Windows Server 2012 R2 だけで実現できる ビジネス継続性

Windows Server 2012 R2 だけで実現できる
ビジネス継続性対策ガイド
Windows Server 2012 R2 は、標準的なハードウェアを使用しながら、信頼性と可用性を高める各種機能をオペレー
ティング システム (OS) 標準の機能として搭載しています。バックアップによるデータの保護はもちろんのこと、
Windows Server 2008 R2 以前は上位エディションだけに提供されていた高可用性機能が、Windows Server 2012 か
らは標準機能として利用可能になりました。また、クラウドとの連携により、リモート サイトによる災害対策を低コスト
で導入できるようにもなります。
このホワイト ペーパーは、中小規模企業の IT 部門担当者を対象に、ビジネス継続性対策 (BCP: Business Continuity
Planning) に役立つ、Windows Server 2012 R2 の可用性機能およびバックアップ機能を説明します。また、これらの
機能が簡単に利用可能であることを理解していただくために、展開手順の概要を説明します。
著作権情報
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できます。本書は、内部における参照を目的として変更することができます。
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目次
第 1 章 ビジネス継続性を強化するための IT 基盤 .................................................................................. 4
1.1
信頼性と可用性を低コストで手に入れたい.................................................................................. 4
1.2
Windows Server 2012 R2 のソリューション ............................................................................ 4
第 2 章 Windows Server 2012 R2 の高可用性機能................................................................................ 5
2.1
NTFS の強化と ReFS の提供 ..................................................................................................... 5
2.2
NIC チーミング ....................................................................................................................... 6
2.3
ネットワーク負荷分散 (NLB) ..................................................................................................... 7
2.4
フェールオーバー クラスタリング ............................................................................................... 7
2.5
クラスター対応更新 .................................................................................................................. 8
第 3 章 Windows Server 2012 R2 のバックアップ機能 .......................................................................... 9
3.1
Windows Server バックアップ (ローカル バックアップ) ................................................................ 9
3.2
Windows Azure Backup ......................................................................................................... 11
2.3
Hyper-V レプリカ ................................................................................................................. 12
第 4 章 機能のセットアップ概要 ....................................................................................................... 14
4.1
NIC チーミングのセットアップ ................................................................................................. 14
4.2
ネットワーク負荷分散 (NLB) のセットアップ .............................................................................. 16
4.3
フェールオーバー クラスタリングのセットアップ ......................................................................... 18
4.4
Windows Server バックアップのセットアップ ............................................................................ 21
4.5
Windows Azure Backup のセットアップ ................................................................................... 22
4.6
Hyper-V レプリカのセットアップ ............................................................................................. 26
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第 1 章 ビジネス継続性を強化するための IT 基盤
現在、企業のビジネスは、IT に大きく依存しています。IT サービスが短時間でも利用できなくなると、社員の生産性
は低下します。ダウンタイムが長引けば、重大なビジネス損失につながります。また、度重なる自然災害や電力需給の逼
迫を経て、IT サービスの信頼性と可用性レベルの向上に対するニーズは飛躍的に増大しています。
1.1 信頼性と可用性を低コストで手に入れたい
企業内で管理しなければならないデータ量は年々増え続け、ユーザーに提供するアプリケーションやサービスの種類も
多様化しています。その結果、IT 基盤の拡張や更新に多くの時間とコストを取られ、急務であるはずの信頼性や可用性
レベルの向上が後回しになってはいないでしょうか。
規模の大小を問わず、企業は限られた IT 予算の中で、信頼性の高いストレージ ソリューションと、可用性に優れた
サービスやアプリケーションを、できるだけ低コストで導入したいと考えるでしょう。コストに上限が無ければ、サーバ
ーのハードウェア コンポーネントの冗長化だけでなく、データセンターを地理的に冗長化するなどで、極めて高い信頼
性と可用性を実現できます。しかし多くの企業は、ハードウェア障害からデータを保護し、サービスを継続するという、
