串間市教育研究所 - 宮崎県教育研修センター

串間市教育研究所
Ⅰ 研究主題
・・4― 1
Ⅱ 主題設定の理由
・・4― 1
Ⅲ 研究目標
・・4― 2
Ⅳ 研究仮説
・・4― 2
Ⅴ 研究構想
・・4― 2
Ⅵ 研究内容
・・4― 3
1 研究の方向性
・・4― 3
2 学校生活アンケートの実施
・・4― 3
(1) 課題の把握
・・4― 3
(2) 分析・考察について
・・4― 4
3 「キャリア教育全体プログラム」の作成
・・4― 5
(1) 「キャリア教育全体プログラム」について
・・4― 5
(2) 「キャリア教育全体プログラム」を作成する目的について
・・4― 6
(3) キャリア教育担当者会の実施
・・4― 6
4 「キャリア教育全体プログラム」作成研修の実際
・・4― 7
(1) 実態の把握から焦点化した基礎的・汎用的な能力の決定まで
・・4― 7
(2) 題材決定から全体構想作成まで
・・4― 7
(3) 研修の成果と課題
・・4― 7
5 キャリア教育の視点を意図的に関連付けた授業実践(A小学校での実践) ・・4― 8
(1) 授業教科の決定
・・4― 8
(2) 育成したい具体的な力の設定
・・4― 8
(3) 授業におけるキャリア教育の視点の作成
・・4― 8
(4) 授業実践「国語科」
・・4―8、9
(5) 授業実践後の指導
・・4― 9
(6) 実践の考察
・・4― 9
Ⅶ 成果と課題
・・4―10
1 成果
・・4―10
2 課題
・・4―10
○ 引用・参考文献
・・4―10
○ 研究同人
・・4―10
Ⅰ 研究主題
夢や希望をもち、目標に向かって生きようとする児童・生徒の育成
~ 串間市ならではのキャリア教育の推進活動を通して ~
Ⅱ 主題設定の理由
日本の様々な分野において構造的な変化が起こる「知識基盤社会」が到来し、情報化・グロー
バル化・少子高齢化などにより、子どもをとりまく環境もめまぐるしく変化している。この社会
環境の変化は、子どもにとって将来を考える上で理想的なモデル(大人)が見付けづらい、自分
の将来を描きにくいなどの問題をもたらしている。そのため、学生の立場から就業者の立場への
移行がスムーズに行えない若者や、目的をもった進路選択や将来計画が希薄なままに進学したた
めに、進路変更をしなければならない学生が増加し、社会問題にもなっている。こうしたことを
踏まえ、変化の激しい社会を生き抜く力をもち、様々な課題に柔軟に対応できる職業的・社会的
に自立した子どもを育成するキャリア教育の推進が強く求められている。
串間市では、
「学力向上」と「地域に貢献できる人材の育成」を目指して、平成20年度から
小中高一貫教育をスタートさせ、くしま学や読書教育などの取組を通して、校種間の連携を深め
てきた。キャリア教育に関しても、キャリア教育部会を設置し、キャリア教育に関するアンケー
ト調査や、手引書の作成などに取り組んできた。
小中高一貫教育の組織にも位置付けられている本研究所では、平成24年度よりキャリア教育
の研究を行っている。一昨年度は、キャリア発達を促す「学級活動の指導の在り方」を中心に研
究し、串間市におけるキャリア教育の全体構想、学級活動におけるキャリア発達の課題を基にし
た指導内容や能力の系統表、発達段階を踏まえた学級活動の授業の在り方について提案すること
ができた。また、昨年度は教職員がキャリア教育についての理解を深めるためのリーフレットや
「キャリア教育の視点」を基に、体験活動を中心とした各教科等の学びを意図的に関連付けた全
体構想を作成し、授業を実践することができた。
しかし、課題としては、昨年度の研究内容が串間市の全教職員に普及していないことや、学校
全体や学年間の「縦の連携」を図るための組織的かつ系統的なキャリア教育が実践されていない
ことなどが挙げられた。
そこで、今年度も、キャリア教育の視点を生かした授業改善を通して、夢や希望をもち、目標
に向かって生きようとする児童・生徒の育成を目指し、昨年度の研究を発展させ、縦の連携の強
化を図りながら、次の2点を軸に研究を進めることとした。
一つ目は、昨年度作成した学校生活アンケート(小学校1~3学年・小学校4~6学年・中学
校及び高等学校・教職員)を活用して、串間市全体の児童・生徒の実態を把握することである。
本市では小規模の学校が多いため、市全体でアンケートを実施し客観的なデータを基に分析を行
う必要性がある。また、児童・生徒の実態を把握し分析することでキャリア教育の目標等を明確
