「免疫調整作用」を期待したIM-AYの開発

「免疫調整作用」を期待したIM-AYの開発
はじめに
弊社は、「西洋医学薬の薬効にはなく、副作用もない天然素材を使った独創的な健康食品」を 開発のポリシーとして、これまで非力ながら天然素
材の探索とそれらを使った商品開発に取り組んでまいりました。当然のことながら、このポリシーの実現は容易いことではありませんでした。
壮大な理想を掲げている割には、決して十分とは言えない商品のラインナップである現実に日々苦しんでおります。しかし、弊社を信頼して頂け
る諸先生方や患者様をはじめとする多くのユーザー様のご期待に添うためには、日々努力を惜しまず、ポリシーの実現化に邁進する以外に歩むべ
き道はみつからないのが現状です。種々の難病と向き合う毎日の臨床で、常にいらだつことは、
抗がん剤・制がん剤の副作用と体制
免疫抑制・免疫賦活作用はあっても、免疫調整作用は困難であること
何を試みても改善させてあげられない重症のアトピーに対する治療法
であります。骨髄抑制、胃腸腎障害が極めて少なく、耐性を獲得しづらい上に、できるだけ腫瘍に対して選択的な抗がん剤•制がん剤があれば、
担がん患者のQOLとサバイバル•タイムを著しく向上させてあげられます。全身性エリテマトーデス、免疫介在性溶血性貧血や血小板減少症、あ
るいは無菌性皮下脂肪織炎のコントロールが困難になった時、血漿交換療法に加えて、さらに高用量の免疫抑制剤やステロイド剤を投与せざるを
得ません。自己免疫性疾患の治療において、治療の開始時から抗核抗体や抗赤血球•血小板抗体などの自己抗体産生系だけを選択的に抑制しなが
ら、正常な免疫システムに影響を与えない免疫調整療法の実現化など到底不可能なのでしょうか。胃腸障害、肝機能低下、および発がんのリスク
を背負ってもサイクロスポリンや高用量のステロイドを投与しなければ、重症のアトピーは全く管理できないのでしょうか。世界中の研究者、医
師、および獣医師がこれらの問題に取り組んでも、これまで解決できていない現状を踏まえると、我々のような非力で弱小研究チームが取り組む
には、あまりにも困難極めるテーマといえるでしょう。
理想的な難病治療法の開発に我々が少しでも寄与できるとしたら、世界中に未探索で眠る有望な天然素材を少しでも多く探索し、その安全性と効
果を検討する手法以外に思いつかないのです。これまで数種の天然素材を探索•検討してきましたが、胸を張って公表できる成果は未だ得られて
おりません。しかし、検討の結果、予想に反する効果が見られることもありました。現在のテーマは、「免疫調整作用を有する天然素材の探索と
検討」ではありますが、免疫調整作用とは言い難い開発コード名「IM-AY」の治験成績が得られましたので、その概要を順次報告させて頂きたい
と考えました。
材料と方法
DCは丹羽メディカル研究所が開発した健康食品で、Harpagophytum
procumbens (DC)を主原料とし、発酵等の独自の
製法で加工を施している。DCの投与量は、Akitaらのラット胎児を用いた安全性試験の結果※を参考に、1-200mg/kg/day
の範囲で2分服投与とした。症例は、
・ホルモン関連性脱毛2例
・自己免疫性皮膚疾患3例
・アトピー性皮膚炎2例
・皮膚バリア障害2例
・角膜疾患1例
の合計10例(イヌ9例、ネコ1例)である。IM-AYの評価法は、2週間から1ヶ月ごとの検診にて皮膚あるいは角膜の変化を詳
細に観察した。また、可能な限り、血液検査も実施した。
Harpagophytum procumbens → ハルパゴフィツム・プロクムベンス
投与量
IM-AY投与後数時間で、未消化物を嘔吐する症例が2例みられたため、投与開始量を25mg/kg/dayとし、1週間毎に
25mg/kg/dayずつ増量することで最終投与量の100- 200mg/kg/dayとした。しかし、低用量ですでに嘔吐した2例は、
投与により毎回嘔吐を繰り返したため、治験を中止せざるを得なかった。
治験例
ホルモン関連性脱毛