個別の信頼性および可用性要件と、大規模な災害に見舞われても重要データを取り出せ、必要最小限のサービスを提供で
きる、あるいは早期に復旧できるという、コスト効率の良いビジネス継続性対策を求めています。
1.2 Windows Server 2012 R2 のソリューション
Windows Server 2012 R2 を導入すると、現在、企業が抱えている信頼性と可用性の課題に対して、標準的なハード
ウェアを用いて低コストで対処できます。
計画的なダウンタイムの短縮 ・・・ クラスター対応更新を使用すると、ユーザーに影響を与えることなく、サーバーのメ
ンテナンスを完了できます。これにより、メンテナンスのための計画的なサービス停止を最小化できます。
予定外のダウンタイムの短縮 ・・・ ファイル システム レベルでの可用性の強化により、エラー修復のための再起動の機
会が減少します。
アプリケーションやサービスの可用性向上 ・・・ NIC チーミング、ネットワーク負荷分散 (NLB)、フェールオーバー ク
ラスタリングといった、冗長化テクノロジにより、アプリケーションやサービスへの継続的なアクセスを実現します。
大規模な障害および災害への対策 ・・・ オフ サイトのバックアップ ソリューションを低コストで実装できます。オフ サ
イトとして、ハードウェア投資が不要なクラウドを利用することもできます。
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第 2 章 Windows Server 2012 R2 の高可用性機能
Windows Server 2012 R2 は、信頼性と可用性を高めるさまざまなテクノロジと機能を標準搭載しています。
Windows Server 2008 R2 以前は、一部の高可用性機能が Enterprise および Datacenter エディションでのみ提供
されていましたが、Windows Server 2012 からは Standard と Datacenter の両エディション (Enterprise エディ
ションは提供されなくなりました) ですべての機能が利用可能です。
2.1
NTFS の強化と ReFS の提供
Windows 標準のファイル システム形式である NTFS は、自己修復機能とオンライン破損スキャン機能の拡充により、
可用性が強化されました。
通常のファイル操作で発生する破損は、オンラインで修復が試みられます。Windows Server 2012 以降では、オン
ラインで対処できる破損の種類が増加しました。検出された問題のすべてを自己修復できた場合、ボリュームをオフライ
ンにしたり、再起動したりといった、オフラインでの修復操作は不要になります。また、新たに導入されたスポット検証
(Spot Verifier) サービスがバックグラウンドで動作し、ディスク上に破損個所があるかどうかを検証します。問題が検
出された場合、メンテナンス タスクとしてオンライン スキャンがバックグラウンドで自動実行されます。メンテナンス
タスクは、アイドル時間など、他のアプリケーションに影響しないタイミングで実行されます。オンラインで修復できな
い問題に限り、手動または再起動時の修復が要求されます。その場合も、ディスク全体ではなく、スポット的に修復され
るため、以前よりも短時間で完了します。
Windows Server 2012 以降では、ReFS (Resilient File System) という、新しいファイル システム形式がサポート
され、データ用のボリュームで利用できるようになります。ReFS は NTFS との互換性を提供しながら、将来の物理デ
ィスクの大容量化、ファイル サイズの巨大化、ファイル数の増加に対応できるスケーラビリティと可用性を備えていま
す。
ReFS は、ボリューム サイズの上限は 256 ZB (ゼタバイト) 、ファイル サイズの上限は約 16 EB (エクサバイト) 、
ボリューム内のフォルダー数およびフォルダー内のファイル数の上限は、約 1844 京ファイルと、NTFS と比較して、
圧倒的なスケーラビリティを提供します。ReFS は、自己修復機能とオンライン破損スキャン機能に加え、NTFS ではデ
ータ破損につながる、書き込み時のディスク エラーに対しても、データを保護する可用性を備えています。データを上
書きする際に、NTFS では上書き前のデータと同じ場所に書き戻しますが、ReFS では別の領域にデータを書き込み、正
常に書き込みが行われてから、上書き前のデータの領域をクリアします。そのため、書き込み時にディスク エラーが発
生しても、上書き前のデータが破損することがありません。
なお、ReFS はデータ用ボリュームでのみサポートされ、OS 用のボリュームやリムーバブル メディアでは使用でき
ません。ReFS は NTFS の多くの機能と互換性がありますが、ファイル単位の圧縮 (NTFS 圧縮) 、ディスク クォータ、
オブジェクト ID、暗号化ファイル システム (EFS) 、トランザクション、ハードリンク、拡張属性、短いファイル名 (8.3
形式) の NTFS 機能、およびデータ重複除去やファイル サーバー リソース マネージャーの機能、ODX の使用をサポ
ートしません。なお、名前付きストリームは Windows Server 2012 の ReFS ではサポートされませんでしたが、
Windows Server 2012 R2 の ReFS ではサポートされます。
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画面 1: スケーラビリティと可用性に優れた ReFS は、データ用のボリュームに利用できる
2.2
NIC チーミング
Windows Server 2012 以降は、NIC チーミングを OS 標準機能として提供します。NIC チーミングは、複数のネ
ットワーク アダプターを 1 つに束ね、論理的に単一のネットワーク アダプター (NIC チーム) とし、ネットワークの
冗長化と負荷分散を実現するテクノロジです。NIC チームは単一の IP アドレスを持ち、通常時はネットワーク トラフ
ィックを複数のネットワーク アダプターで負荷分散し、帯域幅を集約できるので、スループットが向上します。NIC チ
ームの 1 つのネットワーク アダプターで障害 (ハードウェア障害、ケーブル切断、スイッチ ポートの障害など) が発
生した場合は、残りのネットワーク アダプターでバックアップできるので、接続が失われるのを防止できます。
Windows Server の以前のバージョンまでは、NIC チーミングはネットワーク アダプターとドライバーを提供する
メーカーのサポートに依存していました。Windows Server 2012 以降の NIC チーミングを利用すると、ネットワーク
アダプターのメーカーやモデルを問わず、複数のネットワーク アダプターを束ねて NIC チームを作成することができ
ます。NIC チーミングは、Hyper-V の仮想ネットワーク スイッチのための NIC として使用することができ、仮想マ
シンのネットワークの冗長化と負荷分散が可能です。
画面 2: NIC チーミングを利用すると、複数のネットワーク アダプターを束ね単一のネットワーク アダプターとして
構成し、負荷分散と冗長化が可能
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2.3
ネットワーク負荷分散 (NLB)
ネットワーク負荷分散 (NLB) は、Windows Server の以前のバージョンから提供されている、TCP/IP アプリケーシ
ョンのスケーラビリティの向上と、ネットワーク アクセスの冗長化を実現する機能です。Windows Server 2012 R2 の
NLB は、Windows Server 2008 R2 と同等の機能を提供します。
NLB を使用すると、最大 32 ノードのサーバーで NLB クラスターを構成することができ、NLB クラスターをオン
ラインにしたままノードの追加や削除、障害時の調整が可能です。NLB は、Web や FTP、プロキシ、VPN といった一
般的なインターネット サービスやカスタム ネットワーク アプリケーションの、スケールアウトおよびネットワークの
障害対策に利用できます。
図 1: ネットワーク負荷分散 (NLB) の動作イメージ
2.4
