ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察

「유라시아연구」, 제6권 제3호(통권 제14호)
2009. 9. pp. 39-64
(사)아시아․유럽미래학회
논문접수일: 2009년 8월 28일
최종수정일: 2009년 9월 10일
게재확정일: 2009년 9월 12일
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察:
テスコを中心に
A Study on the Strategies of European Retailers:
The Tesco Experience
鄭月順*
1)
<목
Ⅰ. はじめに
차>
Ⅴ. テスコのグローバル戦略の特徴
Ⅱ. 先行研究
5.1 進出特徴
Ⅲ. グローバル化の背景
5.2 参入モード
3.1 小売企業の概況
5.3 経営戦略
3.2 グローバル化の要因
Ⅵ. おわりに
3.3 小売構造の変化
参考文献
Ⅳ. テスコのグローバル化の状況
Abstract
국문 요약 : 유럽 소매기업의 글로벌 전략의 특징을 규명하기 위해, 해외진출에 있어서는 상대적으로 후
발주자이지만 기본적인 부분만을 표준화하고 그 외의 요소들은 철저한 현지화 전략으로 성장을 거듭하
고 있는 영국에 본사를 두고 있는 테스코에 대해 탐색적 연구를 실시하였다. 연구 결과 다음과 같은 특
징이 있음을 규명하였다.
첫째, 해외진출 초기에는 진출처가 대부분이 유럽 등의 선진국이었으나 유럽 소매시장 성장의 한계 때문
에 최근에는 지리적으로나 문화적으로 거리가 있는 아시아지역 진출이 현저하다. 아시아 시장 진출의 경
우는 아시아 각국의 특수성을 습득하기 위해 운영비가 상대적으로 낮은 국가나 영업하기 쉬운 국가를
선택해 테스트를 하는 방식으로 각국에 전개하고 있다. 이러한 방식은 유럽 소매기업에게는 아시아 시장
의 경우 여러 면에 있어서 컨트리 리스크가 크다는 것을 말해 주고 있다.
둘째, 진입방법의 상이점이다. 테스코는 현지에서 이미 인지도가 있는 소매체인을 매수 또는 합병을 통
한 진입모드(quick entry) 방식을 취하여 일시에 점포 확대를 하고 있다. 진입 후에도 끊임없이 현지 소
매체인을 매수하면서 급격한 성장을 해오고 있다. 한편, 타 유럽 소매업의 경우 까르푸와 같이 일부 소
매업체는 현지 법인을 설립하고 점포를 스스로 설립해 나가는 셀프 엔트리(self entry) 방식을 취하고
있다.
세 번째, 업태의 진출 형태이다. 해외진출 초기의 업태는 리스크가 적은 강력한 브랜드를 가진 전문점이
* 同徳女子大學校 国際經營學科 講師([email protected]).
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진출을 했으나 이후에는 식품 비식품 등을 취급하는 대형점포의 진출이 많아지고 있으며 특히 아시아의
경우는 대부분이 대형점포가 출점하고 있다. 그러나 소매업의 글로벌화가 급속하게 진행된 1990년 이후
는 대형점포 뿐만 아니라 각종 업태를 개발하여 그 지역에 맞는 업태를 혼재해서 출점하고 있다. 테스코
의 경우는 해외 진출에 있어서 후발주자로 1994년 헝가리를 시작으로 해외 진출을 본격화 하고 있으며,
초기에는 대형점포의 출점이 대부분이었으나 현지 시장 진입 후에는 현지 시장에 맞는 점포를 개발하여
점포 전개를 하고 있다.
마지막으로, 표준화와 현지화 전략을 조합한 경영전략이다. 많은 글로벌 소매기업은 자국에서 구축한 경
영시스템을 해외 시장에서도 그대로 구사하는 표준화 전략을 선호하고 있다. 이는 표준화 전략이 주는
장점을 최대화 시키려는 의도이나 각국에 존재하는 특수한 환경, 특히 소비자의 소매습관, 상관습 등 각
국의 문화 환경을 극복하지 못하고 실패한 경우가 많다. 이에 테스코는 본국에서 구축한 경영시스템을
기본으로 하는 표준화 전략과 현지 시장에 맞게 수정하는 현지 적응화 방식을 조합한 절충화 전략을 취
하고 있다.
이와 같은 테스코를 통한 유럽 소매기업의 글로벌 경영의 특징은 글로벌 소매기업이 본국에서 구축한
경영노하우가 글로벌 스탠더드가 될 수 없다는 교훈을 시사하고 있다. 따라서 진출한 현지국가의 특수한
환경을 무시하지 않고 그 특수성을 살리는 전략이 필요하다. 이러한 유럽 소매기업의 글로벌 경영전략에
관한 연구는 한국 소매기업에게 시사하는 바가 크다. 한국 소매기업 역시 대형마트는 1990년대부터 해외
진출을 하고 있으나, 그 업체 수는 극히 미진한 상태이며 해외시장에서 그 성장은 매우 둔한 상태이다.
소매기업은 체인화를 통해 경제의 규모를 실현시킬 수 있기 때문에 해외시장 진출 후 점포 증가 역시 매
우 중요하다. 그러나 많은 글로벌 기업과의 경쟁으로 한국 소매기업은 난관에 봉착해 있는 실정이다. 이
를 위해서는 끊임없는 이론과 실증연구가 필요하다. 따라서 본 연구는 소매기업의 해외 진출에 관한 좀
더 활성화된 연구를 위한 기폭제가 되리라 사료된다.
키워드: 유럽소매기업, 글로벌화, 경영전략, 테스코, 대형점포.
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ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
る。また、ヨーロッパの主要国であるイギリス、フ
Ⅰ. はじめに
ランス、ドイツ、オランダ、ベルギーなどではす
従来、小売企業(以下、小売業とする)は地理お
でに小売市場が成熟化しており、同業態を乗り越
よび文化的な条件の強いドメスティック産業とい
えた様々な形で行われている買収 ・ 合併によっ
われ(Poter, 1986)、国境を越えることは非常に
て、上位企業による集中度も非常に高くなるなど
困難なものであると理解されてきたが、近年、小
ヨーロッパにおける小売環境は急変してきている。
売業におけるグローバル化は急速に進んでいる。
こうした競争の激化により小売業の巨大化が進
このような小売業による国外への進出は、1960年
む中、中小小売業との衝突問題や環境問題などが
代に西ヨーロッパにおける特殊な小売環境から引
取り上げられ、フランスでは大型店による規制が
き起こされており、その動きは異質な国であるア
はじまっており、イギリスでは公共政策の観点か
ジア、中東までに広がりをみせている。こうした
らの規制によって大型店の出店が困難であった。
西ヨーロッパ小売業(以下、ヨーロッパ小売業と
このようなヨーロッパ諸国における大型店お出店
する)の海外進出は、国内における様々な規制の
規制の強化やそれに加えて1980年代以降の世界規
存在および強化、小売市場の成熟化・飽和化、オ
模での市場の変化、すなわち市場同質化傾向の増
ペレーション․コストの上昇、経済成長の限界な
大(Levitt,
どによるプッシュ要因と地中海地域や東ヨーロッ
業は、1989年後半から文化的にも地理的にも遠国
パ市場の門戸開放、国外における魅力的な市場の
であるアジアに目を向けるようになり、1990年代
存在、緩い規制などによるプル要因の組み合わせ
はアジアの小売市場はヨーロッパ小売業を中心と
によって引き起こされた。
するグローバル小売業の流通激戦地となっている。
1983)などによってヨーロッパ小売
初期における海外進出には主にイギリス、フラ
そこで、本研究では、ヨーロッパ小売業がカン
ンス、ドイツ、オランダなどのような西ヨーロッ
トリ․リスクを負えながらもなぜ国境を越えざる
パ小売業によって行われており、文化的に類似し
を得なかったのか、そしてそれらがどのような形
ているため、カントリ․リスクが少ないヨーロッ
態や業態をもって海外進出を行ってきたのか、な
パ域内で活発に行われてきた。しかし、EU統合
どを検討し、主にテスコに焦点を合わせて考察す
によって国家間の規制がなくなり、単一市場が成
る。当社を選択したのは、ヨーロッパ小売業とし
立したことにより、これらの企業間同盟の事業
ては海外進出をかなり遅れてはじめたが、その後
は、いっそう活発な動きをみせている。市場統合
の動きは非常に活発であり、海外進出および経営
によって国家間の移動が容易になり、ヨーロッパ
戦略にも他社とは異なり、明確な違いをみせてい
市場での店舗展開がしやすくなったことなどから
るからである。
競争はますます激化し、規模の経済を実現するた
したがって、本研究の目的は、ヨーロッパ小売
めに店舗はいっそう大型化するようになった。な
業の海外での経営戦略の特徴を、テスコを中心に
お、ヨーロッパ小売業は、東ヨーロッパ諸国によ
考察することである。それにあたって、文献資料
る経済改革や市場開放などによって東ヨーロッパ
とともに当社の営業実績の統計資料などを通じて
にも多く進出するようになった。
探索的研究を進めることとする。本稿の構成は、
このような市場統合によってヨーロッパ域内で
IIでは、ヨーロッパ小売業のグローバル化に関す
の店舗は飽和状態になり、それが東ヨーロッパも
る研究を考察し、Ⅲでは、ヨーロッパ小売業のグ
含むヨーロッパ全体の飽和化に拍車をかけてい
ローバル化の背景を把握するために、まずヨー
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ロッパ小売業の概況を検討し、どのような状況で
業態が生成・発展してきたのか、また小売環境は
Ⅱ. 先行研究
どうであったかを考察する。そしてドメスティッ
ヨーロッパ諸国は各国の小売市場における劣悪
ク産業といわれてきた小売業の海外進出の諸要因
な環境を免れるため、1960年代から国境を越え、
を考察し、その法則性を明確にするとともにヨー
ヨーロッパ域内での活発な動きをみせている。
ロッパ小売構造の変化などを検討する。Ⅳでは、
1980年代には地理的にも距離のなる国々へ進出す
テスコのグローバル化の現状を各々把握し、Vで
るなど、ヨーロッパ小売業におけるグローバル化
は、テスコの進出特徴、参入モード、経営戦略お
が急速に進む中、これらに関する研究はイギリス
