CCDカメラを用いた授業の工夫 - So-net

CCDカメラを用いた授業の工夫
寺戸
真(府立岸和田高校)
1.はじめに
最近のコンピューターを含むOA機器利用とからめて,教育現場でもVTRやOHP,OHCなどの活
用法の開発が盛んになってきました.しかし,財政逼迫のおり,教育予算も削られ,より少
ない予算でより教育的効果のある機器の利用・開発が望まれています.
本稿ではSONYより出されているコンピューター関連機器の中に,授業でも使用できる非常
に便利な機器がありましたので,授業実践もふまえそれを紹介致します.
2.導入の経緯
ご紹介するのはSONY
CCD-PC1という小型のCCDカメラです.右
の図1のような長い首の先に小型のCCDカメラのついたものです.
かつて,OHCを使い「OHCは資料集や教科書を忘れた生徒のため
にそれらの図をテレビに写せるので役にたつ」ということを聞
図1
いたことがありました.本校でも手元の資料をテレビ画面に写すことのできる道具が欲しい,
と考えていたところでした.ところがOHCはご存じのように載物台(40㎝四方のテーブルのよ
うなものですが)の両サイドから蛍光灯が被写体を照らして,それを真上からテレビカメラ
がねらうという,いかにも大仰なものです.しかも非常に高価なのです.そこで,「4万位
で教材を提示できるカメラがないか」と出入りの業者の方に相談したところ,「こんなのが
ありますよ」と紹介してくれたのがこのカメラです.使ってみますとOHCに比べると格段に操
作性がいいものでした.
↓下がボールペン.後ろが端子
3.機器の概要
以下が概要です.本来の使い方も含めSONYのホームペー
ジから抜粋しました.
カラービデオカメラ
CCD-PC1
標準価格39,800円(税別)
(筆者注:おそらく日本橋価格では30000円近くまで下がって
いると思います)
図2
①デスクトップで手軽に撮影
パソコンやワープロに画像入力できます。パソコン周辺やデスクトップでの使いやすさを
追求した、新しいデザインのカラービデオカメラです。
②様々なアングルに固定できるフレキシブルアーム。
自由に動かせる約30cmのフレキシブルアームの採用により、カメラをお好みの位置に固定
することができます。被写体に向けてアングルを固定したら、映像を映し出しながらキーボ
ードやマウスの操作ができます。
③小さな文字も鮮明に映し出す接写機能。
10mmまでの接写ができます。ちいさな立体物や新聞の記事などを収めるときに便利です。
④映像の水平を調整できるカメラヘッド部回転機構。
フレキシブルアーム先端のカメラヘッド部を回転させて(左右それぞれ45度)、映像を水平
に補正することができます。
⑤音声も録れるモノラルマイク搭載。
モノラルマイクを搭載しているので、コンピューターネットワーク上でのテレビ会議や通
信にも使えます。
⑥AV入力端子のあるパソコンやビデオすべてに使えます。
接続は簡単、ビデオキャプチャーボード等、パソコンのAV入力端子かS映像入力端子のある
映像機器ならすべて接続できるので、ビデオデッキを録画機として人物を撮影したり、テレ
ビにモニターしたりなど、多彩に楽しめます。
⑦蛍光灯のちらつきを低減して、画面を見やすくするオートノンフリッカー機能。
上記のように,このCCDカメラはもともと教育用ではなくインターネットのcu−seeme用か,画
像取り込み用に開発されたもので.本体には電源用のアダプター端子と音声,映像出力用の
ピンプラグ用端子があるだけの大変シンプルな構造です.もちろんこれでもビデオボードを
つけるとデジタルカメラやスキャナーの代わりになりますが,ここでは,そのような複雑な
使い方ではなく,もっと簡単にTVのビデオ入力端子と本体の出力端子をピンコードでつな
ぎます.それでそのまま絵がうつります.マイクもついてはいますが,あまり必要ありませ
ん.
↓テレビ画面は33inchです
さて,この首の先にあるカメラの性能をご紹介します.
