手賀沼が海だったころ - 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会

_____________________________________________________________歴史・環境・遊び・夢_
手賀沼が海だったころ
手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会会報
2010 年 8 月 28 日
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松ヶ崎城跡の保全と歴楽講座等を定常活動へ
植樹を行った松ヶ崎城跡の保全と歴楽講座等を地道に進めよう。
会長 森
伸之
行ってきましたし、今後も行
今年 4 月 29 日の総会で、
柏陸軍飛行場跡地付近から
っていく所存です。
会長に選出された森です。副
秋水地下燃料庫などの戦争
柏を含めた東葛地方は、古
会長であった昨年から、当会
遺跡が発見されました。
くは北ノ作などの古墳、相馬
は植樹にむけて取り組み、昨
当会としても、歴楽講座等
郡衙の遺跡などあり、小金城
年は城まつりを企画、実施し
の地道な活動を通じて、地域
のような大きな城だけでな
てきました。
の歴史について理解を深め、
く、手賀沼沿岸に多数存在す
既に皆さまご存知のよう
遺跡は壊れたら元に戻らな
る中世城郭など、数々の貴重
に、松ヶ崎城跡の柏市による
い、地域には守るべき宝があ
な遺跡の残る場所です。江戸
10 年間の借り上げが決まっ
ることを広く発信していけ
時代には幕府の牧があり、そ
ており、ある程度整備されて
たらと思います。
公開され、城跡へ行きますと、 の跡地は明治新政府が始め
地域の方とともに松ヶ崎
た開墾で東京や近隣の農村
家族連れのような方々が見
城祭りや、自然と歴史に関す
から来た開拓民による苦闘
学をしている姿も拝見する
る見学会などの行事を行い、
が続けられた場所です。柏に
ようになりました。
郷土の歴史・自然環境を守り、
豊四季と十余二という、開拓
昨年度の活動となりまし
次代に継承していきたいと
の歴史を刻んだ場所がある
たが、植樹では 250 名を越え
思います。
のが象徴的です。最近では、
る応募を得て、樹木里親に市
民の方々になって頂き、実際
に植樹を行い、樹木は柏市に
贈呈しました。植樹されたの
手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会 平成 22 年度の活動計画
は、北から東側の斜面を中心
に里親制度により河津桜が
50 本、他に台地上にロータリ
分類
項目
実施状況
実施時期
ークラブの植樹した広葉樹
が 70 本余あります。
保存
草刈・清掃
6月、11 月頃 7/3 実施
今後は、植樹された木々を
「保存運動からみた
4/29 実施
守り育てていくとともに、植
物の観察会などを通じて、城
講演会等 東葛の城と松ヶ崎
4 月 29 日
-絵馬写
跡の環境保全などをおこな
城」講演会
真展示も
っていく予定です。
歴楽講座など地道な活動を
もともと当会は、松ヶ崎城
跡の文化財としての保存の
ための諸活動を行ってきま
した。それは、実際に松ヶ崎
城跡が柏市の指定文化財と
なり、柏市が松ヶ崎城跡の 10
年間の借り上げを決めたこ
とが、その成果となっている
といえるでしょう。
また、同時に松ヶ崎城跡を
含めた地域の歴史や環境に
ついて調べ、研究して次代に
つなぐような活動も、従来も
見学会
歴史見学会
近隣の遺跡・文化財、
適宜
松ヶ崎城跡見学会
松ヶ崎城見学
自然観察会
会 7 月、11 月
松ヶ崎城
跡見学会
7/4 実施
イベント 城祭り
11 月 14 日(日)
勉強会
5 月から開講
「歴楽講座」
5/30 から
実施中
また、地域の方の要請に応じ、松ヶ崎城のあらましを説明した
り、説明資料や紹介DVDを制作する活動も行っていきます。
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2010 年 8 月 28 日
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松ヶ崎城跡樹木里親
制度の植樹経過報告
柏市指定文化財松ヶ崎城
跡を花と緑のある史跡とし
市民の憩いの場とするため
に、当会で樹木の里親を募集
したところ、257 名の方の応
募がありました。
2 月、まずロータリークラ
ブによる植樹が、ボーイスカ
ウトの協力のもとで行われ、
桜やほかの樹木が植えられ
ました。