よび実績などを通じてヨーロッパ小売業のグロー
を中心として行われ、その後、日本にも広まって
バル経営戦略の特徴を究明する。そして最後に、
いるが、研究の大半が第2次資料などをもとにす
結論を見出すこととする。
る探索的研究が主である。初期の研究はそのほと
ヨーロッパ小売業のグローバル化における経営
んどがヨーロッパ小売業の海外進出に関するもの
戦略の特徴を見出すために用いるテスコの海外で
で、要因研究(Treadgold and Davies, 1988; Ale-
の一連の行動の研究が小売業一般のグローバル化
xander, 1990, 1997)にその焦点が合わせられた。
の普遍的な行動として構築することは困難である
これら要因研究は主にヨーロッパ小売業の国際化
が、最近のように小売業におけるグローバル化の
の動機(motive)に関するもので、主たる要因は、
急速な進展から考えると、その状況を把握し、特
国内市場の飽和や出店規制などプッシュ要因(国
徴を見出すことは意義のある研究であると思われ
る。なお、このような流通先進国の小売業の一連
の行動は、今後、発展途上国である韓国をはじめ
アジア諸国の小売業のグローバル化に役立つもの
と思われる。本研究の意義はそこにある。
本研究は、1996年に韓国の流通市場開放に刺激
を受けて研究をしはじめ、博士号論文(2005)に
仕上げた部分のうち、特にテスコの海外における
急速な成長に関する研究のためにヨーロッパ小売
内要因 ) とされていた。すなわち、当時、ヨー
ロッパ域内での激しい競争や規制などの厳しい状
況が小売業を押し出す要因であったということで
ある。
その後、要因研究および現状分析として
Bromley and Thomas(1993)、Dawson(1993)、Akehurst and Alexander(1995)、Aldridge(1995)、McGoldrick and Davies(1995)、Haward(2000)など
がある。これらの特徴は、1980年代のそれとは異
なり、小売業の国際化の主たる要因を国内での成
業および経営戦略に関する一部を取りだし、研究
長機会の制約のようなプッシュ要因より海外での
を進めたものである。当時、韓国の流通市場完全
成長の存在や規制緩和などのようなプール要因
開放とともにヨーロッパ小売業などグローバル小
(国外要因)とされている。特に、Akehurst and
売業が多く韓国に参入したにも関わらず、韓国に
Alexander(1995)による要因研究は政治的な要
おいてこれらに関する研究は皆無であったため、
因、経済的な要因、社会的な要因、文化的な要
参考にした文献資料のほとんどはヨーロッパと日
因、小売構造の要因と、五つの側面からいままで
本のものになっている。また、日本語で書かれて
論じられた諸要因を網羅している。しかし、これ
いた学位論文の一部を発展させていたため、その
らの要因はおもにヨーロッパ小売業に焦点が合わ
本意を損なうことのないように日本語でそのまま
せられ、様々な側面において距離のあるアジア小
書かせていただいている。
売業の海外進出の行動には合わないという限界を
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ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
援助を得るなどして、戦後の復興が順調に進み、
持っている。
こうして主にヨーロッパ小売業の研究が主たる
1960年代に入ってから経済的に安定してきた。そ
ものであったのに対して、1990年代半ば以降、ア
れに伴う市民生活の安定化と、アメリカ経済の影
ジア小売市場が消費市場として脚光を浴び、流通
響による大量生産と大量消費時代の到来が、大量
激戦地となるにつれて2000年以降は日本とヨー
流通を必要とし、小売業においても技術革新が進
ロッパの研究者による共同研究が盛んに行われて
められた。なお、工業化による急速な経済成長に
いる(矢作、2001;Dawson, 2006)。これらは日本
起因した人口の都市への集中、生活水準の大幅な
を除いてそのほとんどの国において小売業の国際
向上、自動車の急速な普及、国民の可処分所得の
化が行われていなかった韓国、中国、タイ、マ
増大に伴う消費構造の変化などを背景に、商業分
レーシア、インドネシアなどの国に焦点を合わせ
野では自動車利用客を対象とした新しい革新的な
商業施設、すなわち食料品中心のセルフサービス
ていることに特徴を有する。
このようなヨーロッパ、特にイギリスの影響か
ら日本においてもヨーロッパ小売業の海外進出に
方式の大型商業施設が台頭し、著しい発展を遂げ
てきた。
関する研究が1990年代からより積極的に行われて
こうした西ヨーロッパの小売業の戦後の大きな
いる。初期の研究は、主にヨーロッパの大手小売
変革要因はいくつかあるが、最大の要因は1955年
業の海外進出の状況(相原、2003;岩下、1997;
から1960年代にかけてのセルフサービス方式の導
木立、1999、2003;二神、2000、2001)に焦点が
入である。セルフサービス方式が適用された最も
合わせられており、テスコの国際行動に関する研
典型的な業態であるスーパーマーケットが最初に
究としては、二神(2001)がある。
登場し、次にこれに非食品を加えてより大規模化
一方、大手小売業のグローバル化が激化するに
したハイパーマーケットなどの業態が登場した。
つれ国際戦略として標準化および現地適応化に関
すなわち、セルフサービス方式が本格的に各国の
するものがとりあげられるが、多くの研究者は、
小売業に導入されるようになって、食料品店の大
特に異質な文化をもつ国においてはその特殊性を
型化が顕著になってきたのである。これらのセル
超越できないとし、現地適応化の効果を強調する
フサービス方式の大型店は、主に郊外に立地して
(向山、1996;川端、2000)。
食料品を中心に低価格で販売を行っており、巨大
ヨーロッパおよび日本におけるヨーロッパ小売
業の海外進出に関するこれら諸研究の特徴は、探
な無料駐車場を備え、なお安値のガソリンスタン
ドを設けている場合も多い。
索的な研究であることであり、このような研究の
1960年代初頭、フランスで開発されたハイパー
仕方はこの分野において主流である。したがっ
マーケットはその後、ヨーロッパ諸国に広まった
て、本研究は先行研究と同様に探索的な研究とし
が、その業態の火付け役となったのがカルフール
て進めることとする。
(Carrefour)である。同社は、アメリカのスーパー
マーケットを手本に、スーパーマーケットの国際
的な技術移転という形でスタートしたが、その
Ⅲ. グローバル化の背景
後、食品を扱うスーパーマーケットと非食品を扱
うディスカウントストアの結合形態としてハイ
3.1 小売企業の概況
パーマーケットという新しい業態を生成・発展さ
西ヨーロッパ諸国は、第二次大戦後アメリカの
せた。その新しい業態は決して綿密に計画された
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ものではなかったが、後にヨーロッパ諸国において
トが1970年の2.6%から1981年の11.9%へ、そして
代表的な小売業態といわれるまでに成長してきた。
イギリスでも売場面積2,500㎡以上のスーパースト
今日では、ハイパーマーケットと称される業態
アとハイパーマーケットは1963年のわずか2店か
においてヨーロッパでの代表的な小売業者には、
ら1987年には500店に達するほど増加した(横森、
フランスのカルフール、ベルギーのスーパー・バ
1990)。
ザール(Super Bazaar)、ドイツのヴェルトカウフ
このような郊外に立地する大型店が急激に増加
(Wertkauf)などがある。これらの企業はいずれも
することによって、食料品店や都市部に立地する
大規模で最新の店舗として、他の小売業態に対す
伝統的な小売業および中小の生協が急速に減少し
る競争優位性を持つことで成長してきた。
はじめたため、小売業全体の店舗数はかなり減っ
また、これらのハイパーマーケットの取扱商品
ていた。食料品店の減少は、特に人口が少ない地
は、食料品や衣料品だけではなく、主要な家庭用
方においては日常必需品の供給が問題とされた。
電気製品、家具などの耐久消費財や家庭用品な
これが問題になったことや小売商らによる反ハイ
ど、多様な分野の商品を取り扱っている。こうし
パーマーケット運動が激しかったことなどによ
たセルフサービス方式を利用した多品種取扱の大
り、ヨーロッパ諸国ではハイパーマーケットや大
規模小売店であるハイパーマーケットは、セルフ
型店に対して様々な規制がとられるようになり、
サービス方式が先に導入されたアメリカよりも、
ヨーロッパにおける大型店の出店はより厳しく
ヨーロッパ諸国において生成・発展してきた。
なってきた。
また、ヨーロッパにおけるもう一つの大型店と
このような小売環境を打開するために規制のか
してキャッシュ&キャリー(Cash and Carry)があ
からない業態を次々と開発し、業態の多様化をは
げられる。この業態は1964年に設立されたメトロ
かっている。また、シェアの拡大のためには大型
(Metro) によって、アメリカからはじめてヨー
化する必要があるが、出店規制のために新規出店
ロッパに導入されたものであるが、導入と同時に
は困難であることから、すでに開店している大型
急速な成長を遂げるようになった。メトロによる
店の買収が頻繁に行われている。これによって競
キャッシュ&キャリーの急速な成長の背景には、
争はいっそう激化してきており、ヨーロッパにお
ドイツ特有の閉店時間に関する閉店法という規制
ける小売環境は急速に変化している。
が存在したからである。当時、ドイツではこの閉
3.2 グローバル化の要因
店法によって、小売業は午後6時30分に閉店しな
ければならなかったが、キャッシュ&キャリーの
小売業におけるグローバル化の要因として様々
ような卸売業の場合、午後9 時まで営業ができ
なものがあげられるが、主たる要因の第1に、国
た。このような規制に支えられ、メトロはマクロ
内における様々な規制の存在がある。ヨーロッパ
(Makro)ともに急成長を続けるまでにいたった。
における大型店の急成長は、小規模あるいは伝統
ヨーロッパにおけるハイパーマーケットや
的な小売業を廃業に追い込むことやそれに伴って
キャッシュ&キャリーなどのような大型店の成長
