ハインリッヒの法則

白岡市立南中学校
校 長 室 通 信
平成 28 年 5 月 24 日
学校事故の事例を調べていて、右の
話があった。「学習用の張り紙の位置を
戻そうとして」というあたりに、本当
に気の毒というか、胸が締め付けられ
る思いがする。ネットで調べていると、
その日近くの出来事も思い出させてく
れる。JR横浜線の踏切で、お年寄り
を助けようとして踏切に入った女性が
はねられ亡くなった事故もこの頃だ。
気持ちをどこに持っていったらよいか
わからなくなってしまった。
南地区育成会の総会が先週あった。
育成会の活動の基本は生徒の安全をい
かに確保するかである。地区をあげて、
生徒の安全確保に尽力をいただいてい
る。ありがたいと思うのと同時に学校
としても常に安全確保を意識しなけれ
ばならないと改めて思っている。
ハインリッヒの法則
No.35
貼り紙直そうと教室から小4男児転落…意識不明
1日午後2時頃、鹿児島県さつま町宮之城
屋地の盈進(えいしん)小学校で、3階建て校
舎の2階の教室の窓から4年生の男児(9)
が約5・5メートル下の地面に転落した。
ドクターヘリで鹿児島市の病院に運ばれた
が、頭を強打しており、意識不明の重体。
さつま署や消防によると、男児が転落した
のは休み時間。コンクリートと土のグラウン
ドの境目付近に落ちたという。
町教委によると、教室の窓付近にワイヤで
つるされていた学習用の貼り紙の位置が風で
ずれたため、男児が元に戻そうと窓際の棚の
上に乗ったところ、バランスを崩し、開いて
いた窓から転落したらしい。
(2013 年 10 月 2 日「読売新聞」)
ハインリッヒ*1 は「労働災害全体の 98 %は予防可能である」と指摘している。軽災害
をなくせば、重大災害もなくなり、ヒヤリ・ハットをなくせば、軽災害もなくなる。不安
全状態、行動をなくせば、ヒヤリ・ハットも
なくすことが可能だという。
300 件のヒヤリ・ハットを分析、原因を探り
対策をとること、つまりその背景にある、「不
安全行動」や「不安全状態」を取り除くこと
が、1 件の重大災害、29 件の軽災害を未然に
防ぐことにつながることになる。人命にかか
わる重大事故を防ぐには、日ごろのささいな
取り組みが不可欠ということに他ならないと
1件の大きな事故・災害の裏には、29 件の軽微な事故・災害、
そして 300 件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもの いうことだろう。誰も幸福になれないこうし
のヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされる。重大災 た事故。もちろん学校でもあってはならない
害の防止のためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ
事故。絶対に起こしてはいけない。先生方に
・ハットの段階で対処していくことが必要である。
(Wikipedia)
は、より多くの鋭い目で、身の回りの「安全
でない環境」「安全でない行動」はないか確認願いたいと思う。
*1 1931 年に初版が発行された Industrial Accident Prevention - A Scientific Approach は、「災害防止のバイブル」として、NASA を初め
数多くの著作物等に引用され、結果ハインリッヒは「災害防止のグランドファーザー(祖父)」と呼ばれるようになる。(Wikipedia)