にしたり、教職員がアンケートに答えることでキャリア教育に対する意識を高めたりすることが
でき、各校の教育活動がさらに充実するであろうと考えた。
二つ目は、アンケートの結果を受けて、各学校で目指す児童・生徒像を焦点化し、
「キャリア教
育の視点」を基に、児童・生徒の心を揺さぶる体験活動を中心とした各教科等の学びを意図的に
関連付けた「キャリア教育全体プログラム」を全職員で作成することである。このことにより教
職員がキャリア教育の有用性を実感し、共通理解・共通実践することで、児童・生徒の学びの質
が高まるとともに、児童・生徒は学習の意義を見いだしたり、学習意欲が向上したりするであろ
うと考えた。
これらの取組を継続することにより、キャリア教育で育成すべき基礎的・汎用的能力を身に付
4-1
けさせることはもちろん、自己の将来や就きたい職業、生き方について深く考えさせることにも
つながるものと期待される。また、各教科や特別活動等における学習が自己の将来に役立つと考
え、主体的に学校生活を送るようになると思われる。さらに、
「学ぶこと」の意義を自覚した児童・
生徒は、生涯を通して、自分の将来につながる「今」を充実させるために、現在をどのように生
活すればよいか常に考え、実行できるようになると考えられる。そのような社会的にも職業的に
も自立し、自分らしい生き方ができる人格の形成を支援する教育を目指し、本主題を設定した。
Ⅲ 研究目標
夢や希望をもち、目標に向かって生きようとする児童・生徒の育成を図るために、児童・生徒
の実態に応じたキャリア教育推進の在り方を究明する。
Ⅳ 研究仮説
キャリア教育の視点を基にした「キャリア教育全体プログラム」の作成方法を提示し、各学校
において児童・生徒の実態に応じたプログラムを作成・実践すれば、キャリア教育の推進が図ら
れ、児童・生徒のキャリア形成に必要な意欲や態度、能力を育成できるであろう。
Ⅴ 研究構想
関係法規
研 究 主 題
学習指導
夢や希望をもち、目標に向かって生きようとする児童・生徒の育成
要領
~ 串間市ならではのキャリア教育の推進活動を通して ~
目指す児童・生徒像
県・市教育
方針
地域・
保護者・
教師
の願い
○ 積極的に場に応じたあいさつや会話ができる児童・生徒
○ 自分の個性を生かし、主体的に行動できる児童・生徒
○ 必要な情報を集め、計画的に課題解決に向かうことができる児
童・生徒
つ
な
○ 学ぶこと・働くことの意義を考え、夢や目標に向かって努力す
な
る児童・生徒
ぐ
ぐ
・
・
研 究 仮 説
つ
キャリア教育の視点を基にした「キャリア教育全体プログラム」
な
の作成方法を提示し、各学校において児童・生徒の実態に応じたプ
げ
ログラムを作成・実践すれば、キャリア教育の推進が図られ、児童・
る
生徒のキャリア形成に必要な意欲や態度、能力を育成できるであろ
教
う。
育
の
実
践
つ
つ
な
げ
る
教
育
研 究 内 容
の
○ 学校生活アンケート(小学校・中学校・高等学校)の実施
・ アンケートの集計と分析及び考察
践
○「キャリア教育全体プログラム」の作成から、キャリア教育の視
点を意図的に関連付けた授業実践
・ キャリア教育担当者会の実施
・ 授業実践
串間市の児童・生徒の課題と教師から見た課題
4-2
実
Ⅵ 研究内容
1 研究の方向性
今年度は、昨年度の課題「キャリア教育
の視点をもった授業を広げていくこと」
、
「核となる体験活動を位置付け、児童・生
徒の発達段階に応じた系統的な指導の研究
を深めていくこと」を工夫・改善していく
ために、キャリア教育を個人レベルの実践
から組織レベルに引き上げることを研究内
容とした。
2 学校生活アンケートの実施
(1) 課題の把握
昨年度、本研究所では文部科学省の
「キャリア教育の手引き」を基に、リ
ーフレット「キャリア教育の道しるべ」
を作成した。その際、児童・生徒が日
常生活を振り返り、また、キャリア教
【リーフレット「キャリア教育の道しるべ」
】
育ではぐくむ力、基礎的・汎用的能力
(本市では、かかわる力・みつめる力
・解決する力・えがく力と分かりやす
い言葉にした)の課題を把握するため
に、アンケートを実施した。
アンケートは、市内の全小学校・中
学校・高等学校の児童・生徒及び教職
員を対象とした。すべての児童・生徒
を対象としたことで、串間市の子ども
たちが抱える発達段階による課題を明
確化することにした。また、すべての
