人材育成とダイバーシティの推進

重要課題
3
多様な人材の育成と活用
人材育成とダイバーシティの推進
当社は、企業競争力の源泉である
「人材」の育成と活用に注力しています。多様な事業活動や充実した教育研修施策を通じて、
社員一人ひとりに成長と自己実現の場を提供し、個々人が働きがいを感じられる企業を目指しています。
人材に対する基本的な考え方
当社は、
「企業の成長を支えるのは人材である」
という
海外における人材の育成と活用
当社グループでは、スピード感のある海外事業拡大の
ために海外人材の積極的な活用が必要であると考えてい
認識のもと、社員の能力開発と、働きがいの向上を重視す
ます。その中でも海外グループ会社の現地採用社員であ
る人事戦略を積極的に進めています。長い「ものづくり」
るナショナルスタッフの育成について、現地化や海外人材
の歴史の中で培ってきた技術・技能を、次の世代へ確実に
活用の具体的な方針を踏まえたうえで、育成プログラム
伝承するとともに、社会へ新たな付加価値を提供できる
の構築を予定しています。
「ひとづくり」
を目指しています。
現在は、海外の管理職層や技術社員を受け入れ、当社
のノウハウを学んだうえで、海外事業所へ展開するという
グローバル人材育成の強化
当社中期経営計画では
「グローバル競争力の強化」
を全
社戦略のひとつに掲げており、その一環としてグローバル
人材育成の更なる充実・強化に取り組んでいます。
海外赴任を控えた社員と今後グローバルな活躍が期待
される若手社員を選抜して必要な研修を提供しており、
2013年度より開始された
「グローバル人材育成プログラ
ム」
は、2015年度までの3年間で合計176名の社員が受
講しています。
このプログラムを通じ、2016年度からの5ヵ年で、約300
名のグローバル人材を育成していく計画を立てています。
グローバル人材
若手社員のグローバル教育拡充
取り組みも実施しています。
今後、グループ全体として、現地人材の育成と活用を
進めていきたいと考えています。
技術の伝承
当社では、新入社員研修・中堅社員研修をはじめとする
階層別研修に加え、ものづくりの会社として製造設備に関
する保全技能及びエンジニアリング教育も進めています。
製造現場では、広範な各事業に応じたさまざまな生産技
術の維持・向上に努めています。また、若手社員を対象と
して
「設備管理技術者研修」
を実施しています。この研修
は15年以上継続しているもので、ものづくりを支える技
術者の人材育成及び技術の伝承に重要な役割を果たして
います。
ナショナルスタッフ育成プログラムの検討・策定・実施
対象
入社2〜8年目
社員
プログラム
ジュニア
グローバル
プログラム
(JGP)
●
内容
●
語学研修
社外講師による
マインド・スキル・
知識研修
●
海外OJT研修
(2014年度から)
176名
2〜3年内に
海外赴任が
想定される社員
グローバル
マネジメント
プログラム
(GMP)
●
●
●
三菱マテリアル CSR報告書2016
VOICE
各カンパニー・事業部門の
設備管理技術者研修を受講して
研修では、個々のスキルに応じたカリ
海外事業の運営方針や
語学研修
社内講師による
専門知識研修
ナショナルスタッフの活用
キュラムで、技術伝承用の専門機を用
方針など具体的なニーズ
いた教育が行われています。講師は生
を踏まえ、今後育成プログ
社外講師による
スキル・知識研修
2013〜2015年度に
グローバル人材プログラムを
受講した社員
51
ナショナルスタッフ
(海外拠点の現地採用社員)
産技術のベテラン技術者で、理論だけ
ラムを構築予定。
でなく、実際の現場経験に基づく実践
的な教育内容です。日々の業務では直
接携わる機会が無い技術も習得でき、
目標
約
直島製錬所保全動力課
300名
2016年度からの5年間で
育成するグローバル人材
石毛 克弥
どの事業所でも能力を発揮できるもの
づくりの考え方が身に付きました。研修
の最後には成果発表を行い、その際にいただいたベテラン技
術者からのアドバイスを日常業務に活かすことで、業務の効率
化・高品質化にも繋がっています。
障がい者雇用の促進
多様性への取り組み
当社人財開発センター(埼玉県)では、
「社会的責任」
女性の活躍推進に向けて
「法令遵守」
「多様な人材活用」
を基本的な考えとし、当社
当社における
「女性活躍」推進の目的は、
「多様な人材の
並びに当社グループ会社の障がい者雇用を促進するため
協働により付加価値を創造すること」
と
「優秀な労働力を
のさまざまな支援を行っています。中でも同センターに
確保すること」の2点と考えています。
ある
「障がい者雇用モデル職場」
では、障がい者が仕事を
これまでの取り組みでは、
2015年2月に女性社員9名か
通して学び、成長し、社会に貢献するという理念のもと、
らなる
「女性活躍推進委員会」
を設置し、
8月末に同委員会
敷地内の緑化や食堂等の清掃、当社グループ会社を含め
より、女性社員の活躍に向けての課題抽出と方向性を取り
た名刺製作の業務を行うとともに、地域の特別支援学校
まとめた
「提言」が経営陣に対して提示されました。これを
