才能を伸ばすコツ

 Vol 29
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今月のテーマは「才能を伸ばすコ
ツ」について特集しました。
才能を
才能を伸ばすコツ
しかし現在の社会はどちらかというと、ねたみ、嫉
遺伝子研究学者の村上和男先生の説によると、 妬、いじめ等が人々の心の中に巣くっていてなかなか
「人間の遺伝子の数はハエの2倍に過ぎない」と 前向きになれない状況にあります。そんな時代だから
こそ、家庭にあっては子どもに励ましを送り、一緒に
いうことがわかってきました。
人間の思考や行動の複雑さは、ハエとは比べも なって問題を解決していこうとする親の対応が大事で
のにならないのに遺伝子のレベルから解析すると2 あり、真摯な対話が子どもの心を開き、勇気と希望の
倍しかないのです。 先生の説によると、生物の 光を送ることになります。 その要点は、親はまず子
本能的な行動は遺伝子が決めますが、文化的行動 どもの状況についてよく話を聞き、子どものレベルま
は後天的な経験や環境によって、大きく変動する で下がって対話することが大事であります。頭ごなし
とされています。そこで、今回は子育てのコツを の一方方向の言い聞かせ等は子どもの才能の顕在化に
は繋がりません。
この先生の主張から考えてみましょう。
子どもの才能を伸ばしたいと願うなら、3点に 第2の要件は良い生活習慣をつけることです。
心がけて接していくことが大事ではないでしょう 人間の一生は生まれ落ちてから、いろいろな習慣
か。 第1に見返りを期待しない励まし、第2に良 (くせ)をつけてきます。その「くせ」が、やがては
い生活習慣を定着させる事、第3に様々な実体験 その人の人生を形作っていくのであります。
と、一流の人の生き方考え方を学ばせること、そ 特に生活習慣と言われる毎日の行動の基となる習慣
(くせ)は、一度ついたあと修正することが難しく、
して読書する事等が有効と思われます。
まず、第1の「励まし」ですが、小学生の時に その人の一生を決めていくと言っても過言ではありま
先生から「君は作文がうまいね。もっと上手にな せん。
るよ。」とほめられたことがきっかけで、後に作 一般論として、良い習慣はつきにくく、悪い習慣は
家の人生を歩むこととなった方がいます。このよ 努力せずついてきます。従ってお子さまに良い習慣を
うに子どもの時に先生からほめられた事が動機 つけていくことが、その子の人生を切り開く原動力に
で、大きく能力・才能伸ばした方は大勢います。 なり、この良い習慣が充実した人生を送るためのコツ
ほめる、認める、励ますことは、子どもの生命の と言えます。
元京大総長の平澤興先生は「勉強は良い習慣づく
中に安心と希望と勇気を与えることに繋がるから り」と述べられています。大脳学者の鋭い慧眼は良い
ではないでしょうか。子どもの生命を燃え上がら 習慣が才能の開花の方途であることを示唆していま
せ、何ものにも負けない力を引き出す精神の触発 す。
作業と言えましょう。
第3にお子さまに様々な体験をさせてあげて下さ
子どもの心の中には強い意志、好奇心、忍耐強 い。自然とふれあい、自己の感性を磨くことによっ
さとともに、弱い意志、無関心、すぐにあきらめ て、内在している才能が開花されるかもしれません。
る性格が同居しています。そして、その中の前向 さらに幼児期は読み聞かせをする事によって、想像
きな生命を引き出すコツは、周りの人の励まし 力が生まれて、そのことがやがては創造力へと発展し
と、本人の成長しようとする意志が相互に働くこ ていきます。また、読書する事によって、他の人より
とが大事であり、その結果、偉大な才能と人格が 長く生きた実感を味わえることでしょう。つまり、本
顕在化してくるのではないでしょうか。
から作者の考え方を知り、学んでいけるという疑似体
験ができるからであります。
結論:
子育ての方法については皆さんにも考えていただきたい。
現在社会は景気回復を指向し、経済活動を活発にすることによって、国民の幸福も獲得できる
ような雰囲気があります。しかし、人間はお金があったら幸せになれるとは言えません。
私どもは子どもの健全な成長を第一義にして活動をしていますが、そのために私たち一人一人
がまず暮らしを誠実にして、その豊かな人間性でもって、励まし続けることが才能を伸ばすコツ
ではないかと思います。