3-08 創造工学部自動車システム開発工学科 v801 石.indd

3.専門教育 専門基礎・専門
創造工学部自動車システム開発工学科
1.次元及び単位、
工学基礎演習Ⅰ
2.熱と温度、比熱と熱容量、熱と仕事
自動車システム開発工学の基礎となる数学と力学の実
3.熱力学の第1法則(エネルギー保存則)
力を養成することを目的としている。微分積分学や力学
4.内部エネルギーとエンタルピー
で学ぶ内容や関連する基礎知識を実際の工学の場面で応
5.理想気体の法則と状態変化
用できるように、講義と演習を行っていく。高校までの
数学の確認、微分積分の意味の理解とその適用方法・計
流体力学
算方法の習得、力学現象の記述とその解析能力を身につ
自動車システム開発工学の基礎となる力学系科目の一
けていく。動力学、静力学を中心に工学的な題材を対象
つであり、流体(気体と液体)の性質を知り、力のつり
とする。
合いや運動を力学的に解析する。流体力学の入門と位置
付け、以下の項目について学習する。講義ではデモ実験
工学基礎演習Ⅱ
やアニメーション・プログラムなどを交えて、流れの理
工学基礎演習Ⅰに引き続いて、数学と力学の基礎能力
解を助ける。
を高め、実際の工学の場面で応用できるように講義と演
1.流体の基本的な性質
習を行っていく。
微分積分の意味の理解とその適用方法・
2.流れの基礎と分類
計算方法の習得、ベクトルの適用方法の習得、より高度
3.静止流体の力学(圧力、圧力による力)
な力学現象の記述とその解析能力を身につけていく。
4.連続の式(質量保存則)とベルヌーイの定理(エ
ネルギー保存則)
機械力学
等価な運動力学モデルを構築し、運動方程式を導き、
基礎製図
これを用いて理論的に解析を進めるという、機械力学の
この科目では、
自動車システム開発工学の基礎として、
基本的な考え方を、簡単な機械振動系を通して理解し、
製図技術、読図能力の修得を図る。設計製図、CAD の
下記の機械振動学の基礎を身につける。
基礎としても重要である。
(1)力学モデル
1.投影法、線、尺度および文字
(2)運動方程式
2.文字・線の練習
(3)単振動
3.図形の表し方
(4)固有振動数
4.寸法の表し方
(5)1自由度系の自由振動
5.公差の表し方
(6)1自由度系の強制振動
6.表面性状の図示方法
(7)2自由度系の自由振動
7.製図の基礎演習
(8)2自由度系の強制振動および動吸振器
8.ボルト・ナットの製図
9.歯車の製図
材料力学
10.シャフトの製図
材料力学において取り扱う工学問題へのオリエンテー
ションの後、棒の引張り、はりのたわみ、単純せん断な
どについて学び、構造物の設計と強度解析の理論および
11.組立図
基礎電子回路
実際への入門とする。
自動車システムは、そのほとんどが電子制御により成
1.材料力学入門
立している。本科目は電気電子回路の基礎的な意味を説
2.力およびモーメントの釣り合い
明できるようにするともに、回路網計算ができるように
3.はりのたわみ
なることを目的とする。
4.単純せん断と円形断面棒のねじり
1.直流と交流の定義
2.回路図記号とオームの法則
熱力学
3.電力と電力量
熱と仕事、理想気体の法則、エネルギー保存の法則、
4.電位差と電圧降下
エンタルピーの概念、及び熱機関、ヒートポンプなどの
5.回路網を解くためのキルヒホッフの法則
エネルギー変換システムの原理を理解するための基礎理
6.過渡現象(RC 回路、RL 回路)
論について講義する。
7.発電機による正弦波交流波形と瞬時値の式
─1─
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創造工学部自動車システム開発工学科
8.複素インピーダンス、大きさ(実効値)と位相角
トロピーの概念などについて講義する。
1.理想気体の状態変化
機械要素
2.理想気体のサイクル(カルノーサイクルなど)
各種の機械要素について種類、構造、機能、設計の基
3.混合気体の性質
