家具の生産計画: ソルバー結果

「基礎 OR」/「OR 演習」 第1回(2016/10/04)宿題解答例
宿題1.1
家具A,B,C,D の生産量をx, y, z,w とすると、各作業の所要時間制約の下で、利益最大化を
図るという、典型的な線形計画問題として定式化できる。
最大化
90x + 160y + 40z + 100w
制約
7x + 8y + 3z + 5w ≤ 1000
5x + 4y + 8z + 5w ≤ 720
5x + 8y + 4z + 2w ≤ 640
x, y, z,w ≥ 0
家具の生産計画: ソルバー結果
家具の種類
家具1台当たりの利益(ドル)
家具1台当たりの切断時間(時間)
家具1台当たりの研磨時間(時間)
家具1台当たりの仕上げ時間(時間)
A
90
0
7
5
2
B
160
55
8
4
8
C
40
0
3
8
4
D 実際の生産時間
総利益
100
18800
100
生産能力(時間)
5
940
≦
1000
5
720
≦
720
2
640
≦
640
変化させるセル
セル
$B$14
$C$14
$D$14
$E$14
計算 限界
値
コス ト
0 -10
55
0
0 -130
100
0
名前
A
B
C
D
目的セル 許容範囲内 許容範囲内
係数
増加
減少
90
10
1E+30
160
240
80
40
130
1E+30
100
100
10
制約条件
セル
名前
$F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間
$F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間
$F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間
計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内
値 価格
右辺
増加
減少
940
0
1000
1E+30
60
720
15
720
80
400
640 12.5
640
96
352
最適解はB を55 個、D を100 個作り、A,C は作らない、という計画で、利益は18800。
(1) 切断工程のスラックは60 ある。スラックとは余裕の意味で、最適生産計画を実施した場合、
切断工程はボトルネックにならず、それだけ余裕があるということを表す。
(2) 感度レポートを見ると、A の許容範囲内増加が「10」とあるので、10 増えるまでは生産し
ないのが良い。従って、100 以上の利益が無いと生産の可能性は無い。
(3) 感度レポートで、B の許容範囲内減少が80 となっているので、最適計画は変わらない、し
たがって、単純に生産量55 に利益の減少分60 を掛けた3300 が総利益から削られ、総利益は
15500となる。
1
(4) 感度レポートで、研磨時間の潜在価格が15 となっているのは、制約が720 から721に増え
たとき、総利益は15 増えるということを意味する。研磨機を借りて制約を増やすのに20 も掛
かるようでは意味がない。
(5) 感度レポートで、C の限界コストが「-130」となっているので、1個を強制的に作るとす
れば130 の減収になる。
(6) 感度レポートで、仕上げ時間の潜在価格が12.5、その許容範囲内増加が96から、最大利益
は少なくとも12.5に96を掛けた1200は増加する(感度レポートからは、18800+1200=20000以
上としか言えない。実際、最大利益は20000 となり、スラックは切断時間から研磨時間へ移動
する。)
宿題 1.2(
「タイヤ工場の生産計画」
)ソルバー例(略解)
以下に、実質的に等価な二つの定式化によるソルバーのモデルを示す。以下に定式化の概略
とソルバーの問題画面を示すが、数式による定式化の詳細や具体的な係数値(とくに目的関数
の係数値)の算出が分らない場合は質問すること。
なお、問題文には明記していないが、期末の在庫が負になること、つまり、出荷計画に対し
て品切れを発生させることは許されないことは明らかであろう。定式化の最初は何を変数とす
るかの決定である。問題文から、決めたいことは各月の Wheeling 機械、Regal 機械によるナ
イロンタイヤ、ファイバーグラスタイヤの生産量の決定であることは明らかであろう。以下に
示す最初の定式化は、これら 12 個の変数で問題を表現する定式化である。制約は、各月の各
機械の生産能力、すなわち、各機械の使用可能時間を越えないこと、および、品切れなく、出
荷計画を満足することである。以下の定式化の上の 6 本の制約が各月、各機械の機械能力制約
であることは自明であろう。一方、品切れなく出荷計画を満足するためには、6 月の生産量は 6
月の出荷量以上、7 月までの累積生産量は 7 月までの累積出荷量以上、8 月までの累積生産量
は 8 月までの累積出荷量以上、となっていればいい。これが、在庫に関する 6 本の制約である。
この定式化において、ちょっとやっかいなのが、目的関数の設定である。生産量に依存して
変化するのは、生産変動費と在庫保管費で、それ以外は生産量に依存せずに定まることに注意
しよう。そこで、定式化の目的関数は、生産在庫費と在庫保管費の合計の最小化としてある。
