第3部 中期目標・中期計画以外 - "熊本高等専門学校"

3.中期目標・計画以外の点検評価
3.1
教育内容・取り組み
3.1.1 創造性育成への取り組み
本校では,学習・教育目標の C において,創造性育成に関する目標を掲げている(表3−1−1−1)。
1年次に開講されている「工学入門」から5ないし7年間を通じた専門教育を通じて,PBL を含む創造
性育成教育を実施している。
表3−1−1−1:八代高専における創造性育成に関する学習・教育目標
八代高専学習・教育目標−本校が育成する実践的技術者
(C)複眼的な視点から問題を解決できる技術者
【本科(準学士課程)で達成される具体的な目標項目】
C-1:多様な専門分野の関連性を理解できる
C-2:基礎知識を活用して工学的問題を理解し,説明できる
C-3:基礎的な実験技術を身につける
C-4:得意とする専門分野の知識,技術を身につけ,社会との関連性を理解できる
【「生産システム工学」教育プログラムの達成目標】
C-1:多様な専門分野の関連性を理解し,多面的に捉えることができる
C-2:基礎知識を活用して工学的問題を理解し,説明できる
C-3:基礎的な実験技術を用いて,実験を企画・実行して結果の分析・評価ができる
C-4:得意とする分野の知識,技術と情報を駆使して,社会の要求に応じて問題解決の方法を企
画,デザインすることができる
共通
本科課程における創造性育成教育は,「実体験を通じて得られる自主性や知的好奇心の育成」を基礎
として,それぞれの専門工学を活かした社会の要求実現・課題解決を探究する教育を展開している。具
体的には,「工学入門」などの導入科目から各専門科目および「課題研究」において,体感・実感を通
じた課題の解決に向けた着想を得るための力を養う教育を行っている。
専攻科課程における創造性育成教育は,「自らの得意とする専門分野をベースとした複眼的視野の獲
得」という専攻科の教育理念に基づき,問題解決に向けた多元的なアプローチへと目を向けるための教
育を実践している。
以下に,創造性育成に取り組む授業例を挙げる(資料3−1−1−1∼13)。
【本科課程】
学科名
授業名(開講学年)
内容
工学入門
各学科の専門工学の導入教育と位置づけられている。先人の創造性や
(1 年生)
既存技術に触れ,工学的思考へ導入とともに,他学科と連携し,異な
る専門分野の理解を促している。創造性育成に関しては,
「発想法」の
講義や PBL 手法による「問題発見,解決」への意識付けを行っている
(資料3−1−1−1)。
複合工学セミナーⅠ
「生産システム工学」教育プログラムの導入科目であり,実験や計測
(4,5年生)
で必要となる各種データを収集するシステム作りを全学科に共通した
テーマとして取り上げている。
複合工学セミナーⅡ
「生産システム工学」教育プログラムの導入科目として,地域社会の
(4,5年生)
抱えるさまざまな課題をテーマとして取り上げ,問題点の抽出や改善
策の提案などを行わせている(資料3−1−1−2)
。
課題研究
本科課程においては課題研究がその中心であり,設定した研究課題に
関して,それまでに学んだ知識・技術を駆使しながら問題解決に向け
た自主的な取り組みを行うものと位置づけている(資料3−1−1−
3-1
3)。
ものづくり実習
(1 年生)
ものづくり実習
(2年生)
設計製図
(3年生)
機械電気
設計製図
(4年生)
総合設計
(5年生)
機械電気総合実習
(3年生)
機械電気総合実習
機械電気工学の基本は「ものづくり」であり,ここではその基礎的学
習として,各種機械部品および電気部品の製作を行う。2年次以降も
実験・実習が開講され,機械電気工学におけるものづくり関連の内容
を学習する。この科目はその初期段階にあり,工作機械や機械工具を
用いての基礎的実習科目と位置づけられる。ものづくりに関する基礎
的感覚を養うため,機械・電気部品の加工技術および製作方法を理解
し,実践的能力を培うための素地づくりを目的とする。生産加工の概
要を把握し,他の専門科目を履修することの必要性や科目相互間の理
解に役立てる。
ものをつくりだす基礎的感覚を掴むことを目的として,いくつかの道
具類あるいは機械部品を製作する。1年のものづくり実習に引き続き,
ものづくり実践力へのステップとして,様々な加工プロセスを用いて
機械の要素となる部品を製作し,その後それらを組立てて1つの製品
にする。さらに製作した製品を実際に動かし評価することで,総合的
なものづくりのイメージを掴む。また,NC 工作機械による加工や,シ
ーケンサ・ポケットコンピュータによる制御の基礎を体験する。
本科目では,実際の製品設計での方法論の理解と修得を目指す。具体
的には,機械製品の実物のスケッチと機能解析および設計製図の演習
を行う。本校のカリキュラムでは,社会の要求に応じて問題解決の方
法を企画し,デザインするための総合科目と位置付けられた科目であ
る(資料3−1−1−4)
。
設計製図は社会が要求する製品を製造する場合の出発点で,設計製図
で作られた図面を基に製品の製作が始まる。より良い製品をつくるた
めに工学的知識を設計に集約させ,かつ調和させる必要があり,多く
の工学的知識はより良い設計を行うために開発されている。
前期は,手巻ウィンチの設計製図を行う。本課題は大きな荷重が作用
するので,材料の強度を主要因とする設計となり,歯車直径,軸直径
等の寸法を材料力学を基礎として決定する。
後期は,片吸込渦巻きポンプ羽根車の設計製図を行う。本課題はポン
プ排出量を形状決定の主要因とした設計となり,試行錯誤的に形状や
寸法を決定する。
本科目では手巻きウィンチ,片吸込渦巻きポンプ羽根車の設計を通し,
工学的知識を活用した問題解決の基礎能力養成を図る。
本科目は1年の基礎から5年生まで学習した機械および電気工学の専
門知識を生かし設計製図の全体的な取りまとめとして総合的設計を行
う科目である。
設計の製図の基本を確認しつつ,機械要素設計,機器設計の計算,細
部設計および総合組立製図を講義と作図を実践的に進めて教授する総
合科目である。
1・2年で学んだものづくりの経験をさらに具体的な製品製作の観点
から見直し,エンジニアとして必要な工作感覚を高めることを目的に,
ポケットコンピュータを利用し,各種の部品要素を組み合わせること
でライントレースロボットを製作する。本校のカリキュラムにおいて
は,技術者としての基礎的な知識や技術の習得および問題解決能力を
養うための導入的な科目として位置づけられる。
本演習科目は,4年前期までに修得した機械や電気に関する知識と体
3-2
(4年生)
情報電子工学基礎実験Ⅰ
(1年生)
情報電子
情報電子工学基礎実験Ⅱ
(2年生)
情報工学基礎演習
(2年生)
情報電子工学基礎実験Ⅲ
(3年生)
マイコン工学基礎
(3年生)
情報電子工学実験
(4年生)
システム工学
(5年生)
エネルギーシステム
(5年生)
ソフトウェア工学
(5年生)
コンパイラ
(5年生)
創造演習
(1年生)
土木建築
設計製図
(3年生)
建築設計演習
(4年生)
験をもとに,企画・設計・製図・製作などの「モノづくり」のプロセ
スを経験し,実際の部品や製品の製作に係わる技術的な問題の解決な
ど,エンジニアとして必要な総合力の養成を目指す。本校のカリキュ
ラムでは,エンジニア養成において重要である総合的な問題発見・解
決能力,設計能力をトレーニングする科目である(資料3−1−1−
4)。
ハードウェアに関する経験と創意工夫の導入として,簡単なキットを
使用した半田づけ作業をとおして電子部品に慣れさせる実習を行った
(資料3−1−1−5)。
プリント基板をエッチング・穴あけによる製造,部品取り付けの経験
をさせた。
マイコンプログラミングにより,8 個の LED を使った点灯制御を自分な
りの工夫をさせた(資料3−1−1−5)。
発振回路の回路図を与え,自分で工夫して回路を組み立てる実習をさ
せた。
コンセプトと予算を決めさせ,そのコンセプトや予算に合わせた PC パ
ーツの選定を行わせた(資料3−1−1−5)
。
トランジスタ特性計測をさせ,そのトランジスタを使用した増幅回路
の設計を行わせた。あわせて,シミュレーションとできあがった回路
の検証までを行わせた。また,センサとモータを使って走るマイコン
ロボットカーで壁に衝突せずに目的の位置まで到達させるプログラム
開発を行わせた。
グループ別に適当なシステムを選んで目的・主要素・要素間の動き・
外部との関係など詳細に調査させたり,実験的シミュレーションを行
い,その工程の改善を考えさせたりした(資料3−1−1−5)。
発電所見学をとおしてエネルギーの実状を知ることで新しいエネルギ
ーシステムについて考えさせた。
創意工夫の経験を多くするため,多数のプログラム開発を経験させた。
また,状態遷移図の設計から始めるアラーム付き時計のプログラム開
発をさせた(資料3−1−1−5)。
四則演算+αの電卓を設計させ,プログラムを作らせた。
見る,聞く,触れるといった実体験を取り入れた体験型テーマを行い,
実体験に基づいた思考力や発想力を育てる。公表下位やコンテスト,
作品展示を通して考えを的確に伝達する能力も育てる。
例では,建築模型の制作を通じて,図面読解能力と模型制作技術を習
得する。近現代の著名な建築家による優れた住宅作品5作品を事前に
準備し,各作品について解説した後,学生各自が自分の作りたい作品
を選ぶ。与えられた図面を読みながら,スチレンボード等を使って製
作した。完成後は各作品の特徴を各自でまとめるレポートを行い,講
評会を行った。作品は学内外で展示した(資料3−1−1−6)。
与えられたテーマに対して,関連情報を収集し,コンセプトを設定し,
図面としていく一連のプロセスに必要な基本的な設計力を身につけさ
せる(資料3−1−1−6)。
建築系科目の学習成果を集成し具体化する科目。設計課題に基づき機
能的で,豊かな建築を設計する能力を養う。例では学校建築の設計を
行った。具体的には地域にある学校(植柳小学校)の改築で,既存の
歴史的建造物・庭園を保存しながらの計画である。まず対象の学校を
3-3
見学し,次いで優れた事例として佐敷小学校を見学した。エスキスを
重ねた後,AutoCAD を使って図面化した。最後に講評会を行い,学内外
で展示した(資料3−1−1−6)。
建築設計演習
(5年生)
創造実験
(4年生)
環境科学
(5年生)
生物
高分子化学
(5年生)
材料化学
(5年生)
リサイクル技術
(5年生)
【専攻科課程】
専攻名
授業名(学年)
工業基礎計測
(1年生)
共通
基礎工学演習
(1年生)
これまでに習得してきた知識の集大成として取り組むべき科目として
位置づけられている。設計課題に基づいて機能的で,しかも独創性に
富んだ建築を計画・設計できる能力を養うことを目標とする。具体的
には与えられた設計課題についてのさまざまな調査やデータの分析を
行い,設計についての要求条件を自らの手で整理する。さらにはデー
タを設計に展開し提案していくことでより高度な設計能力を養う。課
題の提出後には公表会を行い,プレゼンテーションの機会を設ける(資
料3−1−1−6)
。
これまでに学んだ生物工学の基礎知識と実験技術を応用し,興味ある
項目ごとに少人数で指導教員と相談しながら,テーマを設定し,実験
を計画・実行させる。興味あるテーマを設定・実行することで,創造力・
企画力・応用力を養うことを目標とする(資料3−1−1−7)。
主だった環境問題を生活とのかかわりについて知識を整理して体系的
に学ぶ。また,まとめとして,特に関心のある項目について課題調査
と発表を行う。環境問題についての歴史的背景と現状について幅広い
知見を得て,環境問題に対する技術者としての倫理観を培う。
講義に高分子の合成反応,種類の区別,特性についての実験を 2 回,
高分子の特性・実用性等の調査発表 1 回を取り入れ,座学における創
造性を補填している(資料3−1−1−7)。
講義の中で最新の放映番組 VTR や収集資料を用い,先端材料の発見・
開発プロセス(問題解決等)を辿ることで,創造性涵養の一助として
いる(資料3−1−1−7)。
講義において,ごみ燃料(RDF)発電の爆発事故の原因解析,バイオ燃料
への変換リサイクル技術の現状などの放映番組 VTR を見せることや,
リサイクル工場見学と技術者との懇談を通じて,モノづくりに潜んで
いる問題点を製品の出口から遡って考えさせ,創造性および技術者倫
理の観点へフィードバックさせている(資料3−1−1−7)。
内容
モノづくりに関わる幅広い基礎知識や複眼的な視野を育成するため
に,各専門分野における基盤的な計測技術や分析技術を用いた実験テ
ーマを横断的に配置し,異なる専門分野の計測・分析技術を体験する。
これらの実験実習を通して,幅広い工学の分野での基盤的な計測後術
を修得し,応用力を養う。
事例として挙げている実験では,配合計算なども含めた先端材料(超伝
導素子)の製造を経験させるとともに,専門学科ではない学生との共同
作業による指導的な発想などの経験をさせた(資料3−1−1−8).
