相互作用型サブフレーム 解説

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相互作用型サブフレーム
解説
解説
相互作用型サブフレームは、たわみに対する抵抗力が非相互作用型のフレームよ
りもはるかに優れています。高いたわみ耐性は、下記のように活用することがで
きます:
• 相互作用型サブフレームでは、積載重量の増大が可能
• 寸法が小さくなることによる軽量化
330 446
相互作用型サブフレームとは、フレームをつなぎ留める際の固定部によって、そ
れらが 2 本別々のフレームとしてではなく 1 つのシャシフレームとして相互作用
する構造になっているフレームのことです。
相互作用型サブフレームと非相互作用型サブフレームとの違い。
相互作用型サブフレームは、フレームのたわみによる影響を受けやすい車両や、
軽量化が求められる車両に推薦されます。
相互作用型サブフレームがその特性をできる限り最大限に発揮するためには、つ
なぎ留めるフレーム同士の固定部に剛性がなければなりません。すなわち、クラ
ンプジョイントを使用し、フレームブラケット間の距離を短くします。固定部が
フレキシブルでフレームブラケット間の距離が長い、非相互作用型のサブフレー
ムとは対照的であると言えます。
例として、ミキサー車は、フレームのたわみを低減しミキサー車のベアリングへ
の負荷を軽減するために、相互作用型サブフレームが必要となる場合があります。
357 584
一部のシャシの相互作用型サブフレームは、垂直方向の強度も剛性も損なわずに、
F957 または F958 タイプのダブルフレームではなく F800 または F950 タイプのシン
グルフレームを使用して構築することができます。同様に、強度の低い相互作用
型サブフレームは F957 および F958 と共に使用することができます。
相互作用型サブフレーム用架装アダプターブラケットの例。
詳しい情報およびアドバイスについては、Scania ディーラーにお問い合わせくだ
さい。
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相互作用型サブフレーム
解説
重要!
シャシのフレーム強度が、標準の工場仕様が許容する強度よりも低い場合は、一
切の変換作業を開始する前に、シャシフレームの張力レベルの裏付けとなる計算
を Scania に提出しなければなりません。希望するサブフレームとの組み合わせが
可能なシャシを正しく選択するためには、販売員との話し合いが必要です。
長所
完成したフレームは、ブラケット数が多いこと、ならびにブラケットがリベット
またはタイトボルトで取り付けられていることで、強度および剛性が高くなりま
す。
サブフレーム取り付け部の剛性が高くなるということは、複数のフレームが相互
作用することで同一のたわみを持つ大きな負荷に対応できることを意味し、結果
的に、完成したフレーム組成全体の強度が上がります。このように、強度の低い
シャシフレームと相互作用型サブフレームとを組み合わせることで、シャシフ
レームと非相互作用型サブフレームとの普通の組み合わせの場合と同じ負荷に対
応することができます。また、高さの低い相互作用型サブフレームを使用するこ
とで、負荷の重心も低くなります。
リヤオーバーハングに関する詳細情報は、文書「補強」に記載されています。
ダブルフレームの代わりにシングルフレームを選択すると、シャシの総重量を 200
~ 300 kg 軽減できるため、車両総重量を維持しながら積載量を増やすことが可能
になります。
短所
シャシ内での減衰が低下するため、シャシの振動による影響を受けやすくなりま
す。
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相互作用型サブフレーム
解説
クランプジョイントを用いた取り付け
剛性の高い固定性を達成するためには、クランプジョイントを使用します。
クランプジョイントでは、部品を保持するのはスクリューまたはリベットとホー
ル端との接触面となります。
クランプジョイントに関する詳細情報は、文書「スクリュージョイント」にあり
ます。
クランプジョイントはリベットまたはタイトボルトを使用して構成します。タイ
トボルトを使用する場合は、ジョイント全体にホールのリーマ加工をする必要が
あります。
M14 タイトボルトのホールを新たに開ける際は、直径 13.8 mm のドリルと直径
14H8 のリーマを使用してください。
フレームサイドメンバー 1 メートル当たりに最低でも 10 本の M14 タイトボルトが
使用できるように間隔を設けながら、ブラケットをシャシフレームに取り付けま
す。横方向の大きな応力がかかるエリアでは、ボルトの数を増やす必要がありま
す。ブラケットは、シャシフレームにリベット留めすることもできます。
工場で設けられた既成の 14.8 mm ホールを使用する際は、リベットまたは M16 タ
イトボルトの使用が可能です。M16 タイトボルトには、直径 15.8 mm のドリルと直
径 16H8 のリーマを使用してください。
ブラケットは、サブフレームに溶接するかタイトボルトで固定しなければなりま
せん。
重要!
