SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス

BUSINESS WHITE PAPER | GENESYS
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス
顧客ロイヤリティを獲得するために企業に求められているのは、カスタマーサービスのオペレーシ
ョンの継続的な改善と、費用対効果に対する視点です。厳しい市場競争の中では、顧客の維持、コ
目次
カスタマーサービスにおける進
化の必要性 ...........................1
カスタマーサービスの潜在需要
の扉を開ける、SIPの役割......2
SIP:IP ベースのカスタマーサ
ービスへのシフト ..................6
ユニファイドコミュニケーション
(UC)
とコラボレーションによ
る、顧客体験の向上 ...............6
Genesys SIP:カスタマーサー
ビス業務の統合を支援..........7
スト管理、事業継続がビジネスの成功に不可欠な要素となります。
コンタクトセンターにおいては、業界標準のプロトコル SIP(Session Initiation Protocol) をベー
スにしたVoIP (Voice over IP)が、さまざま業界に属する企業が提供するカスタマーサービスの在り
方を変えるとともに、斬新でより良いセールス手法やサービスの提供、顧客関係構築のための新し
い手法を実現します。これはSIPが、これまでの電話交換機ベースのシステムが持つ技術的な制約
を解決するためです。
コンタクトセンターは、SIPベースのVoIPソリューションを導入することで、エージェント・リソ
ースの仮想化、エージェントの生産性向上、運用及びインフラコストの削減、顧客体験最適化のた
めのプラットフォームを構築し、大きなビジネス価値の創造力を手に入れることができます。さら
に、企業はSIPベースのVoIPアーキテクチャ上に顧客指向のアプリケーションを実装することで、
競争上の優位性を強化することができます。
本ホワイトペーパーでは、カスタマーサービスを支えるSIPの特徴について考察します。テーマと
ビジネスの成功に向けた顧客
獲得サービスの導入 .............8
しては、SIPを導入することでどのようにビジネスが拡大するのか?、TDMからVoIPへの柔軟な移
結論 .................................... 11
ニファイド•コミュニケーションなどの新しいテクノロジーについて解説します。
行戦略を取り上げます。さらに、分散環境にあるカスタマーセールスやサービス戦略を強化するユ
カスタマーサービスにおける進化の必要性
世界中で、さまざまな製品やサービスが市場に投入され出現しています。消費者は広告、プロモー
ション、マーケティングキャンペーンといったあらゆる宣伝・広告の洪水にさらされています。一
方で、多くの企業はこれまで以上に消費者の注目を求めます。その結果、どんなに革新的で優れた
広告宣伝をしても、それだけでは継続的かつ安定的な収入の流れを作ることができません。
収益目標を達成するために、企業は顧客ロイヤリティの力を高め、新規客を自社ファンへと転換し
なければなりません。そのためにはブランド認知、競合との差別化、顧客獲得ひいては顧客維持に
つながるカスタマーサービスの品質向上に、真剣に取り組まなければなりません。
過去においては、テクノロジーの制約によって、多くの組織においてカスタマーサービスの提供や
セールスの役割をコンタクトセンターに集約しようとしました。コミュニケーションに特化したコ
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ンタクトセンター部門は、たいてい「コストセンター」としてスタートしました。コストセンター
ではコスト管理が重きを置き、セールスやサービスレベルが顧客関係の構築、そして収益にいか
に影響を与えるかについてはほとんど考慮されませんでした。
35年ほど前からACD(自動着信呼分配装置)の導入に伴い始まった、顧客とのコミュニケーショ
ン手法は、ここ数年で劇的に変化しました。多くの企業が、「カスタマーサービス」は事業発展
のために必要な戦略要素であると理解したためです。テクノロジーやソフトウェアが進化し、既
存のコンタクトセンター・ソリューションに比べて、より効果的かつ劇的なコスト削減につなが
るようになったことも、企業にとってはプラスの材料となります。
優れた顧客経験を提供することの重要性の認識が増加していますが、事業と比較してバランス