からの実習生受け入れ等の社会貢献活動を行っています。
受け、当社として10月に
「女性活躍推進基本方針」
を策定
しました。これは、女性社員の
「確保と定着」
、
「職域の拡大」
、
■ 障がい者雇用率の推移
「活 躍」のための 取り組 みを推 進していくものであり、
3.0
「女性活躍推進法」に定められた「事業主行動計画」
とし
2.5
ても、労働局に届出を行っています。
女性比率」、
「女性社員の入社後5年後自己都合離職率」
「女性管理職比率」の3項目について数値目標を定めてい
ます。
具体的な施策として、
2016年1月より課長級以上の全
社員に意識変革のための研修を行っているほか、女性社
員に対する研修も2016年度中の実施を計画しています。
拡充についても注力し、働きやすい環境の整備に努めて
います。
25%以上 15%以下 2.5%以上
女性社員の入社5年後
自己都合離職率
女性管理職比率
2.32
法定雇用率2.00%
1.5
0
11
12
3月末
3月末
13
14
3月末
3月末
15
3月末
16
4/1
[年]
※ 2015年度分より起算日を4/1としました。
■ 当社グループで勤務する障がい者の主要な職種(2015年度調査による)
その他
10.92%
3
運輸・物流
2.04%
施設設備(清掃等)
17.40%
製造・開発・リサイクル
44.02%
コンピュータ
(システム)
1.02%
※ 当社グループ会社(従業員数50名以下を除く)のうち、法定雇用率を達成している
会社は66%です。
T O P I C S
「えるぼし」認定を取得
れた
「女性活躍推進法」
に基づいて、女性活躍に資する
「一般事業主行動計画」
を策定し、届出を行った企業の
具体的施策を
実行する段階
うち、一定基準を満たした企業が厚生労働大臣の認定
「活躍」
に向け
ステップアップ
「職域拡大」
に向けた
環境整備
「確保・定着」の
土台づくり
フェーズ1
2.34
「えるぼし」認定とは、
2016年4月1日に全面施行さ
■ 取り組みの進め方
(2015年度下期)
2.56
事務作業
24.57%
P.18
■ 女性活躍推進基本方針に定める数値目標(2020年を目途)
取り組みの理解を
浸透させる段階
2.60
多 様 な 人 材の
育成と活用
また、仕事と家庭の両立支援や働き方に関する諸制度の
学卒新卒採用の
女性比率
2.51
2.45
2.0
この「基本方針」
には、下図のとおり
「学卒新卒採用の
※ 女性従業員比率・女性管理職比率データは
障がい者雇用率
[%]
を受けることのできる制度です。
当社は2016年4月までに認定された全国46社のう
ちの1社となりました。①採用、②継続就業、③労働時間
取り組みへの理解が
ある程度浸透し、
女性社員の活躍による
効果発現への期待が高まる段階
等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコースの
5つの評価項目のうち、当社は、
②継続就労、③労働時間等の働
フェーズ2
(2016年度)
フェーズ3
(2017年度以降)
き方、⑤多様なキャリアコースの
3項目を満たし、
3段階に分かれ
る
「えるぼし」認定の2段階目の
企業として認定を受けました。
三菱マテリアル CSR報告書2016
52
重要課題
3
人材育成とダイバーシティの推進
定年後の再雇用
当社では、定年退職後も技能や知識を引き続き活かす
場を提供するため、希望者全員を各事業所及び関連会社
ワーク・ライフ・バランス
当社は、社員が仕事と家庭の両立を実現できる職場環
にて再雇用しており、2015年には新たに53名 がこの制
境づくりを推進しています。社員一人ひとりがライフイベ
度を利用しています。
ントに合わせた働き方を実現しながら、キャリアアップにも
★
60歳以降の雇用をとりまく環境の変化等を踏まえ、制
度の見直しにつき、都度労使で検討しています。
挑戦できる職場を目指し、支援制度の整備、拡充に努めて
います。
育児・介護支援制度
人権の尊重
基本的な考え方
当社は行動指針の中で、
「私たちは、すべての人々の基
本的人権を尊重し、明るく安全快適な職場環境をつくりま
す」
と謳っています。これは、個人の尊厳を尊重し、名誉、
プライバシー等を侵害することはせず、人種、性別、宗教、
国籍等、能力や職務遂行と関係ない理由による、不当な差
別は行わないことを意味します。
そのためにも当社は社員(嘱託、パート、契約社員、派遣
労働者を含む)一人ひとりが人権問題を自分のこととして
捉え、あらゆる差別を
「しない、させない、許さない」
という
強い信念をもって、日常業務の中で人権意識に根差した
事業活動ができるように、継続して人権啓発研修を行って
います。2015年度も全社的に人権啓発研修を推進した
結果、全社で延べ時間数3,866時間、延べ4,869名が
受講しました。
当社では、法令を上回る各種育児・介護支援制度を整
えています。育児については、育児短時間勤務を小学校3
年生までの子を養育する社員が利用できるほか、2014年
より子の看護休暇の一部有給化、保育料補助制度、及び
育児休業等早期復帰一時金制度を新設し、育児と仕事の
