならではのデザインといえます。
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10. デザイナーへの回帰 The Return to the Designer
展覧会の最終セクションは、第二次世界大戦後に新しいデザイナーたちによってデザインされ
た作品を紹介します。
1956 年にティファニーと契約したフランス人デザイナー、ジーン・シュラン
バーゼー(Jean Schlumberger 1907‐1987)は、鳥や花、魚などの動植物
モチーフを好み、カラー・ストーンを大胆に使ったデザインで賞賛されました。
(広報掲載用ビジュアル no.10〈ブローチ〉参照)
多くの美術館に作品が収蔵され、没後
パリ装飾美術館で回顧展が開催されたほど、ジュエリー・デザインの歴史に
は欠かせない稀代のデザイナーです。このような栄誉に輝いたジュエリーデ
ザイナーは、彼で 3 人目でした。
本展覧会の代表作品である《バード・オン・ア・ロック》はシュランバーゼ
ーの過去のデザイン画をもとに 1995 年に制作されました。宝石がデザイン
をかえて新たに生まれ変わることはよくあります。1961 年にオードリー・ヘ
ップバーンが映画「ティファニーで朝食を」の広報写真用にこの「ティファニ
ー・ダイヤモンド」を中央にセットしたリボン型のネックレスをつけて撮影され
ています。このデザインもシュランバーゼーによるものでした。
アメリカ人デザイナーのドナルド・クラフリン(Donald Claflin 1935‐1979)は、1960 年代にティ
ファニーで活躍し、写実的でありながらユーモアにあふれたジュエリーを作り出しました。本展にも
ドラゴンやカエル、カメなどのブローチが出品されます。
1970 年代には、エルサ・ペレッティ(Elsa Peretti 1940‐)とパロマ・ピカソ(Paloma Picasso
1949‐)が参加します。ペレッティのカフ・ブレスレット《ボーン》などのシルバーやゴールドを素材と
した流線型のデザインは、そのミニマルさが醸し出す気品で国際的な評価を得ました。一方、パロ
マ・ピカソはあたかも宝石で遊んでいるような強烈な色彩と大胆なデザインが魅力的です。
また 2006 年にはビルバオ(スペイン)のグッゲンハイム美術館分館など個性的な建築で知られ
る建築家フランク・ゲーリー(Frank Gehry 1929‐)が初のジュエリー作品を発表し、話題となりまし
た。本展覧会ではゲーリーの新作までを含め、デザイナーたちが紡いできたティファニーの世界を
多角的に紹介します。
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世界を魅了したティファニー 1837-2007
The Jewels of TIFFANY
広報掲載用ビジュアル
*画像借用ご希望の方は、別紙「写真借用申請書」に必要事項を記入の上、FAXにてお送りください。
*「プレスリリース」、「写真借用申請書」は、当館ウェブサイトからもダウンロードできます。
(URL http://www.teien-art-museum.ne.jp/press/index.html)
1.ネックレス、ブローチ(セット)
【Photo: TIFFANY&CO.】
1860年頃
金、真珠
ネックレス 19.7×13.7cm ブローチ 3.2×3.8cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
楕円形の地金の上に、同心円を描くように半円
真珠をあしらったものを連ねたネックレスとブロー
チのセット。
この作品と同様のデザインのジュエリーのセット
を、アメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカー
ンが大統領就任を記念して夫人に贈っている。
2. ボディス用装身具
【Photo: TIFFANY&CO.】
1890-1895年頃
金、プラチナ、ダイヤモンド、コンク・パール
3.9×20.5cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
地面を這う2本の薔薇の枝のようにデザインされたプラチ
ナにダイヤモンドをセットし、その蕾が垂れ下がるように7つ
のコンク・パールをセットしたボディス(胴衣)用のブローチ。
大ぶりのボディス用ブローチは19世紀末に大流行した装
身具であり、ティファニーでは1893年のシカゴ万博において
同様のアイテムを2点出品している。
コンク・パールは巻貝の一種であるコンク貝から採れ、ピン
ク色をしているのが特徴。天然パールの中でも極めて希少
価値の高い真珠といえる。中央の一番大きいコンク・パール
は、取り外してペンダントとしても着用可能。
3. ブローチ
【Photo: TIFFANY&CO.】
デザイナー:
ポールディング・ファーンハム
1889-1893年
金、ダイヤモンド、ルビー、エナメル
8×6cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
胡蝶蘭の花をエナメル(無線七宝)によって写実
的に表現したブローチ。茎にあたる部分はルビー
が用いられている。このブローチと非常に類似し
たものが1889年のパリ万国博覧会に出展されて
おり、いずれもティファニーのパリ店で販売するた
めに制作されたと推測される。
4. 香水瓶
【Photo: Monica Stevenson】
デザイナー:
ポールディング・ファーンハム、
ルイス・コンフォート・ティファニー
1900年
金、プラチナ、ルビー、エメラルド、ファイヤー・オ
パール、ダイヤモンド、ガラス、エナメル
14×4.4×4.4cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
ルイス・コンフォート・ティファニーが開発した「ファヴリル・
グラス」という技法で制作された携帯用の香水瓶。金製の蓋
には半透明のエナメル(七宝)が施され、ダイヤモンドなどが
セットされている。
ティファニーは1900年パリ万国博覧会の際にファヴリル・
グラスでゴールド・メダルを受賞し、ガラス工芸の先駆として
イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館にも買い上げら
れた。
5. ネックレス
【Photo: Jan Van Pak】