のとれたコストで実現しなければなりません。この目標を成功裡に導くためには、利便性が高
く、即応性があり、パーソナライズ化された、効果的で高品質なサービスを提供する必要があり
ます。SIP技術は、これらの要素を備えたカスタマーサービスの実現をお手伝いすることが出来
ます。SIPソリューションにより、顧客満足度や顧客の維持が高まることは、収益に直結するので
す。
カスタマーサービスの潜在需要の扉を開ける、SIPの役割
2000年代中盤以降、多くの企業やコンタクトセンターは、旧来の音声インフラをリプレースす
るとともに、音声トラフィクのデータトラフィックへの統合を進めてきました。これはVoIP化
(Voice over IP)を意味します。中でも業界標準のSIP(Session Initiation Protocol)を実装したシス
テムを構築した企業は、さらにコスト削減を実現し、カスタマーサービスをより効果的に提供で
きるようになりました。
カスタマーサービスの提供方法を根本的から変革するSIPベースのVoIPには、二つの主な特徴が
あります。「仮想化」と「プレゼンス管理」です。
● 仮想化
従来のハードウェアベースのPBX/ACDは、カスタマーサービスを担当するエージェントの近くに
配置されている必要がありました。それに対して、次世代IPコンタクトセンター•インフラストラ
クチャは統合や仮想化が容易に実現できます。
ソフトウェア・ベースのIPテクノロジーは、コンタクトセンターの機器、ソフトウェア、および
アプリケーションを、コンタクトセンターから離れたデータセンター内への配備が可能です。そ
の結果、コンタクトセンター、支店/事業所、ホームエージェントを1つのサイトのように仮想
的に集約し、カスタマーサービスに関するすべてのリソースを効率的に管理することができます。
これによって、劇的にカスタマーサービスの運営を簡素化するとともに、エージェントに提供す
るインフラ要件を単純化します。その結果、企業はダイナミックにコンタクトセンター運用を管
理するための柔軟性が高まります。例えば、支店/事業所の増設、企業内の専門家の活用、ホー
ムエージェントの導入、サービスのホスティング、アウトソーシングの利用、ディザスタリカバ
リー対応がより迅速かつタイムリーに実現できます。
このバーチャルかつ中央管理型のアーキテクチャでは、プロビジョニングおよびメンテナンス•タ
スクは、すべてデータセンターで実行されます。そして、アプリケーションやソフトウェアのア
ップグレードをリモートエージェントのデスクトップに直接、プッシュ配信することができます。
集中的にシステムを管理することで、企業は大きなコスト削減が可能になります。各コンタクト
センターでのハードウェアベースのレガシー機器を維持するための専用の技術チームが不要とな
るからです。
さらに企業は、企業全体にVoIPを導入することで、音声およびデータトラフィックを統合IPネッ
トワーク上に集約し、大幅なコスト削減も可能となります。
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.2
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旧来の
コンタクトセンター
データセンター
ACD
IVR
WFM
VMail
PBX
CRM
データベース
IVR
IP ベースアーキテクチャ
PBX
ACD
コール
レコーディング
Mail 専用
コンタクトセンター
IP/SIPフォン
アウトソーサー
ヘッドセット
ヘッドセット
支店/事業所
在宅
エキスパート
図1:次世代カスタマーサービス・アーキテクチャ
● プレゼンス管理
プレゼンス機能では、コミュニケーション・チャネルごとにエージェントがログイン状態にある
かどうかをトラッキングします。エージェントが電話対応可能かどうかや、不在、ミーティング
中、外出中でないか等の空き状況を表します。プレゼンスは、従来のインフラでは提供できなか
ったような付加情報−次に対応可能となる時間、マルチメディアへの対応スキル、コミュニケーシ
ョン・チャネルの好み−を提供します。また、プレゼンスでは、電話に出られない時は IM(Instant
Message)やチャットでメッセージを送ることができます。
プレゼンスは、ディレクトリやパーソナライズしたバディリストにマルチチャネルのステータスと
ともに表示されます。また、Eメール、Webページ、カレンダーなどのアプリケーションに埋め込
むことも可能です。
プレゼンス管理を使ったコミュニケーション例:
1.
事業所に勤務するJohnは、ITサポートにトラブル•チケットをリクエストし、ITサポートチー
ムのSueからEメールで返信を受けました。
2.
