日本で DLG 品質競技会が初めて開催

日本で DLG 品質競技会が初めて開催、85 社 551
アイテムの食肉製品が出品メダル連続受賞の
19 社の表彰も
ドイツ農業協会(DLG)主催の国際食品品質競
技会が 10 月 6~8 日の 3 日間にわたり、神奈川県
相模原市の麻布大学で開催された。福島第一原子
力発電所の事故の影響で日本製品のドイツ搬入手
続きが煩雑になったため、DLG から審査委員とし
て副総裁のアヒム・スティービング博士ら専門家
25 人が来日して特別に開催したもので、欧州以外
での開催は初めて。食肉加工メーカー85 社が出品
した 551 アイテムのハム・ソーセージやミート総
菜がドイツとまったく同じ方式で審査された。
日本開催に合わせて 5 年以上のメダル連続受賞
の表彰式が 9 日、東京都町田市のホテルで行われ、
15 年連続メダルを獲得した㈱埼玉種畜牧場(サイ
ボク)に「PREIS DER BESTEN」(最高賞)金
メダルが贈られたほか、10 年連続の 3 社に銀メダ
ル、5 年連続の 15 社に銅メダルが授与された。
DLG(Deutsche Landwirtschafts-Gesellschaft)
はドイツ農業の発展・向上を目指して 1885 年に
設立された組織でフランクフルトに本部を置く。
1887 年(明治 20 年)から品質競技会を開催、1993
年からは出品国を世界に解放し、今や世界最大に
して最も歴史と権威のあるコンテストで知られて
いる。
審査対象品目はハム・ソーセージのほかにビー
ルやワインなどの飲料、加工食品、チーズなど乳
製品など多岐にわたる。審査は国際標準化機構
(ISO) と同じ規格として採用されているドイツ工
業規格(DIN)に基づき行われ、味や色あい、香
り、添加物や香辛料など 200 近くある審査項目を
減点方式でチェック、金、銀、銅のメダルが授与
される。
連続受賞に贈られる「PREIS DER BESTEN」
(最高賞)の他、銀・銅メダル受賞した各社は次
の通り。
▽銀メダル=㈱フリーデン、
札幌バルナバフーズ㈱、
JA 高崎ハム㈱▽銅メダル=日本ハム㈱、プリマハ
ム㈱、相模ハム㈱、トーチクハム㈱、㈲シュマン
ケルステューベ(有)、大山ハム㈱、㈱ 阿蘇ナチ
ュラル・Jファーム、伊藤ハム㈱、米久㈱、春雪さ
ぶーる㈱、㈱ハム工房都路、メッツゲライ・スギヤ
マ、滝沢ハム㈱、㈲ 夢工房トンデンファーム、福
留ハム㈱
審査委員長を務めたアヒム・スティービング博士
(DLG 副総裁)の話
アヒム・スティービング博士と坂田教授
日本の多くの食肉加工会社が十数年間にわたり
DLG 国際食品品質競技会に出品してきた。しかし、
今年は原発事故の放射能の影響でドイツ国内の輸
入検査制度が改定されため、日本からの搬入が簡
単にできなくなってしまった。そこで、私どもは
日本の出品会社のために日本で審査を行おうと考
えた。ヨーロッパ以外での審査は初めてだが、今
回、
ドイツとまったく同じ審査を行うことができ、
成功したといえる。出品商品数も 500 を超え、こ
れまでのドイツでの審査より増えていることは大
変喜ばしい。
ドイツ以外の国で審査するためには DLG だけ
ではできず、パートナーがいないとできない。日
本での審査に当たり、SKW イーストアジア㈱と
麻布大学の協力があったからこそ実現できた。予
想を大きく上回る綿密な準備、審査のサポートを
していただいた両者に感謝したい。
DLG の審査の特徴は、ヨーロッパの商品だけで
なく、世界中の商品を審査するための方法をとっ
ていることだ。食肉製品の審査員はみなボランテ
イアだが、大手の食肉加工メーカー、加工機械の
メーカー、小さな食肉店などさまざまな仕事をし
ている。肉と関係があれば誰でも審査員になる資
格があるが、特別な免許が必要である。官能検査
の適性試験などを受けて、合格しなければならな
い。今回、日本に来た審査員は、食肉製品の専門
家であることに加えて、ドイツで日本製品を審査
したことがある人を選任した。なぜかと言えば、
日本とドイツの食肉製品の味にはそれぞれ特性が
あるから、経験がないと審査を行うことは難しい
からだ。
審査風景
また、日本の製品の特徴を理解するために日本
の専門家も入っている。坂田教授が 2007 年から
ドイツに来て審査を行っている。ドイツ人の審査
員が迷っている時は、その製品のことを熟知して
いる人の意見を聞いて判断することができる。
10 数年間で日本の食肉製品の品質は大きく変
わった。どこの国の会社も同じだが、品質競技会
に参加すれば参加するほど、その会社の製品のレ
ベルは向上していく。というのは、毎回の審査で
改善できた点やこれからの課題が明らかになるか
らだ。審査では食肉マイスターもいるし、大手食
肉加工メーカー、加工機械のメーカー、香辛料な
どの素材メーカーの専門家も参加しているので、
審査の結果(金、銀、銅メダル)とともに、さま
ざまな見地からの意見やアドバイスをフィードバ
ックしてもらえる。日本製品もかなりのレベルに
なってきており、今回の出品製品でも素晴らしい
品質のものが多くみられた。
今回のようなパートナーがいれば、今後も日本
で開催できる可能性は高い。今回の審査内容を踏
まえて、パートナーとも相談して、来年以降も日
本で開催するかどうかを決めたい。良かった点、
反省点を整理して、毎年あるいは 2 年に 1 回の実
施などを含めて考えていきたい。