5 安心・安全な環境づくりをする 【現状と課題】

5 安心・安全な環境づくりをする
【現状と課題】
障害があっても地域で安心して安全に生活できることが大切です。そのためには、
まず障害の早期発見と早期療育に努め、各種の保健・福祉施策へ適切につなげる必要
があります。また、きめ細かな相談指導や家族に対する精神的な支援を充実するとと
もに、地域での保健・医療・福祉等の有機的な連携を強めていくことが重要です。未
熟児は、発達や親の心理面でも支援が必要とされる場合が多いため、支援の充実・強
化が必要です。さらに、障害児の発達を促すため、家庭での養育技術を家族が習得で
きるよう、通園訓練などの充実を図る必要があります。
市内に12箇所ある学童保育所では、現在、障害児を受け入れています。今後、発
達障害
88
など、受け入れに配慮を要する子どもの増加が見込まれるため、受け入れ体
制の強化を図ることが必要とされています。
発達障害児・者に対しては、県の発達障害者支援センター89 との連携を図りながら
支援体制を整備する必要があります。
障害を予防するため、また障害を重くしないためにも、市民一人一人が健康づくり
や生活習慣の改善に取り組む必要があります。
難病者や精神障害者等については、細やかに対応した保健・医療・福祉の連携が求
められています。
高次脳機能障害
20
のある人については、本人及び家族に対する支援を図るとともに、
市民の理解をさらに深める必要があります。
平成18年6月に「ハートビル法」と「交通バリアフリー法」が統合され、「高齢
者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が成立し
ました。こうした動きを踏まえながら、社会的、制度的、心理的なすべての意味合い
でのバリア(障壁)を取り除き、安全で快適に暮らせる福祉のまちづくりを進めてい
くことが必要です。
そのためには、障害者をはじめ市民のニーズを把握し、的確に対応することが必要
です。また、年齢や性別、障害のあるなし等にかかわらず、誰もが利用しやすいよう
に配慮した「ユニバーサルデザイン 97」の考え方を一層推進する必要があります。
障害者が安心して地域生活を送るためには、防災・防犯対策や、急病やけがに備え
た対策を積極的に展開していく必要があります。
このため、防災意識を高める啓発活動を行うとともに、災害時の避難支援や
障害者参加による防災訓練等を行う必要があります。
また、障害者は犯罪や事故の際の対応に困難を伴うことが多いため、通報体制や障
害者の状況に対応した防犯情報の提供を一層充実する必要があります。
【施策の方向】
(1)療育体制を充実する
●療育相談支援体制の整備
№
施
策
102
妊産婦や乳幼児の健康診査や健康相談を一層充実させます。
103
子どもの発育・発達面での保護者の不安を軽減するため、療育機関等と
連携しながら、訪問・相談等の支援を推進します。
104
難聴児と保護者からの各種相談に応じ、難聴児の早期発見や訓練に対す
る支援を推進します。
105
未熟児等に対する、家庭訪問を通じた養育支援を推進します。
106
保健センター、乳幼児相談センター、子育て支援センター、知的障害児
通園施設「つくし学園」、教育センター及び障害者生活支援センター46 等
関連機関の相談機能の充実を図るとともに、連携を強化し、障害児の相
談・指導など専門性・技術性の高いサービスを提供します。
107
小児・思春期の精神保健に関する相談の充実を図ります。
108
障害児に対する地域療育の支援を進めます。
109
心身障害児・者の運動機能の低下を防ぐとともにその発達を促し、併せ
て保護者などが家庭での療育技術を習得するため、日常生活動作、運動機
能などの訓練及び指導などを行うことのできる体制の整備について検討し
ます。
110
障害児・者についての在宅療育支援のありかたを検討するため、保健や
医療、福祉、教育、就労などの関連部課で構成される「(仮称)障害児・
者療育支援体制整備庁内検討会議」を設置します。
●療育支援体制の充実
№
111
施
策
市立保育所、知的障害児通園施設「つくし学園」、乳幼児相談センター
