Automotive Report

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Automotive Report
1/18-2012
【オートモーティブワールド2012】
Tokyo Big Sight
リードエグジビション主催で国内外の⾞両メーカートップが最新⾃動⾞事業の進捗について基調講演と海外戦略(中国、イ
ンドネシア、ブラジル)のプレゼンテーションを⾏ったのでその概要をレポートします。
●基調講演
1、「激動の⾃動⾞業界とカーエレクトロニクスへの期待」 トヨタ⾃動⾞ 常務役員 吉田 守孝氏
「激動の⾃動⾞業界とカーエレクトロニクスへの期待」と題して、現在業界が直⾯する課題、環境・安全問題への対応、商
品⼒向上の⽅向性、カーエレクトロニクスの課題と今後への期待を語った。
◆業界が直⾯する話題については、先進国から新興国へのシフトという、市場構造の変化を挙げた。
日欧米の先進国市場は、21 世紀に入ってからは成熟と言える状況にあり、販売台数が増大しているのは主として新興国
市場である。
この新興国市場では、先進国市場とは異なるアプローチが必要である。
それはインドで 2011 年発売した『エティオス』は、日本円で約 100 万円と、我が国では低価格⾞のジャンルだが、現地では⾼
級⾞である。こうした状況に対応するために、企画や開発、調達、⽣産の現地化を進めるとともに、コンポーネンツは共有化
とし、デザインやパッケージングとの『すり合わせ』によって、コストとバリューの両⽴を目指してゆく。
◆環境問題への対応では、⽯油代替燃料にはそれぞれ課題があることから、当⾯は⽯油が主流になる⼀⽅で各国の燃費
規制は年々厳しくなってきている。
内燃機関や EV、FCV などさまざまなパワートレインの開発を進めながら、次世代環境⾞の本命として HV/PHV を位置づけ
る理由のひとつである。
しかしその HV/PHV についても課題は⼭積している。燃費規制をクリアするためには次世代環境⾞の普及が必要であるが
ただ燃費を良くすればいいということではない。
二次電池については究極的には「Sakichi battery」
創始者 豊田佐吉さんが提唱した「100 ⾺⼒で 36 時間運転で
き、重量 225kg」というものを目指す。しかし当⾯の課題として全固形電池(電解質などの液体を使っている)ではエネルギ
ー密度、重量低減に限界があり、次のステップは空気電池である。その電池は現在のプリウスαに使っているリチウムイオン電池の
1/5 の容積に出来る試算がある。
また半導体(パワー MOSFET)については、現在使っているシリコン IGBT の性能は理論限界(1000Volt パワーに耐えな
い)に迫っており、SiC(炭化珪素?)や GaN(窒素ガリウム?)への転換を図る時期に来ている。
◆今後、トヨタ⾃動⾞が目指す⽅向性として PHV を考えている。それはユーザーに従来の⾞と違和感を感じさせずに運転感
覚を提供出来るからであるが、その⼀⽅でトヨタは HV も進化させている。
「プリウス」より安価で燃費も良い「アクア」の登場は、グローバル的な視点で⾒ても必然であり、JC08 モードで 35km/L 以
上、誰が運転しても実燃費でも 30km/L 以上という数字は、電池や半導体の進化によってさらに HV の性能は伸びる可
能性があることを示唆している。
◆安全問題に関しては、世界的には交通事故死者数は増加しているものの、日本においては幸い減少に転じている。しか
し日本における死亡事故の原因を⾒ると、認知・判断・操作といった⼈間系のミスが半分以上を占めている。トヨタはここに
注目し、今後は衝突安全だけでなく予防安全対策が重要になってくると考えている。スバル、ボルボが商品化した衝突回避
ブレーキについても、導入に向けて研究を進めている⼀⽅、PCS の進化系というより ITS でもある⾛路逸脱事故を防ぐことも
⾃動⾞メーカーの責務である。
◆続いて商品⼒の向上に関しては、「FUN TO DRIVE, AGAIN」のキャッチコピーで象徴される、操る楽しさの実現、⽣活
や社会と「ツナガル」ことによる新しい価値の創出を挙げた。前者については 4 輪アクティブステアシステムなどの電⼦制御技