「工業基礎計測」と関連して,ものづくりの現場で必要となる専門分
野にまたがった各種計測技術の基礎となる計測原理や実製造などでの
応用例について演習を行い,理解を深め実験と演習を通した学習効果
の実を上げる。
事例としてあげている授業では,土木工学の専門科目である「海岸工
学」について学んだ後,
「新しい護岸開発」と「八代海の水環境を良く
する方法」を,各々の専門を用いて発明・創造させ,スケッチを付随
3-4
地球環境科学
(2年生)
特別研究
(1年生)
特別研究
(2年生)
機械システム実験
(2年生)
生産情報
創造設計法
(2年生)
環境建設
環境施設設計演習
(1年生)
させてまとめさせた(資料3−1−1−8)。
地球環境問題の原因やメカニズム,対策のあり方についての概要を理
解し,地球環境問題解決への取り組みの実態を調査し,意見発表は討
論を通じて,各専門分野の技術者として果たすべき技術者倫理を認識
する(資料3−1−1−9)。
2年次の特別研究への導入科目として,研究テーマ例の中から特に興
味を持つテーマを選び,指導教員の下で研究テーマの目的や概要を理
解して,研究の方向づけを行うことを目的とする。以下の目標の達成
を目的としている。
1. 実験ノートや研究実施記録を作り,一つ一つの実験の記録を継続的
に残すことができる。
2. 各研究テーマについて,その目的および概要を理解し,選択した課
題に対して主体的に取り組んで研究を進めることができる。
3. 研究に必要な文献・資料や情報を集め,それらを整理することがで
きる。
4. 適切な研究計画を立てることができる。
5. 研究計画に沿って継続的に研究を続けることができる。
1年次の特別研究で得られた成果を発展させ,各自のテーマについて,
指導教員と打ち合わせながら研究を行う。以下の目標の達成を目的と
している。
1. 実験ノートや研究実施記録を作り,研究活動の記録を継続的に残す
ことができる。
2. 各自の研究テーマ対して主体的・継続的に取り組んで研究を進める
ことができる。
3. 研究に必要な文献・資料や情報を集め,それらを整理して,問題解
決のアイデアに結びつけることができる。
4. アイデアを具体的に実現するための過程を考え,期限などの制約の
中で,実施計画が立てられる
5. 研究成果を,指定された書式(英文アブストラクトを含む)に従っ
て報告書としてまとめることができる。
6. 学外での研究内容の発表を目指す。
モノづくりの現場では,専門性の高い問題を各種の公式に当てはめて
解決できるケースは少ない。「なぜそうなるのか?」を解明するには,
実際の物理・工学現象を観察・計測すると共に,数学や物理などの知
識を利用して問題解決を図る必要がある。本科目では,実際の物理・
工学現象の解明のための道筋を,各種の物理量計測,数値実験(シミ
ュレーション)などを通して修得し,モノづくりの現場で活かせる知
識を養う。
この科目は社会の要求するものを,現在の技術を基礎としながら,今
を超える新たなものを創りだしてゆく場合の着想の発想方法から始
め,その育て方,着想を特許にするまで,言い換えれば,知識,技術,
情報を基に社会が求める新しいものを企画,発想し,それが社会に受
け入れられるまでの間での必要かつ重要な事柄を解析した科目であ
る。
地域が抱えている問題から抽出した課題を設定し,この課題に対し,
文献調査,タウンウォッチング,ヒアリング,実測調査などを行い,
得られたデータを参照しながら計画を行う。これにより地域の風土,
分化,生活習慣に配慮した計画能力,設計手法を養う(資料3−1−
3-5
景観設計演習
(2年生)
住環境工学
(2年生)
1−10)。
景観の視覚的構造に関する基礎理論について学習し,その内容を八代
市周辺の調査によって確認する。次に警官シミュレーションの技法に
ついて学習し,具体例事例の調査を実施し問題点の把握などを行った
後,学習した技法を応用してシミュレーションを行う。完成したモノ
はプレゼンテーションボードを作成し,発表させる(資料3−3−1
−10)。
これまで学んできた環境工学や建築設備の知識を前提に,温熱環境の
制御手法を整理した後,住宅設計を題材として具体的に検討・提案す
る(資料3−1−1−11)
。
【その他の取り組み】
学科等
学年
名称
情報電子 全学年
中学校プログラムコンテ
ストを通じたコミュニケ
ーション能力育成プロジ
ェクト
土木建築
専攻科
サマーレクチャー
生物
専攻科
体感型科学技術情報の地
域への発信−ミクロ世界
の可視化プログラムの開
発−
概要
中学生を対象としたプログラミングコンテストを,企
画から中学生への事前指導,運営,評価にいたるまで,
本校の学生が主体的に取り組み実施することによっ
て,総合的な実践体験による幅広いコミュニケーショ
ン能力の開発およびマネジメント能力の育成を目的と
したプロジェクト。
平成 19 年度は,本校学生に,コミュニケーション能力
の向上をはじめとする総合的な実践体験をさせるため
に,運営スタッフとして会場準備,本選の運営,審査
などに参加させた。
九州各高専から受講生を受け入れ,
「ユニバーサルデザ
インのまちづくり−開湯 600 年へ向けた日奈久温泉街
UD 化計画ワークショップ−」というテーマで現地ヒア
リングなどを通じた教育を行った(資料3−1−1−
12)。
専門分野の異なる専攻科学生がグループを組み,
「体感
型科学技術情報プログラム」を開発し,成果を地域の
連携理科授業や子供向けイベントへ発信し,改善まで
を PBL 教育手法で行った(資料3−1−1−13)。
3-6
資料3−1−1−1
1 年生「工学入門」講義資料(一部)
1リットル容器の作成
い草ブリッジの作成
(出典:授業資料および実習風景)
3-7
資料3−1−1−2
複合工学セミナーⅡ資料
2007/10/01
複合工学セミナーⅡ ガイダン
(4)改善策の提案:問題解決に向けた提案を各班
で話し合い、レポートしてまとめる。
(5)意 見 発 表:意見発表会にて調査結果及び
問題解決に向けた提案内容を発表し討論する。
ス資料
斉藤・金田
■実施方法
(1)班毎(できるだけ異なる学科の学生で構成、
1班4名を基準とする)にテーマを決め、調
■目標
実社会のモノづくりにおいては幅広い工学的
視野から社会環境や自然環境と調和を保ちなが
ら共生していくことが求められている。本セミ
ナーでは異なる専門分野の学生が一緒になって
地域社会が抱える様々な問題に取り組むことに
より、工学全体の幅広さや複合化・融合化の意
義、科学技術が果たすべき役割について再認識
することを目標とする。
査等の内容や方法について活動計画書* 1 を
作成する。
(2)活動計画書に沿って班員が協力しながら調
査等を実施する。
(3)各自活動した内容を活動ノートにまとめ活
動実施記録用紙* 2に記録する。
(4)調査結果と問題解決に向けた提案をレポー
ト* 3に分かりやすくまとめる。
(5)意見発表会にて班毎に発表(パワーポイント
【具体的な達成目標】
1.地域社会が抱える問題について専門的立場
から問題を理解することが出来る。
2.異なる専門分野からの見解や意見を理解す
ることができる。
3.問題点の抽出に必要な調査などを企画し計
画的に実施することができる。
4.地域社会の問題についてなんらかの改善策
を提案することができる。
5.調査結果や自らの提案を分かりやすく説明す
ることができる。
6.取り組みの実施状況を継続的に記録するこ
とができる。
使用、1 班 10 分程度)を行い、全体で討議
する。
(6)30 時間以上の活動を条件に、活動計画書* 1、
活動実施記録* 2、レポート* 3 を参考資料と
して評価を行う。
*1,*2,*3:別紙
■評価方法
レポート点 60%+意見発表の状況 30%+活
動の記録状況 10%=最終成績
■テーマ例
□地球にやさしい家の提案
□環境
と交通の一体化:天草・八代架橋について
□八代市ごみ処理施設の調査
■内容
(1)テ ー マ 設 定:地域社会の問題を各班で話し
合い、テーマを設定する。
(2)活動計画立案:各テーマに基づき、活動内
容・スケジュール・班員の分担等を計画する。
(3)問題点の抽出:資料調査、実地調査、インタ
ビュー、
アンケート等を計画
的に実施し、問題点を抽出・
整理する。
□八代
地域における地震の被害予測とその対策
□八代の土壌と農作物
□八代
市商店街 現状の調査と活性化の提案
□高専の緑化計画への提言
□八代
のパチンコ店の現状と周囲への影響につ
いて
□学校周辺の生活環境マップづくり
□八代
の特産品づくり
(出典:講義資料および学生の発表資料)
3-8
資料3−1−1−3
「課題研究」シラバス
(出典:平成 20 年度シラバス)
3-9
資料3−1−1−4
機械電気工学科3年生「設計製図」
機械電気工学科4年生「機械電気総合実習」
(出典:作品例および発表会プログラム)
4年生「機械電気総合実習」の発表会資料
(出典:
「機械電気総合実習」の成果発表会資料)
3-10
資料3−1−1−5
情報電子工学科1年生「情報電子工学基礎実験Ⅰ」
情報電子工学科3年生「マイコン工学」
情報電子工学科2年生「情報工学基礎演習」
情報電子工学科5年生「ソフトウェア工学」
(出典:講義資料,学生レポート,作品)
3-11
資料3−1−1−6
土木建築工学科1年生「創造演習」
土木建築工学科4年生「建築設計演習」
(出典:学生の作品)
土木建築工学科3年生「設計製図」
土木建築工学科5年生「建築設計演習」
(出典:デザインコンぺティション入賞作品)
3-12
(出典:平成 19 年度現代 GP 報告書)
資料3−1−1−7
生物工学科4年生「創造実験」
生物工学科5年「高分子化学」
(出典:学生のグループ発表資料)
(出典:授業風景)
生物工学科5年生「材料化学」
(出典:講義資料)
生物工学科5年生「リサイクル技術」
(出典:見学リサイクル工場のリーフレット)
3-13
資料3−1−1−8
専攻科1年生「工業基礎計測」
専攻科1年生「基礎工学演習」
(出典:学生のレポート)
3-14
資料3−1−1−9
専攻科2年生「地球環境科学」演習課題
学生の発表資料(一部)
(出典:講義資料)
3-15
資料3−1−1−10
環境建設工学専攻1年生「環境施設設計演習」
環境建設工学専攻2年生「景観設計演習」
(出典:平成 19 年度現代 GP 報告書)
資料3−1−1−11
環境建設工学専攻2年生「住環境工学」
(出典:学生の作品)
3-16
資料3−1−1−12
平成 19 年度サマーレクチャー
「ユニバーサルデザインのまちづくり−開湯600年へ向けた日奈久温泉街UD化計画ワークショップ−」
(出典:平成 19 年度現代 GP 報告書)
3-17
資料3−1−1−13
体感型科学技術情報の地域への発信
(出典:平成 19 年「特別教育研究経費」報告書)
3-18
3.1.2 キャリア育成支援への取り組み
本校におけるキャリア形成支援教育は,以下のようなプログラムで実施されている。
(1) 実施体制
進路支援室(進路支援室長,副室長,室員,教務委員会委員,4年担任,1∼3および5年担
任代表,学生課長,教育支援係長,学生生活支援係長,進路関係係員,就職アドバイザー(外
部委員))を中心として,教務委員会,学生委員会,担任会との連携を図っている。
(2) 教育プログラム
平成 13 年度に策定された「HR 基本プラン」(表3−1−2−1)に基づき,3年生までの「エ
ンジニア総合学習」,4年生の「進路セミナー」および「インターンシップ」をキャリア関連科
目として整備した「八代高専総合教育プログラム」
(表3−1−2−2)に基づいたキャリア育
成支援教育を実施するとともに,担任,進路支援室を中心とした個別対応・指導により個々の
学生のニーズに対応したきめ細やかな教育を実践している。
表3−1−2−1「HR 基本プラン」の指導目標一覧
大目標
小目標
「社会性・人間性を育てる」
自己を知り,自立心を育て,決断力・意志力を磨く
集団へ適応する力を育て,協調性・積極性・実行力・指導力・忍耐
力を磨く
自然・人間・社会について理解を深め,そのあり方について考える
力を育てる
「進路を考える」
将来設計をする
主体的な学習を確立する
望ましい職業観・勤労観を持つ
表3−1−2−2「八代高専総合教育プログラム」ホームルーム活動抜粋
(3) 具体的な教育内容
(ア)エンジニア総合学習
5ないし7年間の学習・教育の流れの中で,社会人として,エンジニアとしての自分を見つ
めて職業観を養うために,「エンジニア総合学習」を開設し,実施している。1∼3年までの
HR において,各 10 時間の「エンジニア総合学習」
(3年間で1単位)を開設し実施している(資
料3−1−2−1)。
(イ)進路セミナー
上級学年の学生に対する進路ガイダンスのために,カリキュラムに「進路セミナー」(4年
生1単位)を開設した。平成 15 年度よりカリキュラム(HR)に「進路セミナー」を開設し,
担任,学科,進路支援室が連携し実施している。
内容としては,HR を利用した担任を主とした進路選択に関わるもの,進路支援室が中心とな
って行う共通プログラムによって構成されている(資料3−1−2−2)。
(ウ)インターンシップ
就業体験を通じた進路選択の機会を「インターンシップ」を通じてカリキュラムの中に設け
ている(資料3−1−2−3)。インターシップ終了後は,報告会を実施するとともに,
「イン
ターンシップ報告書」を刊行し,代理体験などを通じた進路選択の支援を行っている(資料3
−1−2−4)。
(エ)就職アドバイザー,進路支援室員などによる個別対応
本校では,担任および学科,進路支援室に加え,就職アドバイザーを外部委員として配置し,
3-19
個々の学生のニーズに対応した支援教育を行っている(表3−1−2−3)。
表3−1−2−3
①個別相談
就職アドバイザー
進路支援室長
②進路支援室利用件数
総相談件数
就職関係相談件数
進学関係相談件数
就職アドバイザーなど対応状況
1 名 30 分をめどに,延べ 153 名
1 名 30∼40 分,延べ 135 名
75 件(学生数に対する割合 44%)
64 件(学生数に対する割合 64%)
8 件(学生数に対する割合 17%)
(オ)進路支援データベース
平成 17 年度より就職活動および進学をする学生への Web 上での「進路支援データベース」
として進路情報サービスの提供を開始している。これは,学生の自主性・自律性の高い,敏速
な意思決定を可能とするための進路支援サービスの充実を目的とし,機動的かつ戦略的な進路
情報サービスの提供として,就職情報(求人情報+就職試験報告+企業研究サポート)および
進学情報のデータベースを,平成 16 年度,学生の課題研究の一環として構築したものである。
現在も5年生の課題研究として受け継がれ,データ入力から,メンテナンス,そして,就職・
進学試験を受験した実体験を通して,学生の視線で「進路支援データベース」の改善に取り組
んでいる(資料3−1−2−5・6)。
(カ)学生の評価(主に進路セミナーについて)
平成 20 年4月に,4・5年生を対象として実施した意識調査では,進路セミナーについて
おおむね満足している。また,進路選択を迎えた学生が不安を抱えており,このような進路支
援教育の必要性を示しているものと思われる(資料3−1−2−7)
。
3-20
資料3−1−2−1
平成 19 年度エンジニア総合学習実施例
(出典:平成 19 年度エンジニア総合学習報告書)
3-21
資料3−1−2−2
平成 19 年度進路セミナー実施表
平成19年度 4年 「 HR / 進路セミナー」 実施表
月日
学校行事等
4/4(水)
始業式
4M
4E
4C
4B
備 考
4/11
4/18
4/25
保 護 者 懇 談 会
4/29(金) (午後)
///
5/2
5/9
5/14∼5/18
工場見学旅行 (関西・名古屋・東京など)
5/23
球技大会・学生総会
5/29
「進路決定へのプロセス(自己分析と企業研究:インターンシップの意義) 」(室長)1F合同
5/30
6/6
工場見学旅行まとめと企業レポート提出
∼12前期中間試験
第1回就職(SPI)模試(業者)1F合同
6/13
全員受験
6/20
6/27
7/4
進路資料配布と説明
進路資料配布と説明
進路資料配布と説明
進路資料配布と説明
第1回就職(SPI)模試解答解説(業者)1F合同
7/11
7/18
HR,全体会
夏季休業 (工場実習)
7/19
9/5
9/12
特別時間割
インターンシップ報告会
(時間としてはインターンシップ:2,進路セミナ:2以上の計4時間以上で実施)
9/13∼20前期末試験
9/19
9/26
10/3
10/3インターンシップ報告会
10/10
進路説明と体験談 (M科長,5年) 10/10インターンシップ報告会
後期開始
10/17
10/19インターンシップ報告会
10/24
10/16インターンシップ報告会
10/16インターンシップ報告会
10/17インターンシップ報告会
10/31
保 護 者 懇 談 会
11/1
11/7
第2回就職(SPI)模試(室長)1F合同
11/13(火)
就職活動 意識調査
11/14
講演「技術者にとってキャリアとは?」 (講師:JWord社長 古梶氏)1F合同
就職希望生
16:30∼17:30教職員対象FD
11/21
11/28
地元企業説明会 1F合同室
12/5
12/6
地元企業説明会 1F合同室
12/11
熊本大学・大学院説明会(熊大工学部機械システム工学科准教授黒田氏)
12/12
15:10∼16:40地元企業研究会 1F合同室
12/19
15:10∼16:10 仕事に就くための法律知識(小林先生) 1F合同室
12/22(土)
HR,全体会
冬季休業
1/9
第3回就職(SPI)模試(室長)1F合同室
1/16
*1/17 3年(12名受験)
本科推薦試験(休講)
1/23
15:10∼17:30OB・OG企業説明会 1F合同室
1/29
15:00∼15:10 健康診断について説明会 1F合同室
15:15∼16:15 面接対策講座(講師:元TKUアナウンサー橋本絵鯉子氏) 1F合同室
16:20∼17:20 OB・OG企業説明会 1F合同室
1/30
2/4∼8学年末試験
2/6
2/13
15:10∼16:10「進路セミナー」エントリーシート・履歴書作成法(村田)1F合同室
2/19
15:10∼16:30 OB・OG企業説明会 1F合同室
13:10∼16:00 OB・OG企業説明会 1F合同室
2/20
2/27
特別時間割
3/5
特別時間割
(出典:進路支援室資料より抜粋)
3-22
資料3−1−2−3
インターンシップシラバス
(出典:平成 20 年度シラバス)
3-23
資料3−1−2−4
平成 19 年度インターンシップ発表会プログラム例
インターンシップ報告書例
(出典:平成 19 年度八代高専インターンシップ報告書)
3-24
資料3−1−2−5
進路支援データベース操作画面
(出典:本校ウェブサイト)
資料3−1−2−6
進路支援データベース検索結果例
(出典:本校ウェブサイト)
3-25
資料3−1−2−7
学生に対するアンケート結果
平成20年度「進路セミナー」実施にあたっての学生の意識調査
1.5年生対象
(1)「進路支援セミナー」は役に立ちましたか?