礎を材料力学その他の力学に基づき講義する。さらに自
4.実在気体の性質
動車の構成要素を実例として引用し、機械要素設計およ
5.熱力学の第2法則とエントロピー
びシステム設計に必要な知識を修得する。
応用流体力学
1.設計の規格、精度表示法
2.自動車の設計開発と製造の現状
流体力学に続き、自動車システム開発工学の基礎とな
3.軸受
る力学系科目の一つである。応用流体力学ではより実用
4.摩擦伝動装置、捲掛け伝動装置
に近い流れ現象を対象とし、以下の項目について学習す
5.歯車
る。講義ではデモ実験やアニメーション・プログラムな
6.軸と回転伝達要素
どを交えて、流れの理解を助ける。
7.ばね
1.運動量の法則
8.制動・調速装置
2.管内の流れ(管内流のエネルギー損失)
9.締結要素
3.物体のまわりの流れ(抵抗、揚力、渦)
マルチボディダイナミクス
自動車システム工学実験
機械力学で得られた知識を前提とし、その一部を復習
自動車システム開発工学科における実験の基本的な諸
しながらさらに進んだ機械振動学の下記の事項について
手段の修得と講義科目の補助を目的としている。グルー
学ぶ。
プ単位で、引張りと曲げ、エンジン冷却用ラジエータの
(1)スカイフックダンパ
性能、管摩擦係数の測定、タイヤ力、基礎電子回路、お
(2)振動制御(アクティブサスペンション)
よび振動実験等を実施し、レポート提出を行う。これら
(3)動粘性吸振器
を通じて総合的な学習効果を期待している。
(4)多自由度系の振動
自動車エンジン工学
(5)ラグランジュの運動方程式
(6)拘束のある場合の運動方程式
講義前半は自動車用エンジンの基本構造について、後
(7)非線形振動(自励振動、係数励振振動)
半は主に性能評価をする上で必要な工学・力学を中心と
(8)不規則振動
した2部構成となっている。
エンジンの基本構造を学び、その作動原理と特徴を理
材料強度力学
解する。また基本的な性能評価指標などを学び、出力、
材料力学に続き、弾性力学および強度設計工学の基礎
燃費、効率、燃焼、排気特性などの性能をどのように解
を学ぶ。
析するかを理解するとともに、熱力学・流体力学などの
主な事項は以下の通り。
基礎工学が実際にどのように活用されているかを習得
1.弾性力学の基礎
し、各種サイクルの性能計算ができる。更に講義では最
応力と釣り合い方程式、ひずみと変位、構成方程
新のエンジン開発事例なども紹介しながら、燃料、排出
式、内圧を受ける円筒
ガス、燃費などの環境エネルギー問題に対する今後の自
2.強度設計工学の基礎
動車対応技術についても言及する。
疲労、塑性崩壊、座屈等の破壊様式と構造健全性
熱力学、応用熱力学などの基礎を十分理解しているこ
評価法
とが受講の前提となる。
応用熱力学
自動車用材料学
前期科目の熱力学の総復習も行いつつ、更に混合気体
全ての機械部品に使用可能な万能な材料はない。材料
の性質、実在気体の性質、理想気体が状態変化(等温、
の特性を理解し上手く使いこなすための知識及び考え方
定圧、定積、断熱)した際の熱と仕事および内部エネル
を学び、自動車関連技術者として必要な材料の知識を身
ギーの関係、理想気体のサイクル(カルノーサイクルな
に付け実務に役立てるようにする。自動車に関連する材
ど)および熱効率と成績係数、熱力学の第2法則とエン
料に焦点を当てながら、金属材料、セラミックス材料、
─2─
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創造工学部自動車システム開発工学科
高分子材料の分類・特性・機能・製造プロセス、及び、
応用例を解説する。
の調律
3.回転機械のつりあい:プロペラシャフトの危険速度
は?つりあわせ法
伝熱工学
4.往復機械の力学:ピストン、クランクの発生する力
「熱力学」と「応用熱力学」では熱エネルギーの形態
とバランシング。直列6気筒とV型8気筒はどちら
変化と移動方向についての知識を学ぶが、熱機関や環境
機器の高性能化と小型化のためには熱の移動する速さの
がよいのか?
