織道郵便車内の空中浮遊塵挨に就て

3
4
3
織道郵便車内の空中浮遊塵挨に就て
目
序
藤
松
\
ヌ
じ
~
他の作業場との此般に於て見たる
三圭
Eコ
調査の手段
償道郵便事の鹿島定濃度
調査の結果
綜
括
a
序
-~
l
=
1
郵便作業従事員の健康を脅かす環境保件として塵挨は正しくその重要なる一因子たるべき
ものであらう。何ち従来屡々営局及び現業の{目付通ら鱗道郵便車内の塵壊が業務衛生の立場か
亡乗務員が曝露せ
ら問題とせられた。けれども‘とれまでの文献に於ては Eの程度の塵境量 l
乙就ては‘簡単な原始的な方法による貧弱去に調査資料以外l
亡具臨的な
られてゐるかといふ事 l
資料を有たない。とれが此調査を企圃するに至った所以である。
調査の手段
塵境計測に使用した計器は芽研型吸着式塵挨計である。共使用方法 l
乞就て l
i
:
l
:穿働科事研究
2巻第 5披に登載せられた石川.江田雨氏の論文中に記述せられてゐる方法 l
吋匙,,闘であっ
第1
f
l
l
]は原則的には硝子に附着した帯A
Av
塵攻中の 5個所に於て行った。計・測に於て著し
た。計i
0回計測した。願微鏡はライツ型.接眼レンズは臨封物レンズ
い隔差を示した場合には 1
は No.5 で暗視野長置の下に計算した。(詳細は上記論文参照のとと)
Anlnvesti~ation
・
0
1
1t
h
eS
u
s
p
e
n
s
o
i
d
e
dD
u
s
t
.
i
nt
h
eR
a
i
l
w
a
y
P
o
s
t
.ByH.M
a
t
u
f
u
j
i
,M,D
.
(1
3)
3
4
1
松
藤
n
;
塵換を採取した昼間の高さは t何れの場合l
乞於て h その作業場 I
t
:於ける作業者の鼻の高
さであった。
吸引採取した場所及び舗道郵便車内の献態は第 1及び第 2匿l
を参照せられ度い。圏中直分
棚の前と行嚢を開閉する所が主主主る採取個別である。
第 1圃
織道郵便草の構遺 A
第 2圃
鋪道郵便車の構謹 B
調査の時日は昭和 1
0
年 7月1
1日から 2
5日迄.高温高漁の時であった。
調奈せられた便は民組線.新潟線及び東海道線の都合九便で、ある。
1
.房 綿 娘
a
. 下一蹴使 (7月1
1日午後零時 3分雨園費、午後 4時2
7
分鴨川着)
2
.I
新 潟 繰
a
, 下二披便
(7月1
3日午後1
0
時3
5
分上野蛮\ 1
4日午前 7時 3
8
分新潟着)
(1
1)
M
.
1
i
銭道郵便車内の空中浮遊塵践に就て
b
, 上コ蹴便
(7月1
4日午後 9時3
0
分新潟護\ 1
5日午前 6時3
5
分上野着)
3・ 東 海 道 線
a
. 下二競便
(7月1
6日午前1
0
時3
0
分東京費、午後 3時 2分潰松着)
b
, 上六蹴便
(7月1
7日午前 8時 1
5
分潰松費.午後 2時 2
4
分東京着)
c
. 下五披便
(7月1
8日午後 9時東京殻' 1
9日午前 1時 5
3
分潰松着)
d
, 上五競便 (7月2
0日午前 3時担分潰給費、午前 8時 2
9
分東京着)
e
, 下六披便
(7月2
2日午後 1
1時4
0
分東京輩、 2
3日午前 5時 4
5
分潰松着)
f
. 上二競便
(7月2
5日午後 3時 1
0
分潰松費・午後 7時 4
5分東京着)
何分同時に「鎖道郵便乗務員の努働献態 l
乞閲する調査jが渇されたの h 多くの使特l
亡東
海道線の諸使に於ては多忙な便程塵壊の費生も多量で、あらうと思惟せられるが故 l
'
L'頻固に
採取せられなければならゑいにも拘はらす、乗務員が多くて頻固定主る採取は作業を妨害する
倶があり.努働朕態に闘する調主も多忙と主主って充分店主調査の賓践が出来なかったととは遺
憾であった。
尚空中に於ける浮遊塵壊の全量はその塵壊の性質よりも持つ重要性が少い
《l)
と言はれる
い叉或塵撲が問題とせられる時l
乙塵挨自陣としては.濃度.成分.大いあ形及び吸i
品性.