回答者(151名)
⑤
④
機械電気工学科
3
情報電子工学科
6
土木建築工学科
4
生物工学科
5年合計
※アンケート選択肢内容
③
②
①
22
6
3
1
17
15
2
0
24
10
0
0
7
12
14
4
1
20
75
45
9
2
6%
1%
13%
50%
30%
⑤:非常に役に立った
④:役に立った
③:普通
②:余り役に立たなかった
①:全く役に立たなかった
(2)「進路セミナー」の内容にプラスするとすれば,どのようなことを欲しますか?
①面接対策の更なる充実
8
②就職試験対策の増加(一般常識)
6
③進学対策(説明会の開催等)
4
④就職活動支援の更なる充実
4
⑤その他
6
2.4年生対象
(1)進路決定が目前ですが,現在どのようなことに不安を感じていますか?
やりたいことが分からない
27
志望した企業に就職可能か
12
進級
11
成績
9
仕事への適性
6
就職か進学かの決定
6
その他
57
(2)「進路支援セミナー」では,どのようなことについて支援を期待しますか?
面接指導
20
幅広い会社紹介(職場環境・厚生など)
13
大学編入などの情報
9
進路選択のアドバイス
5
自分自身との適性がある就職先の紹介
5
就職活動の文書作成指導
4
先輩たちの体験・就職後の情報
4
どのような職種・就職先があるのか
3
その他
30
(出典:進路支援室資料より抜粋)
3-26
3.1.3
多様なニーズに対応した教育実践
本校は学術の発展動向や産業界の要請を受けて複合学科として設立されており,専門教育は近接する
複合領域を取り扱う内容となっている。また学生が所属する専門学科以外の工学を学ぶ機会として,本
科で「工学入門」や「複合工学セミナーⅠ・Ⅱ」,専攻科では「工業基礎計測」
「基礎工学演習」を始め
とする共通科目を設けている(資料3−1−3−1∼3)
。
近年の技術者教育における倫理教育への要求・期待に応えるべく,本校では全学的な倫理教育体制を
整えており,一定の成果を上げている(資料3−1−3−4)。
学生の多様なニーズに応えるため,他の高等教育機関との単位互換に関する細則を定め,大学や他高
専間に単位互換協定を締結している(資料3−1−3−5∼7)。さらに,特別選択科目を設置し,学
生の意欲や特性に応じた,自主学習支援,補充教育,創造教育を実施するとともに,外部資格などの単
位認定も行っている。平成 18 年からは,米国マーレイ大学と提携した語学留学の支援プログラムや九
州内の他高専と協力し,シンガポール・ポリテクと提携した語学研修プログラムを実施している(資料
3−1−3−8・9)。
編入学生・留学生などの特別な支援を必要とする学生に対しては,学内申し合わせを定め,補充教育
を実施している(資料3−1−3−10)。
3-27
資料3−1−3−1
「工学入門」シラバス
(出典:平成 20 年度シラバス)
3-28
資料3−1−3−2
「複合工学セミナーⅠ・Ⅱ」シラバス
(出典:平成 20 年度シラバス)
3-29
資料3−1−3−3
「工業基礎計測」「基礎工学演習」シラバス
(出典:平成 20 年度シラバス)
3-30
資料3−1−3−4
八代高専における技術者倫理教育プログラム
(出典:小林幸人,工業高専における総合的技術者倫理教育プログラムの構築について,
工学教育第 55 巻 3 号,2007)
3-31
資料3−1−3−5
(7)八代工業高等専門学校以外の大学等における学修に関する細則
(趣 旨)
第1条 この細則は、八代工業高等専門学校学則第13条第1項に基づき、大学における学修その他文部
科学大臣が別に定める学修(以下「大学等における学修」
)という。
)について、必要な事項を定める。
(学修の対象)
第2条 学則第13条の3第1項に規定する文部科学大臣が別に定める学修とは、次に掲げる学修をいう
ただし、本条第1項第3号、第4号及び第2項に規定する学修については専攻科学生に適用しない。
(1) 大学又は短期大学の専攻科における学修
(2) 高等専門学校の専攻科における学修
(3) 専修学校の専門課程のうち修業年限が2年以上のものにおける学修で、本校において高等専門学
校教育に相当する水準を有すると認めたもの
(4) 技能審査の認定に関する規則(昭和42年文部省告示第237号)による文部科学大臣の認定を受け
た技能審査の合格に係わる学修で、本校において高等専門学校教育に相当する水準を有すると認め
たもの
2 前項の学修以外に、本校が適切と認める技能検定及び資格試験で、教員の指導のもとで演習等を行
い、合格したもの。
3 第1項第4号及び第2項に規定する学修は、別表に掲げる技能審査とする。
(学修手続)
第3条 学生は、前条第1項第1号、第2号及び第3号に規定する学修を行おうとするときは、大学に
おける学修許可願(別紙様式1)により、校長の許可を受けなければいけない。
(単位認定申請)
第4条 学生は、大学等における学修を行い、単位の認定を受けようとするときは、大学等における学
修単位認定申請書(別紙様式2)に、次の各号の一に掲げる書類を添えて、校長に願い出なければな
らない。
(1) 当該学修を行った教育施設等の長が交付する単位修得証明書又は成績証明書
(2) 第2条第1項第4号及び第2項による学修を証明する合格証書等
(3) その他学校が必要と認める事項
2 校長は前項の規程により申請のあった学修について、修了及び卒業認定会議並びに進級判定会議の
議を経て、単位の修得を認定することができる。
3 認定単位は、学修単位認定申請を行った年度に在籍する学年の単位とする。
附 則
この規則は、平成16年4月1日から施行する。
(出典:平成19年度学生便覧)
3-32
資料3−1−3−6
熊本大学との単位互換協定書
(出典:熊本大学工学部と八代工業高等専門学校との間に
おける単位互換に関する協議書)
3-33
資料3−1−3−7
九州沖縄地区9高専間の単位互換協定書
(出典:九州沖縄地区9高専間の単位互換協定書)
資料3−1−3−8
マーレイ大学研修旅行案内ポスター
修了証授与式
Graduation Ceremony
July 27, 2006
Woods Hall Lobby
3:00 P.M.
(出典:マーレイ大学研修旅行案内ポスターおよび修了証授与式写真)
3-34
資料3−1−3−9
九州高専とシンガポールポリテクニックとの教育交流調印式
MOU Signing Ceremony on Aug. 3,2006
語学教育研修日程
3 研修日程(案)
8/19日(土):各地から福岡空港集合(午後),関西国際空港へ。事前研修
(関西国際空港近辺のホテル又は研修施設を予定。)
20日(日): 日本航空整備場見学後,関西国際空港発(JAL721便)シンガ
ポール着,ホテルへ
21日(月): 現地オリエンテーションと参加高専生の交流会
22日(火): パナソニックコミュニケーションズマレーシア工場見学,マ
レーシア共和国ジョホール州(旧社名:九州松下マレーシア)
23日(水): 「授業」ゲームでお互いを知り合いましょう
24日(木): 「授業」道案内・情報入手の手法
25日(金): 「授業」説明と比較・情報発信
26日(土): シンガポール・オリエンテーリング(電車・バス・徒歩による
ラリー)現地校学生とグループでシンガポール国内を回ります。
27日(日): 休日(自由行動)
28日(月): 「授業」目と耳で聞く・ビジネス会話
29日(火): 「授業」プレゼンテーションスキル
深夜,シンガポール発(JAL722便)機内泊
30日(水): 関西国際空港着,伊丹空港へ陸路移動
伊丹空港発 (JAL2053便)福岡空港着
到着後,空港にて解散。各自帰宅。
Memorial Picture on Aug. 3,2006
(出典: 国際交流事業報告会 8/31 実施資料)
資料3−1−3−10
学習サポート面談記録および留学生補習授業成績表
(出典:補充教育資料)
【評価項目3.1】教育内容・取り組み
■評価できる
□やや評価できる
□やや改善の必要がある
□改善の必要がある
(意見)
創造性育成のための科目設定,キャリア育成支援のための進路セミナー,進路支援データベ
ースの構築,就職アドバイザーおよび進路支援室員による個別指導など評価できる。また,編
入学生,留学生および転科生などの特別な支援を必要とする学生に対して補充教育をしている
など多様な学生を支援する体制を整えているのは評価できる。
3-35
3.2 学生支援
3.2.1 学生支援体制
学生を中心とした学生・教育支援体制の概略(資料3−2−1−1)を以下に示す。本校では,学生を中
心とし,それぞれの委員会が担当する支援・対応をしつつも,必要に応じて他の委員会などと連携し学生支
援・対応を行うという協力支援体制を特徴としている。例えば,平成 19 年度は,あるクラスの学生間のコミ
ュニケーションの問題に対して,担当学年の担任会が開催された後,三主事(教務,学生,寮務),学生相
談室長,学生課長,学科長およびクラス関係教職員を含めた学生支援連絡協議会が開催され,問題の状況,
対応策などについて協議が行われた。(第 28,29 回寮務委員会議事録 資料添付せず)
資料3−2−1−1
教育活動
学務運営システム
総合企画委員会
(Plan)
教務委員会
担任会・学科(教職員)
施設・環境
入学・進路
施設マネジメント
システム
学務運営システム
校長
(Action)
各種サブシステ
ム・教職員(Do)
自己点検評価
委員会
(Check)
施設マネジメント
委員会・総務課
学生
進路支援室
学習募集室
学生生活
諸手続き
学生支援システム
学生課
学生委員会・留学生委員会
寮務委員会・学生相談室
学校運営 PDCA システム
教育支援係
学生生活支援係
教育支援体制の概略
(出典:JABEE 中間審査自己点検書)
その他,近年新たに導入された学生支援例について以下に示す。
①学生生活関係
○学内掲示板の新システム
学生に紙媒体の様々な情報を連絡する手段として,平成 19 年度から再整備した学内中央掲示板を効果的に
活用する新たな方法が実施されている。これまでは掲示内容を学生に連絡するために学内中央掲示板に資料
掲示するほか,さらに HR の掲示板へ資料を掲示し,CT(コミュニケーション タイム)などを使って学生へ
の周知徹底を担任に依頼してきた。今年度から,学生の自主性を向上させる目的で,学内中央掲示板を再整
備し,学生への連絡などをすべて中央掲示板で行うこととした。また,さらに,一般棟校舎改修と同時に,掲
示板を増設し,効率的な情報伝達ができるようにした(資料3−2−1−2)
。全教職員へは掲示物の内容を
週1回の割合でメールにて連絡している(資料3−2−1−3)
。学生には新システム開始時に学内中央掲示
板を毎日チェックするように連絡した。今のところ,連絡などでの学生の混乱は生じておらず,HR 掲示板が
これまでよりも見やすくなり,使用紙量も減少するなどの効果が得られている。
資料3−2−1−2
(出典:中央掲示板全景
と一部拡大の写真)
3-36
資料3−2−1−3
中央掲示板掲示内容 (平成20年 2月29日現在)
項目
新着情報
授業関係・学生呼出
掲示物表題
平成20年度バイク通学希望者へ
奨学生の継続願提出について
消費者被害 緊急 注意報(架空請求詐欺)
平成20年度八代市奨学資金貸付募集要項
インフルエンザ警報
日本学生支援機構奨学金の継続願未提出者について
食品の安全性について (保健室)
麻疹(はしか)について
第6回「新たな教育内容・手法を考える研究会」について
全国高専キャラバンのご案内
法学再評価試験結果について
ヤマハ熊本プロダクツ 奨学生募集について
掲示期限
2月29日
2月29日
3月31日
4月14日
3月31日
2月29日
2月29日
3月31日
3月12日
3月12日
2月29日
4月18日
掲示対象
全学年
奨学生
全学年
全学年
全学年
奨学生
全学年
全学年
全学年
全学年
対象学生
全学年
緊急時の対応
図書督促リスト
各種学校進学予定者 奨学生(予約)募集のご案内 [交通遺児育英会]
3月31日
2月29日
2月28日
全学年
対象学生
対象学生
(出典:全教職員への配布資料「中央掲示板の掲示物について(お知らせ)メール添付分抜粋」)
○セーフティボックスの設置
学内掲示板の新システム導入と同様の目的でセーフティ
ボックスが学内に設置された。学生にはロッカーの貸し出し
など行っているにもかかわらず,貴重品などを HR に放置,
あるいは貸与しているロッカーに施錠しないなどの貴重品
管理の甘さが見られることから貴重品専用の暗証番号方式
セーフティボックスを導入し,また文書を掲示し,貴重品の
自主管理徹底を促した(資料3−2−1−4)
。ピロティー
1階の図書館入口に設置し,学生が利用し易い環境に整えて
いる。
資料3−2−1−4
平成 19 年 12 月 7 日
学生諸君へ
学生委員会
貴重品ロッカーの使用に関して
平成 19 年 12 月 10 日(月)より、学生課前のスペースに設置した貴重品ロッカー
が使用できるようになります。下記のような機能がありますが、使用上のルー
ルをよく守った上で利用してください。
【主な機能】
1.ランプの消えているロッカーが使用できる。
2.扉番号3桁と暗証番号4桁を入力すれば、指定した扉が開く。
3.荷物を入れて扉を閉めればロックされる。
4.扉を開けるときは扉番号と暗証番号を入力する。
5.荷物を取り出して扉を閉めれば暗証番号はクリアされる。
6.簡単な番号は暗証番号として使用できない。
例「1111」「1234」等
7.停電時はバッテリーバックアップにて72時間は稼働できる。
8.ボックスの大きさは
○短期留学制度への援助
平成 18 年7月から新しい国際交流事業の一環としてケン