フェールオーバー クラスタリング
フェールオーバー クラスタリングは、さまざまなアプリケーションやサービスに対して、高可用性とスケーラビリテ
ィを提供する機能です。Windows Server 2008 R2 以前は Enterprise および Datacenter エディションで提供され
る機能でしたが、Windows Server 2012 からは Standard と Datacenter の両方のエディションに搭載されています。
フェールオーバー クラスタリングを利用すると、標準的なハードウェア構成のサーバーを使用して、最大 64 ノード
のフェールオーバー クラスターを作成することができます。フェールオーバー クラスターでは、Hyper-V 仮想マシン、
ファイル サーバー、DHCP サーバー、WINS サーバー、印刷サービスなど Windows Server 2012 の役割や、SQL
Server データベース インスタンス、サード パーティおよびカスタムのアプリケーションに対して、高可用性を構成す
ることができます。
例えば、Hyper-V の役割を持つサーバーでフェールオーバー クラスターを作成すると、最大 64 ノードで最大 8,000
台の仮想マシンを同時実行できるスケーラビリティを実装できます。また、ノードの障害に対して、仮想マシンを自動的
に正常ノードにフェールオーバーし、短時間で復旧する高可用性が提供されます。Windows Server 2012 以降では、
仮想マシンのゲスト OS で稼働中のサービスのエラーやイベントを監視できるようになり、ソフトウェア エラーを原因
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とするダウンタイムも縮小できます。Windows Server 2012 R2 からは、仮想マシンのネットワーク アダプターの接
続性を監視対象として追加できます。
フェールオーバー クラスターに、Windows Server 2012 以降のファイル サービスの新機能であるスケール アウト
ファイル サーバーを展開し、ファイル共有アクセスの負荷分散と、透過的なフェールオーバーによる継続的なアクセス
を提供することもできます。スケール アウト ファイル サーバーは、Hyper-V 仮想マシンや SQL Server のデータベ
ースの格納先としてもサポートされ、Hyper-V や SQL Server に信頼性の高いストレージを提供します。
図 2: フェールオーバー クラスターの動作イメージ
画面 3: Windows Server 2012 R2 の Hyper-V ホスト クラスターでは、仮想マシン内部のサービスのエラーやイベ
ントの発生、仮想マシンのネットワーク アダプターの接続性を監視できる
2.5
クラスター対応更新
Windows Server 2012 以降のフェールオーバー クラスターには、クラスター対応更新という新機能が提供されます。
クラスター対応更新は、フェールオーバー クラスターで稼働中のアプリケーションやサービスの可用性を維持したまま、
クラスターの各ノードに更新プログラムを適用して、最新状態に更新する機能です。
クラスター対応更新は、フェールオーバー クラスターの外部から専用の管理ツールまたは Windows PowerShell を
使用して開始できます。クラスター対応更新を開始すると、Windows Update または Windows Server Update
Services (WSUS) または共有フォルダーに配置した更新プログラムを使用して、更新プログラムの要否をチェックし、
必要な場合はノードを順番にメンテナンス モードに移行して、更新プログラムのインストールと再起動 (必要な場合)、
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クラスターへの復帰を行います。メンテナンス モードに移行する際、アプリケーションやサービスは別のノードに自動
的に退避されます。Hyper-V 仮想マシンの場合は、ライブ マイグレーションによって、ダウンタイムなしで移動します。
画面 4: クラスター対応更新を使用すると、アプリケーションやサービスの可用性を維持しながら更新を完了できる
第 3 章 Windows Server 2012 R2 のバックアップ機能
Windows Server 2012 R2 は、サード パーティのバックアップ ソリューションを導入しなくても、標準のバックア
ップ ツールでディザスター リカバリにも対応可能なバックアップを取得することができます。また、リモート拠点やク
ラウドを利用した、新しいオフ サイト ソリューションも用意されました。
3.1
Windows Server バックアップ (ローカル バックアップ)
Windows Server 標準のバックアップ ツールである Windows Server バックアップは、機能や操作性は非常にシン
プルでありながら、ディスク ツー ディスクのスケジュール バックアップでデータ、アプリケーション、およびシステ
ムを確実に保護します。ディスク ツー ディスクのバックアップは、次に説明する新機能の Windows Azure Backup (ク
ラウドへのオンライン バックアップ) に対して、ローカル バックアップと呼びます。
画面 5: Windows Server バックアップ (ローカル バックアップ) の管理コンソール
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Windows Server バックアップは、バックアップ スケジュールを一度作成すれば、あとはスケジュールに従って自動
実行されます。バックアップ スケジュールでは、バックアップの対象、開始時間と頻度 (1 日 1 回または複数回)、バ
ックアップ先 (専用のディスク、ボリューム、または共有フォルダー) を指定するだけです。フル バックアップと増分、
差分を組み合わせるような、複雑な構成を必要としません。また、バックアップの使用領域や世代も、バックアップ先デ
ィスクのボリューム スナップショットを使用して自己管理されます。災害対策のためにバックアップ メディアをオフ
サイトに移動したい場合は、外付け (USB 接続など) の大容量のポータブル ハードディスクをバックアップ用に複数用
意します。複数のディスクをバックアップ スケジュールに事前に登録しておけば、ディスクの抜き差しだけで簡単にメ
ディアをローテーションできます。単発バックアップを使用すれば、スケジュールと同じバックアップ設定または異なる
カスタム設定で、手動でバックアップをすぐに開始することができます。
画面 6: 複数の外付けハードディスクをバックアップ専用に登録することで、簡単にメディア ローテーションができる
Windows Server バックアップでは、ファイルおよびフォルダー、ボリューム、ボリューム スナップショット サー
ビス (VSS) に対応したアプリケーション、システム状態をバックアップできます。サーバー全体のフル バックアップ
(またはカスタム バックアップでベアメタル回復を選択) を取得しておけば、ベアメタル サーバーをシステム修復環境
で起動して、未フォーマットのディスクにシステムを高速に復旧することが可能です。
画面 7: システム修復環境 (インストール メディアなどから起動可能) を使用して、ベアメタル回復を実行する
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3.2
Windows Azure Backup
Windows Server 2012 R2 は、Windows Azure Backup サービスと連携したオンライン バックアップに対応して
います。Windows Azure Backup サービスは、Windows Azure の復旧サービスの 1 つとして、2013 年 10 月から
正式なサービス提供が開始されました。クラウドをバックアップ データを転送するオフ サイトとして利用できるので、
大規模な災害でオフィス全体が利用できなくなるような状況でも、クラウドにアクセスできる別の場所から重要データを
取り出すことができます。バックアップに使用した領域に対する課金 (その月の最初の 5 GB までは無料) なので、自
前でオフ サイトの施設やハードウェアを準備するよりも低コストで災害対策を行うことができます。