反臨・フロックレー・シヨン等が重要である( 2)とも言!i
iれてゐる。だから只塵壊の量のみを
乙於ける塵壊の調査としては眼行的一面的であるといふ非難か
問題とした此報告は或作業場 l
ら菟れるととは出来ないと思ふ。併し塵壊の分布 l
と闘する調査資料の特l
亡吾邦 i
亡於ける貧困
さに或種の寄興をなし得るであらう。不備の鞘は他日を期して果したいと思ふ。
亡鶴道郵便車内に於ける作業に就て若干の解説的説明を試みる。
理解を容易ならしめる詩l
亡於て作業が響詩せられる。乗務員は多くて 9人少げれば 3
人
前圃の様友特別の鎖道郵便車 i
である。作業は行嚢の開閉.葉書書J
l
k
の匝分.赤行嚢の鹿理.小包の鹿理である。小包の多
い東海道線l
亡於ては車輔の宇部l
亡於て小包が取扱はれる。固の A の扉から行嚢の授受が行は
支込まれた行嚢l
i
i
B附 近 l
'
L於て必要な物は開嚢せられ.不必要た物は共催車輔の隅C
れる。 J
附近(C積上げられる。行嚢から出された郵便物は Dの匝分棚l
乞て匝分せられ.匡分せられた
物は再び行嚢l
乙入れられ着騨と共 l
乙渡される。
多は勿論徳間せられてゐる。併し夏は受渡口の上の窓生開放するから通風良心更に事輔
の中央隅壁 l
乙設置せられた扇風機は書般の飛散し主主い程度の気流を起生するから塵壊の護
.
散及浮遊は非常なる費化を持つ。従って夏期の調査はそれ丈で一つの意義を持つけれ Eも
乞要請せられる他の時季の調査が並在しなければ・是丈で鵠道郵便車内の塵挟量を論
必然的 l
、
)
(
1
、
&、
1
{
,F
.Bale
1
{
.
1
Y
.Fral:J
.I
n
d
.Hygiene1
9
3
5
.
(
2
) Lehmann:S
c
h
r
i
f
t
.a
.d
.G
e
s
a
m
t
g
e
b
.d
.Gewerbehyg.H
t
.2
f
i
c15 )
•
9
4
6
松
藤
.
.
.
7L
歩るのは逸脱不営であると思ふ。
調査の結果
(A)香便毎の塵壊量の時間的経過
a)房総1
線下一蹴便
3時間 l
乞渉って 9回測定せられ.最多量は l
c
C
l
'
C1
5
4
0,最少は 1
2
3
.
4平均313である。時間
3
4
.
仇 第 2時間 l
亡7
7
6
.
9,第 3時聞に 5
6
5
.
0である。最
を迫って塵挨量をみると.第 1時聞に 1
多量は出費後 1時間27
分で作業中止の時であり.最少量は出費前の行嚢積込の時である。
b)新潟線下二披便
9時間中計部1
]
2
0回.最多は 1
5
7
0で出費後1
5
分作業中で i
f
>I
)'最少 I
i
i出費後 1時間学過の
1
0
9
.
5
平均3
9
5
.
3である。第 1時間9
9
7
.
8,第 2時間4
2
5
.
4, 第 3時間304
ん 第 4時間1
6
3
.
2,第
5時間2
4
7
.
0,第 6時間2
6
6
.
2,第 7問時4
4
6
.
9,第 8時間2
8
0
.
3,第 9時間1
4
3
.
3である。
c)新潟線上二競便
8時間竿中 1
7回計測せられ最多量は到着前の8
2
0,最少量 l
i
i
9
3
.
2,平均2
6
6
.
8
, 第1
時間
1
2
4
.
3,第 2時間1
1
1
.
6,第 3時間1
1
9
品 第 7時間2
2
1
.
9,第 8時間3
4
3
,
4,第 9時間4
6
8
.
2であ
る
。
d)東海道線下二競便
4 時間中計iltU17回最多量は330.0 ,最少量は20.0 ,平均101.4 ,第 1 時間145°6 ,~~ 2時間5
6
.
8
,
第 3時間3
4
.
