Bulletin 5月号PDFファイル

Bulletin
平成 3 年 4 月 16 日第三種郵便物認可 平成 25 年 4 月 15 日発行(隔月 15 日発行)第 27 巻 第 6 号 通巻 242 号
The Japan Institute of Architects Kanto-Koshinetsu Chapter
2013
Vol. 242
5
特集:保存問題埼玉大会
・日本のモダニズムは保存問題大会でどう扱われたのか
COLONNADE
・保存大会に参加して
・保存問題大会の企画と思惑
創建築アトリエ 今井 均
2
共同建築設計事務所 小林千絵子
2
鶴﨑健一
4
津村泰範
4
上浪 寬・藤沼 傑
6
ツルサキ設計
・保存問題の所在
アーキテクツ・ガーデン 2013
・アーキテクツ・ガーデン 2013 建築祭
師からいただいた教えと実践
建築設計という仕事
戸沢忠蔵氏に聞く「ものづくりの環境とスピリット」
7
三菱地所設計 近藤 正
7
編集部員
8
野生司義光
11
シーラカンスK&H 工藤和美・堀場 弘
12
青井俊季建築設計事務所 青井俊季
13
設計工房LIVE 山本彬喜
14
岡本寛建築設計事務所 岡本 寛
15
HIRO建築工房 伊藤昭博
16
三建設備工業 細野淳美
17
第 19 回スクール in 栃木
テイクス設計事務所 武井貴志
18
群馬地域会 2012 年度の主な活動報告
水上勝之建築研究室 水上勝之
19
Bulletin
再開された「建築家会館クラブ・バー」
FORUM
北島建築設計事務所 北島俊嗣
野生司環境設計
公開講座「槇文彦氏−建築家の経験から/ご質問に応えて」
「復原・保存活用に見る近代、現代建築の手法」
「市民の身近な建築よろず相談室」
住宅のトラブルを防ぐに際して
第 7 回 JIA 北関東甲信越 学生課題設計コンクール 2013
ZEB (zero energy building) の取組紹介
日本版 CABE を考える CABE の正式名は「建築とビルト・エンバイロメント委員会」
北海道大学 20
21
広報からのお知らせ
21
こんな本を読みました「古民家のひとりごと」 B A C K YA R D
坂井 文
2013 年度役員改選に伴う補欠選挙結果
八田雅章建築計画事務所 八田雅章
22
支部ダイジェスト
22
お詫び・訂正
22
編集後記●「新年度の抱負」
23
公益社団法人日本建築家協会
〒
関東甲信越支部 150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-3-18 JIA 館
Tel: 03-3408-8291 Fax: 03-3408-8294 http://www.jia-kanto.org/members
第 22 回保存問題埼玉大会
日本のモダニズムは
保存問題大会でどう扱われたのか
保存問題実行委員会
今井 均
特集:保存問題埼玉大会
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
スタートは、前川國男が手がけられた埼玉県立歴史と民族の博物館
は、今も拭き掃除をするとほの
でした。案内役の中田準一氏(前川建築事務所・相談役)から、建
かに香りがしますと係員の女
設の経緯から建物のコンセプトづくり、デザインにいたるまで、丁
性が笑顔で説明してくれまし
寧に説明をしていただき、時には手すりのデザインについてディ
た。 テールまで紹介があり、その当時の現場の技術力に思わずシャッ
■午後からのシンポジウムは、
COLONNADE
■『日本文化の中のモダニズム建築をどうとらえるか』—当たり前の
も今回の大会に積極的に関わっていただき、その後の参加者の評判は
ターを切ってしまいました。そして、博物館で培われた方法が、そ
東大名誉教授の内田祥哉先生
様にモダニズムという言葉を口にしてきた多くの JIA 会員もこれに日
すこぶる良かったと感じています。大会第一日は晴れ上がり埼玉県立
の後熊本県立美術館に引き継がれてゆくことになるというお話は、
の基調講演からはじまり、テー
本文化の中の、
、と限定されると、はて、即座には答えられないとい
博物館(前川國男)は 40 年経たとは思えない程輝いていました。また、
ぜひ美術館を訪れたいという気持ちになりました。
マは建物の保存と活動ついて
う方も少なくないのではないでしょうか。今回用意された幾つかのエ
ほぼ同じ時期竣工した今井兼次設計による遠山美術館も建築の状態が
次に向かった遠山美術館は、今井兼次の作品で、柔らかい自然光を
でした。まずはじめに保存につ
クスカーションはまさにその事を肌で感じるものであったように思い
大変よく大会参加者を喜ばせました。
取り入れた展示スペース、お母様をイメージしたフレスコ画のある
いて、法隆寺・大阪城・伊勢
ます。大会準備は前回の栃木大会終了後間もなく始まったのですが、
日本のモダニズムの保存問題は近年クローズアップされ、一般の報
エントランスホールは、暖かみのある小さな美術館でした。そして
神宮を代表した保存の考え方について、専門家ではない私にとって
保存委員会の中でさえ意見百出、大会コーデネーター役を仰せつかっ
道にもその行方が問いただされていますが、
『日本においては近代
向かいに建つ遠山邸でまず強烈に目に飛び込む正面の屋根は、かつ
もわかりやすく、いちいち頷いてばかりいました。法隆寺=現物保
た身としてはこの先どうまとめられるのかいささか心配でした。しか
建築が日本の地盤から自然に生まれたものではなく,ヨーロッパか
て遠山家が豪農だったことを
存、大阪城=形と景観の保存、伊勢神宮=形と技術の保存。どれを
し開催地、埼玉の実行委員長三浦清史さんのリーダーシップで 乗り
ら移植されたものである、
、
』という浜口隆一の言を今一度思い出し
象徴するという民家風の藁葺
とっても保存には違いなく、戦後建てられた RC 造などの新しい材
切ってしまった、
というのが正直な感想です。勿論他の地域会メンバー
ます。しかし、この二つの建築はそういった状況下で最もその日本
き屋根でした。客人を迎える
料で造られた建物の保存については保存方法が確立されていないこ
が決して多くは無い人数でそれこそ奮闘していただいたお陰である事
の近代建築黎明期の状況を認識していた建築家の取り組んだ仕事の
ための設え、お母様のための
とにもふれられ、それが日本の現状なんだと素人ながら感じました。
はまちがいありません。大会の目玉であるシンポジウムは、左保存問
ひとつの結果だと、感慨ぶかく思い起こした方もあったのではない
数寄屋づくりの住まいは、没
後半は、活用されている最近の事例紹介があり、その中のいくつか
題委員長の要望でコアスタッフ数人が東大名誉教授の内田祥哉先生、
でしょうか。前川國男が自身の建築と行動を通して発信した数々の
落し再興させた遠山の意気込
は見に行ってみたいと思いました。そして、先生のユーモアを混じ
前川建築設計事務所の中田準一さんを事前にお尋ねして、数時間今回
ヒューマニズムこそ日本の近代建築を実現するものだと中田準一さ
みを感じさせました。そして
えた講演を、もっと聴いていたいとも思いました。
の大会の主旨をお話させていただきました。内田先生の建築の保存活
んとのお話から感じました。エクスカーション、シンポジウムとあ
何より、施設内を案内して頂
休憩を挟んで、後半のパネルディスカッションは、中田氏の『建築
用に関するリストは多岐に渡り、その中から要所を熱心にご説明いた
わただしく大会を終了、約一年の準備期間をたどってみれば、もっ
いた館長の熱のこもった説明
のカルテ』についての紹介で、現代の建築にも通じることで一番印
だき、本当に頭が下がる思いでした。また中田さんのモダニスト前川
と出来る事があったのではという後悔があります。一方で地域会の
に建物への愛着を強く感じま
イズムの継承は建築家の新しい取り組みとして、竣工後から数十年、
取り組みとしてはまだ日の浅い状況の中でこういったことを通して
した。
状況をつぶさに観察し、長期に渡る改修計画を作成、オーナー側管理
多くの会員がそれこそ地域会のあるべき姿を模索していくきっかけ
■2日目は、オプションとし
の整理をするとこで、予防的なメッセージを残すこともできる資料
者と共にこれに当たるという、正に保存問題そのものの取り組みをお
ともなれば,JIA の建築家の道もまた見えて来るかも知れないと思う
て早朝8時から埼玉会館に集
を A3 版にまとめ、若手も見ることができるようにして、継承する
はなしいただき、シンポジウムの手応えを充分感じました。お二人と
〈(株)創建築アトリエ〉
合し、中田氏から会館が建て
ようにしているとのことでした。“記録に残すこと・見える化する
られた当時の街並みの様子か
こと” はとても大切なことで難しいことなので、いいなと思ってし
ら、中田氏自信が担当したタ
まいました。官庁建物などは、かつて逓信省の営繕部のような建物
イルのデザインについて、お
維持をする部署も少なく、長期修繕計画がなく、コスト優先がウエ
持ち頂いた図面を見ながらご紹介をいただきました。
イトを占めるため、この事については社会全体の問題であり、これ
その後、バスで川口へ移動。鍋平邸の贅を尽くした和館と洋館、彩
からは、エネルギーをかけて作られた建物を老朽化を理由に壊して
り鮮やかなトイレの設え、様々な形をした床柱には度肝を抜かれま
しまう時代から、長期的に有効活用する方法が求められているとい
した。現在も建設当時のままで、ほとんど手をいれることなくセン
うお話は、設計事務所で資料室に勤務する私としてはとても貴重な
のです。
保存大会に参加して 小林千絵子
政治的なにおいのする床下の壕
象に残りました。前川事務所では、設計図はもちろんのこと、お金
フレスコ画が描かれた天井
のやりとり伝票を整理することや使ったもの ( 材料のことかと思う )
■気がつけば保存問題大会に参加させていただいて10年になりま
せて頂く贅沢なひとときでした。そして回数を重ねるうちに、建物
ターとして使用されていましたが、今後の保存状態がとても気にな
もので、資料保存の上でも見直すチャンスではないかと思いました。
す。もともと旅行先で建物を見て歩くことが大好きでしたので、そ
の建設に関わる人達の歴史や物語をお聞きする以外に、法律や経済
る施設でした。
最後になりましたが、今年も2日間大会に向けた準備から、当日は
の頃知り合った JIA の事務局の方から誘われ、会員でもない私には
的な問題をクリアーさせながらの保存の難しさや、様々な事情で取
旧田中邸は、先に見せていただいた鍋平邸とはまったく違い、玄関
とても寒い中ご案内いただきました幹事の皆様には大変御世話にな
少し迷いはありましたが、個人では見ることのできない建物や資料
り壊わされてしまったりする現状も教えて頂きました。
に近い洋館と奥の和館、そして回遊式の庭にいたるまで、品格を感
りありがとうございました。
を見せて頂くことが楽しくて、参加させて頂いておりました。当時
■今年の埼玉大会は、私の地元でもありましたので楽しみに参加さ
じました。レンガの目地・中央に構える階段・装飾が美しい照明と