失業を誘発するなどの可能性のために、自国内で
をみると、西ドイツ(ドイツの統一以前)では売場
自由な営業展開を制限する出店規制などが行われ
面積が1,000㎡以上の大型店が 1966年には0.9%で
てきた。つまり、規制によって、小売市場が相対
あったが、1980年には14.1%に達しており、フラ
的に縮小されたことに対する回避策として国際市
ンスでは売場面積2,500㎡以上のハイパーマーケッ
場に目が向けられたという解釈である。こうした
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ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
規制をする方法には大きく二つの形態がある。一
させたと断言できない部分もある。なぜなら、国
つは、フランス、イタリア、ベルギーのように大
内小売業の大規模化が近隣諸国に比較してそれほ
規模小売業、特にハイパーマーケットを直接規制
ど顕著でない国においては、出店規制が外国企業
する法律を制定した形態である。もう一つは、イ
の出店規制として作用するからである。しかし、
ギリス、ドイツのように大型店を直接規制するの
それぞれの国で小売業の大規模化が進み、小売業
ではなく、都市計画により土地利用を規制する一
間競争が激化している場合は、特に大規模小売業
般的な法律を利用して大型店の規制も行おうとす
にとっては市場拡大の戦略が制限され、新たな市
るものである。
場は国外に求める他はなかったのであろう。
前者の出店規制の代表的な例は、1973年に制定
したがって、小売業が発展していない国は、海
されたフランスのロワイエ法(loi Royer)で、同法
外の大規模化した小売業にとっては格好の標的と
は1996年7月に改正され、その後ラファラン法(loi
され、海外の大規模小売業の進出によって国内小
Raffarin)と変わったが、それにより出店規制はよ
売業が崩壊し、小売環境だけではなく、国内経済
り強化された。フランス同様の出店規制は、オラ
にも大打撃を受ける可能性すらある。もちろん、
ンダ、ベルギー、スペインでも強化されてきてい
大規模小売業が存在しない国、あるいは近隣諸国
るが、特にベルギーの場合、長年にわたって新し
の小売業との競争関係では劣位にある国の出店規
い業態を出店する小売業を規制する法律がある。
制が、外国資本の参入を排除する目的であるとい
この規制の存在や強力な小規模小売業の圧力団体
うわけではない。むしろ、それらの出店規制は、
の存在などによって大型店の新設や増設はかなり
内外の小売業の競争構造を前提とするものではな
制限されてきた。
く、国内の市場環境に秩序を持たせて安定させる
後者のイギリスやドイツでは、大型店に対する
ことを目的としている場合が多い。
直接的な出店規制ではなく、都市計画の見地から
第2に、オペレーションコストの上昇である。
規制するものである。たとえば、イギリスでは
都市部での経済発展に伴って人口が集中したた
1993年から種々の「プランニング・ポリシー・ガイ
め、小売業の出店が増加したことなども地代、賃
ドライン(PPG)」が策定されてきた。1996年に策
貸料、人件費などのオペレーションコストを上昇
定された「PPG6(Town Centres and Retail De-
させる要因となった。このようなことから郊外に
velopment)」は、郊外よりも既存の商店街の存続
大型店が多く出店することになったが、郊外に展
強化を優先する内容になっており、それは大型店
開している大型店においても店舗の集中化によっ
の出店を困難にするものであった。また、営業時
てオペレーションコストが高くなり、やむを得ず
間や曜日を制限するドイツの「閉店法」や、イギ
に相対的にオペレーションコストが低い国に新し
リスの「日曜営業法」などがある。これらは宗教
い活路を求めるようになった。
の影響によるものであるが、緩和傾向にはあるも
第3に、市場の飽和度である。国内での店舗数
のの、宗教的な雰囲気が根強く残っているため、
が増加して小売市場において飽和化が起きてお
自由な営業を妨げるものとなっている。
り、それぞれの国で上位企業による寡占化が急速
このようなヨーロッパにおける出店規制や土地
に進んでいるため、制限されたいた小売環境から
利用に関する規制などが大規模小売業の目を海外
広い市場を求めて海外に進出をするようになった。
に向けさせた一因でもあるが、各国の出店規制そ
第4に、国内での成長の限界である。ヨーロッ
のものが当該国の大規模小売業の海外進出を促進
パでは人口や経済成長の鈍化・停滞が著しい。ま
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鄭月順
た、大手小売業同士の熾烈な競合の結果、それぞ
3.3 小売構造の変化
れの主力商圏の市場分割が進んでおり、後発小売
3.3.1 市場統合と小売構造の変化
業が新規に市場に割り込む余地が少なくなってい
る。グローバル化は表面的な理由であって、その
背景には、このように自国内のマーケットではこ
れ以上シェアはアップできない限界にきているこ
とが実情である。すなわち、成長の余地がなくな
り、国際戦略を展開しなくては今までの成長が維
持できなくなったからである。また、高成長を目
指すのは、それを株主が期待して株を買い、それ
ヨーロッパにおける小売市場がどのような競
争、あるいは状況で変化してきたのかを理解する
ためにまず、ヨーロッパにおける経済統合を知っ
ておく必要がある。経済統合は、企業を離れた文
化などの精神的なものの統合という性格を持つ
EU( ヨーロッパ連合 ) の形成があるが、これは
ヨーロッパの工業国の結集であるヨーロッパの自
によって企業は支えられているため、経営者とし
由貿易連合を土台にしてつくられたヨーロッパ共
て引き続き高成長を遂げる戦略を展開しなくては
同体であるECが、その前身である。ECを拡大し
ならない。世界トップの小売業であるウォルマー
ト(Walmart)さえも1990年代に入り、多少成長が
鈍化してくると、それ前後にメキシコやカナダな
た形で、1991年のマーストリヒト条約(Maastricht
Treaty) の締結によって1992 年に市場統合され
た。すなわち、 EC を外交 ・ 安全保障、経済 ・ 通
どへの海外戦略をしはじめている。このようなこ
貨、社会の3分野で統合を進めて1993年にEUと改
とからも分かるように、特に実績がものをいう
称したものである。その後、スペインやポルトガ
ヨーロッパにおいて企業の成長の沈滞は、最も重要
ルなどの南ヨーロッパ、スウェーデンやフィラン
な問題である。
ドなどの北ヨーロッパが加入しており、さらに
最後に、自社の株式相場の維持と上昇を狙った
チェコやハンガリーなどの東ヨーロッパへとその
ものや買収・合併を回避するためである。企業は
広がりをみせている。そして1999年1月からイギ
利益率、収益力だけではなく、発展性がなくては
リスなど一部の国を除いて、ヨーロッパで単一通
ならないので、高い株価を維持するために利益を
貨とされるユーロ(Euro 、実際の貨幣の流通は
求めて海外に進出する場合もある。しかし、それ
2002年1月から)の導入によって、EU内での資本
よりはヨーロッパでの買収・合併が頻繁に行われ
流動化に拍車がかかり、あらゆる産業内での企業
ることから分かるように、買収・合併の回避のた
の合弁・合併・吸収が進むようになった。
めのものが大きいと思われる。特に、ヨーロッパ
このような経済統合の急進展は、いわゆる統合
小売業は、各国における大型店に対する厳しい出
市場として多国籍企業に安定した市場を提供する
店規制のため、すでに開店している店舗を買収す
とともに世界市場の一体化を進めるものである。
ることによってシェアの拡大をはかってきた。
こうして多国籍企業は安定した市場を確立するな
その他のグローバル化の要因として、情報収集
かで、グローバル展開を進める。保護主義的、あ
のためのテストショップ、商品を自国に逆輸入す
るいは閉鎖的な市場として位置付けられるこれら
るなどのような商品調達のため、あるいはパイオ
の統合市場は、次第に他の領域から進出する多国
ニア精神のためのものなどがあげられる。また、
籍企業にも門戸を開放しなければならなくなる。
アジア市場の進出に関しては、その国・地域での
そこで統合市場は、閉鎖的な側面と開放的な側面
成長性が見込まれたことや規制緩和などによる進
の両面を持つことになる。さらに、多国籍企業は
出が多くなっている。
先進国市場のみならず、発展途上国市場の開放を
- 46 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
求めていくことになるが、このような新しい市場
す激化し、規模の経済を実現するために店舗は
では、ヨーロッパの多国籍企業の進出をめぐる熾
いっそう大型化するようになった。なお、東ヨー
烈な競争が繰り広げられるようになる。
ロッパ諸国による経済改革や市場開放などによっ
こうした市場の統合により、特にヨーロッパに
て東ヨーロッパにも西ヨーロッパ小売業が多く進
おいては様々な分野で企業間の共同関係が築かれ
出するようになった。このような市場統合によっ
ているが、国境を越えた共同仕入機構や小売主催
てヨーロッパ域内での店舗は飽和状態になり、そ
のボランタリーチェーンなどにより、小売業間の
れが東ヨーロッパも含むヨーロッパ全体の飽和化
国際的戦略同盟もできあがっている。また、国内
に拍車をかけている。ヨーロッパの主要国、主に
の小売業との競争に勝ち抜くために、国外の小売
イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ベル
業と提携をすることが多くなっている。このよう
ギーなどは、すでに小売市場が成熟化しており、
なヨーロッパにおけるクロスボーダー・アライア
上位企業による集中度も非常に高くなっている。
ンス(CBA)で代表的なものは、スイスに本部をお
3.3.2 ヨーロッパにおける小売業の集中
く小規模小売業の連合体であるEMD(European
化の状況
Marketing and Distribution)グループとAMS (Associated Marketing Service)がある。AMSは、ア
ヨーロッパ各国における市場統合などによって
ホールド(Ahold)が組織化の指導的な役割を果た