Johnは、Eメールを読みましたが、追加のサポートが必要でした。メールヘッダー横のプレゼ
ンス・ステータスを見て、SueがIMを使ったチャットには対応できる状態であることが分かり
ました。
3.
JohnはSueのプレゼンスアイコンを右クリックし、SueとIMチャットセッションを開始しま
す。
4.
Sueとのチャットのあと、トラブルを解決するために電話で会話することにしました。Sueは、
自分のIMチャットウィンドウ上のプレゼンスアイコンを右クリックすることで、Johnに直接
電話をかげました。
さらには、ホワイトボード共有、ファイル共有やビデオ会議を使ってエスカレーション先の担当者
と打合せすることも可能です。
プレゼンス機能は、作業者の生産性とコラボレーションを向上させるために、UC(Unif ied
Communication)で利用されています。UCについては、後ほど解説します。
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.3
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カスタマーサービスにプレゼンスが与える影響
コンタクトセンターにおいて、プレゼンスの概念はエージェント・レディネスとして、長期間、
利用されてきました。仮想化とSIPベースのプレゼンスの組み合わせにより、カスタマーサービ
SIPの世界ではカスタマー
サービス・セールス業務
を遂行するために、以下
が必要となります。
・コンピューター
・顧客情報を管理できる
デスクトップアプリケー
ション
・ブロードバンド接続環
境
・(ソフトフォン、ハー
ドSIPフォンいずれかの)
電話
ス・オペレーションにいるエージェント同士を相互接続することが可能になります。
仮想化は、顧客対応を行うリソースを最小化します。SIPの世界で、カスタマーサービスやセール
スの運用に必要となる機材は、コンピュータ、顧客情報を表示するデスクトップ・アプリケーシ
ョン、ブロードバンド接続、ハードウェアもしくはソフトウェアのSIPエンドポイント、もしくは
電話となります。
プレゼンス機能により、パソコンに専用ソフトウェアを用意せずに、コンタクトセンター以外の
分野の専門家・担当者の稼働状況を確認することができます。このような機能により、企業は、
幅広いスキルや能力を有する『専門家グループ』を備えた、カスタマーサービスのオペレーショ
ンが可能となります。
IP移行と適用フェーズ
企業では部門ごとにVoIPを段階的に導入することも多く、コンタクトセンターはある程度、導入
が進んでからVoIP化するケースが少なくありません。この緩やかな移行モデルでは、旧システム
と新システムが共存するハイブリッドの環境で運用する結果となります。そして、その状態は、レ
ガシーの電話インフラが完全にリプレースするまで続きます。
機器の廃棄、交換を繰り返すアプローチとは異なり、ここで推奨している移行モデルではレガ
シー機器の投資収益率を延長するだけでなく、移行をスムーズかつ管理し易くします。この場合、
既存のコンタクトセンターでのVoIP新規増設/新テナントでのスタート、または、製品寿命を迎
えたレガシーなハードウェアベース・リプレースのいずれかから、スタートすることができます。
このケースでの組織にとっての課題は、異なるネットワーク上で同時にレガシーとIPカスタマー
サービス運用の両方を管理する必要があるということです。逆に、新規に導入する企業や中小企
業では、通常、一斉にIPに切り替えを行います。
企業が自社の計画に沿ってVoIPに移行することで、カスタマーサービスにおけるSIPの市場が成
長していきます。SIPの普及が進むことで、ベンダーが提供するSIP規格に対応した製品やサービ
スが3つのフェーズを経て、拡大していきます。
【第一フェーズ】
最初のフェーズは現在も進行中であり、ハイブリッド型カスタマーサービス・オペレーションの
増加がそれを表しています。
このフェーズでは、SIPベースのVoIPソリューションは、主に古い技術が使われている特定分野
のオペレーションで導入されるか、在宅/リモートのエージェントをカスタマーサービス・オペ
レーションの一部として立ち上げる、といった新しい分野が対象となります。PBXやACDなどの
従来のハードウェア機器はアップグレードされるか、ソフトウェア・ベースのSIPアプリケーショ
