MatroxInsightVol.11 No.1 2010版

IMAGING
INSIGHT
Matrox Imaging がお届けするソリューション、製品、ニュース
Vol. 11 No. 1
製品ニュース:SD/HD の両方に対応
可能な万能ボード
ケーススタディ:受賞の栄誉に輝く
食品用プリンタビジョンシステムを
スマートカメラで強化
ビジョンスクワッドファイル:パターン
マッチング(その 2)
目次
IMAGING INSIGHT
Vol. 11 No. 1
副社長から一言 ................................................................................................ 03
販売マーケティング担当副社長Francois Bertrandが、たった1年
でも大きな変化をもたらすことを語ります。
ハードウェア製品ニュース..................................................................... 04
Matrox Orion HD:SD/HDの両方に対応可能な万能ボード
ソフトウェア製品ニュース ....................................................................... 06
Matrox Design Assistant 2.3で追加されたビード検査ツールと簡易
フィクスチャツール、Windows® 7のサポート
ケーススタディ:De Grood Innovations社 ............................. 07
受賞の栄誉に輝く食品用プリンタビジョンシステムをスマートカメラ
で強化
ケーススタディ:MAF Roda Agrobotic社 ................................ 11
MILが最高品質の青果だけを消費者に提供
スポットライト: Imagingアプリケーション部門 .................... 14
技術サポートサービスとコンサルテーションで毎週500∼1,000件
のお問い合わせに応える部門
ビジョンスクワッドファイル ..................................................................... 17
パターンマッチング(その2)
IMAGING
INSIGHT
副社長のデスクから
発行: Matrox Imaging
編集者/マーケティングコミュニケーション担当:
Catherine Overbury
グラフィックデザイナー:JF Ruest
Matrox Imaging の書面による事前の許可なく、
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禁じます。本誌の記事についての
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編集部までお寄せください。
たった 1 年の大きな変化
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1 年前の景気後退のどん底にあったとき、Matrox Imaging は期待が高かったイ
ンテグレータ認定プログラムの導入計画を進めることを決定しました。新規チャ
ネルを作るには、財政的にも人材的にも多大な投資が必要であることはわかっ
ていました。多くの企業が本能的に保身を図り既存顧客ベースの維持を第一と
考えていた頃に、すべての計画を実施したのです。
今では、厳しい経済状況にあってもビジョンインテグレータのネットワークを導
入した私たちの決断が正しかったことは明らかです。従来からの OEM ビジネス
はさらに強力になり、新しいチャネルは食品と飲料業界、パッケージング業界、
自動車業界で世界最大規模の革新的な会社と関係を築くために役立っていま
す。
Matrox Iris GT スマートカメラにソフトウェアをバンドルした製品などで新市場へ
の拡張を目指しながらも、最先端のボードレベル製品の設計という本来の業務
を忘れてはいません。本誌では、最新のフレームグラバーMatrox Orion HD を
ご紹介します。これは、SD と HD の両方のビデオ取得が必要なお客様のため
の高性能グラフィックスアダプタです。
また、本誌では食品加工業界に注目しました。この業界では 2 つの興味深いア
プリケーションが導入されています。MAF Roda Agrobotic 社は、Matrox Imaging
Library を使用して最高品質の果物と野菜を選別し食卓に届けています。また、
De Grood Innovations 社は、あるインテグレータと共同でスマートカメラベース
の食品用ジェットプリンタを開発しました。
今回の Imaging Insight も、どうぞお楽しみください。
ドイツ:
Matrox Electronic Systems GmbH
Inselkammerstr . 8
D-82008 Unterhaching
Germany
電話: +49 (0) 89 / 62170 0
ファックス: +49 (0) 89 / 614 97 43
François Bertrand
販売マーケティング担当副社長
ハードウェアニュース:
Matrox Supersight e2 HPC
プラットフォームが Intel® Xeon®
プロセッサ 5600 シリーズに
対応
最新の Intel® Xeon®プロセッサ 5600 シリーズ(コードネーム
Westmere-EP)を搭載した Matrox Imaging のシステムホストボー
ド(SHB)を、高性能コンピューティング(HPC)プラットフォーム
Matrox Supersight e2 でご利用いただけるようになりました。Intel
Xeon プロセッサ 5600 シリーズは、新しい 32 nm プロセステクノロ
ジによる最新世代の Intel®マイクロアーキテクチャ(コードネーム
Nehalem)をベースとしています。Intel Xeon プロセッサ 5600 シリ
ーズには、クワッドコアとヘキサコア(6 コア)の 2 つのバージョン