5.音の計測:音の三要素、大きさの単位 dB、スペク
知識が必要となる。「伝熱工学」では、物質間を移動す
る熱エネルギーの移動現象の基礎原理と伝熱の速度につ
いて講義する。
トル、音質
6.音波の性質:伝播、透過、反射、吸収、放射、回折
カーエアロダイナミクス
1.放射伝熱
2.熱伝導
流体力学および応用流体力学の理解を前提として自動
3.熱通過
車におけるさまざまな流体力学的な諸問題について講義
4.熱交換器
を行う。おもな項目は以下の通りである。
5.対流熱伝達
1.自動車の空力性能(空気抵抗、ダウンフォース)
5.
1 自然対流熱伝達
2.内部流とエンジン冷却
5.
2 強制対流熱伝達
3.自動車用風洞
4.自動車における流体計測
電気自動車システム工学
5.自動車における流れの可視化
今、自動車はエネルギ源が変わるという 100 年に1度
6.自動車の空力騒音
の変換点にある。エネルギの変更は単なるエンジンから
7.自動車の数値流体解析
モータへの動力源の置換えではなく、インフラ、交通シ
ステム、都市、産業構造までも変えるポテンシャルを持
カーエレクトロニクス
っている。
カーエレクトロニクスは、自動車内のシステムをネッ
ここでは自動車の電動化という社会的な潮流を生み出
トワークでつないで緻密に計測制御することのみなら
した背景(エネルギ、地球環境、都市環境、移動ニーズ
ず、インテリジェント化された自動車がインターネット
の多様化)について具体的な事例を交えながら解説し、
に接続され、ITS へと広がり続けている分野である。前
変革の歴史と今後の発展課題について講義する。
半の項目では、
その入門編について講義を行うものとし、
次にその電動化を実現するために開発された要素技
後半では、電子回路の基礎的な計算法について講義する
術、システムの考え方について論じる。
予定である。
更に電動化がもたらす将来の可能性と必然性について
1.カーエレクトロニクスとは
共に検討を行い、自動車システムの将来像について新し
2.エンジンの電子制御
い視点を身につけることを目指す。
3.コモンレール・システム
4.アンチロック・ブレーキ・システム
車両音響・振動システム
5.ITS
この講義は、自動車、洗濯機、飛行機、などの機械シ
6.トランジスタ
ステムの振動と音響を解析あるいは予測し、安全かつ静
7.オペアンプ
粛な運転が可能となるデザインができる技量を身につけ
8.論理回路
ることを目的とする。スタティクス、ダイナミクス、機
械力学はこのための基礎として十分に理解されているこ
コンピュータ概論
コンピュータを使って、文書作成やプログラム開発で
とを履修の前提条件とする。
必要なハードウエア、ソフトウエアについて講義し、そ
講義内容
の演習を行う。
1.多自由度振動:パワープラントの防振支持、エンジ
ンシェイク、アイドル振動
(1)ファイルの構造とその扱い方
(2)USB ポートとそれらに接続される外部デバイス
2.連続体の振動:弦の振動、棒の縦振動、ねじり振動、
梁の曲げ振動、車体構造、メンバーの振動例、楽器
(3)マルチコア CPU とその特徴
(4)LAN とその利用方法
─3─
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創造工学部自動車システム開発工学科
(5)コマンドを使ったコンピュータの操作
C ++ 言語
(6)仮想記憶装置とその効率的な使用法
Windows や UNIX などのオペレーティング・システ
コンピュータプログラミングⅠ
ムで工学の問題などを解決するためによく使われている
コンピュータの初心者を対象に、コンピュータでプロ
C ++ 言語の基本を平易に解説する。具体例や演習問題
グラムを作成する上で必要な知識、操作方法およびプロ
を多く入れ、C ++ 言語の特徴であるオブジェクト指向
グラミングの基本事項を講義および演習を行う。
について講義する。演習問題、実習を含めて、その理解
(1)Windows OS とその基本操作
を深める。
(2)
コマンド・プロンプトを利用したコンピュータ操
作
数値解析
(3)エディターによるプログラムの入力・編集
自動車システム開発工学上の問題をコンピュータで数
(4)簡単なプログラム
値的に解く場合に必要となる数値解析の基礎的な事項を
(5)IF 文や DO 文の使用法
講義する。さらに一人1台のパソコンを用いた実習によ
(6)配列の使用方法
