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• FLASH REPORT
米大手銀行に適用される新たなサイバーセキュリティ基準
2016
10月28日
米国の金融規制当局は、サイバー攻撃から顧客および金
サービスプロバイダに適用が限定されますが、
その後他
融市場全体を効果的に保護するための新たなサイバーセ
のほとんどの金融機関に対しても、規制当局により同じ
キュリティ要件を提示しました。
基準が適用されることになると予想されます。
連邦準備制度理事会(FRB)
、通貨監督庁(OCC)
、および
• 今回提示された基準は、
「企業のリスク選好と戦略に合
連邦預金保険公社(FDIC)は、2016 年 10月19日付で、大
致したサイバーリスク許容度を確立し、企業の業務の性
手金融機関と関連するサービスプロバイダのサイバーリス
質に応じたサイバーリスクを管理する」
必要性から、企業
内部監査人協会
(IIA)
情報/CBOK調査結果
ク管理基準を強化することを目的とした規制案制定事前通
がサイバーリスクをより全社的な視点と責任となるようシ
告
(ANPR)
を発行しました。強化された基準の導入により、
フトさせることを示しています。
規制当局は、企業がサイバー攻撃への対処方法を準備・
検討・策定することによって、企業の業務回復力を高め、
サ
• 強化された要件を満たすためには、企業の独立したリス
イバーインシデントが引き起こす金融システムへの影響を
ク管理機能が、十分な独立性や立場、権限およびリソー
軽減することを目指しています。なお、
2017年1月17日まで、
スを確保し、
かつ維持することが不可欠です。
この基準に対する意見の募集が行われています。
• また、サイバーリスク管理のフレームワークと業務が一致
この基準は、15 年以上前に制定されたグラム・リーチ・ブ
していることを保証するために、取締役会へ直接報告す
ライリー法(GLBA)
と10 年以上前に出版された連邦金融
ることも必要となります。
機関検査協議会(FFIEC)の情報技術審査ハンドブックで
概説されたサイバーセキュリティの要件を強化したもので
す。この基準は、2013 年に発刊された国立標準技術研究
• 報告ラインは、他の業務や事業部門のラインとは、明確
に分離していなければなりません。
所
(NIST)
のサイバーセキュリティフレームワークや、2015 年
に発刊されたFFIECのサイバーセキュリティ評価ツール 1 な
• この強化された基準は、内部および外部資産のサイ
ど、近年に開発されたセキュリティガイダンスを補完するもの
バーセキュリティの懸念点を評価し管理する際に、企業
であり、
新たに置き換わるものではありません。しかしながら、
がリスクベースのアプローチを取ることを重視しています。
この新たな基準は、新たに定義された
「金融セクターの重要
なシステム」の対策を、他の全てのシステムの対策と区別し
• この新しい基準において、企業は変化する脅威環境に
て、対象とする組織に拘束力のある最低限満たすべき要件
沿って進化可能な柔軟なサイバーリスク管理フレーム
として、
段階的に組み入れようとしています。
ワークを構築すべきであると示唆されており、サイバーセ
影響の概要
• 今回提示された基準は、従来の指針の概念に基づいて
キュリティの脅威と
「状況認識」に焦点を当てることが求
められています。
適用範囲
特定の要件を構築し、
最低限遵守すべきサイバーセキュ
リティ基準となる見込みです。
連邦準備制度理事会
(FRB)
は、
この強化された基準を、総
連結資産が 500 億ドル以上ある全ての米国の銀行持株会
• この強化された基準は、まず大手金融機関や主要な
社(BHC)および米国の貯蓄貸付持株会社(SLHC)に適
1 プロティビティ発行のホワイトペーパーをご参照ください。Understanding the FFIEC Cybersecurity Assessment Tool: An Internal Audit Perspective: www.
protiviti.com/US-en/insights/understanding-ffiec-cybersecurity-assessment-tool.