ンに置き換えられます。このフェーズにおいて、多くの企業が目標とするのはTCO(Total Cost of
Ownership)の削減です。これは、コンタクトセンター・ソリューションの統合、音声とデータネ
ットワークの統合により達成されます。第一フェーズでは、大多数のコンタクトセンターにおい
て、オープンで柔軟な運用のため、業界標準の「SIP」環境を採用しています。 SIPは広く採用さ
れているシグナリングプロトコルであり、VoIP通信を幅広くサポートしています。
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.4
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【第二フェーズ】
IP化の第二フェーズでは、コンタクトセンターを超えて企業内にカスタマーサービス業務を拡張
することが焦点となります。IPアーキテクチャの特長として「分散」や「細分化」がありますが、
この利点を生かし、多くのコンタクトセンターは企業全体を仮想化します。仮想化環境では、ク
ラウドからのリモートおよびホームエージェント、バックオフィスの専門家、アウトソースエー
ジェント、さらにはSaaS型/ホスティングサービスを包括します。これによりコンタクトセンター
は、リソースの一元管理および活用を通して、効率的かつ柔軟な運用が可能になります。
ネットワーク環境では、SIPによって、SIPトランク及びSIP接続(SIP業界標準でネットワークト
ラフィックをサポート)を通じて通信事業者からコンタクトセンターに直接IPトラフィックが送
信可能となります。これにより、PSTNネットワーク使用時の相互接続費用が低減できます。
【第三フェーズ】
最終的に第三フェーズでは、コンタクトセンターは顧客に優れた体験を届けるべく、音声のみの
インタラクションのみならず、革新的なサービスを顧客に提供します。業界標準のSIPの相互運用
性を活かしたビデオ、携帯電話、スカイプ、UC/プレゼンスなどの最先端のITサービスにより、顧
客は便利で快適なカスタマーサービスを享受し、企業は魅力的な差別化を図ることが出来ます。
このようなオープンなIP環境では、SIPはプレゼンスを含めた、業界標準の拡張機能をサ
ポートする存在となります。また、一組織であるコンタクトセンターを超えたUC(Unified
Communication)が実現可能となります。 UCソリューションを効果的に使うことで、カスタマー
サービスのパフォーマンスを改善することができます。マルチメディアに対応した顧客とのイン
タラクションの提供や、コンタクトセンター以外の部門の専門家たちとのシームレスなコラボレー
ションが可能になるためです。
従来のレガシーハードウェアベースのコンタクトセンターは、ベンダー独自の技術で構築されて
いるため、さまざまな技術的な制約を受けます。これとは異なり、100%ソフトウェアの業界標準
SIPソリューションは、開発からカットオーバーまでのリードタイムが比較的短く、堅牢なインテ
グレーションで革新的なサービスを提供します。さらにSIPベースのオープンなIP環境によって、
組織は特定のサプライヤーに縛られることなく、低コストかつ革新的・優れた製品を自由に選択
オープンかつ業界標準
のSIPプラットフォーム・
ソフトウェアで、
コンタク
トセンターの ACD 及び
PBX をリプレース
リモート/在宅エージェント、
バックオフィスエキスパート、
アウトソーサー、
クラウド環境
のSaaS等を一元管理するこ
とで、
エンタープライズクラス
の顧客サービスを実現し、従
来のコンタクトセンターの在
り方を根本から変革
変
新 革
た に
な よ
体 る
験
サ
ー
仮 ビ
想 ス
化 の
イ
ン
簡 フ
素 ラ
化 の
し組み合わせ、実装することが可能となります。
斬新な動画、Skype、
モバイル、UC/プレゼン
ス機能を実現し、
リッチ
で素晴らしい顧客体験
を提供
図2: IP 技術の成長サイクル
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.5
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SIP:IP ベースのカスタマーサービスへのシフト
SIPは、IP上でマルチメディア・コミュニケーションを行うための IETF(Internet Engineering Task