り計算中に生ずる誤差などを体験し、講義した内容の理
(7)
FUNCTION 文 や SUBROUTINE 文 に よ る プ ロ
解を深める。
(1)誤差解析
グラム分割
(2)数値積分法
(8)文字列、数学関数
(3)代数方程式の解法
コンピュータプログラミングⅡ
(4)連立1次方程式の解法
この科目は、コンピュータプログラミングⅠに続くも
(5)常微分方程式の解法
ので、コンュータプログラミングのより進んだ基礎を学
(6)最小自乗法と補間法
ぶ。コンピュータプログラミングの様々な手法を C 言
語を通して学ぶ。C 言語は、次期学習する C++ 言語の
モデリングとシミュレーション
基礎となる言語であり、Java 言語、Objective C 言語の
複雑に絡み合った自然現象の中から注目する現象を抽
基盤となる言語である。工学の様々な基本的な問題にた
出して等価なモデルを構築し、数学モデルを導いてこれ
いするプログラミングの実習を通して、プログラミング
を解き、結果を考察するというテクニックはエンジニア
の理解を深め、プログラミングのより進んだ基本技術を
リングの基本である。この解析手法を深く理解してエン
習得することを目標とする。
ジニアとしての素養を高めるため、さまざまな分野(物
(1)Visual Studio とその基本操作
理、生物、経済、社会)で使われているモデルを紹介し、
(2)簡単なプログラムの書き方
それをコンピュータで解くためのシミュレーションテク
(3)For 文、while 文、if 文によるプログラムの制御
ニックのいくつかを講義する。
(4)数値の配列や文字列の使用方法
計算力学
(5)構造体およびその要素の利用法
(6)関数の書き方、再帰的関数
工学・物理現象をコンピュータを利用して解明する計
(7)数学関数、各種関数
算力学の入門を行う。熱力学、機械力学、材料力学など
の分野において、物理的には全く異なる現象にアナロジ
コンピュータの言語および演習
ーを見いだし、統一的に扱う方法を理解し、修得する。
コンピュータ言語を使いわかり易く、使い易いプログ
1.計算力学入門
ラム作成をできるように、プログラム要素の使用方法や
2.連立一次方程式
よく使われる計算手法(アルゴリズム)について講義し、
3.最小原理
それらを使った演習を行う。
4.離散モデル
(1)条件文、反復計算(最大値、平均の計算)
5.固有値とその応用
(2)配列を使った多数のデータの計算(行列計算)
6.1次元連続モデル
(3)関数に分割した大きなプログラム作成
7.2、3次元連続モデル
(4)高度な数学関数の使用方法
(5)文字を使った使いやすいプログラムの作成
(6)コメントをわかり易いプログラムの作成
コントロールシステム
コントロールシステムは、ある目標を定めて、システ
─4─
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創造工学部自動車システム開発工学科
ムがその目標に収まるようにすると言うフィードバック
習では Web 技術の基本的な考えとホームページの作成
が基本的な考え方である。例えば、ロボットアームの位
に必要な知識の取得を目的に HTML と JavaScript を使
置制御、自動車のアクティブコントロールなどがあげら
用した実習を行う予定である。本実習を通して、各自が
れる。コントロールシステムの概念は、工学をはじめと
Web 技術に興味を持ち、自ら工夫して様々なホームペ
して、生産システム、社会システム等あらゆる分野で応
ージの作成にチャレンジして欲しい。
用されている。本講義では、コントロールシステムの基
本的な考え方を理解することを目的とし、古典制御理論
自動車開発プロセス概論
を中心に講義する。数式を多用するが、
例題を多くして、
自動車は多くの部品からなるシステムを顧客の嗜好、
わかりやすく解説する。
社会要求(安全性、環境)に合わせて新技術とデザイン
を開発し、高品質を確保しながら、安価なコストで短期
インテリジェント工学
間に商品化していかなければならない。
インテリジェント工学では、メカニズムを制御するハ
このため自動車の開発は多くの人がかかわる巨大なシ
ードウェア機器と制御システムについて講義する。制御
ステムエンジニアリングとなる。この自動車開発のプロ
理論の詳細については、コントロールシステムで説明す
セスを意思決定、商品企画、デザイン、車両開発、部品