Internal Audit, Risk, Business & Technology Consulting
用することを提案しています。また、500 億ドル以上の米国
サイバーリスクガバナンス
総資産を持つ、米国で事業を行う外国銀行組織についても
同様に適用対象となります。理事会はまた、米国財務省の
新しい基準は、企業に対し、全体的なビジネス戦略計画とリ
一機関である金融安定監督評議会(FSOC)により指定さ
スクガバナンスの体系に統合された強力なサイバーリスク
れた決済やサードパーティの支払決済サービスプロバイダ
ガバナンスのフレームワークを支えることを目的とした公式
のように、米国の金融システムと金融市場インフラのための
のサイバーリスク管理戦略を策定し、かつ維持することを要
重要な機能を果たしているノンバンクの金融会社および金
求しています。対象となる金融機関には、以下の事項が求
融市場ユーティリティ
(支払・清算・決済機関)
に対しても、
められます。
この基準の導入を検討しています。
• 取締役会または適切な委員会が、
企業のサイバーリスク
通貨監督庁(OCC)は、
この基準を、国立銀行や連邦貯蓄
管理戦略を承認し、経営陣
(上級管理職)
は戦略に一致
協会、
その子会社、
または、
総連結資産 500 億ドル以上の米
した適切な方針を確立し、実行することについて責任が
国の銀行持株会社(BHC)および米国の貯蓄貸付持株会
あることを確認すること。
社(SLHC)の外国銀行子会社の連邦支店に対しても適用
することを検討しています。国立銀行、連邦貯蓄協会、持
• 取締役会に対し、適切なサイバーセキュリティの専門知
株会社がない外国銀行の連邦支店が、適用範囲として加
識を持たせる、
またはそのような知識があるリソースやス
えられています。
タッフとの連携を確立するよう求めること。
内部監査人協会
(IIA)
情報/CBOK調査結果
連邦預金保険公社(FDIC)は、持株子会社がない組織と
• ビジネスラインから独立し、取締役に直接かつ独立した
同様に、500 億ドル以上の資産を保有する米国の銀行持株
立場で連携することが可能であり、企業のサイバーリス
会社(BHC)および米国の貯蓄貸付持株会社(SLHC)の
ク顕在度とリスク管理状況(既存の問題や新たに発生
子会社であれば、全ての州非加盟銀行または州貯蓄協会
した問題とそれらの傾向の把握を含む)
を伝える上級管
にも、
この基準を適用することを提案しています。
理職またはリーダーを、
サイバーリスクの監督責任者とし
て任命すること。
すでに述べたように、一部の外部サービスプロバイダも、
こ
の基準の適用範囲とみなされます。対象外のコミュニティ
• 取締役に承認された企業全体のサイバーリスク管理戦
バンク
(比較的小規模な地域金融機関)
を含むその他の金
略を文書で策定すること。
(この戦略は、
企業がどのよう
融会社には、既存のガイダンスや基準が引き続き適用され
に固有のサイバーリスクに対処し、
残存するサイバーリス
ます。
クを許容できるレベルに維持し、継続的に復旧能力を維
強化された基準
持していくかが明確に示されている。
)
• 会社のリスク選好と戦略に合致したサイバーリスク許容
規制案制定事前通告(ANPR)において提案されている強
度を確立し、企業の業務の性質に応じたサイバーリスク
化されたサイバーリスク管理基準は、
以下の5項目に着目し
を管理すること。
ています。
• 残存するサイバーリスクを、取締役会が承認する適切な
サイバーリスクガバナンス
サイバーリスク管理
内部依存性管理
外部依存性管理
インシデント対応、
サイバー復旧能力および状況認識
レベルに引き下げること。
• サイバーリスクを提示する活動や、
リスクの顕在化を認
識および評価し、企業の残存するサイバーリスクの評価
方法を決定すること。
• 企業のサイバーリスク管理戦略をサポートし実行するた
めの方針や報告体制を含む、全社的なサイバーリスク
管理フレームワークを確立すること。