国家間の規制がなくなったために店舗は急増し、
しており、1989年に発足した大規模小売業で構成
競争はいっそう激しくなってきている。このよう
されているものである(鄭、2005)。
な競争の激化により小売業の巨大化が進み、上位
さらに、世界最大のボランタリーチェーン
企業による集中化はますます進むようになった。
(VC)であるスパー(SPAR)が各国スーパーマー
また、同業態を乗り越えた様々な形で行われて
ケットのために運営するBIGS(Buying
いる買収・合併によって、集中化がより進むよう
International Group SPAR)や、セインズベリー
になった。たとえば、カルフールは1990年代から
(Sainsbury)がリードする3社からなるSED(イギ
本格的な買収を強行しているが、1991年には冷凍
リスのセインズベリー、イタリアのエッセルン
食品の小売チェーンのリーダー的な存在であった
ガ、ベルギーのデレーズ)がある。これらのクロ
ピカル(Pikar)の株を10%取得し、1994年には7
スボーダー・アライアンスは、それぞれのグルー
9%まで増やしている(相原、2001)。そして同
プによって事業内容は異なるが、代表的なものと
年、11店舗のハイパーマーケットと3店舗のスー
してPB商品(private
brand、以下PB商品とす
パーマーケットを有し、当時50億フランの売上高
る)の共同開発、共同仕入れ、仕入条件の相互比
を誇っているモントラー(Monträ)社を買収してい
較、共同セールスキャンペーン、PB商品の相互
る。など、77店舗のハイパーマーケットとホーム
乗り入れ、店舗開発の情報交換、配送システムの
センター、ファストフードなどを有しているユー
相互利用などがある(二神、2000)。
ロマルシェ(Euro Marché)グループを買収してい
EU統合によって国家間の規制がなくなり、単
る(相原、2001)。当時、このグループは270億
一市場が成立したことにより、これらの企業間同
フランの規模であったため、カルフールはこのグ
盟の事業は、いっそう活発な動きをみせている。
ループの買収により1991年の売上高は前年度より
国家間の移動が容易になり、ヨーロッパ市場での
32%も増加するようになった。さらに、1999年の
店舗展開がしやすくなったことから競争はますま
プロモデス(Promodès)や2000年のベルギーのGB
- 47 -
유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
の大型買収が続いた。また、ドイツ・スパーは、
ライナ州に拠点をおき、基盤を強めていっていた
ドイツ国内でプロモデスが展開していたハイパー
米国小売業であるフードライオンとハンナフォー
マーケットチェーンを買収しており、メトロはア
ドを買収し、さらにフロリダに 100 店舗のスー
ルカウフ(Allkauf)とクリーグバウム(Kriegbaum)
パーマーケットを運営していたキャッシ・エヌ・
を買収している(鄭、2005)。
キャリーフードを3億4,100万ドルで買収して、米
こうしたヨーロッパにおける小売業の買収・合
国進出をしている(이광종, 1997)。
併によって中・小規模の小売業が非常に少なくな
また、オランダのアホールドは、外国企業のな
り、大手小売業による集中度はより進展してい
かでアメリカの小売業を最も成功的に買収した企
る。ヨーロッパにおける上位小売業の集中度は、
業として評価を得ているが、1977年にアメリカの
特にフランス、ドイツ、イギリスにおいて非常に
スーパーマーケットであるビーロフーズを買収し
高く、上位4社で小売市場を占める割合は50%を
て進出しており、1995年にはメリフェアスーパー
上回る。たとえば、フランスの上位小売業は、カ
マーケット(Merry Fair Supermarket)を、そして
ルフール、アンテルマルシェ、レクレール、オー
その後、トプスフランドリマーケット、ジャイアント
シャンなどであり、ドイツはメトロ、レーベ、エ
フードストア、ストップ&ストップなどを買収し
デカ、アルディ、そしてイギリスはテスコ、セイ
て順調に成長している。アホールドは進出後にも
ンズベリー、アズダ、セーフウェイなどである。
比較的に高い売上を獲得しているが、これは、買
このようにヨーロッパ諸国内では、競争の厳し
収後も傘下事業部に多くの権限を委任することに
さを経て優秀で強力な小売業のみが勝ち残ったた
よって、効率的な構造変革をなしたためである。
めに小売市場での寡占化が急激に進んでいるな
さらに、アホールドは、1999年に、小規模の
か、ヨーロッパ小売業による買収・合併は国内外
スーパーマーケット3社が合併(1997年)し、バル
にわたって増加している。たとえば、カルフール
セロナを中心に39店舗を展開して、年間売上高が
は1998年には、以前から同じ仕入れセンターを利
約 1 億ユーロに達しているスペインの食品スー
用していたコンドワール・ モデンヌ(Comptoirs
パーマーケットであるカンピオ(Canpio)を買収
Moderne)を公開買付けし、スーパーマーケット
し、スペインでの事業拡大にも注力している。な
部門の充実を期している。また、1999年には売上
お、アメリカの大型食品卸売をしており、同業界
高、店舗数、国際化比率などにおいてカルフール
第2位で年商約62 億ドルをだしていたUSフード
とほぼ同じ水準を維持していたプロモデスの買収
サービス(Food Service)を1999年に約36億ドルで
で、カルフールはウォルマートに次ぐ世界第2位
買収している(西山、2002)。また、同年フード
の小売業として生まれ変わった。
サービスをしており、年商約30億ドルをだしてい
こうしたヨーロッパにおける買収・合併はヨー
たPYA・モナク(Monac)も買収、2001年には年商
ロッパ域内にとどまらず、国外まで広がってい
約66 億ドルをだしていたアライアンド・ エクス
る。特に、国土面積の小さいベルギーやオランダ
チェンジ(Alliand Exchange)を買収している(西
では、早くから小売業の上位集中度が進んでいた
山、2002)。
ため、早期に国外進出を積極的にしはじめている
一方、イギリス小売業においても1980年代にア
が、その主な進出先は米国で現地小売業を買収す
メリカの小売業を買収して本格的にアメリカ進出
る形で進出している。たとえば、<表1>から、
をするようになった。セインズベリーはショーズ
ベルギーのデレーズは、1977年にノースキャロル
スーパーマーケット(1983年に株を買収、1988年
- 48 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
に経営権を握る)とスターマーケットを、M&S
(C&C部門)、スーパーチェーンのアスコ(Asco)の
(Marks and Spencer)はキングズ(Kings)スーパー
合併が行われている(二神、2000)。
マーケットを買収して進出している。また、キン
その他にも食品小売業であるイギリスのテスコ
グフィッシャー(Kingfisher)はベルギー第2位の家
は、2000年にタイの大手スーパーマーケットであ
電小売業のヒュゴバンプラグを買収しており、以
るロータス(Lotus)を買収し、タイに参入してい
前にも自国の小売業であるコメット(Commet)、
るが、現地ではハイパーマーケットとして運営し
フランスのダティ(Daty)とビュット(Butt)、ドイ
ている。このようなヨーロッパ企業の絶え間ない
ツのプロマルクト(ProMarkt)、オランダのBCCを
買収・合併および国外進出からも分かるように、
傘下においている(二神、2000)。さらに、イギ
ヨーロッパにおける上位集中度は食品分野におい
リスの大型家電小売業であるディクソンズ
ても非常に高くなっている。
(Dicsons)は、1999年にスペインのコンピュータ小
3.3.3 さらに進むヨーロッパにおける小
売専門店であるEiシステムコンピュータを1,580万
売業の大型買収․合併
ポンド(当時、1ポンド=175円)で買収した(二神、
ヨーロッパ市場における国際小売業の進出の増
2000)。
ドイツ小売業であるタンゲルマンはA&P(54%
加は、いっそう競争の激化をもたらし、1999年に
の株を所有)、ウォルバムズ、フードベイシク、
は大型買収・合併がより顕著にあらわれた。それ
ファーマーチャックなどを買収して米国に進出を
により上位集中化がいっそう進むようになるが、
しており、そしてアルディも米国小売業を買収し
大型買収・合併は次のような特徴が推測される。
て進出している。また、2000年にはホールセール
第1に、激しい競争からますます進む上位集中
グロサーリ(WG)であるレッカランド(Reca Land)
化のなかで、既存事業の強化を目的として他社と
と同業態であるタバコランド(Tabaco Land)が合
同業態間の買収 ・ 合併が行われる。これには、
併している。なお、ドイツの百貨店業界において
1999年末に行われたフランス小売業同士の大型合
も多くの買収・合併が行われているが、トップの
併であるカルフールとプロモデスによるものがあ
カルシュタット(Karstadt)はヘルティ(Helty)を買
る。合併当時、カルフールが展開していた。主力
収しており、カウフホフ(Kaufhof) はホルテン
業態は、ハイパーマーケットが78%を占めおり、
(Holtin)を買収、さらに、カウフホフ、メトロ
食品スーパーマーケットは17%にすぎなかった
Table 1. European Retailers Acquired American Supermarkets Chain (2000)
European Retailers(Country)
American Supermarkets Chain
Ahold(Netherlands)
Stop and Shop, Tops Friendly Market, Giant Food Store, Bi-Lo Foods
Delhaize(Belgium)
Food Lion, Hannaford Bros., Kash N' Karry Food
Tengelman(Germany)
A&P, Walbaum’s, Kohl’s Food Store, Food Basics, Farmer Chack
Aldi(Germany)
Aldi, Trader Joe Co.
