Agilent Technologies HDMI 測定評価ハンドブック

Agilent Technologies
HDMI 測定評価ハンドブック
(第1版 2013 年 1 月)
本資料は、HDMI 測定評価ハンドブックのサンプルです。
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目次
Page
5
はじめに (本書の目的と対象読者)
7
第 1 章 HDMI 信号の概要
7
1-1 HDMI の概要と信号構造
8
1-2 TMDS 信号規格概要
11
第 2 章 HDMI 測定評価
11
2-1 コンプライアンステスト
11
2-2 機器および測定のカテゴリ
12
2-3 TMDS Electrical テストの考え方
14
第 3 章 ソース機器波形品質評価
14
3-1 概要
15
3-2 必要機材
17
3-3 測定前の準備
23
3-4 DUT の接続
25
3-5 測定の実施
43
3-6 測定項目の概要
45
第 4 章 ソース機器 TMDS プロトコル試験
45
4-1 概要
45
4-2 必要機材
46
4-3 測定の実施
54
第 5 章 シンク機器測定評価
54
5-1 概要
54
5-2 必要機材
56
5-3 測定前の準備(TMDS 信号発生器)
65
5-4 DUT との接続(TMDS 信号発生器での測定)
68
5-5 測定の実施(TMDS 信号発生器での測定)
74
5-6 測定の実施(差動インピーダンス測定)
80
付録 A Agilent 関連製品
82
付録 B 関連参考資料
-3-
本資料は、HDMI 測定評価ハンドブックのサンプルです。
はじめに (本書の目的と対象読者)
HDMI(High-Definition Multimedia Interface) は TV、BD レコーダ等のデジタル家電の映像音声イン
タフェースとしてデファクトスタンダードとなっています。近年では PC、携帯機器、車載機器、さらには
産業用機器、業務用機器等へも搭載が進んでいます。また、HDMI では、最大 3.4Gbps のデータレー
トの伝送が規定されており、相互接続性を確保するために、厳密なコンプライアンステストが義務付け
られています。HDMI 搭載機器を初めて開発されようとする方の中には、その測定について不安を覚
える方がおられるかもしれません。
本書は、HDMI 搭載機器をこれから開発されようとするエンジニアの方でも、自信を持って HDMI の測
定を実施していただくためのガイドとして作成されました。本書は、HDMI のコンプライアンステストを
中心に、測定機材の準備、被測定物との接続方法、測定の手順を記述しています。また、それぞれの
場面で測定のヒントとなる Tips も記載しています。本書に記載された情報は、既に HDMI の測定を経
験されている方にとっても、お役にたてるものになっていると思います。本書をご活用いただき、HDMI
の測定評価に役立てていただけば幸いです。
なお実際の測定器の使用に際し、ご不明点・ご質問等ありましたら、下記の弊社 計測お客様窓口ま
でお問い合わせください。十分な技術を持った技術担当がサポートさせていただきます。
アジレント・テクノロジー株式会社 計測お客様窓口
Tel: 0120-421-345
Fax: 0120-421-678
Email: [email protected]
本書が皆さまの機器開発、測定に少しでもお役にたてれば幸いです。
アジレント・テクノロジー株式会社
電子計測本部
アプリケーション・エンジニアリング部
***** 本書の対象範囲 *****
・HDMI 規格 ver. 1.4b およびコンプライアンステストスペック ver. 1.4b に準拠した測定評価方法につ
いて記述しています。規格およびテストの詳細については、下記の規格書を参照ください。
“High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.4b”, Oct. 2011, HDMI Licensing,
LLC
“High-Definition Multimedia Interface Compliance Test Specification Version 1.4b”, Oct. 2011,
HDMI Licensing, LLC
・HDMI コンプライアンステストの中で、主信号である TMDS 信号の電気特性評価およびプロトコルテ
ストについて解説しています。DDC/CEC ライン等の電気特性評価、EDID、CEC、HDCP の評価お
よび HEAC の測定評価については本書の対象外です。
・HDMI ケーブル測定については、本ハンドブック第 2 版以降で追加予定です。
-5-
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第 1 章 HDMI 信号の概要
本章では、評価の対象となる HDMI 信号の概要について説明します。HDMI 信号規格の詳細につい
ては、規格書(HDMI Specification)を参照ください。
1-1 HDMI の概要と信号構造
HDMI (High-Definition Multimedia Interface)は、非圧縮のハイビジョン映像とマルチチャネルオーデ