る。
開発、生産、販売までの一連の流れと、更にプロジェク
本講義では、総論・概論は避け、実際に使える技術を
トの進め方について講義を行う。本概論により自動車と
身に付けてもらうことを目的としている。そのため、重
いう複雑なシステム開発の全体像を理解する事を目指
要なポイントに、極力、的を絞り、最短コースで講義を
す。
行う。
具体的には、直流モータを用いたフィードバックシス
製品企画・マーケティング
自動車に代表される高度な機能を求められる道具を開
テムを説明する。
発するには明確な目的、
目標を定めなければ意味がない。
自動車制御プロセッサ
その入り口となるのが製品企画・マーケティングである。
現在の自動車には 100~200 個程度のプロセッサが使
技術者の一方的な「作る」という発想だけで出来上がっ
われているといわれている。これらプロセッサの共通な
た製品では市場に通用しない。常に顧客のニーズ、ウォ
特徴を説明すると同時に、重要な役割を果たすプロセッ
ンツの視点に立って開発をすべく心がけるべきである。
サの説明を行う。自動車に使われている4ビット、8ビ
本講座では、製品企画・マーケティング活動における
ット、16 ビット、32 ビットなどプロセッサの種類や
技術者の役割、視点はどうあるべきかを軸に、実例を交
TTL などの電気的特性を説明する。
えながらマーケティング、デザイン、製品づくりの考え
プロセッサのアーキテクチャー、
命令等の説明を行い、
方、アプローチ手法等、基本的な概念を理解する。
プログラミングの作成法を講義する。これらのプロセッ
後期「自動車・製品デザイン計画」と関連性が高いの
サ用の OS の考え方、ハードディスク(SSD)の管理、
で両科目の履修が望ましい。
メモリ管理、プロセス・スレッド管理の理解を深める。
OS で利用され、制御を容易にさせる割り込み機能につ
自動車・製品デザイン計画
〔この科目を履修する前に「製品企画・マーケティング」
いても講義する。
を履修しておくことが望ましい〕
データ通信システム概論
人間が使うモノや自動車をデザインするには、利便性、
インターネットの急速な進展に伴い、データ通信シス
安全性、環境性、経済性等をロジカルにまとめていくこ
テムは現代社会に不可欠な存在になっている。また、現
とが大変重要です。しかし、これだけでは新規性のある
在構築が進められている NGN(Next Generation Net-
魅力的な製品をデザインしたことにはなりません。技術
work)により、情報ネットワークは大きく変わろうと
的に優れ品質の良いものを作れば消費者は買ってくれる
している。このような状況の中で、本講義はデータ通信
という時代はすでに過去のものです。社会や人々の生活
システムを支えている情報ネットワークの基本的な考え
を豊かに洗練されたものにするためには、美しく快適で、
方の修得を目的に行う。そのため、学内ネットワークの
人に優しいモノ作りがなされなければなりません。その
見学と実習を交えて行うことにより、情報通信技術の基
ためには機能性等ロジカルな思考に加え、いかに消費者
本である OSI の7階層モデル、インターネット、LAN
の感性に訴えるものを融合し創造するかがポイントにな
の仕組みについて理解してもらう予定である。特に、実
ります。
─5─
3.専門教育 専門基礎・専門
創造工学部自動車システム開発工学科
本講座では機能性に裏付けされた美しさである機能美
造などの溶解加工、塑性加工などの変形加工、切削加工
とは何か、感性に訴える形とは何かを実際にモノをデザ
などの除去加工、溶接などの接合加工について、加工原
インする中から学び取ることを目的とします。
理および加工現象について講義する。さらに自動車製造
オートモーティブエンジニアリング
への適用例について解説する。
自動車を機械システムの代表例として工学的に取り上
げる。研究開発時に必要な技術知識を、その構造、性能
自動車生産システム
等の面から、基礎的事項及び応用事項について示す。講
自動車製造工場を構成している生産システムについ
義の項目は下記のとおり。
て、生産機器として使用される、NC 加工機(切削工作
・自動車の歴史と自動車産業の発展
機械、放電加工機、プレス等)
、産業用ロボット(溶接、
・自動車の規格、設計、生産
組立、塗装等)の解説を行い、合わせて制御のためのプ
・エンジンの性能と排気ガス低減
ログラミングの解説と演習を行う。さらに生産システム