• サイバーリスク管理フレームワークにおいて、
サイバーイン
シデントや脅威を認識し対応する仕組みを含めること。ま
5 項目の詳細は、
以下の通りです。
た、
この仕組みには、
対応の有効性を評価する手続きを組
み入れ、
脅威の進化に応じてその手続きを更新すること。
protiviti.jp · 2
サイバーリスク管理
にCEOや取締役会に報告すること。
この強化された基準は、
企業に対して、
適切なチェックとバラ
• 企業全体のサイバーリスクを継続的に認識、評価、およ
ンス( 抑制と均衡 )を伴ってサイバーリスク管理を少なくとも
びモニタリングすること。また、サイバーリスクのコント
3つの独立した機能(業務執行部門、
リスク管理部門、内部
ロールが企業全体で適切であり、企業が確立したリスク
監査部門)
として構築する事を求めている。
選好および許容度と整合しているかどうか判断すること。
業務執行部門
• 企業の重要な資産リスクを把握および評価し、企業のリ
スクプロファイルやその他の状況変化を考慮したうえで、
第一のディフェンスラインの業務執行部門は、
この新しい基
リスク管理を強化するか、
リスクを軽減する必要がある
準において、サイバーリスク管理に対する責任が増加して
かを判断すること。
います。
• 企業のサイバーセキュリティープログラムや、プログラム
以下の事項が求められます。
をサポートするプロセスやシステムの構造、
また、進化す
るサイバー脅威環境との関係について、最新の理解を
• 経営陣がタイムリーな方法で、新しく発生したサイバーリ
確立し、
かつ維持すること。
内部監査人協会
(IIA)
情報/CBOK調査結果
スクやサイバーインシデントを速やかに説明し対応できる
ように、業務執行部門の活動に関連するサイバーリスク
• 企業の業務がサイバーリスク管理フレームワークと整合
を評価し、最高経営責任者を含む上級管理職とリスク
することを確実にするために、
十分な独立性、
職位、
権限、
情報を共有すること。
リソース、
および取締役との連携を構築し、
かつ維持する
こと。
• 企業のサイバーリスク管理フレームワークに整合した手
順とプロセスを遵守すること。
これらの手順やプロセスは、
内部監査部門
業務執行部門のサイバーリスクが、効果的に認識、測定、
モニタリングおよびコントロールされており、企業のリスク
第三のディフェンスラインは、
リスク管理、内部統制、および
選好とリスク許容度に整合するように設計されていること。
コーポレートガバナンスにおいて重要な役割を果たします。
内部監査には、
以下の事項が求められています。
• あらゆる事業資産(従業員、データ、テクノロジ、設備)
や
サービス、IT 接続ポイントに関連するサイバーリスクと潜
在的な脆弱性を評価すること。また、脅威やテクノロジ、
• リスク管理、内部統制、およびガバナンスプロセスの有
効性を評価すること。
プロセスの進化に従い、
これらの評価を更新すること。
• 会社の方針と手順が、新たに発生するリスクや業界の
独立的なリスク管理部門
規制に充分対応しているかどうか、経営陣や取締役会
に助言すること。
この基準は、企業がサイバーリスク管理全般を、独立したリ
スク管理機能の責任に組み込むことを求めています。こ
• サイバーリスク管理フレームワークが関連法令や規制に
のリスク管理機能により、組織全体のサイバーリスク管理フ
則っているかどうかを評価し、
また、組織の規模や複雑
レームワークの導入は、最高リスク管理責任者と取締役会
性、相互接続性およびリスクプロファイルに適しているか
に報告されます。
どうかを評価すること。
独立的なリスク管理機能は、
以下の事項が求められます。
• サイバーリスク管理の評価を、会社の全体的な監査計
画に取り込むこと。この評価には、セキュリティライフサ
• 企業レベルのサイバーリスクを分析し、一つまたは複数
イクル全体を含める必要があり、
また、対象とする組織の
の業務部門に影響を及ぼす可能性があるインシデント