ィオを 1 本のケーブルで伝送する映像・音声・制御信号入出力用デジタル・インタフェースです。2002
年 12 月にリリースされ、現在では TV 等のデジタル家電をはじめとして広く使用されています。
HDMI を搭載した機器を開発するメーカは、HDMI 規格を管理する HDMI Licensing, LLC と契約を
締結し、HDMI Adopter になる必要があります。2010 年 9 月には Adopter 企業の数は全世界で 1000
社を超えました。
HDMI の規格書の最新版は、
“High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.4b”
で、2011 年 10 月にリリースされました。また、コンプライアンステスト方法を記述した Compliance Test
Specification (CTS)の最新版も、同じく 2011 年 10 月にリリースされた
“High-Definition Multimedia Interface Compliance Test Specification Version 1.4b”
です。HDMI の規格書および CTS は、HDMI Licensing, LLC の web ページから Adopter 限定でダウ
ンロードすることが可能です。
HDMI のシステムは、信号を送出するソース機器、信号を受信するシンク機器、およびソース機器とシ
ンク機器を接続するケーブルで構成されます。信号構造の概要を図 1-1 に示します。
TMDS: メインリンク(映像、音声)
DDC: Sink の情報(EDID)を Source に伝達
CEC: 機器間の制御
HPD: Hot Plug Detect
HEAC: HDMI Ethernet and Audio return Channel
図 1-1
HDMI 信号構造の概要
-7-
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映像音声の主信号は、クロック 1ch、データ 3ch からなる TMDS(Transition Minimized Differential
Signaling)信号で、ソース機器からシンク機器への一方向の伝送です。TMDS は、PC ディスプレイの
デジタル映像インタフェースの DVI 規格がベースとなっています。
DDC(Display Data Channel)信号は、シンク機器の情報(EDID)をソース機器に伝達するのに使用され
ます。CEC(Consumer Electronics Control)は、機器間の電源連動やリモコン制御連動のために使用さ
れます。HPD(Hot Plug Detect)は、機器の接続検出に使用されます。
また HEAC(HDMI Ethernet and Audio return Channel)は、HDMI 1.4 で追加になった機能で、機器間
での Ethernet 通信(HDMI Ethernet Channel)およびシンク機器からソース機器への音声信号伝送
(Audio Return Channel)に使用されます。HDMI Ethernet として使用される場合には、Utility ライン
(HDMI 1.3 までは Reserved となっていたライン)と HPD ラインの 2 線を使用します。
1-2 TMDS 信号規格概要
TMDS リンクは、図 1-2 のように、ビデオデータ区間、データアイランド区間、コントロール区間で構成
され、左上から右下に順々に伝送されるラスタ・スキャン方式が採用されています。アクティブビデオ
区間は実際の映像信号が伝送され、データアイランド区間では、音声や補助情報信号がパケットとし
て伝送されます。ビデオ区間、データアイランド区間以外は、コントロール区間となります。
TMDS のデータチャネルはクロックの 10 倍のデータレートで伝送されます。HDMI 1.4b での最大デー
タレートは 3.4Gbps、最大クロック周波数は 340MHz です。TMDS では、データの 8 ビットを 10 ビット
に変換して伝送します。ビデオデータ区間は TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)の名
の通り、1 と 0 の遷移をなるべく少なくして高周波成分を抑える符号化方式になっています。逆にブラ
ンキング区間では、1 と 0 の遷移が多くなる符号化方式を採用しています。
図 1-2 TMDS 信号概要
-8-
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第 2 章 HDMI 測定評価
本章では、HDMI 信号の評価測定およびコンプライアンステストについて説明します。
2-1 コンプライアンステスト
HDMI では、市場での相互接続性による不具合ができるだけ起きないようにするため、コンプライアン
ステスト仕様が厳格に定められています。HDMI 機器を開発製造する HDMI Adopter は、製品出荷前
に、コンプライアンステストに合格することが義務付けられています。
