自然体験活動「不登校児童・生徒の主体性・社会性を育む体験活動の

分野別事例発表:自然体験活動
事例1「不登校児童・生徒の主体性・社会性を育む体験活動の在り方について
~青少年の自立支援事業(里山夢体験)の取組みを通して~」
沖田
敬治
氏(広島県教育委員会事務局生涯学習課
吉岡
康行
氏(広島県立福山少年の家
社会教育主事)
専門員)
1.青少年の自立支援事業(里山夢体験)とは
(1)不登校児童・生徒の今日的課題,広島県の実態
(2)文部科学省委託事業
(3)事業の趣旨,特徴
2.青少年の自立支援事業(里山夢体験)の実際
(1)プログラム立案のキーワード
「継続性とストーリー性」「体験活動」「創作活動」「安心感と連帯感」「自発性,創
造性」「規則正しい生活のリズム」「保護者同士の交流,カウンセリング」「安全管理
と危機管理」
(2)運営上のキーワード
「達成感と成就感」「ボランティアスタッフの養成」「リスクマネジメント」
①
②
3年間の取組みについて(平成 17 年度~平成 19 年度)
実際の活動内容について
③
平成 17 年度 体験活動「鞆探訪,ちくわづくり,塩づくり」等
平成 18 年度 達成感と成就感,継続性「里山ハイク 42.195 物語」等
平成 19 年度 継続性「アドベンチャーシリーズ」「里山プレイパーク」等
ボランティアスタッフについて
とも
3.児童生徒及び保護者に対する側面的支援
【児童生徒に対する支援】
(1)体験活動に見られる心理状況
(2)支援の内容
①
体験活動における支援
②
体験活動以外の支援
【保護者に対する支援】
(1)保護者交流会
(2)カウンセリング
4.まとめ
(1)再登校の状況
(2)行動等から見られる児童生徒の好ましい変化
事例2「幼児キャンプの実践」
山本
裕之
氏(国立立山青少年自然の家
事業推進課
事業推進係)
1.幼児キャンプ実践の経緯
我が国において,青少年の体験活動の頻度が以前に比べて減少しており,体験不足と
子どもたちの未熟性との関連性が先行研究で指摘されている。それに関連して,中央教
育審議会等でより低年齢からの体験活動の必要性が謳われている。
国立立山青少年自然の家では,幼児(小学校低学年)対象の自然体験活動プログラム
(アクティビティー)開発を平成16年度から取り組んでいる。まず,小学校低学年・
幼児対象の自然体験活動事例集「キッズ・自然は友だち」を「無積雪期(春・夏・秋)」
「積雪期(冬)」の各シーズンに分けて作成するとともに,小学校1~3年生児童対象
キャンプを実施している。幼児(年長児)対象キャンプについては平成18年度から実
施し,今年度(平成19年度)については,9月・2月の計2回実施している。
2.「Kids 森もり夢体験(幼児夏キャンプ)」の概要
平成19年9月に1泊2日の日程で行っ
た「Kids 森もり夢体験(幼児夏キャンプ)」
では,年長児 27 名(男子 20 名,女子7名)
が参加し,右図(表1)の日程で実施した。
キャンプのねらいは,「自然の中で五感
を働かせ,自然をより身近に感じる」 ,
「自分なりに表現することの心地良さを感
じる」,「『やればできる』気持ちをもつ」
表1 キャンプのプログラム(概要)
1日目
○出会いのつどい
○テントへ移動,エリア探検
○昼食
○自然とふれあいゲーム
(体ジャンケン,葉っぱジャ
ンケン,葉っぱ匂い当てゲ
ーム)
○ペットボトルランタンづくり
○夕食,入浴
○ランタンロードめぐり,絵本
読み聞かせ,常設テント泊
2日目
○早朝ハイク
○朝食野外炊飯
○テント整理,荷物整理
○森のお土産さがし
(自然の中で見つけた
「音」を絵で表したり、
「物」を持ち帰ったりする)
○昼食
○ふりかえり,おわりのつど
い