では、乳幼児の相談支援体制を整えるため、専門的人材を確保するととも
に施設・設備の充実を推進します。
№
112
施
策
保健センターについては、乳幼児の発育・発達の遅れを早期に発見し、
乳幼児相談センターで実施している親子教室への紹介等適切な療育の開始
に結び付けることができるよう、各健診・相談の充実を図るとともに、保
護者同士の交流や子どもの発育・発達を促すための支援に努めます。
113
乳幼児相談センターについては、理学療法士
覚士
18
、臨床心理士
102
99
、作業療法士
29
、言語聴
など専門的人材を確保します。これらの人材は、
保健センター、知的障害児通園施設「つくし学園」、保育所、幼稚園等の
共通の人的資源として十分に活用することにより、各施設での障害児療育
の質的向上を図り、療育の継続性を確保するとともに、相談・受け入れ体
制の充実をめざします。
親子教室事業については、子ども家庭課、障害福祉課、保健センター、
知的障害児通園施設「つくし学園」等との情報交換等一層の連携を図りな
がら運営を進めるとともに、子どもの発達状態に応じたクラス運営の充
実・向上に努めます。
114
知的障害児通園施設「つくし学園」については、入園児の障害が重度
化・重複化していることや、利用希望者が増加傾向にあることも鑑み、職
員の資質の維持・向上を図るとともに、必要な人員の確保についても検討
していきます。また、施設の老朽化が進行している中、利用者にとって快
適な療育環境を維持するための施策についても順次検討します。
115
障害のある乳幼児について、保育所での障害児保育の受け入れ体制を整
え、適切な保育(療育)の機会を確保します。また、障害のある乳幼児の
発達状態に応じた適切な療育の機会を確保できるよう、相談機関の機能強
化について検討します。
116
幼稚園との協力や連携を図り、幼稚園に在籍する障害のある幼児の保護者に対
し必要な情報提供等を行うとともに、障害のある幼児の入園促進を図ります。
117
現在、小学校に在籍する障害のある児童に対し、乳幼児相談センターに
おいて療育や訓練を実施していますが、今後、中学校に進学後も継続して
訓練を受けることができる体制の整備について検討します。
118
障害児を対象とする学童保育については、受け入れ体制の整備を引き続
き支援します。
№
119
施
策
障害児を受け入れている学童保育所に対して必要な研修等を実施し、
専門知識を有する指導員を配置するとともに、指導員の増員、円滑な受
け入れや対応の向上等のため、学童保育所を運営する団体に運営費の助
成を行い、安定した放課後児童健全育成事業 94 を推進します。
●発達障害児・者支援の充実
№
施
120
策
障害児・者と家族に対する相談支援を充実させるため、障害福祉課、子
ども家庭課、乳幼児相談センター、知的障害児通園施設「つくし学園」、
保健センター、教育センター、上尾市障害者就労支援センター44、障害者
生活支援センター46 等が専門機関としての機能を充実させるとともに、県
の施設である福祉保健総合センター、保健所、児童相談所、身体障害者更
生相談所
40
、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、埼玉聴覚障
害者情報センター等と連携を一層強化して、各種相談事業を推進します。
(再掲15)
121
市障害福祉課職員による相談援助のほか、障害者相談支援事業を障害者
生活支援センターに委託するなど、さまざまな福祉サービスの利用や自立
のための相談体制を充実させます。また、住み慣れた地域で暮らすことを
支える役割を担う上尾市・伊奈町地域自立支援協議会
72
など、地域のネッ
トワークづくりを引き続き支援します。(再掲17)
122
発達障害者支援センター 89 (県の委託事業)で実施している、自閉症
32
、アスペルガー症候群1、LD7(学習障害)、ADHD4(注意欠陥多
動性障害)などの発達障害児(者)の相談事業と連携を密にし、市として
の相談支援を図ります。(再掲18)
123
小・中学校の通常の学級で学ぶ児童生徒を含め、障害のある児童生徒に