コンプライアンステストは、ATC(Authorized Test Center: 2012 年 8 月現在、全世界に 12 ヶ所)にテスト
を依頼するか、あるいは自社でのセルフテストにより実施されます。どのような場合にセルフテストが許
可され、どのような場合に ATC でのテストが必要かは、HDMI Licensing, LLC より公開されているテス
トポリシーに関するドキュメント”HDMI Compliance Testing Policies and Procedures”を参照してくださ
い。
2-2 機器および測定のカテゴリ
コンプライアンステストは、HDMI の機器カテゴリであるソース機器、シンク機器、ケーブル毎にテスト
項目が定められています。HDMI 信号を入出力するリピータ機器は、基本的にソース機器とシンク機
器の両方のテストが必要となります。
また、各機器のコンプライアンステストは、機器のカテゴリ毎に下記のように分類されます。
・Electrical テスト:
TMDS の電気特性、DDC/CEC/HPD 等の電気特性のテスト
・Protocol、Video、Audio テスト
TMDS のコーディング、パケット構造、Video フォーマットタイミング、InfoFrame 等のチェック
・EDID テスト
DDC プロトコル、EDID データ構造チェック等
・HDCP テスト
・CEC テスト
・HEAC テスト
これらのうち、HDCP、CEC、HEAC の各テストは、機器がその機能を採用している場合にのみテストさ
れます。同様にオプション機能についてのテストは、その機能をサポートする機器のみがテストの対象
となります。HDMI 1.3、HDMI 1.4 で新たに追加された新機能(たとえばディープカラー、3D 等)はす
べてオプションの機能ですので、その機能をサポートする機器はテストの必要がありますが、サポート
しない機能のテスト項目はテストは不要です。
なお、ケーブルのテストはコネクタ部の寸法を測定するメカニカルテストと Electrical テストのみです。
Tips
ソース、リピータ、コンバータケーブルで、HDCP 以外のコンプライアンステストの際には、HDCP 機
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能を OFF にする必要があります。たとえばオシロスコープでの TMDS 波形品質テストの場合、オシ
ロスコープの信号受信側には HDCP 認証の機能はありませんので、HDCP ON の機器では信号が
正常に出力されず、テストができません。ATC でのテストの際にも、HDCP ON(HDCP テスト用)と
HDCP OFF(それ以外のテスト用)の 2 種類を準備する必要があります。
2-3 TMDS Electrical テストの考え方
図 2-1 は TMDS の Electrical テストの考え方を図示したものです。TMDS の波形、電気特性のスペッ
クは、ソース機器の出力コネクタ端である TP1 (Test Point 1)およびシンク機器の入力コネクタ端である
TP2 (Test Point 2)で定義されています。したがって、TMDS Electrical コンプライアンステストでは、各
機器のカテゴリ毎に、
・ソース機器: TP1 の波形特性がスペックを満足すること
・シンク機器: TP2 のワースト条件の波形が入力した場合でも正しく信号を受信できること
・ケーブル: TP1 スペックぎりぎりの信号がケーブルに入力した際に、出力波形が TP2 のスペックを
満足すること
を確認することで、異なるベンダの機器を接続しても、相互接続性の問題が出ないようにしています。
また、HDMI では特別なテストモードは定義されていません。USB や DisplayPort 等の他のインタフェ
ースでは、機器を特定のテストモードに入れ、その際に出力されるテスト信号の波形でテストするもの
がありますが、HDMI ではテストモードはありませんので通常の動作状態でのテストとなります。
ソース機器が信号を送出するためには、下記の条件が必要です。
・ HPD 検出
・ EDID 情報の読み取り
・ TMDS 信号ラインの+3.3V プルアップ終端
ソース機器出力(TP1)の特性と、シンク機器入力(TP2)で許容される特性とを規定
することで、ソース機器、ケーブル、シンク機器の接続保証を実現
図 2-1 TMDS Electrical テストの考え方とテストポイント
- 12 -
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第 3 章 ソース機器波形品質評価
本章では、ソース機器およびリピータ機器の HDMI 出力の、TMDS 信号波形品質評価試験について
解説します。
3-1 概要
TMDS 波形品質評価では、リアルタイムオシロスコープを用いて、機器から出力される信号波形を測
定します。測定ポイントは、機器の HDMI レセプタクルコネクタ端で、TP1 として規定されています。そ
のため、測定は HDMI プラグ型のテストフィクスチャを用いて行います。
オシロスコープには、ジッタ評価やアイ波形評価のために、受信した TMDS クロック信号を、規格通り
