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「環境」からみた流行語大賞(2014)
12 月 1 日(月)に、『2014 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)が発表さ
れました。今年は、フィクション系の「ダメよ~ダメダメ」と、ノンフィクション系の「集団的自衛
権」の 2 語が年間大賞となり、なんだか選挙演説で「集団的自衛権」「ダメよ~ダメダメ」と揶揄
されそうです。
候補語の中には、気候変動に伴う日本の温暖化に端を発する『デング熱の発症』が挙げら
れていました。
2014 年ユーキャン新語・流行語大賞の候補語 50 語
輝く女性/STAP 細胞はあります/バックビルディング/まさ土/トリクルダウン/デン
グ熱/ダメよ~ダメダメ/2025 年問題/危険ドラッグ/アイス・バケツ・チャレンジ/家事
ハラ/マタハラ/ありのままで/レリゴー/こぴっと/ごきげんよう/リトル本田/J 婚/
ゴーストライター/タモロス/マイルドヤンキー/リベンジポルノ/JK ビジネス/絶景/
レジェンド/ゆづ/妖怪ウォッチ/塩対応/マウンティング(女子)/こじらせ女子/女装
子/号泣会見/セクハラやじ/集団的自衛権/限定容認/積極的平和主義/勝てな
い相手はもういない/カープ女子/ワンオペ/ハーフハーフ/消滅可能性都市/壁ドン
/ミドリムシ/壊憲記念日/イスラム国/雨傘革命/昼顔/塩レモン/ビットコイン/エ
ボラ出血熱
厚労省のHPでは、2014 年 8 月以降に発生しているデング熱の国内感染事例の最新状況
は、平成 26 年 10 月末現在で 160 名もおり、看過できるものではありません。平成 25 年度
は 249 名の発症者がいたため大騒ぎする人もいたようですが、ほとんどが輸入症例者数だそ
うで今年とは事情を異にします。ちなみに今年度は、輸入症例者数は 162 名で、この他に先
に示した国内感染者数は 160 名ということです。HPによると、昨年度まで国内感染者数はい
なかったようですが、どうなんでしょうか。急に 160 名を越えるというのも何となく腑に落ちませ
んが・・・。
発症場所も当初言われていた代々木公園周辺が最も多かったようですが、他にも新宿中
央公園、代々木公園周辺、、神宮外苑等の東京都心部だけでなく、千葉県千葉市、東京都台
東区、隅田公園等と広範でした。きっとデング熱を持つ蚊は、もっと広範囲に生息していたの
でしょう。
国立感染症国立感染症研究所ウイルス第一部 高崎智彦先生によると、デング熱とは次
のようで、重い熱風邪のような感じです。一部では風邪と誤認していた人も居るのかも知れま
せん。
◆定義
デング熱とは、ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症である。デング
ウイルスはフラビウイルス科に属し、4 種の血清型が存在する。比較的軽症のデング熱と、重症型の
デング出血熱とがある。
◆症状
症状を示す患者の大多数はデング熱と呼ばれる一過性熱性疾患の症状を呈する。デング熱に発
症すると、感染 3 ~7 日後、突然の発熱で始まり、頭痛特に眼窩痛・筋肉痛・関節痛を伴うことが多
く、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともある。発症後、3 ~4 日後より胸部・体幹から始まる発疹が出
現し、四肢・顔面へ広がるが 1 週間程度で消失し、通常後遺症なく回復する。
地球温暖化が進み、日本も『ネッタイシマカ』が生息できる温帯地域になってしまったのでし
ょう。来年も再来年も、これからはデング熱の危険と隣り合わせで生きていかなければならな
くなってしまった。大人にとっては何とも情けなく、子どもにとってはいい迷惑な時代になってし
まいました。少しでも子供たちに禍根を残さぬように、今の大人たちには、地球温暖化対策に
真摯に取組み、古き良き日本の自然を取り戻す責任があります。
12 月 1 日、地球の裏側(南米ペルー・リマ)では、国連気候変動枠組み条約第20回締約国
会議(COP20)が開催され、2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際的枠組みについ
て話し合いが始まりました。各国の思惑もいいけれど、地球温暖化防止のための取組を推進
できる結果が残ることを祈念します。
(平成 26 年 12 月 鈴木明彦)
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地球温暖化対策について科学的根拠を与える重要な資料
―IPCC 第 5 次統合報告書―
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
」(注 1)の第 40 回総会が 10 月
