プレゼン資料 - 京都大学経済研究所東京分室

京都大学金融工学シンポジウム2007
Global Quantitative Research
マイクロソフト社のERMに学ぶ
日本企業への示唆
2007年3月9日
金融経済研究所 金融工学研究センター 事業数理研究グループ
クオンツアナリスト
張替一彰(Kazuaki Harigae)
マイクロソフト社のERMに学ぶ7つのポイント※
1 事業リスクマネジメントに対する問題意識
2 実践的なリスクマネジメント組織体制
3 全体最適の発想
4 現場との密なるコミュニケーション
5 柔軟なリスク評価方法
6 資本市場の視点を入れたマネジメント手法の選択
7 最終目的としての“リスクマインド”の醸成
(※マイクロソフト社のERM体制については、『収益を作る戦略的リスクマネジメント』第5章マイクロソフト(トーマス・L・バートン (著), ウィリアム・G・シェンカー (著), ポール・
L・ウォーカー (著), 刈屋 武昭 (翻訳)、東洋経済新報社)を主たるベースとしているため、現状と異なる可能性があり得ます)
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證
券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
1
1 事業リスクマネジメントに対する問題意識 ~ケース・スタディ~
【マイクロソフト社】
■ PCソフトウェア業界の事業リスク
① 急激な技術革新リスク
② 猛烈な競争リスク
■ 事業リスクは非常に大きいが、“大きな成功を得るためには、時には大きなリスクを取る必要がある※”とされる。経
営が正しい判断を行うためには、適切な事業リスク情報が必要である。リスクマネジメントグループは、そのために、
財務リスク評価に近いレベルの定量的評価と管理手法を事業リスクに導入することを目的としている。
ER M 効 用 ( 対 象 : 戦 略 リ ス ク ま で を含 む ER M 積 極 企 業 [3 7 8 社 ])
■ ダボス会議で報告されたグローバルE
RM調査によると、戦略リスクまで含む
ERM積極企業は、“CEOのリスクテイ
ク能力支援”や“業務遂行能力の信頼
性向上”、“事業における意志決定基
準”などをERMの効用として挙げてい
ることがわかる。
74
C EO の リ ス ク テ イ ク 能 力 支 援
71
C EO の 業 務 遂 行 能 力 の 信 頼 性 向 上
68
事 業 における意 思 決 定 基 準
64
業 績 の モ ニタ リ ン グ 能 力 向 上
60
C EO の 起 業 的 ・ 革 新 的 な 考 察 能 力 増 大
58
コ ー ポ レ ー トガ バ ナ ン ス の 透 明 性 向 上
57
株 主 と の コミ ュ ニケ ー シ ョン 能 力 向 上
0
※ビルゲイツ『思考スピードの経営』(日本経済新聞社,1999年)
10
20
(出所:ERMグローバル調査、世界経済フォーラム[2004])
30
40
50
60
70
80
回 答 率 (% )
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證
券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
2
1 事業リスクマネジメントに対する問題意識 ~事業リスク管理の意
識が希薄な日本企業~ 【日本企業:優先すべきリスク対象】
32% 情報漏えい
24%
顧客対応の不備
業務運用ミスによる多額損失の発生
21%
18%
人材流出、人材獲得の困難による人材不足
18%
地震・風災害等、災害対策の不備
18%
製品、サービス品質のチェック体制の不備
18%
財務報告の虚偽記載
17%
大規模システムダウン・情報逸失
14%
役員・従業員の不正
過労死、長時間労働等の労働問題の発生
13%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
(全サンプルに占める当該企業数の割合)
(出所:監査法人トーマツ『企業のリスクマネジメント調査(2006年版)』より野村證券金融工学センターが作成)
【示唆】 最近の調査においても、日本企業においては、対応を優先すべきリスクは基本的にオペレーショナルリスクやク
ライシスリスクが中心であり、企業価値の源泉である事業リスクマネジメントへの問題意識の広がりが見られない点が