フレーム F950 を使用する場合は、横方向負荷に特に注意してください。
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相互作用型サブフレーム
理論
理論
サブフレーム下面が、あたかも接触面で相互に固定されているかのようにシャシ
フレーム上側に追随する場合の、最高度に相互作用する 2 本のビームの慣性モー
メント:
tps
Itot = Ic + Is + Ac · a2 + As · b2
b
相互作用しないため、シャシフレーム上側に対してサブフレーム下面が自由に動
き、縦方向の摩擦が発生しない場合の、2 本のビームの慣性モーメント。接触面は
表面全体に及ぶと仮定します。
tptot
tpc
tp
= 重力軸中心
c
= シャシフレーム
s
= サブフレーム
I
= 慣性モーメント
A
= 断面積
a
330 448
Itot = Ic + Is
2 種の慣性モーメントの比較:
Ic + Is + Ac · a2 + As · b2 > Ic
+ Is
これにより、相互作用する 2 つのフレームの慣性モーメントの方が、相互作用し
ない 2 つのフレームよりも大きいことが分かります。この計算式は最適事例にの
み適用されることに留意してください。
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相互作用型サブフレーム
張力の分布
張力の分布
tps
tps
b
a
tpc
a
361 978
tpc
tptot
361 979
tptot
b
チャートは、非相互作用型サブフレームのシャシフレームおよびサブフレーム内での
張力分布を示します。
チャートは、相互作用型サブフレームの張力分布を示します。
張力の振幅をチャート内で比較すると、相互作用型サブフレームでは、シャシフ
レームの張力が約 50% 低くなっていることが分かります。しかし、サブフレーム
内の張力は増加しています。シャシフレームと同じ強度、すなわち、引張降伏限
界が少なくとも 500 MPa のサブフレームを選択してください。
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相互作用型サブフレーム
チャート
チャート
%
サブフレーム (hx80x6) のシャシフレームへの接続方法に
よって異なる、フレームサイドメンバー内の垂直方向たわ
み張力。
200
F950
180
160x80x6 mm の相互作用型スチールサブフレームを F950 に取り付けることで、
F957 と相互作用しない 180x80x6 サブフレームと同じシャシ強度が得られます。
160
相互作用型サブフレームでは、サイドメンバー補強部において、フレーム 1 メー
トル当たり 47 ㎏の軽量化が可能です。
140
非相互作用型サブフレームを F950 に取り付けて同じ強度を達成するためには、高
さ 290 mm のサブフレームが必要です。
120
F950
F957
100
注記:
初めから高さの低い相互作用型サブフレームでは、張力が著しく低減します。
100% の位置にある点線は、許容される相対的垂直方向たわみ張力限界を示します。
80
60
40
= F950 と非相互作用型サブフレーム
20
0
= F957 と非相互作用型サブフレーム
h
0
50
100
150
200
160 180
250
300
290
350
361 980
= F950 と相互作用型サブフレーム
サブフレームの高さ h (mm) との関係におけるフレームサイドメンバーの相対的垂
直方向たわみ張力 (%)
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相互作用型サブフレーム
チャート
サブフレーム (hx80x6) のシャシフレームへの接続方法に
よって異なる、フレームサイドメンバー内の垂直方向たわ
み剛性。
初めから 70x80x6 mm の相互作用型スチールサブフレームを F950 に取り付けるこ
とで、F957 と相互作用しない 180x80x6 サブフレームと同じシャシ剛性が得られま
す。
12000
I
10000
F957
F950
F950
相互作用型サブフレームでは、サイドメンバー補強部において、フレーム 1 メー
トル当たり 47 ㎏の軽量化が可能です。
非相互作用型サブフレームを F950 に取り付けて同じ剛性を達成するためには、高
さ 290 mm のサブフレームが必要です。
8000
注記:
初めから高さの低い相互作用型サブフレームでは、剛性が著しく増大します。
