平成23年度が終わります

平成23年度第3学期終業式校長あいさつ(H24.3.23(金))
平成23年度が終わります。
1,2年生、それぞれの1年間はどうでしたか。成長できたでしょうか。
今年度は、すべての生徒の皆さんと2分間校長面談を行いました。2年生には進路の目標
を、1年生には高校生活の目標を聞きました。皆さんとてもよく考えていて、感心しまし
た。その目標実現のための取組はどうだったでしょうか。今一度、校長室で目標を宣言し
たときを思い出して、この1年間の自分を振り返ってほしいと思います。
授業見学も、全クラス行いました。一昨年、昨年と比べて、授業を受ける様子が前向き
になってきていました。素晴らしいと思います。ただし、どうしても一つお話をしておき
たいのは、学力のつく授業の受け方をしていない人が少なからずいるという問題です。も
ったいない。
英語の授業、古典の授業、皆さんのノートを見ると、原文がよく書いてあります。予習
しているんですね。そして先生に指されると、訳をすらすらと答えます。でも、その横に
は教科書ガイドがある人がいます。教科書ガイドの力を頼って、その場をすりぬけたとし
ても、それは本当の学力の向上には結びつきません。むしろ、ただ義務感から原文を写し、
単語を調べているのは苦痛でもあり、苦痛をしながら努力することほどむなしいものはあ
りません。
私がお薦めしたい勉強法は、教科書の問題を、どの問題も全部、入試問題のつもりで取
り組むことです。英語なら英文和訳、古文なら現代語訳。数学なら設問を解く。それが入
試問題の基本です。
皆さんの中には、
「今は入試を突破する力はないけれど、単語や文法をちゃんと覚えたら、
そのときは入試問題も解けるようになる」と思っている人がいるでしょうが、それは勘違
いです。実は、そんな日は来ないんです。
どんな入試問題でも分からない単語が出てくるんです。それを前後の文脈から推理して
訳せるかどうかが入試で問われるのです。ならば、毎時間毎時間の予習の時間を、入試問
題を解くつもりで緊張感のあるものにできるかどうかが、実は合否の鍵を握っているので
す。
みなさんは入試問題を解く緊張感をもって日々の予習をしていますか。どうでしょう。
違うんじゃないでしょうか。英語なら、まずは新出単語を調べて、次に、それをもとに、
訳を考えてノートに書いてみる。それならまだいい方で、場合によっては、さっきもいっ
たように教科書ガイドにある訳を丸写しにして、授業で恥をかかないようにする。
そうではなくて、まず、入試問題だと思って、英文を眺めて、どんな意味なのかなあと
必死に考えてみる。訳を推理してみる。そのとき、確実に頭は考えています。まず、その
作業をしたで、わからなかった単語を辞書にあたってみる。そうした考えることの積み重
ねが、脳みそを鍛え、入試突破につながっていきます。教科書ガイドをうつしていても、
その場はごまかせても、時間の無駄です。絶対に実力はつきません。数学も古文も同じで
す。まず入試問題だと思って、自分の頭で必死に考えてみるわずかな時間が、あとで生き
てくるんです。繰り返しますが、いつも入試問題を解くつもりの、真っさらな気持ちで文
章に望むとよいと思います。それが合格の秘訣です。
さて、今日は年度の最後なので、この世で一番大切なもの、つまり「愛」についてお話
をしたいと思います。
「愛」とは何か。「愛」の本質とは何かということです。そのために、
「愛」について歌った一つの歌と、一冊の本を紹介したいと思います。
まず、さだまさしという人の「恋愛症候群-その発病及び傾向と対策に関する一考察-」
という歌です。
この曲の中で、
「求め続けるのが恋、奪うのが恋、与え続けるのが愛、変わらぬ愛」とさ
ださんは歌っています。そうなんですね。「求めるのが恋、与えるのが愛」なんです。
相手に対して「振り向いて欲しいなあ」「こうしてくれないかなあ」と求める心の動きが
恋、逆に「相手が喜ぶこと、望むこと、幸せになることをしてあげる」という与える心の
動きが愛なんですね。笑顔を与える。元気を与える。励ましを与える。喜びを与える。
この「与えることが愛」ということをよく覚えておいて下さい。自分のもっているもの
を、差し出そうというときに、そこに「愛」が生まれているわけです。
この「与えることが愛」というテーマで書かれた童話があります。シェル・シルバスタ
インという人が書いた「大きな木」というお話です。
このお話では、子どもは木に求め続け、そして木は我が身を削って与え続けます。しか
も見返りを期待することなく。本の中で、
「木はそれで嬉しかったのか」と投げかけていま
す。答えはありません。皆さんはどう思いますか。私は、木はやっぱり嬉しかったんだと
思います。何故なら、木は愛に満ちていたからであります。そしてこの「大きな木」の原
題は「THE GIVING TREE」
、つまり「与え続ける木」となっています。
人間の中には、求める心と与える心の二つがあると思います。それが人間です。皆さん
はどっちの方が強いですか。
友達関係においてはどうでしょう。友達に求める方ですかそれとも与える方ですか。
クラスにおいてどうでしょう。クラスに対して求める方ですか、与える方ですか。
部活においてはどうですか。部活に対して求める方ですか。与える方ですか。
あるいは自分の通っている学校全体にはどうですか。また、家族に対してはどうですか。
そしてこの社会全体あるいは日本という国家に対してはどうでしょうか。さらに自分に対
してはどうでしょう。自分というものに対し、
「こうしなくちゃいけない、ああしなくちゃ
いけない」と求める部分もあれば、
「がんばれ、すごいじゃん」と元気や勇気を与えている
部分もあると思います。
皆さんはまだ10代です。これからの人生はうんと長い。その人生を生きるときに、色々
と出会う人々や集団に、
「求める」立場に立つか、
「与える」立場に立つかで、みなさんの
人生はぐっと変わっていきます。それが人生の秘密です。
ただ相手に「求めている」だけでは、常に、相手へ依存、不平・不満、あるいは不幸せ
な心情が募ります。一方、
「与えている」自分を発見したとき、そこに主体性、充足感・生
きがい、あるいは幸せというものを発見できると思います。
どうか、皆さんが愛に満ちた人生を送ることができるよう、心から願っています。求め
るだけでなく、自分自身が与えていることに気付いたときに、愛に満ちている自分がいる
ことに気付くと思います。
新しい年度になると、新入生が入学して、皆さんは新 2 年生、新3年生になります。ぜ
ひ、新入生にとって、あこがれと尊敬をもって見られる、まぶしく輝く先輩であるよう、
それぞれを磨いていってください。
以上で、今年度最後の終業式の話を終わります。