7,第 4時間2
5
9
.
5である。
e) 東 海 鎖 社 六 蹴 便
6時間中計浪1
]
2
0回.最多1
5
4
0,最少3
0
.
0,平均3
3
0
.
1,第 1時間1
9
2
.
3,第 2時間7
6
7
.
1,第
3時間94A
、第 4時間2
9
6
.
9,第 5時間3
8
.
2,第 6時間6
0
.
8である。
f)東海道棋下五披便
4時間中計測1
2
回.最多3
2
2
.
9,最少5
1
.
9,平均1
4
0
.
4,第 1時間1
4
7
.
4\第 2時間6
1
.
9, 第
3時間6
4
.
6,第 4時間3
2
2
.
9である。
g)東海道線上五蹴便
僅か 3回しか計測せーられす九その平均は 1
3
7
.
8である。
r
h)東海道組下六披便
6時間中計測1
8回.最多 I
i
i約2
0
0
0,最少2
6
.
4,平均5
5
6で.第 1時間2
0
8
.
3,第 2時間34
ム
第 3時間3
1
.
0,第 4時間4
6
4
.
6,第 5時間9
8
2
.
2,第 6時間1
5
8
3である。
(1
6)
銭単調1
使車内の空中 f
f
.
i
遊塵践に就て
3
4
7
.i
.
) 東海道線上二披使
4時間中計測 9回
. 最多は約2
0
0
0
, 最少は 1
7
4
.
8,,平均5
5
7
, 第 1時間9
1
4
・丸第 2時間
3
1
9
.
0,第 3時間2
3
1
.
4,第 4時間2
5
9
.
6である。
以上の結果から槻て各作業場l
亡於ける浮遊塵撲の濃度が非常に浮動性を持つととが判然す
る。最も多い時には l
e
e中約2
0
0
0の大量から最も少い20
迄非常な費化がある。故に精密な塵
技量を知らんが局l
亡は.此浮動性は叉必然的l
乙頻固なる採取を要求する。
a
I
各便の堕挨量と作業率の 首H
乙位決定的危闘係が見出せない。之は塵壊の費生.浮遊・を規定
Z
:
:
l
象想せられる事である。
する依件の多様性から必然的 I
(
8
) 車内の場所による塵壊濃度の差異
休憩所を中心にした東海道線の郵便事の前後部の塵挟量を比較してみる。下二披便では前
部7
9.h 後部1
2
3ふ上六披便で・は前部4
1
7ム 後 部1
5
4
.
6,.下五枕便で怯前部1
7
0仇 後 部
1
8
5
.
8,下六蹴便で、は前部6
3
3
.
7,後嗣\4
5
1
.
6で.前後では多少差がある様i
乞思はれる。
3
1
.
5
1
亡封し後者l
d
:
3
4
3
.
2で差は殆んどない。 J
をは作
匝分室の前と開嚢ずる場月!?では前者の 3
業が狭|監接近してゐるのに原因が見出せゃう。
(C) どの程度の塵壊濃度が最多いか
125周の計測中 tee中 lζ100以下の場合は33(26.4% 入 100から200迄が39(31.2.~ )
.
2
0
0から 3
0
0
迄が16(12.8%λ300から5
0
0
迄が1
4
(
1
1
.
2
%入 5
0
0から 1
0
0
0
迄が1
4
(
1
1
.
2
%)
で
\
\ 1
0
0
0
以上が 9
(7.2% )である。帥ち300以下が88(70.4~りで' 300以上が37(29.6~りと!たる。
金慌の平均は3
2
5
.
6である。
'
l
他の作業場三の比較に於て見 f
こ
る
餓道郵便車の塵挨濃度
勢町型吸着式塵;挨計の製作後短時日なる馬にそれによる調査資料は非常に少い。故 t
む鰻道
郵便車内の塵壊量が如何なる地位を占めるかは全く明ではない。併し若干の資料と比較して
みやう。以下の責料は皆鼻の高さで採取せられたものである。
〔 1
7)
.
3
4
_
8
松
充
藤
1
9
3
5年 6月岡山臓の某耐火煉瓦工場ζ
l於て採取せられたのに依ると(詳細は本雑誌に石川
7
8
.
9,型打場 1
7
5
.
9,煉瓦窯1
4
7
,
9,モルタル荷誼2
0
2
.