6000
= F950 と非相互作用型サブフレーム
= F950 と相互作用型サブフレーム
4000
= F957 と非相互作用型サブフレーム
2000
0
50
70
100
150
200
180
250
300
350 h
290
361 981
0
サブフレームの高さ h (mm) との関係における慣性モーメント I (cm4)。
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相互作用型サブフレーム
計算例
計算例
注記:
標準のサブフレームはシャシフレームにボルトで固定されていて慣性モーメント
に一定の貢献をしていることから、非相互作用型サブフレームに関する議論はあ
くまで理論上のものです。
シャシフレームの慣性モーメント、エリア、重量に関する各数値は、「シャシフ
レーム」文書に記載されています。
F950 と相互作用型サブフレーム 70x80x6
F950 と非相互作用型サブフレーム 70x80x6
F957 と非相互作用型サブフレーム 180x80x6
シャシフレーム:
シャシフレーム:
シャシフレーム:
Ic = IF950 = 3,877 cm4
AF950 = 39.4 cm²
サブフレーム:
Ic = IF950 = 3,877 cm4
サブフレーム:
Is = I70x80x6 = 108 cm4
A70x80x6 = 13.1 cm²
Is = I70x80x6 = 108 cm4
Ic = IF957 = 5,953 cm4
サブフレーム:
Is = I180x80x6 = 964 cm4
この組み合わせでは、輪郭の重心から共通の重心
までの距離が次のように計算されています:
a = 4.2 cm
b = 12.8 cm
サブフレームとシャシフレームが相互作用する場
合:
サブフレームとシャシフレームが相互作用しない
場合:
Itot = IF950 + I70x80x6 + AF950 · a2 + A70x80x6 ·
b2 = = 3,877 + 108 + 39.4 · 4.22 + 13.1 ·
12.82 = = 6,826 cm4
Itot = Ic + Is = 3,877 + 108 = 3,985 cm4
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サブフレームとシャシフレームが相互作用しない
場合:
Itot = Ic + Is = 5,953 + 964 = 6,917 cm4
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相互作用型サブフレーム
計算例
シャシフレーム F950 および相互作用型サブフレーム 70x80x6 では、非相互作用型
サブフレームに比べて、慣性モーメントが 6,826/3,985 = 1.71、すなわち 71% 増
大しています。
F950 と相互作用型サブフレーム 70x80x6 との組み合わせとほぼ同一の慣性モーメ
ントを、非相互作用型サブフレームとシャシフレーム F957 との組み合わせで達成
するには、寸法 180x80x6 のサブフレームが必要となります。
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相互作用型サブフレーム
計算例
軽量化
重量:
シャシフレーム
サブフレーム
F950 = 30.7 kg/m
70x80x6: 10.2 kg/m
F957 = 50.7 kg/m
180x80x6: 15.4 kg/m
フレームメンバーが 2 つある場合、シャシフレームで 1 メートル当たり 2x20 kg
の軽量化が達成できます。70x80x6 と 180x80x6 を比較すると、さらにサブフレー
ムで 1 メートル当たり 2x5.2 kg の軽量化が達成できます。例えば、Ad 4,700 ( 補
強が 5.5 m に及ぶ ) のトラックでは、5.5x2x20 = 220 kg の軽量化となります。
この長さ分のサブフレームの軽量化も加味すると、さらに 5.5x2x5.2 = 57.2 kg の
軽量化となり、合計で 277 kg の軽量化を達成することができます。
これは、F950 シャシフレームと寸法 70x80x6 のサブフレームを持つトラックを、
F957 シャシフレームと 180x80x6 のサブフレームを持つトラックと比較した場合に
該当します。
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