術、後者についてはスマートフォンと⾞載情報端末の連携やスマートハウスの実証実験などがそれである。いずれもエレクトロ
ニクスがポイントということになる。
◆そのエレクトロニクスについては、制御構造の大規模化・複雑化や、安全性の向上、グローバル対応という観点から、ソフ
トウェアプラットフォームの標準化が重要である。
現在の⾞は ECU の数は二次曲線的に搭載数を増し、それを制御するシステムラインは複雑化する⼀⽅で製造技術、品質管
理に弊害が出かねない状況である。
そこで今回、ISO26262 という安全確保基準が出来、トヨタはこの基準に則って今後、グループ総体として製品安全に取り
組んでいく。
またすでにトヨタは日産やホンダなどとともに、2004 年に JasPar という標準化組織を⽴ち上げており、欧州組織の
AUTOSAR との間で標準化に向けた取り組みを進めている。
私感;「グローバル」という言葉が随所で聞かれた講演だったがトヨタは、決して日本を⾒捨てたわけではなく、日本が⽣き残
っていくためにはものづくりの⼒が大切で今後も強化するという⽅向性を示していた。期しくも日産⾃動⾞ カルロスゴーン社
⻑と同じことを述べていたのが印象的である。
2、【VW】副社⻑ e モビリティ戦略担当 ルドルフ・クレブス博士
地球温暖化や⽯油資源枯渇のリスクが⾼まっている中、低炭素化はクルマにとって非常に重要な課題である。しかし、
2050 年時点の地球温度を現在⽐でプラス 2 度以内に抑えるためには、CO2 排出量を 90%削減しなければならない。こ
れはクルマが燃料 1 リットルで 100km 以上を⾛れなければならないことを意味しており、達成はとても困難。飛躍的な低炭
素化の実現のカギとなるのが電動化である。
◆脱⽯油・低炭素化は安全と並び、世界の⾃動⾞メーカーにとって、技術開発上の最重要テーマとなっている。電気⾃動
⾞(EV)や⽔素燃料電池⾞が脚光を浴びているのは、その脱⽯油を果たす上で必要不可⽋のテクノロジーだからだ。⽯
油はクルマへの積み込みが簡単でかつエネルギー密度が⾼く、価格も安い燃料であったことから、⻑年クルマを⾛らせる不動
の主役であった。その⽯油以外の⼀次エネルギーを⾒回すと、ガス、バイオマスなど液体や気体の形で内燃機関に使えるも
のはまだいいとして、原⼦⼒、太陽光、風⼒、⽔⼒など、クルマを直接⾛らせるのにはおよそ不向きなもののほうが多い。
しかし、それらのエネルギーを二次エネルギーである電⼒や⽔素に変換すれば、発電のおおもとが何であろうと、均質なエネル
ギーとして利⽤可能となる。電動化技術で世界のトップランナー獲りを狙うことは、VW の将来戦略のなかでもきわめて重要
なテーマとなっている。
現状では EV は価格や性能、充電インフラ整備など、多くの問題を抱えており、⼀般ユーザーへの普及への道筋はまだ⾒え
ていない。
EV の現実を⾒ると、まだエンジン⾞に代わるだけのものにはなっていない。今後 10 年の課題としてハードルが⾼いのは⾼コス
トの解消であるが、問題は他にもある。それは⾼速道路を時速 130km で巡航した場合、EV の航続距離は公称値の半
分以下になってしまう。バッテリーの性能アップ、⾞両各部のエネルギーロス削減などをやっていかなければならない。運転の楽
しさも顧客向け商品としては絶対に⽋かせない。さらに 10 年使った後もクルマとして⼗分に機能するだけの耐久性も必須
で、それらの問題の大半は、バッテリー技術に起因している。
◆EV を普及に導くための良い解決策を提案することは、⾃動⾞メーカーにとってクルマそのものの開発
と同等以上に重要なテーマである。VW は、EV に無理をして今のクルマのような汎⽤性を持たせようとせず、⽤途に応じた
商品ラインナップを作ることだ。
エンジン⾞に置き換え可能な EV ということを考えた場合、コスト、技術の両⾯でベストな選択はプラグインハイブリッド
(PHEV)だと思う。PHEV はバッテリーを純 EV ほど多く乗せる必要がなく、価格も少し安い。いざとなればバッテリー残量を
気にせずエンジンを使って⻑距離を⾛⾏することもできる。⼀⽅、都市内では郊外とニーズが異なる。利便性の点で非常に
有⽤なのは二輪 EV。また、航続距離 50km 程度のコミューターも大きな存在意義を持つ。⽤途に応じて適切なクルマを作