来年もぜひ参加させていただきたいと思いますので、宜しくお願い
はあまり建物保存ということは意識しておらず、毎回いい建物を見
せいただきました。
つるされた天井の漆喰装飾。和館の障子に使われている屋久杉から
致します。
2
Bulletin 2013 年 5 月号
〈共同建築設計事務所〉
Bulletin 2013 年 5 月号
3
COLONNADE
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
特集:保存問題埼玉大会
保存問題大会の企画と思惑
埼玉地域会
副代表
鶴﨑 健一
COLONNADE
■保存問題埼玉大会にご協力及び参加して下さった方々に感謝申
メリットは公益を冠にし、国をパトロンにすることぐらいか。JIA
し上げます。お陰様で事故もなく無事終了する事ができました。
としての活動は任意団体でも公益性があり十分価値はあります。
ありがとうございました。
自由な意思をもつ地域会活動の方が有意義であることは言うまで
委員会にて埼玉大会を開催すると決定したとき、現在の地域会の
もありません。そこで、地域会をどのように活性化するかのほうが、
現状を知るものとしては「無理」という2文字しか、心の中には
今は大事に思えます。その課題の解決の糸口にすることでした。
ありませんでした。
二つ目には、モダニズム建築の保存問題と建築家が重なるのです。
その理由は2つあります。
建築を残す壊す、そして造るのはモダニズム建築だけではなく、
先ず、一つ目は地域会の現状は、会員数はありながらも協力無き
古い新しいは問わず全ての建築に共通することだと思います。時
人手不足。そんな地域会に大会などできるはずがありません。
代に共通して必要とされる建築は残るし、要らないものは壊され
もう一つの理由は、保存問題委員でありながら恥ずかしながらモ
ゆくのです。若干荒っぽい言い方ですが、建築家という職能も同
ダニズム建築の意味と価値を理解していませんでしたので、モダ
様ではないかと思います。時を超え、色褪せないで、必要とされ
ニズム建築が壊されるのが何故問題なのか解らないのです。むし
る建築家とはどんなものなのか、を考えるきっかけになれば良い
ろ、残したい建築ならば必然的に残るし、残るとか残らないはそ
かと思いました。
の建築が持っている運命とし、要らない建築ならば壊すのは当然
結果、一つ目の地域会の問題については過疎化は止まらず、疲弊
なのではないか、と感じていました。保存問題は無かったのです。
の一途で収穫はありませんでした。
その後、地域会の代表である三浦さんと幾度かの話をしているう
二つ目は、日本文化の中でのモダニズム建築の保存は日本の歴史
ちに開催する気持ちになれました。その理由として、
及び民族性的に難しく思えます。ただ、前川建築を見て素材が変
一つ目は、地域会の現状を打開するきっかけを作ろうというこ
わっても梁とか柱に伝統的構造美を残す等「いにしえ」を大事にし、
とです。そもそも地域会が廃れれば JIA そのものが廃れることに
目線を使う人に置き換え、後世に責任を持てる建築をすれば残せ
なります。現在の日本の過疎化に迷走する地域によく似ています。
る。そのコーディネーターの使命を担うのが今後の建築家像であ
国民不在、一方的倫理をかざす国家主権の為に迷走している国に
るとの一つの結論は出たような気がします。 よく似た JIA の行く末。名ばかりの手続きに縛られた公益法人の
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
特集:保存問題埼玉大会
言ではない。あの打ち込みタイルの表情が埼玉会館や東京都美術
文化財 ( 歴史的 ) 建造物修理の世界も、近世以前の伝統木造を扱う
館と似てるなぁと子供心に気付いていたので、我ながら幼少の砌
だけでなく、近代以降の構造形式も多様なものを扱うようになっ
から、少しは前川國男建築に関心があったようだ。中田準一先生
て久しい。名建築といえども用途変更や所有者の栄枯盛衰に伴う
直々に解説いただくという絶好の機会に恵まれ、前川建築がより
規模の拡大縮小等の改変が多く、宗教用途のモニュメンタルな社
身近に感じられた。今井兼次設計の遠山美術館は、随所に装飾的
寺建築とは訳が違って、オーセンティシティの捉え方が複雑だ。
な要素が顔を覗かせており、本格的な和風建築の遠山邸に呼応さ
かつ、ほぼ耐震補強義務化の流れの中で、どう価値を大きく損ね
せた外観の土蔵風モダンが、少しキッチュにも見える独特の造形。
ることなく補強を入れ込むか、という課題にも日々悩まされてい
その意識された対象の遠山邸は「埼玉にはロクな建物がないけど
る。ただ、歴史的建造物をその価値を継承しながら使い続けてい
アレは一見の価値アリ」と宣う藤森照信師匠に、「君ン家から近い
く手法は、それほど困難なものではない。さすがに更地に建てる
んじゃないの」と教えていただいて初めて知ってから、何度とな
新築とは異なるが、与えられた敷地の既存建造物を敬意をもって
く一人で訪れているが、正に近代和風建築の教科書だと思う。今回、
評価し、残すべき部分や部位を見極めて(その際建て替えるとい
2 階も見せていただき、改めて材料の見事さとワザの妙に感心し、
う判断もありうる)、依頼された機能等と勘案して計画・設計・工
来る度に新たな発見があることを再確認した。しかし、大勢で来
事監理をし、引き渡す。設計時に不確定要素が多いが、施工者と
るよりは個人的に静かに感じるものであるな、と。
与条件を共有できれば、多くの問題は解決できよう。それはすべ
2 日目は、早朝埼玉会館をさっと拝見し、川口へ移動。残念なが
ての建築に共通だ。また建築保全のための管理計画と修繕記録(改
ら戦後モダニズム建築の川口市役所・市民会館は諸般の事情によ
修履歴)の保管が重要で、建物を長持ちさせるには、建築家が所
り見学が叶わなかったが、戦前の登録文化財2件の、鍋平邸 ( 現
有者・管理者と一緒に取り組むべき課題であろう。建築家が竣工
川口市母子福祉センター ) と旧田中家住宅を見学した。前者は日
と同時に「ハイ、サヨナラ」でなく、竣工後も愛着をもって手が
光東照宮や目黒雅叙園等に見られる系譜のコッテリ趣味和風、後
けた建築を育てていく機会を積極的に構築できれば、保存「問題」
者は煉瓦造躯体で内部和風の洋館と、ブルーノ・タウト好みのスッ
にならない。そう信じている。
キリ上品タイプの和館からなる和洋並立型のお屋敷で、それぞれ
鋳物という近代産業でなした財でつくられた、硬軟ひっくるめて
東京近郊の地方都市に存在した「近代」建築である。それらの面
白さ、そしてそれらがうまく更新や改修を重ねて生き長らえ、今
は市の所有で継承されていることを感じていただけたかと思う。
〈(有)ツルサキ設計〉
保存問題の所在 修復建築家
株式会社文化財保存計画協会 主任研究員
津村 泰範
■去る 2 月 16 ~ 17 日、JIA 第 22 回保存問題埼玉大会に、見学
ようこそ埼玉へ!である。
会解説役として参加者の皆さんをご案内する立場で同行させてい
初日は、大宮の埼玉県立歴史と民族の博物館(旧埼玉県立博物館)
ただいた。生まれも育ちも学校も埼玉県南で、一時期信州へ脱出
と川島の遠山美術館。埼玉県立博物館は僕の子供の頃から慣れ親
したものの舞い戻って、さいたま市に在住している者としては、
しんだ博物館で博物館好きのキッカケとなった建物と言っても過
4
Bulletin 2013 年 5 月号
遠山邸
田中家住宅
Bulletin 2013 年 5 月号
5
COLONNADE
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
特集:保存問題埼玉大会
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
アーキテクツ・ガーデン 2013
温故知新
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
抱負を語る
関東甲信越支部
実行委員会
支部長
委員長
上浪 寬
藤沼 傑
師からいただいた
教えと実践
建築設計という仕事
近藤 正
北島 俊嗣
■ 学生時代、日本大学教授 近江榮師より建築家職能について
■建築設計という仕事をしたいと思ったのは小学生の頃で
■ JIA 関東甲信越支部が主催するアーキテクツ・ガーデンは
しい体験をしていただいたり、有益な情報や知識を得ていた
ご教授いただいたと同時に、当時未だ建築家職能が充分に確
しょうか。本人は全く記憶がありませんが、祖母が私を散歩
建築家や JIA の多彩な活動を広く一般市民に対して情報発信
だいたりと、最も市民と接するイベントです。昨年は一般紙
立していない憂いもお話しくださいました。その後、谷口建
に連れて歩くたび、通り路の住宅を指し「この家は建築士さ
することを目的に長年開催してきました。2011 年は UIA 大
でもこのイベントを掲載して頂くよう努力しましたが、期待
築設計研究所に入所させていただいて、建築の設計と建築家
んの家だよ。」と私に話かけていたと母からよく聞かされまし
会のために開催できませんでしたが、昨年 2012 年は、開催
した成果は得られませんでした。
職能の実質について学ばせていただきました。これほどの幸
た。それがどんな建築だったのかは分かりませんが、刷り込
運はないと、今でも感謝しています。そして自らの事務所を
みの効果が大きかったのか、一般の授業より工作の方が好き
開設して8年が経ちます。
だったからか、いつからか、自分は将来建築の仕事に就くの
学生時代から較べれば、建築家職能についての理解度は徐々
だと思っていました。
に深まって来ているとは感じていますが、未だに設計業務に
大学に入ってからは、建築の持つ社会性
対する理解が浅い場面もあって困惑するときもあります。今
や意義など、それまで考えてもいなかっ
後も職能実務の徹底と啓蒙を続けていきたいと思っておりま
たこの世界の広さ・深さに圧倒されま
す。
す。先輩からの「この本も読んでないの。
期間を秋から初夏に変更し、6 月 15 日:「建築家の日」を含
む 6 月一杯、約 1 ヶ月間とし、一般の方々に向け、多彩でユニー
今年は焦点を絞って広報活動を展開していく予定ですが、や
クなプログラムを提供しました。
はりフェースツーフェースの広報が最も効果的です。各地域
COLONNADE
会や委員会の普段の活動の中から是非多くの市民の皆様に声
この新たな形式を定着するため、本年 2013 年も昨年と同じ
をかけていただくようお願い申し上げます。
テーマ「建築家はともだち」、同じロゴ、同じ期間に開催します。
JIA は法人格を「公益社団法人」に改め、都市を構成する全
また、今回の法人格の移行にともない、準会員制度を改定し、
4年前に竣工した西新橋のオフィスビル「同和ラインビル」
俺は本を読むために一日おきにしか寝な
ての建築は、重要な公共的な役割があるという認識のもと、
学生や若手が参加できるようにしました。アーキテクツ・ガー
は、海運会社様の本社社屋で、建築家職能に対する揺るぎな
い。」と今考えると本当だったのか(?)