タッキー州立マーレイ大学への約1 ヶ月間の夏季語学研修制
度が開始された。本留学実施までには,国際交流ワーキング
グループが中心となって,募集,参加希望学生への説明や必
要書類(例えば,公欠届)の作成など学生の留学がスムーズ
に行くように細かく指導・活動を行った。留学する学生のた
めに,ミニ・ガイダンスの小冊子を作成して学生の便宜を図
った(資料3−2−1−5)
。
第1回目の平成 18 年度には本校英語科教員1名の引率の
もと4名の学生が参加した(資料3−1−3−8)
。引率教
員は,本校からマーレイ大学までの往復時および滞在時,
学生の体調管理を含む生活および学業への細やかな指導を
行った。
3-37
W127×D285×H86
㎜
【使用上のルール】
1.貴重品ロッカーの使用時間は8:30∼20:00とし、当日中に
中身を持ち帰るものとする。
2.ロッカーに荷物を放置した場合は、翌日以降に設定した暗証番号を
クリアするので中の荷物は取り出せない。身分証明書等を持参の上、
学生課まで申し出て解錠を依頼すること。
3.暗証番号を忘れた場合は、身分証明書等を持参の上、学生課まで申
し出て
解錠を依頼すること。
4.上記2,3にて解錠を依頼する場合は、学生課にて学年,学科,出
席番号,氏名,日時,内容物について備え付けの台帳に記入するこ
と。ただし、学生課へ解錠を依頼する時間は8:30∼18:30
までとし、18:30以降は翌日に解錠を依頼すること。
(出典:学生への配布資料「貴重品ロッ
カーの使用に関して」
)
資料3−2−1−5
(出典:マーレイ州立大学
短期語学留学プログラム
研修のしおり)
②寮関係
○男子(八龍)寮へのエアコンの設置
施設面では学生および保護者からの要請が非常に強かった男子寮全居室へエアコンの設置が平成 18 年度末
に完了し,居住環境の改善が行われた(資料3−2−1−6)
。エアコン利用については規定が制定されてい
る(資料3−2−1−7)が,天候により運用は柔軟に対応している。女子(夕葉)寮のエアコン温度設定
は各居室で制御可能であるが,男子寮のエアコン温度設定は宿直室の集中制御で行われている(資料3−2
−1−8)
。
資料3−2−1−6
資料3−2−1−7
16.各種規定
A.エアコン利用規定
1.利用機関
冷房:6月中旬から 10 月中旬までの期間とする。
暖房:11 月下旬から3月末までの期間とする。
(利用開始日、終了日については、学校が定めた日とする。)
2.利用時間
冷房の利用時間を次のように区分する。
(出典:男子寮居室 を写真撮影)
《平日》
《休日》
(1)19:00∼23:40
(1)8:30∼23:40
(2)23:40∼0:40(就寝準備後)
(2)23:40∼0:40(就寝準備後)
(出典:エアコン利用規定 寮生活のしおり抜粋))
資料3−2−1−8
(出典:男子寮宿直室エアコン集中制御盤を写真撮影)
○寮健康センターの設置
平成 17 年5月に男子寮北寮1階および女子寮1階にそれぞれに「寮健康センター」が開設された。本校の
学生の 50%が寮生であり,放課後の寮生活の健康管理およびメンタル面でのケアに配慮した結果である。寮
からは,週2∼3日の放課後の常駐や寮生のカウンセリングへの対応などを依頼されており,年2∼3回の
健康に関する講演も行っている(資料3−2−1−9)
。月曜・金曜は男子寮,水曜日は女子寮の健康センタ
ーに 16 時∼19 時の間常駐し,寮生の相談などに応じている。
3-38
平成 19 年度実施分 寮健康教室
日時
内容
資料3−2−1−9
対象および参加人数
6月26日(火)
寮健康教室(男子)
1年生対象
6月27日(水)
寮健康教室(女子)
79名
12月11日(火) 性の健康教室(男子)
1年生対象
12月12日(水) 性の健康教室(女子)
80名
(出典:寮健康センターによる健康教室の日程および実施の模様)
3.2.2 学生からの要望・意見への対応
学生からの要望・意見聴取方法(資料3−2−2−1)を以下に示す。
学生の意見・要望を聴取するシステムは上記以外にも存在し,学生生活に関係する場合であれば学生会の
意見箱から学生会を経て,学生生活委員会で検討対応される。また寮生活であれば,週一回開催される寮役
員会から出た意見・要望が寮務委員会へ挙げられ検討・対応される。図書館や体育館などの施設の利用に関
しての要望も施設管理担当やクラブ顧問へ要望があれば検討し,可能な限り対処している。 また,必要であ
れば担任を含め複数の委員会で連携しながら検討・対処している。以下に学生から提出された意見とその対
応例を挙げる(資料3−2−2−2)。
【評価項目3.2】学生支援
■評価できる
□やや評価できる
□やや改善の必要がある
□改善の必要がある
(意見)
学生生活支援のため,新たな掲示板,セーフティボックスおよび寮の健康センターなどの設置は
評価できる。また,学生からの意見・要望を聴取するために多様なシステムを設けており必要に応
じて担任および複数の委員会で連携しながら課題に対処しているのは評価できる。
資料3−2−2−1
学生 からの 意見 聴 取 方法
学 生 の意 見 聴取 方 法
評 価 の種 類
実施 時 期
担当部署
備考
学 務 運 営システ
教 員 評価 へ 反 映
ム(教 務委 員 会) 改善 レ ポートの作成
授 業 アンケ ート
授業 評 価
年 2回
学習 自 己 点検
学 習環 境 評 価
定期 試 験 後
(年 4回 )
学 務 運 営システ
ム担 任・学 科
成 績 検 討会 へ 反 映
満 足度 評 価
4月 、3月
(年 2回 )
学 務 運 営システ
ム担 任・学 科
教 務 委 員会 で 分 析
後 、教 員会 で 報告
学 習達 成 度 記録 簿
学 生 会役 員 と校 長 との懇 談 会 学習 環 境 評 価、満 足 度 評価
専 攻 科生 と校 長 との懇 談 会
卒業 ・修 了 時ア ンケ ー ト
学習 環 境 評 価、満 足 度 評価
年1回 程 度
学 生 支 援システ 学 生 会 広報 誌 、学 生
ム(学 生委 員 会)
会 文 集で 報告
年2回 程 度
学 務 運 営システ 連 絡 協 議会 で 報 告
ム(教 務委 員 会) 後 、全教 員 へ 通 知
学習 環 境 評 価、満 足 度 評価 年 1回 (3月 )
学 務 運 営システ 連 絡 協 議会 で 報 告
ム(教 務委 員 会) 後 、全教 員 へ 通 知
個 人 面談
全て
随時
担任
学 科会 議 等 で 報告
オ フィスア ワー
全て
随時
全教員
学 科会 議 等 で 報告
( 出 典: 中間 審査 自己 点検 書)
3-39
資料3−2―2−2
意見・要望の内容
直接の受け取り先
科目の応用情報科学は詰め込
校長,教務主事,専攻科長
み過ぎ。学習範囲が広く時間
専攻科学生懇談会
検討部署
対 応
教務主事,教務委員会
科目担当者に連絡。
教務主事,教務委員会
これまでにも休息についてお願
が足りない。
100 分の連続授業は長すぎて
校長,教務主事,専攻科長
集中力が続かない。間に 5 分
専攻科学生懇談会
いしているが,再度,先生方に
程度の休息は入れられないの
依頼。
か。
図書が入るのが遅い。物品が
校長,教務主事,専攻科長
入るのが遅い。
専攻科学生懇談会
教務委員会,図書委員会
納期について調査・検討→なるべ
電子ジャーナルの利用の仕方
校長,教務主事,専攻科長
教務委員会,図書委員会
使用方法について講習,説明の
がほとんど判らない。
専攻科学生懇談会
情報処理センター
機会設定。→図書委員会,情報処
く速く入るように対処。
理センターへ依頼。
ATM の校内設置希望。
校長,教務主事,専攻科長
事務部
専攻科学生懇談会
近隣の学校と一緒に郵便局に要
望を出したが,
設置は難しいとの
回答。
専攻科生用駐車場の校舎近く
校長,教務主事,専攻科長
教務委員会,学生生活委員会
専攻科生専用駐車場を校舎近く
への変更と管理棟玄関先の電
専攻科学生懇談会
事務部
に移動。 管理棟玄関先以外にも
灯設置希望。
電灯を設置。
学会で発表する際、旅費の補
校長,教務主事,専攻科長
助が少ないので増額してもら
専攻科学生懇談会
後援会
後援会へ検討依頼。
いたい。
専門棟に冷水機を設置して欲
学生会
しい。
意見箱
学生生活委員会
差し戻し。 学生会掲示板にて
テスト期間前の休日図書館開
学生会
図書委員会
テスト期間前の休日図書館開館
館を2週間前からにして欲し
意見箱
学生生活委員会
を1週間前から2週間前に拡大
敷地外で教職員が喫煙するの
学生生活委員会,後援会
学生生活委員会
車庫裏に専用喫煙所を設置。
は見苦しいのでやめてほし
後援会と学生との懇談会
事務部
課外活動への援助について
学生生活委員会,後援会
後援会
全国高専大会への援助。
後援会と学生との懇談会
対応意見を掲示中。
い。
い。
クラブに入っていない学生の保
護者がクラブへの補助を増やす
兄弟で出場することになっ
ことについて反対しないか気が
た場合。
かり。アンケート等をとり,学生
高専大会以外の大会及び練
及び保護者全体の意見を聞きな
習試合等への援助。
がら,
今後補助の出し方について
検討。
寮の食事がおいしくない。
寮務委員会
(寮生→保護者→保護者会)
寮生保護者懇談会
寮務委員会
食堂に意見箱を置き,委員会で
チェック後,給食業者へ。
(出典:平成 18 年度専攻科学生懇談会議事録,平成 18 年度八代高専後援会・学生との懇談会議事録,平成 19
年度学生会ホームページ意見箱(提出,回答),平成 19 年度寮務委員会議事録ほか)
3-40
3.3 教育改善
3.3.1 FD 活動
教員の資質向上を目的として,各委員会,グループ主催の FD(ファカルティ デベロップメント)活
動が活発に行われており,平成 17 年度末からこれまでに,資料3−3−1−1に挙げた活動が実施されて
いる。教務委員会主催のワークショップや学生委員会主催の厚生補導研究会,学生相談室主催の研修会
などは毎年定期的に実施されている。また,情報処理センター,地域連携センター,広報室といった組
織や学内の有志で構成されるグループによる FD 活動も積極的に行われており,学校全体として,教員
の資質向上に努めている。
各 FD 活動の具体的な内容としては,授業アンケート結果を踏まえてコミュニケーション能力向上の
ために元テレビ局アナウンサーを講師とした「人に伝わる話し方」講座(教務委員会主催),学生指導に
ついての問題点や改善点について討議する「厚生補導研究会」(学生委員会主催),学生相談や発達障害
についての理解や対応方法について学ぶ「学生相談室研修会」(学生相談室主催),e-Learning を積極的
に活用してもらうための「e-Learning 研修会」(情報処理センター主催)やキャリアカウンセリングにつ
いて学ぶ進路支援室主催の研修会などがある。
上述したもの以外にも,授業アンケートや授業モニタリングの実施,高専間人事交流への参加など,
様々な形での FD 活動が行われている。
資料3−3−1−1
FD 活動一覧
年月日
H18.3.9
H18.4.25
H18.8.28
H18.8.29
時間
題目
13:10-15:00 人に伝わる話し方
自己評価書研修会
キャリアカウンセリング研修会
役職
厚生補導研究会
e-learning研修会
発達障害のある学生の支援のため
H18.9.21
15:00-17:00
に
第1回「新たな教育内容・手法を
H19.3.15
考える」研究会
第1回センター講習会 ネット
H19.4.3
ワーク説明会
第2回「新たな教育内容・手法を
H19.4.20
考える」研究会
第3回「新たな教育内容・手法を
H19.5.25
考える」研究会
第2回センター講習会 ホーム
H19.6.6
ページ作成講習会
第4回「新たな教育内容・手法を
H19.6.22
考える」研究会
H19.8.30
10:00-12:00 厚生補導研究会
H19.9.14,19
次期教育用システム説明会
H19.9.18
学生相談室研修会
第5回「新たな教育内容・手法を
H19.11.1
考える」研究会
H19.11.14
技術者にとってキャリアとは
新技術セミナー(特許技術講習
H20.1.17
会)
H20.2.5
なぜ死んだらいけないのですか?
コミュニケーション教育とデザイ
H20.2
ン教育の指導法セミナーへの派遣
第6回「新たな教育内容・手法を
H20.3.12
考える」研究会
H20.4.22
FD研修会
内容
「話し方」スキルの向上を狙った講演会
を計画しています
田中光浩 熊本県警察本部生活安全企画課
中野裕司 熊本大学総合情報基盤センター
管轄
教務委員会
認証評価WG
進路支援室
田中俊治 長崎総合科学大学 入試広報課広報係長
10:00-17:00 教育を考えるワークショップH18
H18.8.30
H18.8.30,31
H20.6.24
講演者
小田絵鯉子 元TKUアナウンサー
1.自己点検からみえた本校の課題,
2.自己点検に基づく課題分析,3.成
績認定手続に関する検討
サイバー犯罪の現状と被害防止
亀井美樹 八代高専カウンセラー
教務委員会
学生委員会
情報処理センター
学生相談室
学内有志グループ
情報処理センター
学内有志グループ
学内有志グループ
情報処理センター,広報室
学内有志グループ
健康診断,掲示板活用,風紀関連
事例紹介及び支援検討
キャリア支援教育について
学生委員会
情報処理センター
学生相談室
学内有志グループ
古梶秀樹 JWord株式会社代表取締役社長
進路支援室
土田義之 旭川高専 地域共同テクノセンター教授 地域連携センター
田中尚宏 熊本県立大学教授
学生相談室
教務委員会
良い授業って何?