規模、複雑さ、操作範囲、相互接続性に基づいて、侵入
への効果的対応を認識し、
かつ確実にすること。
検査やその他の脆弱性評価活動を適宜含めること。な
お、監査計画は、独立したリスク管理機能の能力(適切
• サイバーリスクに関する企業全体の顕在状況を継続的
な場合に適応する能力、および企業のサイバーリスク管
に評価し、ある項目が企業の確立したサイバーリスク許
理の枠組みおよび決議されたリスク選好およびリスク許
容度を上回った場合や、特定のサイバーリスクの評価が
容度の範囲内で遵守し続ける能力)
を評価するために
業務執行部門の評価と異なっている場合には、速やか
必要となるものである。
protiviti.jp · 3
内部依存性管理
知の違反を緩和する。
内部依存性は、企業の事業資産(従業員、データ、テクノロ
• 事業資産のサイバーリスクを削減するために、適切な管
ジー、
設備)
およびそれらの間の情報の流れを指します。提
理を継続的に運用し、定期的に事業資産のバックアップ
示された基準が目指すところは、広範囲の発生源から生
のテストを実施して、
復旧力を達成する。
じる事業資産に関連するサイバーリスク
(例えば、
インサイ
ダーの脅威、データ伝送エラー、合併によって獲得したレガ
外部依存性管理
シーシステムの使用など)
を認識し、かつ管理する効果的な
能力を企業が確保することです。ここで焦点となるのは、企
業の事業資産の継続的なリスク評価です。
「外部依存性」
とは、企業と、外部ベンダー、
サプライヤー、顧
客、
インフラ、サービスを提供するために必要な外部組織や
サービスプロバイダの関係、および企業と外部関係者間の
新しい基準では、
企業には以下の事項が求められます。
情報の流れや相互接続のことを指します。このカテゴリに
は、重要なシステムへの信頼できる接続を維持するために、
• 内部依存性管理戦略を、企業の全般的な戦略的リスク
管理計画に統合すること。この戦略は、内部依存性管
理の役割と責任を定義します。
重要ではない外部関係者との相互接続リスクの管理が含
まれます。
内部監査人協会
(IIA)
情報/CBOK調査結果
企業は、外部依存関係や相互接続リスクに関連するサイ
– 金融セクターの重要なシステムに接続されている、ま
バーリスクに対処し、かつ削減するために、外部依存性管
たはサポートしている内部資産と関連したサイバーリ
理戦略を戦略的リスク管理計画全体に統合する必要があ
スクを認識し、管理するための方針、規準、手順を確
ります。
立する。
– 内部依存性に関連するサイバーリスク削減の効果を
モニタリングする。
外部依存性管理戦略の一環として、企業は以下の事項が
求められます。
– 適切なコンプライアンスメカニズムを設定する。
• 外部依存性に関連するリアルタイムのサイバーリスク、
• 企業のサイバーリスク管理戦略をサポートする全ての内
特に金融セクターの重要なシステムやオペレーションに
部資産とビジネス機能の最新かつ完全な認識を確立し、
接続している、
またはサポートしているサイバーリスクを、
維持向上すること。
ライフサイクル全体にわたって識別し、かつ管理するた
めに効果的なポリシーや計画、
手順を確立すること。
• 資産のライフサイクル全体を通じて資産とサイバーリスク
レベルの関連を追跡し、
組織全体に関連するデータの収
• 企業のサイバーリスク管理戦略をサポートする全ての外
集や分析をサポートすることにより、企業や金融セクター
部依存性、および信頼できる接続をリアルタイムで監視
の重要なシステムの監視や、
インシデント対応および復旧
すること。
の優先順位を決めるメカニズムを確立し導入すること。
• サポートするビジネス機能や企業のミッション、および金
• 取締役会が承認したリスク選好と許容度が達成される
融セクターへの重要性に基づき、全ての外部依存性、
お
まで、企業および金融セクターに対する事業資産のサイ
よび信頼できる接続を、最新の状態で正確かつ完全に
バーリスク発現の削減を支援すること。
