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<受胎率向上作戦、若狭牛の哺育・育成作戦> 嶺南家畜保健衛生

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嶺南家畜保健衛生センター
TEL、FAX 0770(45)0190
平成 17 年 1 月号
No.7
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
最近、
「お客さま本位とコンプライアンス(法令遵守)の徹底」などというように、コン
プライアンスという言葉をよく耳にします。コンプライアンスは、法令遵守と訳されます
が、それとは異なるニュアンスがあるようです。法令自体には違反しなくても健全な社会
的存在として「することが適切でないことを行わない」という「企業倫理」に似たものが
あるようです。三菱自動車のリコール隠しや、大手食肉会社による牛肉の偽装は、コンプ
ライアンスの精神から大きく逸脱した例で、世間から大きな批判を受けました。皆様方に
おかれましては、昨年は家畜排泄物法の完全施行にともない、多くのご苦労があったこと
と推察いたします。畜産を営む上で色々な制約がありますがここでも、
“コンプライアンス
の徹底”という気持ちがあれば、現状の問題点が洗い出され、自然な形で“飼養衛生管理
基準”の遵守や“農場 HACCP”の導入が進むと思います。消費者はどういった牛乳に価
値を求めているのかといったことを常に意識して生産活動を行うことが国内の酪農産業の
存続と発展につながると思います。皆様のご多幸と益々のご健勝をお祈りいたします。
<受胎率向上作戦、若狭牛の哺育・育成作戦>
牛に対するストレス要因について連載をしているところです。今月から、しばらく給
与飼料についてまとめるつもりです。このテーマについては、子牛の哺育・育成と共通
した内容でもあるので見出しのタイトルとしました。これまでに連載した施設環境と異
なり、明日からでも変更が可能な事項ですので、皆様も興味のあるところだと思います。
基本を十分理解した上で、給与方法、メニューの改善を図って頂きたいと思います。
∼牛の“消化のしくみ”について∼
酪農においても、肥育においても給与内容を見直し、変更を行うことがあります。
“飼
料の急変”にならないように状態をみながら徐々に切り替えたつもりですが、なかなか
効果があらわれないことがあると思います。もとの給与内容に戻したが牛の調子は悪く
なったままの時、皆さんはどう判断されるでしょうか。変更した飼料内容が良くなかっ
たとだけ考えるのは短絡過ぎます。粗飼料(購入飼料でもヘイキューブ、スーダンはロ
ットによって硝酸塩濃度が異常に高いことがあります。
)の品質、設定した給与量と実際
の給与量とのズレ、暑熱等の環境要因など多くの原因があります。その中から正しい推
理によって原因を絞っていくことが重要で、その為には、正確な知識が必要となります。
ですから、牛の飼養管理については正しい知識をもって望んで欲しいと思います。原理
原則を押さえている方の経営は、対応が正確で経営が安定しているものです。ごく基本
的なところから入りますが、人間とは全く異なる「牛の消化のしくみ」について押さえ
ておきましょう。
一般の方に対する牛の説明では、決まって“牛には胃が4つあって、一番目の第 1 胃
は成牛でドラム缶 1 個位の大きさがある”という言い回しがあります。牛には、この第 1
胃(ルーメン)の存在により、炭水化物とタンパク質の消化については、人間と全く異
なるしくみとなっています。人間では炭水化物(主にデンプンや糖)は小腸で消化され
ブドウ糖(グルコース)として吸収されるのに対して、牛ではデンプン、糖や繊維はル
ーメンで酸に分解され、そのままルーメンで吸収されてエネルギー源や乳脂肪の素にな
ります。また、タンパク質については、人間では胃や腸で消化をうけて、アミノ酸とし
て小腸から吸収しますが、牛では、多くのタンパク質は、ルーメンで一旦、アンモニア
にまで分解された後、アンモニア利用菌により細菌のタンパク質に再合成され、第 4 胃
以降で人間と同じ消化吸収をうけます。
乳牛・お産の手引き、122 ページの図
掲載
それでは、牛の炭水化物の消化についてもう少し詳しく見てみましょう。
∼牛の炭水化物の消化について∼
●牛が利用できる炭水化物は、でんぷん、糖、繊維。
人間の腸には腸内細菌がいる様に、牛のルーメンには多くの細菌や原虫が住みついて
います。ルーメンに存在する細菌や原虫は食物繊維を消化することができます。牛にと
って繊維は、炭水化物として利用されます。
●炭水化物の消化により作られる物質は 3 つの酸。
ルーメンでの発酵、消化により、炭水化物からは、酢酸、プロピオン酸、酪酸という 3
種類の VFA(揮発性脂肪酸)が作られます。
●炭水化物は、非繊維性炭水化物と繊維に分けられます。
牛の栄養学では、炭水化物のうちデンプンや糖の部分を NFC(非繊維性炭水化物)
、
繊維の部分を NDF(中性デタージェント繊維:総繊維のこと)に分けて考えます。
●NDF は NFC に比べて、消化率が低く、ゆっくりと消化されます。
NDF は、ルーメンの中でルーメンマットを形成して、ゆっくりと消化されます。ルー
メンマットとは、ルーメン微生物のすみかとなる繊維のかたまりで、形成が十分でない
とルーメン内の微生物が少なくなります。ルーメン微生物の減少は、消化率の低下や異
常発酵の原因になります。NDF からは主に酢酸が作られます。
乳牛・お産の手引き、123 ページの図
●NFC は急速に発酵し、多くの有機酸となります。
NFC は、ルーメンの中で急速に微生物の発酵を受けて、乳酸となります。正常な発酵
が営まれている場合では、乳酸はプロピオン酸となり、エネルギー源として有効に利用
されます。しかし、一度に大量の乳酸が生成された場合には、急激なルーメン内の pH の
変動や、強い酸性化により、ルーメン内の有用な微生物が死んでしまいます。発酵異常
により、色々な障害が出てきます。
●微生物蛋白を作るときに NFC が必用となります。
ルーメン内で微生物の働きにより、アンモニアから微生物蛋白が合成される時に NFC
が必要となります。このことについては、大切なことなので、来月号で詳しく説明しま
す。
●炭水化物の消化により作られた VFA は、ルーメン粘膜から吸収されます。
∼来月は、タンパク質の消化についてまとめます。∼
昭和 30 年代後期から 40 年代初期にかけてのことです。過肥により、産前、産後に起
立不能になった乳牛が、肥育和牛の値段で売れた時期があったことを伺いました。その
方は、搾乳牛の飼養管理理論から、大きく反れた管理ではありましたが、ご自身の信念
を貫き、その後も経営者として成功を収められました。この事例で大切なことは、この
経営者は、
“生産性”という観点から価値判断ができたということで、経営理論としては
合っていたという点です。時代を見据え、大局的に物事の判断ができたということでし
ょう。
現在の畜産情勢は、BSE の発生という困難を乗り越えた後の福音といったところでし
ょうが、経営を続けていれば今後も試練は訪れることと思います。困難をいかに克服す
るかが経営です。状況をよく見極め、大胆かつ柔軟に対応していただきたいと思います。
さて、11 月の三県合同子牛市場は、平均価格が去勢で 49 万円、雌で 39 万円と予想ど
おり高値取引となりました。本年も ET を通じて皆様の経営をサポートできることを切実
に願っております。
<河合 隆一郎>
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