が用意されています。また、12 MB の共有 L3 キャッシュを搭載
し、最高 1333 MHz で動作する DDR3L-SDRAM に接続します。広
い帯域幅と優れたメモリー性により、画像処理アプリケーション
にとって大きなメリットになります。
Matrox Orion HD:SD/HDの
両方に対応可能な万能ボード
高解像度(HD)ビデオとは、これまで家電業界や、HDTVなどの
ブロードキャスト業界で使用される用語でした。TV放送と同様に
画像品質が重要視される産業市場でも、その解像度の高さから
標準的な高解像度ビデオが使用されるようになってきています。
事実、内視鏡検査や飛行訓練シミュレータのようなアプリケーシ
ョンでは、標準解像度のビデオよりHDビデオの方がよく利用され
ています。また、このようなアプリケーションでは、HDビデオその
ものをキャプチャする機能とともに、HDビデオを最小レイテンシ
で表示する能力も重視されます。
画像処理市場でも、標準解像度(SD)アナロググラバーカードか
ら、複数のHDビデオソースのキャプチャと表示が可能な高解像
度カードへのシフトが進んでいます。Matrox Imagingの最新ボー
ドMatrox Orion HDは、このような市場ニーズに応えて、標準解
像度と高解像度のビデオ入出力を1080p/60までサポートするグ
ラフィックスアダプタです。
Matrox Supersight e2について
Matrox Supersight e2は、特に高いスループットが必要な、画像
処理アプリケーションのために開発された高性能処理プラットフ
ォームです。Matrox Supersight e2は、CPU、GPU、およびFPGA
の複数クラスタを活用して、独自のPCI Express®(PCIe®)x16 2 .0
(Gen2)スイッチファブリックを介した、大量データ転送と並列処
理のための環境を提供します。Matrox Supersight e2のアプリケ
ーションは、Matrox Imaging Library(MIL)とそのDistributed MIL
関数を利用して開発できます。MILはすべてのMatrox Imagingハ
ードウェアプラットフォームをサポートしているため、Matrox
Supersight e2での開発は簡単で、例えば、48 CPUコアと4 FPGA
を搭載する構成や、12 CPUコアに1つのFPGAと6つのGPUを搭
載した構成、または、その中間のすべて構成にソースコードを移
植できます。
Orion HDは、2つの独立したデジタルまたはアナログHDビデオソ
ースからキャプチャし、これらのビデオストリームを異なるフォー
マットでデスクトップへ出力できます。異なるインタフェースをサ
ポートし柔軟な接続性があるため、各独立パスでSDI、DVI-D、
RGB、CVBS(3つまで)、YPrPbの信号を切り替えることができま
す。そのため異なるフォーマットによるキャプチャと表示が可能
で 、 SD ( NTSC お よ び PAL ) 、 HD ( 720p 、 1080i 、 1080p ) 、
1920x1200までの通常のPC解像度に対応します。
Matroxが設計したグラフィックスコントローラを使用することで、
Orion HDはプライマリーまたはセカンダリー表示デバイスとして
動作させることが可能です。キャプチャしたビデオと画像はデス
クトップに表示するか、アプリケーション専用の別モニタに表示で
きます。また、オプションで、標準のグラフィックス注釈を追加す
る機能もサポートします。
複数HDビデオストリームのアーカイブと再生を必要とするお客
様のため、Orion HDは容量変更可能なオンボードバッファと、
PCIe® x16ホストインタフェースを備えています。
Matrox Orion HDについて詳しくは、お近くのMatrox Imaging販売
代理店にお問い合わせください。
ハードウェアニュース:
Matrox Iris GT ス マ ー ト カ メ ラ が Microsoft® Windows® XP
Embedded(XPe)に対応
Matrox Imaging Library(MIL)対応のMatrox Iris GTスマートカメラ
は、カスタマイズを必要とするアプリケーションを構築するシステ
ムインテグレータ、マシンビルダ、OEM向けの製品です。
Microsoft® Windows® Embedded CEまたはWindows® XP
Embeddedのいずれかを選択でき、キ―ボード、ビデオ、マウス
(KVM)をサポートするため、PCのような環境を提供できます。ア
プリケーション開発では、標準的なWindows®開発ツールにソフト
ウェア開発キットMatrox Imaging Library(MIL)を組み合わせるこ
とで、MILの対話式ソフトウェアと画像のキャプチャ、処理、分
析、注釈付け、表示、アーカイブなどのプログラミング機能を利
用できます。
Matrox Iris GTスマートカメラはすべて、防塵、 防水の頑丈な構
造になっています。画像センサーを選択して、効率の高いIntel®
Atom®組み込みプロセッサと組み合わせると、このカメラは広範
なマシンビジョンアプリケーションに対応できます。開発者は
Microsoft® Windows® Embedded CEまたはWindows® XP
Embedded(XPe)のいずれかを選択できます。
Windows® Embedded CE と Windows® XP
Professional(XPe)について
Windows® Embedded CE は、より小さいメモリー使用量でリア
ルタイムパフォーマンスを実現し、Windows® API のサブセット
を使用してプログラムできます。Windows® Embedded CE が動
作する Matrox Iris GT では、業界標準の通信プロトコル
EtherNet/IP™と MODBUS®がサポートされます。Windows® XP
Embedded は、Windows® XP Professional を組み込み用に軽
装にしたバージョンで、可用性とサポート性を向上させます。
いずれのオペレーティングシステムでも、アプリケーション開