それを担う我々建築家と市民との連携とをさらに強化してい
デンの各プログラムに学生や若手を連れてきて頂き、JIA の
い理解と深い信用をいただいて光栄な立場でなされた建築で
と疑うような言葉が飛び交う中、幸い先
かなければなりません。
活動に加わっていただくことも今年の目標です。
した。理解と信用が大きく深いとき、本来公平でなければな
生方や先輩・友人に恵まれこの仕事に就くことが出来ました。
らないものですが、対するこちらの懸命度は大きくなること
エネルギー・環境問題、国内人口・建設就労者の減少、グロー
を自覚しました。それは工事施工者にも同様で、施主様の本
バル化など、建築を取り巻く状況は刻々と変化しています
心からくる信頼の態度は、自然に携わる者達の懸命度を高め、
し、3.11 のようなことが起きればその価値観も大きく転換し
結果何倍もの大きな成果を受け取って更なる飛躍を遂げてい
ます。また、インターネットなどにより場所を選ばず仕事や
るようにも思えました。今後も様々に支えられていることを
取引が可能となり、大勢の人と情報交換が出来る状況は、建
感謝し、良きご縁の中でいただいたご恩に報いて参りたいと
築の必要性から考え直さなければならないのかもしれません。
思っています。
ただ、あり方は変わっても、人がいて街がある限り、建築の「人
アーキテクツ・ガーデンのプログラムは、建築作品を訪ねな
各プログラムは 4 月中にはチラシを作成し、ホームページを
がらの街歩きや見学会、子供たちとのワークショップ、建築
立ち上げます。各地域会や委員会で独自に広報をする場合は、
模型や CG、建築作品などの展覧会、各界著名人や建築関係者
「アーキテクツ・ガーデン 2013 建築祭 参加プログラム」
などによる講演会やセミナー、耐震改修その他に関する建築
として、共通ロゴの表示をお願いします。
相談会などで、一般の皆様方に、楽しんでいただいたり、珍
を守る力、楽しませる力、場を創る力」はなくならないと思
このイベントが関東甲信越の年中行事として市民の間に広く
いますし、私たちが出来ることはまだまだありそうです。毎回、
定着していくよう、皆様のご協力よろしくお願い申し上げま
自分はこの場所に何が出来るだろうと自問を重ねつつ、結局
す。
「この建築が出来て良かった」と喜んでくれる人の顔を見たく
■ テーマ
:「建築家はともだち」
■ 開催期間
:2013 年 6 月 15 日の前後約 1 ヶ月
て、この仕事をしているような気がします。
〈三菱地所設計〉
同和ライン本社 左:外観 右:エントランスホール
6
Bulletin 2013 年 5 月号
〈北島建築設計事務所〉
ユニセフハウス
JR博多シティ
Bulletin 2013 年 5 月号
7
FORUM
アーキテクツ・ガーデン 2013 建築祭
覗いてみました他人の流儀
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
戸沢忠蔵氏に聞く
「ものづくりの環境とスピリット」
聞き手:
Bulletin 編集委員
■ 今回は現代の名工、戸沢忠蔵氏が率いる木工家具製作会社ヒノキ
■ 職人の体制とものづくりの環境について
工芸の工場を訪問しました。ものづくりに真摯に向き合い、優れた芸
ここは分業体制なんでしょうか?
術的感性も持ち合わせた戸沢氏が牽引するヒノキ工芸。次代の職人育
分業ではありません。木取りから最後のアッセンブルまで一人で全
成にも力を入れている工房は世界水準の高い技術力を誇り、建築家や
てを担当します。いわゆる多能工です。経営者なら効率よく分業にし
デザイナー、家具ブランドから圧倒的な信頼を得ています。
がちですが、やる人はつまらない。自分はそういうのは嫌だったから、
みんなにもそういう方法でやってもらっています。自分が貫いて来た
■ 戸沢氏に工場を案内いただきました。
事を若い人達にもやってもらいたい。
規模としては日本では小規模な方です。現在は総勢 18 名。30 人く
私は効率の良い会社というのも経験はしているんです。最初に入った
らいまで入るが、スペースをゆったり使っています。
会社は木取り専門、機械加工専門それからプレス・接着専門、突き板
木工機械は、基本に忠実なものを揃え
専門、それから組み立て、仕上げと全部分業でやっていた会社で働き
てあります。例えばまっすぐに削る鉋
ました。だからどうすれば効率があがるかっていうのは全部わかって
は非常に大型で幅広のものを入れてい
います。だけどあえてやらないのです。
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
この間マチュピチュに行ったときのホテルにプリントが使われてい
ませんし、道具は愛着を持って使われるべきだと思うのです。
ましたし、本物志向のドイツでさえホテルで使っていました。その
道具に 1000 万円くらいかけている人もいます。私はそれ以上かけ
ような状況で、突き板、化粧ベニアを貼る職人が少なくなっています。
ています。車好きの人が車に 1000 万円かけるのと同じようなもの
我々は世界基準に持っていこうとしているので、本来はこのくらいの
だと私は考えています。
規模のところでは自前ではやらずに外注するのですが、あえて自前で
これはフランスの製菓会
やるようにしました。今はどんどん貼り屋さんがいなくなって納期も
社の依頼で作った馬車の
かかるようになったので正解だったと思っています。スピード、セン
最初の試作品です。図面
ス、クオリティがここで上がっているのです。だからここがヒノキ工
の書き方も分からない、
芸のまさに心臓部といえるほどの重要性があるのです。
道具の使い方も自分で身
世界中から木を集めて、他所に頼らなくても自分のところで対応でき
につけた若手が造ったも
るので設計事務所にも逆プレゼンすることもできます。昔は設計事務
のです。でも原寸でやれ
所がトレンドを掴んでいましたが、今は我々の方がいろいろなものを
ば作れてしまうんですよ。
■ 塗装部門
■ 2 階 工房
塗装は最後の仕上げな
ので大事な工程です。塗
装も外注にする所もあり
ますが、我々は完成品に
して出そうということで
やっています。そうでな
■ 突き板部門
塗装場
いと商品の品質管理がコントロールできません。重要な工程なので
インド、ロシア、アフリカ、ヨーロッパ、
18 人のうち4人をここに充てています。普通は 18 人いたら 2 人で
ドイツ、イタリア、北欧など世界中の
はないかと思います。
がものあります。。
木材は実際に見に行って選ぶのですか?
そうです。南米に見に行ったときは、材木が外に放置されていて油
がにじみ出て埃がつき、それを繰り返して真っ黒にコールタールみた
いになっていました。全然木目が見えないようなものばかりで、3 日
2 階の工房
■ 戸沢氏のデザインと自作の道具
2階の工房です。皆さんから非生産的な工場と言われます。パーティ
最近では、私がデザインしたテーブルが、ある家具ブランドから
ションで囲われてるから管理しづらいのですが、作るほうは管理さ
も販売されています。今人気があり売れているそうです。このテー
れてたらやりづらいだろうというのが私の考えです。
ブルを量産するための道具は自分で作りました。1000 万円もする
NC でもできないような加工ができる道具を、7万円の制作費でつ
南米のクスノキの突き板
間検品しましたが嫌になって、一週間の予定を途中でやめたなんてこ
FORUM
ともあります。南米や中国はそうやって大雑把なのですが臨機応変に
次はヒノキ工芸の心臓部を案内します。突き板部門です。
対応するのが私は好きです。ぱっと見その辺にある木なんかはゴミの
なぜ重要かというと、突き板といえば、世界では厚単板が常識。0.55mm
ように見えるかもしれませんが、お宝がたくさん眠っていて、我々は
から 0.6mm。ところが日本では予算がないとすぐ 0.2mm とか 0.12mm
こういう中からセレクトしています。
とかの薄単板にします。これは日本と中国くらいで、他のどの国でも
木工機械は近年日本製は廃れてきました、最近はドイツ製が良いです。
薄単板は使っていないのです。
丈夫で安全、音も静かです。
突き板は薄いと質感が全然違います。見た目だけでいいのなら最近は
道具が揃っていて何だかワクワクしますね。
くってしまったようなものです。だから、少し工夫すればできると
最近は大工さんも道具を使わなくなって来ているようです。プレ
いうのが昔からのものづくりのあり方なのです。ダビンチの時代か
カットがまさにそうで鐇か鑿や鋸を使わなくなっています。
らのものづくりの原点だと思います。今は機械に使われてしまって
道具はすべて個人でそろえています。そうしないと道具を大事にし
いるのではないでしょうか。
ヒノキ工芸には、イン
テリア関係の方や学校
からも見学に来ます。
プリントがプロでも分からないくらい良くなってきています。
業界全体をレベルアッ
プするには、できるだ
クレームを嫌がってマンションなんかはみんなプリントですよね。
け開放して協力しない
そうですね、このまま行くと本物の木が余ってしまいます。新木場
といけないと考えて
あたりでも材木屋や製材屋さんが無くなっていますし、林業も廃れて
自作の道具
います。
しまいます。森林は適当に木を間引かないといけないから、自然の循
環が崩れてしまっている。保護と育成と活用の3つが重要だと思いま
す。みんなクレームやリスクを怖がってプリントを使うから、プリン
工場内に並ぶ木工機械
8
Bulletin 2013 年 5 月号
トも勢いを増してどんどん良くなっていくのです。
各々の棚に道具が並ぶ
Bulletin 2013 年 5 月号
9
FORUM
一見無造作置かれた材木
馬車の原寸
提案できるし、トレンドも握っています。そんな時代が来ています。
ます。それがここの自慢。NC は1つも
ありません。材木は北米、南米、アジア、
覗いてみました他人の流儀
覗いてみました他人の流儀
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