学内有志グループ
授業に関する学生の意識調査報告
日本語力・コミュニケーション力を高め
る授業の工夫について
FD研修会
学内有志
教務委員会,学内有志
(出典:FD 活動記録集)
3.3.2 教育改善の取り組み
前節で示した FD 活動は教員の資質向上を目的としたものであるが,それが教育改善にも大きく寄与
している。代表的なものとして,授業モニタリングおよび授業アンケートの実施と改善レポートの発行
が挙げられる(資料3−3−2−1∼4)。これらによって,授業における普段気付きにくい問題点や改善
すべき点を明らかにすることで,次年度の授業および教員自身の教授方法の改善を促している。授業改
善レポートは,改善レポート集として,冊子により図書館で公開されると同時に学内用ホームページに
も公開されている。年度中の授業改善を促すために,平成 18 年度より授業アンケートの実施時期を早
めている。また,授業アンケートにおける評価が一定基準に満たない場合,校長との個別面談が行われ,
必要に応じて改善の指導がなされている。さらに,特に新任教員については一定レベルの質を確保した
教員を育成すべく,教務委員会直轄による研究授業を実施している(資料3−3−2−5)。専攻科学生と
定期的な懇談会を実施することにより,専攻科の教育改善に役立てている(資料3−3−2−6)。
3-41
これ以外で,特に強調したい取り組みとして「新たな教育内容・手法を考える」研究会による活動が
ある。これは学内の有志グループ約 20 名によって構成された研究会であり,研究授業の開催,マイク
ロインサーションといった新たな教育手法についての勉強会,定期試験についての評価の観点や評価に
向けた授業の工夫についてのディスカッション,キャリア教育のあり方についての討議など,多岐に亘
ったテーマを題材に地道な努力を続けている(資料3−3−2−7)。
【評価項目3.3】教育改善
■評価できる
□やや評価できる
□やや改善の必要がある
□改善の必要がある
(意見)
教員の資質向上のために各種委員会からの課題を取り上げた FD 活動を継続的に実施して
いるのは評価できる。また,授業アンケートを年2回,授業モニタリングを年1回実施し,
授業改善レポートにより授業改善の PDCA サイクルを実践しているのは評価できる。
資料3−3−2−1
平成 18年度
授業アンケート実施計画
【
目的 】
授業アンケートは、学生が授業をどのように受け止めているか、授業に対する取り組み、授業が
適切に行われているかを調査することにより、学生の理解度を向上させるため、授業をより充実し
たものに改善するために実施する。
【
対象科目 】
• 特別選択科目を除く、全科目を対象とする。
• 非常勤講師が担当する科目も実施する。
• 複数教官が担当する場合は、それぞれの教官に対して実施するか、科目全体として実施するか
を授業担当教官に調査する。
• 前期、後期で担当教官が異なる場合、それぞれの教官ごとに実施する。
【 実施形態 】
• アンケートは、授業の始め、もしくは終わりの 10 分間を利用して実施する。
• アンケートの実施は各教員で行い、アンケートの回収はクラス委員長が行う。回収したアンケ
ート用紙は、クラス委員長が技術室へ提出する。
• アンケートの電子化作業は技術室へ依頼する。
• アンケート実施期間前に、担任もしくは教務委員会からアンケートの趣旨について学生に説明
する場を設ける。
【
•
•
•
•
実施時期 】
通期授業については、後期中間試験後に行う。
前期科目については、前期末試験後に行う。
後期科目については、後期中間試験後に行う。
実験実習など特定の科目は、学年末試験後に実施してもよい。
【 アンケート項目について 】
• アンケート項目は全科目共通とする。
• どうしても設問に答えられないときは、未記入とする。
【 アンケート集計について 】
• H17 年度と同様に、科目ごと、クラスごと、学科ごと、全体の平均、分布、標準偏差を求める。
• 自由記入用紙は、回収後当該教官に配布する。集計の対象としない。
【 アンケート結果の公開 】
• アンケート実施後、マークシート結果については、10 日以内に科目担当者へ通知する。科目
担当者は、授業中アンケート結果についてのコメントをすること。なお自由記述の結果通知
については多少遅れることがある。
• 授業改善レポートとして、冊子にまとめ、各学科、図書館に配布(学内公開)。
• 学内公開 Web サーバ y-pagein, s-pagein にて公開。
【 授業改善レポートの取り扱いについて 】
• 冊子にまとめ、各学科、図書館に配布(学内公開)。
• 学内公開 Web サーバ y-pagein, s-pagein にて公開。
(出典:教務委員会資料)
3-42
資料3−3−2−2
平成 19 年度授業改善レポートの例
学年
学 科
3年 機械電気工学科
分
野
番号
質問項目
5
Q04
説明方法
データ内訳
4 3 2 1
開講 必・選 単位数 形態
通年 必修
講義
2
回答数の割合
無効 総数
平均
自己点検
0%
25%
50%
75%
100%
22
3
1
0
39 3.4
4
Q…
9
20
4
0
0
39 3.4
4
Q…
2
14 18
3
1
1
39 3.3
4
Q…
3
8
7
0
0
39 3.2
4
Q…
5
0
0
39 3.2
3
Q…
4
4
0
0
39 3.5
4
Q…
3
21
授
2 10 22
業 Q05 板書の方法
方 Q06 教科書・配布資料 4 14 17
法
5
2
Q07
授業に工夫
5
11 16
7
0
0
39 3.4
3
Q…
Q08
実施状況
7
7
22
3
0
0
39 3.5
3
Q…
Q09
先生の熱意
2
8
21
7
1
0
39 3.1
4
Q…
3
1
0
39 3.4
4
Q…
2
2
0
39 3.7
4
Q…
学
習 Q10 質問への対応 7 8 20
支 Q11
問題演習
11 12 12
援
自学
担当教員
7
6
学 Q01 学習の目標
習 Q02 シラバスの説明 6
Q03 授業の進め方
科 目 名
応用情報処理
Q12 科目への興味
1
12 18
5
3
0
39 3.1
3
Q…
Q13 自学自習時間
1
0
6
27
1
38 1.4
3
Q…
3
平均と標準偏差
1
無効
平均
自己点検
5
4
3
2
1
Q01
Q02
授業モニタリング
Q03
Q04
実施: 〔無〕
Q05
Q06
Q07
Q08
Q09
Q10
Q11
Q12
Q13
モニター教員:
担当教官による考察(モニタリングを実施した場合は,その結果もふまえて記入してください)
1.アンケート結果の分析
ほとんどの評価が3以上にはなっているが、特に自学自習時間の少なさについては問題があると思われる。自
分から進んで学習して欲しいところではあるが、毎回の授業で実施する課題については、授業時間内で済むよ
うなペースで進行していったので、このような結果となったのかもしれない。また、各学生が全て自分のパソコン
とソフトを持ってはいないので、自分で学習する方法などを説明・提案するようにした方が良かったのかもしれな
い。また、授業の最初に内容の概略的な説明とシラバスに基づいた評価などの説明を十分に行ったのである
が、その意識がないように思われる。
2.課題設定(自由記述の意見もふまえて)
学生が分かりやすいような授業の進め方の工夫が必要と思われる。ほとんどの内容を演習室のスクリーンで行っているの
で、ある程度はプリントの配布なども必要と思われる。また、理解できない学生の配慮について、もう少し個人的な説明や
補修が必要である。また、自学自習のための課題や学習方法などを用意した方がよい。
3.学生へのメッセージ
授業の内容をしかっり、聞いて理解できない場合はその場で説明を求めるようにした方がよい。
(出典:平成 19 年度授業アンケート改善レポート集)
3-43
資料3−3−2−3
授業モニタリング実施要領
平成17年度
授業モニタリング実施要項
教務委員会
1.方針
(1)授業アンケートとの連携を図る。
(2)モニタリングカード等については、大幅な変更は行わない。
(3)モニタリング期間を長くとり、スケジュールに余裕を持たせる。
(4)モニタリング期間中に研究授業の実施を計画する。
2.実施形態
(1)教員1名について、1回以上のモニタリング実施とする。(複数回のモニタリングを推
奨する)
(2)1回のモニタリングについて、2名以上からモニターしてもらう。
(3)通常のモニタリングの後、授業アンケート及びモニタリングの結果が良好な参考とな
る授業について、研究授業の実施を教務委員会より依頼する。
3.モニタリング担当教員の選定
(1)授業担当者は、1回のモニタリングについて、2名以上のモニター教員を選定し、依
頼する。
(2)その他、任意にモニタリング計画を参照し、モニター希望者は授業担当者にモニター
希望を申し出る。
(3)研究授業については、教務主事の選定により実施する。
4.モニタリング、研究授業の結果と集計
(1)モニタリングについては、教務委員会で集計後、データを学務チェック委員会に提出
する。また、冊子にまとめ開示する。
(2)研究授業については、研究授業の実施報告と参観者の報告について、教務委員会が取
りまとめ、学務チェック委員会へ提出する。また、これを冊子にまとめ開示する。
5.今年度授業モニタリング実施の流れ
(1) データの流れは各学科教務委員経由とする.
(2)授業担当者は、授業アンケートの結果等を踏まえ、あらかじめモニタリングカ
ードに改善点・課題等を記入しておく。
(3)モニター担当教員は、共通項目及び授業担当者の設定した改善点・課題等につ
いて評価する。
(4)モニター後は、授業担当者及びモニター担当教員とで協議する。
(5)モニタリングカードは、協議終了後に各科教務委員へ提出する。
(出典:教務委員会資料)
3-44
資料3−3−2−4
授業モニタリングカード例
(出典:平成 19 年授業モニタリングカード)
3-45
資料3−3−2−5
新任教員への研究授業実施後のミーティング資料
平成 19 年 12 月 19 日
平成 19 年度 教務委員会による授業モニタリング後ミーティング
日 時:平成 19 年 12 月 19 日(木)17:00∼17:40
場 所:5Mゼミ室
参加者:滝、大河内、豊浦、田中(裕) (敬称略)
記 録:田中(裕)
【配布資料】
1.授業研究計画書(滝先生)
2.モニタリングカード(豊浦先生、墨先生、入江先生)
【内 容】
1.本日 12 月 19 日(水)2限、5M教室において、ロボット工学(選択科目)、滝先生の
授業を、大河内先生、豊浦先生、墨先生、入江先生がモニタリングし、上記参加者で
ミ ティングを行 た モニタリングカ ドはコピ し ミ ティング参加者に配布
(出典:教務委員会による授業モニタリング後ミーティング記録の抜粋)
資料3−3−2−6
専攻科学生との懇談会記録メモ
平成19年度
第2回
専攻科
平成20年
学生懇談会議事録
1月26日
学生諸君から要望・意見等を提出してもらい、また学校長を交えた懇談を通して今年
度全体的な点検と専攻科の教育・環境の改善に役立てるために以下のように実施した。
スケジュール:
平成20年 1月 22日 (火) 4限(16:30∼17:30)多目的室
参加者:専攻科 1年次、2年次学生 全員
学校長、教務主事、専攻科担任、専攻科長補佐、専攻科長
1.専攻科長開式宣言
2.学校長挨拶
3.教務主事挨拶
4.懇談
主なテーマは以下のとおりである.
*学生の学習状況について、学生との懇談
1)1年間の授業を振り返って
・ 授業への取り組み
・ 選択した科目の受講状況
・ 科目の履修などで困っている点等
2)特別研究について
・ 特別研究の配属について
・ 研究を実施していく上での疑問点
・ その他
3)自学学習の状況など
学生からの意見
・特別研究は自主的に計画し進行させないといけないので充実感がある.
(出典:平成 19 年専科学生攻懇談会議事録の抜粋)
3-46
資料3−3−2−7
第一回「新たな教育内容・手法を考える」研究会配布資料
2007/03/15
第一回「新たな教育内容・手法を考える研究会」資料
1.教育の三本柱
下の図に示すように,教育は「内容」,「方法」,「評価」の三本柱から成り立っている。
これまで,教育内容については,長い時間を掛けて体系化されてきた。また,近年の社会
的な要請から,教育内容にたいする質の保証と,教育の成果に対する評価が求められるよ
うになった。一方,教育の方法については,現在様々な手法が考案され実践されている。
しかしながら,本校の教育にそれらの実践を取り入れる環境が十分整っているとは言いが
たい。
内容
方法
評価
教育
図
教育の三本柱
2.本研究会の目的
・既存の授業に新たな教育方法を取り入れ本学の教育力向上を目指す。
・新たな教育方法についての情報収集・交換の場を提供する。
・新たな教育方法を各参加者の研究分野に応用する。
・本校の教育システムに対して新たな教育方法を提言する。
・参加者の教育実践から得られた知見を相互に共有する。
3.教育に関するキーワード
メディアリテラシー,リメディアル教育,技術者倫理教育,情報基礎教育,e ポートフ
ォ リ オ , イ ン ス ト ラ ク シ ョ ナ ル ・ デ ザ イ ン (ID) , Problem-Based Learning (PBL) ,
ubiquitous-Learning (u-Learning),mobile-Learning (m-Learning),e-Learning,キャ
リア教育,環境教育,知的財産教育,科学技術ガバナンス,コンピテンシー(行動特性),
マイクロ・インサーション,メタ認知,英文多読,科学・技術文章の書き方
(出典:第一回「新たな教育内容・手法を考える研究会」資料)
3-47
3.4 管理運営組織・システム
平成 17 年度までの運営組織では,システム内での企画・点検の委員会と全体の企画・点検を担う運
営委員会と自己点検評価委員会との役割が不明確になるなどの問題点があった。これらの体制をスリム
化し,より効果的なものとするため,運営組織体制および各委員会の組織構成を大幅に見直し,平成 18
年度より資料3−4−1に示す新組織体制に移行した。この新組織体制における主な変更点は次のとおり
である。
・学校運営に関する基本方針作りや将来計画立案のために,校長の下に総合企画委員会を置いた。
・従来の運営委員会(企画)を,総合企画委員会と連絡協議会に分けて役割分担を行った。
・総合企画委員会および連絡協議会は必要に応じて教員会を招集する。
・各委員会の機能を検討し,審議事項や人員の重複を洗い出し,委員会の数を減らすことで,教職員の
負担を軽減するとともに,各 PDCA の独立性を高めた。
・6つのサブシステムごとに統括する委員会を中心に,関連する各委員会をシステムに含めて,役割・
位置づけを明確にした。
・6つのサブシステムの統括委員会委員長を総合企画委員会の委員である各主事,地域連携センター長
および事務部長とした。
・6つのサブシステム以外に,学校組織が遵守すべき法令や倫理規定に対する体制の整備と維持管理を
行うために,コンプライアンス体制を整備した。
・システムの運用を点検するために,自己点検評価委員会と総合企画委員会のメンバーが重複しないよ
うに配慮した。
資料3−4−1
平成 18 年度からの八代高専の管理運営体制
(出典:連絡協議会資料)
この組織変更により,PDCA サイクルによる企画,実施,点検,改善の役割や関係が明確になった。平
成 18 年度より,各種委員会・センターなどで設定した課題・活動目標を総合企画委員会において確認
し,年度末にその成果を点検するようになっている(資料3−4−2)。具体的な改善の事例として,
成績資料の整理と保管についての精確性・妥当性を確認するための作業要領の見直し(平成 19 年度よ
り),学校保健法に基づく学生の健康診断のあり方についての見直し(平成 20 年度より),学校として
の弾力的な予算配分を可能とするための新予算配分方式の導入(平成 19 年度より)をはじめ,種々の
ものが実行されている(資料3−4−3∼5)
。
3-48
なお,平成 20 年度からは資料2−2−1−1に示す管理運営体制に移行している。
【評価項目3.4】管理運営組織・システム
■評価できる
□やや評価できる
□やや改善の必要がある
□改善の必要がある
(意見)
平成18年度よりPDCAサイクルによる企画,実施,点検,改善の役割や関係が明確になった