対する就学支援のあり方について、本人の意思を尊重しながら検討を進め
ます。また、「支援籍
30
」の普及を図り、障害のある児童生徒と障害のな
い児童生徒が共に学ぶ環境づくりを推進します。(再掲84)
124
通常の学級に在籍する児童生徒が、障害に応じて特別な指導を受ける
「通級による指導
76
」を充実するとともに、担当教員に対する指導方法等の
研修を充実します。(再掲92)
№
125
施
教育センターや特別支援学級
79
策
で行っている教育相談体制の充実を図る
とともに、特別支援学級の機能を充実・強化します。また福祉、医療、保
健、雇用等の関係機関との連携を強めます。
(2)保健・医療サービスを充実する
●健康づくりの推進
№
126
施
策
障害を予防したり、障害を重くしたりしないためにも、生活習慣病の予
防等、市民自らが主体的に健康づくりを進めるとともに、行政、民間団
体、企業等も一体となった、きめ細かな支援策を推進します。
127
健康づくりに関する情報やプログラムの提供、健康づくりの指導者(保
健師
95
、栄養士、歯科衛生士、健康運動指導士等の専門職だけでなく、食
生活改善推進員等のボランティアを含む)を確保するとともに、新たに健
康づくりに携わる人々を養成するなど、市民に対する各種健康づくり事業
を展開します。
128
保健師・栄養士等の専門職の資質の向上を図るとともに、適正な人員の
確保を図ります。
129
障害者等が身近な地域で歯科診療を受けられるよう、環境を整備しま
す。また、一般の歯科診療所では対応が困難な重度の障害者(児)の歯科
診療や口腔衛生指導を行うため、県立障害者歯科診療所や県歯科医師会口
腔保健センター、歯科医師会との連携強化を図ります。
●難病患者支援の充実
№
130
施
策
地域における難病患者等の日常生活を支援することにより、難病患者等
の自立と社会参加を促進します。
131
難病患者等の生活の質の向上と家族の介護負担を軽減するため、難病患
者等居宅生活支援事業(ホームヘルプサービス事業、日常生活用具給付事
業)を継続して実施します。
●保健・相談体制の充実
№
132
施
策
市民への精神障害者に対する正しい理解の普及を図るとともに、精神障
害者の社会復帰及び社会参加に対する支援を推進します。
133
精神障害者の社会復帰と生活の質の向上を図るため、相談体制の充実に
努めます。
134
県や各医療機関等との連携の下に、障害者に対する相談・判定・医療か
ら職能訓練、社会復帰までの一貫したリハビリテーション
100
サービスの
総合的な提供を推進します。
135
高次脳機能障害
20
のある人及び家族への助言や情報提供を行うととも
に、市民に対し高次脳機能障害に関する正しい理解の啓発に努めます。
●公費負担医療制度の充実
№
136
施
策
障害者の社会復帰を支援し身体の機能障害を改善・軽減するため、対象
となる市民に対し、自立支援医療
54
(精神通院医療・更生医療・育成医
療)の周知を強化し、利用促進を図ります。
137
特定疾患や小児慢性特定疾患患者に対し、医療費公費負担制度の周知を
強化し、利用促進を図ります。
138
重度心身障害者(児)や家族の経済的負担を軽減し、重度心身障害者
(児)の健康を守るため医療費を助成します。また、利用しやすい制度に
向けた改善に取り組みます。
(3)福祉のまちづくりを推進する
●(仮称)上尾市バリアフリー基本構想の推進
№
139
施
策
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフ
リー新法)」に基づき、まちのバリアフリー90 化を一体的、計画的に推進
するための「バリアフリー基本構想」を策定します。また、策定後の計画
実現と進行管理のため、市以外の関係機関や障害者団体等を交えた協議会
を設置し、障害者をはじめ市民の意見を反映させながら的確に運用しま
す。
●まちづくりの総合的推進
№
140
施
策
公共施設設計等の技術的課題や市の法制度等に関する課題について、市
職員と市民との対話・意見交換の場を定期的に開き、障害者をはじめ市民
ニーズにきめ細かく的確に対応した、バリアフリー90 施策のスパイラル・