Windows Azure Backup 料金の詳細
http://www.windowsazure.com/ja-jp/pricing/details/backup/
Windows Azure Backup サービスが提供する Windows Azure Backup エージェントをインストールすると、
Windows Azure Backup の管理コンソール (スナップイン) が追加されるとともに、Windows Server バックアップ
の管理コンソールに Windows Azure Backup スナップインが統合されます。Windows Azure Backup スナップイン
を使用すると、ローカル サーバーのファイルおよびフォルダーを、クラウド上のバックアップ領域にバックアップする
ように、バックアップ スケジュールを構成できるようになります。バックアップ スケジュールの構成と、バックアップ
状況の監視、バックアップ結果の参照は、Windows Server バックアップと一貫性のある管理コンソールから、ほぼ共
通の操作で行うことができます。クラウドへのバックアップ データの転送には HTTPS が使用され、バックアップ デ
ータは利用者側が持つパスフレーズ (パスフレーズはクラウド側に保存されません) を用いて暗号化されるため、安心し
て利用することができます。
図 3: Windows Azure Online Backup サービスと連携するオンライン バックアップの動作イメージ
Windows Azure Backup サービスに保存されたバックアップからは、元のサーバーの元の場所、または指定した場所
に、全体あるいは指定したファイルやフォルダーごと復元することができます。また、Windows Azure Backup エージ
ェントがインストールされた、別のサーバーからバックアップを参照して、ファイルやフォルダーを復元することもでき
ます。復元対象は、フォルダー ツリーから個別に選択する方法に加えて、ファイル名やフォルダー名でテキスト検索し
て選択することもできます。
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画面 8: Windows Azure Backup の管理インターフェイスは、Windows Server バックアップと一貫性がある
画面 9: クラウド上のバックアップから復元対象のファイルを検索して選択できる
2.3
Hyper-V レプリカ
Hyper-V レプリカは、Windows Server 2012 Hyper-V で始めて提供された、仮想マシンのための災害対策ソリュ
ーションです。Hyper-V レプリカを使用すると、仮想マシンの複製 (レプリカ仮想マシン) を別の Hyper-V サーバー
に作成でき、5 分間隔で仮想ハードディスクの変更差分を同期させることができます。何らかの理由で複製元の仮想マシ
ン (プライマリ仮想マシン) が利用できなくなった場合は、最後に同期された仮想ハードディスクを使用してレプリカ仮
想マシンを起動し、迅速に復旧することができます。Windows Server 2012 R2 Hyper-V では、レプリケーションの
間隔を 30 秒、5 分、15 分から選択可能になりました。また、レプリカ仮想マシンに対する、さらに追加のレプリカを
別の Hyper-V サーバーに作成するレプリケーションの拡張が可能になります。
Hyper-V レプリカはマルチ サイトに標準対応しており、WAN リンクを介した接続でもネットワーク帯域幅を占有す
ることなく、効率的に同期できます。また、別のセグメントでレプリカ仮想マシンを起動する際に、接続先のセグメント
で有効な IP アドレスに自動的に書き換える機能 (フェールオーバーの TCP/IP) を提供します。
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図 4: Hyper-V レプリカの実装イメージ
画面 10: プライマリ側が利用不能になった場合は、レプリカ仮想マシンを起動して、迅速に復旧できる
複数の Hyper-V のサーバーによるフェールオーバー クラスターは、サーバーの障害に対して仮想マシンを自動フェ
ールオーバーし、仮想マシンを迅速に復旧する高可用性ソリューションです。これは Active Directory ドメインの同一
の IP セグメントに実装可能なソリューションであり、サイトをまたぐ構成には原則として対応していません。Hyper-V
レプリカは、最小 2 台の Hyper-V サーバーと、ネットワーク接続があれば実装でき、Active Directory のドメイン要
件やフェールオーバー クラスターを必須としないため、低コストかつ容易にオフ サイト ソリューションを実装するこ
とができます。また、Hyper-V ホスト クラスター上で稼働する仮想マシンについては、Hyper-V レプリカ ブローカー
(レプリカ サーバーのクラスター構成) を使用してレプリケーションを構成できます。
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第 4 章 機能のセットアップ概要
Windows Server 2012 R2 の高可用性機能およびバックアップ機能の展開手順を、概要レベルで説明します。ネット
ワーク負荷分散 (NLB) を構成するには TCP/IP プロトコルの知識が必要です。また、フェールオーバー クラスタリン
グを展開するには、ネットワークや共有ストレージを含めたハードウェア構成が必要です。そのため、これらの展開手順
については、機能のインストールと構成に使用するツールの紹介までとします。参考情報の URL を示すので、詳しくは
そちらを参照してください。
4.1
NIC チーミングのセットアップ
NIC チーミングは OS に組み込まれた機能であり、役割や機能を追加しなくても、標準で利用できます。NIC チーミ
ングを構成するには、[NIC チーミング] (LbfoAdmin.exe) という専用ツールを使用します。このツールは、[サーバー マ
ネージャー] の [ローカル サーバー] を開くと、サーバーのプロパティの中にある [NIC チーミング] のリンクから開
始できます。
画面 11: [NIC チーミング] の横にある [無効] リンクをクリックする
[NIC チーミング] ツールを開いたら、[チーム] にある [タスク▼] から [チームの新規作成] を選択します。
画面 12: [タスク▼] から [チームの新規作成] を選択する
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[チームの新規作成] ウィンドウが開きます。[チーム名] に NIC チームを識別するための名前を入力し、[メンバー ア
ダプター] にリストされているネットワーク アダプターから、NIC チームに含める 1 つ以上のネットワーク アダプタ
ーを選択して、[OK] ボタンをクリックします。冗長化のためには同じリンク速度の 2 つ以上のネットワーク アダプタ
ーが必要です。同じ NIC チームに、最大 32 のネットワーク アダプターを含めることができます。
画面 13: NIC チームに参加させる 1 つ以上のネットワーク アダプターを選択する
これで NIC チームが作成され、論理的なネットワーク アダプターがチーム名に入力した名前でシステムに追加され
ます。この論理的なネットワーク アダプターは、チーム名のほか、Microsoft Network Adapter Multiplexor Driver と
いうドライバーで識別できます。ネットワーク クライアント、プロトコル、サービスのバインドおよび設定は、この論
理的なネットワーク アダプターに対して行ってください。NIC チームのメンバーとなったネットワーク アダプターか
らは、ネットワーク クライアント、プロトコル、サービスの以前のバインドがすべて削除され、Microsoft Network
Adapter Multiplexor Protocol が有効になります。
NIC チームの既定の設定は、汎用的な構成となっているため、ほとんどの環境で問題なく動作します。NIC チームの
プロパティを開き、[追加のプロパティ] を展開すると、チーミング モード、負荷分散モード、スタンバイ アダプター、
VLAN メンバーシップをカスタマイズできます。これらの構成について詳しくは、以下のドキュメントを参照してくだ
さい。