大きな課題である。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
3
1 事業リスクマネジメントに対する問題意識 ~“事業等のリスク”のリ
スク分類~
市場・経済リスク
項目名
企業数
景気
1,291
原材料
1,284
市場(金利、為替等)
1,034
人口
64
比率
82%
81%
66%
4%
業界・競合リスク
項目名
企業数
販売、価格
1,385
競合
1,050
生産、コスト
731
新規、海外事業
568
M&A、提携
465
顧客動向
446
R&D
423
流通
162
業界慣行
98
信用リスク
比率
項目名
企業数
88% 格下げ要因
1,041
67% 特定取引先依存
900
46% 与信
298
36%
環境(自然、社会)リスク
比率
項目名
企業数
66% 規制
1,196
57% 自然災害
865
19% カントリーリスク
600
天候
292
疫病
277
■ 東証一部上場企業1578社の有価証券報告書(2005年度)における“事業
等のリスク”のテキスト情報開示部分を分析した。
■ リスク分類別に平均的な該当企業数の比率(百分率)を見てみると、全体
として比率が高いのは業界・競合リスクである。その次にオペレーショナルリ
スク、市場・経済リスクに関するものが挙げられている。実際には、数多くの
事業リスク(市場・経済、業界・競合)が企業のリスク要因として挙げられて
おり、次の段階として、事業リスクのマネジメントが資本市場から求められる。
オぺレーショナルリスク
項目名
企業数 比率
ブランド、安全危機管理
1121 71%
リーガル
833 53%
品質管理
738 47%
知財
364 23%
IT
338 21%
人事・雇用
292 19%
リスク分類別トータル企業数比率
20.2%
20.3%
■ 事業リスクを5つに分類し、構成される各リスク項目を決定した。その上で、
各リスク項目に当てはまるキーワードを設定し(例えば環境リスクの中の“疫
病”の項目であれば、BSE、SARS等が含まれる)、そのワードが説明文章に
1回でも出てくれば、その項目の該当企業としてカウントした。“比率”は全体
の企業数に対する割合である。
比率
76%
55%
38%
19%
18%
17.8%
29.3%
12.3%
市場・経済リスク
環境(自然、社会)リスク
業界・競合リスク
オぺレーショナルリスク
信用リスク
(出所:野村證券金融工学センター)
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1 事業リスクマネジメントに対する問題意識 ~日本の先進企業の
意識にも変化がある~
■ 米国上場日本企業の意識は高く、広範
な内部統制やリスクマネジメント(ERM)
の仕組みの構築に意欲的である。
→目線の高い、先進企業の方向性
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5
2 実践的なリスクマネジメント組織体制 ~ケース・スタディ~
【マイクロソフト社】
■ CROや上級幹部で構成されるリスクマネジメント委員会は実用性が低いとのことで設置せず→実践的なリスクマネ
ジメントグループ(財務部門指揮下)がリスクの識別、計測、管理に関する包括的かつ統合的な手法を開発。
80
【日本企業:リスク管理部署設置比率.vs.リスク評価実施率】
7 4 .9
70
6 3 .1
60
(%)
50
40
5 4 .5
6 2 .6
4 7 .3
4 5 .5
4 3 .1
格差拡大
5 2 .5
4 2 .1
39
30
20
10
0
2002
2003
2004
リ ス ク 管 理 部 署 を設 置 して い る
2005
2006
リ ス ク の 評 価 を実 施 して い る
(出所:監査法人トーマツ『企業のリスクマネジメント調査(2006年版)』より野村證券金融工学センターが作成)
【示唆】 日本おいては、組織体制作りは進んでいるが、リスク評価あるいはマネジメントの実働部隊として動ける組織体
制になっているかが疑問である→対外評価を気にした付け焼き刃的な組織対応であるとの疑念が払拭されない。形式
にとらわれるよりも、全組織へアクセス可能な横断的かつ実践的な組織形態が必要。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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3 全体最適の発想 ~ケース・スタディ~
【マイクロソフト社】