収入をプラス、支出をマイナスと考えることにするので、生産 1 単位当たりの費用はマイナス
表示することにしよう。どの機械を使っても、生産の変動費用は、時間当たり 5,000 円なので、
ナイロンに関しては、Wheeling 機械(以下、W 機械)のタイヤ 1 本当たりの生産変動費用は
5,000*0.15=750 円、Regal 機械(以下、R 機械)のタイヤ 1 本当たりの生産変動費用は 5,000
円*0.16=800 円、同様に、グラスファイバーに関しては、W 機械が 5,000 円*0.12=600 円、
R 機械が 700 円となる。一方、在庫に関しては、単価が 100 円で、
6 月末のナイロンの在庫量=6 月の W 機械のナイロンの生産量+6 月の R 機械のナイロ
ンの生産量-6 月の出荷量(4000)
となる。また、7 月末のナイロンの在庫量は、
7 月末のナイロンの在庫量=6・7 月の W 機械のナイロンの生産量+6・7 月の R 機械に
ナイロンの生産量-6・7 月の累積生産量(=12,000)
となる。8 月末の在庫は 0 と考える。以上から、
6・7 月のナイロンの在庫量の総和=2*(6 月の W 機械のナイロンの生産量)+7 月の
2
W 機械のナイロンの生産量+2*(6 月の R 機械のナイロンの生産量)+7 月の R 機械のナイロン
の生産量
となり、これに単価 100 円をかけたものがナイロンの在庫保管費となる。グラフファイバーに
関しても同様。これと、前述の生産変動費を足し合わせると、
総変動費用と在庫保管費用の合計=950*6 月の W 機械のナイロン生産量+1000*6 月の
R 機械のナイロン生産量+850*7 月の W 機械のナイロン生産量+・・・-16,000
となる。これが、一番目の定式化の目的関数(定数部分は除く)に対応する。この定式化は在
庫量を変数とおいていないので、在庫保管費用の考慮がちょっとやっかいである。
(しばらく見
ていなかったら、森戸もなぜ、この定式化でいいのか分らなくなって、正しいことを理解する
までにしばらく時間がかかった)
この種の問題に対するもう一つの定式化は、各月末の在庫量も変数として扱う定式化である。
変数は、各月、各機械による各製品の生産量の 12 個の変数に加えて、各月末の各製品の生産
量 4 個も変数と考える(なお、以下では、8 月末の両製品の在庫量は 0 でよいと考えている)。
こう考えると、生産量と在庫量との間には、
前月末の在庫量+当月の生産量-当月の出荷量=当月末の在庫量
という関係があるので、制約としては変数を左辺に、定数を右辺に定式化すると
前月末の在庫量+当月の生産量-当月末の在庫量=当月の出荷量
という等式制約となる。機械能力制約は、一番目の定式化と変わらない。
この定式化は、在庫量が変数として扱われているので、目的関数の扱いは、一番目の定式化
よりはるかに簡単である。
(1) 例1:製品別機械別月別生産量(非負実数)だけを変数とした場合
目的関数は、基本的に生産変動費+在庫保管費に対応する。正確には、21473333-100*
(16000+7000)=19173333 が生産変動費と在庫保管費の合計となる。これに材料費と包装・出
荷費 95380000(定数)を加えた 114553333 が総費用となる。
費用
-21473333.33
-950 -1000
-850 -900 -750 -800 -800 -900 -700 -800 -600 -700
ナイロン
グラスファイバー
6月
7月
8月
6月
7月
8月
W
R
W
R
W
R
W
R
W
R
W
R
1866.7 7633.3
0 2500 2666.7 333.33 3500
0 2500
0 5000
0 左辺
6月W機械能力
0.15
0.12
700
7月W機械能力
0.15
0.12
300
8月W機械能力
0.15
0.12
1000
6月R機械能力
0.16
0.14
1221.3
7月R機械能力
0.16
0.14
400
8月R機械能力
0.16
0.14 53.333
6月末ナイロン在庫
1
1
9500
7月末ナイロン在庫
1
1
1
1
12000
8月末ナイロン在庫
1
1
1
1
1
1
15000
6月末グラス在庫
1
1
3500
7月末グラス在庫
1
1
1
1
6000
8月末グラス在庫
1
1
1
1
1
1 11000
プラス分
純益 出荷量
56650000 ナイロン 3670 15000
54270000 グラス
4870 11000
100 16000
100 7000
総利益
89446666.67
時間換算した解
所要時間
280 1221.3
0.15
0.16
0
0.15
400
0.16
400 53.333
3
0.15
0.16
420
0.12
0
0.14
300
0.12
0
0.14
600
0.12
0
0.14
右辺
≦
700
≦
300
≦ 1000
≦ 1500
≦
400
≦
300
≧ 4000
≧ 12000
= 15000
≧ 1000
≧ 6000
= 11000
(2)例2:製品別月末在庫量(非負実数)も変数に加えた場合(感度レポートも添付)
費用
-19173333.33