発はクロスプラットフォーム(PC をスマートカメラに接続した形
態)で行い、使い慣れた Microsoft® Visual Studio®の統合開発
環境を利用できます。
ソフトウェアニュース:
新リリースの Matrox Design Assistant スマートカメラ
ソフトウェアがビード検査ツールと簡易フィクスチャ機能を提供
Matrox Design Assistant 2.3 は、Matrox Iris GT スマートカメラ用統
合開発環境(IDE)の最新バージョンです。このソフトウェアは、ビー
ド検査ツール、簡易フィクスチャ機能など、多数の新機能と拡張機
能を提供します。また、Design Assistant 2.3 IDE は、32/64 ビット版
Windows® 7 にインストールして利用できます。Design Assistant 2.2
に引き続き、このリリースでも組み込みのキーボード、ビデオ(モニ
タ)、マウス(KVM)を使用できます。
フィクスチャの簡易化
パーツの機械的なフィクスチャを実行できないアプリケーシ
ョンのため、Design Assistant の簡易フィクスチャ機能は、位
置特定ツールの結果を使用して、測定ツールまたは読み取
りツールの関心領域(ROI)の位置を自動的に判断します
(X-Y 座標と角度を返します)。
図1 - Matrox Design Assistant 2.3には、連続した波状のビードとしてマテリ
アルの長さ、配置、幅、途切れを検査する新しいビード検査手順が組み込
まれた。
ビード検査
Design Assistant 2.3のビードツールは、接着剤やシーラントなどの
マテリアルを連続した波状のビードとして検査して、長さ、配置、幅
の情報と異なる点や、途切れを識別します。許容されるビードの
幅、オフセット、すき間と、全体的な合格判定基準値は、固有の検
査条件に合わせて調整できます。
図 3 - Matrox Design Assistant 2.3 の新しい簡易フィクスチャ機能
は、位置特定ツール(モデルファインダー手順など)の結果を使用
して、読み取り手順または測定手順(粒子解析手順など)の関心領
域の位置を自動的に判断する(X-Y 座標と角度を返す)。
その他の拡張機能
最新版のDesign Assistantでは、プロジェクト切り替え機能
が改善され、自動デバイス制御のためのMODBUS®マスタ
ーモードのサポート、分岐エレメントによるフローチャートの
簡易分岐などが組み込まれました。
Matrox Design Assistant 2.3 は、Early Access フォームで
は、2010 年第 2 四半期の終わりまでにご利用いただける予
定です。正式リリースは、2010 年第 3 四半期の終わりを予
定しています。
図 2 - Matrox Design Assistant 2.3 の新しいビード検査手順の構成画面。
このツールは、ユーザーが定義した粗いパスに基づき、自動的に最適な検
索ボックスを配置する。
デコレーションの
デジタル化
受賞の栄誉に輝く食品用プリンタビジョンシステムを、Matrox
Imaging のスマートカメラが強化
De Grood Innovations社(http://www.foodjet.nl)(オランダ、ネイメーヘン)は、医療、工
業、食品業界向けの、ステンレス鋼、鉄鋼、非鉄鋼、プラスチックのパーツの機械加工
と組み立てを専門とする家族経営の会社です。代表取締役のPascal De Grood氏は、
4年前に事業に加わってすぐ、あるパーティーでペストリーにチョコレートをプリントでき
るプリンタを探しているお客様に出会いました。
De Grood氏はそれまで、オランダの研究機関で産業用プリンタヘッドを開発していまし
た。プリントの知識を持っていたため、食品製造用プリンタの可能性を見出し、カスタマ
イズしたデザインで、粘着性の高い食用デコレーションを大量生産の食品にデジタル
プリントできる試作品の開発に取りかかりました。食品用プリンタでは、デコレーション
/デザインと食品の種類をすばやく切り替えられるようにして、生産停止時間を最小限
に抑えることも必要です。
プリンタヘッドの物理的な配置が様々な構成を可能にしますが、
ノズル、圧力、噴出時間など他の変数によってもプリントの可能
性は広がります。
De Grood Innovations社のFoodJetプリンタ
このプリンタのビジョンシステムはMatrox Iris GTスマートカメラを使用す
る(1)。切り替えが必要になった場合は、数分以内に液体を収めた別容
器を使用できる(2)。HMIによって、オペレータは、製品、圧力、バルブを
閉じる回数を選択できる(3)。プリンタのヘッド(4)。資料提供:De Grood
Innovations社
起業家精神
当初、De Grood氏は余暇を利用して設計を進めていたため、プ
リンタヘッドのテストと設計には1年を費やしました。適切に動作
するプリンタのプロトタイプを設計した後、次の2年間でシステム
に最適化させました。この間に、De Grood氏は欧州と北米でこ
の技術の特許を取りました。
プリンタの開発作業には、すべてDe Grood Innovations社が資
金を提供しました。Pascal De Grood氏は次のように語っていま
す。「我々はこの技術に3年の時間と多大な資金を投資しまし
た。これは小規模企業にとって容易なことではありませんでし
た。しかしなんとかやり遂げると、最初の機械で見込み客から多
大な関心を集めることができました。」
メンテナンスの必要性が低く、洗浄が容易で、吐出量あたりの価
格が低いDe Grood Innovations社のBV FoodJetプリンタは、食
品業界にとって理想的な製品です。ベーカリー、アイスクリーム
や乳製品のメーカーを主なターゲット市場にしています。
FoodJetプリンタは、フロスティング、ヨーグルト、ソースなど様々
な粘度の食材をプリント対象の食品に正確に吹き付けます。シ
ステムの一連の空気膜式ノズルジェットが、動く食品の上に小さ
なドロップを吹き付けていきます。このドロップがデジタルイメー
ジを形成して、デコレーションの形になったり表面を覆ったりしま
す。デコレーションには高い解像度と小さいノズル(ドロップレッ