■ 全ての個別リスクを独立した個々の「サイロ(silo)」としてではなく、全社の視点で認識。
【地震リスクの例】
・経営側の事前対応が十分でなかったとされた場合の役職員の損害賠償請求
・重要人物を失うリスク
・取引が不可能となった場合の資本市場での評価
・外部労働者への補償、従業員の収入にかかるリスク
・納入業者が地震の影響を受ける地域にある場合の原材料調達リスク
・企業活動が中断することによるマーケットシェアを失うことのリスク
・調査や製品開発に関する中断および作業の遅れが発生するリスク
単なる保険的対応で
はなく、BCP(事業継
続計画)の視点から
様々な角度で発現す
るリスクを考える。各
種地震関連リスク間
の相関も考慮する。
・商品サポート面で顧客対応が滞るリスク
(出所:『収益を作る戦略的リスクマネジメント』第5章マイクロソフト )
【示唆】 現場のインセンティブを引き出すために、日本でも多くの企業で採用されている事業部制や社内カンパニー制な
どを敷いていた場合、負のコストとして、ローカル最適化の弊害がリスクマネジメント面で起きやすい。
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3 全体最適の発想 ~統一的なリスク管理イメージ~
~ERMにおける事業部門とリスクアセットによる統一的なリスク管理イメージ(縦串と横串の二つの視点の両立)~
事業部門(部門別にリスク管理)[横串]
リスクアセット(全社レベルでリスクアセット別にリスクを一元管理)[縦串]
A部門
B部門
C部門
D部門
リ
市
信
環
場
用
境
リ
リ
リ
ス
ス
ス
ク
ク
ク
オ
ペ
レ
|
シ
ョ
ナ
ル
リ
ス
ク
プライベート
事業リスク
|
ガ
ル
リ
ス
ク
プライベート
事業リスク
プライベート
事業リスク
プライベート
事業リスク
(出所:野村證券金融工学センター)
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4 現場との密なるコミュニケーション ~ケース・スタディ~
【マイクロソフト社】
■ ビジネスユニットのマネージャーと業務上の連携手法
- イントラネットによる徹底的な情報開示(“企業においては、社員から財務データを守るために時間を割くべきではな
く、むしろ、社員が財務データを分析したり、それに基づいて何かを行えるような時間を確保すべきである※“)
- 対面コミュニケーションの重視→リスクマネジメントグループはライン課長や製品開発部長のマネージャーとの共同
作業時間の長いほど、評価される。
■ リスクマネジメントグループがビジネスユニットに与える付加価値
- リスクの計量化支援
- 気がつかないリスクの指摘
互恵関係による良質のスパイラル構造
- リスクファイナンス(不要なリスクの引き受け)提供
■ リスクマネジメントグループがビジネスユニットから受ける付加価値
- 全社的な視点を得られる上、リスク情報の量や質が高まる。
- 経営トップへのリスク情報の報告時に説得性が増す。
【示唆】 リスクに関する相互理解(事業部門と経営陣)の欠如が先ほどのローカル最適化の最大の原因である→全体最
適のためには、組織的な対応ならびに優れた動機付けに後押しされたリスクコミュニケーシュンを活発に行うカル
チャー醸成が必要。IRにおける経営陣の業績予想リスクに対するアカウンタビリティーを満たすためにも必要である。
※ビルゲイツ『思考スピードの経営』(日本経済新聞社,1999年)
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5 柔軟なリスク評価方法 ~ケース・スタディ~
【マイクロソフト社】
■ リスク評価方法:VaR(Value at Risk)+シナリオリスク
- 可能な範囲で徹底的にリスクは定量化すべき。ただし、リスクの計量化は直感的作業であり、現場との相互確認作
業の繰り返しである→”現場との密なるコミュニケーション“がその下敷きにある。リスクの精緻さではなく、リスクの大
きさの水準(数字桁数)の比較感が重要。
- VaRに依存しすぎず、シナリオ分析によるストレステストも活用→VaRは学術的であるが、ストレステストは取締役会
の関心に、より容易に特定可能な事例分析を提供できる。
- シナリオリスク評価では、他社事例(地震リスク評価では阪神・淡路大震災時の神戸製鋼の例を活用)を使い、示唆
を得る。
・株価への影響は?
・取締役会や会社は訴えられたか?
・操業再開まで、どの程度の時間がかかったか?
