ミクロ熱流動研究部門 分子熱流研究室 小原 拓 教授・菊川豪太講師

ミクロ熱流動研究部門
分子熱流研究室
小原
拓 教授・菊川豪太講師
バイオミメティクス流体機械の基礎研究
ナノテクノロジーの進歩は機械工学にも大きな影響を与えていますが、熱や物質の輸送
を主な機能とする熱流体機械は、これを受けてどのような方向を見出せるでしょうか。例
えばポンプやタービンなど、通常スケールで優れた機能を示す機械をそのままスケールダ
ウンしてナノスケールの機械を作っても、その機能にはあまり期待できません。機械のパ
ワーを支配する体積が、摩擦や抵抗などロスを支配する表面積に比べてスケールダウンに
伴う低下の度合いが大きいためです。これに対する一つの解は、既にナノスケールの構造
をもち、その構造を使った高効率のプロセスを実現している、生体内のエネルギープロセ
ス・輸送プロセスです。生体に学んだナノスケール熱流体デバイスを実現すべき、生体内
のエネルギー装置について理解を深めています。図はブラウニアンラチェットの原理に想
を得たラチェット式電
気泳動を実現する一つ
の方法として提案した
DNA 選別のための電
気泳動マイクロチップ
です。
生体膜の構造と輸送特性
脂質二重膜は、生体分子の細胞膜についてのモデルであり、その物質輸送特性について
様々な研究がなされています。今後は生体内のエネルギー装置の材料として、その熱輸送
特性が重要になるでしょう。また、脂質二重膜はポリマーが水中で自己組織化して均一か
つ非等方性の構造をもつに至ったもので
あり、その設計自由度の大きさや機能・形
状の多様性から近年急速に応用展開が進
んでいるソフトマターの一つとして、その
構造と輸送特性との間に普遍的な関連性
を求める新しい基礎的研究展開のターゲ
ットでもあります。本研究室では、脂質二
重膜の熱輸送特性について分子動力学シ
ミュレーションで解析を進めており、その
熱伝導率の異方性や単層膜間の大きな熱
抵抗を初めて見出すなど、成果をあげてい
ます。