ト)サイズが必要ですが、全面コーティングは大きなドロップとよ
り低い解像度で実現できます。
構成可能なプリントシステム
FoodJet プリンタは、柔軟なモジュール式のアーキテクチャで、
あらゆる製造プロセスに合わせて構成できます。そのため多彩
なデコレーションとコーティングを利用できるのです。プリンタヘッ
ドとコンベヤの進行方向との角度を変えることで、解像度を設定
できます。複数のヘッドを次々に配置すると、異なる色を上層に
重ねる方法で「マルチカラー」印刷ができます。ヘッドを横に配置
すると対象範囲が広くなります。
De Grood氏の説明によると、このプリンタは2つのPLCによって
制御され、様々な噴出パターンのオプションをプログラムするメ
カニズムは独自のソリューションによるということです。位置合わ
せには近接スイッチやフォトセルなどのセンサーが使用されてい
ます。解像度によっては、プリンタの速度は最高30m/分にもなり
ます(30dpiの解像度の場合)。システムの反応時間は200µsで
す。また、カメラを使用するとシステムの精度は+/-1 mm以上に
なります。オペレータは、HMIによって製品、圧力、バルブを閉じ
る回数を選択できます。ただし、カメラは独立して動作します。
夜間動作モード
食品業界では一般的に、多数の製品を継続して生産する必要
があり、いったんプロセスを止めると製品が冷えて固くなるか乾
燥するため、機械を停止して洗浄する必要が生じます。
「FoodJetプリンタはクローズドシステムなので、製品の乾燥や冷
却を防ぐことができます。つまり、数時間または一晩中アイドル
状態にしても問題ありません」とDe Grood氏は語ります。
従来の食品のデコレーション方法は手動で行うか、自動化され
ていてもマスクや機械的な抑制が必要でした。領域のコーティン
グには液体カーテンを使用し、その下を食品がメッシュのコンベ
ヤで流れました。ま た 別のコーティング方法では、製品を部分
的に槽に浸して食材を付けていました。
槽や液体カーテンを使用すると、製品を切り替える際に広範囲
の洗浄が必要になります。たとえば、別の色のフロスティングに
切り替える場合や、ミルクチョコレートをダークチョコレートに切り
替える場合などです。FoodJetプリンタはクローズドシステムなの
で、新しい製品の入った容器を取り付けて、システムをフラッシュ
してからその容器への流れを再開するだけで切り替え作業を済
ませることができます。「クローズドシステムによって、製品の材
料が混ざってしまうことや環境を汚すことを回避でき、食品の衛
生と安全を確実に実現できます」とDe Grood氏は語ります
オペレータ画面
オランダ語のオペレータ画面がフォンダンの供給(aanvoer)とポンプの作
動状況を示す。HMIでは、オペレータが製品、圧力、バルブを閉じる回数
を選択することもできる。資料提供:De Grood Innovations社
「あるお客様は、デコレーション溶液の切り替えに要する時間を
90%も短縮し、機械の洗浄に 4∼5 時間もかける必要がなくなり
ました。FoodJet プリンタの切り替えには今では数分しかかかり
ません。」
ビジョンシステムを使用することのもう1つのメリットは柔軟性で
す。FoodJetプリンタにビジョンオプションを付けると製品の切り
替えが非常に早くなります。食品メーカーでは、大きさや形状の
異なる製品ごとに機械的な並び替えツールやセンサーを変える
必要がなくなります。
FoodJetのビジョンシステムはMatrox Iris GTスマートカメラをベ
ースにしています。アプリケーションは、このカメラにバンドルさ
れている統合開発環境Matrox Design Assistantを使用して開発
されました。De Grood氏は、プログラムやスクリプトをコーディン
グするのではなく、このソフトウェアを使用してアプリケーション
のフローチャートを作成しました。この方法では、Visual Basic、
C、C++、C#などの標準的なプログラミング言語を使用してプログ
ラムする必要がありません。
デコレーションとフィリングの多数のオプション
プリンタヘッドとコンベヤの進行方向との角度を変えることで、解
像度を変更できる(対象範囲は狭くなる)。
Design Assistantのツールやフローチャート手順が多数使用され
ました。製品の位置とサイズを測定するには、システムのキャリ
ブレーションが必要になります。必要な結果を得るため、画像処
理フィルタ、粒子解析、モデルファインダー−ジオメトリックパタ
ーン認識−の手順も使用されました。「PC上で動作する対話式
の設計ユーティリティDesign Assistantでフローチャートを構成し
てテストし、カメラにアップロードしました」とDe Grood氏は説明し
ます。
Matrox Design Assistantでは、既成ツールまたはカスタマイズし
たツールでフローチャートを構成してアプリケーションを作成でき
ます。従来のようにプログラムコードを書くことはありません。
Matrox Imagingのスマートカメラ制作マネージャーFabio Perelliは
次のように説明しています。「開発が終わったら、プロジェクトつ
まりフローチャートをアップロードして、Matrox Iris GTスマートカ
メラに保存します。プロジェクトは、PCから独立してスマートカメ
ラ上で実行され、PLCから監視し制御されます。」
デコレーションとフィリングの多数のオプション(続き)
プリンタヘッドを次々に配置するとマルチカラーのプリントが可能
になる(1)。
ヘッドを横に配置すると対象範囲が広くなる(2)。
マシンビジョン
ある顧客がDe Grood氏に、デコレーションしたくても食品を機械
的に並び替えることができないアプリケーションの話をしたこと
から、FoodJetプリンタにマシンビジョンオプションを追加するアイ
ディアが生まれました。
「ベーカリー製品の多くは、ビジョンオプションがなかったら、
FoodJet で取り扱うことはほぼ不可能だったでしょう」と De Grood
氏は説明します。「機械的な手段で並べると割れてしまう製品
や、形状が一様でない製品などがそうです。いずれの場合も、ビ
ジョンシステムで製品の正確な位置と大きさを測定します。」