■ リスクマッピングの作成
- 時間軸として3ヶ年の中期経営計画を考慮した上で、リスクの発生頻度、インパクトにより、対応すべきリスクの優先
順位を決める(80:20のルール[リスクの20%に対して、80%分のリスクマネジメントの取組みを行う])
【示唆】 リスクを相対的に位置づけるために、定性的リスクのラフな定量化の試みが必要。また、今後は、日本においても、
個別企業を超えたERM関連の情報交換が必要である。リスクの優先順位付けを行うには、リスクマッピングが有効である。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
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[参考]リスクマッピングについて ~リスクの洗い出しと整理~
マクロリスク
リスクの洗い出し
テロ・誘拐
情報セキュリティ
地震
独禁法違反
著作権・特許違反
市場リスク
環境リスク
為替
地震
技術革新
借入金利
火事・噴火
原材料
天候
社員不正
戦略投資
契約リスク
製造物責任
為替
原材料
労働災害
借入金利
天候
整理
セミマクロリスク
社員不正
雇用関連
自動車事故
偶発災害
システムダウン
情報漏洩
契約リスク
信用リスク
戦略投資
取引先倒産
テロ・誘拐
情報セキュリティ
規制
格付下落
自動車事故
偶発災害
競合他社参入
製造物責任
盗難
戦略リスク
競合他社参入
取引先倒産
著作権・特許違反
火事・噴火
規制
盗難
オペレーショナルリーガルリスク
リスク
独禁法違反
雇用関連
格付下落
システムダウン
情報漏洩
プライベートリスク
労働災害
技術革新
(出所:野村證券金融工学センター)
■ 日本企業がリスクマップを作成する場合、内部統制とのリンケージが必要である。内部統制で行われるリスクの洗い出し
作業をさらに押し進めることで、リスクマッピングが可能となる。そのためには、N/3法(総数Nの1/3の得票を各評価者に
与えて得票数で順位付け)などを使って、リスク項目を整理する必要がある。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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[参考]リスクマッピングについて ~定性的リスクを含むリスクの定量
的評価~
リスクの洗い出し・整理
定量的リスク
定性的リスク
■ 主にプライベートリスク
■ 主にマクロ、セミマクロリスク
■ 過去に蓄積されたデータがない。あるいは、データ
収集に多大なコストがかかったり、過去データが意味を
なさない(技術や環境の変化による)ケースや人的資源
などの本質的に定量評価が難しいケースなどが該当す
る。
■ 過去データが豊富。将来のリスク評価にも高い信頼
性で過去データが使える。あるいは、将来、想定される
変化を過去データの修正として織り込むことが可能。
定量的評価
手法の活用
■ データが豊富でも、低頻度、高インパクトのリスク評
価については要注意
■ 複数の社内、社外専門家による三点推定
(最確値、最大値、最小値)→三角分布、PER
T*分析によるβ分布によるリスク評価
■ デルファイ法(集約後の評価を見せて、再度、
個別意見を収集)による修正なども想定
リスクマッピングで
ラフに相対評価し、
企業リスク全体を俯瞰
(出所:野村證券金融工学センター)
※Program Evaluation and Review Technique
■ リスクの洗い出し作業の次のステップが定性的リスクを含んだリスクの定量的評価である。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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(損害額)
[参考]リスクマッピングについて ~グローバルリスクの定量化例~
(今後10年間における発生確率)
(出所:『グローバルリスク2007』、世界経済フォーラム)
■ 今年のダボス会議では、グローバルリスクのリスクマッピングが公表された。資産価格の暴落、グローバル化の挫折、石
油危機、中国の景気失速などが発生頻度の高い大きなリスクとして扱われている。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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[参考]リスクマッピングについて ~マッピングによる優先順位付け~
Sample
重要度:中
第二象限
高い
地震
格付下落
独禁法違反
著作権・特許違反
重要度:高
戦略投資
システムダウン
情報漏洩
為替
技術革新
原材料
社員不正
火事・噴火
テロ・誘拐
情報セキュリティ
第一象限
借入金利
契約リスク
製造物責任
競合他社参入
インパクト
規制
自動車事故
偶発災害
労働災害
天候
取引先倒産
雇用関連