M&S(Marks and Spencer (UK)
Kings Supermarket
Sainsbury(UK)
Shaw’s Supermarket, Star Market
Source: Tunoda Masahiro(2001), “Retailing in America: The Age of M&A," Distribution and System, 109, p. 13.
- 49 -
유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
が、プロモデスとの合併により、弱かった食品部
様々なものを取り扱っている。1990年代に入り、
門を充実させることができた(二神、2000)。これ
積極的な買収・合併、高品質のPB商品の開発お
はカルフールがアジアに進出することによって食
よび拡大、業界最初のクラブカードの導入、小売
品部門をより強化させる必要があったことなどが
金融業への参入など、攻撃的な経営を行い急速に
考えられる。
成長している。この金融業への参入によって1996
第2に、相手企業に将来性があり、資産が過小
年からクラブカードに決済機能を付加して、ポイ
評価されている場合である。この例としてウォル
ント蓄積に加えて決済、預金などの複数の機能を
マートによるアズダ(Asda)の買収があるが、これ
付けるなど金融サービスもはじめており、1997年
は国際小売業における海外進出時の形態の一つで
には貯蓄口座、年金、各種保険など、15種類の金
もある。ウォルマートは、欧州進出の橋頭堡とし
融商品の提供をはじめている。このような小売業
て1997年にドイツの小売業を買収した後に、1999
における銀行業務への参入は、1997年にはセイン
年6月当時、229店舗を展開しておりイギリスの
ズベリーが銀行を設立するなど、ヨーロッパにお
スーパーマーケット業界第3位であったアズダを
いて広がりをみせている事業の一つである。
買収し、欧州進出を本格化した。ウォルマート
なお、テスコは顧客のライフスタイルが変化す
は、キングフィッシャーが86億2,000万ドルを提示
るにつれ、新しい商品とサービスを提供に積極的
してウォルマートによるアズダの買収を強く阻止
取り組んでおり、世界最大のインターネット․グ
したにもかかわらず、キングフィッシャーより22
ローサリー․ストアであるテスコ․コム、さらに
億ドルを上乗せし、アズダの買収に踏み切ったの
テスコ․パーソナル․ファイナンスやテスコ․テ
は、アズダの持つ将来性を高く評価したことやア
レコムなど、これらの新しいサービスのうちのい
ズダの持つ情報システムをそのまま利用できると
くつかは海外にも進出しつつある。例えば、IT王
いう大きなメリットがあったからである。これに
国である韓国ではインターネットによる宅配サー
よってウォルマートは最も得意とする情報システ
ビスを導入済みである。
ムの構築がヨーロッパにおいても整えられるよう
になった。
冷戦終焉とともに積極的に海外進出も行い、
1994年ハンガリーを皮切りに東ヨーロッパにも進
出しており、1997年のアジア通貨危機を契機にタ
Ⅳ. テスコのグローバル化の状況
イに進出し、韓国、日本などにも出店している。
ヨーロッパ域内ではハンガリー、チェコ共和国、
テスコはヨーロッパ小売業界においてカルフー
ポーランド、アイルランド共和国、スロバキア、
ルに次ぐ第2の小売業であり、2007年7月発表の
トルコの6ヶ国で638店舗を出店しており、従業員
『フォーチュン』の優良企業番付では世界第55位
数は合計6万1,000人、顧客数は週当たり800万人
にランクされており、イギリスのみならず多く国
で、中央ヨーロッパにおいて最大手のハイパー
でハイパーマーケット、スーパーマーケット、コ
マーケット小売業である。
国ごとにその出店の内訳をみると、1994年に進
ンビニエンスストアなどを展開している。同社
は、イギリスで1919年に食品、雑貨などを中心に
出したハンガリーは、テスコ海外進出のスタート
販売している伝統的な食料品店として発展してき
となり、現在、101店舗を所有する市場リーダー
たが、今では食料品専門から脱却し電気製品、衣
となっており、売場面積は約1万5,000km²と大規
類、本、金融、ガソリンスタンド、通信販売など
模である。その後、1996年に進出したスロバキア
- 50 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
では中央ヨーロッパで最初のコンパクト․ハイ
Phokphan)の頭文字である。同社は、アセアン各
パーマーケットを展開し、市場リーダーとなって
国や中国を中心に世界13カ国に進出し、ロンドン
おり、現在48店を出店しているが、週当たりの顧
証券取引所上場企業となっている。テスコは、タ
客数はほぼ150万人である。ポーランドにおける
イでも市場リーダーであり、その地に合った店舗
店舗数は280店であり、従業員数は約1万9,000人
業態を開発し、エキスプレス・ストア、より小規
で、テスコはポーランドでは最大の私企業となっ
模なコミュニティを対象としたバリュー・ストア
ている。2006年にはチェコ共和国にも投資し、現
およびハイパーマーケットなど様々な形態の店舗
在では店舗数84店、週当たりの顧客数は約150万
を運営しており、現在、370店を展開している。
人となっており、トルコではITシステムTesco In
韓国においてもタイと同様にアジア通貨危機で三
Boxソリューションとプロセスを8ヶ所にある
星物産が展開していた「ホームプラス」を買収す
A
ハイパーマーケットに初めて導入し、2006年には
る形で参入し、現在、81店を展開しているが、そ
最初のエキスプレスストアをイズミールにオープ
の一部は小規模であるエキスプレス・ストアである。
ンしている。そしてアイルランドでもテスコは市
その後、2002年にはマレーシアにも進出し、現
場リーダーとなっているが、ダブリン市の失業率
在16店舗を所有し、そのうちの3ヶ所ではエキス
の高い地域で最初の再生店舗をオープンし、多数
プレス・ストアを実験的に運営しており、2006年
の長期雇用機会を創生したことで感謝状が授与さ
には最初のバリュー・ストア(売場面積3,000km²)
れるなど地域密着型を目指しているが、ここで
をバンティングにオープンしている。2003年には
オープンした業態はテスコにとって最初のエクス
東京およびその近郊の78ヶ所にスーパーマーケッ
トラ・ストアである。現在、アイルランドでは90
トを展開していたシートゥーネットワーク(C2
以上の店舗を所有している。フランスでは店舗は
Newwork)社を買収し、日本に参入しており、そ
出店せず、トーバー海峡から近いカレーに日帰り
の翌年には千葉、埼玉などの25ヶ所に店舗を展開
旅行者向けの酒屋をオープンしている。
していたFre'cストアを買収して拡大をはかって
アジアにおける全体の出店状況をみると、アジ
いる。Fre'cは主に加工食品と生鮮食品を安く取
ア5ヶ国で600以上の店舗を所有しており、従業員
り扱う小型近隣スーパーマーケット․チェーンで
数は合計4万人あまりで、顧客数は週当たり約700
ある。さらに、2005年には、練馬区にあるスー
万人であり、2005/06年における売上高は39億ポ
パ․タネキンの8店を買収し、現在109店を展開し
ンド(8,385億円)、利益は30.7%アップして2億ポン
ており、従業員は3,300人である。そして2007年に
ド(430億円)である(Annual Review, 2008)。その
シートゥーネットワーク株式会社は、社名をテス
出店の内訳をみると、1997年アジア通貨危機を契
コジャパン株式会社に変更し、今に至る。
機に翌年にタイ最大グループであるCPグループ
日本においてテスコが展開している業態および
が展開していたロータス․スーパーセンターを
店舗数の状況をみると、卸売部門が4店で、MDは
127 億バーツ(36.75%所有) で買収し進出してい
2拠点、小売部門においては柱となる総合食品店
る。タイのCPグループは、謝家(チエンワノン家)
舗「つるかめ」と、コンビニエンスストア的な特
が基礎を作ったコングロマリット(複合企業)で、
性を高めた小型総合食品店舗「テスコエクスプレ
これはタイ最大のコングロマリットであり、CPと
ス」の2つの形態のスーパーマーケットがある。
は園芸店舗名である「正大荘行」に由来する正大
その内訳は、つるかめが36店、つるかめランドが
集団の名称のチャルーンポーカパン (Charoen
50店、ふーどれっとつるかめが15店、キッチンラ
- 51 -
유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
ンドが1店、かめちゅーるが1店、TSURUKAME
(Hymall)ハイパーマーケットをはじめ、現在47店
が3店、テスコエクスプレスが3店で、総店舗数は
を展開している。そしてテスコは2007年にはアメ
現在109店である。
リカに進出するようになるが、まずカリフォルニ
中国には2004年に進出し、上海、中国北部およ
ア州、ネバダ州、アリゾナ州の各都市で、店舗面
び東北部に点在する39のハイモールである
積1万平方フィート(約281坪)のコンビニエンスス
Table 2. The expansion of Tesco(store tape and number)
Tape
Number
Department(m²)
Tesco Extra
147
6,479
Tesco
433
2,834
Tesco Metro
162
1,093
Tesco Express
735
197
One Stop
506
124
5
3,251
1,988
13,978
Tesco Homeplus
Total
Source: Annual Review and Summary Financial Statement 2008(2009).