ることが重要
VW グループは純 EV として VW やセアト(チェコ)ブランドで「ブルーe モーション」シリーズ、アウディブランドで「e トロン」などを、
また PHEV やレンジエクステンダーEV では、VW から『ゴルフ ツインドライブコンセプト』、アウディから『A1 e トロン』などを登場
させ、公道テストも開始している。
EV の航続距離制約やコスト⾼をユーザーがどれだけ許容できるかによって、いろいろな特性の EV を選択可能にしようという
発想だ。しかし、それは EV の技術が未成熟である段階での対症療法。
◆電動化技術、バッテリー技術はまだまだこれからレベルを大幅に上げていかなければならない。そのため我々はカッセル、
「?」の 2 拠点で研究開発を推進している。すでにわれわれは乗⽤⾞、SUV などすべての⾞種にハイブリッドカー(HEV)を
展開しているが、さらに⾼性能化、コスト削減を追求する。今後の⽅向性としては、マーケットに適応するクルマを効率よく作
るため、モジュール化という⽅向を目指す⼀⽅で EV の低炭素化のためには電⼒の確保も⾒なければならない。
VW のクリーンディーゼル⾞『ゴルフ TDI ブルーモーション』は Well-to-Wheel(燃料製造時点から消費までをすべて計算し
た値)の CO2 排出量が 1km あたり 111g である。EV は⾛⾏段階ではゼロ・エミッションであるが、欧州モードで 100km
あたり 18kWh を消費する『ゴルフブルーe モーション』を⾛らせた場合の VW の試算によれば、⽯油⽕⼒で 167g もの CO2
が出てしまうという。天然ガスコンバインドでようやく 113g である。
しかし、原⼦⼒だと 7g、再⽣可能エネルギーだと実に 1g で済むという試算をしている。欧州の電⼒のエネルギーミックス?だ
と 2008 年時点で 88g、20 年では 61g を目指す。
⼀⽅、中国は 08 年段階では 184g、20 年でも 140g にとどまると予想。(予想外の中国批判)EV はクリーンエネルギ
ー、とくに再⽣可能エネルギーを使って初めて意味のあるものになると考えている。その推進のためにも⾃動⾞業界はエネルギ
ー⽣産者、政治家、投資家などと協⼒しあうことが強く求められる。
◆
VW の本拠地である EU は、再⽣可能エネルギーを最重視する政策を取っている。そのため将来ビジョンは再⽣
可能エネルギー(風⼒、太陽光など)の技術⾰新速度をやや⽢めに⾒ている傾向があるが、エネルギー変換技術を飛躍
させる発⾒や耐久性を上げる⼯業技術の⾰新が積み重なっていけば、今は非常に使いにくいエネルギーである再⽣可能エ
ネルギーも、いずれ主役になるときが来る。
欧州は夢想的にすぎ、日本は現実的にすぎるというアンバランスを両者の協⼒で解消しあうというのも⾯⽩いのではないか。
⼈類のエネルギーについて、我々は楽観的。世界の砂漠に降り注ぐ太陽光たった 6 時間分が、⼈類が 1 年間?1ケ⽉
間?に消費するエネルギーの総量に匹敵する。(本当かな?)
エネルギー⾃体はすでに豊富に存在している。それをどうやって使うかということが問題。我々は今後何千年もモビリティはサス
ティナブルであり続けると思う。
3、【Ford Motors】エレクトロニクス部門 ダイレクター ナンシー・ギオイア氏
まず、フォードのサステナブル(持続可能性)について解説。環境、経済、社会が連動してその交わるところにサステナブル
があるという概念を示した。
フォードのサステナブルはフォードの企業内に浸透しているとし、フォードの歴史の中で脈々と受け継がれてきた考え⽅であるこ
とを述べた。サステナブル、持続可能性を支える取り組みでは、地球環境を考慮しながら具体的な事業、製品にこれらの概
念を落とし込めるか否かが問われる。
◆
また地球環境の維持、向上に関してポイントとなる⼈口の増加について言及。世界の⼈口は 2050 年には 90
億⼈になると予測されており、この⼈口のうち、中国とインドで 3 分の 1 を占めるという予測である。各国に多くの⼈口を抱え
るメガシティ(⼈口 1000 万⼈以上)が増えていくことは、地球環境の負担になる。