Force s)の標準プロトコルです。長年にわたり、SIPは大きな市場シェアを獲得し、IPコミュニケー
ションのための共通プロトコルに成長しました。
広範囲なSIPのサポートを支える、いくつかの技術要素があります。SIPは、当事者間の通信セッシ
ョンを確立し、下位レイヤー層に信号を送る際に使われる、軽量のピア•ツー•ピア型シグナリング・
プロトコルです。SIPの利点は、そのシンプルさと柔軟性です。そのシグナリング・トランザクショ
ン・モデルは、メディア・トラフィックから分離しており、効率的に通信セッションを管理するだ
けでなく、音声、ビデオ、インスタントメッセージング(IM)および会議などのマルチチャネル通
信をサポートしています。さらにSIPは、大規模環境での実績に基づく信頼性を備えています。SIP
が備えるこれらの特性によって、将来的にも耐えうるアプリケーション環境での完全な構築が可能
となります。
SIPはまた、SIMPLE(SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions ~IM及びプ
レゼンス用の拡張最適としてのSIP∼)ベースでのプレゼンス機能をサポートしています。前述の通
り、リアルタイムのプレゼンス状況はコンタクトセンター内外を問わず、IM及びユニファイドコミ
ュニケーションを実現するのにあたり、重要な要素といえます。
通信機器やアプリケーション•ベンダーが増加するのに伴い、SIPはシームレスな相互運用性のため
の共通基盤ソフトウェアを提供し幅広いサポートを実施しています。企業は
SIP対応のシステムを
用いたカスタマーサービス業務を行うことで、以下のような大きなメリットが得られます。
•各ベンダーのアプリケーションから、自社に最もマッチするものを自由に選択し、導入が可能
•支店、在宅勤務エージェント、ホスティング・プロバイダー、および複数拠点に点在するアウトソ
ーサーを対象にした仮想化対応の「集中管理型」カスタマーサービス業務の実現が可能
•音声に加え、マルチメディア・インタラクション対応による顧客体験の向上
•ユニファイド•コミュニケーションのサポートによる、コンタクトセンター部門を含めた組織の一
元管理
•インフラ整備と接続費用を低減によるコスト削減の実現
ユニファイドコミュニケーション
(UC)
とコラボレーションによる、顧客体験の向上
ユニファイドコミュニケーションは、個人やグループにおけるコミュニケーションの在り方を改善
するとともに従業員の生産性を向上させ、ビジネスプロセスにおける「人的遅延」を軽減します。
UCは一般的に、音声、ビデオ、電子メール、メッセージング、インスタントメッセージング(IM)、
会議、およびモビリティの分野に対応しています。UCは、各グループのプレゼンス状況を始め、組
織内で発生するマルチメディア通信環境をサポートしています。
UCによって、顧客対応を行うカスタマーサービス担当者とバックオフィスの専門家との間のコミュ
ニケーションが非常にとりやすくなり、優れたカスタマーサービスを実現することができます。
コミュニケーションの質が大きく改善されることに加えて、UCによって、コンタクトセンターのリ
モート環境のエージェントが顧客へのセールス・サービス業務を行うことが可能となります。エー
ジェントのデスクトップ環境が整っていれば、一人が複数の役割を弾力的にこなす体制づくりが出
来るため、組織は人的リソースを効率良く使用し管理する一方で、顧客へのサービス品質を維持す
ることができます。
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.6
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UCによるカスタマーサービスのリソースを拡大するメリットは、以下の通りです。
1.
顧客から、複雑で深い知識が求められる内容の問い合せがあった際、専門家が直接顧客とコミュ
ニケーションすることで、顧客の状況を端的に把握し管理することができます。これにより、顧客
の問題が非常にスピーディに解決されるため、顧客満足度が向上するのみならず、顧客対応を行う
エージェントを専門家レベルへ育成する必要がなくなり、トレーニングコストの削減につながりま
す。専門家のメンバーが特定されることで、カスタマーサービス全業務においてエージェントが専
門家の役割まで担当する必要性がなくなります。
2.