樹木の里親制度による植
樹については、2 月 28 日植樹
祭の準備をしましたが、あい
にく天候が悪く中止。翌 3 月
1 日に造園業者の手によって
河津桜を植樹。3 月 3 日柏市
役所で柏市への樹木の贈呈
式が行われ、里親代表から秋
山市長へ目録と桜の枝を渡
しました。植えたばかりとい
うのに 4 月には花をつけた桜
もありおおよそ順調に生育
しています。
なりました。しかし城の上の
会場は草が生え放題。前日草
刈機を文化課にお借りし、会
のメンバー数名で鎌をふる
って整備をしました。当日は
紅白幕を自治会から借り、ロ
ープをつけ、里親のみなさん、
柏市教育委員会文化課課長
友野さん、ロータリークラブ
幹事溜川さん、ボーイスカウ
ト沢田さんなど、みなさんで
幕を引きました。ぜひ「親御
さん」の自覚をお持ちいただ
き、城跡の保存と緑の保全を
見守って頂きたいと思いま
す。まだ見ていない方は城の
台地北側に看板が立ってい
ますので見学がてらご覧く
ださい。
「足下の草花を知る
会」を開催
今後は里親制度の残金で
シンボルツリーを選定して
バス通り沿いの台地に植樹
する予定です。山の上はあま
り人の手で花を植え込んだ
りせず、古くから残る野草を
大事にしつつ整備をするこ
とが良いと考えています。桜
ほか、さまざまの緑を楽しめ
る憩いの空間をみなさんと
作り上げたいと思います。自
然が好きな方、歴史が好きな
方、里親の皆さん、ぜひご協
力をお願いします。(柳沢)
「柏の葉里さくらまつ
り」シンポに参加
7 月 4 日里親の名前が載る
看板の除幕式を行うことに
ラーとして参加しました。桜
をキーワードに地域の人の
つながりを大事にし活性化
しようというもの。
まず安藤敏夫千葉大教授
による「そめいよしの」のル
ーツの科学的な解明のお話。
駅前に花を植える「かしはな
プロジェクト」千葉大で環
境・健康を学んでいる「カレ
ッジリンク」、清掃や福祉活
動をしている「ピースメーカ
ーズ」、NPOとなった「こ
んぶくろ池自然の森」といっ
たパネラーと共に活動報告
やディスカッションをおこ
ないました。私たちは主に里
親制度について報告。「楽し
く気長に地道に」、各団体も
いろいろ工夫しているよう
でした。(柳沢)
4 月 18 日柏の葉キャンパ
ス前千葉大学での「柏の葉里
さくらまつり」シンポにパネ
増えてきた「チダケサシ」
8月の草刈りを前に、7月17
日、松ヶ崎城趾にどんな草花
が有るのか調査が行われま
した。当地の植生調査につい
ては6年くらい前に会で行な
ったことが有ります。その時
は杉などが伐採される前で、
季節も夏では有りませんで
した。
今回は、残したい草花に印
をつけておこうということ
で実施されました。会に植物
の専門家が居ないことから、
市の文化課の吉田さんに手
配していただき、自然環境ウ
ォッチャーの青木保雄さん
を始め、同会の会員の皆様に
おいでいただき調査、印をつ
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けて回りました。
チダケサシの花は散って
いましたが、百合は白い大き
な花を付け、かぐわしい芳香
を放っていました。弟切り草
は黄金色の花を付け、萩も咲
き始めていました。
種類はあまり変わってい
ないと思われますが、大きな
樹木が切られたことによっ
て、日陰に多かったドクダミ
などが減少し、チダケサシな
どが増えてきました。まだ時
間の経過がわずかで、見られ
なくなった植物も再び生え
てくることも考えられます
が、ギボウシなどは見当たり
ませんでした。
今年は4月に植物のビデオ
撮りをしましたが、松ヶ崎城
跡には様々な植物がありま
す。「十二単」「浦島草」「ち
ご百合」
「ほうちゃく草」
「二
人静か」「きんらん」などな
ど。
草花同好の方を募集し
ます。
城趾には今春「樹木の里
親」「柏ロータリークラブ」
によって樹木が植えられま
した。これらの木を育てると
ともに、ここに有った草花を
保存して行きたいと考えて
います。
そのためにどんな種類の
草花が有るかを調べ、何を残
して行くかを決めて行きた
いと思います。城趾に出来る
だけ多くの人達に来てもら
って、歴史を知ってもらうと
ともに、草花を楽しんでもら
える場所にしたいと思いま
す。他の公園のように、花屋
さんで売っているような花
を植えるのではなく、この土
地に有った植物を出来るだ
け自然のままにと思ってい
ます。
月に一回の草花調査を一
緒に行なってくれる方、大募
集です。(川上)
<大輪の花をつけたユリ>
追悼
久川さん ありがとうご
ざいました。
松ヶ崎城の緑が濃く、美