⼈口増加と同時に、⾃動⾞も数量を増すとみる。ここで必要となることは、⾃動⾞の CO2 排出量の低減だという。
地球上での⾞両の増加を踏まえ、⾃動⾞の CO2 排出量は、1km ⾛⾏あたり平均 53g まで低減する必要がある。
環境負荷を低減する⾞両についてフォードは EV(BEV)の導入など、蓄積した技術をすべて投入すると説明。
具体的には、軽量化、駆動⼒の電動化および PHV、EV など⾞両技術の多様化を進めていくという。
CO2 排出量を低減する目的で、電気駆動の⾞両⽐率をあげていくことが必要であることも述べた。
◆
ECOnetic テクノロジーとは、フォードが考える環境負荷低減技術の連携の呼称。
エネルギー回⽣や環境タイヤなど、複数の技術の組み合わせから構成される。
フォードでは、2012 年中に欧州販売⾞両の半分を ECOnetic バッジをつけた⾞両にすることを目指しているという。
『C-MAX ハイブリッド』と『C-MAX E-NERGI』、『フォーカス エレクトリック』のプラットフォームの展開をグローバルに⼀層強
化するという⽅針を示した。
フォードでは、HV は 2004 年から⽣産しており、さらに HV の⽣産は世界 2 位であることを強調。
2020 年には 10〜25%が電気駆動になると⾒込まれており、さらにその過半は HV となると述べた。
HV が世界で浸透すると⾒込んでいる理由については「ユーザーのこれまでの⾏動を変えることがないから」という。HV に続い
て普及するとしたのが PHV だ。
それは(HV に⽐べ)価格は⾼いけれども簡単に充電ができるから。EV はニッチ市場となると予測している。
⾞載⽤二次電池に関してはエネルギー貯蔵と出⼒という能⼒が必要であるが、HV は出⼒が必要、EV は貯蔵
も重要。PHV はその中間である。電池はまだ第⼀世代を使⽤しており、『フォーカスエレクトリック』に使っているも
のがそうである。2020 年までには技術の世代が 2〜4 世代進み、価格、供給体制ともに求めやすくなるはずで、
さらに将来リチウムイオンバッテリーが最終的には現在の燃料タンクほどの大きさになるとの予想。
EV 充電インフラ、このままではそれほど使われない EV の普及には充電インフラの浸透が⽋かせない。
EV を導入するには公共の充電スポットを目に⾒える形で普及させる必要あるが、実際にはそれほど使われないと考えてい
る、と述べ充電インフラは、簡単で安全に、必要な時間で必要な電⼒を充電できるか、というニーズを吸収すべきで、同時に
充電インターフェースの策定、通信の標準化を進める必要性もある。
こうした多⽅⾯の取り組みが実現することでコストを抑え、信頼性も向上する。PHV、EV が普及していけば、ユーザーからの
フィードバックも増える。顕在化した課題に対する解決策が、現状ではメーカーごとに違う。
これについては解決法のメーカーによる違いが、消費者に混乱をもたらしている⾯がある、したがって啓蒙していくことが大切。
そのためにはメーカーをはじめ、サプライヤー、政府、学術機関、NPO などとの連携が必要である。企業や組織の枠を超えた
協⼒を進めていくべきと強調した。
●セッション(アナリストが語る!新興国攻略の鍵とは?)
4、「中国次世代⾃動⾞市場への参⼊戦略」 デロイトトーマツコンサルティング 周 ライ(石が三つ)氏
全体動向・・・昨年来言い続けてきた 2020 年の⾃動⾞⽣産台数予測 3000 万台が最近の急激な景気減速で 2700
万台位に落ちる。ここ数年の国内で販売された⾞の排気量を調査したところ 1600cc以下が 7 割を占めている。今後の
⾃動⾞メーカーを取り巻く環境として昨年末 中国政府は外資合弁で年間 100 万台以上の⽣産する⾞両メーカーへの優遇税
制措置を打ち切るという声明を発表し、中国に於いて⾃動⾞業界の再編が進む可能性がある。(国内メーカー保護及び
中国政府の保護貿易政策)
対象となるメーカーは上海GM、第⼀汽⾞VW、東風日産、北京現代の4社である。
外国完成⾞メーカー動向・・・VWを中国における典型的な成功例としてあげた。中国にはいち早く現地⼯場、現地専⽤⾞
両(LAVIDA)を展開し、中国⼈雇⽤創出からスタートして現在では GOLF、PASSAT などを現地調達率 95%で⽣産し