デザイナー:
ルイス・コンフォート・ティファニー
メタ・オーヴァーベック
1918年頃
金、サファイヤ、ルビー、エメラルド、エナメル、シルク
71.1×9.5cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
様式化されたゴールドの枝葉に貴石をセットした、
重量感のあるペンダント。細部に施されたエナメル
が、滑らかなカボション・カット*の貴石の色に深みを
与えている。ペンダントには3本のシルクコードが通
され、裏側には葉のモチーフが青と緑色のエナメル
で装飾されている。
色彩あふれる宝石のセッティング、カボション・カッ
トの宝石、ペンダントの裏という細部にまで施された
エナメルやシンプルなシルクコードからは、インドの
ジュエリーに対する憧憬がうかがえる。
* 石の表面にファセット(切子面)を作らず、滑らかに丸みを付け
て磨き上げたカットのこと。
6. ブレスレット
【Photo: TIFFANY&CO.】
1925-1930年
プラチナ、ダイヤモンド、サファイヤ
18.5 ×2.8×3cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
1920年代から1930年代にかけてティファニーが制
作したジュエリーには、世界中を席巻したアール・デ
コ様式の特徴である、大胆な色使いと抽象的なデザ
インが数多くみられる。幾何学模様が一般的であっ
たが、このブレスレットのように小鳥が描かれている
など、抑制の効いた具象的デザインも人気があった。
7. ネックレス
【Photo: TIFFANY&CO.】
1930-1935年頃
プラチナ、ダイヤモンド
9×14cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
段状のデザインは、同時代に建てられたクライス
ラービル(1930年)、エンパイヤステートビル(1931
年)、ロックフェラーセンター(1940年)などの摩天楼
を彷彿とさせる。直線などの幾何学文様を基調とし
たアール・デコ様式の代表的な作例。
一見シンプルだが、このネックレスに使用されてい
るダイヤモンドには、長方形のバゲット・カット、木の
葉形のマーキス・カットなど様々な形のカットが使い
分けられている。
8. ブローチ
【Photo: TIFFANY&CO.】
1939年
金、プラチナ、ダイヤモンド、コロンビアン・エメラルド
8×6.2cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
このブローチは、1939-1940年のニューヨーク世界
博覧会で「ティファニー・ダイヤモンド」と共に展示さ
れている。この展示について、あるファッション記者
は「イエローもしくはシャンパンカラーのダイヤモンド
がまばゆいばかりに新しいもので、[中略] シャンパ
ンとキャンドル・ライトの組み合わせを思い起こさせ
る」と記しており、人目を引く組み合わせであったこと
が伺える。
9. ブローチ《バード・オン・ア・ロック》
【Photo: TIFFANY&CO.】
デザイナー:ジーン・シュランバーゼー
シュランバーゼーのデザイン画を元に1995年制作
ティファニー・ダイヤモンド、ダイヤモンド、
イエロー・ダイヤモンド、ルビー、金、プラチナ
5.5×4.2×1.6cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
のちに128.54カラットの「ティファニー・ダイヤモンド」
の名で知られることになる世界最大級のファンシー・
イエロー・ダイヤモンドの一つは、1877年、南アフリカ
のキンバリー鉱山で発掘された。石はパリに運ばれ
た後、ティファニーの宝石学者、ジョージ・フレデリッ
ク・クンツによってカットの工程一つ一つに目が通され、
従来より24カット面の多い82面カットのクッション・シェ
イプのブリリアント・カットが施された。
「ティファニー・ダイヤモンド」は過去に2度だけ女性
の胸元を飾っている。一度目はシェルドン・ホワイトハ
ウス夫人。そして二度目には、映画「ティファニーで朝
食を」の広報宣伝のためオードリー・ヘップバーン
(1929-1993)が身に着けている。
これまで「ティファニー・ダイヤモンド」は数多くの万
国博覧会や特別なイベントに出品され、展示のハイラ
イトとして注目を集めてきた。現在、通常はニューヨー
ク5番街の本店の1階で見ることができる。
10.ブローチ
【Photo: Victor Schrager】
デザイナー:ジーン・シュランバーゼー
1941年
金、プラチナ、ダイヤモンド、アメシスト、ルビー、エナメル
9.8×6cm
ティファニー・アンド・カンパニー・アーカイブ蔵
このブローチは1941年、ジーン・シュランバーゼー
がティファニーと仕事を始める以前に制作されたもの
である。これはシュランバーゼーの友人であり、よき
理解者であったアメリカの『ヴォーグ』誌の高名な編集
長ダイアナ・ブリーランド(1906-1989)の依頼により制
作された。このブローチのためのドローイングは現在
パリ装飾美術館に収蔵されている。
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にてご相談ください。ポジのご用意ができない作品もありますので、ご了承願います。
*作品の画像を1点以上ご掲載の上、本展をご紹介してくださる媒体に対し、本展のご招待券(5組10名様)を読者プレ
ゼント用にご提供いたします。ご希望の方は上の通信欄にその旨明記下さい。
*写真資料は、申請の目的以外には使用しないで下さい。所蔵館および著作権者との取り決めにより、営利を目的とし
た商品などへの掲載、会期終了後の掲載は許可されておりませんので、ご協力おねがいいたします。
*印刷物に使用の際は、クレジット表記が必要です。
*部分使用やトリミング、図版の上に文字を重ねるなどの処理はご遠慮ください。
*ご掲載記事の初校が出ましたら、必ず当館にも校正用初校をお送りください。
*前項により掲載した刊行物を、館に一部ご寄贈下さい。
*その他、掲載等にあたりご質問等がある場合は、下記にお問い合せ下さい。
◆返却先・問い合わせ◆
東京都庭園美術館
展示係 〒108-0071 東京都港区白金台5−21−9
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