オランダにあるMatrox Imagingの代理店DVC社が、PLCと通信す
るカスタム手順を開発しました。カスタム手順を作成する機能
は、Matrox Design Assistant環境の特長の1つです。この機能に
よって、アプリケーション固有のロジックをユーザー自身で挿入
できます。カスタム手順で、DVC社が作成したPLCとの通信機能
を実行する.exeファイルを呼び出します。Iris GTスマートカメラと
PLCとの通信のタイミングは非常に重要でした。「カメラとPLCの
同期をとるためしばらく時間がかかりましたが、1日かけて微調
整すると、円滑に通信できるようになりました」とDe Grood氏は
語ります。
De Grood氏は、このプリンタのビジョンシステム用にいくつかの
スマートカメラを試しましたが、Matroxがアプリケーションの実現
可能性を保証したことと、Iris GTの価格がどの製品より安かった
ことが決め手だったとDe Grood氏は説明します。
このカメラは、Grood氏が必要とするIP67フォームファクタも備え
ていました。「IP67規格対応の筐体は、システムに組み込みやす
く、湿気に対する保護を強化する必要もないのでうってつけでし
た。システムをできるだけコンパクトにしたかったので、カメラと処
理機能を1つのパッケージに組み合わせる必要があったので
す。」プリンタは企業システムにリンクできるので、世界中どこで
も完全にリモートでアシストできる可能性があります。
食品の先にある未来
De Grood 氏は、食品業界以外でも FoodJet プリンタを利用でき
ると強調しています。「濃く粘度の高い液体を扱う生産方法であ
れば、どのような業界でも市場になる可能性があります。食品以
外の例としては、陶磁器タイルの装飾、プリント基板、IC、フラット
スクリーンコンポーネントの複雑な接着パターンなどが挙げられ
ます。また、化粧用クリームに会社のロゴをプリントして、消費者
に安い偽物ではなく本物であることを示すこともできます。可能
性は無限です。」
De Grood Innovations社のFoodJetプリンタは、2009 Food Valley
Awardにノミネートされました。これは、オランダの農業食品関連
組織Food Valleyが毎年選出している賞です。選考結果は2009
年10月8日に発表され、FoodJetプリンタは2位を受賞しました。
本記事の要約版は「Food Printer Adds Vision System to Handle
Delicate Pastries」というタイトルで『Control Design』誌の 2010 年
2 月号に掲載されています。許可を得て使用しました。
スマートカメラベースのビジョンシステム
FoodJetのビジョンシステムはMatrox Iris GTスマートカメラをベースにし
ている。
アプリケーションは、このカメラにバンドルされた統合開発環境 Matrox
Design Assistant を使用して開発された。De Grood 氏は、プログラムや
スクリプトをコーディングするのではなく、このソフトウェアを使用してアプ
リケーションのフローチャートを作成した。
最高の追求
̶ 最高の青果の選別
Matrox Imaging Library(MIL)が最高品質の青果だけを消費者に提供
北米の消費者向けに生産された果物と野菜の30%以上
は「見た目に問題があるため」消費者に届く前に廃棄さ
れていると推計されています。小さすぎるリンゴ、色の悪
い梨、形の悪いキュウリなどです。
不完全な製品は、なんとかスーパーマーケットまでたどり
着いたとしても、大半は売れ残って最終的に廃棄場に送
られます。食品コストはうなぎ登りで世界的に不足が言
われる今、生産者、出荷業者、流通業者、小売業者、消
費者の誰もが、この無駄の削減に関心を寄せています。
オレンジの果物のサイズ計測と選別
スペイン、バレンシアの出荷業者は、市場の要求に合わせて事前に
設定した品質と色の基準に従って、サイズ計測器でオレンジの正確な
等級選別を行っている。この機器は年間4千万kgのオレンジを取り扱
う。資料提供:MAF Roda Agrobotic社
MAF Roda Agrobotic社(http://www .maf-roda.com)はフランス
を本拠とする多国籍企業で、青果の梱包出荷作業場向けに等
級選別、梱包、洗浄、袋詰め、パレット積みシステムの設計と製
造を専門にしています。MAF Roda社では、梱包出荷作業の効
率を高めるとともに、傷を付けることなく製品のサイズ、形、色が
適切であることを保証できるように支援しています。
会社の歴史
1962年、MAF Roda社はフランス南西部にある大規模な果物生
産地で機械式等級選別機の製造を始めました。1979年、École
Nationale d Ingénieurs(フランス、タルブ)を卒業したPhilippe
Blanc氏は、10人の同級生とともに、機械式の等級選別システム
に代わる最初の電子式自動等級選別システムを開発しました。
今日では、MAF Roda社は、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、
アジアの生産地域のほとんどに18の系列会社と40の販売代理
店を持っています。家族経営のこの会社は、現在は3代目にな
る、Philippe Blanc氏の5人の子息によって管理されています。
2008年のMAF Roda社の年間売上高は90,732Kユーロで、青果
処理機器の世界的メーカーの1つになりました。
果物のサイズ測定と選別
MAF Roda 社では数種類の「サイズ測定器」を設計製造していま
す。1∼10 本の並行するコンベヤレーンと 1∼64 の排出口で、ミ
ニトマトからメロンまで様々な果物が処理されます。レーン数に
よって機器の処理能力が決まり、レーンごとに 1 秒あたり 10∼15
個の果物を取り扱えます。排出口の数は機器が選別できるカテ
ゴリ数によって異なります。
こうしたシステムの1つにGLOBALSCAN®があります。これは高
機能の完全自動化されたビジョンシステムで、サイズ計測器を
通過する果物を選別します。このシステムによって、出荷業者
は、市場の要求に合わせて事前に設定した品質と色の基準に