新組織体制で運用して,各種委員会から具体的な改善事例も見られるのは評価できる。
資料3−4−2
平成 19 年度の課題と対応計画についての点検結果(一部抜粋)
]
(出典:総合企画委員会資料 2008.03.06)
3-49
資料3−4−3
平成19年度成績資料保管要領
平成 19 年 11 月 6 日
平成19年度
成績資料
保管要領
教務委員会
JABEE 受審、認証評価を経て、今後の成績資料保管にかかる手間をできる限り軽減するべく、
教務委員会で協議した結果、平成 19 年度 成績資料保管要領を、全教員が成績入力締め切り
前までに、無理せず確実に保管を完了できる方法に修正したいと思います。
主な修正点は以下の通りです。
【1】成績資料の並べ方は、定期試験毎に、出席番号順に並べて、時系列で、新しいものを
上に重ねる方法とします。
【2】保管する資料を、成績に組み入れられているものに絞る(問題、模範解答、答案、レ
ポートおよび小テスト(ほぼ毎回実施等のため、取り扱いが煩雑で、総合成績における
割合が 1 割未満ものについては1例あればよい))。
【3】成績一覧表は、各自の書式で、
(出席番号順)と(高点順)の2種類を作成し、分かり
やすい算出式を明記してはさむ。従来のヒストグラム等は廃止する。
【4】相互点検教員は、総合成績の算出方法を確認する。
(出典:教務委員会資料)
資料3−4−4
学校保健法に基づく学生の健康診断のあり方についての見直し
7.H19 厚生補導研究会(8/30 実施) 今後方針 (校長との連絡会 9/19 で了承)
(1) 学校保健法に基づく健康診断について
(本件の検討から浮き上がった問題点)
保健室では、従来のケガ・病気への対応に加え、昨今は相談室関連及び進路支援
室の窓口・調整の業務も加わり、業務量が増大してきている。
→ 年間を通して、保健室業務の安全・確実な実施に対して、何らかの対応が必要。
今後の方針
○労務及び安全危機管理の面で、保健室業務に何らかの労務負担の軽減策を講じ
て、予防的対応や緊急的事項に余裕をもって対応可能な体制改善が望ましい(校
長)
。
○学校保健法による健康診断は、年度当初の混雑期を避けて、4月中旬以降で実施。
これにより、健康診断の日数短縮も可能(進路学年と下級生の診断を別に行った
ものが、同日実施可能になる)。
○進路に関わる健康診断証明書は、すべて、学生自らが外部の医療機関を利用して
準備する。近隣の3学校医では、料金 1,050 円の見込み。
(出典:学生委員会通信 No.7(教員会資料,2007 9/25))
3-50
資料3−4−5
予算配分検討に関する資料
(5)平成18年度予算配分新規事項について
総務課長から,配付資料№5に基づき,平成18年度新規事項等について説明があり,各
学科・委員会に照会を行っていた本年度の新規事業の予算措置の優先順位について諮られ,
審議の結果,原案どおり了承された。
また,予算決定のプロセスについて,フロー図に基づき説明があり,次年度以降はこれに
より,審議,決定を行うことで了承された。
なお,新規事業については,本会の承認後,財務マネジメント委員会に諮り,連絡協議会
で最終決定を行う予定である旨補足説明があった。
次いで校長から,学校としての予算の弾力的な運用ができるよう,本年度中に配分案の見
直し・検討を行うWGを設置したい旨諮られ,審議の結果了承された。
なお,メンバーについては,今後,検討を行っていくこととなった。
(出典:平成 18 年度第3回総合企画委員会議事要録)
(5)新しい予算配分方式(予算配分基本方針)について ∼【「財務について」の改定】∼
委員長(予算配分検討WG座長)から,追加資料に基づき,予算配分上の課題、改善策に
ついて説明があり,次いで校長から,これらを踏まえた「財務について」の改正について諮
られ、審議の結果、原案どおり了承された。
次いで、委員から、委員会毎の経費が明確でない現状を踏まえ、委員会毎の経費の配分の可
否について意見があり、審議の結果、今後財務マネジメント委員会等で検討を行っていくこと
となった。
(出典:平成 18 年度第8回総合企画委員会議事要録)
平成19年1月16日
校
長
裁
定
予算配分基本方針
1.基本方針
学校教育法に定める高専の目的、高等専門学校設置基準に定める目標、さらには学則に定める理念を念
頭に置き、本校における「中期目標・中期計画」を達成するための特色ある事業展開が可能となるよう、
予算配分の基本方針を定める。また、予算配分に当たっては、以下の諸点に配慮するものとする。
(1) 「学生中心主義」を考慮した予算配分(高専の活性化及び学生の教育環境充実のための資源確保)
(2) 「選択と集中」を考慮した予算配分(校長のリーダーシップの確立)
(3) 「分かりやすさ」を考慮した予算配分(教育・研究の推進にリンクした重点的かつ柔軟な予算配分の
実現)
2.予算区分及び積算・配分方針
本校における予算を以下のとおり区分し、定義する。
(1) 教育研究経費
本校の業務として学生等に対して行われる教育に要する経費及び本校の業務として行われる研究に要
する経費。
① 教育研究基盤経費
学科を維持していく上での必要経費(基礎代謝量)で、以下の積算により当該学科へ配分。
a.教員数による積算
[算式]教員現員数×配分単価
配分単価…当該年度の予算編成状況に応じて 300,000 円∼400,000 円の範囲内で決定する。
なお、配分額には旅費の積算(@50,000 円)も含むものとするが、執行上の金額的制約は設
けないものとする。
b.学生数等による積算
[算式]学生定員×配分単価
学生定員…一般科、専門学科とも 160 人とする。
配分単価…本科分は 20,000 円、専攻科分は 150,000 円とする。
c 通信費の積算
(出典:予算配分基本方針)
3-51
3.5
研究活動
3.5.1
研究活動の状況
平成14年度(2002年度)からの過去5年間にわたる本校教員による研究活動の状況として,研究論文
などへの発表数についてまとめた結果を示す。本節では,研究発表数に関するデ−タを表および図で示
し,次節で分析内容を説明する。
資料3−5−1−1は学科ごとに集計した研究発表数であり,資料3−5−1−2は,職種,年代お
よび学科の区分別に集計した研究発表数の平均値である。資料3−5−1−3は,学科ごとに,職種お
よび年代別に集計した研究発表数の平均値を示している。資料3−5−1−4は,学科,職種,年代別
の平均発表数を図示したものである。
資料3−5−1−1
研究発表数の集計(2002年度∼2006年度)
学術
論文
著書
→その
うち教
育関連
論文
国際
会議
発表
研究
紀要
学会講
演論文
集
学科
人数
G
18
4
23
3
37
11
20
M
17
1
36
14
26
33
E
16
0
32
8
13
30
C
16
5
76
2
29
B
11
1
27
0
総計
11
194
平均
最大
0.14
3
2.49
14
→そのう
ち教育関
連講演論
文集
解説
・
総説
特許
その他
1
7
0
0
50
8
2
3
9
56
15
0
3
10
24
147
11
9
2
28
8
6
52
1
0
5
3
27
113
104
325
42
11
13
51
0.35
5
1.45
7
1.33
9
4.17
25
0.54
12
0.14
4
0.17
5
0.65
13
(出典:自己点検評価委員会において作成)
資料3−5−1−2
研究発表数の平均の区分別集計(2002年度∼2006年度)
区分
人数
教授
准教授
講師
助教
50 歳以上
40∼49 歳
39 歳以下
26
33
9
10
29
18
31
0.04
0.27
0.11
0
0.07
0.11
0.23
2.69
2.52
1.78
2.5
2.66
2.22
2.48
→その
うち教
育関連
論文
0.35
0.39
0
0.5
0.28
0.17
0.52
G科
M科
E科
C科
B科
18
17
16
16
11
0.22
0.06
0
1.25
0.09
1.28
2.12
2
4.75
2.45
1
0.82
0.5
1
0
著書
学術
論文
1.27
1.61
2.22
0.78
1.14
1.94
1.45
1.04
1.18
1.78
2.2
1
0.83
1.94
4.92
3.61
3.11
5
5.31
3.06
3.74
→そのう
ち教育関
連講演論
文集
0.46
0.55
0
1.2
0.55
0.17
0.74
2.06
1.63
0.81
2.64
0.43
0.61
1.94
1.88
3
0.55
1.11
2.94
3.5
9.8
4.73
0.39
0.47
0.94
1.83
0.09
研究
紀要
国際
会議
発表
学会講
演論文
集
解説
・
総説
特許
その他
0.15
0.15
0
0.2
0.17
0
0.19
0.12
0.24
0
0.2
0.1
0.33
0.13
0.35
0.82
0.33
1.2
0.83
0.44
0.61
0
0.12
0
3
0
0
0.18
0.19
1
0.45
0.06
0.53
0.63
3.5
0.27
(出典:自己点検評価委員会において作成)
3-52
資料3−5−1−3
研究発表数の平均の学科別集計(2002年度∼2006年度)
G科
M科
E科
C科
B科
→その
うち教
育関連
論文
学術
論文
研究
紀要
国際
会議
発表
学会講
演論文
集
→そのう
ち教育関
連講演論
文集
解説
・
総説
特許
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0.17
0.8
0
0
0
0
0
0
0
0.38
0
0
0.13
0
0
0
0
0.33
0
0
1
0
4.5
0.33
0
0
0
区分
人数
著書
教授
7
0.14
1.43
0.29
2.29
0.14
0.86
0.57
准教授
5
0.6
1
0.2
1
0
0.6
0.6
講師
6
0
1.33
0
2.67
1.67
1.83
50 歳以上
5
0.2
1.4
0.2
2
0.2
1
40∼49 歳
5
0
1.4
0.2
2.2
0
0.2
39 歳以下
8
0.38
1.13
0.13
2
1.25
1.75
教授
6
0
1.5
0.83
0.83
0.67
1.33
0.33
准教授
9
0.11
3
1
2
3
3.33
0.67
助教
2
0
0
0
1.5
1
6
50 歳以上
6
0
1.5
0.83
0.83
0.67
1.33
40∼49 歳
3
0
1.33
0
3.33
3.67
2.67
0
0
0.33
0
39 歳以下
8
0.13
2.88
1.13
1.38
2.25
4.25
0.75
0.25
0.25
1.13
教授
4
0
3.5
0
0.75
1.75
3.75
0.5
0
0.5
0.5
准教授
8
0
0.88
0.38
1.25
1
2.25
0.13
0
0
0.88
助教
4
0
2.75
1.25
0
3.75
5.75
3
0
0.25
0.25
50 歳以上
6
0
2.33
0
0.5
1.5
2.83
0.33
0
0.33
0.33
40∼49 歳
4
0
1
0.5
1
0.25
2.5
0
0
0
1.75
39 歳以下
6
0
2.33
1
1
3.33
4.83
2.17
0
0.17
0.17
教授
6
0
4.67
0.33
1.5
2.5
11.83
0.5
0.67
0.17
1.17
准教授
7
0.57
4.57
0
2
0.57
7.86
1.14
0.71
0
2.86
講師
1
1
4
0
2
0
8
0
0
0
1
助教
2
0
6
0
2
2.5
6.5
0
0
0.5
0
50 歳以上
8
0.13
4.63
0.25
1.75
1.88
11.88
0.88
0.63
0.13
2.75
40∼49 歳
3
0.33
5.33
0
1.67
1
8
1
0
0
0
39 歳以下
5
0.6
4.6
0
2
1.2
5.6
0.2
0.8
0.2
1.2
教授
3
0
3
0
0
0
9.33
0.33
0
0
0
准教授
4
0.25
3
0
1.5
0
3.25
0
0
1.25
0
講師
2
0
2
0
1
3
4.5
0
0
0
0.5
助教
2
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
50 歳以上
4
0
2.5
0
0.25
0
7.25
0.25
0
0
0
40∼49 歳
3
0.33
3
0
1.67
0
4
0
0
1.67
0.33
39 歳以下
4
0
2
0
0.5
1.5
2.75
0
0
0
0.5
(出典:自己点検評価委員会において作成)
3-53
資料3−5−1−4
平均発表数
学科別
職種別
年代別
(出典:自己点検評価委員会において作成)
3-54
3.5.2
研究活動の分析
(1)一般科
[研究発表数]
研究発表数については,本校の教員一人当たり5年間で学術論文数1,学会講演論文数5を目標とし
ている。
一般科全体でみてみると,学術論文数は平均 1.28 件であり,研究紀要数は平均 2.06 件,国際会議発
表数は平均 0.61 件で,学会講演論文数は,平均 1.11 件となっている(資料3−5−1−2)。研究発表
数の目標に照らしてみると,学術論文数では9名が目標以上で9名が目標以下である。学会講演論文数
では,2名が目標を達成しているものの,16 名は目標数以下となっている。授業時数,部活動指導など
教育活動での負担が専門学科と比して若干多いものの,口頭発表数0が 13 名あり,学術論文,口頭発
表ともに改善が望まれる。
[研究内容等]
一般科教員の研究活動において,企業などとの共同研究に類するものは今のところない。
一般科教員が行っている教育に関する研究については,小中学校との連携による理科教育支援や,教
育方法の検討・改善,技術者倫理教育など,教育実践に基づいた研究がなされている。また,
「知・徳・
体の調和した∼」という教育目標と関わる学生の身体能力などに関する研究も行われている。
・身体組成及び体力等に関する測定結果(国際比較含む)
・小中学校との連携による理科教育支援について
・地域貢献活動(学校開放事業)の実践と効果について
・HR活動の基本プランについて
・授業実践に基づいた教育方法について
¾
スピーチコミュニケーション
¾
数学
¾
英語教育
・技術者倫理教育について
(2)機械電気工学科
[研究発表数]
学術論文数について,学科平均としては 2.12 件で,5年間で約2件程度の論文発表実績がある。5
年間で9件の教員が1名おり,学科全体の 25%に相当している。研究紀要数は,平均 1.63 件であるが,
1名の教員が7件と多くの実績を残している。国際会議発表数は,平均 1.94 件であるが,職種で分別
すると准教授の実績に偏っている。学会講演論文数は,平均 2.94 件で,職種別では助教6件,准教授
3.33 件,教授 1.33 件と職位が上がるごとに減少しており,校務の負担,責任の増加が大きく影響して
いると思われる。2名の教員が3件の特許申請を行っている実績がある(資料3−5−1−1・2)。
所属教員を発表数の目安としている5年間で学術論文数1,学会講演論文数5に照らしてみると,学
術論文については3名が目安に達しておらず,学会講演論文数については4名しか目安をクリアしてお
らず,6名は1件以下である。
3-55
所属教員の研究活動の実績を大まかに判断するものとして,著書,学術論文,研究紀要,国際会議発
表,学会講演論文,解説・総説,特許,その他の各項目の件数を合計したもので見てみると,平均が 9.71
件に対して,平均以上の実績を残している教員は7名,逆に平均の半分以下である4件を下回っている
教員も3名おり,今後の改善が望まれる。
[研究内容等]
機械電気工学科における研究の特徴として以下のようなことが考えられる。
超伝導薄膜の生成プロセスに関する一連の研究については,学術論文で最大の9件発表実績があり,
実用化を含めて今後の研究の進展が期待される。
また国際会議においてそれぞれ8件の発表がある,太陽光発電システムに関する一連の研究と爆発成
形法に関する一連の研究は顕著な成果を上げていると考えられる。
さらに,30 周年記念事業を契機として学校全体でプロジェクト的に進められている環不知火海関連の
研究では,特に GPS 搭載漂流ブイを用いた八代海の潮流観測システムの開発で成果を上げており,特許
の申請につながっている。