NIC チーミングの概要
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/hh831648.aspx

Windows Server 2012 R2 NIC Teaming (LBFO) Deployment and Management (英語)
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=40319
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4.2
ネットワーク負荷分散 (NLB) のセットアップ
NLB は、Windows Server 2012 R2 が提供する機能の 1 つです。NLB を利用するには、[役割と機能の追加ウィザ
ード] を使用して、NLB クラスターに参加させるすべてのサーバーに、[ネットワーク負荷分散] の機能をインストール
します。
画面 14: NLB に参加させるすべてのサーバーに [ネットワーク負荷分散] の機能を追加する
NLB を構成するには、最初のサーバーで [ネットワーク負荷分散マネージャー] ツール (nlmgr.exe) を起動し、新し
い NLB クラスターを作成します。NLB クラスターを作成するには、1 台目のサーバーの対象のネットワーク アダプタ
ーの選択と、NLB クラスター固有の [クラスター IP アドレス] および [フル インターネット名] (FQDN) 、[クラス
ター操作モード] (ユニキャスト、マルチキャスト、または IGMP マルチキャスト) を指定します。また、クライアント
アクセスを転送するアプリケーションのポート番号を定義した [ポートの規則] を作成します。なお、クラスター IP ア
ドレスとフル インターネット名の対応付けは、手動で DNS サーバーに登録しておく必要があります。
画面 15: 新しい NLB クラスターを作成し、クラスター IP アドレス、フル インターネット名、操作モードを指定する
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画面 16: アプリケーションが受信するプロトコルとポート番号を、ポートの規則に定義する
最初のサーバーで NLB クラスターを作成したら、2 台目以降のサーバーを NLB クラスターに追加します。この作業
は、最初のサーバーの [ネットワーク負荷分散マネージャー] から実行できます。
NLB クラスターの操作モードは、ネットワーク環境に応じて適切に選択する必要があります。例えば、ユニキャスト モ
ードを使用する場合は、ネットワーク アダプターが MAC アドレスの変更をサポートしている必要があります。
Hyper-V 仮想マシンをユニキャスト モードの NLB クラスターに参加させる場合は、仮想マシンのネットワーク アダ
プターで [MAC アドレスのスプーフィングを有効にする] オプションを有効にすることで、MAC アドレスの変更をサ
ポートできます。マルチキャスト モードの場合は、一部のスイッチで追加の構成が必要になる場合があります。各操作
モードのハードウェア要件や制限事項については、以下のドキュメントで確認してください。

ネットワーク負荷分散の概要
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/hh831698.aspx

Network Load Balancing Deployment Guide (英語)
http://technet.microsoft.com/en-us/library/cc754833(v=ws.10).aspx
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4.3
フェールオーバー クラスタリングのセットアップ
フェールオーバー クラスタリングは、Windows Server 2012 R2 が提供する機能の 1 つです。Windows Server
2008 R2 以前は Enterprise または Datacenter エディションで提供されていた機能ですが、Windows Server 2012
以降では Standard と Datacenter エディションの両方で利用可能です。フェールオーバー クラスタリングを使用し
てフェールオーバー クラスターを構成するには、[役割と機能の追加ウィザード] を使用して、クラスターに参加させる
すべてのサーバーに [フェールオーバー クラスタリング] の機能をインストールします。
画面 17: フェールオーバー クラスターに参加させるすべてのサーバーに [フェールオーバー クラスタリング] の機能
を追加する
フェールオーバー クラスターは、標準的なサーバー ハードウェアとネットワーク接続があれば作成できます。高可用
性を構成するアプリケーションやサービスの要件によっては、SAS (Serial Attached SCSI)、FC (Fibre Channel)、FcoE
(Fibre Channel over Ethernet)、または iSCSI 接続の共有ストレージが、クラスターを構成するすべてのサーバーに
接続されている必要があります。Hyper-V 上の複数の仮想マシンでクラスターを構成する場合は、共有ストレージとし
て仮想ファイバー チャネル、iSCSI (仮想マシンのネットワーク アダプターを使用) 、または Windows Server 2012
R2 Hyper-V の新機能である仮想ハードディスクの共有を使用することもできます。詳しいハードウェア要件について
は、以下のドキュメントでご確認ください。なお、Windows Server 2012 R2 のファイル サービスの新機能である
iSCSI ターゲット サーバーは、フェールオーバー クラスターのための共有ストレージとして使用できます。