コラム
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
建築家会館バー
■ 家具職人の枠を超え、世界を舞台に躍進を続ける戸沢氏。
ここでは、ペリアンがスケッチや図面で残した実現していない幻の作
工場見学後伺った、最近の創作活動について紹介します。
品など 7 点をヒノキ工芸が製作した。当時のスケッチに描かれた線や
Japan Creative
〜ピーター・マリー・ゴールド × ヒノキ工芸〜
01
細やかなアールなどを見逃さず、またスケッチの裏に潜む作者の意図
再開された「建築家会館クラブ・バー」
(株)建築家会館 をまるで本人と対話するかのように汲み取ったという。
取締役社長
当時実現不可能であった技術的な課題を、現代のハイテク技術や成形
野生司 義光
技術を工夫することによってオリジナル通りに実現された。
この椅子は 70 年前一枚の割った竹を曲げて制作したもので、今回も
沢氏は試行錯誤を重ね、遂には竹に木工の技術を応用することで実現
■ 2007 年以降、クローズしていたクラブ・バーを限定的では
しておりまして、2 月までで延べ 190 人の出席をいただいて
に至った。それは、スチール製では味わえない竹独自の「いまだかつ
ありますが再開しました。当時クローズを決定した理由は第1に
おります。
来客数が極端に減っていたこと、第2に「処士横議の場」という
ひとり 2,000 円の会費で運営していますが、大宇根先生の
デザインのオルタナティブとして半世紀以上を経て新たな魅力を発し
ことで場を提供していましたが来店する建築家が限られてきて
発案により誕生月の建築家はご招待としておりますので利益
ていた。
多くの建築家が集うという理念から離れてしまったこと、第3に
を出す事業というよりは会員への還元の意味が大きくなって
首都圏以外の建築家が普段利用できないこと、第4に赤字が増大
います。ご招待した建築家は奥様も含めて 24 名を数えます。
してしまったことなどが挙げられていました。
9 月まではクラブ・バーを清掃しただけで再開していまし
再開を望む声も多く 2008 年には建築家が随時集える「建
たが、せっかく会員をお迎えするのだからということで、10
デザインプロダクトを生み出すプロジェクトで、クリエイターの発
築家クラブ」を JIA 館 1 階にオープンしましたが、前川國男
月に照明、カウンター、換気扇などをリニューアルし、新た
掘・育成を通した地域産業および日本のデザインの活性化事業として
先生ゆかりのクラブ・バー再開の要望が多く、クラブ・バー
に冷凍冷蔵庫、食洗機、電子レンジを揃え、現在に至ってお
も再開することにしました。
ります。
限定的と申しますのは、クラブ・バーをクローズした 4 つ
月例会は毎月予定通り開催していますが、もう一つの柱で
の理由をクリアすることを踏まえて、以前のように毎晩営業
ある「クラブ・バー」貸出が進んでいません。午後 5 時から
するのではなく、月 1 回「月例会」として開催する事と、ク
9 時半まで仲間で貸切り、誰かがカウンターの中に入ってマ
台に上がった。総合順位では三位だが、課題のひとつ魚料理において
ラブ・バーの場所を貸切で、お貸しするということで、再開
スターまたはママさんをやり、自由に使っていただくという
は、第一位のフランスを大きく引き離し、世界一位の得点を獲得した。
を致しました。
楽しい時間をぜひ過ごしていただきたいと思っております。
クローズしてから 5 年も経過していましたので、クラブ・バー
今後の夢ですが、最終目標は毎日営業して多くの建築家
伊勢神宮へ奉納する木箱に着想を得た木の器は、「神に捧げる器のよ
のスペースは不要物廃棄場と化しており、4 トントラック 1 台
が「処士横議の場」として利用していただくということです。
う」と評判となり、木箱の底に仕込んだ発熱体に柚子のエッセンスを
分、廃棄しました。また、せっかくの調度品もさびていたりカ
しかしながら、すぐには難しい状況です。任重くして道遠く
含めたお湯をかけ、木箱を開けると湯気が上がるプレゼンテーション
ビだらけになっており泣く泣く廃棄したりもしました。
一歩ずつ着実に歩みを進めていくつもりです。
て体験したことのない座り心地」である。
その他、木製のLC-7のモデルであろうものもあり、従来のモダン
03
ボキューズ・ドール 2013 での木の食器
Japan Creative は、日本の技術とデザイナーをマッチングさせて、
2011 年 11 月に発足。内藤廣氏が名誉理事をつとめる。
昨年春、ミラノ・サローネに出展されたこの作品は、イギリス人デザ
イナーのピーター・マリー・ゴールド × ヒノキ工芸のコラボレーショ
ンによるもの。
素材は、青森産のヒバ。木材の縦方向に杭を打ち込んで、2つに分割
してできた形をベンチの側面に使用した。
製作にあたり戸沢氏はデザイナーに、日本の誇れるもの、最古の木造
建築は「法隆寺」、最大の木造建築は「東大寺」、そういうものから考
えたらどうかとアドバイスした。楔を入れて掛矢で叩いて割る「割り
材」の手法は、ヨーロッパでも日本でも歴史的には道具が無かった頃
からの共通のもので、その自然のもつ曲線を活かした形は、置かれた
場に「風景」を作り出している。
FORUM
02
シャルロット・ペリアンの幻の家具
フランス・リヨンで開催された、フランス料理界で最も権威あるコン
クール「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。日本代表に、ホ
テルブレストンコート総料長 浜田統之氏が選出され、24 ヶ国のシェ
フたちと闘い、見事銅メダル(世界第三位)を受賞。日本人初の表彰
浜田氏(マネージャー)は、魚料理の器を戸沢氏に依頼。戸沢氏は、
後に ‘BENTO’ と称した木箱を制作した。
が高い評価を得た。
2012 年 6 月にお披露目をして 7 月から「月例会」を開催
〈(株)野生司環境設計〉
■ 工場見学のほかに事務所でもいろいろな
貴重なお話を実物を見ながら触れながら伺っ
た。仕事の内容とボリュームにより残念なが
ら今回の誌面ではすべてをご紹介できなかっ
たが、5時間に及ぶお話には、作り手として
の真摯な態度と哲学で満ちていた。原寸で実物に対峙しながら製作する姿
勢は、建築家のそれとは異なるものの”わくわく感”を生み出すという点
ではまったく同一のものであると感じた。(聞き手:土居志朗、市村宏文)
戸沢 忠蔵 氏プロフィール
日本では 2011 ~ 2012 年に鎌倉、広島、目黒を巡回し、現在、仏サ
ンテチェーヌの国際デザインビエンナーレ 2013 で行われている「シャ
ルロット・ペリアンと日本展」での展示作品。
10
Bulletin 2013 年 5 月号
1944 年青森県生まれ。
総合業訓練所を卒業後上京し、三越製作所、高島屋工作所など、老舗
の家具工房を経て 1977 年独立。
国内外の一流デザイナーや建築家からの特別注文の家具、イタリア・
フランスの有名ブランドの家具のほか、皇居内宮殿や迎賓館、国会議
事堂、帝国ホテル等各所一流ホテルの家具まで、世界の逸品を数多く
製作する。最高級車や特別客車の内装、さらには重要文化財や国宝の
復元にも携わる。
クラブバーの様子
Bulletin 2013 年 5 月号
11
FORUM
京都の竹屋にお願いしたところ、すべて断られての挑戦だったが、戸
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
JIA 建築セミナー実行委員会
アーバントリップ実行委員会
公開講座
第 71 回 URBANTRIP
「槇文彦氏
−建築家の経験から/ご質問に応えて」
実行委員長
実行委員長
工藤 和美
堀場 弘
委員会活動報告
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
「復原・保存活用に見る近代、現代建築の手法」
-JR東京駅と国立国会図書館-
青井 俊季
FORUM
■ 2012 年度の JIA 建築セミナーでは、
「アウエアネス=新た
楽ホールや新国立競技場のザッハ案、自らのフローリンゲンの
東京駅と国会図書館の内部見学と、復原・保存活用に関する勉
■ 国会図書館
な気づき」と題して、7 月 7 日の SHIBAURA HOUSE での七
浮き舞台など、
「市民社会ではつくるときも、壊すときも市民
強ができるということで、今回のアーバントリップに参加した。
1954 年、戦後初のコン
夕キックオフパーティでの盛り上がりをキープしながら、22
が Yes / No と言える」というお話をしていただきました。ま
回ものセミナーを通して様々な日常周りのアウエアネスを大切
た、ヒルサイドテラスがスローアーキテクトだったから、様々
に、社会の変化を受けた建築の可能性を探ってきました。そし
な時代の要請に応えたバラエティに富んだ姿が自然にできた
て、最終回となる 23 回目のセミナーを 3 月 2 日に特別公開講
こと。日本は、まだまだ社会に対して信頼を持っているから、
座として、槇文彦氏を招いて建築家会館1階ホールにて盛況の
オープンなパブリック空間が豊かに存在していているのが特色
内にとり行いましたことをご報告いたします。本セミナーを通
で、ゲーテッド・コミュニティにならないで欲しいといったお
して学んで感じてきた事を、実行委員と受講生が建築家として
話など。また、昭和の初めに二人の学者が創基した軽井沢の南
の大先輩であられる槇文彦氏に、直接の質問という形で投げさ
原別荘地についてのお話も興味深かった。コミュニティにゲー
せていただき、それを会場にてお応えいただくという形式で進
トや柵は作らないで、子ども達の元気さと静けさを共存するた
めました。一つは、公共建築における「公共」のあり方。二つ
めに、別荘地の中央原っぱに、寺子屋のようなボーイスカウト
目は、代官山のような街を、ルールを定める事で形成していく
のような夏の学校をつくった話など、自然なコミュニティの発
ことが可能か。三つ目、
なぜ建築家になりたいと思われたのか?