学校で実施することで、各学校や地域
のキャリア発達の課題を把握すること
【学校生活アンケート(中学校教職員用)
】
にした。
教職員用のアンケートには「キャリ
ア教育を意識しながら指導しています
か。
」
「キャリア教育の道しるべを活用
していますか。
」という設問を追記し、
教職員の自己評価や啓発にも活用した。
上記の設問において、4段階評価で中
学校教職員の結果を平均すると、それ
ぞれ2.9ポイントと1.8ポイント
となった。
【学校生活アンケート集計結果より】
4-3
(2) 分析・考察について
分析表は、小中高の18校、そして、市全体の小学校及び中学校ごとにまとめたものを
作成した。データをグラフ化して見やすくするとともに、小規模校ではデータが不足する
ので、本市全体の結果と比較できるようにした。また、児童・生徒の評価だけでなく、教
職員の評価を入れることで、より客観的な分析ができるようにした。
【分析結果の見方】
【分析及び考察の実践例】
4-4
3 「キャリア教育全体プログラム」の作成
(1) 「キャリア教育全体プログラム」について
各学校で作成しているキャリア教育の全体構想を、より簡潔で明確にしたものを「キャ
リア教育全体プログラム」と命名した。作成の手順は以下のとおりである。
① 地域・児童・生徒の実態を基に、キャリア教育の全体目標を設定する。
② アンケートの結果で、課題とした基礎的・汎用的能力を焦点化する。
③ 「くしま学」を中心とした体験活動を整理する。
④ 目指す児童・生徒像を設定する。 ※ 「~することができる。
」と具体的に書く。
【
「キャリア教育全体プログラム」
(中学校用)
】
【
「キャリア教育全体プログラム」
(実践例)
】
4-5
(2) 「キャリア教育全体プログラム」を作成する目的について
キャリア教育全体プログラムを、全職員で作成することにより、児童・生徒の生活を見つ
め直して課題を把握する。目指す児童・生徒像を共有することで、同じ目的でキャリア教育
の視点からの問い掛けを行うことができ、より系統的で計画的なキャリア教育の実践が行わ
れると考えた。
また、他の目的として、
① 教室や廊下等に示して、
「自分もあんなことがしたい。
」といった児童・生徒の思いや願
いにつなげる。
② 保護者や地域・企業の方に示して、協力や要請の趣旨説明に活用する。
③ 異校種の先生に示して、キャリア発達の段階や学習内容を説明する。
以上のような活用方法も考えられる。
(3) キャリア教育担当者会の実施
キャリア教育を推進するためには、
各学校における研修を充実していく必
要があると考え、市内の各小学校・中
学校のキャリア教育担当者を集め研修
会を行った。キャリア教育の必要性や
全体プログラムから全体構想(年間指
導計画)を作成するまでの手順を確認
した。また、演習のグループは、小中
連携を考慮して中学校区で編成した。
【キャリア教育担当者会の演習】
キャリア教育の視点に立った授業を
実践するためには、全体プログラムを
作成しただけでは、キャリア発達を促
すための授業は実践できない。そこで、
核となる体験活動と、各教科や道徳、
特別活動等を、どうつなげていくかま
で、全職員で検討する必要がある。核
となる体験活動を実施しただけで終わ
るのでなく、事前指導や事後指導の手
立ても考えていくように確認した。
研修後の先生方の感想では、
「キャ
リア教育全体プログラムの重要性が分
かった。
」
「小中合同で相談しながら作
成することができたので、共通の取組
ができる。
」という意見が多かった。
学校間でキャリア教育の実践状況も異
なり、担当者としての悩みを共有し、
改善するための手立てにつながったと
考える。
【全体構想作成の流れ】
4-6
4 「キャリア教育全体プログラム」作成研修の実際
キャリア教育担当者会を受け、キャリア教育担当者は、各学校において「キャリア教育全体プロ
グラム」
「全体構想」を作成する研修を実施した。昨年度、本研究所が提示した、リーフレット「キ
ャリア教育の道しるべ」を活用し、串間市におけるキャリア教育について確認をした後、作成作業
を行った。
(1) 実態の把握から焦点化した基礎的・汎用的な能力の決定まで
まず、地域の実態・児童の実態について話合いを行った。校
内に掲示をしたり、保護者や地域・企業の方に提示したりする
ことを考慮し、A小学校の実態を端的に表すこととした。同様
に、キャリア教育の全体目標についても、能力別ではない大き