ものづくりに関連した教育論文も数多く発表されており,学科で行っている教育を上手く研究に結び
つけているものとして,その成果が現れている。
[企業等との共同研究]
機械電気工学科教員による企業などとの共同研究は4名の教員に以下に挙げる実績があり,自己の専
門分野における研鑽と学生への研究,教育指導の改善へとつながっている。
・ Superconductivity of YBCO/(Sr,Ca)-Cu-O/YBCO system
・ スパッタリングによる MgB2 薄膜の作製と2段階アニーリング効果
・ Two-step in situ annealing effects on sputter-deposited MgB2 thin films
・ Superconducting properties of two-step in situ annealed MgB2 thin films
・ In-situ annealing effects on MgB2 thin films fabricated by electron beam deposition
・ Fabrication of MgB2 thin films by electron beam evaporation technique
・ Enhancement of Jc of MgB2 thin films by introduction of oxygen during deposition
・ GPS 搭載漂流ブイを用いた八代海の潮流観測システムの開発
・ Classification of Singular Configurations for 7-DOF Manipulators with Kinematic Redundancy
・ ガス離散化モデルを用いた液体水素中における液柱分離現象の解析
・ 極低温流体用キャビテーション実験装置の製作
・ 液体窒素用圧送用ポンプのキャビテーション性能
・ 液体窒素用キャビテーション実験装置の製作とその性能
・ S-R-S マニピュレータの特異姿勢通過特性
・ ABU Robocon Report
・ ロボットコンテストにおける日本機械学会活用法
[教育に関する研究]
機械電気工学科教員による教育に関する研究実績は以下に挙げられる通りで,内容としては実際の授
業や実験・実習に基づく改善事例,特にものづくりに関連したものが多くみられる。
・ 工業高専専攻科における技術倫理教育の試み
3-56
・ ファイアウォールシステムの構築とその実際
・
・
ものづくり
を身に付けさせるための導入教育
機械系学生に対する実体験型電気電子回路授業の試み−プロトボードを利用した回路授業及び実
験の改善−
・ 視覚的に弾性力学を理解するための有限要素解析の授業実践
・ MindStorms を利用した学生実験の実践
・ 定期試験における CBT の適用とその効果
・ 情報処理教科の定期試験における CBT の適用とその評価
・ 機械電気工作実習の内容改善の取り組み
・ 学寮無線 LAN の設置と運用
・ ものつくり教育としてのライントレースロボットの制作実習と学生の評価
・ ロボットコンテスト出場用ロボット「e-SAURUS」の製作
・ MATLAB や Excel を使った有限要素解析入門−基礎科目のつながりと適用力育成を意識して−
・ 体験的化学実験装置による青少年の科学的好奇心の育成
(3)情報電子工学科
[研究発表数]
学術論文数は5年間の総数が 32 件で,教員1名に対して5年間の平均は2件である。最大数6件が
1名,5件が1名,4件が1名で教授,助教の発表が多い傾向にある。5年間で1編という目標は平均
では達成している。研究紀要数は5年間の総数が 13 件と少ないが,2006 年度には増加している。国際
会議発表数は総数 30 件である。教員1名当たりの5年間の平均は 1.88 件である。毎年5∼7件の発表
が行われており,助教の発表数が多い。学会講演論文数は総数 56 件である。最大数 12 件の発表で,教
員1名当たりの年平均は 3.5 件である(資料3−5−1−1・2)。この数は目標に達していない。
学術論文,学会講演論文ともに目標に達していない教員が見受けられるので,改善が望まれる。
[研究内容等]
情報電子工学科の研究の特徴をまとめると以下のようになる。
学術論文6件,国際会議発表2件,学会講演論文6件行われている研究は,電力系統連系時の MHD 発
電機の過渡制御に関するもので,高効率発電制御に向けた理論的な解析研究が行われている。
実験研究としては,超伝導デバイス応用のための物性を中心とした基礎的な実験研究が上げられる。
ナノレベルに制御された超伝導薄膜の積層構造化に関する物性の実験的研究が行われており,薄膜作成
用の実験装置は整備されている。
e―Learning に関する研究では,コンテンツ作成ソフトウェアの開発とその有用性の評価について活
発な研究が行われており,教育への活用が期待される。また,平成 19 年度から平成 21 年度にかけて,
実践的技術者育成を目的とした現代 GP への取り組みを行っている。この取り組みでは,中学生を対象
としたプログラミングコンテストに本学科学生が企画・運営に参画することで,コミュニケーション能
力を育成するものである。
[企業等との共同研究]
企業などとの共同研究であると同時に教育分野に関連したロボット製作の研究発表が2件行われて
3-57
いる。
・亀蛇のロボット開発とモノづくり教育―創立 30 周年記念事業ガメロボット製作―
・エンターテイメントロボットをモチーフとしたものつくり教育と地域連携−お祭りの出し物(亀蛇,
俗称ガメ)ロボットの製作−
[教育に関する研究]
特徴として,情報通信,e-Learning 関係の発表が多い傾向にある。
・八代高専における学内ネットワークのギガビット化と VLAN を用いたセキュリティー向上について
・八代高専の VID システムとコムガードによる PC 環境の保護
・演習室 PC による並列計算環境の実現と教育への利用
・オンライン授業コンテンツ作成のためのオーサリングソフトウェア
・操作の簡略化を志向した e-Learning コンテンツ作成ソフトウェアの開発
・ストリーミング技術を用いたオンライン授業の教育効果
・遠隔授業コンテンツ作成のためのオーサリングソフトウェアの開発
・遠隔授業コンテンツ作成支援のためのソフトウェア開発と機能拡張
・ストリーミング技術を用いたレーザ工学の遠隔授業
・レーザ工学におけるオンライン授業の効果
・e-Learning コンテンツの開発効率の向上と質的向上を志向したソフトウェアの開発
・教員に対する e-Learning 研修の実施と課題について
・e-Learning コンテンツ作成用ソフトウェアの開発
・高専における中学校技術科教員研修の実施に関する一考察
・携帯メディアプレイヤーを用いたポッドキャスティングによる m-Learning の展開と学習コンテンツ
に関する検討
・ポッドキャスティングを利用した m-Learning の展開に関する研究
(4)土木建築工学科
[研究発表数]
学術論文数は,学科平均 4.75 件で,5年間に 14 件が1名,8件と9件が1名ずつ,7件が2名とな
っている。職種・年代の別で大きな差は見られず,平均すると,1年に約1件の割合で研究発表が行わ
れており,5年間で最低1件の基準に対して十分な発表数といえる。研究紀要数は,平均 2.64 件で,
これも職種・年代の別なく平均的に,2年に約1件の割合である。国際会議発表数は,平均3件で,職
種では教授と助教,50 歳以上で多くなっている。学会講演論文数は,平均 9.8 件で,最大 25 件の1名
のほか 10 件以上発表している教員が5名おり,学術論文数と口頭発表を合せて,活発に研究発表が行
われているといえる(資料3−5−1−2)。
発表数の目安である,5年間で学術論文数1,学会講演論文数5に照らしてみると,学術論文は全員
が目標以上で,学会講演論文数では,12 名が目標以上で4名が目標数以下となっている。発表数0が1
名あり,口頭発表の改善が望まれる。
[研究内容等]
研究内容などの特徴に関しては以下のようになる。
3-58
まず,上記の学術論文発表数 14 件にも及ぶ研究は,コンクリ−トや岩質材料の破壊実験などを通じ
ての破壊挙動解明や亀裂制御などに関するものであり,民間企業との共同研究も実施されており,研究
成果の一部は杭頭処理工法と簡易装薬ホルダ−に関する特許申請につながっている。着実に成果を上げ
ている研究分野であり,さらに推進すべきプロジェクトの中心となる可能性が高い。
口頭発表数 25 件の研究は,人工衛星画像を用いての都市環境に関する一連の研究であり,地域の環
境に資する意味でプロジェクトの芽を含んでいる。
パルプスラッジ焼却灰の混和材利用に関する一連の研究は民間企業と NPO 法人を立ち上げて取り組ま
れており,研究体制として注目される。この分野も材料開発という意味で進展の可能性が高いと考えら
れる。
一方,学校全体で学科の枠を越えて実施されている「環不知火海の環境モニタリングに関する研究」
の中で,「八代海の潮流に関する研究」では漂流ブイの特許申請につながるなど成果が徐々に上がって
きている。この分野もさらに一段階ステップアップしたプロジェクトへの進展が期待される。
また,各種の機関,団体,地域住民などとの建築に関するワ−クショップなどが学生の教育とも連動
させて活発に行われており,現代 GP 採用に結びつくなど成果を上げている。地域のまちづくりなどさ
らなる進展が期待される分野といえる。
以上のように,土木建築工学科で行われている研究活動は,今後さらなる発展や成果が期待される分
野をいくつも含んでおり,本校が今後重点的に取り組むべきプロジェクト的な研究を考えていく上で可
能性の高い複数の分野と考えられる。
[企業等との共同研究]
土木建築工学科教員による企業などとの共同研究は概略以下のようなものが行われており,別紙リス
トのような研究発表につながっている。
・コンクリ−トなどの爆破に伴う破壊挙動解明や亀裂制御など,民間企業との一連の共同研究
・八代地域の地下水に関する研究(八代市と関係)
・住宅壁材の吸放湿性能に関する研究(民間企業から材料提供)
・地震工学関係研究者(含む民間企業)による液状化の一斉解析
・パルプスラッジ焼却灰の混和材利用に関する一連の研究(民間企業と組んだ NPO 法人)
・各種の機関,団体と共同しての建築に関わるワ−クショップなどの一連の活動
・建築の施設計画に関する一連の研究(民間企業と関係)
・石炭灰の地盤材料への応用に関する研究
・多数の建築関係者との共同著作
・バス路線に関する研究(バス会社と関連)
・フレア型護岸に関する一連の研究(民間企業との共同研究)
・八代海の潮流に関する研究(他学科との共同研究)
[教育に関する研究]
土木建築工学科教員が行っている教育に関する研究発表は概ね他学科との共同研究の形態となって
おり,概略の内容は以下のようなものである。
・「総合教育プログラム」について
・技術者倫理教育について
3-59
・HR 活動の基本プランについて
・小中学校との教育連携について
・専攻科共通科目「工業基礎計測」の取組み
・ロボット開発とモノづくり教育
・公園ワ−クショップを事例としたクラブ活動における地域実践教育
・体験型学習によるバリアフリ−教育
(5)生物工学科
[研究発表数]
学術論文数は 27 件で,生物工学科人員を 11 人とした場合,1人当たり 2.45 件の論文数となり,職
種によるばらつきは見られるが目標値である論文数 1 はクリアしている。研究紀要数の平均は 0.43 件,
国際会議発表数の平均は 0.55 件と若干低めで,発表者に偏りが見られる。また学会講演論文数は 52 件
で1人当たり 4.73 件であり,学科目標値が 55 件であるのに対し,95 %程度の達成率となっている。
目標値である5件をクリアしている者は4名であり,発表者に偏りが大きい。研究紀要および国際会議
発表数を含め今後の改善が望まれる。特許に関しては5年間で5件取得している (資料3−5−1−
1・2)。
[研究内容等]
生物工学科の研究内容などの特徴に関しては以下のようになる。
本学科で行われている研究は,スッポンやナルトビエイからの機能性物質の抽出,両生類の胚を用い
た分化の分子生物学的アプローチ,八代特産のイ草やトマト利用に関しての研究,シクロデキストリン
やアルギン酸ゲルの効果的な利用など,広いバイオテクノロジー分野の中でも多岐にわたっており,近
年では廃棄物,特にバイオマスの再利用,機能性物質の開発に力を入れている。また機能性物質や医薬
品関係での特許申請件数も多い。近年では技術相談から共同研究に発展するケースも多々あり,以下に
その例を挙げる。
[企業等との共同研究]
企業などとの共同研究では,単独の教員と企業,学科内教員複数名と企業,他学科の教員と企業と様々
な形態が見られる。研究内容は各教員の専門知識を活用したものが多いが,地域からの技術相談を受け
て行われた研究などもある。
・高温炭粉を原料にした機能性ボードおよびシートの開発
・竹酢液の殺菌効果
・再利用生物資源と光触媒とのハイブリッドリサイクル材の試作
・XRD-DSC 同時測定によるジメチルβシクロデキストリン溶解乾燥物の発熱特性の解析
・リサイクルガラスを用いた海藻養殖基材の試作
・プレドニゾロン-シクロデキストリン結合体の調製とその薬物放出挙動
・安定なビタミン剤
・医薬用錠剤
・リンゴ酸高生産酵母のエチルアルコール生産能の改善
・海洋微生物由来ポルフィラン分解酵素の精製及びその特徴
3-60
・アンスロンー硫酸試薬を用いた紅藻 Galactan 中の 3,6-Anhydrogalactose の簡易定量法
・ナルトビエイ体壁からのコンドロイチン硫酸の精製
[教育に関する研究]
生物工学科での教育に関する研究論文数は0件となっているが,留学生の課題研究と企業との関わり
に関しての学会講演が1件行われている他,学科内の教員が共同して行った地域への授業支援に関する
教育研究報告が2件行われている。また SPP(サイエンス・パートナーシップ・プログラム)の一環と
して八代地区地域中学生対象の理科実験を実施したり,出張実験を行うなど中等教育支援にも力を入れ
ている。
・八代高専における地域連携(科学技術教育支援)の取り組み
【評価項目3.5】研究活動
□評価できる
■やや評価できる
□やや改善の必要がある
□改善の必要がある
(意見)
研究発表数, 研究内容等,企業などとの共同研究および教育に関する研究の観点から評価
する。研究発表数は目標に達していない教員は改善の努力が望まれる。研究内容については
各分野で多様な研究課題に対応しているは評価できる。企業などとの共同研究については,
教員の持つ専門知識を活用した共同研究が多く,単独の教員と企業,複数の教員と企業で実
施される形態が見られ企業の要望に応えており評価できる。教育に関する研究については,
本校の教育プログラムや教育設備の改善,実際の授業,実験・実習に関する改善事例の報告
など多数報告されており評価できる。
3-61
3.6
地域連携活動
本校では,「科学技術による地域社会への貢献」を「理念」のひとつとして定め,平成12年より,こ
れらを実現する組織として「地域連携センター」を設けた。地域連携センターでは,この「理念」を実
現するため,a)産業界,b)教育界,c)地域社会向けの3つ連携を柱に,研究・教育両面での総合的な活
動を展開してきた。その実績などについては,すでに第2部の2.1.4を中心に示したが,ここでは,
それ以外の特記事項について示す。
まず,組織については,平成 18 年度の本校の独立行政法人化に合わせて,組織改革・規則改正など
を行った。具体的には,連携活動の強化を図るため,学校組織に「地域連携システム」(資料3−4−
1)を定め,地域連携センターを中心に「知的財産委員会」
「情報処理センター」
「広報室」
「技術室」
「事
務部(研究協力係)」などが緊密に連携するかたちとした。また,センター組織・規則も改め,
「企画室」
を中心に「技術開発部門」
「教育連携部門」
「社会交流部門」の3部門が効率的に活動できる体制(資料
3―6―1・2)とした。さらに平成 19 年度には,近隣からの要望に応え,
「建設技術材料試験所」を
設置して,ISO 認定・新 JIS 対応のコンクリート試験が可能な体制とした。
なお,これらの地域連携活動の内容や支援情報を広く紹介するため,概要への記載(資料3―6―3)
を含め,産業界向けの「地域連携センター(技術開発支援)」(資料3―6―1−1),および教育界・