生についてお話をいただいた。最後に、ギーディオンを引用さ
その志は変わったのか?総括として、日本の都市の将来像と若
れ、時と建築/空間と建築について語られ、レクチャーが終了
い建築家がどうあるべきか、といった内容でした。これらの事
した。途中で、予定時間を超えても良いよとのお言葉に甘えて、
前の問いに対して、槇氏は様々なスライドを準備されて、ご自
2時間を超えての楽しい最終セミナーとなりました。さらに、
身の経験に基づいて明快に、わかりやすくお話いただきまし
セミナー生の打ち上げにもお付き合いいただき、間近でお話で
た。特に、公共建築についてのお話では、日本には市民社会が
きた受講生達は素敵な思い出となったことでしょう。2013 年
存在しなかった、封建社会の次に飛び越えて現代社会がやって
の JIA 建築セミナーもたくさんの方々の参加をお待ち申し上げ
きた結果、建築における他国との大きな違いとなって現れてい
ます。
る点など、アテネのパナシナイコスタジアムやバーゼルの新音
〈シーラカンスK&H(株)〉
オープニングパーティ
受講生に取り囲まれる槇さん
12
Bulletin 2013 年 5 月号
セミナーの様子
ペで選ばれた前川事務所の
■ JR東京駅
MIDO 同人による国会図書
昨年の 12 月に復原工事を終えてグランドオープンした東京
館は、1968 年に本館が完
駅。調査段階から 10 年がかりのプロジェクトで、その総括を
成。その後 1975 年から前
担当された田原幸夫さんが説明と案内をして下さった。
川事務所による新館の調査・設計が始まるが、その 10 年間の
プロジェクトの総括を担当された中田準一さんが説明と案内を
して下さった。
私が大学を出たばかりの頃、同級生で当時建設省の官庁営繕部
にいた友人がこの新館を担当していて、中田さんのことや前代
未聞の地下8階建の書庫の工事について熱心に語ってくれてい
た事を懐かしく想い出しながら見学した。
納本制度により蔵書量が無限に増加する国会図書館は、その機
能を維持していくために新館を増築し、本館の耐震改修を行った。
新館は、周囲に国会議事堂をはじめ国の機関が建ち並ぶ景観を考
慮し、本館の背後に地上4階(2万㎡)
、地下8階(5万㎡・東
「辰野金吾オリジナル」に復原された外観
東京駅は全長 335 m、鉄骨煉瓦造で、今回の復原工事は3階部
京礫層に定着)という構成にしたという。内容を知ると、与条件
分と南北ドームの復原、ステーションホテルの拡張、本格的美
を含め随所に多くの困難があったに違いない建築なのに、本館の
術館として移設されたステーションギャラリー、駅舎としての
背後に過度の主張をすることなく存在し、かつ豊かで心地よい内
機能整備がその骨格だ。さらに、もともと 11,000 本の松杭で
部空間を体感することができた。
支持されていた建物全体を4年がかりで免震化した地下の工事
■ 保存・活用について
も、プロジェクトの重要な位置を占めたという。
東京駅の場合は、特例容積率地区制度により、駅舎部分の未
丸の内駅舎における「復原」の定義としては、現存する建造物
利用容積を新丸ビルや大丸などの周辺敷地に移転することで事
について後世の修理で改造された部分を原型に戻すこととし、
業化が可能となったという。中央屋根の片面をガラス屋根にし
復原部はできる限り歴史を正しく継承し、保存部には手を加え
て小屋裏空間をレストランに利用するなど、徹底した有効活用
すぎないこと。また、オリジナルの姿がわからない部分につい
を行っているところが印象的だった。国会図書館では、公共建
ては、保存・復原部との調和
築でありながら地下8階まで書庫を埋めるという常識破りの挑
を考えつつも現代のデザイン
戦と、原状のデザインを損なわない耐震改修によって、極めて
に置き換えながら機能を維持
スマートな保存活用が行われているという印象を持った。経済
し続けるというポリシーが貫
的な理由で歴史的な建築が消えていく。遺された建築に敬意を
かれており、見学を通してそ
払い、コストも含めて保存活用のプログラムを作って提案する
の事がよく理解できた。
ことが建築家に求められる職能ではないかという、中田さんの
建築ツアー岩見沢駅視察
矩形の森視察
右側が本館、左側が新館
ステーションギャラリー内部
お話が心に残った。
〈青井俊季建築設計事務所〉
Bulletin 2013 年 5 月号
13
FORUM
委員会活動報告
委員会活動報告
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
建築相談委員会
「市民の身近な建築よろず相談室」
建築相談委員会
委員長
住宅のトラブルを防ぐに際して
建築相談委員会
山本 彬喜
■ 私共(社)日本建築家協会関東甲信越支部建築委員会及び相
談室は、1996 年の JIA 館に他の団体に先駆け無料の建築相談
窓口を開設以来 17 年経過してきております。
その 2 年後には、埼玉、千葉、神奈川にも相談窓口が開設され
ました。
相談件数としては、2010 年は 426 件、2012 年は 355 件の相
談がありましたが、減少化の傾向にあります。
シンポジューム(アーキテクツガーデン)
具体的な相談内容は、一般の事前相談から、トラブル相談まで様々
岡本 寛
■ 建築家協会に入会したのが 2011 年 1 月で委員会所属は決
調停、仲裁といった裁判外紛争処理機関(ADR)も利用が可
まらない中で 3 月 11 日の東日本大震災の日を迎え、それか
能となった。既存住宅性能表示制度もでき、化学物質など室
ら国交省の依頼を受け約半年間、被災住宅の相談業務という
内の汚染対策として 24 時間計画換気の義務付け、2009 年
形で被災地へ向かっていた。この後、建築相談委員会に入会
10 月には瑕疵担保履行法ができ保険や供託への加入が事業
したのは 2011 年 11 月である。今回原稿を書くことを依頼
者に義務付けられた。現在、保険住宅は着工戸数の約半分を
され、1 年が経過する中で経験したこと、あるいは感じたこ
占め新築累計戸数は評価住宅、保険住宅ともで 300 万戸以上
とについて若干述べてみたい。
を占めている。このように住宅の新たなる法律および制度は
ですが、建築の相談内容も複雑、多様化して、法律に絡む問題も
外壁に関するものでタイルが大きく浮いていたり、部分的に
しかし、その前に東日本大震災について触れておきたい。地
次第に整いつつあるようだ。
多数発生してきており、ここ数年はトラブル相談が相談件数全体
剥落したりといった内容です。それと戸建住宅で多いのは雨
震と津波により多くの人命、多くの建物が失われたが、津波
住宅の取得者は、皆一様にトラブルを未然に防ぎたいと思う
の 75 パーセント以上を占める割合で推移しております。
漏りと、ひび割れです。屋根以外にバルコニー、外壁からの
からなぜ早く逃げられなかったのかと最初は不審に思った。
反面、自分の家が不具合に遭遇するとは考えていないで契約
当相談室は、一般市民の身近な相談窓口として、無料で対応し
漏水相談も多くなっています。
地震が起きてから津波が沿岸地域に到達するまで、若干の
あるいは工事に着手する。トラブルに会ってからどのように
時間は有ったはずである。しかし、地震で建物が被害を受け
すれば解決できるのかその時になってから考えるのでは遅い
ると同時に通信施設が壊れ TV や携帯電話が機能せず、唯一
のである。
カーラジオのみが津波の情報を伝えていた。しかし、広域的
前述したとおり我々は津波といったものを経験したが、住宅
に情報が伝わらず、逃げ遅れてしまっていたことを後で聞き
のトラブルもこの津波に似ているのではないだろうか。トラ
知った。
ブルを未然に防ぐには事前に正確な情報を早く得て、そして
ておりますが、公(国民生活センター、消費者センター、住宅
②群馬地域会相談室
紛争処理センター)からの紹介が 70 パーセントを占めており、
相談員構成 相談員数:6 名
残りが JIA のホームページ(約 12 パーセント)その他です。
相談場所 なし
その他の活動として、市民向けのシンポジュームを毎年2回開
近況 今年度は相談会場が確保できなかったため、建築相談
催しております。
は休止中です。
今年度はアーキテクツガーデンの6月、JIA 横浜大会の 12 月
③埼玉地域会相談室
FORUM
に開催し、いずれも 37 名の参加者でした。
相談員構成 相談員数:13 名
建築相談委員会に話は戻るが、相談日は原則として週 2 日、
早く対策を講じることに他ならないだろう。住宅取得者に対
関東甲信越支部地域会相談室の構成と活動状況等を報告致します。
相談場所 川越市生活情報センター内
一日に 3 組の相談を行い、また年間に 1 ~ 2 回だがシンポジ
して情報の安危のシグナルを事前に発信することによってト
①首都圏建築相談室
近況 新築やリフォーム後の施工不良、工事の不具合等、内
ウムを開催し、広く一般消費者の方にも参加を頂いている。
ラブルを未然に防げ、建築相談において心掛けていきたいと
容は多様で特に際立った傾向はみられないです。
相談内容は、建築的な側面と法律(民法)的な側面など多岐
考えている。
相談員構成 相談員数:32 名中、3 名は他地域会相談室も兼
任、2 名休室中
④千葉地域会相談室
相談場所 JIA 館(火、金)LIXIL ショールーム東京(土の隔週)
相談員構成 相談員数:6 名
近況 最近増えたと感じる相談は、集合住宅の大規模修繕や、
相談場所 JIA 千葉地域会 事務局
〈岡本寛建築設計事務所〉
にわたり複合的な絡みを持っていることが多い。法律につい
て言えば、注文住宅なのか建売住宅及びマンションなのかに
よって請負契約、売買契約に分かれ、解決方法も変わる。
近況 ずさんなリフォーム相談、雨漏りについての相談が多
くなっています。
一般的に相談者は、トラブルに直面し真剣な面持ちで相談に
来られるが、できるだけ専門用語を使わず平易に言い換えて
⑤神奈川地域会相談室
説明し理解していただく事が大切と思っている。
相談員構成 相談員数:16 名
相 談 場 所 JIA 神 奈 川 地 域 会 事 務 局 LIXIL み な と み ら い
住宅の制度として 2000 年に品確法ができ、雨水の侵入を防
止する部分および構造耐力上主要な部分の瑕疵について 10
ショールーム 近況 従来のトラブル相談の他に、横浜市の大規模災害時に、
年間の瑕疵担保責任が義務付けられた。また加入は任意だが
応急危険度判定、被災家屋建築相談等の初期緊急支援活動を
住宅性能表示制度とこれに関連して住宅紛争審査会の斡旋や
2012 年 6 月 30 日のシンポジウム 会場風景
行う建築専門機関として、JIA 神奈川は人材派遣協力をする協
定の締結に向け、横浜市と協議を開始しています。
シンポジューム(JIA 横浜大会)
14
Bulletin 2013 年 5 月号
〈(有)設計工房LIVE〉
Bulletin 2013 年 5 月号
15
FORUM
建築相談委員会
委員会活動報告
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
委員会活動報告
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
交流委員会
第 7 回 JIA 北関東甲信越
学生課題設計コンクール 2013
JIA 北関東甲信越
学生課題設計コンクール
■ 2013 年 3 月 2 日 第 7 回 JIA 北関東甲信越学生課題設計コンクー
○審査結果
ル 2013 が行われました。
大学・専門学校の部
北関東甲信越(群馬・新潟・長野・栃木・山梨・茨城)6 県の建築系
金賞 今村 悠太郎(前橋工科大学)
教育機関(大学・専門学校・工業高校)在校生に対し、学内より選
銀賞 山崎 美穂(宇都宮大学)
出された「住宅」をテーマとする課題作品が対象となります。2011
銅賞 盛林 陽子(前橋工科大学)
(zero energy building) の取組紹介
ZEB 実行委員長
Fグループ
伊藤 昭博
細野 淳美
年及び 2012 年が東日本大震災を受け、中止となったため、3 年ぶり
■ エネルギー問題が深刻化し、近年では以前にも増して省
省エネ性能の向上に伴い、無視できないのは快適性との両
エネが重要視されています。経済産業省は建築分野での省エ
立です。省エネを追求するあまり快適性を損なうと、知的生
ネについて、2030 年までに新築建物全体での ZEB の実現と
産性が悪くなり結果省エネにはなりません。そこで当施設で
いう目標を掲げました。ZEB は世界的にも取り組まれており、
は、オフィス空調に快適性の高い放射空調を採用し、再生可
その定義は「建物内における一次エネルギー消費量を、建築
能エネルギーと組み合わせることで、省エネとの両立を図り
の開催でしたが、大学・専門学校の部 24 作品、工業高校の部 14
