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木星 2010年9月10日

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木星
2010年9月10日
だんだん光学系でここまで写る
2010年10月24日木星会議発表
2011年3月8日
補填
熊森照明(大阪府堺市)
築40年を超えるコンクリート住宅団地の中で、
4階建ての3階部分にある小さなベランダから惑
星観測を続けていますが、2010年3月に定年退職
をした記念に、セレストロンC11(口径28cm)シ
ュミットカセグレンを購入しました。
このC11の恒星像ナイフエッジテストをすると、
その光学系はステップがいっぱいの段々でした。
このだんだん光学系で惑星がどこまで写るか?
写すための工夫と高解像惑星撮影について報告で
す。
[セレストロンC11の
恒星像ナイフエッジテスト]
1986年から25年間は、自分で研磨した20cm
Dall-Kirkham式反射望遠鏡で観測を続けてき
ましたが、より高解像の惑星をめざして一回
り大きな、 口径28cmシュミットカセグレン(セ
レストロンC11)を中古で購入しました。
立派な観測場所があれば、もっと大きな望
遠鏡が欲しいのですが、現在のベランダ天文
台環境では、通常の30cm級は難しく、口径
の割にコンパクトなシュミットカセグレンを
[ 中古で購入したセレストロンC11 ]
選びました。
あくまでベランダにおける環境で可能なサ
イズとしてのシュミットカセグレンで、現在
の赤経駆動体に同架できるサイズからC11に
なりました。
同クラスのシュミカセとしてはミードの30c
mがあるのですが、世界で報告されている高解
像度惑星写真ではミードのシュミカセはあま
り報告数が出ていません。
[ 抱えているC11、後方が 20cm-DK]
圧倒的にセレストロンのシュミカセの方が
高解像度の惑星を写しているものが多いです。
ただ、購入したいときにちょうどC11が中
古で出ていたタイミングも私にとっては大き
いです。
20cm Dall-Kirkham は鏡筒径が 24cmで、鏡
筒長さが80cm、鏡筒重量は約11kgです。
C11は鏡筒径が30cmで、鏡筒の長さが56cm、
鏡筒重量は約13kgです。口径が8cm 増加した
[ 鏡筒径は大きいですが長さは短い ]
-1-
だんだん光学系でここまで写る
割には大きくなっていないことが分かります。
口径20cmと口径28cmとでは面積がちょうど倍になり、光量が倍になると言うことはシャ
ッター速度を倍に速くすることができるのですから、口径増加による解像度のアップと合
わせて一気に高解像度の惑星が得られるはずです。
C11の鏡筒を見ながら架台部分の設
計を考えていたとき、また中古でミー
ドのシュミカセ用フォーク(25cm用の
初期型)が単体で出ていたので、何と
かC11に使えるだろうと購入しました。
最近のものに比べるとフォークは細
く、赤緯微動もオモチャのようなもの
しか付いていなくて、柔な気がしまし
たが惑星観測専用にフォークを短くし
[ ミードの初期型フォーク
25cm用]
たりすれば実用になると考えました。
ただ、これらの工作は家庭内工作で
は不可能だったので、今回の改造には
宇治天体精機さんの協力を得て、工作
機械をお借りすることができたおかげ
で、大きな改造をすることができまし
た。
惑星撮影専用のフォーク式架台では
望遠鏡は天の赤道を中心に黄道までの
範囲を動かせば良いので、全天をくま
[ 宇治天体精機の工作機械と村下さん ]
なく見るために長いフォークにする必
要はなく、最低限の短いフォークにす
ることで望遠鏡架台の強度と安定性をもたらすことができる筈です。
[ バンドソーを使ってフォークの切断 ]
まず最初はミードのフォークをバンドソ
ーで短く切りました。
片側のフォークは中間をカットし、赤緯軸受け部は再度利用しました。
もう一つのフォーク赤緯部はミードのフォークに付いていた赤経駆動部を赤緯軸側に移
動して、赤緯軸駆動として利用しました。
結果だけ見ると、現行機種のミードのフォークの形状と似ているので全く違和感があり
ません。
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だんだん光学系でここまで写る
ミードの25cm用のフォーク巾は28cmしかありませんので、C11用の30cm巾まで広げない
と行けませんが、フォークの取り付け位置にアルミ板のスペーサーを挟むことで解決しま
した。
赤経駆動部は以前の 20cm Dall-K
irkham で使っていたものをそのま
ま流用しました。
精度的には町工場的であまり良く
ないのですが、極軸はΦ40mmあって、
強度的に、なんとかなるだろうと考
えました。
それほど悪くないとは思っていま
す。
シュミットカセグレンの弱点の一
[ 赤経駆動部は以前のものを利用 ]
つに筒内気流があります。CP(補
正板)で閉鎖された鏡筒は、一度温度が上がると空気の交換がなされないため、外気温が
下がっても主鏡の温度がなかなか下がらず、その温度差によって主鏡が熱源となり、いつ
まで経っても鏡筒内に気流が残り、惑星観測に悪影響を与え続けることになります。
そこで、C11鏡筒に吸気・排気ファンを取り付け、迅速な主鏡冷却を行うことにしまし
[ 後部セルには6cmファンが4個 ]
[鏡筒にφ12cmファン用穴を開けています]
た。吸気には12cmファン×1台、排気には6cmファン×4台を鏡筒や後部セルに穴を空け、
取り付けることにしました。
主鏡と外気温の温度管理のために2チャンネルの LED温度計を用意し、温度センサーの