従って、サイズ計測器で果物の等級を正確に選別できます。規
格外の果物は製造バッチからただちに除外できるので、処理と
パッケージングのコストを削減できます。
このビジョンシステムには、独自仕様のダブルセンサーCMOS高
解像度カメラ(レーンごとにカラーカメラ1台、赤外線カメラ1台)、
画像取り込みボード、LED照明が組み込まれています。回転し
ながら送られる果物の1つ1つを20枚のカラー画像と20枚の赤外
線画像で撮ることで果物の表面100%をカバーします。このビジョ
ンシステムでは光学式サイズ測定(赤道面つまり最大直径、体
積積分)、色選別(8つの基準による)、果物表面の傷の検出を
実行できます。
これらの画像はMatrox Imaging Library(MIL)ツールキットによっ
て処理されます。二値化と粒子解析で果物と背景を分離して、フ
ェレ径や伸長などのサイズを取得します。HLS(Hue、
Luminosity、Saturation:色相、輝度、彩度)色空間変換と統計関
数を使用して色を処理します。また、畳み込み演算と独自設計
のアルゴリズムで柄と芯を識別し、表面に黒点や褐斑のある果
物を検出して除外します。
このシステムのユーザーインタフェースは直感的に操作でき、
3D ディスプレイが付いているため、オペレータはリアルタイムに
品質と選別のパラメータを調整できます。パラメータはそれ以降
も使用するため保存できます。GLOBALSCAN®によって、生産マ
ネージャーはビジョンシステムから収集したデータを分析して、
生産者別、果樹園または畑別、品種別、果物別の統計を生成で
きます。
オペレータの制御室
オペレータは品質と選別のパラメータをリアルタイムに調整する。パラ
メータはそれ以降も使用するために保存できる。資料提供:MAF Roda
Agrobotic社
GLOBALSCAN®ビ ジ ョ ン シ ス テ ム
このビジョンシステムには、独自仕様のダブルセンサーCMOS高解像
度カメラ(レーンごとにカラーカメラ1台、赤外線カメラ1台)、画像取り
込みボード、LED照明が組み込まれている。資料提供:MAF Roda
Agrobotic社
レポートでは、一括処理された果物のサイズ、重さ、直径、色、
品質を示す表が提示されます。
既成ライブラリと独自設計の比較
MILを使用する前、MAF Roda社のエンジニアは、MMX/SSE命
令セットによる最適化を含めて、独自の画像処理ライブラリをC
言語で開発していました。当初この会社では、MILのような既成
のライブラリを使用して開発すると、既成ツールはMAF Roda社
の「自社製」関数に比べてより汎用的であるため、性能が低下
することを心配していました。
「MILの関数は非常に高速で強力だったので満足しました。今で
は、MIL関数を使用した独自ジョブに時間をかけるようにして、一
から独自の関数を書くような時間の無駄はしていません。さら
に、Matrox Imaging Libraryは安定性でも優れています」と電子
技術部門の責任者であるMichel Rodière氏は説明します。「MIL
は確かに生産性向上に役立っています。以前に比べると、MIL
によってプログラミング時間が短縮しました。また、同じプロジェ
クトで複数のプログラマが作業を行う場合に、MILコードは読み
やすく理解しやすいので助かります。」
将来の期待
MAF Roda 社は 2007 年の終わりに Matrox Imaging Library(MIL)
8 の評価を始めました。本番機が最初に稼働したのは 2008 年
11 月 です 。 同 社 で は、 ネイ ティ ブ.NET 開 発と 64 ビ ッ ト 版
Windows®サポートというメリットを考えて MIL 9 への移行を開始し
ています。また、MIL9 で利用可能になったカラー解析ツールの
使用も考えています。
直 感 的 なHMI
GLOBALSCAN®の直感的に使用できるユーザーインタフェースと
3Dディスプレイによって、オペレータは個々の果物のサイズ、色、外部の
傷についての情報を得られる。
資料提供:MAF Roda Agrobotic社
スポットライト: Imaging
アプリケーション部門
Matrox Imaging のアプリケーション部門は、技術サポー
トサービスとコンサルテーションの要求を毎週 500∼
1,000 件受け付けています。このチームの原動力と、問
題を迅速かつ正確に解決するための取り組みについて
ご紹介します。
チームの使命
アプリケーション部門の第一の目標は、お客様にMatrox
Imagingのハードウェアとソフトウェアの能力を存分に活用し
ていただくための、技術的な支援を行うことです。通常、サ
ポート担当者はそれぞれ1日12件程度の問題に対応しま
す。問題は1時間もかけずに解決し、次々に対処していきま
す。
製品改善要求への対応
アプリケーションチームでは、サポートだけでなく、製品の
改善要求に対応することもよくあります。このようなお客様
からのフィードバックはMatrox Imagingにとってとても価値が
あります。ハードウェアとソフトウェアの品質と性能に関し
て、お客様の要望を具体的に知ることができるためです。
いずれかの製品で問題が報告された場合、サポート担当
者はその情報を社内の情報追跡システム(ITS)に登録しま
す。また、評価のため、問題を製品開発者に送信します。
Matrox Imaging認定インテグレータのための優先サポート
昨年、Matrox Imaging では認定インテグレータプログラムを
開始して成功をおさめました。アプリケーション部門では、
ますます拡大するインテグレータのネットワークのために、
優先サポートサービスを提供しています。インテグレータは
誰でも製品サポート専門チームに直接アクセスして、個別
に当日中の対応を受けることができます。
リモートサポート機能
電子メールまたは電話でお問い合わせのあったお客様の
サポートに加えて、サポート担当者が必要と判断した場合
にはリモートサポートセッションも提供しています。セッショ
ンでは、スタッフがお客様の開発システムまたはランタイム
システムに接続して困難な問題のトラブルシューティング、
診断、解決を迅速に実施します。現場を訪れる必要はあり
ません。
ちょっとした予防措置が....