去勢された2例において、いずれも1ヶ月程度で発毛がみられた。シーズー種の症例では、色素沈着と発毛が同時期
に進行し、トイ•プードル種の症例では、太く堅いワイヤー状の被毛が脱落しながら、健康な被毛が発毛してきた。
アトピー性皮膚炎
本疾患に対するIM-AYの効果は、今のところ明確ではない。2症例のオーナーによれば、「皮膚の状態に著しい
改善はみられないものの、悪化もしなくなった。」という作用に止まる結果である。
治験例
自己免疫疾患
落葉状天疱瘡のミニチュア•ダックスフンド種は、頻回の嘔吐を呈したため、IM-AYの治験から除外し、動物用
SOD顆粒とIM-HYの投与に変更することで約2ヶ月後に完治した。
DLEのラブラドール•レトリバー種は、DC投与後2週間で表皮の病変部が再生したが、粘膜病変が改善せず、リ
ンパ節の腫脹がまだみられている。
無菌性皮下脂肪織炎による特有の皮膚病変に対するIM-AYの治療効果は、3ヶ月以上の投与を行ったが全く見ら
れなかった。しかし、菲薄な皮膚に対しては、色素沈着とその後生じた表皮の厚化作用を呈した。
治験例
皮膚バリア障害
フレンチ•ブルドック種の症例では、投与後1ヶ月で腹部
皮膚に散在していた皮脂腺嚢胞と、細菌感染による赤斑
•丘疹が消失した。しかし、乳頭に存在する大小の皮脂
腺嚢胞および眼瞼周囲の脱毛は、まだ完全には消失して
おらず、これによる痒みが残存している。
角膜疾患
エジプシャン•マウ種の症例では、角膜潰瘍から発展した厚く
広範囲な肉芽組織が縮小しないことから、IM-AYの投与を開
始した。投与から約2ヶ月後には、この肉芽組織が色素沈着
を開始し、その面積も縮小した。また、パンヌスも消失した
ことから、涙量も減量したので、カラーによるブロックが必
要なくなった。
血液検査
全ての症例で血液検査を実施していないが、CBCおよび生化学的検査において、IM-AYによる異常は今のところみ
られていない。また、血清タンパク電気泳動の所見においても、βおよびγ分画に大きな変動はみられていない。
専門用語集
環境ホルモン(内分泌攪乱物質)
セント・ジョーンズ・ワート
生活環境中に存在する化学物質のうち、生体にホルモンに似
た作用をおこしたり、逆に本来のホルモン作用を阻害する物
質の総称。代表例としては、プラスティック製品から放出さ
れるビスフェノールAが挙げられる。すなわち、内分泌系に
影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起
こす外因性の化学物質と定義されている。
和名は西洋弟切草。ギリシャ時代から妊娠中絶薬
、抗炎症
剤、収斂剤、あるいは消毒剤として使用されてきたセント・
ジョーンズ・ワートは、近年うつ病および抗不安治療の観点
から注目を集めているハーブである。黄色い花を咲かせる根
茎性の多年草のハーブであり、ヨーロッパに自生し、後にア
メリカへも伝搬し多くの草地で野生化している。聖ヨハネの
日(6月24日)の頃までに花が咲き、伝統的にその日に収穫さ
れたため、その名が付いて栽培されている地域はあるもの
の、20以上の国では毒草としてリストされている。家畜が摂
取すると、光過敏感症、中枢神経障害、流産または最悪死を
もたらす場合もある。日本においては、薬事法上、薬効を標
榜しない限り、セント・ジョーンズ・ワートは「食品」扱い
であり、ハーブとして市販されている。しかし、多くの薬物
と相互作用をするので、厚生労働省からも注意が必要である
と喚起されている。
線維芽細胞
結合組織の骨組みを構成する細胞。L929細胞株は、マウス
に発生した線維肉種を、細胞株化したもの。
リポ多糖(LPS)
グラム陰性菌の細胞壁外膜の構成成分であり 、脂質と多糖か
ら構成される物質(糖脂質)。LPSは内毒素(エンドトキシ
ン、英:Endotoxin)とも呼ばれ、LPSがヒトや動物細胞び作
用すると、細胞は種々の炎症性サイトカイン(細胞と細胞の
情報伝達を担うホルモン様低分子タンパク質)を分泌する。
LPSは生物系の基礎研究において、細胞に対する炎症刺激物