Table 3. International expansion of Tesco
Country
Stores' at end 2008
UK
1,988
Department(m²)
2,581,310ft
Year of first opening
1919
Thailand
370
698,166m²
1998
Poland
280
606,935m²
1995
Japan
109
29,078m²
2003
Hungry
101
448,164m²
1994
Ireland
95
205,780m²
1997
Czech
84
381,459m²
1996
Korea
81
473,340m²
1999
Slovak
48
225,475m²
1996
China
47
392,422m²
2004
Turkey
30
102,936m²
2003
Malaysia
19
174,750m²
2002
America
6
60,000sq ft
2007
France
1
16,000sq ft
1992
Source: Annual Review and Summary Financial Statement 2008(2009) and Tesco's Homepage.
- 52 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
Table 4. Performance of domestic and international operations(million pond)
Year
UK sales
International sales
Total sales
2004
26,876
6,681
33,557
2005
29,511
7,559
37,070
2006
32,657
10,480
43,137
2007
35,580
11,031
46,611
2008
37,949
13,824
51,773
Source: Annual Review and Summary Financial Statement 2008(2009).
トア․チェーン「フレッシュ&イージー」(Fresh
しい市場開拓を目論んだものもあるが、1960年代
and Easy)を本格的に展開している。これに反応
の初期にカルフールがアメリカのディスカウント
してウォルマートは、その11カ月後、アリゾナ州
ストアをもとにハイパーマーケットを構築したこ
でほぼ同規模の「マーケットサイド」を展開して
とやメトロがアメリカのキャッシュ&キャリーを
いるが、ウォルマートが新たな店舗形態を採用し
ヨーロッパに導入したように、アメリカ小売業の
たのは、この10年で初めてのことである。
持つ小売ノウハウを学習するためのものが多かっ
テスコの売上高をみると、イギリスの本国およ
た。つまり、最先端を走る商業国であるアメリカ
び海外での売上高が毎年増加し、現在イギリスで
に店を構えて経営経験を積み、情報を集めて小売
の市場シェアは34%となり、ウォルマート傘下に
ノウハウを習得しようとするものであった。
あるディスカウントチェーンの「アズダ」をはる
ヨーロッパ小売業における従来の国外進出は、
かに上回っている。内訳をみると、イギリスでの
主に言語の共通性、つまり文化などが類似してい
既存店ベースの売上高が徐々に伸びている反面、
る国々であったが、1980年代半ば以降は地理的に
海外事業、特にアジアにおける売上高は急速に伸
も文化的にも遠い南米や規制が緩和されはじめた
びている。
アジアにも徐々に目を向けるようになった。そし
V. テスコのグローバル戦略の特徴
が加速しはじめ、通貨危機前後におけるアジア諸
て1990年代以降、アジアの成長性を見込んで進出
国の急速な規制緩和などによって、アジア進出が
本章ではテスコのグローバル戦略の特徴に焦
点を合わせるためにヨーロッパ小売業のグロー
バル戦略と比較しながら論じることにする。
本格化している。1990年代は、情報技術の急速な
発展や規制緩和などで海外での店舗展開運営がし
やすくなったことなどによって、小売業による海
外での事業展開はいっそう広範囲に広がり、その
競争もより激しくなってきている。特に、ヨー
5.1 進出特徴
ロッパにおける小売環境は急変しており、ベル
ヨーロッパ小売業は1960年代からヨーロッパ域
ギー、オランダ、フランス、ドイツ、イギリスの
内の周辺国やアメリカ、中南米などに進出しはじ
ような、マーケットが高度に発展している国々の
め、1970年代末には小売業の先進国であるアメリ
小売業によるグローバル化が非常に目立ってい
カへ本格的に進出するようになった。それには新
る。最近はスペインなどの大規模小売業が劇的に
- 53 -
유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
成長しており、それらが東ヨーロッパに進出する
わざるを得ない現状がヨーロッパの大手小売業に
などヨーロッパ小売市場は熾烈な競争が増して
とって絶好の機会を与えたのである。 いる。
5.2 参入モード
このようなヨーロッパ小売業は、食品や非食品
を取り扱っている大型店が低価格販売を手段とし
小売業における海外進出のプロセスは、自国と
て、高度なサービスを提供しながら規模の経済を
異なる市場環境に進出するに際して、リスクを軽
追求し、成長してきているが、その規模はますま
減させるために様々な形態がとられるが、そのプ
す大型化している。また、競争上、圧倒的な規模
ロセスは、近くてリスクの少ないところから段階
の優位性を発揮するために、いっそう企業間の買
的にはじまり、物理的・質的に距離の遠いところ
収・合併が進んでいる。このようなヨーロッパ域
へと拡大していくものである。それはヨーロッパ
内での競争の激化や小売業による買収 ・ 合併に
小売業の近隣諸国への進出からアジアへと拡大し
よって、上位集中化が急速に進んだため、小売業
ていることや、進出形態においても段階的に行わ
の活動範囲はヨーロッパ域内を越えて、地理的に
れることからもうかがえる。
はもちろん社会・文化的にも距離のある国々へま
そこで、ヨーロッパ小売業における海外進出の
で広がりみせている。このような現象は特にカル
プロセスをみると、まず、第1に世界的な高級ブ
フールに多くみられるが、同社はこの時期にマ
ランド商品といわれるメーカー系販売店にみられ
レーシア、中国、韓国(2006年撤退)、香港(2000
るもので、イン・ショップ(in shop)形式がある。
年撤退)、タイなど異質なアジア諸国に多く進出
これは世界中どこの国にも存在する一部の富裕層
している。その反面、テスコは1994年にハンガリ
をターゲットにしたものである。ルイヴィトン、
を皮切りに海外出店をはじめており、その後、東
エルメス、グッチ、イヴサンローラン、セフォ
ヨーロッパやアジアなどに進出し、海外出店に拍
ラ、ティファニー、ギャップなどのように、強力
車をかけている。
なブランドを有している専門店は、そのような特
そしてアジア通貨危機が起きた1997年以降、テ
定市場を狙って国外進出をしている。これらの高
スコは自国とは地理的にも文化的にも遠い国々へ
級ブランド品メーカーはまず、百貨店や高級専門
の進出が圧倒的に多くなっている。その対象国は
店に製品の輸出をしはじめ、次に店舗内に売場設
主として1997年の通貨危機を契機に経済危機に
置(concession)をし、そして次に単独で店舗の出
陥ったアジア諸国と経済成長などがプル要因と
店(free standing)へと、段階的に進むことが多く
なっている東ヨーロッパや南アメリカなどになっ
なっている(McGoldrick, 1995)。
ている。これは初期に出店対象となっていた流通
このような形態は、海外進出におけるリスクを
先進国から転じて主に発展途上国に出店戦略が向
最低限度におさめるためのもので、自国の市場と
けられているからであろう。それに、これらの諸
大きく異なる小売環境や消費行動が存在する国々
国は、所得の増大によって小売業の革新が進んで
で用いられており、また、外国資本や出店などに
きた流通先進国とは異なって、所得が上昇しても
対する規制がある場合に使用される。こうした強
小売業の革新が進まなかったため、食品を取り扱
力なブランドを持つ専門店は、富裕層という確実
い低価格販売を実現している大型店や様々な新業
なターゲットを絞って進出しており、それらの商
態を必要としていた。つまり、内部での新業態の
品は世界中どこでも通用するためにリスクが少な
生成が行われず外部からの進出によってそれを補
いのが特徴である。
- 54 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
第2に、フランチャイズ展開によるものがある
徐々に増資をしながら急速に成長してきている。
が、特にアジアのように市場が異質で、規制が多
最後に、経営コントロールが強く、利益が期待
い場合など、カントリーリスクが大きい国に用い
できるものとして単独進出がある。この場合、自
られる。この段階で進出先の情報などを得て、資
ら1店ずつ出店して進出する(self entry)場合や現
本参加する場合もある。このフランチャイズ方式
地の小売業の買収・合併を通じて進出する(quick
は、特に欧州小売業が途上国に進出した場合、初
entry)場合があるが、テスコは後者である。いず
期に多く取り入れているものである。代表的な小
れもこれらは、海外へ迅速に進出ができ、独自の
売業として、アルドリッジ(Aldridge)がいうボ
経営ノウハウの流出というリスク回避に有効な手
ディショップ、ステファネル、モルガン
段といえるが、失敗した際に膨大な損害を被る恐
(Morgan)、ベネトンなどのように、ブランドと
れがある。このプロセスを可能にした背景には規
して確立された小売業であるが、相対的に小規模
制緩和があるが、特にアジアにおける規制緩和に
の専門店業態が多い(Aldridge, 1995)。
よって多くの大手小売業がこの方法をとっている。
また、イギリスのM&Sのように大企業ではあ
このような参入モードに基づいてテスコの特徴
るが、膨大な投資を避けたい場合に利用される。
をみると、次のように整理できる。第1に、テス
この場合は進出先市場への的確な情報がないこと
コは前述のように現地の小売チェーンを買収して
から、その投資リスクを軽減するために取り入れ
一気に店舗拡大をはかる場合が多いが、この方法
られる。たとえば、M&S は、市場規模が大き
はアジアにおいて多く使われる。相対的に費用が
く、社会 ・ 文化的に距離が近い国であるフラン
かさむはずの日本でさえもこの方法をとっている
ス、ドイツなどでは完全子会社を設置し、直営店
が、テスコは首都圏を中心にスーパーマーケット
舗を出店しているが、市場規模が相対的に小さ
「つるかめ」などを展開しているシートゥーネッ
く、社会・文化的に距離の遠い国であるアジア地
トワークの株式を公開買い付け(TOB)し、41.0%を
域にはフランチャイズ方式で進出している場合が
買収しており、さらに66.7%以上の買収を目指し
多い。
ている。他国と同様、買収後も「つるかめ」の店
第3に、合弁事業方式をとる場合であるが、多
名や経営陣は残し、テスコの役員を派遣し、共同
くの国では自国の小売業を保護するために合弁企
経営を計画しているが、このやり方はテスコが海
業でも外国企業による資本投資に対して厳しい規
外でとっている現地化戦略の一つである。
制を設けているため、出店はせず制限される限度
第2に、進出先における現地法人の設立時に持
額に合わせて投資が行われる。また、異文化圏で
ち込む資本である。テスコは韓国進出時は、本国
あるアジアのような、カントリーリスクが相対的
であるイギリス本社資本ではなく、オランダの
に高いと思われる地域に用いる場合が多い。こう
Tesco Holdings B. V.が投資をしている。これは
した形態はリスクが少なくて済むが、利益は非常
韓国とオランダの間に二重課税防止協定によって
に限られてしまう。また、自国で培った経営ノウ
売買差益に関する税金を納める必要はないからで
ハウなどが外部にもれる恐れもあり、相手企業と
ある。
の提携が破綻したときはそれが相手の手に残って
しまう可能性がある。この方式はテスコが最も多
5.3 経営戦略
く使用しているが、タイ、韓国、日本などに参入
小売業が海外に進出する場合、進出先の市場が
時に現地の小売業と合弁で運営をはじめ、その後