第三象限
低い
盗難
重要度:低
低い
頻度
(出所:野村證券金融工学センター)
■ 定量的評価でリスクマッピングを作成。その際に、他に検討すべきリスクの性質
は以下のようなものである。
- 分布形状:リターンの源泉ともなり得るか、 損失のみが発生するものなのか。
- ビジネス上の重要性:コアリスクかノンコアリスクなのか。
- リスクの所在:外的リスクなのか内的リスクなのか。
重要度:中
第四象限
高い
■・・・市場リスク
■・・・事業戦略リスク
■・・・環境リスク
■・・・信用リスク
■・・・リーガルリスク
■・・・オペレーショナルリスク
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[参考]リスクマッピングについて ~リスクマネジメント戦略の検討~
インパクト大・発生頻度高(第一象限)
インパクト大・発生頻度低(第二象限)
事前に株価・格付に織り込まれる部分。インフルエン
ス・ダイアグラムの設計*などのより詳細な分析が求め
られる。マネジメントできるものと、できないものを分け
たリスクIRが必要。戦略リスクが含まれやすい。
発生時のインパクトを軽減するための方策
が必要。インパクトが小さければ、株価など
への影響も小さい。保険などの対応もあり。
重要度:中
高い
地震
重要度:高
格付下落
独禁法違反
著作権・特許違反
社員不正
火事・噴火
テロ・誘拐
情報セキュリティ
戦略投資
システムダウン
情報漏洩
為替
技術革新
原材料
( *ビジネスモデルの収益発生メカニ
ズムを図式化し、収益を変動させる
リスクファクターを抽出した上で階層
構造化することを目的とする。)
借入金利
契約リスク
製造物責任
競合他社参入
インパクト
自動車事故
偶発災害
規制
労働災害
天候
取引先倒産
雇用関連
低い
盗難
重要度:低
低い
インパクト小・発生頻度低(第三象限)
リスク保有を基本とする。
頻度
重要度:中
高い
(出所:野村證券金融工学センター)
インパクト小・発生頻度高(第四象限)
リスク保有を基本としつつも、対応コストを
考慮しつつ、リスク頻度の軽減を図る。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證
券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
15
[参考]リスクマッピングについて ~東証一部全体(2005年度) リス
クマッピング例~
■ 東証一部上場企業1578社の有価証券報告
書(2005年度)における“事業等のリスク”の
テキスト情報開示部分を分析し、東証一部全
体のリスクマップの作成を試みた。
■ 頻度: (対ROAリスク標準化β-対カバ
レッジリスク標準化β)を規格化
■ インパクト: (対ROAリスク標準化βד規
格化後頻度”の累積分布関数+対カバレッジ
リスク標準化β×(1-”規格化後頻度“の累
積分布関数))を規格化
■ 頻度が多く、インパクトが大きい第一象限に
は、業界・競合リスクが数多くマッピングされ
ている。特に“新規海外事業”や“競合リスク”
の影響が大きい。一方、相対的に“環境リス
ク”は第三象限に近い。“オペレーショナルリ
スク”も“品質管理”や“知的財産”、“ブラン
ド”、“安全危機管理”は第一象限となってお
り、企業価値に大きな影響を与える結果と
なっている。
第二象限
第一象限
2
新規海外事業
品質管理
業界慣行
1
インパクト(σ)
■ 分析手法: 過去の5期間のリスク(カバレッ
ジ*、ROA*、株価リターン)に対するダミーを
使ったクロスセクションの重回帰分析(28の
事業リスクダミーを使用)
3
リーガル
競合
生産コスト
格下げ要因
R&D
知的財産
特定取引先依存
顧客動向
市場
景気
カントリーリスク
ブランド、安全危機管理
疫病
原材料
販売価格
規制 天候
IT
流通
人事、雇用 人口
0
-1
M&A提携
-2
与信
自然災害
第三象限
-3
-3
第四象限
-2
-1
0
1
頻度(σ)
市場・経済リスク
業界・競合リスク
信用リスク
2
3
(出所:野村證券金融工学センター)
環境(自然、社会)リスク
オペレーショナルリスク
※カバレッジ: 税引後利益/(営業利益+受取利息配当金)、ROA=(営業利益+受取利息配当金)/総資産 なお、ROE=ROA×レバレッジ×カバレッジである。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
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[参考]リスクマッピングについて ~東証一部全体(2005年度) 相対
株式リスク比較~
40%
35.9%
35%
30%
相対株式リスク
25%
20%
15%
10%
5%
0%
-1.6%
-5%
-10%
-2.3%
-8.2%
-15%
第一象限
第二象限
第三象限
第四象限
(出所:野村證券金融工学センター)