な目標を一つ掲げることで、シンプルに一目で分かるものとし
た。次に、焦点化した基礎的・汎用的能力について協議した。
【職員研修の様子】
その際、学校生活アンケートの分析表「四つの能力」の結果や本研究所が洗い出した「伸ばし
たい能力」についての分析結果を基に話し合い、A小学校においては、『解決する力』に焦点化
して「キャリア教育全体プログラム」
「全体構
想」を作成することとした。
(2) 題材決定から全体構想作成まで
題材ついては、核となるような体験活動が
位置付けられている教科等の中から決定する
こととした。第3学年以上については、「体験
活動が多く含まれ、他教科での学習を生かし
やすい。」「本校が伸ばしたい解決する力を発
揮できる場面が多い。
」という意見から、くし
ま学を主な単元とした。その後、目指す児童像
【キャリア教育全体プログラム】
を各学年で検討し、各教科等における年間指導計画を参考に全体構想を作成した。
(3) 研修の成果と課題
研修後に、四段階で評価を行うアンケートをとった。
「キャリア教育全体プログラムの作成の方法は分か
りやすかったか。
」という設問では、100%が肯定的な
回答をした。自由記述では、
「キャリア教育全体プロ
グラムや全体構想の作成法が簡潔に示してあり、理解
しやすかった。」
「シンプルでよかった。」という意見
が見られた。また、
「日頃から活用できるキャリア教
育全体プログラム・全体構想ができた。」という感想
もあった。
成果として、今回のキャリア教育全体プログラム作
成研修を通して、すべての職員がキャリア教育につい
【全体構想】
て意識し、その視点を生かした授業を展開しようとい
う共通理解ができた。課題として、学校ごとの課題だ
【全体構想の例】
けでなく、発達段階も考慮した身に付けさせたい力の焦点化ができるとよいという意見も寄せら
れた。
4-7
5 キャリア教育の視点を意図的に関連付けた授業実践(A小学校での実践
~第5学年~)
(1) 授業教科の決定
本実践では、「キャリア教育全体プログラ
ム」
「全体構想」に従って、意図的にキャリア
教育の視点と関連付けた授業実践を行うこと
とした。本校の課題が「解決する力」となっ
ており、その力をつけるため、
「全体構想」の
中から、くしま学につながる国語科の授業を
行うこととした。
(2) 育成したい具体的な力の設定
「キャリア教育全体プログラム」
「全体構想」
を基に、目指す児童の姿を「串間の天然記念物
【「解決する力」をはぐくむための全体構想】
の課題を見つけ、解決していく方法を探ることができる児童」とした。くしま学の「串間の天然
記念物」のよさを伝えるためには、そこに関わる人々の言葉にも目を向けることが必要である。
児童は、それらの情報を理解・整理し、処理する活動を行っていく。これらの力を育成していく
ために、国語科の単元「森林のおくりもの」において要旨をとらえる学習を行うこととした。
(3) 授業におけるキャリア教育の視点の作成
この実践では、
「解決する力」
を育むため、国語科とくしま学を
意図的に関連付けたキャリア発
達支援の流れを作成した。キャリ
ア教育からの視点からの問いを
「要旨の読み取りは、どのような
場面で生かせるだろう。
」とする
ことで、くしま学での資料を読み
取る場面やまとめの場面で使え
るのではないかという児童の考
えを引き出そうと考えた。
「キャ
リア教育の視点からの問い」を設
定することで、くしま学の学習内
容を意識した授業が展開できる
ようにした。
(4) 授業実践「国語科」
【キャリア発達支援の流れ】
ア 単元名「森林のおくりもの」
イ 本時の目標(4/9)
○ 結論部分を読んで、文章の要旨をまとめ、題名の工夫について考えることができる。
【関心・意欲・態度】
【読むこと】
4-8
ウ 学習指導過程
指導上の留意点
学習内容および学習活動
◎キャリア教育の視点
1 前時の振り返りをする。 〇
前時の内容を振り返り、森林のおくりものの内容を
確認する。
2 本時のめあてを知る。 筆者の伝えたいことを考えよう。(要旨)
〇 結論の部分を読み、どのような内容になっていたか、
3 教科書を音読する。
確かめさせる。
4 森林のおくりものは誰か ○ おくりものの受け手についても考えさせる。
ら送られたものか考える。 ◎ 近くの児童で協力して課題を解決する。
○
「わたしたち」には、児童自身も含まれることに気
付かせる。