工業高校の部
作品と多数の参加学校及び作品出展がありました。
金賞 深沢 司 (甲府工業高等学校) 前橋工科大学を会場として、審査委員長に中村好文氏、審査員に
銀賞 末木 聖人 (甲府工業高等学校) 物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オン
ました。
上浪 寛支部長ほか各地域会より 6 名 計 8 名の審査員で審査しま
銅賞 古澤香寿美、古川咲友里、森橋みなみ、安原みなみ
サイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間
また、再生可能エネルギーの利用は災害時の事業継続計画
した。
(上越総合技術高等学校)
の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼ
(BCP)の整備にも有効です。水・電気の確保はライフライン
早朝より、県内外から参加者が作品を持って集まり、展示。午前
中に第 16 回 JIA 群馬クラブ卒業設計コンクール 2013 を行い、午後
本年で第 7 回目を迎えた学生課題設計コンクールですが、今年度
ロとなる建築物」であります。
として重要な位置付けであることから、これらを供給する建
よりコンクール開始。たくさんの見学者の中、学生と審査員のプレ
より支部事業になったことで各地域会もより積極的に取り組んでま
このような状況の中、つくばみらい技術センターでは、
築設備には、二重化対策が必要です。そこで、二重化の発展
ゼンや質疑、あるいは審査会が全て公開で行われ、活気あるコンクー
いりました。年当初より、北関東甲信越学生課題設計コンクール実行
ルとなりました。
委員会を立ち上げ、第 1 回会議では、群馬県に集まりコンクール運
2010 年に ZEB 化を目標としたリニューアル工事を行いまし
形として、通常のインフラが使用不能の場合に、再生可能エ
投票、合議の結果、各賞が決定。表彰式パーティーでは、お互いの
営について話し合い、その後毎月 1 回の WEB 会議を行ってまいりま
た。当施設では ZEB 実現へむけ、高性能の外壁や窓を採用し
ネルギーで代替可能な設備構築に取り組んでいます。例えば、
健闘をたたえるとともに、今後の発展を約束しました。
した。参加募集では、実行委員が地域ごとに直接学校へ呼びかける
て外部負荷を抑え、かつ、最新の省エネルギー機器・システ
地下水ろ過システムによる飲料水や雑用水確保、太陽光発電
JIA 各地域会からも実行委員のほか、会員も多数参加し、JIA 地域間
ことで、参加学校も増えてまいりました。今回は不参加であるものの、
交流も活発に行われました。
次年度は参加したいという声も聞こえ、コンクール実行委員会と学
ムの導入により、「省エネ性能を向上」させました。そして、
による停電時の電源供給、太陽熱・地中熱を利用した放射空
コンクール運営には、前橋工科大学 まちづくりサークル「えん」
校との距離が近づき、今後の期待を強く感じました。また、地域会
太陽光発電の導入と太陽熱・地中熱を空調エネルギーとして
調などがあります。これらは災害時だけでなく、通常時にも
の学生 20 数名が協力してくれました。会場準備や審査会など 若い
合同で行うことで、単なるコンクールではなく、地域会同士の交流
利用するなど、「再生可能エネルギーの活用」を行っており
利用することで、省エネにも繋がります。
力によりスムーズな運営となりました。また、「えん」の学生にとって
や情報交換の場ともなり、とても有意義な会となりました。
も県外の学生や実務設計者との良き交流の場となったかと思います。
JIA 会員と学生が一体となった楽しいコンクールの 2 日間でした。
ます。その結果、空調消費電力量は改修前と比べておよそ7
私は建築設備にたずさわって今年で6年目になり ZEB を勉
コンクール前日の 3 月 1 日には、中村好文審査委員長による講演
現在作品集を作成中で、今後各学校へ配布し、授業への役立てと次
割削減されました。これに、照明やコンセントからの消費電
強中です。まだまだ未熟ですが、ZEB の第一歩を歩み出した
会を行いました。コンクール関係者のほか、建築関係者や一般市民
年度コンクールへとつなげて行きたいと思います。
力を加算した年間電力消費量が、屋上に設置した太陽光発電
ことで、豊かな地球環境と快適な居住環境の創造に少しでも
でまかなえることが実証され、対象エリアである2階オフィ
貢献できるよう、これからも日々精進していきたいと思いま
スの ZEB 化が達成されました。
す。
〈HIRO建築工房〉
など約 150 名が集まり、講演会を楽しみました。
FORUM
〈三建設備工業(株)〉
審査風景
つくばみらい技術センター
審査風景
16
Bulletin 2013 年 5 月号
審査会場
受賞者集合
Bulletin 2013 年 5 月号
17
FORUM
JIA 北関東甲信越学生課題設計コンクール実行委員会
委員会活動報告
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
地域会だより
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
栃木クラブ
群馬地域会
第 19 回スクール in 栃木
群馬地域会 2012 年度の主な活動報告
群馬地域会
栃木地域会
代表幹事
武井 貴志
水上 勝之
■ 栃木クラブが毎年開催している、学生を対象としたワークショッ
土祭運営側からの誘いも有り、土祭開催
■ 2012 年度群馬地域会は、一昨年の東日本大震災の中から大きく
■ 秋 11 月 に 建 築 展
プ「スクール in 栃木」も 19 回を迎えました。
の半月前の 9 月 1 日と 2 日に益子に乗
復興へ向かう人々の姿に、日本人が忘れかけていた大切な何かを感
2012「 - 少 林 山 達 磨 寺
昨年に続き今年も開催地に益子を選びました。
り込み、学生達を祭り前の熱気にふれさ
じ「日本のものづくりの原点」を探りながら、これからの建築のあ
でものづくりの原点を考
り方、建築家の価値を考え発信していくことから活動をスタートさ
え る ー」( ブ ル ー ノ・ タ
せました。
ウトが来日し 3 年半の滞
■群馬に縁のある「二人の外国人建築家 / タウト&レーモンド in
在の大半の 2 年 3 ヶ月
益子参考館(濱田庄司旧アトリエ)
ヒジノワ(土祭により生まれたカフェ)
と言うのも 2012 年は 4 年に 1
せる事と、ワークショップを祭りの準備
度の「土祭り(ひじさい)」の年。
に組み込み、学生を祭りそのものに係わ
益子焼きで有名な栃木県益子
らせる事で、地域への関心を喚起するこ
町には多くの若い作家が集
とを狙いとしました。
まっています。彼らが中心とな
同じ栃木県とはいえ、宇都宮大学からで
群馬」をテーマの中心軸にアーキテクツガーデン2012、連続
を過ごした場所です)を
り、行われる「土祭り(ひじさ
さえ 26Km、最も遠い足利工業大学から
企画第1回~ブルーノ・タウトの映像を中心に~を実施しました。
テーマに一般参加者を迎え 3 日間開催しました。
い)」は、「益子の風土、土着の
は 80Km も離れているため、参加学生にとっては馴染みの薄い町です。
文化を見直し、新しい流れの
民芸というかつての芸術運動や濱田庄司、柳宗悦という中心人物の
中にこれからの暮しのありよ
名前も、その濱田庄司が益子に居を構え参考館を残してくれた事も
うを探るため 2009 年 9 月 19
知る学生は少なく、しかしその延長線上にあると思われる、近年の「雑
日(新月)から 10 月 4 日にか
貨、カフェブーム」にはとても関心がある、そんな構図を感じてい
けて開催する」( 土祭 2012HP
ました。
よ り ) ア ー ト 展 示、 朝 市 や カ
このふたつをつなげる事で、「日常の、すこしだけ先にある建築」に
フェ、ワークショップの複合体
学生達が思い駆せ始める、そのきっかけにでもなればというのが僕
です。
の隠れた目論見でした。
〈(株)テイクス設計事務所〉
(Bulletin2012 年 9 月号で報告済)
~私のものづくりの原点を考える~
会員制度があり、正会
~震災復興支援で見た三陸 写真展~
員とともに良い建築を
ぐんまの建築家と話そう・パネルトーク
(18 日まで連続開催) つくるパートナーとし
11/17
て建築生産に関わる企
群馬」
が、賛助会員として多
・第 2 回~少林山達磨寺でタウト&レーモンドを考える~
筑波宇宙センター
FORUM
建築家の日置氏と町田氏、家具
・達磨寺境内「タウトの思惟の径」散策
に活動しております。7 月 20 日に今年度第1回「建築家を支える
案内講師・広瀬達磨寺住職
技術」と題して JIA 群馬セミナー 2012 を開催しました。今回はそ
・講演会「アントニン・レーモンドが見た日本について」
ました。9 月 20 日には第 2 回「初秋のつくばをめぐるセミナー見
廃校を活用した合宿宿@茂木町
賛助会セミナー「建築家を支える技術」開催
連続企画「二人の外国人建築家 / タウト&レーモンド in
業 ( ゼネコンを除く )
の中の 4 社から最新の環境・省エネ技術について紹介解説を受け
■合宿 土祭参加アーティスト / 建築家によるレクチャー
建築家のしごと展
■当地域会には、賛助
数参加し、日々積極的
■ 2012/09/01 WorkShop-1 日干しレンガによるベンチ作り
11/16
建築展 2012 講堂
講師・三沢 浩(建築家)
11/18
茶会~洗心亭~タウトが居住していた場所での初茶会
学会」を開催しました。宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 筑波宇宙セ
■ 2013 年 3 月 2 日には今年度から支部事業となった、北関東甲
ンターの最先端技術である宇宙開発の現場を見学後、欧州の高機能
信越の6地域会合同による第 7 回北関東甲信越学生課題設計コン
ドアや大型自動ドアを実際に体感し、また皇室御用品でもあるクリ
クール、第 16 回 JIA 群馬クラブ「学生卒業設計コンクール」2013
スタルガラスの製作現場を見学、今後の創作活動のエネルギーを蓄
が伊藤昭博実行委員長により、上浪支部長、中村好文審査委員長を
えました。
迎えて実施されました。(詳細については別途実行委員会から報告)
作家高山氏による物造りレク
■ 2012 年度に群馬の建築設計関係 6 団体が集まり「ぐんま街・人・
チャー、いつしか話しは生き方
建築顕彰会」を組織しました。見城美枝子審査委員長を迎え、第 1
暮し方に移行して、畳にあぐら、
回「ぐんま街・人・建築大賞」及び奨励賞を決定表彰しました。こ
膝突き合わせて夜更けまで続き
の制度は、私たちのぐんまがこれからも豊かに、創造性あふれる永
ました。
続的な発展を続けるために、広く街づくり、建築活動に係わる多く
■ 2012/09/02 WorkShop-2 非電化冷蔵庫 / カフェ施設の作成
の人々に焦点を当て、その取組みに顕彰を行い、群馬の発展、さら
にわが国の発展に寄与しようとするものです。今回の大賞は、「み
のわの里のきつねの嫁入り実行委員会」、奨励賞「新屋根開拓集団
屋根舞台」、審査委員長奨励賞「ブルーノ・タウトの会」でした。
■その他、群馬県内の県立工業高校建築科での「建築の仕事の楽し
さ」や「住宅の設計」などの授業を行っています。
左:原理説明 建築家海老原氏 右:非電化冷蔵庫作成
18
Bulletin 2013 年 5 月号
日置氏による土祭カフェ施設
左:群馬クラブ建築展チラシ
右上:建築展 2012 思惟の径 右下:洗心亭
〈水上勝之建築研究室〉
Bulletin 2013 年 5 月号
19
FORUM
地域会だより
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
日本版 CABE を考える
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
社団法人日本建築家協会関東甲信越支部
CABE の正式名は
「建築とビルト・エンバイロメント委員会」
日本版 CABE
推進タスクフォース
FORUM
多くの行政、専門家、市民に利用されている。情報・技術の開示
Environment(建築とビルト・エンバイロメント委員会)である。
は市民の建築や都市に対する理解を助け、翻って専門家集団のプ
ビルト・エンバイロメントを構成する要素は建築、土木、造園、
ロフェッショナルの確立となっている。
都市計画等々の多岐の領域にまたがるが、そのうちの建築が特に
日本版 CABE とは
組織名に掲げられている意味はなんであるか。まずは英国 CABE
では、こうした活動を日本にて推進する意味とはなんであろうか?
