「痔について」

いちかわエフエム放送日
2016年7月31日~8月6日
「痔について」
一般に「痔」と云われる病気は、三種類あります。①痔核(いわゆるいぼ痔)
②裂肛(いわゆる切れ痔)③痔瘻です。この三者は、全く別の病気です。
まず痔核についてお話します。これは、肛門部の静脈が、うっ血して太くな
った状態です。肛門の内側に出来るのが内痔核、外側が外痔核です。内痔核は
表面が粘膜で薄いので、出血し易くあまり痛みません。外痔核は、表面が皮膚
なので出血し難く、痛みを伴うしこりを認めます。予防としては、うっ血を防
ぐ事、つまり、排便時に、いきみ過ぎない事、冷えや長時間座る事を避ける事
などです。治療は、うっ血や腫れを除くための座薬、軟膏、のみ薬を使います。
どうしても治らない時は手術しますが、十年位で再発する事が多く、これは最
後の手段です。
次に裂肛です。肛門の筋肉が強い人が起こし易く、文字通り肛門が裂ける様
に切れた状態で、強い痛みを伴います。筋力が強いという体質が元にあるので、
治り難い病気です。予防は、食事や薬で便を軟らか目に保つ事です。治療は、
座薬や軟膏で炎症や痛みを抑え、傷の修復を待ちます。くり返す方や治り難い
方には、肛門括約筋を少し切って、筋力を弱める手術も考慮します。
最後に痔瘻のお話です。肛門の粘膜のひだから細菌が入り、そこが膿んだ状
態を肛門周囲膿瘍と云います。これが慢性的に続くと、肛門の内と外をつなぐ
トンネルを作ります。これが痔瘻です。抗生剤や消炎剤で治療しますが、ほと
んどの症例は、手術が必要になります。何年も放置すると、癌が出来る事があ
るので、しっかり治療する事が大切です。糖尿病のある方は、非常に複雑な病
態を作ってしまうので、糖尿病のコントロールが必要です。
三者いずれも、大腸癌や潰瘍性大腸炎、クローン病と云った、大腸の病気に
合併している事があります。治り難い場合は大腸の検査も必要となります。お
心当たりのある方は、医師に相談して下さい。
<放送番組編成委員会>