■ 株式リスクをダミーモデルで説明した結果、各象限ごとに相対リスク(各事業リスク別β×ダミー)を集計した。その
結果、相対株式リスクとして最も大きいのは、第一象限リスクである。その次に第二と第四が同程度で、最も相対リス
クが小さいのが第三象限となっており、想定通りの順番となっている。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
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[参考]リスクマッピングについて ~業種別リスクマッピング例~
サービス
3
機械
3 カントリーリスク
流通
2
2
景気
格下げ要因
顧客動向
ブランド、安全危機管理
業界慣行
R&D
自然災害
原材料
リーガル
IT
人事、雇用
与信
生産コスト販売価格
規制
知的財産 新規海外事業 疫病
天候 市場 競合景気
カントリーリスク 人口
特定取引先依存
0
-1
原材料
1
インパクト(σ)
インパクト(σ)
1
生産コスト
品質管理
0
-1
M&A提携
-2
業界慣行
競合
品質管理
格下げ要因
ブランド、安全危機管理
販売価格 リーガル
天候
与信
規制
疫病
R&D
人事、雇用 新規海外事業
IT
M&A提携
知的財産
流通
顧客動向
自然災害
市場
特定取引先依存
-2
-3
-3
-3
-2
-1
0
頻度(σ)
市場・経済リスク
1
2
業界・競合リスク
3
信用リスク
-3
-2
環境(自然、社会)リスク
-1
0
1
2
3
頻度(σ)
(出所:野村證券金融工学センター)
オペレーショナルリスク
■ サービス業と機械の二つの業種に母集団を絞った場合のリスクマップを作成した(データは2003年度~2005年度)。
サービス業は“流通”に関するリスクが非常に大きく、次が“業界慣行”である。“カントリーリスク”や“天候”などの影
響は少ない。一方で、機械の方は“景気”や“生産コスト”、“品質管理”が重要なリスクである。また、“カントリーリス
ク”は発生頻度が非常に少ないが、一度発生した場合には多大なインパクトが発生するとの結果になっている。
■ このように業種によって、重要視するリスクの内容は異なる。個別企業によっても大きな違いがあるため、今後は、
個別にカスマイズしたリスクマップを作成し、定期的に見直す体制が必要となってくる。
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6 資本市場の視点を入れたマネジメント手法の選択 ~ケース・スタ
ディ~
【マイクロソフト社】
■ リスクソリューション方法→回避、低減、移転、受容
- どのような手法を用いるかの決定に際し、市場や株主がマイクロソフト社のリスクマネジメントに対して、何を求めて
いるかについて、関心をもつ。
■ 適切なリスクファイナンス手法のビジネスユニットへの提示→正しいリスクプロファイルの理解が前提(その為に、全
体最適、リスクコミュニケーション、柔軟なリスク評価が予め必要)
【示唆】
■ リスクへの対応方法は、日本の内部統制でも求められている。
■ その際の選択基準として、市場や株主の視点が挙げられている点が興味深い。今後は、こうしたリスクIRの視点が必
要となる。
■ リスクファイナンス手法に関しても、市場に転嫁できるリスクの範囲は広がっており、その手法についても、新しいもの
が次々と出てきている。機会損失を招かないためにも、その部分に対して、理解を深めていく継続的な努力が必要であ
る。
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6 資本市場の視点を入れたマネジメント手法の選択 ~日本の内部
統制で求められる“リスク評価と対応”~
(出所)企業会計審議会内部統制部会
リスクへの四つの対応方法
回避
リスクの原因となる活
動を見合わせ、又は中
止することをいう。
低減
リスクの発生可能性や
影響を低くするため、新
たな内部統制を設ける
などの対応を取ること
移転
リスクの全部又は一部
を組織の外部に転嫁す
ることで、リスクの影響
を低くすること
受容
リスクの発生可能性や
影響に変化を及ぼすよ
うな対応を取らないこと、
つまり、リスクを受け入
れる決定を行うこと
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6 資本市場の視点を入れたマネジメント手法の選択 ~リスクIRの
視点~
リスクIRの視点
企業が保有しているリスクの内、
管理可能なリスクと不可能なリスクを峻別。
具体的な対応策と
ガバナンスや内部統制による
リスクマネジメント体制を情報開示
株主が主体的に負うべきリスクで
あることを理解させる
今後は、リスクIRの巧拙が資本市場からの企業評価基準の一つとなることが想定される。
(出所:野村證券金融工学センター)
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證