ている⼀⽅、中国に BOSCH などの部品メーカーが⼯場を建設して欧州勢勝ちパターンを作り上げた。
それを国内 OEMs トヨタ、ホンダ、日産他、PSA などが追っている。
次世代⾞関連動向・・・VW は 2013 年までに E-GOLF、E-LAVIDA をデモ⾛⾏させブランド⼒を構築、2018 年までに
次世代⾞のリーダーの座を狙う。GMもシボレー「Volt」を 2012 年に投入し、8 都市、13 のディーラーを展開する⼀⽅、中国に
R&D 部門を設置する。さらに上海汽⾞との合弁により共同開発体制を確⽴しつつある。
その⼀⽅で日系企業は次世代⾞両の中国合弁に慎重である。それは⾃社技術の流出を恐れているからであるが遅かれ早
かれ中国は技術習得するのでGMのように合弁するべきである、と述べた。
5、「急成⻑するインドネシアの⾃動⾞市場」 HIS オートモーティブ バンコク事務所代表 山本 肇氏
インドネシアは俗に言う BRICs から外れているが世界4位の⼈口(2 億 4000 万⼈)、国⺠⼀⼈当たりの GDP は
$3000 である。昨年の GDP も 6.4%という中国、インドに次ぐ⾼率である。
経済大国の⼀員でありながら⾃動⾞の普及台数は 1000 ⼈当たり 50 台と低迷しているのは道路網拡充が途上であるこ
とが上げられる。2011 年の乗⽤⾞販売台数 75 万台、国⺠所得の予想では 2017 年には 700 万世帯が⾞を購入でき
る中間層に推移するものと思われる。インドネシアの⾃動⾞ブランドを⾒るとトヨタグループ(ダイハツ、日野⾃動⾞含む)のマーケ
ットシェアが 60%で2位の三菱⾃動⾞の 13.9%を大きく引き離し独占状態である。売れ筋は 1500cc 以下の 7 ⼈乗り
MPV である。それはインドネシアの税制上の問題で 1500cc 以上の⾞の税⾦が2倍⾼いことが影響している。
これら日本⾞独占(シェア 90%)の中で日本の部品メーカーも 2010 年以降の進出が目覚しい(JTEKT、タカタ、東海ゴム、
フタバ、⻤怒川ゴム、村上開明堂など 20 社以上)
6、「ブラジル⾃動⾞産業の展望」 PwC 米国法人 ロサンゼルス事務所 渡辺 司氏
⼈口は 1 億 9000 万⼈、国⺠⼀⼈当たりの GDP は$10950 である。昨年の GDP は 7.5%
⾃動⾞保有台数は⼈口 1000 ⼈当たり 168 台。国内乗⽤⾞販売台数 343 万台、輸入乗⽤⾞販売台数 85 万台。
FIAT、VW、GM の3社で年間 200 万台をブラジル国内で⽣産している。2012 年の予測では 350 万台に達する⾒込
み。昨年はトヨタ、日産が相次いでブラジル国内に新⼯場を建設し、上記のビック3を追撃する体制。昨年のトヨタ、ホンダ
の販売台数は各 10 万台しかなく出遅れている。
ブラジルは来年サッカーのワールドカップ、4年後には南米で初めてのオリンピックが開催されるなど、経済を後押しするイベン
トが目⽩押しで⾼速道路網、幹線道路も急ピッチで整備されている。
【所感】
基調講演では EV(BEV)の拡販の難しさ、それはインフラ整備に関わる問題で昨今の経済減速の中で設備投資が遅れ
る懸念があり HEV/PHEV の普及が進みそうな意⾒が多く聞かれた。
セッションでは中国がヨーロッパ不況の直撃を受けており、全ての経済活動に影響が出ている。特に EV ⾞両を製造しているメ
ーカーの開発の遅れが懸念されるが VW などの欧州関連メーカーが退潮している。
展示会情報 (別紙 写真レポート参照)
全体的に EV、急速充電器の展示が少なく感じたのは後続距離不安のない PHEV へのシフトか?
矢崎・・・⾼圧コネクタ展示、サービスプラグも 60A、300A、600A 対応の 3 種類の展示
充電⽤カプラーはさらに⼩型、軽量化している
JAE・・・100A 対応サービスプラグ、アルミダイキャスト製⾼圧コネクタ展示
日⽴ AS・・・超⼩型化したインバーター展示 ⾼圧コネクタを使⽤していない(重量、コスト低減)
明電舎・・・新型インバーター、モーターを展示、上記日⽴と同様、⾼圧コネクタを使⽤していない
安川電機・・・EV ⽤⼩型ドライブユニットを展示、上記と同じくコネクター使⽤をしていない
以上
※⼀部 日本経済新聞の記事を引⽤