国内市場と同質であるかどうかの判断は重要なも
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유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
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のである。本来、小売市場は消費構造によって規
ある。
定されるものであるが、その消費構造は様々な要
しかし、世界第2の小売業であるカルフールの絶
因によって形成されている。特に、消費者の生活
え間ない撤退からも分かるように、アジア諸国のよ
習慣や文化は、経済環境や所得構造に加えて重要
うな特質な市場において標準化戦略のメリットは享
な要因である。仮に、経済環境や所得構造をより
受できないという限界を持っている。そのため、グ
正確に把握し、進出可能な市場規模と判断されて
ローバル小売業の多くは、専ら現地適応化を唱って
も供給する商品、換言すると商品の品揃えをどう
いる。つまり、自国で培った小売ノウハウを現地
するかの問題が残る。つまり、いかに近代的な販
市場にそのまま持ち込むのではなく、現地市場に
売方法を導入して外国市場に参入したとしても、
適合した形で修正を加えて展開するというもので
現地の消費者ニーズに対応できていなければ、進
ある。この戦略の場合、自国市場とは距離的にも
出が成功することはない。したがって、小売業の
文化的にもかなりの相違点があり、また社会環境
海外進出は、進出先市場が自国の市場とは異質で
や消費市場環境などの違いが多いところに進出し
あるというとらえ方が一般的であった。
て国際的な事業展開をするときに用いる場合が多
しかし、他方では海外へ進出する小売業が進出
国の市場を国内の市場と同質であると、とらえて
く、国際化初期の段階の小売業に最も多く利用さ
れている(Treadgold, 1988, 1990)。
いるという考え方もある。つまり、小売業が海外
小売業が海外で出店をし、事業展開を進めてい
へ進出する際に現地の市場特性などをほとんど考
くと、ある段階でどのようにして多店舗展開をす
慮に入れず、業態や商品の品揃えなどを自国と全
るかという課題に直面する。チェーン化すること
く同じにするといった、いわゆる自国店舗の移植
それ自体については、自国での経験を通じてノウ
形態をとるというもので標準化戦略と、とらえら
ハウを持っているかも知れないが、これだけでは
れている。この戦略は、1980年代のヨーロッパ小
海外でのチェーン化はできない。それは現地の市
売業における本格的なグローバル化に多く用いら
場特性とインフラなどが自国とは異なるからであ
れたものである。
る。そのため、現地に適応した戦略を用いなけれ
特に、カルフールやドイツのマクロなどのグ
ばならなくなる。そうなると、結局、そこには何
ローバル化において多くみられる。これらのグロー
のノウハウの蓄積も生じなかったことになる。し
バル小売業は、標準化することによって製品のデ
たがって、国際化の進展によって多国間のチェー
ザインなどを同一にして各国市場に提供するため
ン展開ができるとすれば、そこには単純な積み重
に大量生産によってコストが大幅に削減できる一
ねではない何かのノウハウの蓄積があるべきであ
方、一貫したイメージ、製品やアイデアを迅速に
り、これが競争優位へとつながるのである。そう
国際的に普及できるという目論見である。
でないと、それは単なるマルチドメスティック小
すなわち、この戦略によって自国で獲得した競
売業に過ぎないのである(向山、1996)。
争優位性を海外の市場においても貫徹させるとい
そこで、規模の経済や規格統一などからメリッ
う手法である。顧客に一貫した対応ができるこ
トを享受できる標準化と、国ごとの顧客ニーズに
と、販売が増加することや自社製品の市場間移動
応えることによってメリットを受ける現地適合化
の活発化に伴って発生する調整の必要性への対応
とは、相矛盾する要素を含んでいる。商品のアイ
ができること、そして計画が実現しやすいなど、
テムを絞って仕入れ商品やPB商品のロットを拡
コントロールの改善が迅速になされるメリットが
大し標準化すると、異質な現地市場への適応力は
- 56 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
著しく低下することになる。こうしたジレンマを
ビー(Dunnhumby)が収集したデータを活用
いかに克服するかが問題となる。
して、新たな店舗形態の設計から店舗レイア
今日では標準化と現地適合化の二者択一の問題
ウトの調整、自社ブランド商品や対象を絞っ
ではなく、両者をいかにバランスよく同時に達成
た販売プロモーションの開発に至るまで事業
するかが重要な課題として認識されている。つま
のあらゆる面を管理し、その大量のデータを
り、標準化ができるものは標準化し、そうでない
販売に活用していることや海外において徹底
ものは現地に合わせて修正するという、標準化と
とした経営戦略の現地化などがある。これは
現地適応化を調和させる概念である。
テスコの最大の特徴ともいえるが、同社はまた、
換言すると、標準化と現地の風土を最大に尊重
コンビニエンス・ストアからハイパーマー
し、その地域の実情に合った形態に経営や戦略を
ケットまで、規模の異なる複数の小売店舗形
展開するという現地化を融合したグローカリゼー
態を展開するという他の大手小売業からは類
ション(glocalization)が有効とされる。しかし、
のみない能力を発揮している。テスコの経営
この方法もまた何が標準化されたものになり、何
戦略の主要な特徴は以下のとおりである。
を現地化すべきかを見分ける(Goldman,
2001;
5.3.1 業態の展開 今井、2004;矢作、2007)という困難さが残る。
これを見分けるためには、相当な試行錯誤を繰り
大手小売業の海外進出の初期は店舗の改装をせ
返さなければならないうえ、アジアのような国ご
ず倉庫型大型店が多かったが、テスコの場合、店
との特殊性を克服できるかという問題もでてく
舗数の状況(<表2>参照)からみるように様々な
る。なお、その国ごとに試行錯誤を繰り返してこ
業態を開発し、その地にあった店舗を展開している。
れらを見分けるとなると、莫大な費用や時間がか
特にアジアの場合、大型店や小規模店舗を混在し
かってしまい、商品が高価格になる恐れがあるな
どの問題もある。したがって、この二つの戦略
は、事後的にしか分からないという不確実性をは
らんでおり、二つの戦略を調和させるというプロ
セスは、決して単純なものではなく、様々な形で
試行錯誤を経て実現(木立真直、1999)されるも
て出店しているところが多いが、たとえば、韓国
においては住宅が密集しているところは小規模の
エキスプレスを展開しており、タイではエキスプ
レスより小規模なバリュー・ストアを出店してい
る。
のであるが、現在グローバル小売業にとって最も
5.3.2 商品の陳列
有効な戦略として受け入れつつある。
こうしたグローカリゼ-ション戦略を最も有効
大型店は倉庫のような売場に天井まで商品を積
に活用しているのが、小売業のグローバル化にお
み上げるなど商品の陳列においても特徴を有して
いては後発走者であるテスコである。テスコは
いるが、このようなやり方によって運営費を最小
年平均11%のペースで成長を続けており、そ
限に押さえ低価格により大量販売をし、利益を得
の成長は今後も続きそうだが、特に、海外事
るというコンセプトである。そのため、多くの小
業の 好調が 予想さ れ、2 012 年まで にカル
売業は海外進出においても売場の内装は必要不可
フールを抜いて世界最大のウォルマートに次
欠なところ以外にはほとんどせず、本国同様な方
ぐ世界第2位の小売業になるだろうと予測さ
法をとっている。しかし、このような商品の陳列
れている。こうした成長の陰には、テスコ傘
は、長年にわたって百貨店と在来市場によって両
下のデータ処理․分析企業であるダンハン
極化されていたアジア諸国においては受け入れら
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유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
れずにいた。海外進出に後から合流したテスコは
る。この場合、カルフールの失敗からみるように
先発小売業の行動から学習し、これらの問題を解
現地の事情を知らず、絶えず従業員との摩擦や葛
決した。つまり、テスコのは商品陳列においても
藤が起き、日本では1年足らずで3回も管理職が変
現地化をはかっており、その地の消費者にあった
わるなど問題を起こしていることからも示唆に富む。
方法で陳列を行っている。
Ⅵ. おわりに
5.3.3 店内の改装およびサービス
テスコは海外進出の時に特にアジアの場合、現
小売業の国際市場参入は戦前からみられた現象
地の小売業を買収して一気に参入する方法をと
であるが、ドメスティック産業と分類される特性
り、現地小売業の店舗をそのまま利用しているた
から小売業が国境を越えるということは理解しが
め、消費者が違和感をあまり感じないのである。
たいものであった。しかし、ヨーロッパ小売業に
また、店内の改装であるが、日本を除外するアジ
おける国際市場参入は1980年代後半から本格的に
ア諸国においては、経済成長とともに流通業は発
なり、その後グローバル小売業は世界中を駆け
展せず、長期にわたって百貨店と在来市場との両
巡っている。そこでヨーロッパ小売業がリスクを
極化が進んでいたため、多くの消費者が近代的な
終えながらもなぜ国境を越えるようになったの
小売業態としては百貨店の店内やサービスに慣れ
か、その進出際の形態や業態は何であったか、そ
ている。特に、韓国の消費者がこれに当たるが、
してその際の経営戦略は何であるかについて考察
カルフールの倉庫のような店内や百貨店のように
した。そしてヨーロッパ小売業のグローバル化の
行き届かないサービスも問題となっていた。もち
特徴を究明するために、国際市場参入においては
ろん、韓国の消費者にハイパーマーケットという
後発走者であるが、標準化のメリットと現地化の
業態のコンセプトに対する概念が確立されていな
メリットを融合したグローカリゼ-ション戦略を
かったため、カルフールのやり方が理解できな
展開し、急成長をしているテスコに焦点を合わせ
かった点もあるが、これさえも本国と異なる地に
て研究を進めた。
参入する前に考慮すべき点であろう。
こうしたテスコのグローバル戦略における研究
こうしたアジア諸国における消費者のニーズか
の結果、進出先、参入モード、業態展開、そして
らテスコは、大型店の基本コンセプトである倉庫
経営戦略において特徴を有することが究明され
型ではなく店内も綺麗に改装し、他のヨーロッパ
た。このような特徴をテスコのグローバル戦略か
小売業と差別化をはかっている。
ら整理してみると、まず全体的なところは標準化
戦略を用いており、現地市場においては消費者や
5.3.4 人事管理
現地の人と接する部分は徹底的に現地適応化戦略
テスコは買収を通じて海外進出する場合が多い
をとっている。
ため、買収先の従業員をそのまま受け入れる場合
まず、その標準化しているところをみると、第
が多く、取締役さえも現地の人をそのままおいて
1に、テスコは海外市場に進出する際、そのほと
本社から派遣した管理者といっしょに運営すると
んどが買収および合併を通じて素早く進出
いう形をとっている。これはウォルマ-とやカル
(quick entry)している。第2に、必ず現地の小
フールなどのような大手小売業の場合、管理職は
売業の店舗名をそのまま使用しており、会社名も
もっぱら本社派遣をしていたのとは対照的であ
残している。例えば、1998年に三星物産が展開し
- 58 -
ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
ていた「ホームプラス」を買収して韓国に進出
こうしたテスコにおけるグローバル戦略の示唆
し、店舗名もそのまま使用しており、「三星」と
点は大きいものがある。例えば、アジア諸国のよ
いう会社名も「三星テスコ」として残している。
うに異質な国において専ら現地市場のみに合わせ
これは國粹主義が強い国々で特に有効であるが、
た戦略をとる場合、上述のように国ごとに異なる
もちろん社名使用料は支払っている。最後に、現