Matrox Imagingの製品と技術に関する知識をお持ちのお客
様は、サポートをそれほど必要とされません。そのため、ア
プリケーション部門ではトレーニングを積極的に推進してい
ます。製品サポートの担当者はクラスルームでのトレーニン
グセッションに参加し、お客様固有の要件と開発日程に合
わせてカスタマイズしたオンサイトトレーニングの構築と提
供を支援しています。こうしたトレーニングセッションは、お
客様の知識習得の時間を短縮し、プロジェクトの迅速な稼
働に役立つことが実証されています。
一目でわかる Matrox Imaging アプリケーション部門
Matrox Imagingの「第一線」のサポートグループは、導入に
関する開発者からの質問に答え、迅速なトラブルシューティ
ングを支援します。アプリケーション専門家のチームは、プ
ロジェクトの設計、開発、実装のすべての段階でお客様の
ご相談に対応します。
Matrox Imaging では、世界各地で開催されるインストラク
タによる講習会など、ソフトウェアツールに関する開発者
向け総合トレーニングを提供しています。また、お客様固
有の要件と開発日程に合わせてカスタマイズしたオンサ
イトトレーニングの構築経験も豊富です。
Matrox Imaging のアプリケーション部門
研究開発
お客様サポート
保守
品質保証
第一線の技術サポート
お客様トレーニング
ビデオ研究室
アプリケーションエンジニアリングサポート
製品の専門技術者
Matrox Imaging のグレースケール正規化相関(NGC)ツールの最新の改善点と、
この機能を最大限活用するためのヒントとテクニック
Matrox Imagingパターンマッチングの改善
パターン認識は初期からのデジタル画像処理タスクの1つであ
り、現在そして将来もなお、多くのマシンビジョンシステムの基本
になります。時間の経過とともにパターン認識ソフトウェアツール
は進化して、柔軟性が高くノイズ、回転、スケール変化、オクル
ージョン、不均等な照明などにも強くなりました。それでもなお、
一部のマシンビジョンアプリケーションは、高速でよく知られた、
グレースケール正規化相関(NGC)に基づくパターンマッチング
技術を活用しています。そのため、Matrox Imagingでは、今日の
課題に対処するためにパターンマッチングツールの改善を続け
ています。今回のビジョンスクワッドファイルでは、このツールの
最新の改善点について説明し、最も効果的に利用するためのヒ
ントとテクニックをご紹介します。
新機能、内容に基づく解像度レベルの自動選択
モデル画像と対象画像のグレースケール正規化相関は、集中
的な計算を必要とするタスクで、モデルと対象の両方のサイズ
に大きく左右されます。このプロセスの速度を上げるため、パタ
ーンマッチングツールでは、解像度ピラミッドと呼ばれる一連の
サブサンプル画像を使用した階層検索ストラテジを導入しまし
た。解像度ピラミッドでは、各レベルの画像のサイズは、1つ前の
レベルの画像の半分になります。
レベル
解像度
図1 - 解像度が非常に低いと、小さな特徴はほとんど消えて、
階層的検索では候補を見つけることができない。
2.モデル画像に大きなオブジェクトが収まっている場合、最初の
レベル選択が最適にならない。
モデルのサイズに基づく単純な条件では、階層化検索アルゴリ
ズムの堅牢さに影響を与えることなく、モデル画像のサブサンプ
ル化が進む状況になる可能性があります。これは、図2に示すよ
うに、目立った特徴がモデル画像のほとんどの領域を占めてい
る場合に発生します。
検索ステージ
最低
初期
図2 - 目立った特徴がモデル画像のほとんどの領域を占めてい
ると、サブサンプル化が進む可能性がある。
最高
最終
検索は低い解像度レベルから開始されます。ここで候補の位置
を迅速に検出することを試み、その情報をより高い解像度レベ
ルに渡して、ローカルでの検証とより精度の高い位置を求めま
す。解像度レベルの自動選択は、階層検索を開始する前に、解
像度ピラミッドの最初と最後のレベルを選択するタスクです。デ
フォルトでは、モデルのサイズのみに基づいてレベルの自動選
択が実行されます。ただし、この単純な決定方法では、次の状
況をもたらす可能性があります。
MIL 9 Processing Pack 2のパターンマッチングツールは、モデル
の内容分析を実行して、内容に基づいてレベルを自動選択する
新しいアルゴリズムを提供します。この機能によって、階層検索
の最初と最後のレベルをより「インテリジェント」に選択できま
す。MIL 9 からモデルのサイズ制限がなくなったため、この新し
い自動モードが一層役立ちます。このモードはツールパラメータ