のループフィルタ・帯域でクロックリカバリするソフトウェアクロックリカバリの機能が必要です。このため、
HDMI の波形評価には、サンプリングオシロスコープではなく、ソフトクロックリカバリの機能を持ったリ
アルタイムオシロスコープが必要となります。
また、オシロスコープの必要帯域は 8GHz 以上と規定されています。これは、TMDS 信号の最小立上
り時間の 75ps の信号が入力しても正しく評価できる帯域として規定されています。
Tips
オシロスコープの必要帯域は、測定する信号のもつ周波数成分で決まります。信号の立上り/立下
り時間が早いほど、信号には高周波の成分が含まれますので、大きな帯域のオシロスコープが必
要です。信号の立上り時間(Tr)と最大周波数(fmax)には、下記の関係があります。
fmax = 0.4 / Tr (20-80%)
測定確度を考慮すると、オシロスコープの必要帯域(BW)は、
BW(3%) = 1.4 x fmax、 BW(10%) = 1.2 x fmax (カッコ内%は測定誤差)
となります(表 3-1)。
HDMI 1.4b の立上り/立下り時間の最小は 75ps(20-80%)であり、この信号を正しく測定するために
は、8GHz 帯域のオシロスコープが必要です(図 3-1)。
Tips
270Mbps や 742.5Mbps あるいは 1.485Gbps の信号であっても、立上り時間の早い信号を測定する
場合は、帯域 8GHz のオシロスコープが必要です。最近の Tx IC には 2.22Gbps や 2.97Gbps に対
応した立上り時間が早いものがあり、このような IC を遅いデータレートで使用する場合でも、立上り
時間は早いままの信号が出力される場合がありますので、注意が必要です。
表 3-1 信号の立上り時間と必要帯域
立上り時間(20-80%)
250ps
100ps
75ps
3%精度
2.2GHz
5.6GHz
7.4GHz
- 14 -
10%精度
1.9GHz
4.8GHz
6.4GHz
本資料は、HDMI 測定評価ハンドブックのサンプルです。
1080p 8bit (1.485Gb/s)の例
Tr/Tf (20-80%)
測定結果
Tr = 77.2ps
8GHz BW
Tf = 76.8ps
Tr = 83.0ps
6GHz BW
Tf = 83.6ps
Tr = 96.0ps
4GHz BW
Tf = 96.5ps
図 3-1 立上り時間 約 75ps の信号を異なる帯域のオシロで測定した例
4Ghz、6GHz 帯域では、立上り時間がなまって測定されるとともに、波形もリンギン
グが起きるなど正しく測定されていないことが判る
3-2 必要機材
必要機材は下記です(図 3-2)。
・リアルタイムオシロスコープ
・プローブおよび SMA プローブヘッド
・テストフィクスチャ
・DC 電源(+3.3V バイアス印可用)
・バイアス電圧分配ケーブル
オシロスコープの必要性能は下記となります。
・8GHz 以上の帯域
・20GSa/s で 2ch 同時測定可能
・2ch 同時、1ch あたり 16M sample 以上のサンプルメモリ(分割してのサンプル測定も可)
・規定のクロックリカバリ機能
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プローブ Agilent 1169A
リアルタイムオシロスコープ
Agilent DSA90804A
テストフィクスチャ
Agilent N1080B-H04, H06
SMA プローブヘッド Agilent N5380B
DC 電源
Agilent E3640A
バイアス電圧分配ケーブル
Bitifeye BIT 1003-0000-0
図 3-2 必要機材の例
表 3-2 にオシロスコープの推奨構成を記します。
表 3-2 オシロスコープ推奨構成
モデル番号
Agilent DSA90804A
Agilent DSO90000A-023
Agilent 1169A
Agilent N5380A/B
内容
オシロスコープ(4ch, 8GHz 帯域, 40GSa/s 50Mpoint メモリ/ch)
HDMI 測定ソフトウェア (N5399B)
12GHz InfiniiMax II プローブアンプ
12GHz 差動 SMA プローブヘッド
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数量
1
1
4
5
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Setup タブ: 測定の基本的な設定を行います
- Channel Connection Type:
プローブ 4 本使用時は 4 Connections、2 本使用時は 2 Connections
- HEAC Tests: HDMI Ethernet and Audio return Channel の測定の際にチェックを入れます
- Test Fixture Type: 常に N1080A/SMA Probe を選択しておきます
- HDMI Spec: 1.4 を選択しておきます(HDMI 1.4b に対応済み)