アップ(継続的な改善)を図ります。
141
安全な通行に支障となる放置自転車対策を上尾市自転車放置防止条例に
基づき推進します。また、障害者用駐車場の利用マナーを守ってもらえる
よう、市民への意識啓発を図ります。
142
市内の公共施設、道路等のバリアフリー化の実態を把握し、障害者等の
外出を支援するための情報提供を目的とした「バリアフリーマップ」の作
成について検討します。
●公共施設等の整備
№
143
施
策
条例等で義務付けのない既存の
公共建築物についても、エレベー
ター、多機能トイレ(オストメイ
ト用の機能を含む)、スロープ、
フラッシュベルの設置等、市民の
利用実態を踏まえながらバリアフ
リー化を推進します。
多機能トイレ
144
段差の解消や視覚障害者用誘導
ブロックの設置等を市民の利用実
態を踏まえながら推進し、快適で
安心して利用できる道路や公園に
改善していきます。
整備された北上尾駅東口の歩道
145
安心して外出できるよう、音響式信号機など必要な交通安全施設の設置
を関係機関に要望していきます。
№
施
146
策
駅を中心とした周辺地区を誰もが快適に安心して移動できるよう
に、エレベーターやスロープの設置、歩道の拡幅などバリアフリー
90
147
化整備を進めます。
ノンステップバス
87
の導入促進、駅へのエレベーター設置など、交通機
関のバリアフリー化を関係機関に対して引き続き働き掛けていきます。
●ユニバーサルデザイン 97 化の推進
№
148
施
策
埼玉県福祉のまちづくり条例により市に届け出が義務付けられている建
築物等について、届け出の指導徹底を図りつつ、整備基準に適合した設計
とするよう協力要請を続けます。
149
埼玉県福祉のまちづくり条例を踏まえて、よりきめ細かな市独自の福祉
のまちづくり条例等の制定について検討していきます。
150
民間建築物のバリアフリー化を経済的に支援し促進するため、彩の国福
祉のまちづくり資金利子補助制度等の普及拡大に努めます。
151
誰もが利用しやすい生活環境づくりのため、埼玉県で取り組んでいる
「彩の国福祉宣言店」の市内での普及拡大を図ります。
(4)安全な暮らしを確保する
●防災対策の充実
№
152
施
市内各所の自主防災組織
31
策
が行う防災訓練への参加を障害者に対し積極
的に呼び掛けます。
153
各種の障害に応じた緊急災害時の具体的な対処方法や避難方法などをマ
ニュアル化するとともに、その内容を盛り込んだ防災パンフレットの作
成、市ホームページへの掲載等を順次実施します。
154
緊急災害時に援護を必要とする人の名簿(要援護者名簿)の作成を検討
します。市、消防、民生委員、自主防災組織等が名簿を共有し、災害時に
おける避難誘導や安否確認などに役立てます。
155
聴覚障害者等の希望に応じて、情報伝達を効果的に行い緊急時の安全確
保を図るため、ファクスによる防災行政無線情報の提供を継続します。ま
た、メールでの対応についても検討していきます。
№
156
施
策
埼玉県防災情報メールや、携帯電話会社が行うメールによる防災情報提
供サービス事業への利用登録を呼び掛けます。
157
設置が義務化された住宅用火災警報器の普及拡大を図ります。
158
電光掲示板を搭載した、飲料水等の地域貢献型自動販売機を市内各所の
公共施設等に設置し、平常時には地域情報や行政情報などを視覚情報とし
て表示します。災害等の緊急時にはリアルタイムで災害情報を提供し、ま
た、遠隔操作で自動販売機内の商品を飲料水として無料で提供する等の対
策も順次実施します。
大石公民館
北上尾駅西口
北上尾駅
消防本部 東消防署
市役所本庁舎
コミュニティセンター
西消防署 大石支所
総合福祉センター
児童館こどもの城
市民体育館
上尾駅出張所
上尾駅
西口駐車場
東口駅前広場
東口駐車場
文化センター
原市公民館
平方支所
大谷公民館
地域貢献型自動販売機
設置場所
●防犯対策の整備
№
159
施
策
障害者の緊急時の通信手段である「ファクス110番
び携帯電話による「メール110番
96
な広報活動を推進し普及に努めます。
91
」やパソコン及
」の普及・活用を図るため、積極的