序文からの抜粋(PDFファイル/0.5MB)

著者&訳者
序文からの抜粋
“Harp for Today”(邦題「新ハープ教本」)は、わかりやすくて包括的な、ハープの教則本です。この本は、ハープ
のテクニックの基礎、たくさんの段階的な練習課題、そして後半の「全般的な助言と心構え」により構成されてい
ます。それぞれのテクニックは、その手法を正しく理解できるように、写真や解説をつけて簡潔にわかりやすく説
明されています。私たちが 5 巻から成る子供のための“Harp Olympics”を出版して以来、たくさんの教師の方々か
ら、次は大人やティーンエイジャー向けの教則本を書いてほしいという要望をいただきました。そして私たちも長
年の教師としての経験から、基礎的なハープのテクニックを明瞭に説明し、数多くの練習課題によって、そのテク
ニックを上達させることができるような実用的な教則本の必要性を感じてきました。私たちはまた、
「全般的な助言
と心構え」の章で、若い優れたプロフェッショナルのハーピストたちを勇気づけ、激励しようと努めました。この
章には、芸術的な演奏、コンクールやコンサートそしてオーケストラ・オーディションの準備方法、暗譜、ジェス
チャー、ダイナミクス、音の質、和音、プログラムの組み立て、効果的な練習法の提案、キャリアについての考察、
などの項目が含まれています。私たちの願いは、この本が、たくさんの方々の「ハープを演奏したい」という夢を
実現するために役に立つことです。
スーザン・マクドナルド
リンダ・ウッド・ロロ
この度、スーザン・マクドナルド先生の教師としての業績の集大成である“Harp for Today” の日本語版が出版さ
れることを、大変うれしく思います。この“Harp for Today”
(邦題「新ハープ教本」)は、基礎からハープを学ぶ人、
ハープ専門の学生、プロとしての第一歩を踏み出す人、さらにはハープの指導者にとって、大変有意義な本だと確
信しています。
スーザン・マクドナルド先生は、フランスの著名なハーピスト、作曲家、教育者であったアンリエット・ルニエ
(1875-1956)の晩年の生徒として、ルニエ・メソッドを受け継がれたハープ界の第一人者です。ハープ奏者とし
てはもちろん、教育者として、また世界ハープ会議(World Harp Congress)のアーティスティック・ディレクタ
ー、USA 国際ハープ・コンクールの創設者として、世界のハープ界に貢献されています。マクドナルド先生は、
南カリフォルニア大学、ジュリアード音楽院などの教授を経て、現在はインディアナ大学の抜群教授
(Distinguished Professor)として、世界中から集まる生徒たちの指導に当たっておられます。
リンダ・ウッド・ロロさんはカリフォルニア在住のハーピストで、アシスタントとして、常にマクドナルド先生を
支えてこられました。私どもの親しい友人でもあります。
マクドナルド先生は、暖かく美しい、クリーンな音でハープを響かせること、そして美しいフレーズをつくること
を、何よりも大切にされています。この本の第一部では、それを実現するための基礎のテクニックを、適切な練習
課題を使って、大変わかりやすく解説しています。第二部では、ハープを練習する上での基本的な心構えや、プロ
フェッショナルとして活動していく上での心構えなどを、丁寧に述べています。
たくさんの方々にこの教本を読んで参考にしていただき、何よりも、美しい音、暖かい音、クリーンな音を大切に
するハーピストがたくさん生まれることを、心から願っています。
吉野 篤子
マクドナルド先生は(母を除けば)私の唯一のハープの先生です。先生との出会いは、私が 6 歳の時、父の転勤で
引っ越したアメリカのロサンゼルスでした。マクドナルド先生は教師として、本当にたくさんの優れたハーピスト
を育ててきました。私は幸いにも、ハープを習い始めた最初の段階から、母と一緒に先生の教えを受けることがで
きました。そのおかげで、いろいろと難しく考えたり苦労したりすることもあまりなく、自分に一番適したハープ
のテクニックを最初から自然に身につけることができたのだと思います。
この“Harp for Today” では、マクドナルド先生が長年にわたって生徒たちに伝えてこられた、ハープを弾くため
の基本的な知識とテクニックが記されています。どれも、私が先生と共に過ごした長い年月の中で、先生から与え
られえ、学んできた大切なことばかりです。
母は、この本がアメリカで出版された直後から、
「ぜひ日本語版を早く作り、一人でも多くの日本のハーピスト、あ
るいはハープと関わる人たちに、このマクドナルド先生の素晴らしいテクニックと考えを届けたい」と思っていま
した。この度は、その母の願いを共に実現することができて、本当に良かったと思っています。
吉野 直子