の活動を簡単に振りかえりながら、日本版 CABE の意味について
まずは、わが国においても地方分権化による地方自治体の裁量の
限られた字数のなかで考えてみたい。
増加と人材の確保は想定される課題であり、特に、幅広い領域に
CABE 設立の背景
おける取り組みが必要なまちづくりや景観行政の推進に向けては、
CABE が設立された背景には、開発許可審査に時間がかかりすぎ経
技術援助や助言を行うなんらかのシステムが求められる。CABE の
済活動にも支障をきたしていた事実や、わが国より先にすすめた
イネーブル・サービスを行うイネーブラーは、地域の建築家が圧
地方分権による自治体の業務の増加と専門職員の減少などの実情
倒的に多かった。地域の特性を引き出すまちづくりに専門家の関
があった。一方で、良好な都市環境とデザインの創造を目指した
わりは欠かせないが、その関わり方の仕組みづくりを具体化する
都市政策がすすめられ、都市デザインに言及する都市計画指針の
必要がある。
改定も相次いだ。つまり英国の自治体においては、専門職員を確
日本版 CABE と建築家
保することが難しい状況のなかで、新しい都市計画政策や指針に
また CABE は、その目標とする「建築都市空間の質を高める」ために、
沿って開発の許可審査を行う必要に迫られていた。こうした背景
建築・造園・都市計画などの分野と連携してデザイン審査を行い、
のなか、戦前の都市美運動のなかで設立された王立芸術委員会を
また建築都市環境に関わる教育などの異なる分野の事業をすすめ
再構築し CABE が設立された。
ていた。専門家がそれぞれ独自の言語を持って計画をすすめてい
CABE と開発許可制度
くことの多いなかで、良好なビルト・エンバイロメントを形成す
良好な開発計画を誘導するための技術援助(Enabling、イネーブル・
るための情報・知識を共有し、共通言語を持って協働する場が求
サービス ) と助言(Design Review、デザイン審査)は、開発許可
められている。王立英国建築家協会による近年の地域主権のまち
制のなかで、図のように位置づけられる。活動を直接受けるのは、
づくりへの参画の促進をみていると、そんな異なる専門家集団の
イネーブル・サービスの場合は開発計画を策定している公的機関
協働のなかで、建築家集団の役割に期待されていることは大きい
であり、デザイン審査については開発許可審査を行う自治体とな
と考える。
り、その対象は民間による開発計画も含まれる。活動を実際に担
さらに建築物がまちづくりや良好な景観形成をすすめるうえで影
うのは建築家、造園家、都市計画家といった専門家である。
響の大きいことは言うまでもない。基準の確認は最低ラインのク
10 年間の活動業績を通して、イネーブル・サービスは自治体によ
リアーであること、施主のために計画しているその建築物はまち
る企画構想や設計者選定の段階で、またデザイン審査は的確な開
なみや社会に対しても責任ある存在であること、を再認識し専門
発許可審査をすすめるうえで重要な位置を占めるまでとなり、そ
家集団としてデザイン審査などの場で専門家同士の議論を通して
の双方を支える情報・知識の蓄積は HP にて全面的に開示され、
よりよい計画にすること等が求められている。CABE の組織を支え
であり、「建築都市空間の質を高める」意気込みをもって業務に携
わっていた。審査されるといった受け身ではなく専門家集団が自
ら能動的に動くことが求められているのではないか。
日本版 CABE にむけて
企画構想や設計者選定の段階で技術支援する、計画案を事前審査
などのかたちでよりよいものにする、良好な建築都市空間の創造
のための実務に直結した情報・知識を蓄積・開示する、といった
CABE の3大活動に多くの人が興味を覚えるのは、専門家として取
り組む必要があると考えているからと思える。これからの専門家
集団のあり方を考える好機を逸することなく、具体の行動へとつ
図 開発計画の策定と CABE のサービス(網掛部分)
20
Bulletin 2013 年 5 月号
ながる議論をすすめたいと考えている。
選挙管理委員会 委員長 香川昌美
2013 年度役員選挙に関する補欠選挙(改選地域:山梨・定員1名)を、2
月 28 日に告示を行ない、3 月 21 日の立候補締切日までに届出のあった立
候補届を、3 月 28 日の選挙管理委員会において、資格審査を行いました結
果、役員選出規定及び選挙細則による立候補者としての資格を充足し、適
格であることを確認するとともに、改選定員と同数の立候補でありました
ので、無投票当選として確定いたしました。ここにご報告いたしますとと
もに、幹事当選者の名簿を登載いたします。
〈北海道大学〉
● 略歴:
1978 年 東京電機大学 建築学科 卒業
1978 年 村越愛策デザイン事務所 入所
1981 年 STUDIO M+A 設立
1989 年 環境計画に改称
● 所信:当会事業に協力いたします。
広報からのお知らせ
Bulletin に広告を掲載しませんか
広報委員会委員長 河村 大助
Bulletin 編集長 市村 宏文
支部事務局長 菊地 良一
■広報委員会では、支部会報誌 Bulletin への 2013 年度広告掲載申込みを募集しております。
Bulletin は、1987 年以来 JIA 関東甲信越支部の支部会報誌として、支部会員建築家、関係官庁、教育機関、団体などに直接郵送する方法で
2013 年度は隔月号 6 刊と特別号 1 刊の合計 7 刊、毎号 3,000 部を発行する予定です。
広告掲載料金表
掲載スペース
ていたのは、民間の設計会社やコンサルで専門知識を培った人材
手塚 元廣
(てづか もとひろ/ 1955 年 1 月 13 日生)
ー第 3 回告示:2013 年 3 月 28 日
坂井 文
■ CABE の 正 式 名 は Commission for Architecture and the Built
■ 山梨地域会
2013 年度役員改選に伴う
補欠選挙結果
表 2( 表紙裏 )
表 3( 裏表紙の裏面 )
表 4( 裏表紙 )
2013 年5月現在
会員料金
サイズ
1 ページ (174mm×267mm)
1 ページ
半ページ (174mm × 128mm)
1/3 ページ (174mm × 80mm)
1 ページ
差込み A4(1 枚 /A3 二つ折り )
一般料金
¥ 150,000 −
−
¥ 100,000 −
¥ 60,000 −
¥ 40,000 −
−
−
−
¥ 200,000 −
−
¥ 50,000 −
¥ 80,000 −
・印刷別 ( 持ち込み )
Bulletin の原稿を募集しています
■ 海外レポート(自薦、推薦)
■ 旅、映画、本のコラム(投稿)
海外レポートは海外で活躍されている方から、その国の建築
に関わる事について紹介しています。海外との交流や国際会
議、見本市などの参加報告でも結構です。自薦、推薦どちら
でも構いません。ぜひ編集部へご連絡ください。
巻末にあります「旅、本、映画」の紹介コーナーです。硬派な
論評でも結構ですし、気軽な感想という感じの内容でも宜しい
と思います。建築に関連させたものが望ましいですが、そうで
なくても OK です。いずれかの紹介記事をご投稿下さい。
①文字数 2500 文字程度(2 頁)
②写真、図版 ・2 ~ 3 点程度(JPEG 形式)
③執筆者の顔写真(JPEG 形式 / 白黒での掲載になります)
④タイトル
⑤図版キャプション
⑥お名前、事務所名、住所、電話番号、URL
■ 他人の流儀(推薦や話を聞きたい人)
毎回連載中の「覗いてみました他人の流儀」に対しての意見
を募集しています。この人に聞いてほしいという実名でもか
まいません。老若男女を問わず、どんな業種でもアタックし
たいと思います。ご意見を編集部へお寄せください。
①インタビューをしてほしい方の実名。
②インタビューをしてほしい方の業種や分野など。
①タイトル、サブタイトル、見出し、クレジット等部分100文字以内
②本文、400文字以内(テキスト形式)
③記事に関する写真を1~ 2 点(JPEG 形式)
※ 尚、執筆者の顔写真は掲載しません。
■ 部会、地域会だより
地域会と部会の記事を随時募集しています。毎号2つの地域会
に順番で原稿をお願いしていますが、部会はこちらからお声か
けをしていません。部会、地域会ともに、興味深い活動報告な
どがありましたら、ぜひ編集部へご連絡ください。
①文字数 1200 〜 1800 文字程度(1頁)
②写真や図版1~ 2 点(JPEG 形式)
※ 掲載時期は広報委員会に一任願います
■ 募集コーナー(会員に向けての告知や募集など)
巻末に会員の意見を掲載する「声」のコーナーを不定期に設け
ています。建築に関すること、JIA のこと、告知や募集など、
どんな事でも構いません。皆様の自由なご意見をお寄せ下さい !