-750 -800 -100 -750 -800 -600 -700 -100 -600 -700 -100 -600 -700
ナイロン
グラスファイバー
6月
7月
8月
6月
7月
8月
W
R
在庫 W
R
在庫 W
R
W
R
在庫 W
R
在庫 W
R
1866.7 7633.3 5500
0 2500
0 2666.7 333.33 3500
0 2500 2500
0
0 5000
0 左辺
6月W機械能力
0.15
0.12
700
7月W機械能力
0.15
0.12
300
8月W機械能力
0.15
0.12
1000
6月R機械能力
0.16
0.14
1221.3
7月R機械能力
0.16
0.14
400
8月R機械能力
0.16
0.14 53.333
6月末ナイロン在庫
1
1
-1
4000
7月末ナイロン在庫
1
1
1
-1
8000
8月末ナイロン在庫
1
1
1
3000
6月末グラス在庫
1
1
-1
1000
7月末グラス在庫
1
1
1
-1
5000
8月末グラス在庫
1
1
1 5000
収入
-750
-800
-100
≦
≦
≦
≦
≦
≦
=
=
=
=
=
=
右辺
700
300
1000
1500
400
300
4000
8000
3000
1000
5000
5000
純益 出荷量
55050000 ナイロン 3670 15000
53570000 グラス
4870 11000
総利益
89446666.67
変化させるセル
セル
$B$6
$C$6
$D$6
$E$6
$F$6
$G$6
$H$6
$I$6
$J$6
$K$6
$L$6
$M$6
$N$6
$O$6
$P$6
$Q$6
名前
W
R
在庫
W
R
在庫
W
R
W
R
在庫
W
R
在庫
W
R
計算
値
1866.666667
7633.333333
5500
0
2500
0
2666.666667
333.3333333
3500
0
2500
2500
0
0
5000
0
限界
コスト
0
0
0
-24.99999998
0
-200.0000001
0
0
0
-59.99999999
0
0
-47.49999998
-200.0000001
0
-59.99999918
目的セル
係数
-750
-800
-100
-750
-800
-100
-750
-799.9999999
-600
-700
-100
-600
-700
-100
-600
-699.9999993
許容範囲内
増加
59.37499998
50
54.28571427
24.99999998
1E+30
200.0000001
74.99999896
49.99999993
19.99999999
59.99999999
19.99999999
1E+30
47.49999998
200.0000001
1E+30
59.99999918
許容範囲内
減少
24.99999998
74.99999999
24.99999998
1E+30
54.28571427
1E+30
49.99999993
74.99999896
47.49999998
1E+30
47.49999998
19.99999999
1E+30
1E+30
59.99999917
1E+30
潜在
価格
333.3333333
1166.666667
333.3333328
0
625
0
-800
-900
-799.9999999
-640
-740
-639.9999999
制約条件
右辺
700
300
1000
1500
400
300
4000
8000
3000
1000
5000
5000
許容範囲内
増加
1145
300
50
1E+30
880
1E+30
1741.666667
1741.666667
1541.666667
2177.083333
2177.083333
1927.083333
許容範囲内
減少
261.25
261.25
231.25
278.6666667
278.6666667
246.6666667
7633.333333
5500
333.3333333
3500
2500
416.6666667
制約条件
セル
$R$7
$R$8
$R$9
$R$10
$R$11
$R$12
$R$13
$R$14
$R$15
$R$16
$R$17
$R$18
名前
6月W機械能力 左辺
7月W機械能力 左辺
8月W機械能力 左辺
6月R機械能力 左辺
7月R機械能力 左辺
8月R機械能力 左辺
6月末ナイロン在庫 左辺
7月末ナイロン在庫 左辺
8月末ナイロン在庫 左辺
6月末グラス在庫 左辺
7月末グラス在庫 左辺
8月末グラス在庫 左辺
計算
値
700
300
1000
1221.333333
400
53.33333333
4000
8000
3000
1000
5000
5000
4
1)最大利益=89446666、最適生産量はExcelシート参照。
2)8 月の Wheeling 機械の能力を 172 時間増やしても、利益の増分は 16666.66665 にすぎない。
したがって、20 万円支払う価値はない。
3)Regal機械に関しては、能力に余裕のある6月か8月。Wheeling機械は、余力のある月はない
が、潜在価格が低い6月か8月(6月の方が許容範囲内減少が大きいので6月の方がよい、と考え
てもよい)。
5