地域社会向けの「地域連携センター(科学技術教育支援)
」
(資料3―6―2−1)などを刷新して,連
携「窓口」としての役割強化も図った。
3-62
資料3−6−1
(出典:地域連携センター規則(抜粋) 平成 18 年 4 月 1 日改正)
資料3―6―2
八代高専 地域連携センター
センター長
地域連携センター委員会
企画室 (事業の企画・立案・調整)
技術開発部門 (産業界との連携)
(学科・専攻)
一般科
機械電気工学科
情報電子工学科
土木建築工学科
生物工学科
専攻科
情報処理センター
図書館
教育連携部門 (教育界との連携)
社会交流部門 (市や団体との連携)
技術室
実習工場
建設技術材料試験所
研究協力係 (事務部)
地域連携センターは、
H12年度に設立され、
本校教職員の研究や
専門教育等の力を、
地域の産業界や住民
の方々に、有効に生か
してもらうための窓口
として活動しています。
(出典:地域連携センターの組織体制:平成 19 年度)
3-63
資料3―6―3
(出典:八代高専概要 2007 p34:地域連携センター)
3-64
3.6.1
技術開発(産業界向け)の取り組み
地域企業との共同研究・受託研究などの推進,技術開発支援および人材育成事業などを担当している
「技術開発部門」では,従来から「八代市」や「八代市工業振興協議会」との連携を中心に,近隣企業
の技術者向けの「新技術セミナー」や「講習会」など(資料3―6―1−2)を実施して,研究・開発
面での関係強化をめざしてきた。平成17年度から,文部科学省「産学官連携コーディネータ」が,鹿児
島高専および熊本大学に配置されたことを受け,科学技術支援機構の「シーズ発掘試験」への応募や,
「MOT講座」の実施などで連携を図り,教員の研究活動支援をめざした。平成18年度には,企業向け「地
域連携センターパンフレット」を改訂して,
「スタッフ紹介ページ」
(資料3―6―1−1)を入れ,教
員各人の研究内容・専門分野などを紹介しやすくして,企業からの技術相談などに活用している。これ
らの努力が,第2部でも示したように,
「共同研究」
「受託研究」
(資料3―6―1−3)の増加傾向や,
毎年20件程度の「技術相談」の実績などに徐々に結びついてきている。
またその他の特記事項として,平成18・19年度に,経済産業省・中小企業庁の支援で実施した「高専
などを活用した中小企業人材育成支援事業」(資料3―6―1−4)を上げることができる。これは,
地域企業の若手技術者を対象にした事業で,本校では,熊本県や八代市の企業誘致活動などとも連携し
て,「自動車産業を担う金型エンジニア育成事業」を実施した。内容は,3D-CAD/CAE/CAMを中心にした
機械設計講座で,9月から12月までの毎土曜日,全96時間の講義と実習を行った。これによって,地域
の機械関連企業との関係を深めることができ,さらに,これらの活動をもとに,平成18年度は北九州市
の「九州産業テクノフェア」,平成19年度は県の「熊本産業ビジネスフェア」などで活動紹介(資料3
―6―1−5)などを行い,企業との交流の場を広げることができた。
資料3―6―1−1
(スタッフ紹介ページ)
(出典:地域連携センター(技術開発支援)第3版 平成 18 年発行)
3-65
資料3―6―1−2
新技術セミナー
MOT 講座
(出典:平成 18 年度 地域連携センター説明資料)
資料3―6―1−3
平成19年度 産学連携等研究費受入一覧表
受 託 研 究
件数 年度
申請日
契約日
1
19
6/11
6/27
受 託 研 究 件 名
委 託 者 名
温泉水等を利用した稚鼈(ちべつ)の飼育システムの研
(有)服部エスエスティ
究開発
2
19
6/25
7/17
温泉水等を利用した稚鼈(ちべつ)の水槽飼育システム
(有)服部エスエスティ
試作の研究開発
3
19
7/2
8/1
磁性体を用いたサージフィルタの開発
JST
4
19
7/17
7/30
路線バス時刻案内システムの開発
熊本バス(株)
5
19
合 計
共 同 研 究
件数 年度
申請日
契約日
1
19
3/15
4/2
2
19
6/8
7/2
3
19
7/18
8/1
4
19
5
19
共 同 研 究 件 名
共 同 研 究 会 社 名
コンクリート破砕器を用いた杭頭処理工法に関す
(独)産業技術総合研究所他4社
る研究
選択的分子認識部位を有する高分子素材の高専技
長岡技術科学大学
大プロジェクトの新展開
音声言語処理を応用したマルチメディアコンテン
豊橋技術科学大学
ツに対する自動メタデータ付与
合 計
(出典:平成 19 年度 受託研究・共同研究受入れまとめ資料(抜粋)
)
3-66
資料3―6―1−4
H19年度 経済産業省 : 高専等を活用した中小企業人材育成支援事業 (八代)
自動車産業を担う金型エンジニア育成事業
− PBL手法による金型設計・解析実務力養成 −
1.事業目的と概要
九州地域への自動車産業進出はいよいよ本格
化しており、熊本・八代地域においても自動車部
品製造への参入が現実化してきている。中でも、
金型設計は部品製造等に欠かせない基盤技術
であり、「現場を支える金型設計エンジニア」の育
成が急務となっている。
本事業では、平成18年度に金型設計等で一般
化しつつある「3次元CAD/CAE/CAMを基に
した金型設計基礎力養成」を実施したことを受け、
本年度は、「金型設計のための実務的な3次元C
AD設計応用力養成」と、これらを活用体験する
「現場のものづくりと解析に取組むPBL実習」を、
全12回、96hのプログラムで実施する。
八代市港湾地区工場団地
21
(出典:平成 19 年度 人材育成事業説明資料)
資料3―6―1−5
九州産業テクノフェアへの出展
熊本産業ビジネスフェアでの展示
(出典:平成 19 年度 地域連携センター説明資料)
3-67
3.6.2
教育連携(教育界向け)の取り組み
本校では,平成11年度より,地域教育界と連携して「小・中・高・高専・大学連携科学技術教育支援
機構」を組織し,全校的な取り組みとして,小中学校への出前授業・招待授業,理科教諭への実験授業
支援や研修会などの教育支援活動を開始した。これらの教育界との連携活動は,本校の連携活動の特徴
となっており,現在,地域連携センター「教育連携部門」が中心となって事業を展開している。「地域
連携センターパンフレット・科学技術教育支援」(資料3―6―2−1)は,その活動内容を紹介する
もので,「連携理科授業」や各種「工作教室」を含め,幅広い教育支援例を示している。
近年,これらの活動は外部からも高く評価されてきており,平成16年には,小中学生への理科教育の
組織的かつ継続的な取り組みが「九州工学教育協会賞」を受賞した(資料3―6―2−2)。また,平成
17年度からは,市内中学校との連携理科授業が,文部科学省「サイエンス・パートナーシップ・プログ
ラム(SPP)事業」
(資料3―6―2−3)として認定され,予算措置を受けている。これらの連携授業
は,連携先の理科担当者から,授業内容の希望を出してもらい,中学理科の単元やテーマに合わせた内
容で実施している点に特徴があり, 生き物の細部を観察しよう
や
超伝導を観察しよう
などのテ
ーマで,幅広い本校の専門学科の人材や設備を活かした授業内容になっている(資料3―6―2−4)。
また,平成19年度には,情報電子工学科が中心となって,中学校技術家庭部会と連携した「中学生プ
ログラミングコンテスト」(資料3―6―2−5)を実施することとなった。この活動についても,文部
科学省「現代的教育ニーズ支援取組(現代GP)」に採択され,3年間の予算支援を受けることになった。
このような本校の取り組みを手本として,平成17年度より,九州沖縄地区の高専が,地域教育界との
連携を深めるためのワーキンググループ「科学技術教育支援WG」が発足した。このWGも,本校一般科の
北辻教授がWG長となり,地区の全高専が足並みをそろえて活動を推進していくことを確認し,「活動紹
介パンフレット」や「実践事例テキスト」(資料3―6―2−6)の作成などに取り組んでいる。
資料3―6―2−1
(出典:地域連携センター(科学技術教育支援)第3版 平成 16 年改訂)
3-68
資料3―6―2−2
資料 3.6.13
H18年度 「わくわく連携理科授業」の内容
昨年度も、以下のように市内10中学校との連携理科授業を行い、
今年度も、さらに充実した内容で計画中。
第1回:「生き物の細部を観察しよう」
第2回:「物質の状態変化を見よう」
第3回:「超伝導を体験しよう」
第6回:「形状記憶合金を使ってみよう」
第7回:「極微・極低温の世界を知ろう」
第8回:「低温がつくる世界」
第4回:「超伝導と形状記憶合金」
第9回:「火山の形を調べてみよう」
第5回:「燃料電池の実験」
第10回:「分子・原子モデル」
(出典:九州工学教育協会賞の賞状および受賞の新聞報道:熊本日日新聞
2004/02/04)
(H18 年度 SPP 連携理科授業説明資料)
資料3―6―2−3
資料3―6―10
SPP事業:八代高専「わくわく連携理科授業」
本校では、地域の小中学校など教育機関との連携を活動
の柱と位置づけ、平成10年度以来、継続的に小中学校との
「連携理科授業」を実施してきた。平成17∼19年度は、これ
らの活動が文部科学省「SPP事業」として認定されている。
中学校の先生とのチームティーチング
顕微鏡を使った微生物観察実験授業
(出典:地域連携センター「SPP 連携理科授業」紹介資料)
(地域連携センター(科学技術教育支援)第3版 平成 16 年改訂)
3-69
資料3―6―2−4
H18年度 「わくわく連携理科授業」の内容
昨年度も、以下のように市内10中学校との連携理科授業を行い、
今年度も、さらに充実した内容で計画中。
第1回:「生き物の細部を観察しよう」
第6回:「形状記憶合金を使ってみよう」
第2回:「物質の状態変化を見よう」
第7回:「極微・極低温の世界を知ろう」
第3回:「超伝導を体験しよう」
第8回:「低温がつくる世界」
第4回:「超伝導と形状記憶合金」
第9回:「火山の形を調べてみよう」
第5回:「燃料電池の実験」
第10回:「分子・原子モデル」
(出典:平成 18 年度 SPP 連携理科授業説明資料)
資料3―6―2−5
高専生
学習手法・手段
中学生
中学校プログラミング・コンテスト
高専教育
ブレンデッド・ラーニング
インストラクショナル・
デザイン
技術科教育支援
(技術的スキルの育成)
参画
・コミュニケーション能
力の向上
PBL
・ICT活用能力の育成
e-Learning
・課題解決能力の育
成
m-Learning
・学習に取り組む態
度の育成
情報処理センター
地域連携センター
・技術的スキルの育
成
・ICT活用能力の育成
・学習目的の獲得
・知的財産権学習
理科教育支援
(科学的素養の育成)
熊本県193
中学校
八代高専
支援
取組の目標
参加
中学校技術科教員に
対する支援
ハイブリッド・ラーニング
(狭義のICT活用教育)
基盤整備/
技術支援
中学校教育
(広義のICT活用教育)
取組の目標
科学的素養と
技術的スキルを
修得した入学者
社会的要請
にこたえる
人材の育成・
輩出
実線矢印(これまで・これから)
破線矢印(これから)
社会的要請
・IT基盤の強化
・IT関連技術者の育成
(出典:平成 19 年度現代 GP「中学生プロコン」説明資料)
3-70
資料3―6―2−6
(出典:九州沖縄地区高専 科学技術教育支援 WG 活動紹介資料)
3-71
3.6.3
社会交流(市民向け)の取り組み
社会との幅広い連携活動も,本校の活動の特徴となっており,地域連携センター「社会交流部門」が,
これを担当している。
まず,5月から11月の第二土曜日に実施している,地域の小中学生を対象にした学校開放事業:「わ
いわい工作・わくわく実験ひろば」(資料3―6―3−1)がある。毎回,小学生を中心に,60名程度
の参加があり,親子・兄弟・姉妹も多く,近隣市民向けの「学びと遊びの場」として定着している。
また,八代市の「子ども科学フェア」,熊本県の「テクノサイエンスキッズ」など,市民向けイベン
トにも継続的に参加(資料3―6―3−2)しており,こうしたイベントで威力を発揮しているのが,
手作りの移動科学実験展示品「ミニミニ科学館」である。これらは,本校の教職員と学生が手作りした
ものであり,現在,約50点の展示品を揃え,パンフレット(資料3―6―3−3)も作成している。こ
れらは,普段,博物館などがなく,科学技術的な展示品に触れることの少ない地域への巡回を考えて製
作してきたものであるが,近年,県の博物館などからの依頼もあり,手作り感,触れて楽しめる楽しさ,
本校学生による説明・サポートの良さを含め,依頼も増えている。
このほかに,平成17年度から,八代市の本町商店街からの要請を受け,7月∼8月の毎週土曜日に催
される「土曜市」に,
「高専店:ライフデザインマーケット」
(資料3―6―3−4)を出店し,土木建
築工学科の「街づくり提案パネル」の展示や「ガメロボット」「ロボコンロボット」の実演など,活性
化支援を行っている。
さらに,平成19年度からは,土木建築工学科を中心にいた,現代GP:「地域温泉街再生と共同したエ
ンジニア教育」(資料3―6―3−5)が採択され,地域温泉街を「教材」とした共同教育の取り組み
を開始した。具体的には,温泉街に「再生ステーション」などを設置し,住民との交流を図りながら,
町並み再生・案内板デザインなど,様々な企画に取り組んでいる。
【評価項目3.6】地域連携活動
■評価できる
□やや評価できる
□やや改善の必要がある
□改善の必要がある
(意見)
地域連携センターを中心に「知的財産委員会」「情報処理センター」「広報室」「技術室」「事
務部(研究協力係)」などが緊密に連携し,またセンター組織・規則も改め,「企画室」を中心
に「技術開発部門」「教育連携部門」「社会交流部門」の3部門が効率的に活動できる体制を構
築することにより,様々な地域の要望に応える企画に取り組んでいるのは高く評価できる。
資料3―6―3−1
学校開放事業「わいわい工作・わくわく実験ひろば」
(出典:平成 18 年度 地域連携センター説明資料)
3-72
資料3―6―3−2
八代子ども科学フェア
くまもとテクノサイエンスキッズ
熊本博物館での展示
坂本ふれあいフェア
(出典:地域イベントへの参加の写真)
資料3―6―3−3
弦のないハープ
分身の術
平面シャボン玉
弦の振動の白黒縞模様
逆進ミラー
振り子の視覚異常体験
渦巻発生器
竜巻発生器
立体シャボン玉
浮かぶビーチボール
足ダンスミラー
浮かぶ蛇口(オアシス)
見て面白い、あそんで楽しい
八代高専ミニミニ科学館
八代工業高等専門学校
地域連携センター
(出典:八代高専ミニミニ科学館,平成 18 年度改訂版)
3-73
資料3―6―3−4
○ 土曜夜市「高専店」の開設
本校では、7月から8月にかけ、市商店街の夏祭り行事の
一助として、土曜の夜、本町アーケード内の空き店舗を利
用して「土曜夜市:高専店」を開設した。
内容は、本校の教育研究の様々
な地域向け活動を紹介するもので、
高専ならではの手作りロボットや科
学おもちゃの展示、そして建築コー
スの学生たちによる模型展示や地
域再生提案を行っている。
市や商店街の方々のご協力もあり、
この「高専店」には多くの市民の
方々が来場され、本校の地域連携
活動にとっても、大きな成功事例と
なった。
土曜夜市「高専店」
11
(出典:「地域活性化への取り組み」説明資料)
資料3―6―3−5
− 文部科学省 平成19年度 現代的教育ニーズ取組プログラム(現代GP)採択 −
「地域温泉街再生と共同したエンジニア教育」
− 地域の社会・文化等を重視する新しい「社会デザインエンジニア」の育成 −
1.事業目的と概要
本校、土木建築工学科では、従来から、学生に
よる「新幹線新八代駅周辺プロジェクト」「本町商
店街活性化」提言への参加など、積極的な「社会
を教室とした教育」の実践に取組んできました。こ
れらは、学生が「社会の課題に出会い、問題解決
力を養う場」として捉え、これからのエンジニア育
成に重要な教育手法だと考えています。
山頭火イベントへの参加
本取組は、こうした教育をさらに進め、全科をあ
げての「地域社会との共同教育」として、八代市
や日奈久まちづくり協議会等と協力・連携した「日
奈久温泉街再生」活動をテーマに、新しい「社会
デザインエンジニア」の育成をめざすものです。
29
(出典:現代 GP「地域温泉街再生と共同したエンジニア教育」説明資料)
3-74