5年6年

のびのびタイム学習指導案
日時:平成17年11月9日(水) 10 時 45 分~11 時 15 分
場所:小学部5・6年教室
対象:小学部5・6年1組(男子2名) 教諭 山内 功(T1)
1 活動名 「カードゲームをしよう」「それぞれの活動(調理,自立的に指先を使った学習に取り組む)」
2 児童の実態
本人・保護者のニーズ
教師の願い
アセスメントより
・コミュニケーションカードを使
って適切に表現して欲しい。
・集団の中でも自分の役割が果た
せるようになって欲しい。
・伝える楽しさを感じて欲しい。
・小集団で落ち着いて活動して欲しい。
【評価のための個別セッションより】
・発達得点 80(模倣 11,知覚 13,微細運動 12,粗大運動 18,目と手の協
応 13,言語理解 12,表出言語1)
・発達年齢(2歳10 ヶ月)
【日常の行動観察より】
・要求を伝える際には身振りや絵カードを使って伝える。10 月中旬よりコ
ミュニケーションブックを使用している。
・周囲が騒がしいときや友達の声に敏感で不安定になることがあるが,運動
会前後から体育や給食等,大きな集団へも参加できるようになってきてい
個別の指導計画の長期(1 年)目標
・代替コミュニケーション手段で伝えること
ができる。
る。
対象児:H
男
小学部5年
・学習に対する見通しを持ち,授業に参加す
ることができる。
[資料Ⅰ‐1の診断項目より]
興奮を抑えるため,短い言葉掛けや後方からの支援が有効である。
・見通しのある活動については,短時間であるが集中して取り組むことがで
き,学習体勢も身に付いてきている。
・
「牛の絵」や「マトリックス」で芽生え反応が見られる。
DSM-Ⅳによるチェック
DSM-Ⅳによるチェック
・不快な場面では声を出したり,自傷行為,他傷行為が見られ,その際には
[資料Ⅰ‐1の診断項目より]
①②③④⑤⑧⑨⑩⑪
・文字のマッチング,色の名称を理解している。
・ごく簡単な,日常的に使用される言葉の理解がある。
・指先を使った細かな作業が,苦手である。
3 題材設定の理由
4 本題材と本時の目標
本題材では「他者と場を共有しながら過ごす力」と「手掛かりを用いながらも,自分で判断して行動できる力」に重点
を置き,取り組んでいる。
「他者と・・・」では,二人の児童の共通の興味・関心である電車の写真をカルタに使用してい
る。本グループの児童 2 名は,注意がそれやすいという実態がある。視覚優位といわれる自閉症児でも楽しめるよう,読
み札を読まずにフラッシュで見せる工夫を行っている。読み札をフラッシュする瞬間を見ていればカルタがとれるという
結果のもと,注意を集中している時間が延びるのではないかと考え,設定した。
「手掛かりを・・・」においては,
「それぞれの活動」と題して事例対象児H児は「調理」
,N児はスケジュールを確認
し,活動することに取り組んでいる。調理を題材にした理由として,H児は保護者の聞き取りから,例えばカレーライス
を作るのに必要な食材をスーパーで選ぶことができる反面,その調理の過程を全く知らないという側面がある。学校生活
においてもスケジュールをもとに移動したものの移動した先での見通しが弱く不安定になる場面も少なくない。本題材で
は,H児の好む比較的簡単な手順の調理を通して,何事にも途中の過程があることに気付くことをねらいとしている。そ
の結果,全体を見渡す力の向上につながればと考える。また,合わせて調理器具を操作することで手指の巧ち性もねらっ
ている。
本題材では,発達段階や集団参加の実態が違う児童に対して,共有活動と並行活動を取り入れながらも,児童が思わず
「やってみたい!」と思えるような授業を展開して行くことを大切にしている。H児が楽しみにしている調理を授業の後
に展開することで,課題となる小集団での活動もよりスムーズに取り組めるのではないかと考える。将来的にも楽しみに
意味を持って,活動に参加する力を付けていきたいと願っている。
なお、N児は,細かな指先の操作を伴う活動が得意である。得意な指先を使った課題を通じて作品を作ることで,
「でき
た」という達成感や実用的なもの作り等を通して有用感を育てることをねらいとしている。その結果,
「分かっているのに
やらない」や大人への注意喚起が軽減され,スケジュール等のツールを使い,自信を持った学校生活が送れないかと考え
る。
本題材の目標
(1)
「人の指示に従うこと」や「自分の要求を
伝えること」ができる。
(2)活動の終了を見通して,一つ一つの活動
に取り組むことができる。
(3)小集団で,落ち着いて活動ができる。
本時の目標
