倫理的能力をどう育むか ー情報管理の立場からー

診療情報の活用と個人情報の保護
ー看護師の立場からー
日本病院会事務長・看護管理者セミナー
2005.7.14(木)
(社)日本看護協会 楠本 万里子
看護の現場からの質問の例
警察や弁護士からの情報提供依頼へ対応
がんなどの病名告知をまず家族にする医師が多いが、今後の対応は?
夜勤の際のカルテの安全管理のあり方
患者に関する情報提供にFAXを使用することの可否
面会簿の取り扱い方法
大部屋での情報収集
リスク管理と個人情報保護の兼ね合いについて
配膳車の名札、検体容器や点滴ボトルへの氏名の記入、入院の問い合わせ、
面会許可などの電話対応、呼び出し、ベッツドネームの取り扱い
手術時の写真撮影、写真のカルテへの貼付の可否
学生実習の際の同意のとりかた
*守秘義務とプライバシー
実習記録取り扱いの責任について
法律を踏まえた看護記録のあり方
保護の問題との混同
患者と情報共有できる記録の改善について
*法律の理念、趣旨の理解
情報漏れを防止する対策と、問題となった時の対処
不十分
個人情報保護対策推進のための体制づくりについて
スタッフ教育の進め方
*現場では絶えず情報に関
電子カルテなど今後の情報システム構築と情報倫理について
する価値判断が問われ、
遺産相続でもめている家族からの看護記録開示への対応
高度な倫理性が要請され
患者の個人情報保護法に対する思いを知りたい
個人情報邦語法が患者にもたらすメリット・デメリット
ている。
黙示の同意が許される範囲
第三者提供と見なされない同一事業者の範囲
保助看法上の守秘義務と他の法令の届出義務ではどちらが優先されるのか など
「患者の権利宣言」
1.病を自ら克服.しようとする主体として、
個人の尊厳を尊重される権利
2.平等な(社会的地位、年齢、疾病の種
類等にかかわらず)医療を受ける権利
3.最善(安全)な医療を受ける権利
4.自らの状況を理解するための知る権利
5.自己の受ける医療行為を選択し、自己
決定する権利
6.プライバシーコントロールする権利
患者本位の医療の基本
・個人情報の保護
“病院に来る”“医者にかかる”こと自体が個人情報という認識 誰が情報を知ることができるかの吟味
・徹底した情報提供
インフォームドコンセント
診療・看護記録の開示
・意思決定と選択
看護過程の進め方 ・意思決定を支える保証
多様な価値観に対応する仕組み
看護における個人情報
<主な収集目的>
医師の診断・治療方針決定のための補助資料、クリ
ティカルパス作成と運用 看護計画立案、実施、評
価、保健指導・健康教育の計画と実施、継続看護の
ための他の機関への情報提供
<主な使途>
・患者に対する個別的な看護実践
・ケアカンファレンス ・教育(基礎・継続)
・調査・研究(ケアの評価、ケア開発・質向上の資料)
・業務管理 ・評価
・医療事故や医療訴訟の法的資料
診療情報提供における看護者の役割
・ 患者の権利の尊重
• 患者の自己決定の支援
• 患者と医療従事者のコミュニケーションの充
実を図る
• 診療情報の提供における看護者の主体的役
割の発揮
• 診療記録開示の目的に適う看護記録
個人情報の取り扱いに関する
看護者の責務
1.法的責務
〔守秘義務〕
・刑法(第134条)
・保健師助産師看護師法(第42条の2、第44条の3)
・母体保護法(第27条、第33条)
・結核予防法(第62条)
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 (第50条、第51条、第53条)
・臓器の移植に関する法律(第13条、第23条)
・個人情報保護法 etc.
個人情報の取り扱いに関する
看護者の責務
2.倫理的責務
「看護業務基準」1995年
「看護者の倫理綱領」2003年
日本看護協会「看護業務基準」
看護実践の方法
「看護実践の一連の過程は記録される」
• 看護実践一連過程の記録は、看護職者の思
考と行為を示すものである。吟味された記録
は、他のケア提供者との情報の共有や、ケア
の連続性、一貫性に寄与するだけでなく、ケ
アの評価やケアの向上開発の貴重な資料と
なる。必要な看護情報をいかに効率よく、利
用しやすい形で記録するかが重要である。 看護者の倫理綱領 2003
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生命や人権を尊重すること
平等に看護を提供すること
信頼関係を築くこと
知る権利、自己決定の権利を守ること
個人情報を保護し、守秘義務を守ること
看護に責任を持つこと
安全を確保すること
看護者の倫理綱領(続き)
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自己研鑽に努めること
他の専門職と協働すること
看護の質を高く保つこと
知識・技術の創造・開発に努めること
自らの心身の健康を保つこと
品行を高く維持すること
環境保護に取組むこと
社会づくりに貢献すること
診療情報の提供における
看護者の主体的役割の発揮
とは?
*看護者は診療・治療・検査・薬剤・予後等に関する
十分な情報が患者に提供されるよう努める。
・専門用語の説明
・患者の理解度に応じた説明
・患者が意思表示しやすい環境づくり
・状況により医師等への再説明の依頼
・セカンドオピニオンという選択肢の提示
・情報入手方法に関する情報提供
診療情報の提供における
看護者の主体的役割の発揮
とは?
*看護者は、看護計画立案、実施、評価という一連の
過程の中で、患者と情報交換を行い、可能な限り患
者の受ける看護について選択肢を提示する。
○診療の補助・・・内容及び予測される結果(検査、
治療の効果、副作用など)についての補足的な
説明など
○療養上の世話・・・内容、方法、根拠、危険因子(転
倒、転落、誤嚥、廃用性機能低下、褥創など)とその
予防・対応についての説明など
診療情報の活用と個人情報の保護
ー看護における課題ー
1.人権の尊重意識を高める倫理教育の充実
2.患者が診療情報にアクセスしやすい環境の整備
3.看護記録類の作成・管理についての標準的指針及び監査体
制の確立、系統的教育の充実
4.患者参画による看護計画・実施と記録体制の整備
5.看護記録の記載及び開示に責任をもって対処するための
看護記録に関する法的整備
6.看護用語の標準化
7.患者を中心として患者、医療従事者による共同記録、医療
職種が合同で記載する記録
8.電子カルテの導入促進、安全管理措置の周知