このカメラの先にピントと絞りがついているのですが,こ
のカメラはマクロにすれば教室の3分の2ぐらいがおさま
り(図3),逆に近づければ被写体に1㎝くらいまで接写
できます.アンモナイトの縫合線を大画面テレビで拡大し
て見せるなどというのは朝飯前です(図4の写真).です
から図のような画面が可能になります.そしてこの装置は
軽いので簡単に移動できますし,首がフレキシブルに動き
↑教卓から地学教室を撮影
しかも固定できますので,ずっと持っている必要はありま
図3
せん.よく,夜のTVニュースなどでキャスターが小型の
CCDカメラで新聞の文字を写したりしていますが,あれと同じことができるわけです.それに,
移動が簡単だから授業が終われば本体だけ準備室にもってかえることができます.
4.使用方法の実践例
①
図表類の提示
最も基本的な使い方です.購入のきっかけもこれでした.教科書を忘れたり図表を忘れた
りした生徒がいるのはどこでも同じです.その生徒達のために見せていたのですが,意外な
ことに気がつきました.図表等で同じ図を全員が見ていても,「ここがこうだ」と説明する
のが結構難しいのです.こちらが意図している部分とちがう部分を見て,納得している生徒
がひょっとしているかもしれない,と思われる例が結構あるのです.ところが,これがある
と図を33インチの画面に大きくうつせますので,鉛筆の先や竹串の先に色を塗ったものなど
で指し示しながら話ができ誤解がありません.
②
板書の省力化
問題集の問題を解く場合,図の中には書くのに手間のかかるものがあります.特に地質図
や走向・傾斜の説明についての図などは,走向線,等高線や各交点がそれぞれに意味を持つ
わけですから,いい加減に線を引くわけにはいきません.いい加減な図を黒板に書くと,逆
に理解を遅らせ,妨げる場合さえもあります.この装置を使うと,教師は問題集の図に直接
鉛筆で必要事項を書き込んで行けばよいのです.考え方の順番もわかりますし,グラフ上で
の位置というのもわかります.教師は自分の手元で正確に指し示すことだけを考えていれば
いいわけです.
板書はもちろん必要ですし,それをノートに書かせるのは「知識の定着を促す」意味では
もちろん重要ですが,ただ正確さを求めるためだけに貴重な授業時間とエネルギーを費やす
のはもったいないと思います.昔は,休み時間の間に図を書いておく,とかしたものでした
が隔世の感があります.
TVは見にくいですがアンモナイトの肋が写っています
③
卓上実験の演示
↓
図表の提示と同じですが,教卓上で実験をやる場合,化学反応
のように派手に色が代わるとか,物理のストロボ実験のように遠
くからでもわかる場合はいいのですが,泥や砂を使ってビーカー
わりにこれを使い,大画面テレビに写すわけです.ビーカーの中
の分級までわかります.
図4
④
カメラ先1cmにアンモナイト化石→
顕微鏡カメラとして
↓接眼部に近づける
③の応用編です.鉱物顕微鏡やポーラースコープの視野をTVに
写すのは,CCDカメラを顕微鏡の接眼レンズをはずして取り付ける
等,機材と手間がかかります.ポーラースコープの鏡下に見える
ものをちょっと生徒に見せたい,という場合に使えます.
図5→
首がフレキシブルに曲がりしかも,固定できるという点を生か
すと簡単に鏡下の眺めを紹介できます.消光角を測るとかはできませんが,CCDカメラと同じ
ように使えるという最大の利点です.
5.終わりに
前述のように,筆者は今まで使用したAVグッヅの中では最も使い易い,「優れもの」だと
思います.ただ,欠点もあります.
①TVの無い教室では使えないこと
②画面がTVの大きさに規制されること,
です.ただ,①はもし地学教室にVTRがあればあらかじめ地学教室で授業をするように
連絡しておけばすみますし,ある高校のようにTVを台ごと教室までゴロゴロおしていって
見せるということもできます.②は,本校の場合は複数台のTVで見せるようにしています.
この機器は,色々なところですでに紹介しましたが,なかなか
評判がよかったです.一度お試しになる価値はあると思います.
(なおこの原稿は大阪地学教師グループ連絡紙
99−1の筆者の
原稿をもとに書き改めたものです.)
ポーラースコープの接眼部に近
づけて写した花崗岩のプレ
パラートの画像
→
図6