5 結論の部分から要旨をま ○ キーワードにラインを引き、それを活用させる。
とめる。
◎
筆者の伝えたいこと(要旨をまとめること)は、国
語以外にも使えるのか考えさせる。
6 本時の学習を振り返り、 ○ 森林ブックガイドを作っていくことを伝える。
次時の学習について知る。
(5) 授業実践後の指導
国語科において、キャリア教育を意識した授業を行った後、
核となる体験活動である、くしま学の「串間の天然記念物」を
行った。インターネットで、都井岬に関わっている人々につい
ても調べ、発表を行った。その際、ホームページをそのまま写
すこれまでの方法ではなく、要旨をまとめて地域の方の願いを
まとめるようにした。初めての取組であったが、子どもたちか
らは、
「分かりやすくなった。
」
「他の資料でも使いたい」と
【くしま学の授業の様子】
いった声が聞かれた。
(6) 実践の考察
○ キャリア教育の視点からの問いである
「要旨の読み取り
は、どのような場面で生かせるだろう。」という発問に対
【くしま学の授業後の感想】
して、児童は初め戸惑っていたようであった。
「国語だけではなく?」という声かけを行うと、
すぐに「くしま学」と答えた。この日の日記にも、
「国語だけでなく、総合でも使えることが分
かった。
」とあり、今回の学習を生かそうという児童の意欲が高まった。
○ 今回行った授業実践においては、核となる体験活動は含まれていなかった。通常の授業を行っ
ていたら、この国語の学習とくしま学の活動とのつながりは、非常に薄いものとなっていたと考
える。しかし、今回作成した「キャリア教育全体プログラム」「全体構想」を作成、活用するこ
とで、国語科においてもくしま学の体験活動を意識した授業を行うことができた。結果的に、国
語科とくしま学がキャリア教育を通じてリンクし、児童の「解決する力」を高めることができた。
このように、児童が学校生活の中で「解決する力」身に付けて行くには、
「キャリア教育全体
プログラム」
「全体構想」を活用した実践を継続していく必要があると考える。
4-9
Ⅶ
成果と課題
1
成果
<学校生活アンケートに関して>
○
市内全学校に学校生活アンケートを実施し、その結果を集約・分析したことで、串間市の
児童・生徒のキャリア発達における課題を具体的に把握することができた。
<キャリア教育担当者会の実施に関して>
○
各小中学校のキャリア教育担当者にキャリア教育全体プログラムの作成研修を実施したこ
とにより、キャリア教育で育成すべき力を中心としたキャリア教育の推進が各校で図られた。
<キャリア教育全体プログラムに関して>
○
「キャリア教育全体プログラム」から「全体構想」を作成することで、キャリア教育の進
め方を職員間で共通理解することができた。
<授業実践に関して>
○
キャリア発達を支援する授業実践は、個々の児童生徒の課題意識を高め、課題解決に向け
て主体的に取り組む児童生徒を育成する手立てにつながった。
2
課題
<キャリア教育全体プログラムの深化について>
○
キャリア教育の進め方や授業の在り方について、一貫教育担当者会等との連携を図り、学
校間で情報を共有しながら、よりよいキャリア教育全体プログラムを目指す必要がある。
<評価について>
○
小中高を見通したキャリア教育の成果を見届けるために、児童・生徒のキャリアが日々の
授業でどのように変容したかについて把握する評価の仕方とその生かし方について研究する
必要がある。
【引用・参考文献】
・小学校
キャリア教育の手引き[平成23年5月
文部科学省]
・中学校
キャリア教育の手引き[平成23年5月
文部科学省]
・キャリア教育って結局なんだ?[平成21年11月
国立教育制作研究所]
・宮崎県キャリア教育ガイドライン[平成25年1月
宮崎県教育委員会]
・「キャリア教育」資料集
研究・報告書・手引編[平成25年度版
・平成24年度研究紀要[平成25年2月
串間市教育研究所]
・平成25年度研究紀要[平成26年2月
串間市教育研究所]
文部科学省]
【研究同人】
所
長
土肥
昭彦
(串間市教育長)
事務局
都成
量
(学校政策課長)
指導員
甲斐
寿尚
研究員
塩月
貴
園木
野邊
幸治
(学校政策課長補佐)
(大平小学校教頭)
田中
洋貴
(福島小学校)
和久
(北方小学校)
川越
賀津雄(本城小学校)
日髙
真
(福島中学校)
野邉
智亮
上野
亮
(都井中学校)
(指導主事)
4- 10
(大束中学校)