- Hide Information Tests: チェックを入れておきます
- Device Identifier: DUT がソース機器(Transmitter)かケーブル(Cable)かを選択します
Receiver は使用しません
- Device Name, Comment: 任意に記入できます(試験レポートに反映されます)
- Probe Offset Calibration, Offset Enabled: 実施した Cal データを使用する場合にチェックを入れます
(基本は常にチェックを入れて使用します)
図 3-12 Setup タブの設定
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第 4 章 ソース機器 TMDS プロトコル試験
本章では、ソース機器およびリピータ機器の HDMI 出力信号の TMDS プロトコル試験について解説
します。
4-1 概要
TMDS プロトコル試験では、機器から出力される TMDS 信号のコーディング、パケット構造、ビデオフ
ォーマットタイミング、オーディオタイミング等を、プロトコルアナライザを用いて解析します。
使用されるプロトコルアナライザは、TMDS 信号のローレベルエンコーディングが正しいかどうかを解
析するために、10bit コードの TMDS 信号をキャプチャし解析する機能を持っています。これにより
TMDS 信号の各区間(コントロール区間、データアイランド区間、ビデオデータ区間)のエンコーディン
グ、内容、順序等が規格通りになっているかを確認できます。
また、プロトコルアナライザは、受信した信号のパケットを解析し、パケットの種類、定義が規格に違反
していないかをチェックします。さらには、ビデオ信号の色空間、ビデオフォーマットタイミング、オーデ
ィオタイミング、InfoFrame 情報等が規格通りかどうかも解析できます。
プロトコル試験では、テスト内容に応じた EDID 情報をプロトコルアナライザに設定してテストを実施し
ます。テスト項目によっては、設定した EDID に応じた信号が機器から出力されているか、あるいは、
EDID に反した信号が出力されていないかどうか等をチェックしますので、プロトコルアナライザに設定
する EDID は重要です。
4-2 必要機材
必要機材は下記です。
HDMI プロトコルアナライザ
制御 PC
表 4-1 にプロトコルアナライザの推奨機器を記します。
モデル番号
Agilent U4998A
Agilent M9502A
Agilent M9045B
Agilent M9048A
Agilent Y1200B
Agilent Y1202A
Agilent U4998A-PSV
表 4-1 プロトコルアナライザ推奨構成
内容
HDMI プロトコルアナライザジェネレータモジュール
AXIe シャーシ 2 スロット
PCIe ExpressCard アダプタ Gen 1, x 1
PCIe デスクトップアダプタ Gen 2, x 8
PCIe ケーブル: x1 to x8 2.0m (M9045B 用)
PCIe ケーブル: x8 to x8 2.0m (M9048A 用)
Passive Monitoring オ プ シ ョ ン (Pass-through mode,
Mirror mode)
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数量
1
1
PC に合わせてど
ちらか選択
アダプタに合わせ
てどちらか選択
必要に応じて選択
本資料は、HDMI 測定評価ハンドブックのサンプルです。
・ソフトウェアの終了
・PC のシャットダウン
・測定器の電源 OFF
・PCIe ケーブルを外す
(注意)
・測定器の電源は、必ず PC シャットダウンの後に OFF にしてください。
・接続の PCIe ケーブルは、測定器と PC の電源 OFF 後に外してください。
機器の接続(電源 OFF の状態で接続)
写真の向きにケーブ
ルを挿入
ラッチにはまるよう奥
まで差し込みます
本体左下のポートに PCIe ケーブルを
接続します
ケーブルを抜く際は
緑のタブを引きます
Express Card アダプタに PCIe ケーブルを挿し、PC のス
ロットに挿入します
(Express Card スロットの位置は PC により異なります)
電源 ON と PC の立ち上げ
まず測定器本体の電源を投入します
本体電源投入後、前面右下の Status LED が緑になっていることを確認
Status LED が緑になってから、2 分程度待ってから、PC を立ち上げ
PC が起動し、測定器を正常に認識すると、画面
右下ツールバーに緑丸アイコンが表示されます
図 4-2 U4998A と PC の接続と電源の立ち上げ
- 47 -
ツールバーアイコンが隠れ
ている場合がありますので
確認してください
本資料は、HDMI 測定評価ハンドブックのサンプルです。
第 5 章 シンク機器測定評価
本章では、シンク機器およびリピータ機器の TMDS 信号入力の測定評価について解説します。
5-1 概要
TMDS 信号入力の評価では、TMDS 信号発生器を用いてテスト信号を発生し、シンク機器が信号を