顧客からの入電量が、自社のコンタクトセンターが対応可能な件数(許容量)を大幅に超えたと
き、自社の他部門の人員を「応援要員」として、カスタマーサービス業務に動的に割り当て組織化す
ることも可能です。
これらについては、次のセクションで詳細に説明しています。
Genesys SIP — カスタマーサービス業務の統合を支援
ジェネシスとUCソリューションが有効な環境では、企業は、組織横断型の様々な人材のスキルセッ
トを活用するとともにインバウンドのボリュームに応じた動的なカスタマーサービス・オペレーショ
ンを顧客に提供することができます。顧客対応を実施し
た従業員のコミュニティを結集することで、よりタイム
リーなカスタマーサポートを実現します。
キャパシティのモデル化、リソースの抽象化、および
ルーティングといったジェネシスのコアコンピタンス
を適用することにより、企業はコンタクトセンター以
外の部門に、「コンタクトセンター機能」を担っても
らうことにより、将来的には顧客体験を組織化するこ
とができます。ジェネシスの技術は、企業毎のサービ
スタイプに基づいたルーティングルール、可用性、ス
キルカテゴリ、作業スケジュール、リソース管理、お
よび優先通信チャネルを組み込むことにより、ユニフ
ァイドコミュニケーションの効率を更に高めます。
ユニファイドコミュニケーションが企業全体で確立され
ることで、各エージェントは、顧客にサービスを提供
することができます。コールボリュームがピークに達し
コンタクトセンターが飽和している場合でも、組織は本
図3:企業内エキスパートのプレゼンス機能の統合ソリューション
来待ち行列を作るはずだった顧客からのコールを受け、
処理することが可能になります。
G EN ESY S SI P
プレゼンス機能の有効化
企業規模の通信接続
ルーティング・トランザクション
• 先進UC プラットフォームとの
プレゼンス機能統合
• コンタクトセンター、企業横断
型の通信、
タスク処理
• マルチチャネル・セッション経由
の通知、転送、通信
高度なプレゼンス機能
メディアの多様化
ユニバーサル・ルーティング
• IP、TDM PBXとの混合環境で
のプレゼンス機能
• エージェントスキル、能力
• マルチチャネルでのカスタマ
ーサービスの提供
• スキルベース・ルーティング
• コール、
マルチメディアブレンディ
ング
• キャパシティルール
図4: Genesys SIP ̶ UC との統合時にもたらされるメリット
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.7
BUSINESS WHITE PAPER | GENESYS
さらに、エージェントは企業内の専門家に、深い専門知識を要する問い合せ、あるいは担当者裁
量の域を超えた問い合せをエスカレーションする(上位レベルの処理事項とし、委任する)こと
ができます。また、専門家が複数人で同時に異なるメディアチャネルを使用し、並行して共同作
業を行うことができます。これらの全てに言えることは、カスタマーサービスのパフォーマンス
だけでなく顧客とエージェント双方の満足度を向上しており、このような差別化の強みにより企
業の競争力強化を図っているということです。
UCプラットフォームと基本的なプレゼンス機能の相互利用に加えて、ジェネシスSIP
は、IP/TDMテレフォニーでのプレゼンスに、豊富なステータス情報を提供し、従業員とコンタ
クトセンター・エージェントの、スキル、リアルタイムでのマルチチャネルの占有情報を提供す
ることができます。
ビジネスの成功に向けた顧客獲得サービスの導入
コンタクトセンターが、従来型のTDMベースインフラからIPソリューションに移行する際の課題
は、適切なIPの導入戦略を設計し、実行することです。移行時には、カスタマーサービス・オペ
レーションとコンタクトセンター・エージェントチームに与える影響を最小限にする必要がある
ためです。顧客満足度および生産性の向上、(カスタマイズ等の)システムの柔軟性への対応、
コスト削減を含んだ、組織の様々な目的に合わせた戦略を、適切に策定する必要があります。ま
た、顧客の業務を中断・遅延することなく、通常業務中にシームレスな移行処理を同時に走らせ
る必要があります。
カスタマーサービス業界においてコンピューター•テレフォニー•インタフェース(CTI)および
SIPのマーケットリーダーであるジェネシスは、IPベースのカスタマーサービス運用を検討中の企
業に、柔軟性の高いソリューションをご提案することが出来ます。コンタクトセンターはジェネ
シスソリューションにより、自社内がIP、TDMの混在環境であってもエージェントリソースを一
元管理出来るため、顧客に良質なサービスを提供することができます。顧客サービスの組織横断
的なルーティング・ストラテジーを設計することで、企業はIP環境にスムーズに移行することが
できます。また、コンタクトセンターの既存のハードウェア製品寿命(EoL)が来る前に移行を開