一つを主鏡のガラスブロックにボンドで接着しています。
[温度センサーを主鏡に取り付け]
[ LED2ch温度計とUSBシリアル変換器 ]
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だんだん光学系でここまで写る
[ シュミカセ用クレイフォード電動化 ] [ 6/15 宇治天体精機での改造は終了 ]
シュミカセは主鏡の移動によってフォーカシングするようにできているのですが、主鏡
が不安定に傾きを変えるので、ミラーシフトと呼ばれている現象が起きて星が移動してし
まいます。
そこで、接眼部にはクレイフォード式の接眼部を取り付け電動化し、ミラーシフトによ
る惑星像の移動を避けるようにしました。
[
C11(左)と20cmDK(右)の
恒星像ナイフエッジテスト
]
C11の恒星像を使ってナイフエッジ検査
をしてみると、リング状の段々面になって
おり、CP(補正板)の工作はかなり大胆
で、日本の惑星観測者が希望する滑らかな
光学系とは随分と差のあるものでした。
ただ、この程度の段々はセレストロンの
シュミカセでは標準仕様と思われ、世界の
惑星観測者はこのような光学系で素晴らし
い高解像度の惑星像を得ている考えられま
す。
自分で研磨した20cmDKの方は、影は見え
るものの面全体はなだらかにできています。
[ バックフォーカス量の違いによる
ナイフエッジテスト、ロンキーテストと
恒星内外像 ]
C11の恒星の内外像を見ても対称にはなっていなくてアスもあり、やはり完全な光学系
とはほど遠く、ホントにこれで高解像の惑星が写るのか心配するところでした。
現在の惑星撮影システムは、Imaging Source社のDMK21AF04(モノクロ)とDFK21AF04 (カ
ラー)の2台の動画撮影用PCカメラを使ったLRGB法による高解像惑星写真を狙っています。
モノクロPCカメラの感度は、デジタルセンサーが発達してきた今でも、VGA(640x480
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だんだん光学系でここまで写る
ピクセル)サイズのCCDセンサ
ーが惑星写真についてはまだ
まだ 頂上にあ り、CCDモノク
ロセンサーをより活用するLR
GB法が、高解像惑星撮影にお
いてトップを走っていると考
えています。
LRGB法は色の問題とか考慮
しないといけないことがあり
ますが、小口径の望遠鏡で解
像限界まで能力を発揮できる
良い方法だと思います。
[フリップミラーで2台のPCカメラを切替]
ベランダに置かれたC11は、日中の太
陽光を受けて温度が上がり、夏場には主
鏡が50℃を超える温度にもなりました。
取り付けた温度センサーで見ると、日
中に10~20℃も気温より上昇した主鏡は、
夜半ごろまでかけて外気温に近づいてい
きます。
夜半以降に撮影するときは、C11に取
り付けたファンを回すことも少ないので
すが、夕方に撮影するときは自然冷却で
は間に合わないので、強制的にファンに
[実際の観測時の温度変化
24時間]
よる冷却をします。
上のグラフは2011年2月のデータで、夕方に木星、明け方近くで土星撮影をしたときの
ものです。
2010年夏はシーイングの良い日も多く、20cmから28cmへと口径が増えた口径の力を十分
に発揮してくれました(下画像参照)。
[セレストロンC11 28cm と20cm Dall-Kirkham で撮影した木星]
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だんだん光学系でここまで写る
C11は、確かにステップだらけの光学系ですが、解像力は、その口径に値する力を出し
ていると思われ、コントラストの低下などは画像処理によって補われていると考えます。
また、主鏡が動くことによる光軸の変化もあり、使いこなすにはなかなかのスキルが必
要なシュミットカセグレンですが、その力は期待していた以上のものがありました。
まとめ
○だんだん光学系でも良く写る
○鏡面精度がそこそこあれば写る
○コントラストの低下は画像処理によって補う
○筒内気流防止や光軸合わせは当然に
と、言うところでしょうか。
最後に、
「
やれば写るやないか! シュミットカセグレン! C11
」
[ベランダの東端に設置したC11]
謝辞
セレストロン
シュミットカセグレンの改造記事など、世界中のHPなどでいっぱい勉
強させていただきました。
一つ一つは載せることができませんが感謝申し上げます。
また、改造のために工作機械をお貸しいただいた宇治天体精機さんにお礼申し上げます。
参照
C11の光学系テストなどがいっぱいあるRohrさんのサイト
http://www.astro-foren.de/showthread.php?t=7880
http://www.astro-foren.de/showthread.php?p=34376#post34376
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だんだん光学系でここまで写る
セレストロンC11による2010年のベスト画像
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だんだん光学系でここまで写る
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だんだん光学系でここまで写る
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だんだん光学系でここまで写る
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