韓国の展示概況

韓国の展示概況
∼ITU Telecom World 2006∼
韓国は全体として携帯端末に特化した展示が特徴であった。韓国大手ベンダーはデザイ
ン性重心の携帯端末を前面に押しだし、サムスン電子は超スリム携帯で、LG電子はモノ
トーン携帯で、それぞれ携帯イメージを演出していた。
サムスン電子では、GSM を中心とした各地域対応かつ筐体のバリエーション豊富なロー
ティア機種を多数展示し、ノキヤやモトローラを猛追する勢いで、携帯端末の国際市場で
のシェアを伸ばしている様子が伺えた。
GSM 対応端末(サムスン製)
その一方で、HSDPA 対応のキーボードタイプのハイティア機種の展示も目立つ。SK テ
レコムでは HSDPA によるテレビ電話のデモが行われていた。
サムスン製の HSDPA 対応のスマートフォン(左)
SK テレコムでの HSDPA のテレビ電話のデモ(右)
また、テレビ携帯の実用化が進んでいる韓国では、DAB の欧州規格である Euleka147
をベースに韓国が独自開発した T-DMB 対応端末(携帯端末、専用端末、USB カード型等)
や、日本のモバ HO!と同様のシステムである S-DMB 対応の携帯端末が多数展示されてい
た。
T-DMB 対応携帯電話
T-DMB 専用端末
さらに、モバイル TV の欧州規格である DVB-H やクアルコムの MediaFLO にも対応し
た携帯端末(サムソン製)も展示され、韓国国内での実用化の予定のない技術規格にも素
早く対応する姿勢は、携帯電話に加えてテレビ携帯の世界でも、国際市場でのシェアを獲
得する意気込みを感じる。
DVB-H 対応端末(サムスン製)
MediaFLO 対応端末(サムスン製)
韓国が国を挙げて取り組んでいる IEEE802.16e(モバイル WiMAX)をベースに開発さ
れた WiBro は、サムスンが対応携帯端末を展示し、WiBro に意欲を見せる固定通信事業者
の KT では、韓国と香港とを国際回線をつないで、マルチスクリーンで、テレビ電話、イン
ターネット、メッセージをパソコン上で同時に利用するデモを披露した。
WiBro によるテレビ電話のデモ(KT)
WiBro 対応折たたみ式携帯パソコン(サムスン製)
WiBro 対応携帯電話
WiBro と T-DMB 対応の携帯電話(LG 電子)
韓国の大手ベンダーが携帯事業に特化するなかで、韓国の中小企業もそれに足並みを揃
えるように、携帯電話の無線ネットワーク機器事業にビジネスチャンスを見いだそうとし
ている。地下鉄や地下街、また過疎地での無線アクセスのニーズに対応するため、WiBro、
HSDPA、T/S-DMB のギャップフィラーやリピータを、Sunwoo Communications 社や C&S
Microwave 社等が、韓国の携帯会社や放送局に供給している。これらの会社は日本の携帯
会社にも既に中継機を供給し、さらなる販路拡大を狙っている。最近、C&S Microwave で
は、宅内中継機(半径 100 メートル程度)を、日本の携帯会から 5 万台受注した実績を持
つ。
W-CDMA 宅内中継機
WiBro リピーター
T-DMB ギャップフィラー
S-DMB ギャップフィラー
u-Korea を目指す韓国では、RFID の技術規格を早期に策定、RFID の本格導入に向けた
取組みが進んでいる。KT/KTF のブースでは、地下鉄やバス停において、バスの運行状況
や駅の周辺情報などを携帯電話で読み取るデモが行われた。この RFID システムは 900MHz
帯のパッシブタグを使用し、2007 年の実用化が予定されている。また、ETRI ではタグに
埋め込まれた書籍情報などを携帯電話に取り込むデモが行われた。
携帯電話でのタグ情報の読取り
その他には、IEEE1394 対応の高機能・ハイスペックのホームサーバを ETRI が紹介し
ており、光ファイバー到来に備えた IPTV などが可能なホームネットワークのあり方をパネ
ル展示していた。
冒頭でも述べたが韓国の展示の特徴は、携帯端末を主体としたもので、特に、韓国政府
が韓国発の技術標準として推進している WiBro や T-DMB の携帯端末を世界にアピールし、
また、韓国はマルチスタンダードで携帯でもテレビでも全世界対応の携帯端末を供給する
ことが可能であることを強く印象付けるものであったといえる。