27 日〜31 日、デンマークの首都コペンハーゲンで開催され、IPCC 第 5 次統合報
告書が公表されました。昨年 9 月から今年 4 月に順次公表された三つの作業部会の
報告書の内容を、次の 4 つの主題について分野横断的にまとめたものです。
以下にその要約を紹介します。
1.観測された変化及びその要因
・気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また 1950 年代以降、観測された変
化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである。大気と海洋は温
暖化し、雪氷の量は減少し、海面水位は上昇している。
・人間の活動による温室効果ガスの排出は、産業革命以降増加しており、主に経済
成長や人口増加からもたらされている。今やその排出量は史上最高となっており、
二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の大気中濃度は、少なくとも過去 80 万年で
前例のない水準に達している。20 世紀半ば以降に観測された温暖化の主な原因
であった可能性は極めて高い。
・1950 年頃以降、極端な低温の減少、極端な高温の増加、極端な海面水位の増加、
強い降水現象の回数の増加が観測された。これらの変化の中には、人為的影響と
関連しているものもある。
2.将来の気候変動、リスク及び影響
・二酸化炭素の累積排出量によって、21 世紀後半以降の温暖化の大部分が決定づ
けられる。温室効果ガス排出量の予測は、社会経済的発展と気候政策に依存する。
・評価した全ての排出シナリオにおいて、今世紀中は気温が上昇すると予測されて
いる。多くの地域で、熱波はより頻繁に発生し、またより長く続き、極端な降水
がより強く、また頻繁となる可能性が非常に高い。
・海洋では温暖化と酸性化、海面の水位の上昇が続く。
・気候変動の多くの特徴と関連する影響は、たとえ温室効果ガスの人為的な排出が
停止したとしても、何世紀にもわたって持続する。
3.適応及び緩和(注 2)、持続可能な開発に向けた将来経路
・適応は気候変動影響のリスクを低減できるが、特に気候変動の程度がより大きく、
速度がより速い場合には、その有効性には限界がある。
・現行を上回る追加的な緩和努力がないと、たとえ適応があったとしても、今世紀
末までの温暖化は、深刻で広範にわたる不可逆的な世界規模の影響をもたらすリ
スクが「高い」レベルから「非常に高い」レベルに達するだろう。
・気温の上昇を 2℃未満に抑制する可能性の高い緩和策は複数ある。このシナリオ
の場合では、温室効果ガスの排出を 2050 年は 2010 年比 40〜70%減、今世紀末
までにはゼロ又はそれ以下にする必要がある。
4.適応及び緩和
・多くの適応及び緩和の対策は気候変動への対処に役立ちうるが、単一の対策だけ
で十分というものではない。
・適応策はすべての分野に存在するが、実施の状況や気候関連のリスクを低減する
潜在性は分野や地域で異なる。
・緩和策は、各主要部門で利用できる。費用対効果の高い対策は、エネルギーの使
用削減や使用効率の改善、エネルギー供給の低炭素化、森林等の吸収源の強化な
どの対策を組み合わせる統合的な取組みによる。
統合報告書は、12 月 1 日からペルーの首都リマで開催される気候変動枠組条
約第 20 回締約国会議(COP20)
(12 月 1 日〜12 日)への報告をはじめとして、
今後の地球温暖化対策のための様々な議論に科学的根拠を与える重要な資料と
なります。
12 月 1 日から開催される COP20 では、2020 年以降の温室効果ガス削減の新
たな国際枠組みの草案を起草し、来年 12 月パリで開催される COP21 での合意
をめざすことにしています。
2020 年以降の枠組み、また COP21 に向けて、COP20 でどんな議論が行われ
るのか注目して行きたいと思います。
(注1)「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
」
世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により 1988 年に設立された国連の
組織。各国の政府から推薦された科学者の参加のもと、地球温暖化に関する科学
的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた知見を報告書にまとめている
(注2)適応・緩和
適応…気候変化の悪影響を和らげ、回避する対策
緩和…温室効果ガス排出削減、吸収源強化のための対策
以上
文責 黒柳 要次
P.D.C.A. ㈱パデセア
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