・車両の設計、試作、性能評価
の自動化と統合化のための考え方について講義し、ビデ
・動力伝達系と動力性能
オを用いて実例を見ることにより、
理解を深める。また、
・制動装置とブレーキ性能
CAE/CAD/CAM についても解説を行う。
・予防安全
自動車開発プロジェクト基礎
・事故時の安全
・車両運動性能
自動車システムや各種の製品等を企画立案・開発・設
・サスペンション、ステアリング系と運動性能
計し、それらを完成させる能力を身につけることは重要
・振動乗り心地、騒音
である。これらを実践するための準備として本科目が開
・構造強度と耐久信頼性
設されている。自動車システム開発工学科の各担当教員
・カー・メカトロニクス
の下で、設定された課題に対してグループでプロジェク
・インテリジェント交通・輸送システム
トを進めていくために必要な基本的な項目を講義を交え
ながらフレーム構造等の具体的対象について企画・設計・
機械設計
製作などを行う。プロジェクトでは学生による自主的な
自動車システム設計の一例として一段歯車減速機をと
活動が重要な要件となるので、その活動方法などを簡単
り上げ、各自に与えられた仕様に対して、材料の熱処理
な課題を通して修得する。また、教室等で学習する工学
を考慮した要素の強度計算から組立図及び部品製図まで
の基礎との関連を理解するとともにそれを効果的に活用
を通して設計・製図法を体得する。
する方法を体験的に学習する。
1.歯車の形状選定
自動車システム工学プロジェクトⅠ
2.軸の強度設計の基礎
3.入出力軸の設計・キー及びキー溝の設計
システム(各種の製品等)を企画・開発・設計し、実
4.軸受の設計
際にそれらを完成させる能力を身につける場として、前
5.はめあい・バックラッシの設計
期の自動車開発プロジェクト基礎に引き続き、本科目が
6.組立図
開設されている。3年次に配当されている本格的な自動
7.3D-CAD ソフトウェアの概要
車開発プロジェクトⅠ、Ⅱを実行するための基本的な能
8.部品図
力と思考力を身に付けることを目的としている。そのた
め、工学における基本的な実験・計測を行い、実験およ
加工の力学
び解析手法を修得する。さらに、課題テーマに対して簡
加工の基礎となる力学、特に塑性力学について学ぶ。
単なプロジェクトを進めていく。調査と工学的な検討を
1.材料の弾塑性挙動
加え、活動を行い、目標達成を目指す。学生による自主
2.曲げにおける塑性変形
的な活動が求められる。選択科目ではあるが、自動車シ
3.ねじりにおける塑性変形
ステム開発工学科における基幹となる科目であるので、
4.応力と座標変換、主応力と最大せん断応力
本自動車システム工学プロジェクトⅠおよび2年次以降
5.降伏条件
の自動車システム工学プロジェクトⅡ、自動車設計プロ
ジェクト、自動車開発プロジェクトⅠ、Ⅱを全員の学生
自動車のための加工学
が履修することが望ましい。
弾性・塑性・破壊について力学的基礎を学んだ後、鋳
─6─
3.専門教育 専門基礎・専門
創造工学部自動車システム開発工学科
よっては全員対応できるとは限りません。そのために卒
自動車システム工学プロジェクトⅡ
研配属の際は改めて配属研究室の希望を取ります。
自動車システム開発工学科では、システム(自動車を
含む各種の製品等)を企画・開発・設計し、実際にそれ
自動車開発プロジェクトⅡ
らを完成させる能力を身につけることは重要である。こ
自動車開発プロジェクトⅠに引き続き、各研究室の下
れらを実践する場として、プロジェクト科目が開設され
にチームで車両(移動体)の企画・開発・設計・製作を
ている。
テーマとして活動を行います。自動車開発プロジェクト
本科目では、自動車を題材にして工学の基礎について
Ⅰと同様に、プロジェクトテーマを自主的に遂行しても
その本質を理解するという観点から座学と実験・実習を
らいます。プロジェクト管理能力や自主性・自立性はさ
行う。後期の自動車設計プロジェクトと合わせて、自動
らに高い水準を求められます。また、後半は車両の具体
車の基本的な概念の理解と応用を身につけ、3年次の自
的な製作段階に入るため技術的な面においてもより高度
動車開発プロジェクトⅠ、Ⅱへとつなげていくことを目
の専門知識と能力が求められることなります。
的としている。一方的に授業を受けるという姿勢ではな
成績は自動車開発プロジェクトⅠと同様にレポート、
く、自ら考え、工夫し、グループで共同して活動を進め