しくなるようがんばります。
会の運営に全力で取り組
んでくれた久川さんが7月15
日亡くなられました。昨年末
に癌が発見され、手術、抗癌
剤と闘病されていたのです
が、あまりにもあっけない別
れでした。
会の中では、歴史よりも自
然環境と樹木について深い
関心を持って活動を進めて
きた数少ない人でした。長く
教職を勤めて来られたせい
か、知識にしても活動にして
も中途半端な事が出来ず、植
物について、また管理の実際
について勉強するために一
昨年、千葉大学に再入学、実
習を含めた2年の課程を終え
て今年3月に卒業する予定で
した。
正月過ぎの再入院に当た
って「最後のテストが受けら
れなくなりそうだ。もう一年
勉強することになるかな」と
いいながら、闘志を燃やして
いたのです。
頑固で、人付き合いは良い
とは言い難い所も有りまし
たが、竹炭焼きや、さんま焼
きなど、率先して様々な集ま
りを企画実施してくれまし
た。風体に似合わず器用で、
城趾に掲げられた「松ヶ崎城
跡」の幕も、お城祭りに飾ら
れた「祭り」の旗も久川さん
の手作りです。
植栽関係の仲間づくりに
も熱心で、高田近隣センター
の「松ヶ崎自然塾」に講師と
して参加、松ヶ崎城の自然の
保全に生かそうとしていま
した。
亡くなられて1週間後、吉
田さんと久川さんの家に伺
いました。ご自分の余命につ
いては、医師から宣告されて
おり、以後のことについて全
て自分で処理されていまし
た。ご兄姉に伺った話しでは、
葬儀の手配まで決めていた
そうです。
生前から植栽に関する機
材や、書物など、全てを当会
や吉田さんに贈ると言って
いました。家に有ったものは
チェーンソーから草刈り機、
多くの器具類と本。久川さん
の意気込みが形と量になっ
ていました。資金不足の会を
運営する事務局長としての
苦労からでしょうか、多額の
資金まで会に用意されてい
ました。
最後まで会のことを心配
してくれた久川さんでした。
本当に残念です。ただ慰めら
れるのは、松ヶ崎城での活動
と多くの人達との交遊が、久
川さんにとって楽しく、充実
していたと確信できること
です。
安らかにと祈ります。
(川上)
手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会会報
2010 年 8 月 28 日
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歴楽講座の紹介
歴楽講座の紹介
<歴楽講座の実施状況>
以前、当会は「地域史を語
テーマ
る会」という一種の勉強会を 回
やっていました。それは、毎 1回
松ヶ崎城と手賀沼沿岸の
回会員の誰かがチューター
城
となり、殆どの時間を相互に
討議するというもので、かな 2回
東葛地方の戦国史(国府台
りレベルが高く参加者も固
合戦他)
定されがちでした。その後、
桶狭間合戦の実相
諸般の事情により、こうした 3回
会が出来なくなっていまし
たが、定例の勉強会を復活す
東葛地方の城と伝説(将門
べきという声に押され、歴楽 4回
講座が生まれました。しかし、
伝説など)
これは、テーマに応じていき
5回
柏周辺の戦争遺跡(柏飛行
なり会員が語り合うのでは
なく、会員が講義して、一通 (予定) 場、秋水関連、工兵学校等)
り聞き、質疑応答するものと
6回
白井市内の城跡とその周
しました。
講師は5回目迄当会森が
(予定) 辺
担当、6回目は白井市郷土史
の会の方にお願いしました。
知っている人は知っている?
日時
場所
5/30
柏市民活動センタ
13~15 時
2F会議室
6/27
アミュゼ柏
13~15 時
2F会議室B
7/25
アミュゼ柏
13~15 時
会議室D
8/22
アミュゼ柏
13~15 時
2F会議室B
9/26
アミュゼ柏
13~15 時
会議室C
10/24
未定
13~15 時
こんな所にもあった将門伝説
平将門に関する伝説は全国にあるようですが、東葛および周辺地域でも将門伝説はいろいろ残
っています。そのうち、知っている人は知っているけれど、一般には多少意外な場所にある将門
ゆかり?の旧跡をあげてみました。他にも色々あり、それだけ将門は人気があった証拠?
印西市竹袋:道端にある将門の井戸
茨城県の岩井でなく柏市岩井の将門神社
我孫子市日秀:成田山と逆に首を傾げた地蔵
船橋市市場:卸売市場内の将門腰掛松
(森)
手賀沼が海だったころ
第 18 号
手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会会報
2010.8.28 発行人:森伸之 編集人:川上利男