始することにより、企業は、実際の移行前に、エージェントをIP環境のシステムを使った業務の
運用に慣れさせることが可能となります。このような早めの投資による並行稼動により、カスタ
マーサービス運用の中断や稼働率減少を最小限にしつつ、コンタクトセンターが、業務の統制を
最大限に行うことが出来るようサポートします。
PSTN
SIP サーバー
メディア
サーバー
コンタクトセンター
SoHo
SIP コンタクトセンター
エージェント
支店エージェント
在宅エージェント
図5: Genesys SIPによる、コンタクトセンターの仮想化で一元管理を実現
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.8
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GenesysSIPは、分散型IP技術を使用することにより、複数拠点のエージェントを「一つの論理
エージェント•プール」として一元管理します。これによりあらゆる場所からエージェントのリソ
ースを使用することができ、いわゆる、バーチャル・コンタクトセンター(またはカスタマーサ
ービス・オペレーション)をサポートしています。多くの顧客はGenesysのSIPソリューションの
導入により、従来のコンタクトセンターだけの業務から、支店/事業所、アウトソーシングの現
場、または在宅エージェントへと、カスタマーサービス業務を拡大しています。
これにより企
業は、想定以上のコールボリューム、エージェントのワークロード、およびディザスタ•リカバ
リ・オペレーションなどを、より効率的に管理すると共に、バランスをとるための優れた柔軟性
を提供します。
● スタンドアローンでの、Genesys SIP の導入
Genesys SIP導入にあたっては、コンタクトセンターが置かれた状況に応じて、様々な選択肢を
取ることができます。カスタマーサービス部門内だけでの導入の場合、コンタクトセンターは
Genesys SIPをスタンド・アローンのコミュニケーション・サーバーとして利用します。
図6のように、GenesysSIPはダイレクトSIPインターフェースを持ち、エージェントのデス
クトップ上のIP電話、アプリケーション上のIPソフトフォンと接続が可能となります。この場
合、Genesys SIPは、IP電話から、そしてIP電話からのコールコントロールとスイッチング機能
を提供します。顧客からのインバウンドのコールは、Genesys CIM(Customer Interaction
Management)プラットフォームに搭載されているURS(Universal Routing Server)によって配信先
が決定されます。URSでは、エージェントのスキル、顧客のカテゴリー、サービスタイプなど、
さまざまなクライテリアに基づいたインテリジェントなルーティングを設定できます。Genesys
SIPは、コール・キューイング、コール・レコーディング、カンファレンス、スーパーバイザー
機能を搭載しています。
キャリア
ネットワーク
SIP/パブリック
ネットワーク
SIP サーバー
メディア
サーバー
SIP
SIP
ユニバーサル SDK
図6: スタンドアロンで構築したGenesys SIP
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.9
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● ソフトスイッチと連動した、Genesys SIP の導入
企業内で使われているIPテレフォニー基盤を利用してカスタマーサービスを他の業務と一体化す
る企業や、エージェントがカスタマーサービス以外の業務を兼務するようなオペレーションを行
う企業があります。こういった場合、エージェントはエンタープライズ向けのVoIPが持つ機能が
必要となることがあります。このケースでは図7のように、Genesys SIPは、エージェントのIP電
話に接続するサードパーティー製のソフトスイッチの下でアプリケーション・サーバーとして導
入することになります。インバウンドのコールは、ソフトスイッチがGenesys SIPを通じて、
ジェネシスのルーティングにコール・シグナリング情報を送ります。その後、ルーティング・ス
トラテジーに応じて、コールを特定のエージェントにソフトスイッチが配信します。スタンド・
アローンで導入する際と同様、GenesysSIPはオンホールド・メディア、カンファレンシング、コ
ール・レコーディングを提供します。
キャリア
ネットワーク
メディア
サーバー
SIP サーバー
ソフト
スイッチ
SIP
SIP
ユニバーサル SDK
図7: アプリケーションサーバーとしてのGenesys SIP
● UCと連動した、Genesys SIP の導入
コンタクトセンターにおいて、Genesys SIPは、リアルタイムのエージェントごとの稼働状況を