取り組み状況および授業終了時の成果発表会の内容をと
ることが求められる。
おして評価します。
なお、完成した車両の走行会は次年度初頭の4月上旬
自動車設計プロジェクト
に改めて実施します。
〔「自動車システム工学プロジェクトⅡ」の単位を修得し
この授業は自動車開発プロジェクトⅠと共に通年をと
ていることが望ましい〕
おして実施されるものであり、さらに4年次の卒研につ
自動車システム工学プロジェクトⅡに引き続き、自動
なげることを基本に考えていまが、状況によっては全員
車設計プロジェクトでは自動車開発を前提にしたテーマ
対応できるとは限りません。そのために卒研配属の際は
設定をして工学の基礎についてその本質を理解するとい
改めて卒研配属の希望を取ります。
う観点から座学と実験・実習を行う。前期の自動車シス
テム工学プロジェクトⅡと合わせて、自動車の基本的な
概念の理解と応用を一通り身につけ、自動車開発プロジ
工場見学
(CAP 外科目)
ェクトⅠへとつなげていくことを目的としている。その
夏休み期間中に工場見学を実施する。企業内で、もの
ため、自動車システム工学プロジェクトⅡと同時に履修
が生産される現場を見学し、講義などで得られる知識が
してほしい。
一方的に授業を受けるという姿勢ではなく、
現場でどのように活かされているかを理解するよい機会
自ら考え、工夫し、グループで共同して活動を進めるこ
となる。見学は最初に会社の来歴、生産品目、生産工程、
とが求められる。
研究開発などの説明があり、実際の見学に移り、会議室
等に戻って質疑応答の時間が用意されている。今後の進
自動車開発プロジェクトⅠ
路を選ぶ上で参考にもなる。
1年次の自動車開発プロジェクト入門から2年次の自
工場見学前には調査活動を行う。見学終了後には見学
動車設計プロジェクトまでの授業で培ってきた学習の成
内容をまとめる。それぞれをレポートして提出する。
果の集大成の場として後期の自動車開発プロジェクトⅡ
と併せて位置付けられています。受講生が研究室を選択
海外自動車工学研修
したうえで、その研究室の専門性を活かした内容で求め
国際人としての素養を身につけるため、約2週間海外
る目標に向かってチームで取り組んでもらいます。その
の大学に滞在し、自動車工学の基礎を学ぶ。現地では、
ために、管理能力や自主性、自立性をはじめとしたチー
1クラス 10 名程度に分けて少人数教育を行う。半日程
ムとしての視点や動き方が今まで以上に求められます。
度の工場見学を含み、自動車工学の基礎を一通り集中講
技術的な面においてもより高度の専門知識と能力が求め
義形式で行う。機械要素、自動車工学、英語の基礎はあ
られます。具体的には「人が乗れて、走る・曲がる・止
る程度事前に身につけておく必要があるが、詳細は担当
まることができる車両(移動体)の設計・製作を行いま
教員に相談すること。
す。成績は中間レポート、取り組み状況および授業終了
滞在大学の成績と、帰国後の報告書および報告会によ
時の成果発表会の内容をとおして評価します。
り成績評価を行う。
この授業は後期の自動車開発プロジェクトⅡと共に4
年次の卒業研究につなげることを基本とするが、状況に
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3.専門教育 専門基礎・専門
創造工学部自動車システム開発工学科
輪講
輪講は卒業研究と平行して、卒業研究の指導教員のも
とで行われる。卒業研究に関連する文献調査、原書の講
読、各種問題の解析演習、技術文書の作成、プレゼンテ
ーション、討議等を通して、技術者・研究者として不可
欠な総合的な基礎力を養う。
卒業研究
〔「卒業研究履修の資格」
(履修要綱中に記載)に合致し
ていること〕
卒業研究では諸君はそれぞれ希望する研究室に所属
し、卒業論文担当教授のもとで一年間ある特定の研究テ
ーマについて、論文や実験による検討、ソフトウェア開
発、装置製作等を行うことによって問題点を見出し、解
決をめざすことになる。それによって、諸君の主体性と
創造性が育まれ、実社会あるいは、大学院において未知
の問題に直面した場合にも冷静に対応する力を養うこと
ができよう。また、研究のまとめ方、報告書の作成の方
法、発表の技術を身につけることも、主要な目的の一つ
である。
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