券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
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6 資本市場の視点を入れたマネジメント手法の選択 ~リスク・ファ
イナンス手法とその特徴~
リスク・ファイナンス(広義)
金融技術
z
z 金融デリバティブ
金融デリバティブ
z
z 商品先物市場
商品先物市場
z
z 為替予約
為替予約
z
z
z
z
ストラクチャード・ファイナンス
ストラクチャード・ファイナンス
証券化
証券化
リスク・ファイナンス(狭義)
z
z
z
z
z
z
CAT
CAT ボンド
ボンド
コンティンジェント・キャピタル
コンティンジェント・キャピタル
EIO(Economic
EIO(Economic Index
Index Option)
Option)
z
z 信用デリバティブ
信用デリバティブ
z
z 天候デリバティブ
天候デリバティブ
※
保険技術
z
z 従来の損害保険商品
従来の損害保険商品
(火災保険、天候保険など)
(火災保険、天候保険など)
※
※
z
z ファイナイト
ファイナイト
※※
※※
z
z キャプティブ
キャプティブ
z
z 保証専業保険会社(モノライン)
保証専業保険会社(モノライン)
z
z ダブル・トリガー方式
ダブル・トリガー方式
ファイナイト・・・伝統的な保険契約が大数の法則を基礎においているのに対して、ファイナイトは保険期間の長期化を通じてリスクを分散する手法
※※キャプティブ・・・企業が専属の保険会社を設立し、企業本体のリスクを保険契約を用いて移転する手法
(出所:野村證券)
従来の金融技術の特徴
リスク・ファイナンス商品の特徴
保険商品の特徴
z ヘッジできるリスクが限定されて
いる(原則金融リスクのみ)
z 間接被害についても許容できる
z 複数年度の契約も可能である
z 直接被害についてのみ支払い
が行われる
z 災害時にマーケットが機能不全
に陥るリスクがある
z 資本市場がリスクの引受手となる
z 通常単年度の契約である
z リスク引受能力に限界がある
z カウンター・パーティーの信用リ
スクがある
z 信用リスクが隔離されている
z 支払いが迅速である
z 保険会社の信用リスクがある
z 支払いまで一定期間かかる
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證
券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
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6 資本市場の視点を入れたマネジメント手法の選択 ~リスク・ファ
イナンス商品の概要~
商品名
ヘッジリスク
概要
CATボンド
CATボンド
自然災害
(地震・台風)
z リスク発動時に投資家の元本の一部又は全部が減額さ
自然災害
(地震・台風)
z 自然災害発生時に予め定めた一定の条件でオリジネー
れ、オリジネータ-に資金が払い込まれる。
ターによる資金調達が可能になる。
コンティンジェント・キャピタル
コンティンジェント・キャピタル
z 株価や格付けが一定条件を充足した際に、予め定めた
市場リスク
(株価・格付け)
一定の条件で資金調達が可能になる。
EIO
(自動車生産台数、住宅着工件数、
GDPなど)
EIO
(失業率)
収益
信用(貸倒れ)
z 一定の経済指標を指数化し、その数値と企業収益など
の相関関係を利用した商品。
z 一定の経済指標を指数化し、その数値と貸倒金の増加
との相関関係を利用した商品。
(出所:野村證券)
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證
券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。
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7 最終目的としての“リスクマインド”の醸成 ~ケース・スタディ~
【マイクロソフト社】
■ リスクマネジメントの最終目的
- 全ての従業員に対して、日々の意志決定についてのリスクを深く考えて貰うこと。
【示唆】
■ リスクマインドの醸成は内部統制の日々の運用にも通じる。
■ 結局の所、全での従業員のリスクに対する自覚(リスクマインド)が醸成されなければ、いくらトップ主導で体制を作っ
ても、実効性がなく、直ぐに形骸化してしまう。それにより、経営陣が気づかぬうちに大きなリスクに晒され、突発的にリ
スクが発現することになる。
■ 実現は難しいが、企業の“クレド“等にして、全社員で理念を共有化することが必要。
本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、
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