正しく受信できるかどうかを確認します。また、シンク機器の TMDS 信号入力差動インピーダンスが規
定内に入っているかどうかも確認が必要です。測定ポイントは、シンク機器の HDMI レセプタクルコネ
クタ端で、TP2 として規定されています。そのため、測定は HDMI プラグ型のテストフィクスチャを用い
て行います。
シンク機器への入力波形は TP2 のワースト条件に設定します。CTS 1.4b では、ワースト条件として、電
圧振幅の最小と最大、Intra-Pair Skew(差動ペア内のスキュー)の最悪値、ジッタの最悪値をそれぞれ
テストすることが定められています。シンク機器評価に用いる TMDS 信号発生器は、これらのワースト
条件の波形を、正確にかつ再現性良く生成することが必要です。また、信号波形は使用する同軸ケ
ーブル、テストフィクスチャその他の接続アクセサリ類によって微妙に変化する可能性があるため、
TP2 のテストポイントで所望の信号波形になっているかどうかをチェックする必要があります。このような
信号のキャリブレーションが簡単にできるかどうかも、測定機器のポイントとなります。
シンク機器が TMDS 信号を正しく受信できるかどうかは、シンク機器のディスプレイに実際の画像信
号を表示して、画像にエラー、ノイズが無いかどうかを目視で判定します。テストに使用する画像は特
にスペックでは定めらてはいませんが、グレースケール(黒から白のグラデーションおよびその繰り返
し)の静止画が主に用いられています。
Tips
リピータ機器では、機器にディスプレイがありませんので、機器の HDMI 出力に TV 等を接続して、
その画面を目視で確認してテストを実行します。
5-2 必要機材
必要機材は下記です(図 5-1)。
・TMDS 信号発生器
・バイアス T
・同軸ケーブル
・TTC (Transition Time Converter)
・ケーブルエミュレータ
・テストフィクスチャ
・DC 電源(+3.3V バイアス用)
・リアルタイムオシロスコープ
・プローブおよび SMA プローブヘッド
・DC 電源(+3.3V バイアス用)
・バイアス電圧分配ケーブル
・TDR オシロスコープ
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5-3 測定前の準備(TMDS 信号発生器)
本章では、TMDS 信号発生器を用いたシンク機器測定について解説します。TDR オシロスコープを
用いた差動インピーダンス測定については、5-6 章を参照してください。
測定は以下の手順で実施します。
・測定器のウォームアップとキャリブレーション
・TMDS 信号波形のキャリブレーション
・DUT(被測定機器)の接続
・測定の実施
TMDS 信号発生器、オシロスコープは測定開始前に 30 分以上通電してウォームアップを実施してく
ださい。測定あるいは校正を実施する前に、測定機器の内部温度を安定させることが目的です。
オシロスコープの校正については、3-3 章を参照してください。
以下では、TMDS 信号発生器出力の波形をオシロスコープでキャリブレーションする手順について解
説します。
<測定機器の制御系接続確認>
TMDS 信号の波形キャリブレーションは、シンク機器の自動測定ソフト(Valiframe)を用いて実施しま
す。Valiframe の実行前に、測定、キャリブレーションに使用する測定機器の制御インタフェースの接
続確認を実施します。
制御 PC で Valiframe HDMI Station Configuration を立ち上げ、使用する機器を選択した後、
Instrument Configuration 画面で測定機器のアドレスを入力し、制御 PC から測定機器の接続確認を
実施します。測定機器のアドレスは Agilent Connection Expert で確認します。
Valiframe HDMI Station Configuration
を立ち上げ
HDMI Station を選択して Next
使用する E4887A 構成(7G System)、
DC 電源機種を選択して Next
Address 欄に測定器のアドレスを入力
図 5-2 Valiframe Station Configuration での測定機器接続確認
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5-5 測定の実施(TMDS 信号発生器での測定)
Valiframe を立ち上げ、測定項目を選択して測定を実施します。
各測定項目の接続図が現れますので、接続状態を確認します。測定が始まると、エラーの有無をチェ
ックするウィンドウが表示されますので、シンク機器の画面を見て、エラーがあるかどうか判定し該当の
ボタンをクリックします。
<測定の実施>
測定項目
各測定項目ごとの接続図が現れるので
接続状態を確認して OK
測定項目を選択し Start ボタンを
押して測定を開始します
シンク機器の画面を見て、エラーがあるかどうか
判定してクリック
図 5-17 Valiframe によるシンク測定の実施
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