Failover Clustering Overview (英語)
http://technet.microsoft.com/en-us/library/hh831579.aspx
Windows Server 2012 以前のフェールオーバー クラスターでは、偶数ノード (最小 2 ノード) の場合は共有スト
レージ上にディスク監視 (Disk Witness) を配置するノードおよびディスク マジョリティ モデル、奇数ノード (最小 3
ノード) の場合はディスク監視を使用しないノード マジョリティ モデルでクラスターをセットアップすることが推奨
されていました。Windows Server 2012 R2 では、ノード数に関わらずディスク監視を構成すること、つまりノードお
よびディスク マジョリティ モデルでセットアップすることが推奨されます。
常にディスク監視の構成が推奨されるのは、Windows Server 2012 から導入された動的クォーラム (Dynamic
Quoram) および Windows Server 2012 R2 から導入された動的クォーラム監視 (Dynamic Witness) の 2 つの機
能が既定で利用可能になったからです。動的クォーラムは、ディスク監視を使用しない、または使用できない場合に、現
在稼働中のノード数に応じてノードが持つ投票数を動的に管理して、過半数のノードがクラスターから離脱してもクラス
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ターの稼働を維持します。動的クォーラム監視は、現在稼働中のノード数に応じてディスク監視をオン/オフし、クォー
ラム モデルを自動的に切り替えます。これらの機能により、最後の 1 ノードまでクラスターを維持できるようになりま
した。
次の図は、最小の 2 ノード構成のクラスターを作成する場合の標準的なハードウェア構成です。ディスク監視用のデ
ィスクには、共有ストレージの代わりにファイル サーバーの共有フォルダーを使用することもできます。
図 5: 2 ノード フェールオーバー クラスターの標準的なシステム構成
フェールオーバー クラスターの作成と管理には、[フェールオーバー クラスター マネージャー] を使用します。新し
くクラスターを作成するには、[構成の検証ウィザード] を実行して、クラスターに参加させるサーバーを指定し、検証
テストを実行します。検証テストをクリアすれば、検証されたその構成でクラスターの作成をすぐに開始できます。
画面 18: フェールオーバー クラスターを作成する前に、[構成の検証ウィザード] を実行して、クラスターの作成に適
合するかどうかをテストする
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19
画面 19: 検証テストをクリアしたら、検証された構成でクラスターの作成を開始できる
フェールオーバー クラスターを作成した後は、高可用性を構成するアプリケーションやサービスに応じた対応が必要
になります。例えば、Hyper-V の仮想マシンの高可用性を構成するには、クラスターに参加するすべてのサーバーに
Hyper-V の役割をインストールし、さらに共有ストレージ上のディスク (LUN) をクラスターの共有ボリュームとして
構成した上で、[Hyper-V マネージャー] ではなく、[フェールオーバー クラスター マネージャー] の機能を使用して、
仮想マシンをクラスター上に展開します。
クラスター対応更新の実行
クラスター対応更新は、クラスターに参加していない、フェールオーバー クラスタリング ツールがインストールさ
れ た Windows Server 2012 R2 の サ ー バ ー 、 ま た は Windows 8.1 用 の リ モ ー ト サ ー バ ー 管 理 ツ ー ル
(http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=39296) がインストールされた Windows 8.1 Pro
または Windows 8.1 Enterprise のコンピューターから実行できます。
クラスター対応更新を実行するには、管理ツールの [クラスター対応更新] (ClusterUpdateUI.exe) を起動して、対
象のクラスターに接続し、[このクラスターに更新プログラムを適用する] をクリックします。[クラスター対応更新ウ
ィザード] が開くので、更新オプションを構成し、更新を開始します。なお、Windows Update または Windows Server
Update Services (WSUS) を使用する場合、既定のオプションを変更する必要はありません。

クラスター対応更新を使って可用性を維持したままフェールオーバー クラスターを更新する: シナリオの概要
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/hh831694.aspx
画面 20: クラスター対応更新を実行する
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20
4.4
Windows Server バックアップのセットアップ
Windows Server バックアップは、既定ではインストールされていません。[役割と機能の追加ウィザード] を使用し
て、[Windows Server バックアップ] の機能をインストールする必要があります。
画面 21: [Windows Server バックアップ] の機能を追加する
Windows Server バックアップによるローカル サーバーのバックアップは、その機能も手順も Windows Server
2008 R2 以前とほとんど変わりません。[Windows Server バックアップ] ツール (wbadmin.msc) を使用して、[バ
ックアップ スケジュール] をクリックし、バックアップの対象、開始時刻と頻度、バックアップ先 (専用ディスク、ボ
リューム、または共有フォルダー) を構成します。バックアップ スケジュールを一度構成すれば、あとは自動管理され
ます。管理者がしなければならないのは、定期的に [Windows Server バックアップ] ツールを開いて、バックアップ
結果を確認するだけです。バックアップ ディスクをローテーションする場合は、ディスクの交換作業が必要ですが、そ
の場合でも [Windows Server バックアップ] ツールで行うことはありません。
画面 22: [バックアップ スケジュール ウィザード] を 1 回実行して、バックアップを構成する
Windows Server バックアップは、バックアップの領域および世代管理のためにバックアップ先ディスクのボリュー
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21
ム スナップショットを利用しています。そのため、共有フォルダーにバックアップを取得するように構成した場合、バ
ックアップ先には最新のバックアップのみが保存されることに注意してください。これは、共有フォルダーに対してボリ
ューム スナップショットを利用できないからです。
4.5
Windows Azure Backup のセットアップ
Windows Server 2012 R2 で Windows Azure Backup を利用するには、Windows Azure の有効なサブスクリプ
ション契約が必要になります。Windows Azure には、さまざまな購入プランが用意されています。また、1 か月間、
17,000 円相当のサービスを利用できる無料評価版も用意されています。
Windows Azure の購入オプション

http://www.windowsazure.com/ja-jp/pricing/purchase-options/
Windows Azure 無料評価版

http://www.windowsazure.com/ja-jp/pricing/free-trial/
サブスクリプション アカウントを取得したら、その ID とパスワードを使用して、Windows Azure 管理ポータルに
サインインします。ポータル サイトにサインインしたら、 [+新規] [復旧サービス] [バックアップ コンテナー] [管理
作成] の順番にポイントして、バックアップ コンテナーの名前、地域 (データ センターのリージョン) 、サブスクリプ
ション (同じアカウントに複数の契約がある場合) を指定して、 [コンテナーの作成] をクリックします。
Windows Azure 管理ポータル

https://manage.windowsazure.com/
画面 23: Windows Azure 管理ポータルにサイン インし、復旧サービスにバックアップ コンテナーを作成する
バックアップ コンテナーの作成が完了すると、 [復旧サービス] の下に作成されたバックアップ コンテナーが表示さ
れるので、このバックアップ コンテナーに適切な x.509 v3 公開キー証明書をアップロードします。この公開キー証明
書は、Windows Azure Backup サービスにサーバーを登録する際にバックアップ コンテナーとサーバーを関連付ける
ために使用されるもので、次の要件を満たしている必要があります。バックアップ コンテナーには 1 つの公開キー証明
書をアップロードでき、同じ証明書で複数のサーバーのバックアップに対応できます。

証明書は 2,048 ビット以上のキー長であること。

証明書の有効期間は 3 年以内であり、現時点で有効期間内にあること。

EKU (Extended Key Usage、拡張キー使用法) 属性として "クライアント認証 (1.3.6.1.5.5.7.3.2)" を含むこ
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と。

証明書は、登録するサーバーのローカル コンピューターの [個人] 証明書ストアに秘密キー付きでインストール
されていること。

証明書の公開キーは、. cer 形式 (DER encoded binary X.509) のファイルとしてエクスポートされていること。
証明書の作成方法やサーバーの証明書ストアへのインストール方法については、以下のドキュメントを参照してくださ
い。