両立を目指す社員への支援を強化しています。
介護については、介護休業、短時間勤務を被介護者1名
につき365日取得できるほか、同一の対象者に対して分
割して休業を取得すること、積立休暇を利用することを認
めています。
■ 主な関連制度の利用状況(2015年度)★
項目
男性
女性
合計
ー
ー
83.6%
ー
18名
18名
育児休業取得者数
6名
32名
38名
介護休業取得者数
4名
1名
5名
80名
35名
115名
有給休暇取得率
(暦年で集計)
産前産後休業取得者数
保育料補助制度利用者
時短の取り組み
労使による時短検討委員会を設置し、各事業所の実態
人権啓発研修(三田工場)
ハラスメントの防止
組んでいます。
2015年度は、従来から実施しているノー残業デーや有
社員の就業意欲を阻害し、職場環境を悪化させるセク
休取得奨励日の取り組みを強化・徹底するとともに、定期
ハラやパワハラ等に対しては、啓発研修の徹底、予防措置、
的な炉の補修工事時の振り替え休日対応等にも取り組み
発生後の対応体制を整備することが有効な防止対策であ
ました。
ると考えます。2014年7月に施行された改正男女雇用機
会均等法施行規則を盛り込んだ内容で当社のセクハラ防
止指針を改定しています。当社では、社員相談室のほか、
事業所ごとにセクハラ相談窓口担当者を選任するととも
に、社外相談窓口も設置し、適正な対応を図っています。
(2015年度相談件数:12件)
53
に即した所定外労働時間削減と有給休暇取得促進に取り
三菱マテリアル CSR報告書2016
なお、2015年の全社組合員平均の年間総労働時間は
2007.7時間でした。
福利厚生
ウェルネス休暇
雇用の状況(2016年3月末現在)
■ 従業員数(常勤換算)
項目
当社は、失効する有給休暇を年間5日を上限に最大45
日間、ウェルネス休暇として積み立てることができます。
看護、単身赴任者の帰省、ボランティア活動等の際に取得
臨時従業員
4,525名
916名
24,636名
連結
本休暇は、社員の私傷病による療養や、人間ドック、婦人
科健診といった本人の健康に対する事由のほか、家族の
社員
単体
国内
16,294名
海外
8,342名
4,917名
■ 地域別従業員数(連結)
地域名
人員
できます。2014年度より不妊治療による通院・入院を
日本
取得要件に追加する等、制度の充実に努めています。
アジア
4,871名
選択型福利厚生制度
北米
2,810名
中南米
16,294名
36名
欧州
当社は、多様化する社員のニーズに対応するため、選択
602名
大洋州
型福利厚生制度を導入しています。2015年度の旅行、
23名
合計
24,636名
生活支援メニューの利用実績は、約4,900件に上り、家族
を含め非常に多くの社員に活用されています。
社内地区行事補助
当社ではスポーツを通じた社内外交流の促進や、事業
所のクラブ活動の活性化を図るため、社員主催のスポー
ツ行事に対して費用補助等を行っています。例年、フット
年度は全社で約500名が参加しました。
労使のパートナーシップ
当社はユニオンショップ制のもと、労使間で定期的な
情報共有、意見交換を行っています。特に、年2回開催し
ている労使経営協議会では、各事業の最新の課題、戦略、
管理職※
一般社員
合計
男性
1,182名
2,870名
4,052名
17.84年
41.50歳
女性
15名
458名
473名
14.71年
38.99歳
1,197名
3,328名
4,525名
17.54年
41.22歳
合計
(全体)
※ 男女を問わず適正な処遇を徹底しており、性別による処遇・給与の差はありません。
1.25%
女性管理職比率 ※
事業再編等の対策についても十分な時間を設け、丁寧に
教育時間総数(年間)
社員1人当たりの平均時間数
(年間)
17時間
76,657時間
■ 新卒採用状況
新卒採用
説明した上で、協議を行っています。なお、組合員数は単
項目
体の直接雇用者(出向者含む)で、
3,354名、更にグループ
男性
68名
79名
女性
14名
15名
合計
82名
94名
会社の組合員を含めると6,823名になります。
(2016年3月現在)
3
■ 社員教育の実施状況
方針等を踏まえ、活発な議論を交わすことで会社の持続
的な成長に向けて方向性の共有を図っています。また、
平均
(平均年齢)
(勤続年数
)
項目
多 様 な 人 材の
育成と活用
サル・レガッタ・バドミントン等の大会が開催され、2015
■ 従業員数の内訳(常勤換算)
大卒(院卒を含む)
高卒
■ 離職の状況(2015年度中の退職者)
30歳
未満
30歳〜
49歳
男性
22名
17名
99名
女性
6名
4名
6名
16名
合計
28名
21名
105名
154名
男性
2.7%
0.9%
9.7%
3.7%
女性
6.3%
1.5%
12.0%
3.9%
合計
3.1%
1.0%
9.8%
3.7%
項目
離職者数
離職率
50歳
以上
合計
138名
三菱マテリアル CSR報告書2016
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