第6回 交換理論(不公平だからいらないの巻)

集合行動論(亀ヶ谷)
第6回
交換理論(不公平だからいらないの巻)
1. 社会的交換理論
人間の社会的行動を「人々が態度や反応の交換を通して互いに影響しあう過程」と捉え
る考え方について、ここで見てみます。
(1)社会的交換理論(ティボーとケリー)
報酬とコストの差=結果(Outcome)が大きいほど、人は満足する。
ただし、相互関係(交換)に満足するかどうかは、比較水準(Comparison Level; CL)と
の比較で決まる。さらに相互関係(交換)から離脱するかどうかは、選択的比較水準
(Comparison Level for alternative; CLalt)といった基準との比較で決まる。
比較水準:ある結果が満足できるかどうかの、その人固有の基準
選択的比較水準:現在の関係をやめて他の選択肢に移行した時に期待される結果
についての評価基準
例えば 結婚生活の結果(= 結婚生活の報酬 - 結婚生活のコスト)が、比較水準を下
回っていると不満足 → しかし離婚した場合の結果(慰謝料、社会的非難、一人暮らし
の寂しさなどコスト大)すなわち選択的比較水準よりはマシなので、離婚しない。
(2)対人資源(フォアとフォア)
対人相互作用では、物や金、情報以外にも、愛情やサービスといったものも交換されて
いる。
(3)公平理論(アダムス)
社会的交換を、公正さの関係から考えた理論
A の成果(報酬)
B の成果(報酬)
=
A の投入(貢献度)
B の投入(貢献度)
公平感は単純に結果を平等に分けた時に生じるのではなくて、貢献度に応じた分配がな
された時に生じる。そこで平等(equality)と区別して公平(equity)と名づけた
A、B 二人の入力と成果の比が釣り合っていれば両者の関係は続く。比が釣り合ってい
ない、つまり不公平な時には二人の間に緊張が生まれ、関係を解消したり、投入量を増減
させて釣り合いを戻して緊張を解消しようとする。
2. 最後通牒ゲーム
・最後通牒ゲームで公平理論を体感してみよう。
・最後通牒ゲーム(おかねバージョン)を行って、ヒトとチンパンジーの分け方を比較
してみよう。
・さらに、社会的価値志向性クイズを行って、自分の分け方の好みを知ろう。
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