質として多用されている。
COX-2
COX-2は脳や腎臓などの細胞内で恒常的に発現する細胞内情報
伝達分子で、その他の臓器の細胞では普段は発現が低い。
COX-2はサイトカインなどの刺激により細胞内に発現が誘導さ
れ、COX-2を介したプロスタグランディン(PG)E2やPGI2等
の炎症物質の産生が亢進することが知られている。PGE2は血
管透過性の亢進、血管拡張および発痛に、PGI2は血管拡張と
発痛に関与し、炎症反応をそれぞれ進行させる。また、COX-2
発現により腫瘍細胞が増殖したり、逆にCOX-2作用を抑えるこ
とで腫瘍細胞の増殖が抑制されることから、COX-2が発がんに
関与する可能性が高い。したがって、COX-2を選択的に阻害す
る薬剤によるがん治療が期待されている。特に、COX-2の高い
発現が大腸がんやその転移臓器でみられることから、COX-2選
択的阻害剤を利用した大腸がんの予防や治療がすでに実施され
ている。炎症性疾患などに対する薬物治療にアスピリンなどの
COX阻害薬を用いると、確かに炎症反応を抑えることができる
が、一方で胃潰瘍などの副作用が問題となる。
一酸化窒素(NO•)と一酸化窒素合成酵素(一酸化窒素シン
ターゼ;NOS)
骨、脳、血管内皮、顆粒球、膵臓のβ細胞および末梢神経に
おいて一酸化窒素シンターゼによって、L-アルギニンから生
成されたガス性の細胞間伝達物質であり、強力な血管拡張物
質が一酸化窒素(NO•)である。一酸化窒素は、無色のフ
リーラジカル•ガスで、酸素と速やかに反応してNO2、
N2O3,、N2O4などの酸化窒素類に変換される。一酸化窒素
合成酵素(NOS)は、常時細胞内に一定量存在する構成型
NOS(cNOS)と炎症やストレスにより誘導される誘導型NOS
(iNOS、NOS2)に分類され、さらにcNOSには神経型の
nNOS(NOS1)と血管内皮型のeNOS(NOS3)が存在する。
アントシアニン
植物に広く存在する色素、アントシアン(果実や花の赤、青、
紫を示す水溶性色素の総称)のうち、アントシアニジン
(anthocyanidin)がアグリコンとして糖や糖鎖と結びついた
配糖体成分のこと。高等植物では普遍的な物質であり、花や果
実の色の表現に役立っている。フラボノイドの一種で、抗酸化
物質として知られる。
プロアントシアニジン
植正常な生体内では、酸化と抗酸化のバランスがうまく保たれ
ているが、このバランスが崩れて、過剰な活性酸素が血管や細
胞を攻撃することが、動脈硬化や糖尿病合併症などの生活習慣
病や老化の原因になることが明らかにされてきた。こうした活
性酸素の悪い働きを抑えるのが抗酸化物質で、その代表である
ポリフェノールは様々な食品に含まれ、ビタミンCやビタミンE
などの抗酸化ビタミンと並んで重要な抗酸化物質である。天然
のポリフェノールは、ブドウをはじめ、お茶、カカオ、リン
ゴ、蕎麦、ブルーベリーなどの多くの植物性食品に含まれてい
る。キッコーマン社では、ポリフェノール類の抗酸化力を比較
し、ブドウ種子に含まれるポリフェノールの主成分「プロアン
トシアニジン」が、特に強い抗酸化力を示すことを明らかに
し、水とアルコールを利用した独自の技術とプロアントシアニ
ジンを豊富に含むブドウ種子エキスを開発することに成功して
いる。このブドウ種子エキスの機能性は、ウサギにおいて動脈
硬化の予防、ヒトにおいて運動による筋力低下の予防、マウス
において白内障発症の予防、ヒトにおいて血液中のLDL酸化抵
抗性の増進、ヒトにおいて腸内フローラの改善と便臭の軽減、
さらにヒトにおいて色素斑(しみ)の改善など様々な効果によ
り示されている。
モルヒネ(モルフィン)
アヘンに含まれるアルカロイドで、チロシンから生合成される
麻薬のひとつ。鎮痛・鎮静薬として種々の原因による疼痛(と
うつう)の軽減に極めて有効であるが、身体的、精神的依存性
が強い麻薬の一種でもあるため、各国で法律により使用が厳し
く制限されている。医療においては、癌性疼痛をはじめとした
強い疼痛を緩和する目的で使用される。