Manage vault certificates
http://msdn.microsoft.com/en-us/library/dn169036.aspx
公開キー証明書をアップロードしたら、バックアップ コンテナーのページにある [エージェントのダウンロード] を
ク リ ッ ク し て 、 [Windows Server お よ び System Center-Data Protection Manager 用 エ ー ジ ェ ン ト ]
(WABInstaller.exe) をダウンロードし、サーバーにインストールします。
画面 24: バックアップ コンテナーに事前に準備しておいた証明書をアップロードする
画面 25: Windows Azure Backup エージェントをサーバーにインストールする
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23
Windows Azure Backup エージェントをインストールすると、スタート画面のアプリの一覧とデスクトップに
[Windows Azure Backup] ツールへのショートカットが追加されます。Windows Azure Backup の構成と管理は、こ
の [Windows Azure Backup] ツールを使用して行います。[Windows Azure Backup] ツールは単体で利用することも
できますが、[Windows Server バックアップ] ツールの [Backup] ノードにも統合されます。なお、Windows Azure
Backup を利用するために [Windows Server バックアップ] の機能のインストールは必須ではありません。
Windows Azure Backup を利用するには、まず、[サーバーの登録] をクリックし、[サーバーの登録ウィザード] を
使用して、Windows Azure Backup サービスにサーバーを登録します。1 つのバックアップ コンテナーに複数のサー
バーを登録することができます。
画面 26: [サーバーの登録] をクリックする
[サーバーの登録ウィザード] では、プロキシの設定 (必要な場合のみ) を行い、バックアップ コンテナーにアップロ
ードした公開キー証明書に対応する秘密キーの証明書を指定し、バックアップ コンテナーを選択します。また、16 文
字のパスフレーズを生成または入力します。パスフレーズは、クラウドにバックアップ データを保存する際に、バック
アップ データを暗号化して保護するために使用されます。パスフレーズがクラウド側に保存されることはないので、フ
ァイルに保存して安全な場所で管理してください。パスフレーズは、別のサーバーにバックアップを復元する場合に必要
になります。
画面 27: バックアップ データを暗号化して保護するためのパスフレーズを入力する (ランダムな文字列を自動生成さ
せることも可能)
サーバーの登録が完了したら、ローカル バックアップと同じように、バックアップ スケジュールを一度、作成します。
[バックアップのスケジュール ウィザード] では、バックアップする項目の選択、バックアップの開始時刻および頻度 (1
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24
日最大 3 回まで)、バックアップの保存期間 (7 日、15 日、または 30 日) を構成します。システム全体やアプリケー
ションに対応したローカル バックアップとは異なり、オンライン バックアップではファイルとフォルダーのみをバック
アップ対象にできます。オンライン バックアップを使用して、ベアメタル回復やアプリケーション回復のためのバック
アップを取得することはできないので注意してください。
画面 28: オンライン バックアップでバックアップするファイルやフォルダーを選択する
Windows Azure Backup エージェントの更新
Windows Azure Backup エージェントの新しいバージョンが利用可能な場合、 [Windows Azure Backup] ツー
ルの [アラート] タブに通知されます。通知が提供する URL からインストーラーをダウンロードして、エージェン
トを最新バージョンに更新してください。
画面 29: Windows Azure Backup エージェントを更新する
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25
4.6
Hyper-V レプリカのセットアップ
Hyper-V レプリカは、Windows Server 2012 R2 Hyper-V の標準機能です。ネットワークに接続された (WAN を
挟む接続も可)、2 台の Hyper-V サーバーを使用して、簡単に構成できます。
Hyper-V レプリカを利用するには、[Hyper-V マネージャー] の [Hyper-V の設定] を開き、[レプリケーションの
構成] にある [レプリカ サーバーとしてこのコンピューターを有効にする] をチェックします。これで、この Hyper-V
サーバーは、リモートの Hyper-V サーバーで稼動する仮想マシンのレプリカを受信できるようになります。Hyper-V レ
プリカは、計画的なフェールオーバーを実行して、レプリケーション方向を自動反転させることができます。反転時にレ
プリカを受信できるように、プライマリ仮想マシン側の Hyper-V サーバーもレプリカ サーバーとして有効化しておく
ことを推奨します。
[Hyper-V の設定] の [レプリケーションの構成] では、レプリカ サーバーの有効化のほかに、認証の種類と使用ポ
ート、相手サーバーの許可とレプリカの保存先パスを構成します。両方の Hyper-V サーバーが Active Directory ドメ
インのメンバー サーバーである場合は、[Kerberos を使用する (HTTP)] を使用できます。ただし、その場合、レプリ
ケーションのデータは暗号化されないことに注意してください。レプリケーション データを暗号化したい場合は、[証明
書ベースの認証を使用する (HTTPS)] を選択し、有効なサーバー証明書を指定します。なお、[証明書ベースの認証を使
用する (HTTPS)] には Active Directory ドメイン要件がないので、ワークグループ構成や信頼関係の無いドメインの
環境でもレプリケーションが可能です。
なお、セキュリティが強化された Windows ファイアウォールが有効な場合は、レプリカ サーバーで [Hyper-V レ
プリカ HTTP リスナー (TCP 受信)] および (または) [Hyper-V レプリカ HTTPS リスナー (TCP 受信)] の受信の
規則を有効化する必要があります。
画面 30: レプリケーションの受信側をレプリカ サーバーとして有効化する (相互に有効化しておくことを推奨)
レプリケーション先の Hyper-V サーバーでレプリカ サーバーを有効化したら、レプリケーション元の仮想マシン
(プライマリ仮想マシン) でレプリケーションを有効にします。それには、対象の仮想マシンを右クリックして、[レプリ
ケーションを有効にする] を選択します。このとき、仮想マシンの実行状態は問いません。実行中の仮想マシンに対して
レプリケーションを構成し、すぐにレプリケーションを開始することができます。