①文字数は 500 文字程度まで(1/4 〜 1/2 頁程)
※ 掲載の可否、掲載の時期は、広報委員会に一任願います
全ての投稿、連絡先
JIA 関東甲信越支部事務局 菊地
E-mail:[email protected]
TEL:03-3408-8291 FAX:03-3408-8294
Bulletin 2013 年 5 月号
21
FORUM
コラム
こんな本を読みました
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
島根県は戦災の影響が少なかったことから18万棟もの
成相氏は、気さくな人柄と持
古民家が残存し、そのうち毎年200棟が解体されそのほ
ち前の行動力で古民家を通じて
とんどが焼却処分されるという。中には、腐食率20%未
山陰の建築文化や産業振興に貢
満で保存状態がよいものも多く含まれ、改修や移築などの
献し、今後もさらに様々な活躍
方法で有効活用ができないだろうかと立ち上がったのがこ
が期待されていたが、残念なが
の本の著者である NPO 法人日本古民家研究会の成相脩氏。
ら昨年の春永眠された。
成相氏は前職である松江市内の会社員をしていた頃から
この本は、地域における古民
建築の魅力にとりつかれ、建築の知見のみならず多くの建
家の実情と、成相氏が古民家事
築家との親交も深めていった。この本に登場するある著名
業の可能性を示した貴重な記録
な建築家との出会いも山陰では周知のエピソードである。
である。
日 時:2013 年 4 月 19 日(金)
講 師:山梨知彦氏
主 催:建築家クラブ運営 WG
協 賛:NPO 建築家教育推進機構
参 加 費 :1000円(学生500円)飲食物代等
参加申込:誰でも参加可能です。JIA 会員以外の方は氏名、所属、
連絡先をご記入の上、下記まで申込みください。なお、 事前申し込みが間に合わない場合、当日参加も可能です。
申込、問合:[email protected] ( クラブ運営 WG:稲垣 )
FAX:03-5950-0686 著者:成相 脩
出版社:ハーベスト出版
〈八田雅章/八田雅章建築計画事務所〉
申込方法:株式会社建築ピボットのホームページにある
申込フォームより申込。
問合せ先:株式会社建築ピボット
詳細は関東甲信越支部の
HP をご覧下さい
B A C K YA R D
テーマ:
「熱」
窓のサイエンス~熱・光の流れをデザインする
講 師:首都大学東京 都市環境学部 建築都市コース
助教 一ノ瀬 雅之 氏
会 場:株式会社建築ピボット 本社セミナールーム
(東京都文京区関口 2-3-3 目白坂 ST ビル 6 階)
参加対象者:JIA 会員(賛助会員含む)及び一般・学生も含む
参加費:無料(事前申込制)
■ 支部の広報委員になって 4 年。今となっては速いように感じ
■ JIA というと、農協か競馬の関係者かと思われることも良くある。な
ますが、思い起こせば公私ともに濃密で変化に富んだ 4 年間で
ので、面倒だが日本建築家協会とわざわざいうことにしている。組織
ありました。
形態が新しくなるようだが個人のやるべきことは今までと変わりない。
私はこの委員会に参加したお陰で、日頃の部会や地域会の枠を
[ 倉島 ]
超えた支部全体を垣間みることができ、JIA への理解が深ったよ
■「新年度になったら」と言わずに日々、気持ちを新たにがんばりた
うに思います。
いと思ってはいます。が、なかなかうまくいきませんね。明日こそは。
そして任期後半では UIA 大会、横浜大会と大イベントが続く一
■新年と新年度と2回もけじめがつけられるのはぴりっとして良い!
[ 高安 ]
[ 高橋 ]
■ 元日に迎える新年は「一年の計は」と身構えてしまいますが、桜咲
く 4 月の新年度はおおらかな気持ちで迎えることができます。言葉も
● 街歩き・街並編「江戸の中心市街地」
~水面から見る「街」と「橋」~
日 時:4 月 20 日(土)12:45-16:00
方、様々な地域の活動を知ると同時に、多くの JIA 会員と親交
をふかめる事ができたことに感謝する次第です。
[ 高橋 隆博 ]
大切ですが、この明るい気分を 1 年持続することを大切にしたいと思
[ 土居 ]
います。
■『覗いてみました他人の流儀』での最前線の方々からインタ
ビューでは大変刺激を受けました。内容を正確にお伝えできた
か不安ですが、お話を聞いて文章にすることで、より理解が深
まったように思います。
1)舟巡り + 街歩き 定員 9 名(12:45 ~ 16:00)
■ 日本は会計年度も学校年度も同一で新年度は4月から。新年を迎え
この5年間で Bulletin は、白黒からカラーになったこともあり、
2)街歩きのみ 定員 20 名(14:30 ~ 16:00)
四半期、一呼吸おいて見直すのに丁度良いタイミング。因みに、多くの
親しみやすさをそのままに、内容を充実させ、大変読みやすい
諸外国の学校年度は9月開始ですが、韓国は3月開始。世界も色々です、
雑誌に進歩したと思います。これからの Bulletin のますますの
会 場:日本橋界隈からお茶の水まで
集合場所:日本橋・船着場前
街歩きのみ(参加費¥500-)
第 3 回 5 月 15 日 ( 水 ) 16:00 ~
[ 市村 ]
たいと思います。
私も心機一転、公私ともにギアを入換えることにしよう。
委員会・地域会・部会からのお知らせ:
退任のごあいさつ
■公益社団法人としての新たな時代が始まりました。これにあやかり、
第 2 回 4 月 19 日 ( 金 ) 16:00 ~
主管 水出 喜太郎 氏
編集後記
まだ手探りの状況ですが、これからの Bulletin のありかたを探していき
でもいつも同じことで「良いものをつくりたい」です。
参加費:舟めぐり + 街歩き(参加費 + 舟賃¥3,650-)、
講 師:株式会社日建設計 設備設計部門 設備設計
正:卒業設計展事業 6県(茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟)
[ 杉山 ]
● 意匠設計者のための『省エネ勉強会』シーズン 1
計画手法とその性能 ~
↓
正:マウントフジアーキテクツスタジオ 原田麻魚
定 員:30 名 参加対象:一般・学生・住宅部会員(JIA 会員) ~水盤、CH チューブ、重力換気、大庇、ダブルスキンの
誤:卒業設計展事業 北関東 4 県合同課題設計コンクール
↓
広報も会員の情報共有化が基本だ。それは変わらない。
TEL:090-9958-8011(当日)
テーマ:「技」 窓、ファサードによる環境形成
誤:マウントフジアーキテクツスタジオ 佐野吉彦
■ 本号より公益社団法人としての発刊第一号です。
19:00 - 21:00(18:30 開場)
会 場:日本建築家協会 JIA館1F建築家クラブ
4 ページ 公益事業一覧
[ 萩尾 ]
ね。
[ 田中 宣彰 ]
ご発展をお祈りしています。
※ 一般向けイベントです。
申込・問合せ先:
公社)日本建築家協会・関東甲信越支部住宅部会
FAX:045-374-3366/e-mail:[email protected]
● JIA 群馬地域会 地域会総会及び懇親会
日 程:2013 年 4 月 18 日(木)
編集
委員長
:公益社団法人 日本建築家協会
発行人
:菊地 良一
関東甲信越支部 広報委員会
発行所
:公益社団法人日本建築家協会 関東甲信越支部
:河村 大助
委員
:植木 健一・大川 宗治・岡本 寛・加藤 誠洋・倉島 和弥
賛助会総会:15:00 ~ 15:45
小島 広行・杉本 由美子・杉山 英知・高橋 隆博・
地域会総会:16:00 ~ 17:30
土居 志朗・中村 晃・中屋敷 公一・萩尾昌則・八田 雅章・山本 成一郎
懇 親 会:18:00 ~
会 場:高崎ビューホテル
高崎市柳川町 70 TEL:027-322-1111
懇親会費:5000 円(当日会場に承ります)
〒 150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-3-18 JIA 館
副委員長 :市村 宏文・高安 重一
河合 敏一・白橋 忠博・立石 博巳・中村 隆則・西尾 信二・本田 孝一郎
編集長
:市村 宏文
Tel: 03-3408-8291( 代 ) Fax: 03-3408-8294
印刷
:株式会社 協進印刷
■ JIA 関東甲信越支部関連サイト一覧
・( 公社 ) 日本建築家協会 (JIA) http://www.jia.or.jp/
副編集長 :土居 志朗
・建築家 online ( 一般向け )
編集委員 :大川 宗治・河村 大助・倉島 和弥・杉山 英知
・JIA 関東甲信越支部 ( 会員向け ) http://www.jia-kanto.org/members/
田中 宣彰・八田 雅章・河合 敏一・立石 博巳・西尾 信二
B A C K YA R D
「木材会館、ホキ美術館、ソニーシティ大崎を通して考えたこと」
表紙 「 新年度の抱負」
支部ダイジェスト
● JIA 金曜の会トーク
お知らせ
お詫び・訂正
Bulletinvol.241 号で、下記内容が誤って記載されておりましたこと、お詫び申し上げますとともに訂正をさせていただきます。
古民家のひとりごと
-先人が伝える技と暮らし-「島根の古民家」
N E W S : 詳細は JIA 本部、関東甲信越支部 HP をご覧下さ い
第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
表紙 / 本文デザイン :( 株 ) スタジオネオ 伊波 サチヨ・守田 真紀子
http://www.jia-kanto.org/
© 公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 2013
■ 販売価格 300 円 ( 本体 286 円 + 消費税 14 円 ) /会員の購読料は会費に含まれています。
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Bulletin 2013 年 5 月号
Bulletin 2013 年 5 月号
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第三種郵便物認可 Bulletin 2013 年 4 月15 日発行
Bulletin 242| 2013 年 5 月号
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Bulletin 2013 年 5 月号