認識し、
優先順位をつけて改善および維持すること。
• 事業資産の固有サイバーリスクに対処するために、次の
ような適切なコントロールを確立し適用すること。
– 利用や展開、
リリース前の資産とそれらの運用環境の
サイバーリスクを評価する。
– 資産のライフサイクルにわたってコントロールを継続
的に適用し、
資産とそれらの運用環境を監視する。
• 企業や金融セクターの重要なシステムの監視、
インシデ
ント対応、
および復旧について、
優先順位を付けること。
• 取締役会が承認したサイバーリスクの選好および許容
度が達成されるまで、外部依存性によるサイバーリスク
発現の継続的削減を、企業および金融セクターに対し
て支援すること。
– 関連するサイバーリスク
(システムおよびデータに対す
る内部脅威を含む)
を評価する。
– 内部依存性のサイバーリスク管理方針、基準および
• 企業と金融セクターに不可欠なシステムをサポートする
事業資産に関連する外部依存性をモニタリングすること。
手順に対する識別された逸脱や確認された例外、既
protiviti.jp · 4
• 各外部パートナーと関係を持つ期間において、彼らが示
• サイバー攻撃を受けた際、中核的な事業機能を継続す
すサイバーリスクに対応する適切なコントロールを確立
るための戦略を確立し、導入すること。エネルギーや電
し、
かつ適用すること。
気通信等、相互接続された重要なインフラストラクチャの
複数の要素に対する複数の同時または広範囲の中断
• 外部パートナーからの成果が期待通りでは無い場合に
やサイバー攻撃の可能性を考慮する必要がある。
備え、代替策を認識し、代替策への変更について定期
的なテストを行うこと。
• 特定の定義済みのデータ基準 2 を使用してフォーマット
された重要な記録(金融機関の財務記録、
ローンデータ、
インシデント対応、
サイバー復旧能力および状況認識
資産管理勘定情報、残高および所有権の詳細を含む
日々の預金勘定記録等)について、安全で変更不可能
インシデント対応、サイバー復旧能力、および状況認識カテ
なオフライン保管の方法を確立すること。
ゴリの基準は、企業がサイバーインシデントに起因する混乱
への対応について計画、
実行し、
迅速に回復するように設計
• ある事業部門やサービスプロバイダが業務を遂行でき
されており、企業および金融セクターのサイバー復旧能力
ない事態に陥った場合、業務の中断を最小限にし、
かつ
を強化することを目指しています。金融機関は、
サイバー攻
所定の時間内で実行可能とするために、業務を他の事
撃に直面した際においても、重要なビジネス機能を実行す
業部門やサービスプロバイダに移管する計画とメカニズ
ることが可能であり、継続的にサイバー復旧能力を強化す
ムを確立すること。
内部監査人協会
(IIA)
情報/CBOK調査結果
ることが求められます。加えて、企業は、事業環境の変化を
確実に予測し、分析し、対応するための効果的な状況認識
• クライアントにサービスを提供する能力に影響を与える
能力について、
維持するように設計されたプロセスを確立す
可能性があるサイバーインシデントに対処する特定の訓
ることが求められます。
練を実施すること。
この提示された基準では、企業は以下の事項が求められま
す。
• サイバーインシデントを回避し、かつ発生時には迅速に
対応するために、企業の運用状況およびサイバーセキュ
リティに対する取組について、継続的な状況認識を維持
• サイバー攻撃による悪影響の広がりを防止するために、
すること。
金融セクターのパートナーや外部ステークホルダーとの
相互接続から発生するサイバーリスクを特定し、緩和す
る計画を立て、
実施すること。
• 企業で認識された脅威のプロファイルを確立し、かつ維
持すること/脅威モデリング機能を確立し、かつ維持す
ること/対応可能なサイバー脅威情報を収集すること/
• 適切なポリシーや手順、
ガバナンス、
人材の配置、
独立し
たレビューによってサポートされる、企業全体のサイバー