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26
画面 31: レプリケーション元の仮想マシンのレプリケーションを構成する
[<仮想マシン名> のレプリケーションを有効にする] ウィザードが開始します。このウィザードでは、レプリケーシ
ョン先のレプリカ サーバーを指定し、認証の種類 (Kerberos または証明書)、対象の仮想ハード ディスク、レプリケ
ーションの頻度 (30 秒、5 分、または 15 分) 、保持する回復ポイントの数、初期レプリケーション方法 (ネットワー
クですぐにコピーまたは外部メディアで転送) を構成します。Hyper-V レプリカでは、初期レプリケーションが完了し、
仮想マシンの完全なレプリカが作成されると、以降はレプリケーションの頻度で指定した間隔で変更差分を同期します。
既定では、最後に同期された状態が唯一の回復ポイントになります。追加の回復ポイントを保持するように構成すること
で、仮想マシンのスナップショット (チェックポイント) のように複数の回復ポイントを保存することができます。また、
複数の回復ポイントを作成する場合は、指定した時間ごとにボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) を使用した
スナップショットを作成できます。VSS スナップショットは、VSS 対応アプリケーションとの整合性のとれた形で仮想
ハード ディスクのスナップショットを作成します。
画面 32: レプリケーション先のレプリカ サーバーを指定する
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画面 33: 複数の回復ポイントを保持するには、[追加の回復ポイント] を選択して、数を指定する
ウィザードが完了すると、レプリカ サーバー側にレプリカ仮想マシンが作成され、初期レプリケーションが始まりま
す (初期レプリケーションでネットワーク送信を選択した場合) 。レプリカ サーバー側の Hyper-V の構成によっては、
レプリカ仮想マシンに追加の設定が必要になる場合があります。例えば、レプリケーション元の Hyper-V 環境で使用し
ていた仮想スイッチがレプリカ サーバー側に存在しない場合、次のようなダイアログ ボックスが表示されます。[設定]
ボタンをクリックすると、レプリカ仮想マシンのプロパティが開くので、問題のネットワーク アダプターに仮想スイッ
チを接続します。
画面 34: レプリカ仮想マシンの構成の調整が必要な場合は、このようなダイアログ ボックスが表示される
レプリカ サーバーがレプリケーション元と別のネットワーク サブネットに存在する場合は、[フェールオーバーの
TCP/IP] を構成することで、レプリカ仮想マシンを起動した際に、IP アドレスをレプリカ サーバー側のネットワーク
に合わせて上書きすることができます。なお、この機能は、仮想マシンのゲスト OS がサポート対象の Windows ゲス
トであり、統合タイプのネットワーク アダプター (レガシ ネットワーク アダプターは非対応) を使用していて、ゲス
ト OS に最新の Hyper-V 統合サービスがインストールされている場合に利用できます。なお、この機能は、最新の
Linux 統合サービスを搭載する一部の Linux ディストリビューションでも今後、利用可能になる予定です。
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画面 35: [フェールオーバーの TCP/IP] を構成する
初期レプリケーションが完了すると、レプリカ側で回復ポイントが利用可能になり、30 秒、5 分、または 15 分間隔
でその後の差分の同期が行われ、回復ポイントが更新されます。管理者は、プライマリ側が利用不能になった場合、回復
ポイントを使用してフェールオーバーを実行し、レプリカ仮想マシンを起動して、迅速に復旧できます。このほか管理者
は、計画フェールオーバーとテスト フェールオーバーを実行できます。計画フェールオーバーは、Hyper-V サーバーの
メンテナンスのために利用できるもので、プライマリ仮想マシンとレプリカ仮想マシンの状態を完全に同期してから、レ
プリカ仮想マシンを起動し、レプリケーションの方向を自動反転します。テスト フェールオーバーは、主に回復ポイン
トの有効性を確認するための利用するもので、テスト用にレプリカ仮想マシンのコピーを作成し (仮想マシンのスナップ
ショット機能を利用)、ネットワークに接続しない状態で、あるいはテスト用のネットワークに接続した状態で、テスト
用の仮想マシンを起動します。
Windows Server 2012 R2 Hyper-V では、レプリケーションの拡張という新機能が提供されます。レプリケーショ
ンの拡張は、レプリカ サーバーに作成されたレプリカ仮想マシンの、さらに別のレプリカを、別のレプリカ サーバーに
作成して同期する機能です。2 台目のレプリカ サーバーに作成される 2 つ目のレプリカ仮想マシンは、もともとのプ
ライマリ仮想マシンとは直接関連性を持たないため、フェールオーバーに使用する場合は注意が必要 (元の状態への復旧
にはレプリケーションの再構成が必要) ですが、多重の保護を提供できます。あるいは、仮想マシンのバックアップをレ
プリカ サーバーで集中的に行うために利用することができます。
画面 36: レプリケーションの拡張を構成する
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障害復旧用のコールド サーバー バックアップ ライセンス (SA 特典)
オン サイトまたはオフ サイトに、障害復旧を目的に "コールド" バックアップ (スタンバイ) 用のサーバーを設置す
る場合、通常はサーバーの目的に関わらず、サーバーにインストールされるサーバー ソフトウェアごとにサーバー ラ
イセンスが必要になります。ただし、マイクロソフト サーバー製品および関連するクライアント アクセス ライセンス
(CAL) のソフトウェア アシュアランス (SA) を保有している場合は、SA 特典としてコールド バックアップ サーバ
ー ライセンスが無償提供されるため、コールド バックアップ サーバー用にライセンスを追加購入する必要がありませ
ん。
なお、コールド バックアップ サーバーとは、ソフトウェアがインストールおよび設定されていて、障害が発生するま
で電源がオフになっているサーバーを指します。Hyper-V レプリカのレプリカ仮想マシンは、コールド バックアップ
サーバーに該当し、仮想マシン内のサーバー OS および SQL Server などのサーバー製にコールド バックアップ サ
ーバー ライセンスを適用できます。レプリカ仮想マシンを保持する物理サーバーについては、運用サーバーとみなされ
るため、適切なサーバー ライセンスが必要です。

詳細 (障害復旧用ライセンス–Microsoft ソフトウェア アシュアランスの特典
http://download.microsoft.com/download/5/8/f/58fce148-01d7-457d-9a8b-52df61fb27ba/Brief_Disas
terRecovery.pdf
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