(1)VOCA と絵カードで教師に伝えることがで
きる。
(2)一つ一つの調理手順に落ち着いて取り組
むことができる。
(3)
「調理」を楽しみに,カードゲームに取り
組むことができる。
5 指導経過
付けたい力
・対象物(人や物など)を見て行動する。
活動名
模倣,ボールのやり
とり,腕上げ動作
・友達の発信カード(ゲームをする)を受け取り,学習場所に移動する(人 カードゲーム(数字
に合わせる)
。
並べ,カルタ等)
・教師の動作や指示に注目する力(フラッシュカード使用)。
・
「○○をした結果,△△になる」という結果と現象の関係について,予測 手順の少ない調理
する力。
指導期間
4月~5 月初
旬
5 月初旬~7
月末
7 月~現在
9 月~現在
・レシピを確認し,変化を受け入れる(同じ食材で味付けを変える)
。
・嬉しいや悲しい,美味しい,まずいなど,内的な気持ちを表出する。
10 月~現在
手順の少ない調理
児童の変化
個別の課題学習でタイルを使った学習(フラッシ
ュ)を行ったことで要領をつかみ,本時においても自
信を持って取り組めるようになってきた。現在では個
別課題学習でタイルを用いて5までの合成に取り組む
など認知的な伸びが見られる。
家庭においてもジャガイモの皮むきに時々取り組
んでおり,
「皮をむくのが早くなってきた」との報告
があった。
のびのびタイムをスケジュール提示すると,言葉掛
けがなくても,学習場所の移動をするなど楽しみにし
ている様子が見られる。
6 授業の展開
環境
本時の活動の(1)~(4)
(事例対象児の欄中の□で囲まれた文章は,支援の手だてを表す。
)
本時の活動
全体
(1)学習予定を聞く。
・はじめのあいさつ
(2)カードゲームをする。
・新幹線のカルタを行う。
(3)それぞれの活動
N児は,自立的に指先を使った学習に,
H児は,「じゃがいもを使った調理」に取
り組む。
VOCA とコミュニケーシ
ョンブックを使用する
(4)おわりのあいさつ
事例対象児 H
「それぞれの活動(調理)
」で本
・学習予定について聞く。
時に作る物を写真で知らせる。
・
「起立」
「気をつけ」
「礼」
「着席」の号令に従い行動
する。
学習体勢が整っていないときは,教師が
正しい姿勢を取ることで意識させる。
・教師がフラッシュする写真カードを見て,
注意がそれていて,カルタが取れない状
カルタを取る。
況のときには,カルタをとった N 児を大げ
・取った写真カードを教師に渡す。
さに賞賛する。
・結果発表を聞く。
不安定を示す声が頻繁に見られた際に
・教師がレシピを読むのを聞き,該当する写真を
は,興奮に発展しないよう言葉掛けと身振
はる。
りで「静かにします」と伝える。
<ジャガイモの煮物をつくる>
① 手とジャガイモを洗う
② ピーラを準備する
①~⑨,⑬に関しては,活動をレシピで教師と指差し確認する。
③ ジャガイモの皮をむく
④ 包丁で切る
③⑦は教師が距離を置き,VOCA「すみません」
,絵カード
⑤ タッパーに入れる
で
「手伝って
or
終わりました」
が使用できるかを評価する。
⑥ 調味料(めんつゆを入れる)
⑦ 電子レンジに入れる
会食前にタッパーから皿に食材を移す際にも同様とする。
⑧ 皿の準備をする
⑨ ゴミをビニール袋に入れる
⑪⑫は教師が 10 カウントや後方からの支援を随時取り入れる。
⑩ 会食する
⑪ 食器を洗う
⑩「おいしい」
「まずい」の絵カードを提示する。
⑫ 掃き掃除,拭き掃除をする
⑬ ゴミを捨てる
・二人がほぼ同時の時間帯に,活動を終えた場合には,二人そろって終わりのあいさつを行う。
・
「起立」
「気をつけ」
「礼」
「着席」の号令に従い行動する。
・いすの片付けを行う。
7 評価
(評価の視点について:○は達成,△は芽生えと評価される視点のこと)
評価項目
評価の視点
○時間内に 1 回以上,自発的に VOCA と絵カードで伝えることができた
か。
(1)
「手伝って」や「終わりました」という文脈
の状況で VOCA と絵カードを使用する。
△視線で訴えることや VOCA 又は絵カードのみで伝えたか。
○言語指示がなくても,写真を手掛かりに調理器具を準備することができ
たか。
(2)料理レシピを支援付きで指差し確認し,調理
器具の準備をする。
△写真と異なっても調理器具を持ってくることができたか。
○カルタを 5 枚以上取ることができたか。あるいは,取ろうとする仕草が
2~3 回見られたか。
(3)フラッシュ提示するカードを見てカルタを取
る。
△不快を示す声が頻繁に聞かれるものの着席し,ゲームに参加したか。