経営戦略の展開はマルチドメスティックに過ぎ
地の社長とテスコ本社の社長が同時に経営を行っ
ず、そこには何の経営ノウハウも得ていないこと
ている。こうした取締役に当たる重要ポストに現
になる。特に、アジア小売業のように国際的に店
地の役員を雇っているヨーロッパ小売業はテスコ
舗を展開していくのに必要な経営ノウハウを持っ
のみである。
ていないため、国際展開が非常に困難であり、ま
一方、現地に適応した形は、第1に業態展開に
た国際展開をしていたとしてもマルチドメス
おける現地化である。本文ですでに述べたように
ティックにとどまる恐れがある。例えば、韓国最
ヨーロッパ小売業が基本コンセプトとしている大
大の大型店舗を展開しているEマートは、1997年
型店は、人口密度が高く、郊外に消費市場がそれ
にはじめて海外に進出している。流通激戦地と言
ほど形成されていないアジア諸国においては非常
われる中国の上海に出店し、世界的なグローバル
に困難である。そのため、都心や住宅街では小規
小売業と熾烈な競争をしているが、専ら現地市場
模の店舗を出店している。第2に、商品調達およ
に合わせた戦略に焦点が合わせられているため、
び投資の現地化である。つまり、他国での輸入な
その動きは非常に鈍い状態である。Eマートは進
どではなく、現地の商品を用いて販売しており、
出してから10年後である2007年に、やっと10店舗
現地の店舗で儲たものは現地に再び投資するとい
を展開しているが、この店舗数では小売チェーン
うものである。小売業は産業の特性上、本社にそ
化による規模の経済を実現するところか、大型店
の利益が吸い取られ、現地にはそれほど利益を与
としての低価格実現さえも困難である。したがっ
えないということから敬遠される場合もある。第
て、現地における消費者の需要に対するノウハウ
3に、商品陳列の現地化である。ヨーロッパ小売
や小売業としての国際展開におけるノウハウなど
業における大型店の基本コンセプトのうち、倉庫
の構築が必要であろう。
のようなところに山積み状態の陳列によって低価
以上のようにヨーロッパ小売業のグローバル化
格を実現するというものがある。陳列するために
における経営戦略の特徴を見出すために用いたテ
必要とする人件費を押さえることや山積みするこ
スコの海外での一連の行動研究が示唆するものは
とによって品切れが防止でき、なお常時陳列する
非常に大きいが、小売業一般のグローバル化の普
手間を省けるため人件費を押さえ、結局運営コス
遍的な行動として構築することは困難である。し
トを削減するというものである。そして最後に、
たがって、今後もさらなる緻密な研究が必要であ
人事の現地化である。幹部はもちろん商品調達な
り、特に、グローバル小売業の進出によって流通
どにおいても現地人を作用し、変化しやすい消費
激戦地となっているアジアとの関連づけてのグ
者のニーズに対応している。
ローバル戦略に関する研究は今後の課題として残る。
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유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
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ヨーロッパ小売業のグローバル戦略特徴に関する考察
The Journal of Eurasian Studies․Vol. 6, No. 3 ․ September 2009
A Study on the Strategies of European Retailers:
The Tesco Experience
Wol-Soon Chung*
Dongduk Women's University, Seoul, Korea
2)
Received 28 August 2009; Final Updated 10 September 2009; Accepted 12 September 2009
Abstract
The purpose of this article is to identify the characteristics of a global strategy of European retailers,
this study has researched the Tesco(U.K.) which is the relatively newcomer in internationalization but
has succeeded by thorough globalization except basicpart. In this study the following features were
identified.
First, the initial internationalization is into Europe and other developed countries, but in recent years
due to the limited growth of European retailers, remarkably extending to the Asia even though distance
and culture differences. To learn the uniqueness of the Asian countries, testing the countries which have
a relatively low operating cost and a easy surrounding of sales. Such an approach shows high country
risk in many ways to European retailers in Asia Market.
Second, it is the difference of entry way. Tesco has extended its branches by acquisition or merger
of well-know local retailers at once. After entering the local market, it has been grown rapidly by taking
over local retailers continuously. Meanwhile other European retailers, like Carrefour, founded a local subsidiary and established branches by themselves which is called self entry.
Third, it is an entry type of business condition. Initial type of internationalization was a specialty store,
having strong brand, for less risk. Then the large retail stores, handling food and etc, were getting more
popular and had been branched out especially in Asia. However advancing in developed type for each
business as well as large retail store, rapid globalization of retailing conducted since 1990, to fit the local.
In the case of Tesco, late comer in overseas expansion, starting with Hungary in 1994 by large store
then developing store type to fit the local and branched it out.
Finally, it is a business strategy combining globalization with localization. Many global retailers prefer
to use management system which is made in their country in overseas markets as the standardization.
It is to maximizing advantage of standardization strategy. But there are many failed cases due to special
circumstances such as customer's behavior pattern and business custom which are difficult to overcome.
So Tesco is taking a combination method, adapting the management system from head office as globalization and fitting the local market as a glocalization.
* Corresponding Author. Address: Instructor, Department of International Business, Dongduk Women's
University, 23-1 Wolgok-dong, Sungbuk-gu, Seoul, Korea, 136-714; E-mail: [email protected]; Tel:
+82-10-8945-6204; Fax: +82-2-453-6209.
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유라시아연구 제6권 제3호(2009.9)
鄭月順
The feature of the global management of European retailers such as Tesco teach us that global retailer's
management know-how from own country can't be global standard. So retailers need to make use of
the specialty, not to ignore the local environment. This research about the European retailers gives a big
suggestion to Korean retailers. The Korean retailer also has advanced abroad as a large store since 1990,
but not very exciting the status and its growth in overseas markets is a very dull state. Increasing branches
is very important to retailer due to the economy of scale, through a chain, after overseas expansion.
However Korean retailers are faced with difficulties competing with many global companies. To demonstrate
this theory and research is needed constantly. Therefore, this study shall be an active catalyst for the
research on overseas expansion of the retailers.
Keywords: European Retailers; Globalization; Management Strategy; Tesco; Large Store.
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