9,煉
松藤により,蛮去の強定).製粉所2
4
0
.
5,坑内 1
1
0
8
.
2で・とれに比べると鍛道郵便車内の塵挨量は坑内を除いた何れより
瓦荷誼1
も多量で、基うる。製粉場の相官費塵する所よりも多い事は注目し友ければ友るまい。
1
9
3
5
年 6月東京市の諸郵便局 l
乙於て4
2
個所採取せられた。そり時の平均は 3
2
9
.
6で
、 3
0
0
以
下の場合が23個所( 54.76% 入 300以上が 19(45.24~のであった。
1
9
3
6
年 3月倉敷郵便局に於て 3日聞に 1
6
0回採取せられ、その平均は1
c
c
l
c
:
:
4
2
0
.
6で・
3
0
0
以下
の場合が6
8
(
4
2
.
2
3,
り
' 3
0
0
以上の場合が9
3
(
5
7
.
7
7,りである。
C友る。
是等!と比較すると鰻道郵便車内の塵挨は私の調査の限りで陥少いとと I
鱗道
報告したいと思ふ。〉
乙て三個所、新潟線l
亡て二個所.東海道にて L 個所各々粒子 1
0
0個を計−測した。何
房綿線l
れの個所でも大した差異はないから全部纏めて今是の分布を見と
0
.
.
5p
7
7
(
1
2
.
8
3
%
)
5
.
0
μ
3
(0.50~0
:
1
,
0
p
. 2
8
3
(
4
7
.
1
6
%
)
5
.
5
μ
2
(0,33%)
1
,
5
μ
8
9
(
1
4
.
8
3
%
)
6
.
0
μ
4
(0.66%)
2
.
0
μ
6
9
(
1
1
.
5
0
%
)
ー
」6
.
5f
1
2
(0.33%)
2
.
5
p
.
3
1
(5.16%)
7
.
0
p
.
2
(0.33%)
3
.
0
μ
1
5
く2
.50%)
7
.
5
μ
1
(0.16%)
3
.
5
μ
1
0
(1.66%)
ー
」8
.
0
μ
2
(0.33%)
4
.
0
μ
6
(1
.
0
0
%
)
8
.
5
p
.
1
(0.16%)
-4.5μ
3
(0.50%)
自!わち肺胞迄侵入し得る深謹性の大ゑ 3
.5f以下の粒子が6
0
0
個中 5
8
6(
9
7.
6
6
%)の鴬く可き
数字を示顧する。是は非常に注目しなければならゑい。
.
2
8
9μとなる。
平均値は1
存
宗
括
持研型吸着式塵挨計l
乙より東海道.昆綿及び新潟の各組の九便の鎮道郵便事 I
C於てー夏期
にその塵境量が測定せられた。その所産を要約すると.
1
. 車内浮遊塵挨濃度は逐時的 l
乞非常なる浮動性を持つ。 l
e
e中最多は約 2
0
0
0から最少は
( 1
8)
E
書道郵便車内の空申存遮塵撲に就て
349
2
0
.
程で非常な懸絶がある。
2
. 作業率と塵挨量の聞には決定的の闘係は見出せ友かった。是は塵挨費生浮遊の規定的
保件の多犠性に原因が求められやう。
3・車輔の前後 l
乞於ては塵壊の量が異る様である。併し区分墓と開嚢の場所の聞には大し
亡原因があるのであらう。
た差異は友い。是は作業場の狭阻i
4・塵壊は l
e
e中3
0
0
W
.
;下の事が多くて全慌の7
0
°
4
%で1
0
0
0
以上は7
.
2
%であった。 1
0
0
0
以上
は.大部分.陸道内に列車が這入り窓が開放せられてゐる場合である。
5
. 筆者が各季計測した郵便局の塵挨量よりは少いけれ Eも織誼郵便車内には可成り多量
の塵壊が浮遊するものと思ばれる。
6・鎖道郵便車内の塵挨I
i
i大抵土砂粒‘紙跡の織縦、長粉等で比較的害は少いものと思は
れる。
7
. 浮遊塵咲粒子の大いさはその 9
7
.
6
6
%
f
C於て 5
μ 以下であり平均値は1
.
2
8
9P
-である。
陣峻所長、石/
I
I博士の御指導御校隠に倣穫する正共仁、申尾氏の鼓術的御援助に深甚の感謝の意を表明する。
'・
1
9)