追跡し、対応可能なエージェントに顧客からの電話を配信します。
Genesys SIPは、プレゼンス・サーバーやマイクロソフトのOffice Communication Server(OCS)を
はじめとしたユニファイドコミュニケーション・プラットフォームとの相互運用が可能です。こ
うしたソリューションと連携することで、コンタクトセンターに対応できるリソースを企業内の
社員や専門家に拡大することができます。プレゼンス情報が統合されることで、コンタクトセン
ターのエージェントは、特定の電話を社内の専門家に稼働状況を確認しながら直接、転送やエス
カレーションできるようになります。コンタクトセンターの運用が高度になれば、ジェネシスの
ルーティング・エンジンは事前にアサインされた社員にプレゼンス状況やスキルに応じて、コー
ルを配信するようになります。組織やビジネス・ルールに応じて、企業内の社員は自発的に勤務
時間内でバランスを取りながら、特定の時間だけ顧客サービスのサポートを行うといった運用も
可能となります。その際には、IM、Eメール、音声、ビデオなどの中から対応チャネルを選択する
こともできます。
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.10
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キャリア
ネットワーク
SIP/パブリック
ネットワーク
GENESYS
CIM/SIP
メディア
サーバー
プレゼンス
SIP
プレゼンス
SIP
ユニバーサル SDK
コンタクトセンター
エージェント
プレゼンス
サーバー
プレゼンス
企業
エキスパート
図8: UCとGenesys SIPの統合
結論
IP技術の持つシンプルさ及びシームレスな相互運用性により、ユビキタス(何時でも何処でもつ
ながる)環境でのビジネスコミュニケーションが可能になりました。これに伴い、SIPは、組織全
体がオープンかつ柔軟なユニファイド•コミュニケーション環境を実現する上で、ますます重要な
役割を果たしています。
SIPは、多数の機器ベンダーやソリューション•ベンダーからサポートされています。また、SIPを
用いることで、組織が自由にインフラやハードウェアに対応した最適なアプリケーションを選択す
ることが可能です。
Genesys SIPは、IPマイグレーションに最適な柔軟性を備えたコンタクトセンターを提供していま
す。また、従来のACDおよびPBXのリプレース、支店/事業所の開設、エージェントの在宅勤務、
ホスティングサービスプロバイダ、顧客、アウトソーシングなど、さまざまな事業戦略を通して、
事業継続を維持することができます。
Genesys SIPは、SIPの持つプレゼンス機能およびマルチメディア・セッションをシームレスに
サポートして、エンタープライズ•ユニファイド•コミュニケーション環境を統合し強化します。
その結果、企業は、コンタクトセンター内のスペシャリストや他の関係者との動的な協業機能を
行うことは勿論のこと、それらを超えた範囲まで、カスタマーサービス業務を拡張することがで
きます。
最終的に企業は、優れたカスタマーサービスのパフォーマンスを達成し、顧客とエージェントの
両方に満足感を与え、自社事業において競争力のある差別化を促進し、その結果、利益を高める
ことが可能となります。
SIPが実現する全社一丸のカスタマーサービス |P.11
BUSINESS WHITE PAPER | GENESYS
ジェネシス・ジャパン株式会社
〒100-0011
東京都千代田区内幸町1−3−2
内幸町東急ビル6F
TEL.03-6361-8000(代)
FAX.03-3492-5731(代)
E-mail: [email protected]
http://www.genesyslab.co.jp
06/2012
ジェネシスは、
カスタマーサービスとコンタクトセンター向けのソフトウェアとサービスを提供する世界的なリーディングカンパニーとして、
顧客体験の向上に全精力を傾けています。世界80カ国2000社以上のユーザー企業を抱えるジェネシスは、企業が社員、洞察、顧客チャネ
ルを総動員して、消費者とのカンバセーション
(対話)
を成立するためのユニークなソリューションを提供しています。
ジェネシスのソフトウェアは、
コンタクトセンターからバックオフィスまで、毎日1億件以上のインタラクションを処理し、企業によるスピーディ
ーでシンプルなサービスの提供と、高度にパーソナライズしたクロスチャネルの顧客体験を実現しています。
ジェネシスのソフトウェアは、企業全体にわたるカスタマーサービスのプロセスと顧客対応窓口となる従業員の業務能力も最適化します。
本資料に記載された全ての企業名、
ブランド名及び製品は、一般に各企業の登録商標です。
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