を明示的に(M_FIRST_LEVELコントロールを
M_AUTO_CONTENT_BASEDに)設定するだけで簡単に有効にで
きます。
1.大きなモデル画像に小さな目立つ特徴があった場合、最初の
レベル選択が過度になる。
大きなモデル画像で、ごく小さな円形のオブジェクトのみが意味
のある特徴であるとします。モデル画像が非常に大きいため、こ
のアルゴリズムは、モデルをかなり小さくしたサブサンプルでも
検索可能と見なします。しかし、解像度が低すぎると小さな特徴
はほとんど消えて、図1に示すように階層的検索では候補を見
つけることができません。
その他のヒント:
モデル画像サイズの制約が緩和されたため、これに合わせて、
最初と最後のレベルにこれまでの[0, 7]ではなく[0, MaxLevel]の
範囲を手動設定できるようになりました。MaxLevel はモジュール
が 提 供 す る 読 み 取 り 専 用 値 で 、 MpatInquire( … ,
M_MODEL_MAX_LEVEL, …)で問い合わせることができます。
新機能、内容に基づく角度許容値および精度の自動選択
角度モードを有効にした場合、以下に挙げる点に関連して、アル
ゴリズムの動作を定義するいくつかの重要なパラメータを利用で
きるようになります。
1.検索オペレーションで対象とする角度の範囲
1コア
SIMD
命令あり
2コア
SIMD
命令あり
4コア
SIMD
命令あり
8コア
SIMD
命令あり
検索角度の許容値
速度最適化のタイプ
図3 - 検索オペレーションで対象とする角度の範囲
図4 - 様々な速度最適化に対する相対的な速度の向上。1K x
1Kの画像で、32 x 32のモデルを±180°の回転で検索した場合
の結果。ベンチマークはIntel® Xeon® X5472で64ビット版Windows
Vistaを動作させて実行した。
2.検索の許容値と精度
前処理手順(MpatPreprocModel)で、角度手順用の許容値パラ
メータ(M_SEARCH_ANGLE_TOLERANCE)を使用して、それぞれ
異なる幾何学配置にある複数のモデルが生成されます。検索ア
ルゴリズムはこの回転されたモデルを使用して、対象画像でオ
カレンスを見つけることを試みます。この最初の粗い検索が成
功すると、精度パラメータ(M_SEARCH_ANGLE_ACCURACY)に
よって角度が調整されます。
デフォルトでは、許容値パラメータは固定値(5度)で、これは最
適値ではありませんがほとんどの状況に合う値になっていま
す。この新しい自動モードは、モデル画像の内容を分析して角
度許容値をインテリジェントに選択します。このモードはツール
パラメータを明示的に(M_SEARCH_ANGLE_TOLERANCEコントロ
ールをM_AUTOに)設定するだけで有効にできます。
モデルを5度回転したがターゲットオカレンスは5.5度である場
合、ずれによってスコアが低くなります。スコアの低下の度合い
は、モデルの形状によって異なります。たとえば、円形は回転に
よる影響を受けにくいのですが、線分は回転によってほとんど相
関しなくなります。使用する回転精度を決定するため、パターン
マッチングツールは新しいパラメータ
(M_ROTATED_MODEL_MINIMUM_SCORE)も提供しています。こ
のパラメータは、角度範囲のサンプリングの結果であるスコアの
許容できる最小値を設定するものです。これを設定すると、前処
理手順中に、このスコア制約に従って角度手順の精度が自動的
に調整されます。デフォルトでは、このコントロールは
M_DISABLEに設定されているため、自動精度は計算されませ
ん。0.0∼100.0の値を指定すると、これを使用して必要な精度が
自動計算されます。精度の計算には、このスコアをもたらす最大
回転角度が使用されます。
角度サンプリングによって対象画像のオカレンスが失われること
を 防 ぐ た め 、 最 小 ス コ ア ( M_ROTATED_MODEL_
MINIMUM_SCORE ) に は 全 般 的 に 許 容 さ れ る ス コ ア
(MpatSetAcceptance())より高い値を設定する必要があります。
ただし、角度の最小スコアを高くするほど、調整角度の検索は小
さくなり、マッチングが長くなります。
速度の最適化
MIL 9 Processing Pack 2 では、パターンマッチングツールは CPU
のマルチコアを活用して、コア間にタスクを透過的に分散させて
検索の速度を向上できます(図 4 参照)。マルチコアが効果的で
ある場合には自動的に使用されます。これは、モデルのサイ
ズ、階層レベルの数、検索角度の範囲、対象のサイズ、モデル
の数に左右されます。