とし,キャンプのねらいを達成するために,
右図(表2)の支援策に取り組んだ。
キャンプ後,参加者の保護者に
表2 ねらいを達成するための取り組み
対して調査を実施したところ,特に
○自然の中で過ごす時間をできるだけ多くした。
○参加者の五感を刺激するアクティビティーを設定した。
自然とふれあいゲーム,ランタンロードめぐり など
○参加者がキャンプを楽しめる雰囲気づくりを心がけた。
各班の名前(○○レンジャー),集合時の合図,全体でのかけ声 など
○自分のことは自分でできた!と思わせるように配慮した。
活動場面(荷物整理・野外炊飯・入浴等)
運営面{時間のゆとり・手助けしながら見守る・「活動」と「休憩」のメリ
ハリ・できたらどんどん褒める・絵で示したスケジュール表を設置・一人
一人の役割が明確になる班編制(6~7名)}
○キャンプの約束事を決め,のびのびと自己表現でき,他者受容ができ
る環境づくりを心がけた。
「自分のことは自分でできたらいいね」「ありがとう・ごめんなさいが言
えたらいいね」「悲しくなったら泣いていいんだよ」「間違えてもいいんだ
よ」
「自然に対する興味・関心が深まっ
た」,「キャンプ(自然体験活動)に
対するイメージが良くなった」,「何
事にも積極的に行動するようになっ
た」,「自分のことは自分でするよう
になった」,「保護者の子どもに対す
る見方が変わった」などの変化が見
られたと感じていた。
3.今後の実践にむけて
事業をふりかえり,「評価方法の検討」,「対象に合わせたアクティビティーの展開」,
「綿密なリーダートレーニングの必要性」が課題として挙げられる。幼児用手袋・軍手
の開発など,今後も検証・開発を進めながら,幼児の目線に立った自然体験活動の在り
方を追究していきたい。
事例3「水辺の体験活動・子どもの水辺安全講座・茨城県取手市小貝川での
事例報告」 高橋 晃雄 氏 (NPO 法人 川に学ぶ体験活動協議会 広報部理事)
1.川に学ぶ体験活動協議会
平成 10 年の河川審議会「川に学ぶ」小委員の答申「川に学ぶ社会に向けて」を具体
化するために,平成 12 年に国土交通省,河川環境管理財団等の支援の下,全国各地で
川フィールドに活動を行っている市民団体が中心となって任意団体として設立。平成 17
年にNPO法人として認証。現在,個人も含めて約 140 団体が加盟。River Activities
Council の頭文字から通称 RAC。
川での体験活動を支援・推進するあらゆる活動を,時代に合わせて総合的に展開。特
に,安全に楽しく体験活動を引率する「指導者育成」や「セルフレスキュー~安全は自
分で確保するもの」の観点から危機管理を学ぶ「子ども水辺安全講座」などの教育活動
に力を入れている。
2.子どもの水辺安全講座
目
的
(1)川で活動することの楽しさと,そ
こに潜む危険性について知る。
(2)知識と活動方法を実際に体験し,
事故を起こさない実際的な方法を
身につける。
プログラムの目標
(1)水辺の魅力を知り,またその魅力
は危険な姿にかわることに気づく。
(2)危険を事前に予知する能力を養
いこれを避けるための方法を知る。
(3)もしもの時のため,実際の対処法
を見につける。
参加条件
小学校1年生から中学生
留意点
(1)実施環境は,開催地域の水辺の性
質をよく現しているか同等の場所
を選ぶ。
(2)危険を予知し,それを防ぐことに
主眼を置く。
(3)もしものときは「まず先に自分の身体を守る」ことを強調して進める。
(4)子どもの自然環境下での活動では,日頃からの運動不足に加え,日射・脱水・水中
での体温喪失等により疲労しやすい状態にあるので,活動時間には気を配る。
(5)講座の内容を参加者の発達年齢に応じて工夫する。また,体力においても同様。