復旧能力とインシデント対応プログラムを確立し、
維持す
ること。これらのプログラムには、組織の意思決定レベ
継続的にセキュリティ分析を行うこと/継続的な脆弱性
管理能力を確立し、
かつ維持すること。
金融セクターの重要な基準
ルや、サイバー攻撃による悪影響の広がりの防止手順、
コミュニケーション戦略、およびインシデントによる教訓を
組み込むため、効果的な報告手順が含まれている必要
がある。
提案されている段階的な導入アプローチにおいては、対象
となる全ての企業が強化された基準の対象となりますが、
「金融セクターの重要なシステム」
として定義された組織に
ついては、
より高度な課題があります。
• アクセスを阻害したり、
データを破損させたり、
データやシ
ステムを破壊したりする可能性があるサイバー攻撃につ
この金融セクターの重要な基準において、対象の企業は以
いて、復旧能力の戦略を策定する計画を立てること。そ
下の事項が求められます。
の際、企業は、マルウェアや破損したデータが、接続され
たシステムや高可用性ソリューションを通じて複製また
• 最も効果的で利用可能なコントロールを導入すること。
は伝播する可能性に対処する復旧能力を備える必要が
あり、
ビジネス戦略に沿ったリカバリ時間目標(RTO)
を
確立する必要がある。
• サイバーインシデントから復旧するために、金融セクター
の重要なシステムにおいては、
2時間のリカバリ時間目標
2 このデータ基準を用いることで、別の金融機関やサービスプロバイダ、連邦預金保険公社(FDIC)によって、記録が復元される。
protiviti.jp · 5
(RTO)
をテストによって検証し、確立すること。テストプ
ログラムには、重大な実害が生じ、かつ発生可能性があ
導入
るシナリオ等、様々なシナリオを含め、通信プロトコルや
規制案制定事前通告
(ANPR)
は、特定のサイバーリスク管
ガバナンスの取り決め、再開と復旧の方法などの課題
理基準を課した政策声明またはガイダンスから詳細な規則
解決を計ること。
に至るまで、
これらの強化された基準の様々な導入方法を
提案している。詳細な規則において、規制当局はそれらの
• 金融セクターの重要なシステムの全体的なサイバーリス
フレームワークを提案しており、
このフレームワークには、企
クの総量を削減する能力、およびそのリスクを最小限に
業が達成することを求められている具体的な目標と実践の
抑える能力を定量的に測定すること。測定には、
内部依
詳細が含まれる。また、
規制案制定事前通告
(ANPR)
にお
存性、外部依存性、および金融セクターの重要なシステ
いて、企業が最終的な決定を下す際の選択肢について明
ムへのアクセスに関連するリスクを考慮すること。
確にし、潜在的なコストやその他の負担を考慮することを示
している。
内部監査人協会
(IIA)
情報/CBOK調査結果
プロティビティについて
プロティビティは、
企業のリーダーが自信をもって未来に立ち向かえるように、
高い専門性と客観性のある洞察力、
クライアントに合ったアプローチや最善の協力を提供するグローバルコンサル
ティングファームです。20ヶ国、
プロティビティと独立したメンバーファームはクライアントに、
ガバナンス、
リスク、
内部監査、
経理財務、
テクノロジ、
オペレーション、
データ分析に
70 を超える拠点で、
おけるコンサルティングサービスを提供しています。プロティビティは、
成長著しい中小
Fortune 1000 の 60 %以上、
Fortune Global 500 の 35 %の企業にサービスを提供しています。また、
企業や、
上場を目指している企業、
政府機関等も支援しています。プロティビティは、
の 100 %子会社です。
1984 年に設立され現在 S&P500 の一社であるRobert Half International(RHI)
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